坂本龍一さんに聞く ネット時代の音楽表現とは
――ネットの普及で、音楽はどんな影響を受けたのでしょうか。
「レコードからCD、ネット配信へと媒体が進化し、複製と流通コストが下がったことで、
1曲あたりの販売単価は下がった。簡単にコピーやダウンロードをできるようになり、
違法な複製も日常化した。音楽の経済的な価値は限りなくゼロに近づいてしまった。
これは予想していなかった」
――50年後、100年後の音楽はどうなると思いますか?
「CDが完全に消えるとは思わない。人間には、触ることのできるものを持っておきたい欲望がある。
ぼくもネット経由で大量にダウンロードする一方、手元に残したい曲はレコードやCDで買う。
最近はアナログ版のレコードが売れて、よいビジネスになっている。500部限定の現代詩の詩集と同様、
CDやレコードも希少性が強みだ。ぼくも、バッハらの30巻の豪華な全集を作っている」
「それでも、音楽家は、一握りのヒットメーカーを除いて職業とすることは難しくなるだろう。
ぼくはメガヒットメーカーには入れない。口うるさい古本屋のオヤジになって、ブログとかを書いているかもしれない。
あるいは学校の先生になって音楽について教えているかもしれない」
http://www.asahi.com/showbiz/music/TKY200812180219.html