もしも新垣と亀井がちょっとHな幼なじみだったら24

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1名無し募集中。。。
前スレ
もしも新垣と亀井がちょっとHな幼なじみだったら23
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2名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 10:04:30.46 0
ありゃ前スレ落ちたのか(´・ω・`)
>>1スレ立て乙乙〜
3名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 11:04:32.20 0
>>1
乙!!
4名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 12:42:19.49 0
新スレ乙
5名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 13:09:32.01 0
前スレの小説カキコどこまであった?
6名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 16:36:44.21 0
ho
7FLA1Aab001.okn.mesh.ad.jp:2007/01/26(金) 17:28:37.60 0
8名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 18:17:01.54 O
前スレで投下された?
ここ二日くらい小説見れてないんだが・・
9名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 18:56:39.33 0
携帯には見えなくなったって書いてなかったっけ
10携帯21:2007/01/26(金) 19:54:18.73 O
>>1
乙です

前スレでは48-56 で一気に更新しました。

その後落ちたようです。
毎回更新した後は手元のを消去してるので携帯21も改めて書き込むのは無理です。

まぁさ女将と板長のくだりが終わったところです。

新しい編にいこうと思うんですが、今夜もうちょっと遅くなってから更新してもいいでしょうか?
11名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 20:15:39.22 0
うんどうでもいいよ 好きにして
12350259000112365:2007/01/26(金) 20:53:31.07 O
ノノ*^ー^)<
13名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:21:33.24 O
>>1


>>10
保全ちゃんと出来てなくてすいません_| ̄|○


誰か前スレのラスト投下のコピペをよろしく
14名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:30:46.98 0
どこからどこまでコピペしたら宜しいか?
15名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:32:00.17 0
48 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:15:09.14 O
>>37
あっ!!
でも…。
世界中の時間が止まるなんてことがホントにあるとしたら、多分この瞬間の女将と板長じゃないだろうか。
見つめ合ったままピクリとも動かない2人。
「どげんしたと?」
「2人共ホントは好きなのに…言い出せないから絵里がキューピットになってんの!」
「へぇ〜付き合えばよかとに!女将さんどげんね?」
「おいおい田中!」
「お似合いだと思うよ!」
「ちょっと〆〆さんまで…」
「付き合っちゃいなよぉ〜!!」
あぁ〜絵里はもう!!
ん!
微かにまぁさ女将が動いた。
「女将さんも絶対板長のこと好きなのにさぁ〜!」
絵里が促すように田中に言った。
すると固まっていた女将の顔に少しずつ血の気が戻ってきた。
「ワタシ…まだあの人のことが忘れられないんです…」
そう言うと歯を食い縛りながら女将は一点を見つめたまままた動かなくなってしまった。
「分かってます…」
正座してる膝の上で拳を握りしめた板長。
板長もまた女将と向き合ったまま固まってしまった。
あぁ、俺達はこのままなにも出来ないで終わってしまうんだろうか。
この2人は永遠に結ばれることなく終わってしまうんだろうか。
16名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:32:37.40 0
49 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:18:42.54 O
「板長ファイト〜!!」
なんて場違いな声援だろう。
絵里がこの上ない笑みで手を振った。
んん!
分からないもんだなぁ。
今の絵里の声援で板長の緊張がいい具合にほぐれたんだろう。
絵里に頷いた板長は自分に言い聞かせるようにまた頷くと真っ直ぐにまぁさ女将を見つめた。
「女将さん!自分は女将さんの最愛の人を失わせた張本人の息子です!そんな人間が言うのもおかしいかもしれませんが…女将さん!自分は…女将さんのことが…ず〜っと好きでしたぁ〜っ!!」
板長が言った。
遂に言った。
凄い!
カッコいい!!
男の告白とはこういうものかもしれない。
心底俺はそう思った。
絵里と田中なんてまるで自分に告白されてるみたいにとろけた顔になってる。
でも板長の告白は凄いことだと思うけどまだ女将はなにも言ってない。
女将に断られたらなにもかもがダメになってしまう。
17名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:34:37.66 0


50 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:22:56.52 O
「ちょっとアンタ!さっきから黙って聞いてりゃすました顔してさぁ!男の一世一代の告白を無視する気ぃ〜!?」
いきなり飛び込んできたのは俺達の隣で朝食を食べていたもう1組のカップルの女の人だった。
「女将!アンタになにがあったのかは知らないけれどさぁ、ちゃんと返事をするのが女の筋じゃないのかい!!」
もの凄い眼力だ。
あれ?
この人どっかで見たような…?
「はい…」
まぁさ女将が改めて板長の顔を見た。
「だったらちゃんと返事しな!!」
まぁさ女将は遠い目をして黙って頷いた。
「あの日ワタシはあの人と娘を追って…死のうと思いました…」
そう言うと女将は深々と息を吐いてゆっくりと目を閉じた。
「でもワタシには出来ませんでした…」
「なにがあったと?」
囁くように俺に聞いてくる田中。
「ちょっと待てって、後で詳しく話すから…」
「今教えてくれてもよかろう?」
「袖を引っ張るなよ田中…あぁもう分かったよ!」
俺が話してると近くに座っていた眼力奥さんも身を乗り出してきて俺の話に耳を傾けた。
18名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:35:33.86 0
51 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:29:20.83 O
「つまりは……ということがあったみたいなんですよ」
「す、凄いわね確かに…」
「ひぉ〜っ!板長頑張れぇ〜!れいながついとるけん!!」
1周遅れの田中の声援に苦笑いの板長。
「デカい声出すなよ田中!あっ…すいません…続けて下さい」
田中のヤツがこんなに空気の読めないヤツだったとは…。
ホントに空気を読むって難しい。
こんなんで結婚するんだもんなぁ。
それもまた凄い話だ。
「コホン…ワタシが死ねば…この旅館も今までのワタシ達の思い出もなにもかも全てがなくなりそうで…あまりにも偲びなくて…」
「お、女将さん…」
「台風が来る度に…ワタシは荒れ狂うこの海に…いっそ身を投げればどんなにか楽だろうと…何度思ったか分かりません…」
涙をいっぱい溜めたまぁさ女将。
う、美しい。
「知ってます…知ってましたけど…自分は…自分はそんな女将になにもして差し上げることが出来ませんでした…」
「そんなことはありません…板長がいなかったら…」
「えっ?」
板長の顔がまぁさ女将を見た。
「今、板長がいなかったら…って言ったよね?」
「今、板長がいなかったら…って言った…」
「おい!絵里!田中!シ〜ッ!」
なんでこんなタイミングで茶化すようなこと言うかなぁ〜。
19名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:37:55.19 0
52 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:31:21.19 O
「女将さん…」
「ワタシは悪い女です…板長の気持ちは薄々ですが気付いていました…でも…」
「でも?」
「絵里は黙ってろって!」
「でも…主人や娘のことが忘れられないし…板長にはこんなワタシよりももっとステキな女性が似合うと思いますから…」
「女将さん…そんな!」
「アンタはバカだ!!」
うわぁ〜凄いこと言うなぁ〜!!
また出てきたよ眼力奥さん。
「アンタの幸せが亡くなったご主人や娘さんの幸せじゃないのかい!?それにねぇ…女は男に愛されてなんぼなんだよ!!分かったぁ〜!?」
強烈だなこの人!
でも良いこと言うなぁ。
「分かるぅ」
手を合わせた絵里と田中があらぬ方向を見てうっとりしている。
「そうですよ女将さん!まだ高校生の俺が言うのもおかしいですけど、この人の言う通りだと思いますよ!!女将さんが幸せにならなきゃ誰が幸せになるっていうんですか!!」
拙いけれど俺の今の気持ちを精一杯ぶつけた。
すると…。
20名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:38:32.42 0
53 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:34:24.48 O
バン!!
板長の拳が畳に振り下ろされた。
「女将さん…自分は女将さん以外の女は考えられません!!亡くなった旦那様やまいはお嬢様のことも全部ひっくるめて…自分は…女将さんと一緒になりたいんです!!女将さん!女将さ〜ん!!!」
板長の絶叫はこの須藤旅館を揺るがすほどだった。
その瞬間まぁさ女将の頬に一筋の涙がこぼれた。
あぁ〜やっぱ美しい。
「こんなワタシで…いいんですか…?」
「そんなワタシがいいのにねぇ?」
「絵里!」
「はい!!女将さん!勿論です!!」
「ありがとう…板長…」
とめどなく溢れる涙もそのままに濡れた瞳がしっかりと板長を見ていた。
「こんなワタシですけど…ヨロシクお願いします…」
三指をついて深々と頭を下げたまぁさ女将の姿はあまりにも美し過ぎた。
凄い!凄い!凄い!凄〜い!!
俺達は凄い場面に今立ち会っている。
「やったぁ〜板長!!」
絵里が板長に飛び込んだ。
板長は絵里を背負ったままうち震えていた。
「よかったやなぁ〜い!!」
田中も涙ぐんでいる。
そんな田中の肩を〆〆さんが抱き寄せた。
眼力奥さんはニコッと笑うと迫力満点の旦那さんらしき人にもたれかかった。
21名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:39:09.35 0
54 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:37:06.27 O
「絵里!!女将さんより先に板長に抱きついちゃダメだろ!!」
「あっ、そうか!ごめんなさい女将さん!」
まぁさ女将の赤くて厚い唇が笑った。
女将さんに擦り寄った板長は女将さんの手を握ると柔らかそうなまぁるいまぁさ女将の体をそっと抱き寄せた。
いいなぁ〜板長…。
「ヒュ〜ヒュ〜!!おめでとう女将さん&板長!!」
絵里が飛び上がって喜んでいる。
俺もつられて絵里と一緒に飛んだ飛んだ。
「おめでとうございますまぁさ女将!!よかったですね板長!!」
2人はニッコリと微笑むと慈しむように見つめ合った。
「ありがとう…ありがとう…」
着物の袂で涙を拭きつつしゃくり上げるまぁさ女将。
そんな女将の肩を優しく抱き寄せる板長。
「いいな板長〜!そんな綺麗な女将さんと…」
そう言ったのは伏兵眼力奥さんの小太りな旦那さんだった。
「じゃあアンタもこの海に沈めてやろうか!!」
笑うに笑えないやり取り。
でも女将さんが笑ってるからまぁいいとしよう。
それから女将さんと板長の気持ちということで鯛や平目のなんたらかんたらじゃないけれど龍宮城のお話みたいに凄いご馳走が振る舞われた。
22名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:39:50.56 0
55 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:39:35.12 O
眼力奥さんと俺が勝手に呼んでいた人はやっぱり俺達が初日に訪れた神社で熱い中結婚式を挙げていたお嫁さんだった。
聞けばその奥さんはアヤさんといって服飾関係をやりたいらしく歌手を辞めたばかりで、旦那のシンヤさんは驚くべきことに本当にドラマーだった。
そしてこのアヤさんも只今妊娠中だとか。
凄い。
3組中2組がもうすぐパパやママなんて。
今頃になって俺は一昨日の夜に初めて絵里と結ばれた時なにも付けずにおもいっきり中に出したことを思い出した。
その後も立て続けに中に出しちゃったし…ハハ…まさか…ね。
びっくりしたのはまぁさ女将が手ぬぐいを被ってこの地に古くから伝わるどじょう掬いの民謡を唄って踊ってくれたことだった。
もしかするとホントはこんな風に明るくて楽しい人なのかもしれない。
板長もまぁさ女将に寄り添うように踊り出した。
そんな2人に合わせてプロのドラマーのシンヤさんが箸で小鉢や皿を叩いて盛り上げて宴は止まらなくなった。
23名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:43:24.36 0

56 名前:携帯21 投稿日:2007/01/25(木) 22:46:46.22 O
夢のようだった。
昔話みたいに目が覚めたら俺も絵里も頭が真っ白なおじいちゃんおばあちゃんになってなきゃいいけど。
それにしても絵里…。
俺は改めて絵里のことを考えていた。
あの空気の中絵里が言い出さなかったら女将さんも板長もこんな風になってたかどうか…。
凄い!
凄いよ絵里!!
考えてるのか考えてないのか分からないところもあるけれど、その瞬間に絵里が動いたから幸せの縁が結ばれたんだもんな。
縁結びの神様ってもしかして絵里なのか?
まさかね…。
でも絵里!
お前と一緒にここに来れてホントに良かったと思ってる。
ありがとう絵里。
大好きだよ…絵里。
時計は11時を回っていた。
そろそろ帰る支度をしないと。
俺達の旅はもうすぐ終わりを迎えようとしていた。

【GET HAPPY編】

〈完〉
24名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 21:44:36.13 0
前スレ48-56は>>15-23
2513:2007/01/26(金) 21:50:33.01 O
>>24
おぉ!仕事早いね〜

これ読んでなかったわ
ありがとさん
26名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 22:34:50.10 O
全力で保全
27名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 23:23:08.99 0
おつ保全
28名無し募集中。。。:2007/01/26(金) 23:23:17.00 0
保全でっせ!
29名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 00:10:34.88 0
携帯21氏支援保全
30名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 01:11:41.98 O
保全
31携帯21:2007/01/27(土) 01:30:51.31 O
>>23
「本当になにからなにまでありがとうございました!!また来て下さいね!心よりお待ちしてますから!!」
まぁさ女将と板長が深々と頭を下げた。
「えっ?支払いは?」
「あちらの方からもう…」
田中の旦那になる〆〆さんが手を振っていた。
「困りますよそれは!」
「気にせんでよかけん!れいなは赤ちゃん出来たこと最初に〆〆さんと絵里達に報告出来たことが嬉しいけん!」
「ホントに良いんですか〆〆さん?」
「気にしないでイイよ、それよりまたあっちで会おう!」
「は、はぁ…」
「これからもれいなちゃん共々よろしくね!」
妖しげなとこに出入りしたり同棲したり田中を妊娠させてたりと順番なんてあってないような無茶苦茶な人だけど、話してみれば割合気さくなあんちゃんって感じの〆〆氏。
あんなに堅い板長と同い年なんてちょっと信じられないんだけれど。
32携帯21:2007/01/27(土) 01:33:42.38 O
「それじゃあすいません、お言葉に甘えさせてもらいます」
俺と絵里は〆〆さんに頭を下げた。
「ありがとうございました女将さん!板長と幸せになって下さい!!」
まぁさ女将は最後まで色っぽさを保ったまま優しく微笑んでくれた。
「お2人も!」
「えっ!」
まぁさ女将の切り返しに一瞬なにを言っていいのか分からなくなってしまった。
「縁結びの神様が見てらっしゃいますから!」
女将の言葉に絵里が俺の手を握った。
「頑張ります!」
まぁさ女将の笑顔は全てを包み込むようにいつまでも優しかった。
「それじゃあ」
名残惜しい気持ちありありで俺達は歩き出した。
「さようなら〜!まぁさ女将!!板長〜!!お元気でぇ〜!!!」
俺と絵里は半泣きで手を振り続けた。
「ありがとう!また来てねぇ〜!!」
いつまでも手を振り続けてるまぁさ女将の肩を抱き寄せた板長。
そんな板長もずっとずっと手を振ってくれた。
涙が出そうになるのをこらえながら歩いているといつの間にか須藤旅館は見えなくなっていた。
33携帯21:2007/01/27(土) 01:36:05.08 O
「悪いな田中…」
「よかけんよかけん」
田中は駅まで送ってくれるらしい。
サンダルを引きずりながら歩いてる田中はいつになく嬉しそうだった。
別にこれといって仲の良いわけではないのに知らないとこに来て偶然会えたら俺だって嬉しい。
仲の良い絵里なら尚更だろう。
「れいな達はいつまでいるの?」
「あと2日」
「ふ〜ん…でもまさかれいながあの人と結婚することになるとはねぇ〜!おめでとうれいな!!」
「おめでとう田中!!」
「うん!」
普段学校ではあまり見掛けなかったはしゃいだ笑顔の田中。
そもそも田中っておもいっきり笑ってるようでもなぜかいつもはにかんでるように見える。
照れ屋だってことは知ってたけれど…凄いよなぁ。
そんな田中がもう妊娠してんだもん。
ある意味田中らしいという気もするけれど、俺なんてやっぱりまだ信じられない。
「絵里もよかったやない!ずっと好きやったんやろ?Sのこと…」
「うん」
遠くに見える水平線の上に見たこともないような大きな入道雲がモクモクと湧き立っていた。
34携帯21:2007/01/27(土) 01:40:29.01 O
「れいな…」
「ん?」
「本当に学校やめちゃうの?」
「うん」
みるみるうちに大きくなっていく入道雲。
「元々勉強は好きやないけん!それに…」
「それに?」
「れいながおらんでも別に変わることもなかろうし…」
田中も入道雲を見ていた。
「なにひねくれたようなこと言ってんだよ」
「れいながいなくなったら絵里スッゴく悲しいよ!」
自分で言っておいて自分で笑ってる田中。
まるで誰かにかまって欲しい猫のようにじゃれつきたい相手を探してたみたいだ。
「ヒヒヒ…ありがと」
田中がやっぱり田中らしく顔をひきつらせてニッと笑った。
「でもそう言ってくれるのは絵里と新垣さんと…サユくらいなもんやし…元々れいなには友達おらんけん」
「そんなぁ…」
今頃になって田中がはいてるのが〆〆さんのサンダルだってことに気付いた。
田中は雲を見たままそれを引きずって歩いていた。
「いいのいいのホントやけん…」
相変わらず田中は俺達を見ようとしない。
「でも…」
「でも?」
「結婚式には来て欲しいと」
ようやくこっちを向いてくれた田中の目にはいつの間にか涙がいっぱい溜まっていた。
35携帯21:2007/01/27(土) 01:43:56.79 O
「当たり前でしょ!!」
「ホントに?」
「勿論!」
「ありがとう絵里!!」
田中が絵里に抱きついた。
「絵里…」
「なに?」
「お願いがあるんやけど…」
「んん?」
田中はじっと絵里の顔を見て懇願するような瞳でゆっくりと口を開いた。
「早く…早くサユを救ってやってくれんね…」
俺には確かにそう聞こえた。
力強く頷く絵里。
「よかったぁ」
田中の顔に安堵が広がった。
救う?
サユミちゃんを?
仲直りじゃなくて?
俺にはさっぱり分からなかった。
「アンタは結婚式来てくれると?」
不意に俺を見る田中。
「俺?俺も行ってもいいのか?」
「来てくれんね」
「うん、分かった、絶対行くよ!」
あの入道雲がもっともっと大きくなって雷と共にこの辺りに大雨を降らせる頃には俺と絵里はもうここにはいないだろう。
田中は雨を見たらあの入道雲が降らせたって分かるだろうけど俺達には分からない。
36携帯21:2007/01/27(土) 01:48:06.83 O
「れいなは幸せもんやねぇ〜」
しみじみと目を細めた田中は俺と絵里の手を持って無理矢理握らせた。
「絵里とSが手を握っとぉとこが見たかったと!」
なんだかよく分からないけれど凄く田中は嬉しそうだった。
「似合っとぉ〜よ!」
そう言った田中は立ち止まって俺達を見てまた笑った。
足の大きさに比べてあまりにも大きなサンダルがなぜだろう…。
凄く似合っていた。
「れいなは〆〆さんと手を繋いだりしないの?」
「せん」
「すればいいのに」
「れいな、乙女やけん…」
乙女…。
田中が?
やっぱり田中ははにかんで笑った。
いつかプラットフォームに立っていた田中のあとを追った絵里と新垣。
今、俺と絵里はそんな田中にプラットフォームの見える駅構内まで見送られていた。
37携帯21:2007/01/27(土) 01:55:05.56 O
「じゃあお先に帰るね」
「うん、またあっちで」
田中に手を振った絵里が歩き出した。
「S!」
俺も絵里と一緒に改札口を抜けようとしたら急に田中に呼び止められた。
ほとんど話したことないのに俺だけ呼ぶなんてなんだろう。
「ん?なんだよ田中?」
田中が神妙な面持ちで俺を見ていた。
「本気で絵里と付き合っとぉと?」
「なんだよいきなり」
「いいから」
「当たり前だろ!」
すると田中は少し考えた後、小さな声で囁いた。
「幼なじみのことはもういいと?」
強い目の田中が俺を見ていた。
「な、なに言ってんだよ田中!」
なにも言わない田中が凄く怖かった。
「本気で好きなら…絵里を大事にしてあげてくれんね!!そうじゃなかったら…」
田中はそれ以上なにも言わなかった。
「なにしてるのぉ〜?」
絵里の大きな声がした。
「今行く〜!」
俺は絵里に手を振った。
「じゃあな田中!」
田中は俺にではなく絵里に手を振った。
俺は走り出した。
なんだろうこの気持ち。
俺は絵里に追いつくとなにも言わずにまたギュッと絵里の手を握りしめた。

(続く)
38携帯21:2007/01/27(土) 01:57:07.27 O
みなさん

ありがとうございます
39名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 02:11:42.06 0
いえいえ
更新おつかれさまです
40名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 02:23:15.98 0
おつおつ〜
41名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 03:43:23.62 0
全力保
42名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 07:49:53.07 0
いいねぇ〜
43名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 08:52:30.09 0
44携帯21:2007/01/27(土) 09:46:07.66 O
>>37
階段を上り切ると大きなサンダルをはいた田中はもう見えなくなっていた。
田中が見えなくなったと同時に田中はどうやって〆〆さんと出会ったのか、絵里と新垣に尾行されてた時どこに行こうとしてたのか聞くの忘れたことに気付いた。
まぁいいや。
どうせ大したことでもないだろうし。
プラットフォームから俺は改めて2泊3日お世話になった海を眺めた。
今日も沢山の人が泳いでる。
入道雲が更に大きくなって怖いくらい真っ黒くなっていた。
こりゃいいタイミングで帰れそうだぞ。
そう思った時にちょうどいい具合に電車がやってきた。
ゆっくりと電車は止まると一昨日の俺達みたいな観光客がいっぱい降りてきた。
この人達にもいろんな物語があるんだろうなぁと思って見つめていると、その中の1人、背が俺くらいありそうな綺麗な女の子がすれ違い様に歌っていた知らない歌のフレーズが俺に突き刺さった。
45携帯21:2007/01/27(土) 09:48:04.92 O
“チョイス ノンノン♪”
振り返ると彼女のTシャツの背中にプリントされたハチミツの壺を持ったくまのプーさんが笑っていた。
階段を下りていく女の子。
少しずつ少しずつくまのプーさんが消えていった。
迷っちゃダメだめなのだ!!
まるでプーさんの姿を借りた新垣に言われてる気がした。
きっかけなんて分からない。
全く見ず知らずの女の子に俺は教えてもらった気がした。
田中…。
俺はやっぱりカメだけ!!
もう迷わないからぁ〜!!
ちょっと新垣をマネて決意表明。
全然似てないけど。
席について窓を開けると涼しげな浜風が吹いてきた。
「その電車待ってぇ〜!」
ずんぐりむっくりの影が揺れた。
あっ!
「ハァ〜間に合ったべさぁ〜」
ドスンと俺と絵里の向かいに腰を下ろしたその人は…。
46携帯21:2007/01/27(土) 09:49:40.48 O
「安倍さん!!」
絵里が先に手を振った。
安倍さんだよ安倍さんだよぉ〜!!
ふと昨夜の安倍さんのいやらしい会話が思い出された。
「おぉ!カメちゃんとSじゃねぇべか!まだいたの?」
折角の2泊3日の旅行というわけでバンガローと旅館に分けて泊まった旨を絵里が安倍さんに説明した。
「まぁさ女将元気にしてた?」
「はい!!」
空気も読めずについ大きな声を出してしまった。
「男ってどうしてああいうタイプが好きなのかねぇ〜?」
安倍さんと絵里が手で口を隠しながら耳打ちしている。
聞こえてる。
聞こえてますって。
でも系列でいったらまぁさ女将も安倍さんや絵里に連なると思うんだが…特に体は。
「まぁ確かにまぁさ女将って可愛いし綺麗だけどね…まさか手出したんじゃないのぉ〜?」
「出してません!出してません!出すわけないじゃないですか!!」
「なら良かったべ…」
そう言った安倍さんはとても意味深な顔をしてまた笑った。
「まぁさ女将…前にいろいろあったみたいだからねぇ…」
「えっ!知ってるんですか安倍さん?」
「アンタ達も聞いた?」
そして俺達は昨日板長から聞いた話と今朝の2人のことを安倍さんに告げた。
47携帯21:2007/01/27(土) 09:51:45.01 O
「良かったねぇ〜まぁさ女将!!安倍さん泣きそうだよぉ〜!!」
元々涙脆いのかもしれない。
安倍さんは鞄からハンカチを出して目元を拭った。
「まぁさ女将は幸せにならなきゃいけないんだよぉ〜!!」
半ベソの安倍さんが顔をクシャクシャにした。
好い人だなぁ安倍さんって!
俺達の海がどんどん遠くなっていく。
いろんなことがあったしいろんな人に出会えた。
思い出すだけでも…いやらしいことばっかりだった。
「それじゃあ写真楽しみにしてるべさ!元気でねぇ〜!」
稀代のスマイリー安倍さんは手を振って俺達を見送ってくれた。
みるみるうちに小さくなっていく安倍さんがいつまでも手を振ってくれた。
まぁさ女将と旅の話ばかりで安倍さんのことを聞くの忘れた。
彼氏のこととか今までの人生とかいろいろ聞いてみたかったのに。
考えてみれば謎多き女性だった。
昨夜の風車の下でのことにしたって…。
あれは凄かった。
漫才みたいな安倍さんのエッチ。
もっと間近で見れたらよかったのに…。
あの豊満バディーがゆっさゆっさ揺れる様を触れるくらいの距離で。
しまったなぁ〜。
こればっかりは仕方ない。
48携帯21:2007/01/27(土) 09:52:50.35 O
さてと。
□□市駅でお土産を買う。
まだそんなにお腹は減ってなかったけれど最初に来たおソバ屋さんにまた寄ることにした。
「どげねしたか?」
「いやぁ〜最高でしたよ」
「そうなら良かったわ」
「いろんな出会いがありました!」
「そげですか…神さんが見とらいたんだわ」
なんで田舎のおばあちゃんってこんなに温かいんだろう。
神様は見ててくれたんだ。
いい旅夢気分。
幸せを見つけた2泊3日だった。
注文したソバを絵里はやっぱりあっという間に平らげた。
ソバガキのおしるこを追加して満ち足りた顔の絵里が笑った。
「だんだん…だんだん…」
「段々…どうした?」
笑って答えない絵里。
支払いを済ませておばあちゃんにお礼を言うとおばあちゃんは「だんだん」と言って手を振ってくれた。
んん?
「行こっ!」
絵里がおばあちゃんに手を振って俺達は店を出た。
「なんだよ今の?」
「この辺りでは“ありがとう”を“だんだん”って言うんだって!絵里、調べてた時知ったんだぁ〜」
「へぇ〜」
なんとなく良い気分。
49携帯21:2007/01/27(土) 09:56:48.56 O
飛行機は細長い滑走路を加速して湖の手前で飛び立った。
「S〜!ガキさ〜ん!助けてぇ〜!」
やっぱり絵里がしがみついてきた。
俺はそんなに怖くなかったけれど。
水面はすぐに小さくなってあっという間に雲の上。
神様のいる街。
幸せは雲の上、雲の下。
雲出(いずる)地に…だんだん…だんだん。
俺達のひと夏の思い出旅行はこれにておしまい。
一昨日までとは違う絵里と俺がいた。

【THANKS FOR THE MEMORY編】

〈完〉
50名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 10:45:12.70 O
乙〜

新章も楽しみにしてます!!
51名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 10:49:50.14 0
おつおつ〜
52名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 11:16:17.90 O
出雲に来てたのか〜地元だからうれしいわ
53名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 12:16:38.47 0
イイヨイイヨー
54名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 13:35:15.17 0
h
55名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 15:07:08.20 0
保全ですよ?
56名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 17:23:54.55 O
57名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 18:49:05.98 O
また落ちるぞ
58名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 19:35:58.51 O
59名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 20:12:02.63 0
 
60名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 21:16:41.91 0
h
61名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 23:05:25.10 O
62名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 23:48:05.77 0
携帯21氏おつ〜
横アリ帰りだから落ち着いたらじっくり読ませてもらうよ
63名無し募集中。。。:2007/01/27(土) 23:51:30.19 0
怪我は大丈夫なのか?
64名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 00:52:01.78 0
65名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 01:29:42.63 0
オレが落ちたわけじゃないからw
66名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 02:08:48.46 O
なんかワクテカな展開になってきたなw
Sよ是非ガキさんと重さん、なんなられいなとまでも浮気しちゃえ
67名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 05:51:06.65 0
保全
68携帯21:2007/01/28(日) 09:41:25.13 O
>>49
ひと夏の思い出旅行から帰ってきて数日経ったある日の午後、俺は自宅で絵里を待っていた。
というのも以前話していた同じクラスでこの前まで一緒に甲子園目指してた友人Tに絵里の後輩の桃子ちゃんを紹介することになったからだ。
しかしその桃子ちゃんって娘も変わってるよな。
よりによってTを好きになるなんて。
他にいい男なんていっぱいいるのになんだってTなんて…。
絵里の近所に住んでるって言ってたな。
可愛い娘だったら腹立つよなぁ。
絶対Tになにか奢らせてやる。
「こんにちはぁ〜」
おっ、来た来た!
玄関に出ると小柄な女の子がポツンとひとり立っていた。
なかなか可愛い!
「も、桃子ちゃん?」
「違います」
じゃあ誰だ?
その娘は今にも泣きそうな顔を無理矢理笑ってみせて「リーちゃんいますか?」と言った。
なんだ梨沙子の友達か…。
「あ、ちょっと待ってね!梨沙子〜!!友達来てるぞぉ〜!!」
「ハ〜イ!」
元気のいい梨沙子の声。
トントント〜ンと軽快に階段を下りてきた梨沙子は顔をほころばせながらその娘に手を振った。
69携帯21:2007/01/28(日) 09:43:18.35 O
「キャプテ〜ン!!」
キャ、キャプテン?
この娘が?
「キャプテンどうしたんですか突然?」
「ちょっと近くに用事があったから寄ってみただけ!最近練習ないからどうしてるかなぁ〜と思って!」
小さな体が梨沙子に手を振った。
「梨沙子!この娘がお前がよく言ってるバスケ部の?」
「うん、そうだよ」
「清水佐紀です!リーにはいつもお世話になってます!」
へぇ〜!
イメージとは正反対の小さな娘。
今にも泣きそうな顔は元々そういう顔だったみたいだ。
見掛けに寄らずちゃんと挨拶もするし確かにキャプテンと言われればキャプテンかもしれない。
「どうも、兄のSです!妹がいつもお世話になってるみたいで…」
「いえいえこちらこそ」
3つも年下の娘に恐縮してしまった。
しかしなんだろうこの緊張感。
どっかで味わった気がするけど…。
「キャプテン!上がって下さい!」
「うん、それじゃあお邪魔しま〜す」
そうやって梨沙子と佐紀ちゃんは梨沙子の部屋へと消えていった。
70携帯21:2007/01/28(日) 09:46:40.87 O
それにしても遅いなぁ絵里のヤツ。
Tもなにやってんだろう。
親のお土産でたまたま手に入った高級洋菓子店のケーキを揃えて待ってるっていうのに…。
そう思ってた矢先「こんにちは〜」と聞き慣れた声がした。
来た来た。
「上がってくれぇ〜」と言うと「は〜い」という絵里の声の後に「お邪魔しますぅ〜」とちょっと変わった声がした。
どんな娘だろう。
期待と不安は高まるばかり。
可愛いかったらTのヤツ、絶対許さねぇからな。
「入るよ!」
絵里の声。
「おう」
んんん…。
絵里の後ろでもじもじした小柄な女の子の姿が見えた。
プニプニして実に美味し…柔らかそうな白い二の腕が俺に手を振っていた。
「嗣永桃子ですぅ〜」
別にだからどうっていうほどのもんじゃないのに…なんで惹かれるんだろうこの平面的な顔。
すましたようなはにかんだような独特の笑み。
か、可愛いじゃねぇか!
桃子ちゃんは俺の部屋に入るなりいきなりガシガシと歩み寄ってきて俺の手を強く強く握りしめた。

(続く)
71名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 09:49:56.23 0
おつおつ〜
72名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 11:04:29.90 0
作者さんはけっこうベリに詳しいんだな
73名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 11:05:33.64 0
この章は桃子が軸か
携帯21氏おつ〜
74名無し募集中。。。:2007/01/28(日) 12:24:37.48 0
携帯21氏支援ほ
75名無し募集中。。。
保全