タダ券をいただいたので、カンヌ映画祭で松本人志の『大日本人』を観てきた。
昨晩の初回の上映は、あまり人が入っていなかったが、今日の2時の回は満員。日本人監督への期待の高さが伺える。
結論から言うと、非常に残念な感じの映画だった。新人監督のスタンディングオベーションはお約束なのだが、何人か仕込みらしい人が必死で煽るものの、なにかちょっと困ったようなそこそこの拍手だけで終わった。
どういうことかというと、笑えるポイントはたくさんあるのだが、映画としての完成度が低すぎるのと、テンポが悪い。日常生活を延々と流す系の映像なんかは、わりとフランスで人気があるのだが、それは映像美があって初めて評価される。
さらに、最後の10分くらいは明らかに手を抜いていて、収拾がつかなくてファーラウェイな終わり方をする学生演劇のような印象だ。これは、プロフェッショナルの作品ではない。
あまり松本人志のドラマは見たことがないのだが、10年くらい前に観たビデオ「頭頭(とうず)」の暗さに似ている。あれが松本人志にみんなが求める物だろうか。チャップリン化というか、自分の笑いに傲慢になりすぎて、客を見なくなってはいないか?
「客の期待には必ず応えなければならない。ただし、それは客の期待しない方法で」 (by デーモン小暮)
大衆迎合した笑いも見たくはないが、なにかその辺の心意気がなさ過ぎる。なにより、完成度の低さは、この映画を「日本人監督の作品」として観に来た多くの観客の期待を裏切ったと言える。
誰が審査を通したか知らんが、少なくともカンヌで上映されるべき映画ではなかった。
あと、映画が呼ばれてもいないのにカンヌをうろついて
http://blog.livedoor.jp/booboowambo/archives/50952068.html