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「それほどでもない」
「それほどでもない」
さわやかな朝の挨拶が、どちらかといえば澄みきった青空にこだまする。
アルタナ様のお庭に集う乙女たちが、今日も聖属性の無垢な笑顔で、生半可な高さではない門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、黄金の鉄の塊。
スカートのプリーツは9本を超えないように、白いセーラーカラーからかもし出すエネルギー量がオーラとして見えるように、
はっきり言ってゆっくりと歩かないとPTスキル以前の問題。
もちろん、始業時間に遅れてしまいとんずらを使って普通ならまだ付かない時間できょうきょ登校するといった、恥知らずな生徒など存在していようはずもない。
私立ブロント女学園。
天晶三十四年創立のこの学園は、もとは貴族の令嬢のためにつくられたという、
伝統あるグラットン系お嬢さま学校である。
サンドリア城下。ロンフォールの面影を未だに残している緑の多いこの地区で、神に見守られ、
幼稚舎から大学までの一貫教育が受けられる乙女の園。
時代は移り変わり、元号が天晶から三回も改まった平成の今日でさえ、
十八年通い続ければ温室育ちの純粋培養ナイトが箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な学園である。
これは実に良いでしょう?