宮崎駿「悪人を倒せば世界が平和になるという映画は作らない」

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この国に立ち込めている不安や将来に対する悲観的な考え方は、実は子どもたちには
全く関係ないことなのです。つまり、この国が一番やらないといけないことは、内部需要を
拡大するための橋を造ったり、道路を造ったりすることではなく、この子どもたちのための
環境を整えること。常識的な教育論や日本の政府が言っているようなくだらないようなこと
ではなくて、ナショナリズムからも解放されて、もっと子どもたちの能力を信じて、その力を
引き出す努力を日本が内部需要の拡大のためにやれば、この国は大した国になると信じてます。

実際に子どもたちを取り巻いている環境は、私たちのアニメーションを含め、バーチャルな
ものだらけです。テレビもゲームもそれからメールもケータイもあるいはマンガも、つまり
私たちがやっている仕事で子どもたちから力を奪いとっているのだと思います。これは私たち
が抱えている大きな矛盾でして、「矛盾の中で何をするのか」をいつも自分たちに問い続け
ながら映画を作っています。でも同時にそういう子ども時代に1本だけ忘れられない映画を
持つということも、また子どもたちにとっては幸せな体験なのではないかと思って、この仕事
を今後も続けていきたいと思っています。

――子どもたちをナショナリズムから解放するということですが、今後は地域社会に根ざした
   映画を作るつもりか、グローバルな映画を作るつもりかどちらですか?

「世界の問題は多民族にある」という考え方が根幹にあると思っています。ですから少なくとも
自分たちは、悪人をやっつければ世界が平和になるという映画は作りません。
「あらゆる問題は自分の内面や自分の属する社会や家族の中にもある」ということをいつも
踏まえて映画を作らなければいけないと思っています。

「自分の愛する街や愛する国が世界にとって良くないものになるという可能性をいつも持って
いるんだ」ということを、私たちはこの前の戦争の結果から学んだのですから、学んだことを
忘れてはいけないと思っています。

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0811/27/news004.html