梅雨の終わりの雨一緒に傘に入りたいベリキューメン

54名無し募集中。。。
校舎を出ると、外はなんだか小雨混じり
うっかり傘を忘れた俺 しょうがないな、濡れて帰るか……
と諦めて歩き出すと、前には同じクラスの清水と、一つ年下の
千奈美ちゃんがお喋りしながら歩いてる
前から千奈美ちゃんのことをかわいいな、と思ってた俺は、
彼女達の歩調に合わせてゆっくりと歩きだす
なぜって? 彼女の後ろ姿をずっと見ていたいから
楽しそうにお喋りしながら歩く二人
笑い声と共に傘が揺れるたび、彼女の笑顔が隙間から覗く
何度か話したことはあるけど、俺には見せたことのない笑顔
けど、見てるだけでいい…… その時の俺は、本気でそう思ってたんだ
55名無し募集中。。。:2008/07/09(水) 01:20:50.85 O
やがて小さな四つ角にさしかかると、清水が
「じゃあね~ちぃ バイバーイ!」
と手を振って細い路地を曲がっていく
千奈美ちゃんも、バイバーイ!とひとしきり手を振って、
前を向いて歩きだそうとした……
と、その時、クルッと後ろを振り返って俺の方を向くと、
はにかんだようにこう言ったんだ
「……傘、入っていきます?」

それから先のことは、残念ながらほとんど覚えてないんだ
とにかく会話が途切れないように、学校の先生の話や、
くだらない冗談ばかり言ってたような気がする
彼女はよく笑って、よく話を聞いてくれた
楽しい時間はあっという間
気づくと、もうすぐ先に俺が曲がる路地が見える
このままサヨナラしたくない……
そう思うと、自分でも信じられない言葉が口から溢れ出ていた
「……目、すごくキレイだね」
「えっ?」
彼女はちょっと驚いたような顔で振り向いた
「そうかな? あたし、自分の目あんまり好きじゃなくて……」
「そんなことないよ!」
思わず声が上ずってしまったのを覚えてる
「……そうかな?」
「うん 俺、キミの目、好き」
彼女は少し俯くと、まるでひまわりのような笑顔で
「ありがとっ」
って、俺に笑いかけてくれた

最近、彼女は俺にこう言ったんだ
あの日、雨が降らなかったら、今こうして二人一緒に
いなかったかもしれないねって