放課後　ガキさん 　通り雨　３

俺が保全した1時間後に落ちてたんで迷惑かも知れんけど立てた
作者様降臨まってます


放課後　ガキさん 　通り雨2
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1153303015/
放課後　ガキさん　通り雨
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1152804107/

おつー
一時間とは厳しい

あげ

>>1
乙
おれも待ってるよー

１時間で落ちるのはキツイな。。。
作者に本気で『飼育』を勧めてみたい

うー

ほ

ちょっと目を離したすきに落ちてた
毎度スレ立て乙です〜

ほ

前スレの最後の方貼っとく

64 ：名無し募集中。。。：2006/07/20(木) 00:54:11.04 0
前回の続きです

ひさしぶりに亀井と会うことを考えると落ち着かず、ほとんど眠れなかった
特に何かを期待したり、あるいは何かを心配しているというのではない
別れてからの僕たちはお互いに極力顔を合わせないよう努めていたと思う
そういったある種のルールのようなものが突然無くなるというのは
真っ暗な部屋のベッドで横になる僕に、フライパンの上で踊るポップコーンの様を想像させ
僕はいっそう眠れなくなるのだった
運が良ければフライパンの上に留まることができるし
運が悪ければはじけ飛んで地に落ちてしまう
そこには僅かしか差は無いはずなのに
ほんのちょっとしたことでどちらにでも転びそうな不安定さ
あの頃の僕はきっとそういったものに敏感になりすぎていたのだと思う

僕はトンネルの下を走っていた
なかなか寝付けなかったことが祟って案の定遅刻していたのだ
学校前の坂を息を切らして駆け上がり
校門に急いで駆け込み、プールの裏の狭い近道をダッシュで走りぬけた
そして図書館に続く渡り廊下のところで立ち止まって息を整えていた
（めっちゃ頑張って走ってきました）
みたいになるのは年頃としてあってはならないことなのだ
あくまでもクールに
（遅刻したけど何か？）
が正しいやり方なんだと滑稽にも思っていた

息を整えながらシャツのボタンを上から２つ目まではずして
恰好をつけて少しだらしない感じにした
髪もいくらかぼさぼさにしてナチュラル感を漂わせた
自分なりの「正しいやり方」をきめこんで図書室に入ろうとする僕の肩を
誰かが軽く２回ポンポンと叩いた

65 ：名無し募集中。。。：2006/07/20(木) 01:02:07.33 0
「新垣！」
振り向いたそこには新垣が
小さな手に大きなジュース缶を３本持って立っていた
「やっぱりきみか〜、きみ〜、すごい勢いで走ってたね〜」
新垣はにやにやしながら僕を見上げてそう言った

夏休みに入りもはや会うチャンスはないと思っていた
無理に勉強をすることで心の深く深く光の届かないところへ追いやってしまっていた
しかし僕は新垣に会うことができた
頭が真っ白になりしばらく黙って新垣を見つめてしまった
お腹の少し上のあたりから胸にかけて甘酸っぱい思いが湧き上がり
そのまま手先の方までむず痒い感じが浸透した
こんなときの気持ちを簡潔に描写するのは僕でなくたって無理だと思う
要はとにかくはじけそうになるほど嬉しかったということだ

新垣を見つめたまま無言で固まってしまった僕を
新垣も首をかしげて黙って見上げていた
やがて僕の口からやっと搾り出された言葉は
まったく自分自身をもうんざりさせるようなものだった
「あれだ、あの、友達が待ってるんだ、図書館で。遅刻しちゃって急いでてさ、もう行くわ」
「そうなんだー」
心臓がバクバクいっているのを悟られまいと
急いでその場を立ち去ろうとした僕はまったく成長していなかった

66 ：名無し募集中。。。：2006/07/20(木) 01:06:21.86 0

逃げるようにして図書館に入り、緊張を紛らわすために
（いきなりは無理でしょー、いきなりはー）
と自分でも聞こえるか聞こえないかくらいの声で何度も呟きながら
あたりを見回して亀井を探した
しかし黒髪でロングの女の子なんて１人もいやしなかった
おそらく一般の学校に比べてかなり広いであろう図書館を
もう１度落ち着かないながらもなるべくじっくり見回したが
やはり亀井は見当たらなかった
やや途方に暮れてとりあえず近くの席に座ってしまおうとした時、背後から
「カメならあそこだよ」
という声がした
「でた新垣！」
「でたってのは何よ、でたってのは。君ねぇ、ちょっと失礼でしょ〜」
新垣は右腕にジュースを３本抱え左手で僕の腕をグイグイ引っ張り
「こっちこっち」
と僕を図書館の奥の方の光が心地よく差し込む一角へと連れて行った
そこには以前の黒髪でストレートロングの亀井じゃなく
少し栗色がかったショートカットの亀井が木漏れ日を一身に受けてちょこんと座っていた
そして僕は去年よくこの場所で放課後亀井に英語を教えていたことを思い出した
僕はそんな大切な２人の時間を忘れてしまっていたことに少し寂しさを感じた
新垣に腕を引っ張られたことで新垣と触れ合った嬉しさとドキドキ感と
なんだか亀井に申し訳ないという気持ちとがごちゃまぜになり
僕はかえって少し落ち着きを取り戻していた

図書館のクーラーがきついので、白いカーディガンを羽織った亀井は柔らかい光を浴びながら、
新垣に引っ張られている僕を見て優しそうな顔で笑っていた
（絵里、、、凄く綺麗になったな）
素直にそう思った

乙

このままじゃやばいな

ほ

ぜ

ho

お待ちしてます

前回の続きです

僕は亀井の正面の窓際の席に座った
少し黄色がかった柔らかい陽射しが差し込んでいてとても心地が良かった
僕は本来自分がいるはずの場所に戻ったような
そんな不思議な感じがした
「ごめん、遅れた、、髪切ったね、、、化粧も？」
亀井は唇を少し尖らせ可愛いアヒルのような口をして「うん」とだけ言った

新垣は僕の隣にちょこんと座り
持っていた２本のお茶を自分と亀井の前に置いた
そして小さいコーヒーを僕に手渡した
「君は暑い中ダッシュで走ってきてのどが渇いてると思うから、はい、あま〜いコーヒー、ちなみにホットです」
「ちょ、理屈とおってなくね？てか、鬼じゃね？」
「と・に・か・く　君は遅刻してきたんだし、選ぶ権利なんてないの、罰です」
「いや、俺英語教えてあげる人・・・」
「君細かいな〜」
「てか、亀井の友達って新垣かよ」
「何か不満でもあんの〜！？」

僕と新垣がそんな小競り合いをしていると
亀井がニヤニヤと僕を見ながら言った
「へ〜、走ってきたんだ〜、、、意外かも」
「そう、あたしがねー、門の横の自販機でジュース買ってたら
坂の下から鼻息の荒い男がものすごいスピードで駆け上がってくるわけですよ
そんでプールの裏の狭い道を凄い勢いで駆け抜けていったの
ガサガサって、兵隊かと思ったよ」
「そうなんだ〜、、、てかガキいつも例えおかしいよね、兵隊って」
そう言って亀井は笑った
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「ちょ、ちょっと。そういうさ、男の陰の努力みたいのを簡単にばらさないでくれよ」
ばれてしまったものは仕方が無いので
少しおどけた感じで僕はそう言った
新垣と亀井はクスクスと笑った
僕もいっしょに笑った
そしてみんなそろって図書館員に怒られた

この１年の間こんなに居心地の良い場所に居たことはないんじゃないかと思った
恰好つけて意地を張ってみたり、ほんの少しのことで緊張したり、その一方で素直に笑えたり、、、
瑞々しい心の揺れ

当時の僕はTがいなくなってから自然と感情の起伏を抑えるようにして生きていたのかもしれない
別にそんなことをしたからといって何かがプラスの方向に転ずるなんてまったく思わなかったし
期待もしていなかった
Tのためではなくて、きっと自分の為に感情にブレーキをかけていたんだと思う
ただ自分が楽だからそうしていたんだと思う
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

僕はこの瞬間を素直に楽しむことにした
それがまったく健全な高校生というものの生き方だと思ったから
そろそろ僕は「青い春」をonに戻してもいいんじゃないかと
そう思ったのだ

「いや、だからさ、have＋O＋原型で『Oに〜させる・してもらう』
have＋O＋過去分詞で『Oを〜させる・してもらう』　わかる？」
「はぁ〜？何が違うの〜？」
「・・・いやはや、現代人は日本語が乱れてると言うが・・・
てかさ、違うだろ、どう考えても！」
「もーわかんなーいよ〜、カ〜メ〜、助けて〜」
「新垣さ、、、こんなんで、、大学、行くの？」
「あんたねぇ〜！」
思わず本音をポロリと言ってしまい
新垣に肩の辺りをどつかれてしまった

一方、亀井に英語を教えるのは１年ぶりだったけれど
さすがに幼馴染だけあってかツーカーだった
「ここがこうだから、この辺を説明してあげれば伝わると思う」
いつの間にか僕が亀井に教えて
亀井が新垣に教えるという役割分担が発生していた
３人で共同作業をするというのは
はっきり言って単純に楽しかったし嬉しかった
それから勉強は思いのほか捗り
あっという間に閉館の夕方５時になっていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「ありがとね、今日は〜」
「おおー、全然おっけ」
そんな会話をしながら荷物をかばんに詰めて立ち上がろうとした時
窓に書かれた小さな落書きを見つけた
その落書きは相合傘で
僕と亀井の名前が書いてあった
いっぺんに１年前の仲の良かった２人のことを想いだしていた

それは鉛筆でうすく書かれたものだった
掃除で窓拭きをしたり、誰かが見つけて無情にも消しゴムで消してしまったり、
あるいは指で擦っただけで消えてしまうような
とても無力なものだったと思う
それでも約１年の間消えずに残っていた
残っていたのだ

「わり、ちょっと消しゴム落としちゃったから先行ってて」
僕は嘘をついた
人がいなくなりガランとしただだっ広い図書館の隅の席で
僕は相合傘の落書きにそっと指を触れて
消してしまうべきなのかどうか迷っていた
図書館員がたまに僕の方にちらりと視線を送りながら
どうでもよさそうに本棚の整理をいそいそとしていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「おそ〜い」
図書館を出ると綺麗な夕焼け空のもと
年相応の初々しさをそなえた素敵な女の子が２人
僕を待っていてくれた

３人で校門をくぐり坂を下りているときに新垣が
「ていうかさ、カメと君ってどういう関係なの？
すごく呼吸が合ってるっていうか」
と非常に困る質問をしてくれた
僕があたふたしながら
「な、何が？あの、あれじゃない？、あの」
激しくしどろもどろになっていると
「前に言ったじゃん、幼馴染だよ、ね」
と亀井が助け船を出してくれた
「えー、ホントにそれだけ〜？なーんかいい感じに見えるんですけどー」
「錯覚だ錯覚。新垣、お前あれだ、今日わかった。
はっきり言ってお前あほだから錯覚すんだよ」
「は〜〜！？あんたねぇ、いっつもいっつもあたしに失礼なことばっか言って
ホントにいい加減にしてよね」
不満そうに口を尖らせ眉間に少しシワをよせた新垣の顔は
やっぱりとても可愛かった

新垣の家の近くを通るように
いつものトンネルをくぐるルートで３人で帰った
トンネルを出てしばらくしたところで僕たちは新垣と別れた
「感謝感謝」
そう言って新垣は元気な感じに小走りで去っていった
それから僕と亀井はしばらく黙って歩いていた
やがて僕は気になっていたことを亀井に切り出した　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

再度スレ立てありがとうございます
以前にも飼育というところを勧めていただいたのでさきほど覗いてきました

みなさんに保全してもらったりスレ立てしてもらったり
随分と気を遣っていただいてるように思います
この際飼育というところに移った方が良いのでしょうか
作中の主人公と同じくひどく優柔不断なので決断することが困難です
どうすべきか読んでくださっている方のご意見がいただけると嬉しいです

また明日続きを書かせてもらいます
今日はお先に失礼します

毎度おつ〜
相合傘の落書きのシーンとかすごく切なくてよかったです

乙です
楽しみにしてますよ

保全は協力するからこのまま狼でやって欲しい

このままで

今日は保全できそうにないからお前ら頼む

ho

ほ

最近スレ落ちるの早いな〜と思ったら
学生さんが夏休み入りか

>>25　乙です
結局落書きを消したのか消してないのかわからんところが巧いす
てかずるいｗ
このまま狼でいいかと
多分ここ読んでる住人て固定されてるから落ちても誰か立てるでしょｗ

ほ

ho

ze

n

ほ

携帯から ほ

庭球部の作者さんも来てくんないかなぁ

かもん

ゆうぞう

ほ

ぜ

ん

ほ

（　・e・）

通

ほ

ほ

雨

の

降

ho

る

ma

り

ん

ね

転

このスレは落とさないわ
だって私がＡＧＥるもの

>>62
空気嫁

ほ

ぜ

sage進行でいきまっしょい

>>63,66
自治厨uzeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee

>>67
>>67

ほ

前回の続きです

僕はやはり気になっていたことを亀井に伝えることにした
「あのさ・・何で急に電話とか・・・」
「・・・うん、そのことだよね」
亀井は今から何が話されるのか既にわかっているようだった
帰り道を黙ってとぼとぼと歩く２人の間には
自然と張り詰めたものができあがってしまっていたのかもしれない

それからまたしばらく僕らは黙って歩き
どちらからということなく家の近くの公園に入った
以前デートの終わりに必ず寄っていた小さな公園だった
そして僕らがいつも手をつないで座っていた
ペンキのはげかけた水色のベンチ
そこへ座った

「もうすぐね、Ｔ君の一周忌でしょ、、、いっしょに行こうと思って、、」
「・・・」
「あたしね、ずっと考えてたの、、何であたし達こんなふうにならなきゃいけないんだろうって、、
こういうのって、、、望んでることなの？」
「、、、亀井だって避けてただろ、、、」
「違うよ、全然話聞いてくれなかったじゃん！
あたしがどんなに一生懸命話しても、、メール送っても、、ずっと家の前で待ってても、、
全部避けてたじゃん、、だから、、あたしも、、、、」
「そうだな、、、俺が悪いんだよ全部、、もういいか？」
僕はベンチから立ち上がろうとした

ずるくて臆病な僕は、１年前と何ら変わることなく
大切なことから逃げ出そうとしていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「待って！」
亀井が僕の腕をつかんだ
力がこもって少し震えているようだった
「ここ、、擦りむいてるから、、、バンドエイド、、、」

亀井は強い主張をするような子ではなかった
そんなことは僕が１番よく知っている
小さい頃から人に些細なことを頼まれたり、嫌なことを押し付けられたりしても
我慢して笑って「うん」という
そんな子だった
そんな亀井が
力を込めて僕の腕をつかんだ
いつもつらいことから逃げてしまう僕を
ほんの少しだけこちら側に引き止めてくれる温かい手だった

亀井は目薬のような大きさ・形の小さな霧吹きで僕の傷にサッと水を吹きかけて
それから丁寧にバンドエイドを貼ってくれた
「プールの裏っかわダッシュした時にやっちゃったかも、あそこ狭いから」
「やっぱり走ってきたんだ、、、付き合ってた時によく遅刻して謝りもしなかったけど
もしかしてあの時もホントは走ってきてくれてたの？」
「、、うーん、、、そういうことも、、あったかも」
「全然そんなそぶり見せてなかったよね・・・」
「だってかっこ悪いじゃん
高校生ってのはさ、唯一そうやって恰好つけるのが
許される時期なんだよ、これ俺の持論、、、、、、でも、、ごめん」

それを聞いた亀井は少し笑って
少し泣いた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

小さい頃から
亀井が泣くと僕はじっと待っていた
何もしないでただ亀井が泣きやむのを待って
それから頭を撫でて「もう大丈夫だよね」と言った
亀井はいつも小さく頷いた

高校３年生という
どちらかと言えば大人の部類に属すであろう僕らなのに
今でもそんなことが自然にできた
嬉しかった
家族以外では一番長い付き合い
それを切り捨ててしまった僕の罪というのは
随分と重いような気がした

「別れたって幼馴染は幼馴染じゃん、、、」
「そうだよな」
「、、、今さら、亀井って苗字で呼ばれると、すごくつらいよ、、」
「そうだよな」

久しぶりに僕と絵里が本音で話せた
とても短い会話だったと思う
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　
　　

随分と時間が経ったように感じたけれど
実際は３０分程度のできごとだった
しかしそれは僕が間違えて捨ててしまったものを取り戻した
とてもの大切な時間だった

路地で絵里と別れた
沈みかけてはいるがまだ死んではいない太陽が
地面に僕の影を長く映し出していた
「ねぇ！」
振り返ると夕焼けの綺麗な赤みを一身に帯びた絵里が
道の真ん中に立っていた
「明日も英語教えて！」
逆光で薄暗いシルエットとしてしか見えず
その表情は汲み取れなかったが
きっと絵里は笑っていたと思う
僕は少し照れながら
「もちろん！」
と言った
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます
おやすみなさい

>>74
最高ですよ・・・
なんつーかドキドキします

おやすみなさい

>>74
まいど乙です〜
二人の別れ際の描写がすごく綺麗で、うまいと思います
続きお待ちしてます

作者さん乙です。いいっすねぇ。

どなたか過去スレをあげてもらえないでしょうか？

保

ほ

つか亀と復縁かよ！？　ガキさんは俺が・・・

阻止

続ききてた
ほんとに乙です

おぉ〜 くこか〜！！
見つけたぞ〜
作家先生乙です〜♪
応援してます〜!!

ほ

HO

ze

（　・ｅ・）＜保全職人たちよ
　　　　　　今日明日は卒紺で人手不足だ
　　　　　　在宅の力を合わせ全力で保守するのだ

代々木にいってきます
申し訳ないがおまいら夜までこのスレを守ってくれ

仕事中だが頑張ってみる　>>88お前も頑張ってくれ

これ『放課後　がきえり　通り雨』にして亀ヲタを取り込んだら
相当集客できそうな気がするんだがｗ

個人的には亀は嫌だ　でも同じ年だし設定的にしょうがないと思ってる
つか亀オンリーってそんなに居るか？

まぁ既に雨はあがってるけどな

ガキさんと他愛のない話して笑えたらいいなぁ

念のため穂　って俺しかいないのかよ

ho

ガキさんのよさは一言では言い表せない

ほ

ho

ほ

コネガキ１００

ほ

ぜ

ん

テニス部の作者さんは何処行ったんだよぉおお

待ち

体育倉庫落ちたか
ここは死守

>>106
（　・ｅ・）＜体育倉庫はくまぇりに燃やされたのだ
　　　　　　また建てて閉じ込めて欲しいのだ

ほ

体育倉庫最初のスレしか読んでない　時間なくてログ保存してるだけだ

ほ

にわか雨

ガキすぁぁぁん！

大好きだぁ〜〜〜〜〜！！！！

代々木でガキさ〜んと叫んできた

おめ

ほ

も

さ

ゆ

み

ん

ho

テニスも期待

ほ

ho

夏休みでも学校の図書館は通常の授業時刻に合わせて朝早くから開いていた
渡り廊下の先にある幾分クラッシクな装いをまとった図書館は
今考えてみると高校生の僕らには随分と贅沢な施設だったように思う

あれ以来絵里といっしょに図書館へ通うようになった
絵里は毎日７時４０分に僕の家に迎えに来た
なんでもない話をしながらゆっくりと歩いて
大体いつも８時くらいに学校に着いた
そして僕らは図書館の例の特等席に向かい合って座り勉強をした
何かが大きく揺り動いたとか、そんな大袈裟なことじゃない
本来あるべき姿に戻っただけだと思う
ただそれだけなんだと思う

８時半になるときまって新垣が現れた
そして彼女にしかできない素敵な人懐っこい笑顔で挨拶をして
いつも僕の隣の席にちょこんと座った
僕らの勉強方法は
僕が絵里に教えて、絵里が新垣に教えるという形を採っていたので
新垣は絵里の隣に座るのが妥当だと思ったが
僕はそんなことを口に出したりはしなかった
毎日僕と絵里より３０分遅れて図書館に来る新垣は僕の隣に座る
これがたった３つのピースで完成してしまうパズルの
正しい形だと思ったし
絶対にくずしたくなかった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

鳩が平和の象徴だというのであれば
この時期の僕らはまさに穏やかな３匹の鳩だったと思う
僕らは５時まで図書館で勉強をし
それから３人で息抜きに少し出かけるというのが
いつの間にか毎日の小さな決め事になっていた

「んで、今日はどこ行くの」
「まず、行ってー」
「どこにだよ」
「ビル」
「ビルって何だよ」
「いいビル」
「だからいいビルって何だよ！」
「いいビルが２つあるんだよね〜、、、どっちがいい？」
「・・・もうなんでもいいよ」
「ビルの間に新幹線もあるんだけど？」
「はぁ？」
「あ、ごめん、新幹線じゃない。観覧車」
「・・・」
（※某音楽番組参照）

傍で聞いたらまったくもって素っ頓狂なやりとりだったと思う
それでも僕と新垣は大真面目に話をして
絵里はいつも楽しそうに笑っていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

新垣の言うところの「２番目のいいビル」に「まず行って」
僕らは軽くごはんを食べた
ほんの２週間前には
こんな幸せな状況は
想像することすらできなかったと思う

夏休みに入る２日前のあの日
通り雨が降った
いつものトンネルで新垣に会った
新垣のお母さんは魔女だという話をした
お母さんは通り雨を予知していた
そしてどこか別のところにいる新垣は
モーニング娘のメンバーかもしれないという話を聞いた
雨空を見上げる新垣の顔に薄白い光が差し掛かり
新垣本当に綺麗になったなと思った

思えばあの日から少しずつ僕の意思とは関係なく
周りの世界が動きはじめたのかもしれない
それがどういう影響を持つものかわからなかったけれど
僕をどこかへ連れて行こうとしているのは確かだった
でもこのときの僕は
ただただ３匹の穏やかな鳩的生活を楽しんでいるだけだった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

食事を終えてエスカレーターを降りていると兎の姿が僕の目に入った
兎は遠くで看板を掲げてこちらを向いて立っていた
「兎だ！ちょ、あいつあの恰好のままバイトしてやがる、ずり〜な」
そう言って僕が笑うと絵里はきょとんとして僕を見ていた

「ほら、あそこあそこ」
「え〜、どこ〜？」
「あそこに立ってるだろ、ちょっと遠くて見えないか？」
「ていうか兎ってなに〜？」
「はぁ？兎は兎だろ、知らないわけないっしょ、なぁ新垣わかるだろ？」
「うん」
「ほらみろ、てか絵里何で学校にいて兎のこと知らないの？、、まいっか、、、
あいつ何のバイトしてんだろ、看板遠くてはっきり見えねーな〜」

目を凝らしてなんとか僕は看板に書かれた文字を見ようとした
「、、ま、、、、つ、、、た、、」
一文字一文字輪郭を少しずつ捉え、読み取った文字を並べると
それはよくわからない文章になった
『まったく気付いていない』

僕の見間違いでないとしたら
兎のいたずらだと思った
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

家に帰った僕は兎に電話をしたがでなかった
メールも数回送ったが返事は返ってこなかった
まだバイトをしてるのかもしれないと僕は思った

僕は新垣と絵里のことを考えていた
この頃僕は自分が矛盾した感情を持っていることを強く意識していた
あるギリシャ哲学者が言ったように
凡そ人間というものは矛盾を合理化して生きるものかもしれない
それでも僕が感じていた矛盾は
どうしても意識せざるを得ない大きなしこりを
僕の体に埋め込んでいた

僕は間違いなく新垣が好きだった
確実にこれは「恋」というもので
毎晩ベッドの中で新垣のことを想った
まったく有体なことだが胸が苦しくなった
それから僕は新垣と絵里が僕の前から居なくなってしまうことを考えた
僕は新垣が居なくなってしまうよりも
絵里が居なくなってしまう方が悲しいと感じた
そしてもしどちらかがどうしても消えてしまわなければならないというのなら
僕は新垣に消えてもらう選択をしたかもしれない
それでもこの時この世で一番好きな人は新垣だった

『まったく気付いていない』
この言葉がこの日はずぅっと僕の頭の中を回っていて
なかなか寝られなかった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】　　　　　　　　　　　

保守ありがとうございました
また明日続きを書かせてもらいます

>>131
乙です〜
兎の役回りが気になってきたよ

来たー　仕事中にコソコソ保全した甲斐があったよぉ

あー　兎は居たんだ　そっかそうきたのか　じゃバレ予想を・・・ってしませんって

寝るほ

辻対策緊急保全

ほ

ぜ

起きた　ほ

今日は風のシズカ出るのか？ほ

>>131 乙です
ますます遠大になってきましたね
どうやってまとめるのか見守りたいと思います

ふぉ

ふぉ

たのしみだ

きょうも現場行ってくるったい！
自宅組の方々、防衛戦よろしく頼みます

ほ

ho

期待

ho

携帯から保全

ho

ほ

ho

ほ

も

と

h

ほ

ほ

りえもん

雅山

ほ

ふぉ

ほ

ほ

ze

ＪＯＹさんかっけー

ほ

ぜ

ん

ＤＶＤ返却に行く前ほ

ふぉ

ほ

ほ

通り雨に降られたほ

ho

雨がふる静かな夜は
ガキさんのことを思い出す

ほ

ぽ

ほ

ho

保全多杉

危ないよ

ほ

ho

【前回の続きです】

夏休みも中盤に入った８月の１０日くらいだったと思う
絵里は日帰りでお婆ちゃんの家に行くということで
その日は僕一人で図書館に向かった
いつもの癖で早めに目が覚め
特に急ぐ必要なんて何も無かったけれど
なんとなく早く家を出ていた
とてもゆっくりと通学路を歩きながら
（絵里は今日いないけど新垣は来るのかな）
とぼんやり考えていた

僕は新垣と以前より随分と仲良くなっていた
それでも僕と新垣の関係は絵里を介してのどちらかといえば間接的なもので
相変わらず僕は新垣の携帯番号を知らなかった
絵里がいないときは新垣とぎこちのない会話しかできなかった
そして僕は自分の感情を必死に表さないようにしていた
しかし（もし今日新垣が来たらとても長い時間新垣と２人でいることになる）
そう考えると緊張はするけど自然とウキウキして
簡単には気持ちを抑えられないでいた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

僕はもしかして新垣に会うかもしれないと思い
久しぶりに遠回りをして学校に行くことにした
来た道を少し戻ってトンネルに向かった
新垣はいつも８時半に図書館に現れたから
きっとトンネルを８時２０分くらいに通るのだろうと思い
僕はこっそり待ち伏せして驚かせてやることにした

ところがトンネルに到着すると
新垣は既にそこにいた
時計を見るとまだ８時前だった
新垣はトンネルの中で壁際にちょこんと座っていた
予想外のことに少し戸惑ってしまった僕はなんとなく居心地の悪さを感じ
思わず紫陽花の葉の影に中腰になって身を隠した
そして僕は新垣をじっと見ていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

新垣は時々壁の一部に手をそっと触れたり時計に目をやったりしていたが
それ以外はほとんど下を見て俯いていた
見方によってはそれは少し寂しげな表情にも見て取れた
あまり人は通らなかったが、たまに足音や気配がすると
新垣はビクっとして慌てて立ち上がり
そして人が通り過ぎてゆくと
また静かにその場に座った

やがて新垣は時計を見るとあきらめたようにすっと立ち上がり
学校の方へ歩き出した
時間を確認すると８時２５分だった
新垣は約３０分の間
トンネルの中で黙って座っていた
いやもしかしたら僕が来る前からそこにいたのだから
もっとかもしれない
それが何を意味するのか僕にはまったくわからなかった
僕は３０分の間何もせずに新垣をじっと見ていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

新垣にばれないようにある程度の間隔を保って
学校まで僕はそっと新垣の後ろをつけるように歩いていった

図書館に着いた新垣は
いつも僕らが座っているスペースに行き
そっといつもの席についた
そしてまたトンネルの中にいたときと同じように
寂しげにうつむいていた

こそこそと新垣の様子を窺ってしまっていた僕は
何事も無かったように
新垣の左肩を軽くポンと叩いて
「おはよ、どしたの元気ないじゃん」
といつもより優しく言葉をかけた
「おお〜〜！びっくりした〜！」

さっきまでの新垣とはうって変わって
そこにいたのはリアクションの大きないつもどおりの新垣だった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「今日は来ないと思った」
「何で？」
「んー、ほら、絵里がいないからさ、あたしに教えるのって大変でしょ？
あたし、あんまり頭良くないからね〜・・・」
新垣は申し訳なさそうな表情で笑いながらそう言った
それはわざとらしく作ったようなものではなく
本当に自然と感情が顔に出たものだと僕にはわかった
それだけに僕はとても悲しい気持ちになった

僕は面倒臭いから新垣に教えるのを絵里に任せてしまっていた
新垣はそれをどう感じていたんだろう？
僕が新垣にアホだの馬鹿だのと冗談で罵っていた時
ほっぺたをぷくっと膨らませて、拗ねながらも笑っていた新垣はどう感じていたんだろう？

いつも元気な笑顔で僕らを楽しい気持ちにさせてくれる新垣
今朝トンネルでひとりでポツンと座っていた寂しげな新垣

人は複数の側面を持っている
そんなことは誰でもわかっているし
わざわざ言葉にするようなことでもない
それでも自分と接している時の姿が
その人の全てだと思うようになってしまうし
そう思いたい

新垣の涙だったのか
僕の涙だったのか
あるいはひょっとしたら絵里の涙だったのかもしれない
その日の帰り道
通り雨が降った
そしてとても悲しいことがあった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

今日も保全ありがとうございました
また明日続きを書かせてもらいます

寝る前に来て良かった
本当におつです　とても良い感じです

いいねえー

今このスレの存在を知った
かなりの名作っぽいね

明日あたり過去ログ探して初めから読もうと思う

だな

早朝保

h

作者さん乙です〜
ガキさんと主人公の関係が少しずつ変わりつつあるね
トンネルのシーンのガキさんが可愛くて、そして切なかったです

ho

>>191　乙です　毎日の楽しみになってます

ho

ガキさんが待っててくれた事に気づかないなんて
なんてバカなやつだ

ho

ぜ

ほ

ho

ほ

ふぉ

里沙ちゃむ

誰かまとめない？

まとめない

ほ

まとめて

とりあえず上げで保守しようぜ　話はそれからだ

ho

ほ

abunai

ho

めたもるふぉぜん

ほ

（　・ｅ・）＜防衛線展開中なのだ

今日何なの　やけに落ちるの早くないか

夏休みのせい☆カナ？

ほ

ze

n

良スレ発見

【前回の続きです】

夕方の５時になり
閉館を知らせるチャイムの音が館内に鳴り響いた
それはいつもより少しくすんで聞こえた
２人だけの勉強時間は終わった

外に出ると数日来見ていた綺麗な夕焼け空とは違って
空は所々に灰色の雲が立ち込め、濁った水色をしていた
あたりは全体的に薄暗い寒色の様相を呈していて
コントラストの低い平面的で現実感の無い写真のように見えた

「降ってきそうだな、、、今日は帰るか」
「、、そうだね、絵里もいないしね、、」
「ごめんな、絵里がいなくて退屈だったろ
なんつーか、俺ダメなんだよな〜、、
２人とかになると緊張しちゃってあんま話せないんだよなぁ、、、」
「そんなことないよ！」

僕は新垣の大きな声に少し吃驚して
彼女の方を見た
新垣の顔は青白く透明感があり、周りの世界にきちんと溶け込んでいるように見えた
そして薄いピンク色をした健康的な頬だけが浮き立っていた
新垣は何かを躊躇しているかのような口つきで
「１年の、、」
そう言い掛けたとき
彼女の左目の下に一粒の透き通った雫が落ちた
それはとてもゆっくりと新垣の頬をつたい
そして静かに地面に落ちた
僕はそれが新垣の涙のように見えて
いくらか戸惑った
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「雨、、、」
新垣がぽつりと呟いた
あっという間にザァーっと
あたりは滝のような雨で覆われた
「走ろう」

びしょ濡れになりながら
僕と新垣はトンネルに駆け込んだ
トンネルの中に入ると雨の音は「ゴー」という篭った音に変わった
それは何かの特殊な機械を連想させる無機質な音で
外の世界とこの場が隔絶されたものであることを僕に思わせた

夏休み前のあの日、２人が初めてまともに会話をした時と同じ場所に立って
僕らは壁にもたれかかった
「めちゃめちゃ濡れちゃったな」
「ほんとだねぇ」
「新垣ってさ、もしかして雨女？」
「ちょっとぉ〜、君ねぇ、ホントに失礼なことしか言わないよね」
「だって新垣と２人になると雨が降る」
「あのねぇ、それは逆も言えるでしょーが」
この日なぜだか寂しそうに見えた新垣だったが
頬をぷくっと膨らませてそう言った新垣はいつもの新垣で
僕はようやく少し安堵感を覚えた
「あ、俺今日タオル持ってるわ」
僕はカバンからタオルを取り出して新垣に渡した
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

最初の方も読みたいです
誰かまとめてくれよー

「君は、、いいの？」
「いいよいいよ」
新垣は遠慮がちに顔を少しだけ拭った
「あ、あはははぁ〜、、これミッキーのタオルだ〜
あたしディズニーランド大好きなんだよね」
「あ、そうなの？俺も昔よく妹と絵里といっしょに行ったよ」
「そうなんだ〜」
「いいこと思いついた、夏休み中にさ、行こうよディズニーランド！」
「へ？」
「ほら、絵里もいっしょにさ、３人で行こうぜ
これだけ毎日勉強ばっかりしてるんだ
一日くらい息抜きしたっていいだろ？」
「ほんとにー！？嬉しい〜、絶対行こう！」
新垣はとても嬉しそうにそう言った

新垣はときどき小さな嘘をついた
でも新垣は本当にピュアで
彼女が嘘をついているときは表情からすぐにわかった
僕はこの時の新垣の表情を見逃していた
あの夏僕と新垣はディズニーランドに行くことはなかった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

雨は相変わらずひどく降っていた
トンネルから外を眺めても
白くてひどく喧しい液体が止め処なく流れているだけだった

「なんかますますひどくなってないか？」
「うん、、、今日の雨も長いよ」
「はは、またお母さんがそう言ってたの?」
「ううん、、そうじゃないけど、、、
ねぇ、ちょっと目つむってよ」
「へ？なんで？」
「ちょっと心理テスト♪」
「えーいいよ〜、俺そういうのろくな結果でたことないし」
「大丈夫、これは別に結果とかないから
どういう答えでも大丈夫なようにできてるから
そういう約束になってるから（※ハロモニお化け屋敷参照）」
「なんだよそれ、じゃあ意味無いじゃん」
「いいからいいから、時間もあることだし、、、ね？」
なんだかんだで僕は新垣に促されるまま目をつむった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「頭の中でできるだけリアルに想像してね」

　　　
　　　あなたは地下鉄のホームにいます
　　　あたりには誰もいません
　　　とても静かでブルーに澄んだひとりぼっちの世界です
　　　あなたは電車を待っています
　　　その電車にどうしても乗りたいのです
　　　その電車の中にはあなたが一番大切にしているものがあるのです
　　　でもいくら待っても電車はやって来ません
　　　なぜならその駅には電車は来ないことになっているのです
　　　そしてあなたは電車が来ないことを知っているのです
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

それだけ言うと新垣は黙った
「おい、もう目あけていいの？」
「うん」
目をあけると新垣は口をきゅっとつむって僕の顔をじっと見ていた
それが恥ずかしくて少し強い口調で
「で、何なのこれ？」
と僕は言った
「うん、、もしそんなふうだったら、、どうする？」
「へ？、、、う〜ん、なんだかよくわかんねーな
結局待ってても電車来ないんでしょ？」
「うん、絶対に来ないって決まってるの」
「じゃあ、あきらめて帰るよ、時間て限られてるもん
色々やらなくちゃいけない大事なことって他にもたくさんあるでしょ」
目をつむっていた顔を新垣にずっと見られてたことを思うと恥ずかしくて
僕はなるべく合理的な意見をと、自分らしくない発言をしてしまった
「うん、そうだね」
「この答え、ダメ?」
「ううん、すごくいい答えだと思う」
新垣はそう言った

こんなのが良い答えだというのなら
世の中にはどれだけの数の素敵な答えというものがあるのだろう
あのときの答えは僕にとっても新垣にとっても
ひどく虚しいものだったと思う
今の僕にはそれがわかる
でも何が正しい答えだったのかは
今の僕にもまだわからない
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

最初の方をまとめて欲しいという方が居られるので
明日とは約束できませんが近日中に少し直して上げようと思います
気長にお待ちください

今日も保守してくださった方ありがとうございました
また明日続きを書かせてもらいます
おやすみなさい

作者さん、乙です

寝る前にきてた〜乙です
何だかすっごく切ない伏線の予感だよ

>>235
ありがとうございますよろしくおねがいしますm(_ _"m)ペコリ

乙保

乙です

（´・ω・｀)　やあ
君たちには一生セックスできない呪いをかけた。
しかし君たちは運がいい。

http://music5.2ch.net/test/read.cgi/musicjg/1153707023/

↑このスレに


そろそろ演歌を出してほしい。



と書き込めば呪いは解ける。
では、健闘を祈る。

ほ

早朝保

おはよう

おはにぃ

切なくなりそう期待

やっべ　寝坊した　ほ

ほ

ho

ふぉ

ほ

ho

ぜ

ほ

ほ

ぜ

どうせならケンシロウ指数で保全しよーぜ
"あ"or"た"or"！"のどれかで

あたみ

ああ熱海ねーいいよね温泉ってコラー！

赤7緑ｵｰﾗで15連　1ｹﾞｰﾑ連したが1回で終わった　タフボーイ聞けたからいいか

あおた

放課後　ガキさん　ウンコ開通

ってコラー

雨の匂いも　風の匂いも　あの頃とは違ってるけど

>>235
他スレでまとめてあるの見つけました。作者さんは、続きに専念してください。


http://www.geocities.jp/pushrockcandy/hgt1.html

里沙ちゃん　一緒に保全しよ

e･）

すぁん！

e･）＜胸が苦しいのだ…

それはいけない！さあボタンを外してあげるからこっちおいで

ほ

夏祭り

↓花火見に行くだけって言ったじゃない！のAA

*､　i　+　／*　+　　｡　+　 :　: :: :: ::: ::: :::: ::::::
､+,, ；｡*､" ,,､ *　+　　　　　 :　: :: ::: ::: :::: :::: ::
ゞ　* ´*"= 　*　　｡　　+　　:　: :: ::: ::: :::: :::: :::　　　　花火見に行くだけって言ったじゃない！
／ｿ*",;ヾヾ　　*　　｡　　　:　: : : :: :: :: ::: ::: :::
　/　　ﾍ　　*　　+　　　　:　: : : :: :: :: ::: ::: ::: ::
｡　 ,,､､　　+　　　　+　　:　:　::　::　:::　:::　::::　:
　 （ .(　+　　　+　　:　:　::　::　:::　:::　::::　::::　::
　　 ) ）　　+　　｡　:　:　::　::　::　:::　:::　:::　::: ::
　　（(　　　　:　:　:　:　:　:　:　:　 ::::::: :　:　::::　
:　　　　　:　:　:　:　:ノハヽ☆　:　:　::　::　 :::::
::　:　: ノハヽo∈　（・e・*从　 :　:　::　::　::::::
　(⌒（＾ｰ＾*从　√i#У#i::了　 ,,､:::
:::: ｀（了У<:::)　 ~(⌒)(⌒::),,､-=''^^"~´｀ ,.,,.､
::::　 (⌒)(⌒::),,､-=''^^"~´｀ ,.,,.､.,.,::''"´｀'''
-‐=''^^"~´｀｀,.,,.､.,., ''"´｀''
''"´｀'''　''"

从ヽ´,_っ`)＜花火見に行くだけって言ったじゃない!

違うｗ

画起算

ほ

仕事場から花火見てた　来年こそ里沙ちゃむと・・・

青春

時代が

夢なんて

今から

言っても

しょうがない

青春時代の

甘い　心の痛みの音か　何かが終わって　そして何かがこわれて落ちた！　　ぁあ

ほ

甘酸っぺえスレ

代々木で初デートのやつどうなった？
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1153719989/

ガキさんは昭和最後のアイドル

今は昭和81年だぞっっ・・・

ひろひと幾つにだよ

>>265
ありがとうございます
助かりました

>>274
かわいいですね

【前回の続きです】

終わりかたを忘れてしまったかのように
投げやりに雨は降り続いていた

「新垣さ、さっき学校の近くで雨が降り出したとき
何か言おうとしてなかった?」
「ああ、、うん、、、」
「なんだよ、歯切れ悪いな、何でも言ってくれよ」
新垣は暫く黙って
地面と僕の顔の間でゆっくりと何回か視線を往復させたあと
ぽつぽつと話し始めた

「さっき自分のことダメだって言ってたじゃん、、、そんなことないよ、、」
「ん？」
「高校１年の時、あたし『コネガキ』って呼ばれて
少しいじめられてたの憶えてる?」
「、、、ああ」
「あたしのばばちゃんがね、学校の理事長さんと仲がいいんだ、、
それで、あたしって馬鹿だからさ、裏口で入学したんじゃないのかって
そういう風に噂されてたんだよね、、、」
確かにそんなことがあった気がする
「それで、いつだったか、黒板に大きな文字で嫌なことを書かれてたときがあったの」
それはよく憶えている
「そのときさ、君が黙々と黒板を消して、みんなに向かって
『くだらないことすんな！』って怒鳴ったんだよね、、、
嬉しかったなぁ、、、
あたしの大切な思い出だぁ、、、」
僕の横で壁にもたれて体育座りをした新垣は
彼女の前方の地面に視線を泳がせながら
小さな声で言った
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

はっきりと憶えている

その日、僕は日直で各授業の前に黒板を消さなければならなかった
黒板には『コネガキシネ』だとか
高校１年生の女の子でなくとも
とても耐えられないような辛辣な言葉がつらつらと書きなぐってあった

僕は厄介なことに巻き込まれて面倒くさいなと思った
なぜ僕が気まずい思いをしなくてはならないのかと腹を立てていた
そして「おまえら、くだらないことすんな！」とみんなに向かって怒鳴った
その叫びを忠実に本音に変換したとしたら
それは「俺にわずらわしい思いをさせるな！」ということで
僕は善を盾にして
自分を守った
自分のことだけを考えていた
新垣のことなんてこれっぽっちも考えていなかった
いや寧ろ、新垣のせいで自分までこんな面倒なことに巻き込まれるんだと
いくらか鬱陶しくさえ思ったかもしれない

「も〜、やめてよね〜〜」
そのときも新垣は作り笑いを浮かべて
健気に元気なふりをしていた



「あのときから、、どんどん好きになっちゃったのかなぁ、、、」
トンネルの空洞にこもって聞こえたのは信じられない言葉だった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「あのときから、、どんどん好きになっちゃったのかなぁ、、、」
「、、、、、、やめて、、くれ、、」
「、、、え？」
「、、俺、あのとき、新垣のことなんて何も考えてなかった、、
俺、自分が厄介なことに巻き込まれるのが嫌で
お前を守るふりをしてただけなんだ
俺、お前を利用しちゃった、、だけなんだよ、、、自分のことしか、、、」
「いいよ、そんなこと」
「え？」
「あたしね、あのときからずっと君のこと目で追うようになったんだぁ
そのおかげでね、つらかった学校に来るのが
いつの間にか楽しくなってたの！
いっつも見てた♪
走り高跳びで１５０ｃｍも跳んだよね、陸上部の子なんかにも勝っちゃってさ
かっこよかったなぁ〜
でも、水泳はちょっと苦手
平泳ぎのテストのときプールの途中で足ついちゃったでしょ？
恥ずかしそうに周りをキョロキョロ見てたのがかわいかったよ、あはは
そんで、英語はすっごく得意だけど古典はぜっんぜん駄目
テスト返しの時、タヌキによく定規で叩かれてたよね
あのすっごく長い定規で『コラー！』って、あははは、、、」
「、、、」
「で、カメとは幼馴染で、
高校２年の時に、、、付き合って、、
近所の公園のベンチで、、手をつないで仲良く座って、、、
いいなぁって思った
あたしも君と幼馴染だったら良かったのになぁ、って、、」
「新垣、、、」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「な〜んてね！うそうそ！
ちょっとやだなぁ〜、そんな真剣な顔しちゃってぇ
冗談です、ごめんなさいっ！
さっき、あたしのことなんて全然考えてなかったって言ってたからさ
ちょっと仕返ししちゃった、あはははぁ
全部カメに聞いたの
カメはねぇ、すっごい君のこと好きだからね〜♪
うんうん、そう
だから大切にしてあげてほしいなぁ〜、なんて
親友のあたしとしては思うのですよ、あははぁ〜」
「、、うそだ」
「え？」
「じゃあ何でお前いつもここで俺を待ってるんだよ」
「な、なぁに言ってるんですかぁ〜」
「そうだろ、お前今日も、、、何やってたんだよ、ここで！？
俺、、今朝見てたんだ、お前のこと、、ここでずっと」
「、、や、やめてよね〜、なんであんたのことなんか、、
あたしが待たなきゃいけないのさぁ〜、、、あたしは、、」
「俺だってずっと新垣のことが」
「カメはさぁー！！！」
新垣は僕の言葉を最後まで言わせず
大きな声で僕の語尾をかき消した
「カメはさ、、、もう、君のことずぅっと待ってるから、、、」
すっと立ち上がった新垣はいつものように
優しそうな微笑を浮かべながら言った
「カメに悪いもん」
笑っている新垣の両目から大粒の涙がこぼれ落ちた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

新垣はタオルで顔を隠し
僕のほうから後ずさりして
土砂降りの雨の中に身を置いた
涙を僕に見せまいと
滝のような雨の中に小さな体で立っていた

「行くな！」
僕はそう叫んで新垣に駆け寄った
新垣は雨にうたれながら
とても小さな声で僕に何かを言った
雨音が強すぎて聞き取れなかった
僕の伸ばした手は
指先が新垣の腕にかすかに触れただけで
そのまま空を切った
僕は地面に突っ伏した
ひどい転び方をしたが
痛みは感じなかった
ミッキーのタオルが僕の目の前の地面に落ちていた
そのはるか向こうに逃げるようにして駆けてゆく女の子の姿が見えた


僕はひどい雨の中
立ち上がることなく
ただそのままでいた
随分と長い間
そのままでいた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

深夜に乙　ガキさん抱きしめたいよガキさん･ﾟ･(つД`)･ﾟ･

乙です〜
読みたいんですけど猛烈に眠いので
明朝冴えた頭で楽しませていただきますです

同じ書く者として悔しいけどこれはさすがに泣くってば｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡

目がさえて眠れんくなった　あと2時間後に仕事なんだが

ガキさんの小さな胸を痛めつける苦しみから救ってやりたい｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡

（　・e・）＜>>303　睡眠不足は夏風邪を引き起こしやすいのだ、お休みくだされ

泣ける

切ない(ノд')

>>305
寝坊です。仕事なのに・・・

切ない切なすぎる・・・
ガキさんに救いは訪れるのでしょうか
続き楽しみにしてます

切ない気持ちのまま寝るよ

ほ

ほ

がきさん

（　・e・）＜ほ

ほ

保

ho

（　・e・）

ｶﾞｷさぁ〜ん ｼﾞｬｷﾞに負けてたよぉorz

ほ

俺の勝手な権限で名作認定

ho

ho

>>289
そこから飛んできた
素敵な物語に巡り会えたことへ感謝

>>324
俺のおかげだな

ほ

ほ

ho

>>289
現在結果報告中
大至急見れ

（　・e・）＜現実はﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞなのだ 偽春樹頼むのだ

ほ

ぜ

ん

||c|*・e・||＜電池切れちゃうのだ…

ほ

ほ

激しく叩きつける慈悲のない雨の中を
僕はできるだけゆっくりと歩いた
それは僕の無意識下での贖罪だったのかもしれない

新垣が涙を流した
今までずっと我慢して隠してきた感情が
彼女の中から溢れた
それでも隠さなくてはいけないと思い
彼女は雨の中に立って
涙を雨に紛らわせようとした
新垣に悲しい思いをさせた
それが辛くて仕方がなかった
自分の痛みは自分で癒すことができる
しかし他人の痛みはどんなに頑張っても癒せないということがある

僕は新垣の痛みをどうやって和らげることができるのだろう

僕が絵里といっしょになったとしても
新垣はきっと悲しむだろう
僕が新垣といっしょになったとしても
新垣は絵里のことを思ってきっと悲しむだろう
いや、それ以前に新垣は絵里がいる限り
僕といっしょになるつもりは無いのだろう
こんなにも救いのなく絶望的なことがあるものなのか
雨の中ずぶ濡れになりながらいくら考えてみても
アイスキュロス的な結末しか僕の頭には浮かばなかった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

雨と泥でぐちゃぐちゃになり
生きているのか死んでいるのかわからないような状態で
僕は家に着いた
そのまま無言で２階へ上がる僕に
母さんと妹が大きな声で何かを言っていたが
僕の耳には入らなかった

自室で机に座り頭からぼたぼたと雫を垂らしながら
（僕は色々なことを考えなくてはならないのだ）
と思った
兎の『まったく気付いていない』というメッセージが僕の胸を突いた

僕は新垣に会うために
毎日わざわざ遠回りをして学校に通っていた
でもそれは正しくなかった
実際は新垣が僕を待っていたのだ
確かに毎日毎日ピンポイントで
８時１０分に会うなんてのはおかしなことだ
新垣は今朝僕が見たように
きっといつもあのトンネルで
ひとりぼっちで壁をさすったり俯いたりして
僕を待っていたんだ

どうして気が付かなかったのか・・・
こんな時に泣くことができたらどれほど救われるだろう
涙の出ない自分が悔しくて仕方がなかった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

僕は兎のメッセージの意味にようやく気付いたのだと思った
しかしなぜだか僕の心には釈然としない感覚が残っていた

何かを見落としているんじゃないだろうか・・・

僕はもう一度慎重に新垣のことを思い返していた
　
　

　図書館でいつも僕の隣にちょこんと座っていた新垣
　ジュースを３本抱えながら僕の腕を引っ張った新垣
　僕に絵里との関係を茶化しながら尋ねた新垣
　ほっぺたをぷくっと膨らませてすねた顔をして見せた新垣
　帰り道、僕と絵里がいっしょに帰る夕暮れの中ひとりで帰っていった新垣
　トンネルで寂しそうに座っていた新垣
　僕への想いを隠していつも元気に振舞っていた新垣
　不思議な心理テストを僕にした新垣
　自分の想いより絵里の想いを優先させた新垣
　雨の中に佇んで涙を流した新垣



僕は懐中電灯を手にして家を飛び出していた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

僕はトンネルに走った
外はもう随分暗く
いまさらながらに雨はやんでいた

トンネルに駆け込んだ僕は
息を切らせながら
今朝新垣が座っていた場所にしゃがみこんだ
そして彼女が何度も手で擦っていた壁のあたりを
懐中電灯で照らした

そこには、とてもとても小さく
僕と新垣の名前が書かれていた
そして２人の名前の上に
可愛らしい傘が
申し訳なさそうに掛かっていた

「・・・こんなの・・気付かないよ・・・」
吐息と共に搾り出すような声が自然とでた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

新垣は図書館の窓に書かれている僕と絵里の相合傘に気付いていたんだ
絵里の隣に座るとその落書きは目に入ってしまう所にあった
だから新垣はその相合傘が見えないように
いつも僕の隣に座っていたんだ

僕はあの日、落書きを消さなかった
もしかして絵里とよりを戻すようなことがあった時に
それが残っていた方が感動が大きいだろうとか
絵里ともいい関係でありたいとか
情けないほどにずるくて我侭な考えが浮かんで
結局落書きを消さなかった


　　　でもいくら待っても電車はやって来ません
　　　なぜならその駅には電車は来ないことになっているのです
　　　そしてあなたは電車が来ないことを知っているのです

それでも彼女なら待ち続けるのだろう
新垣は僕に一切の見返りを求めることなく
ただただ無償で僕のことを２年間も想ってくれていたんだ

「兎ー！！俺は気付いたぞ！、、次のヒントを寄こせ！
・・・・俺はどうすればいいんだー！」
僕の声はトンネルの中で徒に大きく響いた
そしてこんな状況でも涙の出ない自分に
僕は絶望した
　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

素晴らしすぎ

兎が二人の恋のガイド役なのか
不思議の国のアリスみたいだね
何はともあれ乙です！

切ねぇ〜　これ切ないっすよ

乙です
切ない

やべぇ俺が涙出そうだ

ちょ連日泣かされる俺｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡

BGM：木枯しに抱かれて

出逢いは風の中　恋に落ちたあの日から
気づかぬうちに心は　あなたを求めてた
泣かないで恋心よ　願いが叶うなら
涙の河を越えて　すべてを忘れたい
せつない片想い あなたは気づかない

あなたの背中見つめ　愛の言葉ささやけば
届かぬ想いが胸を　駆け抜けてくだけ
哀しい程の星空に　天使の声がする
あきらめきれぬ恋でも　夢は見ていたいのよ…
せつない片想い あなたは気づかない

恋人達はいつか　心傷つくたび
愛する意味を知る　涙…やさしく
その手に確かな夢をつかんで
白い季節の風に吹かれ　寒い冬がやって来る
激しく燃える恋の炎は　誰にも消せないの
せつない片想い あなたは気づかない
せつない片想い あなたは気づかない

切ないよー

作者さま
ご挨拶が遅れましたが勝手にまとめている>>265の人です
取り急ぎ今回分までをまとめさせていただきました

今後ともよろしくお願いします

ほ

寝るほ

にょっき

ho

切ない気分のまま夜まで外出

アイスキュロスがなんだかわかんないからググってみたのだが
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AD%E3%82%B9

亀に因縁がある人だったのか

暇つぶしに初めて読んだけど感動した！！！！！
この作者さんすげえええええええええええええええええええええええええ
タダもんじゃねええええええええええええええええええええええええええ

ho

マジただもんじゃねーよ
俺このスレ最初から読んでたけど、ちょうど昨日最初から読み直してたんだけど、さりげに狼と羊と鳩がでてくるし
＞358の情報だと悲劇的ってのと亀の意味ひっかけて使ってんだろうし
伏線かと思ってたところが伏線じゃない感じで書いてあるかと思ったらやっぱ伏線だったり
って俺の日本語意味不明だなｗ
作者さんうまいかきかた教えて（泣

ほ

ほ

ただ（〜のハロモニ参照）みたいのはいらないと思う
分かるから

ほ

免許更新違反講習中に保全

念のためほ

ほ

テスト終わった保

これスタートはどこよ保

ho

ほ

ほ

ho

アガメムノンを昔読んだような読まなかったような

ほ

ソロが売れると思ってるやつは盲目か？
なんで本体よりもヲタの総数が少ないのに売れるんだよ

誤爆ですorz

ドンマイ

>>370
>>265

ho

>>380 thx
読んだ
ﾜｸﾃｶ

ほ

ぜ

ん

ほ

降臨待ちだお

>>352
ありがとうございます
とても助かりました

皆さんも保守とレスありがとうございます

ほ

夢を見た

暗い部屋の中に僕はいた
とてつもなく広い部屋で壁の位置や色が認識できなかった
手前の方に少しだけ明かりがさしているが
部屋の奥の方は真っ暗で
一体どこまで続いているのかわからなかった
部屋は無音だった
自分の呼吸をする音も聞こえなかった
気味が悪くてその場で強く足踏みをしてみたが
それでも音はしなかった
そのうち僕は音に関しては諦めることにした
そして奥へと進んでいった

どれくらい歩いたのだろうか
部屋の左右に別れて大きな水槽が２つ見えてきた
左の水槽には新垣、右の水槽には絵里が閉じ込められていた
水槽は密閉され、水がいっぱいに入っており
２人はひどく苦しそうにもがいていた
僕は、何とかしてなくては、と強く思うのだが
どちらから助けるべきなのかと躊躇し
体が動かなかった
そしてそんなことを考える余裕があるほど
意外と冷静だった

「まあ、そうだろうね」
部屋の奥のほうから兎がのそりと現れた
兎は喋った
　　　　　　　　　　　　↓

相変わらず部屋の中は物音ひとつしなかった
兎の声だけがはっきりと聞こえた
「兎は寂しいと死ぬって言うだろう、あんなものは嘘だ」
兎は勿体をつけてそう言った
『そんなことより新垣と絵里が！』
僕は大声で叫んだつもりだったが
僕の口元からは何の音も発せられなかった
「まあ、落ち着けよ
彼女たちは死んでしまったりはしないよ
ただほんの少し人より苦しい思いをしているだけさ
それに君は急いで助けようとしなかったじゃないか」
兎は嫌味たっぷりにそう言った

確かにこんな究極的な状況下でも
僕はどちらかを選ぶことができなかった
それはとても恥ずかしいことだと思った　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　↓

「人が死ぬ物語は好きかい？」
兎の突拍子無い質問に
音の出せない僕は首を横に振って応じた
「僕は嫌いじゃないよ
遅い早いの差はあっても、死というものは必ず平等に訪れ
避けられないものだからね」
兎は続けた
「僕が嫌いな物語というのは
セックスや暴力やドラッグだとかそういった類のものだね
なぜなら、それらは避けることができるからね
特に暴力はよくない
誰のためにもならないことだよ
そして時に大きく運命を変えてしまう
それはわかるかい？」
僕は頷いた
　　　　　　　　　↓

「君はどうして２人を助けることができないか、わかるかい？」
僕は首を振った
「それはね、君が２人とも助けようとしているからだよ」
兎はそう言うと少し僕のほうに歩み寄った
「とても残念な話だけれど
君には２人ともを助けることはできないよ
君にはね、そんな能力は無いんだよ
せいぜいどちらかを助けることくらいだね
でも下手をすればどちらも助けることはできないよ
見てごらん、彼女たちの苦しそうな顔を
よく覚えておくといい
何かとても大事な決断をしなくてはいけない時には
彼女たちの顔を思い出すといい」
僕は彼女たちの顔を交互に見た
ひどく苦しそうで
自分の無力さに
僕も苦しくて、頭がおかしくなってしまいそうだった
　　　　　　　　　　　　　　　↓

「それ以上見てはいけない」
兎はそう言って２つの水槽に大きなシートを被せた
僕の視界から新垣と絵里が消えた

「君にできることは限られている」
項垂れる僕に向かって兎は言葉を続けた
「君は絵里に英語を教えることだ
だって君にはそれしかできないんだから
君はとても注意深く絵里に英語を教え続けるんだ
『その日』まで決してやめてはいけないよ
いいかい？」
はっきり言ってわけのわからない話だった
新垣や絵里を助けることと僕が絵里に英語を教えることの
間にある因果関係がまったく見えてこなかった

しかし、その時どうすればいいのか途方に暮れていた僕にとって
それは啓示のように思えた
僕は強く頷いた　
　　　　　　　↓

「君に会うのはこれが最後になるかもしれない」
兎は言った
「音を失うというのはとてもつらいだろう？
でも、君はこの部屋で一切の音をあきらめた
それも随分と短い時間でね
きっと君はどちらを選んだとしても
もう一方を簡単にあきらめるんだと思うよ」
僕は強く首を振った
精一杯の主張だった

「やれやれ
君は相変わらず何もわかってないね
表層的な部分だけを漁り続けているだけだ
本質的なものは何も見えていない
僕のメッセージを覚えているだろう？」
そう言って兎は僕のすぐ傍ににじり寄ってきた

体が動かなかった
兎は僕の背後にゆっくりと回り込み
僕の耳元で
『まったく気付いていない』
と言った
　　　　　　　　　↓

目を覚ますと絵里が迎えに来ていた
（もうそんな時間なのか・・・）

昨日雨にうたれ続けたせいか
とても暑いはずなのに寒気がした
（新垣は大丈夫だろうか・・・）

パジャマ姿のまま玄関口に出ていき
体調が優れないからと
図書館に行くのを断った
絵里は二言三言優しい言葉を僕にかけてくれた
そして残念そうにトボトボとひとりで学校へ向かっていった
僕は絵里の背中をしばらくぼんやり眺めていた

「絵里、俺やっぱ行くわ！着替えてくるから待ってて！」

僕は兎の言葉を思い出していた
「君はとても注意深く絵里に英語を教え続けるんだ
『その日』まで決してやめてはいけないよ
いいかい？」
僕は自分に言い聞かせるように強く頷いた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

乙
それでも俺は絵里に幸せになってもらいたい

乙です〜
心理描写が相変わらずうまい！

乙です
兎の言葉は気になりますね〜

乙です　またすごい伏線になってそうｗ

乙保

乙です

ほ

先生乙です帆

おっつー

ほ

ほ

ぜ

ん

亀はどうなってもいいから　ガキさんを幸せにしてあげて

里沙ちゃん　大好き

ho

ほ

り

ほ

ho

ho

ho

ほ

ほ

ほ

里沙はけっこう分かりやすいプレーヤーだ。
「おりゃ〜」と言ってはフォアの強打（ほとんどクロス）。
「とぉーっ」と言ってはバックの強打（まずストレート）。
「ほいっ♪」と言う時はロブか、ドロップショット。
「こらぁ〜」と叫んでいるのは、ロブを背走で追っている時。

パワーはない方なので、叫びながら打った後にネットへ詰めてボレーでキメる、
二段構えのポイントが目立つ時はだいたい勝つ。
逆に、山なりのトップスピンばかり送られて、ベースラインに釘付けにされるのが負けパターンだ。
手も足も出ないか、無理してネットへ出て、ポイントを失う。

一方亀井は、分かりにくいプレースタイルだ。
決め球がある訳でも、パワーがあるわけでもない。ただ、穴もない。
長いラリーの途中で、唐突にドロップショット〜驚いてネットに出た相手の頭を越えるトップスピンの中ロブ、
と言ういい加減というか意外なポイントでノリに乗ると、すんなり勝てることが多い。

藤本さんは、女子では異色のプレーヤーだ。
フォア、バック共にトップスピン、シャープなスライス、分厚い当たりのフラット、変幻自在だ。
フォアも鋭いけど、プレーの軸になるのは切れ味の鋭い片手バックのスライス。
スルスルと地を這うようなスライスのアプローチショットでネットを取ると、
鋭いボレーで相手を打ちのめす。ムチのようにしなやかなタッチ。
それほど身長は高くないのに、オーバーヘッドが強いので、相手のロブは藤本先輩のスマッシュの餌食だ。
かと思うと、いきなりライジングのフラットを打たれたら、男子でも一歩も動けずエースを取られる時がある。

「あれ、藤本のおしおきショットだよな」

ウィナーを取られた時の男子達の決まり文句だ。

男子でもあれだけタッチの良い選手は珍しいので、天性のものだろう。ほんと、持って生まれたものだなー
と言ったら、藤本先輩にデコビンタされた。
「バカッ！努力だよ！ど・り・ょ・く」

藤本さんが語るには、
「美貴、体が弱かったから。
　ちいちゃい頃って、ずっと体育は見学だったんだ。
　それが、中学に入る直前から、試しにってんでテニスを習ってね。
　コーチが熱血な人で、冬でもシャツ一枚で外へ放り出されて、
　レッスンの後でも野球とかバドミントンとかサッカーとか
　木登りとか何でもやってたから、かな。」
「努力って言うか、それ、野性のパワーですよね？」
亀井が言うと、藤本さんは大げさに亀のお尻をパチーンと叩いた。

「あいたたた・・・藤本さん、体育のサッカーも得意でしょ」
「あれはヤンキーキック！」
「こら！ガキさん、怒るぞ！」

里沙の言葉には、ペチッと頬で止まるビンタだった。
そんな話をしながら、俺と里沙と亀と藤本先輩4人で、
夏休みの朝から晩まで、何リットルも水を飲みながら、真っ暗になるまで練習した。

お昼時になると、藤本先輩が軽く、いたずらっぽく笑った。
「あ〜お腹減った！おい！亀、パン屋行くぞ！」
「え〜ガキさんと○○君は？」

「あ、あたしお弁当あるから」
「あ、お、俺お弁当あるから」
同時に返事してしまった。

「え〜エリ達、仲間はずれですか〜？」
「あ、いや、お、俺ん家、おふくろ朝早いから」
「おら、早く行くぞ。美貴お腹減ってるんだから」
藤本さんがこっちを向いていたずらっぽくウィンクをしてから、
スタスタ歩いていくのを見て、
「あ〜ん待ってくださ〜い、エリ、置いてかないで〜」

二人が校門を出て行ったのを確認すると、ガキさんが俺の膝の上にハンカチを広げた。

「はいっ！お弁当！」

いつもより大きな二段積みのお弁当箱だった。
下段は一杯に白いご飯と、真ん中に梅干。
上段は唐揚げと卵焼きとホウレンソウとレタスとトマトとインゲンと・・・
「すげぇ！」
「一杯食べてね」
すっかり腹が減っていた俺は、里沙に手渡された箸を手にすると、がっついた。

腹が空き切ってた俺は、物も言わずにバクバク食った。

ウマい。

テニスで空っぽになった体に、ズンズン栄養が詰まってくるみたいだ。
それに、普通においしい。

ふと横を見ると、里沙は自分用のかわいい小振りのお弁当箱を手に、俺を見ていた。
「なんだよ」
「あ、いや、○○君、おいしそうに食べてくれるなぁって。
　ほんとに、おいしかったのかなって。」
里沙は真っ赤になって、自分のお弁当に箸を運ぶフリをした。

「あ〜満腹！うまかった！満足！最高！ごちそうさま！」
「ほんと！うれしい！」
里沙は、ぱっとはじけるような笑顔を見せた。

「あ〜腹一杯！」
俺はほんとに満足して、そのまま大の字になって、寝転んだ。

・・あれ、眠ってたのかな？

「もぅ、ガキさん、抜け駆けはひどいよ」
「え？あ？うぇ？って・・・」
「もう、そんなだったら、エリも○○君のお弁当作ってくるのに〜」
「おいおい、エリック、朝寝坊でお料理上手？のお前にできるか？」
「できるもん！ってか、するもん！・・・」

何だか亀井が泣き出しそうな様子らしくて、俺は寝たフリをつづけるしかなかった。

「ま。ま。ま。エリックも、そんなにすねるな。ガキさんだって、あんまり見せつけるな」
「違いますよ。見せつけてなんかないですから」
薄目を開けて見ていると、
「ま、ここは美貴に免じて、ほら、仲良くしろ！はい！仲良し！」
バーンと里沙と亀の背中を叩いていた。

「ほれ、あそこで寝てる奴、かっこいいか？惚れるか？
　もっともっとイケてる奴、いくらでもいるぞ！
　今は色気づかずに、ほら、まずテニス強くなれ！」

相変わらず見事だなぁと思ってると、藤本先輩がこっちに来た。
「ほら！起きろ！午後練はじめるぞ！」
いきなりキックが脇腹に入って飛び起きた俺を指差して、
里沙も亀も大爆笑していた。

テニス編久し振りにｷﾀ ━━━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━━━!!!

ho

ほ

ho

とうとうテニス編も帰ってきたかー

庭球部は衝撃の屋上までだったような希ガス

俺もガキさんにお弁当作ってもらいたい

俺はえりりんに作ってもらいたい

俺は美貴様に作ってもらいたいな

久しぶりにひどい自演を見（ｒｙ

どうでもいいけど自演じゃないから

ほ

ま

き

あらまぁ、過分なお褒め、ありがとうございます。
別スレで【ブットイマン編】掻いて以降、ﾌﾇｹてました。
ってか忘れてました、こちら。

>>433
その少し先まで掻いた気もするが、前々スレ持ってないのだ。

ブットイマンはあんさんかいな

この自演いつまで続けんの?

ほ

ほ

ほ

ほ

ぜ

新垣が現れない
時刻はすでに９時をまわっていた
普段ならもうとっくに来ている

確かに昨日の雰囲気から察すれば
新垣は来ないと考えるのが自然なのだろう
それでも僕はわずかながらの期待を抱かずにはいられなかった
　いつもみたいに元気に「おはよ〜！」とやって来るんじゃないか
　そして僕の隣の席にそっと座るんじゃないか
　頬を膨らませ拗ねた顔をして僕に話しかけてくれるんじゃないか
とにかく顔が見たい

体調の悪さも手伝ってか
僕はまったくその場に集中できないでいた
気付けば足を小刻みに揺り動かしていた
僕は虚しい時間を無理に埋めているように感じた
パズルは１ピース欠けただけでも成立しないのだ

（僕は絵里に英語を教え続けなければいけない
それも、とても注意深く）
僕はとにかくそれだけを考えた
そして兎の言ったとおりのことをしていたと思う
僕はそれをできるだけ上手に実践していたと思う

しかし新垣はその後図書館に姿を現すことはなかった　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

数日間、同じことの繰り返しだった
僕は夏休み当初の退屈な羊的生活を思い出していた

絵里と図書館へ行く
絵里に英語を教える
足を小刻みに揺らす
ときどき窓の相合傘に目をやる
絵里の世間話に無難な返事を返す
時計を見る
兎の言葉を考える
寂しいチャイムの音が鳴る
図書館が閉まる
新垣は来ない

・・・新垣は来ない



８月１４日
図書館の帰り道、絵里は僕を公園に誘った
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

ん？ガキさんが作ったって何でばれたんだ？

僕らはベンチに座り
美しい夕暮れの赤褐色の世界の中
絵里は声を殺してとても静かに泣いた

「・・・なんで聞かないの？」
「え？」
「ガキ、図書館来てないじゃん！
なんで何にも聞かないの！」
「・・それは・・・」
「毎日ソワソワして、、、
心ここにあらずって感じで、、、
、、かえって辛いよ！！」

今まで騙し騙し泣いていた絵里の目から
涙がたくさん溢れた


また大切な人を泣かせてしまった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

僕は何をやっているのだろう
僕は兎が言ったとおり、とても注意深く絵里に英語を教えた
これが何かの役に立っているのだろうか
新垣は現れないし
絵里に悲しい思いをさせている
そしてひどく涙を流している絵里を
僕はじっと見ている

こんなことが僕や新垣や絵里にとって良いことなのだろうか
とても信じられなかった
それでも僕は優しい言葉をかけることもなく
ただ絵里が泣き止むのを見守っていた

「・・・沖縄」
「ん？」
「、、ガキ、沖縄のお婆ちゃんのとこ、、、」
「うん」
「、、、あした帰ってくる」
「そっか」
「、、ごめん、あたしも意地になって、、言えなかった」
「いいさ」
「、、、ごめん、、」
「昔から、お互い少し意地っ張りなところあるからなぁ」

僕がそう言って少し笑うと
絵里は僕の右腕にしがみついて泣いた
僕は左手でそっと絵里の頭を撫でた　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　↓

８月１５日
終戦記念日
息子の誕生日
Ｔの命日


あの夏の８月１５日
僕は絵里といっしょにＴの一周忌に行った
そして僕はその日
もしかしたら間違った選択をしてしまったのかもしれない
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

すまんかった　orz

乙　ハイペースなのはあり難いが無理すんな

乙です
絵里の意地っ張りのところとか胸を打たれますね

>>437
俺は>>434しか書いてないぞ

乙です〜
主人公は絵里とガキさんのどっちをとるのでしょうか？
続きが楽しみです

乙

甲

>>456 丙です
なぁんかもうすぐ終わりそうな予感。。。
なるべく長く続けてくれい

ｲｲﾖｲｲﾖｰ

ちょと急いでる感じはするな　作者さんも全貌が見えたら一気に書きたいんだろうからな
まぁ俺の望みはガキさんが笑顔でいることだ

まだ終わんないで

乙です
先生やっぱすげえええ

ho

ze

んっ・・んんっ・・・

ほ

ぜ

ほ

ほ

ほ

ほ

ho

ほ

ほ？

ぜ

ん

ho

ほ

ho

ほ

ほ

保

全

ほ

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ほ

ほ

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式場であるＴの家には
２０人前後の人間しかいなかった
去年の葬儀のときは
ほぼ全ての学校職員と、同学年の生徒が参列していた
そしてまるでＴと交流の無かったような連中が
大袈裟に涙を流していたのをよく憶えている

見渡す限り生徒は僕らしかいないようだった
教員もＴの担任と校長が来ているだけだった
たった１年で
本当にたったの１年で
ここまで世界の隅に追いやられてしまうものなのか
人がひとり死ぬっていうのは
そんなにも安易なできごとだというのか
僕は筆舌に尽くしがたいほど
やりきれない気持ちになった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

しばらくすると住職が現れ
誦経をそそくさとはじめた
それは曹洞宗のものだった
うちも同じ宗派だったのですぐにわかった
僕が小さい頃、祖母は毎日厨子に向かい
たっぷり３０分以上かけて丁寧にお経を読んでいた
僕は仏間の落ち着いた感じと
祖母が静かに読経する挙措が好きで
毎日その時間には祖母の傍にいた
おかげで曹洞宗の経をそらで言えるほどになっていたが
そんなことが役に立ったことは今までに一度もなかった
しかし、この日初めてそれは役に立った

住職が経典をいくらか飛ばして略式に誦経を行ったのだ
僕はそれに気付いた
Ｔの母親もそれに気付いたようで
一瞬はっとした表情をして厨子のほうに目をやり
それから寂しそうに黙って俯いた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「あの坊主、、、端折りやがった」
僕は小さな声でぼそっと言った
「、、え？」
「お経をすっ飛ばしていいかげんにやってんだよ」
Ｔの母親の寂しそうな姿を目にしてしまった僕は
怒りがこみ上げてきていた
「、、、お願い、、やめて、、、」
僕の様子に気付いた絵里は
僕の膝の上に作られた握りこぶしの上にそっと手をのせ
消え入りそうな声でそう言った
「、、大丈夫、わかってるよ、、」

僕はすべての感情を捨て去ってただ我慢した
こんなところで、感情を顕にしても
結局それは僕の自己満足にしかならない
誰のためにもならないのだ
僕は去年からこの１年間の苦い経験で
そんなことは嫌というほどわかっていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

誦経が終わると
いなり寿司と巻き寿司がセットになった
いわゆる助六寿司が皆に出された
その質素さがその場の雰囲気をいっそう寂しくするように感じられた

坊主はさっさと寿司をたいらげ
一口だけ品無くずずーっとお茶をすすると
「次がありますので、私はこれで」
と言って忙しなくその場をあとにした
Ｔの母親は坊主に深々と頭を下げていた
校長と担任はつまらない歓談をし
時には少し笑い声をあげながら
次々と寿司を口に放り込んでいた
なにもかもが気に入らなかった

絵里は心配そうに僕のほうをじっと見ていた
今度は僕が絵里の手の上にそっと手をのせて
「大丈夫だよ」
と落ち着いて伝えた
声にならなかった　　　　　　　　　
　　　　　　　　↓

Ｔのお母さんが僕らのところにやって来て声を掛けてくれた
「ありがとうね」
「、、お経が、、、」
僕がそう言うと、お母さんはうんうんと黙って２度頷いて
「いいのよ」
と言った
「はい、、、すいません、、」
僕はお母さんの心中を察するとやり切れなくなり
なぜだかお詫びの文句を言っていた
「それよりね、あなたに渡さなくちゃいけないものがあるの
ちょっと２階へ上がって」
「、、、はい」

僕らは２階のＴの部屋に通された
１年以上そこには訪れていなかったが
部屋は今でもＴのにおいがして
それは僕をとても安心させてくれた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

乙です〜
お通夜の描写がすごくリアルで唸りました

ho

そうだよな
そこで怒っても周りにはパロマ被害者の母親みたいに映ってしまう
感情の消化って難しいね

ho

ほ

うー　このままじゃガキさんが・・・

乙ほ

こい！ガタックゼクター！　　ほ

ho

乙です

乙

おっつん

ほ

ho

ほ

ぜ

読ませるなぁ。。。感心

ほ

ほ

ほ

ぜ

ん

ほ

ぜ

ん

ほ

ぜ

ん

ほ

ぜ

ん

ほ

押すなよ！
　押すなよ！

　　　　　　　 　 ﾉﾉﾊヽヽ　　 ﾉﾉﾉﾊヽ
愛ちゃん　　　l(・e・；ｌｂl　　(’-’ 川
　押すなよ　　 ⊂ ⊂ )　　　(　　ﾊ
　　　　　　　　　　l_____|　　　 l____U
　　　　　　　 　 {{ し＾J }}　　 ∪∪
　 ∫∫∫∫ 　 .|￣￣￣￣￣￣￣￣
|＿＿＿＿＿＿||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|　 　 　 　 　 　 ||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|　 　 　 　 　 　 ||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|＿＿＿＿＿＿||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


　　　　　　　　　　ｴｨ！
だから　　　　　　　 ﾉﾉﾉﾊヽ
愛ちゃ〜ん!!!!　　　(’ｰ’ 川　ﾄﾞﾝ！
　　　　　　　　Σ　⊂⊂　　)
　 。　　 / //　　　　　l______l
｡・　ﾟノ_, ._ヽヽ｡ﾟ　　　　∪∪
　∩l(・e・；lｂl∩ |￣￣￣￣￣￣￣￣
|＿ノ＿＿ノ_；_：||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|　/　 　 / .。 ： ||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|⊂⊂_ノ。 。 　 ||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|＿＿＿＿＿＿||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　ｻﾞﾌﾞｰﾝ

ほ

ほ

ho

>>532
愛ちゃんが空気読めるなんて！

ほ

ほ

ほ

６畳のとても日当たりの良い角部屋
窓が気持ちよく開け放たれ
風がカーテンを美しく揺るがせていた
それは部屋に透明な生活感を運び込んでいるようだった
白い部屋
今ここにＴが居たとしても
何もおかしくないように思えた

「全然、、変わってないですね、、」
ふと漏れた本音だった
「そうね、なんだかね、、、
、、ごめんなさい、上手く言えないわ」
僕に気を遣わせないためだろうか
Ｔのお母さんはぎこちない笑顔を無理に作り
机の上に視線を落としてそう言った
絵里は部屋の入り口のところで
スカートの上に手を組んで
ただ所在無さげに立っていた
　　　　　　　　　　　　↓

「兎は寂しいと死ぬって言うでしょう？」
僕はお母さんの言葉にドキッとした
「私はね、昨日までそんなこと信じてなかったのよ
だってあの子が大事にしてた兎は
あの子がいなくなっても何も変わることなく
食べたい時に食べ、寝たい時に寝ていたわ
私は少し憎たらしいとさえ思ってしまったの」

Ｔは兎を飼っていた
Ｔの性格をよく知っている僕にとっては
それは幾分似つかわしくないようなことに思えたが
Ｔは兎をとても大切に育てていた
しかし部屋を見渡してもあの兎小屋は見当たらなかった
「昨日ね、死んだのよ、、
ちょうどあの子がいなくなって１年なのよね、、」

　　
　　　「兎は寂しいと死ぬって言うだろう、あんなものは嘘だ」
　　　「人が死ぬ物語は好きかい？」
　　　「君に会うのはこれが最後になるかもしれない」

僕は夢の中の兎の言葉を思い出していた
点と点が繋がる瞬間というのは
まさにこういう時のことを言うものだと僕は思った
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「兎小屋を片付けていたらね
小屋の下からあなた宛の手紙が出てきたの」
お母さんはそう言うと
Ｔの机の一番上の引き出しから封筒を取り出し
僕に手渡した
「すごく中身が気になって読みたかったんだけれど
やっぱりあなた宛のものだしやめておいたの
もし差し支えなければ
あなたが読んで、後で私にも内容を教えてくれないかしら
少しでもあの子の思いを知りたいのよ、、、」
「、、はい、、あの、家に帰ってゆっくり読みたいので
それからでもいいでしょうか
必ず内容はお伝えすると約束します」
「、、ええ、もちろん」
お母さんはほっとした表情で頷いた
僕はＴの手紙をとても慎重にかばんの中に入れた

この手紙が何を意味するものなのか
およそ僕はすでに確信していた
　　　　　　　　　　　　↓

親族の方たちに慇懃に悔やみの念を告げ
僕と絵里はＴの家をあとにした

こんな気持ちのまますぐに家に帰ってしまうことが憚られたのか
あるいはこのときお互いを必要としていたのか
僕らは本来通るはずの道を忌み
まったく逆の方向に歩き出していた

やがて見慣れない河原が視界に入ってきた
「こんなところあったんだ〜」
絵里が濁りのない声でそう言った
「、、少し歩こうか」
僕らは土手を下り
川沿いの黄土色をした砂利道をゆっくり歩いた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「、、すごく、心配だったの」
しばらく歩いたあと
絵里は息を漏らすような弱々しい声でそう言った
「、、大丈夫だよ、、、俺はこの１年を本当に台無しにしてしまったんだ
すごく後悔してるし、もう絵里に嫌な思いさせたくないし、、」
絵里ははにかんで俯きながら
チラチラと視線をこちらにおくっていた
透明な水に反射する眩い光に溶け込んで
絵里はおだやかに見えた

あの残酷でひどく不毛な１年を過ごした僕にとって
今の絵里は本当に気兼ねなく接することができる大切な幼馴染だった
絵里がいなくなることはあってはならないことのように感じた
僕も絵里のほうにときどき視線をおくりながら
（これでいいんじゃないだろうか）
そう思った
　　　　　　　↓

随分と大人になった今でも
僕は我慢すべきところとそうでないところの
正しい区別をすることはできない
そのときどきの精神状態や相手
或いはちょっとした天候によって影響されてしまうかもしれない
もしかしたらそれは死ぬまでわからないことなのかもしれない
あのときの僕はまったく我慢できなかった
きっと今の僕にだって我慢できないことだったと思う

土手の木陰の下で
気持ち良さそうに煙草をふかしながら
雑誌を読んでいる坊主を僕は見つけた
僕はカバンと絵里をほっぽりだし
坊主のもとへ走り出していた

　　　　　　それらは避けることができるからね
　　　　　　特に暴力はよくない
　　　　　　誰のためにもならないことだよ
　　　　　　そして時に大きく運命を変えてしまう
　　　　　　それはわかるかい？

僕は何も考えられなかった
　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

乙です〜
激情に憑りつかれた主人公はどうなっちゃうんだろう
どきどきしつつ続きを待ちます

おつです
楽しみ

名作スレ発見
明日仕事なのに一気に読んでしまった

後悔はしないさ

ほ

ぜ

ガキさんに笑顔を！

うむ

いいぞ♪頑張れ♪作者さん〜♪

ほ

. 　　∩_＿＿_∩:　:.+
ﾜｸ.　| ノ 　　 　　ヽ+.:
:.ﾜｸ/　　●　　 ● | ｸﾏ
　　ミ 　''　( _●_)''ミ　ｸﾏ
.　/ 　.＿　 |_/__ノヽ　
　-(＿＿_.)─(＿＿)─

ほ

り

き

ほ

空気嫁orz

ほ

り

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!

巻

伸二

ますか？

HO

実際のところ感情ってやっかいだよな
振りまわされてる時ほど本人は正しいことやってると思ってるし

ほ

ぜ

ん

ほ

ぜ

ほ

ほ

青春の蹉跌か・・・

ほ

ぜ

そろそろかなぁ

僕は法衣の胸座部をつかみ
坊主を木に押しつけた
坊主の額から澱んだ汗が流れていた

「てめー、次の仕事があるからって言って
さっさと帰ったじゃねーかよ」
僕の精神状態は激しく波立っていたと思うのだが
それを声として蒸散すると
思いのほか冷静で低いものだった
「な、なんなんだね君は
は、放さんか！」
「放すわけねーだろうが！」
まるで僕のほうが間違っていると言わんばかりの
諌めるような坊主の口ぶりにおのずと語勢が強まった
そこへ息を切らせながら絵里が走ってきた
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

>>581
書き込んだあと笑ってしまいました
すごいタイミングですね

「やめて！」
絵里が悲鳴とも取れる声で叫んだ
でもそれは意味を持つものとして
僕の耳に入ることはなかった

「し、仕事が終わって帰って、な、何がいけないというんだね
わ、私だってねぇ、一日中仕事づけじゃやってられないんだよ
君らだって一日中勉強ばかりしていられないだろう？」
「、、、おまえ、、坊主のくせにどの口でそんなこと言いやがる、、、
、、経典端折って読んだだろーが！」
坊主の顔色が明らかに変わった
「、、おまえ、、母親の顔を見たか、、、
なぁ、、教えてくれよ、、
、、俺は、どうやったら、、おまえを許すことができる、、？」
僕の右手にいっそう力がこもった
「、、おまえにとっては、毎日の仕事の一環で、、
たかだか一人の人間の死とか、、日常的なことで、、
だけどさぁ！俺にとっては、、
いや、違う、、家族にとってはさぁ！、、
、、なぁ、、少しは考えろってば、、、」
上手く言葉にならなかった

「お願いだからやめてよー！！
さっき絵里に嫌な思いさせたくないって言ってくれたじゃん！」
絵里が僕の腕をものすごい力で引っ張った
３人がはじけるようにしてそれぞれ地面に転がった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

立ち上がろうとする僕の足に絵里がしがみついた
「、、お願い、、、」

一体僕は何回絵里を泣かせるんだろう
まったく恣意的な感情で
彼女をどれだけ傷つけてしまうんだろう
その場のすべてが
とても虚しいものに感じられた
　　　　　　　　　　　　　　
「、、まったくなんなんだね、君たちは！
聖職者に手をあげることがどういうことかわかっているのかね！」
坊主は不愉快な手つきを露にし衣を整えながら
僕らを見下ろしてそう言った

聖職者・・・
こんなものが聖職者だというのであれば
僕はどんな罰を受けようとも
真っ先に石を投げつける人間でいるだろう


僕は坊主を殴った
たとえこれが絵里をひどく泣かせることだとしても
僕はそうしなければならない
そう思った
　　　　　　↓

このときの僕の行動が
その後どのように影響したのか
僕にはわからない
でもこのときの選択だけは
正しいとか間違っているとか
そういう価値尺度を越えたところにあったんだと思う
そして、あの夏
僕はひどく後悔する選択をたくさんしてしまったけれども
このときの選択だけは後悔したことは一度もない
それははっきり言える


坊主を殴ったあと
僕はバランスをくずし傾斜の緩い土手に倒れこんだ
やがて坊主は立ち上がり
「、、お、おまえたち、覚えておけよ
大変なことになるぞ！」
そう言い残し逃げるようにして去っていった

僕も立ち上がり絵里のところへ行き彼女を立たせた
草まみれになってしまった彼女の服を丁寧に払った
絵里は何も言わずに僕の胸の辺りに
顔をうずめた
僕は絵里をそっと抱きしめた
　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「、、Ｔ君に嫉妬してたの」
絵里が呟いた
「、、、もし絵里が死んでも、、あんなふうに泣いたり怒ったり、、
して、くれるのかな、、」
絵里はこんなにも寂しいことを言った
僕が言わせてしまった
「絵里がいなくなったら、、俺はとても悲しいよ、、
きっと何もできなくなって、３６５日、毎日泣いてると思う、、、」
「、、ほんとに？」
「本当に、、、
だからいなくならないで」


家のわりと近所にだったのに
１７年間もそこにあると気付かなかった河原
その河原の少しだけ傾斜のあるバランスの悪い土手で
初めてキスをした


８月１５日
終戦記念日
息子の誕生日
Ｔの命日
ファーストキスをした日
　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

乙　リロードして思わずワロタよ　作者さんグッドタイミング　だが出鼻挫くようになって申し訳ない
しっかしやっぱりガキさんの笑顔は見れなさそうなのね

絵里を幸せにしてやってくれ

新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…

乙です
ガキさんは俺が幸せにしとくよ

この後いかに自分や周りの人に迷惑をかけず
坊主に社会的ダメージを喰らわそうかとか考えてる俺は駄目な大人だな

新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…
新垣死んでください…お願いします…みんなのために…死んでください…目が腐るんです…あなたのせいで…モーニング娘が…落ちたんです…自覚してください…あなた最近偉そうですね…イタいですよ…あなたが辞めれば…ウハウハなのに…

コネヲタほんとに死んで

>>587
乙乙〜
絵里に幸せになってもらいたいと思う半面ガキさんのことも心配だよ

ほぜん

>>593
(･∀･)b

今日は落ちやすい日？

うむ

俄然強めにほ

ほ

り

初ほ

ほ

ほ

ho

ほ

初めて読んだがめちゃくちゃ嵌った
先が楽しみだわ

ほ

ら

ティ

放課後　ガキさん 　通り雨2
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1153303015/
放課後　ガキさん　通り雨
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1152804107/

これのdatください

ほ

保

ほ

>>613
（　・ｅ・）
（つ http://ricana.dyndns.org/img/up/name0087.zip

>>617
ありがとうございました

どういたまして

ほ

ほ

ガキさんと夏の思い出を一緒に作りたい

うん、その役回りオレがやるから

いや俺がやるよ

どうぞどうぞ・・・ってコラー

ほ

ほ

ho

こんちくしょう！今北YO
久しぶりに狼来たのにこんな良スレに出会えるとは
今週夜勤だから夜中の保全はまかしとけ！

寝る前に保全しとくお

ほぜほぜほぜ

自分の良心と青臭い正義に従って坊主を殴った
その結果、夕方から約４時間ものあいだ
警察で事情聴衆を受けなければいけなくなった
社会というのは思いのほか複雑で
面倒くさくできているものなんだなと思った
罪の意識が無かったせいか
自分が渦中の人物であるにもかかわらず
僕は妙に客観的にその場に座っていた
まるで現実感が無かった

母さんと絵里が付き添ってくれていた
母さんはときおり目に涙を浮かべ
アトピーのひどいブルドッグのような警察官に
何度も何度も頭を下げていた
絵里は僕の隣に座り
警察官の死角にあたる机の下で
僕の手をずうっと握っていた
室内は冷房の効きが悪く
僕と絵里の手はいくらか汗で湿っていたけれど
どちらからも離すことはなかった
　　　　　　　　　　　　　↓

家に着くともう１０時近くだった
それから父さんといっしょに坊主のところへ向かった
寺に行くあいだ
父さんは車の中で一言も口をきかなかった
車から降りたときに
「おまえは決して何も言うな」
とだけ言った

寺の玄関口に坊主とその奥さんが出てきて
僕らが玄関に入ろうとすると
「うちの敷居をまたぐな」
と投げつけるような口調で言った
坊主の左頬にはこれ見よがしに
随分と大げさな処置が施されていた

「あんた、お医者さんらしいね」
「はい、しがない町医者でございます」
「あれかね、今の世の中、ご立派なお医者様の息子さんでも
節度というものを知らないもんかね
え、こういうふうかね」
「いえ、私の教育不行き届きでございます」
そう言って
父さんは地面に頭をつけた
　　　　　　　　　　　　　　　↓

「息子さんのほうは謝罪の意は無いのかねぇ」
坊主は視線を上下させ、僕にも土下座を促した
僕は黙ってそれをした　
屈辱だとか激昂だとか
そんな安易な言葉で片付けられるようなものじゃなかった
今まで生きてきて
これほど人を憎いと思ったことはない
そして、これほど父さんに申し訳ないと思ったことはなかった
玄関にも入れてもらえず
頭を土に擦り付ける父さん
そこに向かって坊主は随分と上のほうから
いやらしい口つきで言った
「まぁまぁ、そこまでなさらんでも、、、
それでね、慰謝料の件ですがね」


終わってる話だ
本当に
僕の怒りで世界がどうにかなってしまったとしてもおかしくないくらい
終わってる話だった
　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　　　　　　　　

帰りの車の中で父さんは色々と話をしてくれた
僕のために無理に明るく努めてくれているのがはっきりわかった

「、、、ごめん」
「生きていると、ひどく難しい選択に何回か出くわす
それはどちらも正しい場合もあるし
どちらも間違っている場合すらある
母さんと絵里ちゃんから話は聞いたよ
今日のおまえのした選択が正しかったのかどうかは
父さんにもわからない
でも、父さんはおまえのした選択がとても気に入った」
「、、本当に、、ごめん」
「父さんはね、本当は大学病院に残って研究したかったんだよ
でもね、母さんと結婚したから研究医じゃ食っていけなくてね
まぁ普通の勤務医を経て今に至るわけだが、、、
それはとても難しい選択だったね」
父さんは前を向きながらしみじみとそう言った

「おまえがどうしても医者になりたくないなら
そういう選択もあるのかもしれない」
あれだけ僕を医者にしようとしていた父さんの口から出た意外な言葉だった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

１１時半をまわっていた
着替える気力も無くズボンだけ脱いでベッドに倒れこんだ
仰向けになり、焦点をどこかに合わせるというのでなく
ぼんやりとただ上の方を眺めていた
ベージュ色の天井の壁紙に
小さな黒い虫がとまっていた

たった１日で
本当に色々なことがあった
ひどく不愉快な思いをしたけれど
とても嬉しいことがあった
絵里とキスをした
それは本当に素敵なもので
今までそれを経験せずに生きてきた僕は
随分と損をしてきたのかもしれないと思った
絵里の頬を赤くした恥ずかしそうな顔と
唇の感触が頭から離れない
想い出せば出すほど幸せな気持ちでいっぱいになり
それは今日の嫌なことをすべて浄化してくれるように感じた
まったく安直な言い方だけれど
僕の心は満たされていたんだと思う

ウトウトしながら
考えなくちゃいけない大切なことがあったような気がした
しかし、もう頭が回らなかった
今日新垣が沖縄から帰ってきたこととか
Ｔの母親から受け取った僕宛の手紙のこととか
僕の意識といっしょに全部
黒紫色の渦の中に吸い込まれていった
　　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

お待ちしております

>>637
乙れす
俺の難しい選択っていつだったのか？まだ来てないのか？なんてこと考えちゃいました

深夜保

こ豆にほ

早朝ほ

起床ほ

h

ほ

作者さん乙です
坊主の憎たらしさがひどいなｗ
次回は久々のガキさん登場？

ほ

ほ

けきょ

ほ

ほ

ぜ

ん

保

田

ほ

ぜ

ん

ほ

ぜ

今晩も期待保

ほ

ぜ

ん

ガキすわぁん…

ほ

↑悪魔の数字

おまいら昼保全乙
こっからは俺にまかしとけ
過激にほっしゃん

今日は俄然強めに保全

亀田対策ほ

ほ

ボクシングスレが多杉だなｗ

きょうの狼は微妙に重い

うほっ

ほーい

ほ

さらに保

ひは保〜い

翌朝、まったくいつもと同じように絵里が迎えに来て
いっしょに図書館へ向かった

透明な衣のように薄白い朝の光
喉を直につく清涼感に満ちた空気
ふたりのゆったりとした歩調
初めてキスしたせいでの恥ずかしさ
相手をまっすぐに信頼できるあたたかい心
多くの時間を共有してきたことへの懐古の情
そして繋がれた僕と絵里の手
彼女の呼吸

すべてが一体となり
夏のこってりと暑い朝とは思えないほどに
心地が良かった
それらはばらばらに存在しているのではなく
本当に見事に調和していた
僕はそれらすべてを一瞬で感じ取ることができたのだ

「あたしたちって、、付き合ってるんだよね」
「もちろんさ」
とても素直に交わされた
短いふたりの会話だったと思う
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

図書館で僕は、相変わらず慎重に絵里に英語を教えていた
兎の言った『その日』というのが
もう過ぎ去ってしまったのか、あるいはこれからやってくるのか
とても気になっていた
どうしてよいかわからなかった数日前には
兎の言葉は僕の救いとなる啓示のように思えた
しかし、絵里を大切にしたいというはっきりした意思を持った今の僕にとって
兎の言葉はただの不安材料に過ぎなくなっていた
まったくもって自分勝手な発想だとはわかっていた
でもそういうものなんだと思った
　　　　　
絵里が嬉しそうに
１年前に窓に書かれた相合傘を
鉛筆の背の部分でなぞっていた
そして僕のほうを見て微笑んだ

（この関係を崩したくない
絵里を手放すわけにはいかないんだ）
そう思った
　　　　　　　　↓

８時半はとうに過ぎていた
新垣のことが気になった
あの日ひどい別れ方をしてから
１度も彼女と会っていない

昨日沖縄から帰ってきたはずだ
新垣は来ないのだろうか
絵里に聞けばすぐにわかる
でもそんなことはできない
絵里にこれ以上悲しい思いをさせるわけにはいかない

新垣や兎のことが頭を掠めるうちに
Ｔの手紙のことを思い出した
昨日はあまりにもたくさんのことがありすぎて
読むのを忘れてしまっていた
慌ててカバンを探ろうとしたが
坊主と悶着を起こしたときに土手にほっぽり出した僕の白いカバンは
ひどく汚れてしまっていたため今日は違うカバンを持ってきていた

「絵里、Ｔの手紙まだ読んでないんだ
どうしても気になるから今から取ってくる」
僕がそう言うと絵里はいっしょに行くと言った
それを優しく諭して僕はひとりで図書館を出た
ひとりになりたい理由があった
　　　　　　　　　　　　　↓

やはり気になっていた
たとえ傷つくことになるのだとしても
あのまま終わってしまうというのは
あまりにも悲しいことで
いつまでも後悔してしまうような気がした

（新垣ときちんと話がしたい）
僕は家までの道を遠回りして
トンネルへ向かった

少し走りながら時計に目をやると１１時１０分だった
こんな時間にいるはずはなかった
新垣と初めて仲良く話した終業式の前日
そして、新垣が雨の中に立って涙を流した次の日
僕が新垣に会いたいとき
きまって彼女は現れなかった
僕はとても寂しかった
そんな寂しいときに絵里がいてくれた
心は絵里に動いた
ずっと一人の人間を想い続けるということはできないという哀しさを
馬鹿みたいにわかりやすく表現する流行の安っぽいドラマが頭に浮かんだ
しかし僕もそれと何が違うというのか
僕が会いたいときに新垣はいない
僕が思いを伝えたいときに新垣はいない
ずっとそうだった
そういうはずだった


新垣はトンネルのいつもの場所に座っていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

僕は夢中で走った
はやくしないと彼女がいなくなってしまうように感じた
もう２度と会えなくなってしまうような気がしたんだ

「新垣！」
新垣は僕を見て
申し訳なさそうな顔をしながら
少し笑った

「おまえ、こんな時間になにやってんだよ！？」
僕は息も切れ切れに言った
「、、ママがね、、、もう、じゃましちゃいけないよ、、、って」
「、、、じゃま？じゃまってどういうことだよ？」
「絵里と、、うまくいったんだよね、、
よかったぁ、なんかあたしのせいでカメと君がうまくいかなかったら
どうしようって思ってたんだぁ、、、」
「な、なんだよそれ、、
魔女のお母さんがそんなことまで予言してるっていうのか？
ばかな！じゃまなもんか！
絵里だっておまえを待ってるはずさ！
もちろん俺だって！」
新垣のあまりにも悲しい言葉に僕は語気を荒げてしまっていた
新垣はそんな僕を見て優しく笑った
　　　　　　　　　　　　　　　↓

「、、とにかく、それについてどうしても新垣と話がしたいんだ
きちんと話したいんだよ」
新垣は黙って頷いた
「今は、、カメが図書館で待ってるから、、お願い、今は行って。
あとで、聞かせて」
「、、じゃあ、図書館がしまったあと、５時半、、
いや、急いですぐに来るから５時１０分！
５時１０分にここにいてくれよ！」
「わかった」

「頼むから来てくれよ、絶対にいなくならないでくれよ！」
僕はそう言い残すと図書館のほうへ走り出した
走りながらときどき振り向いたが
いつまでも新垣は僕を見送っていた
そして僕は手紙のことなんてすっかり忘れていた
　　　　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ｯ!!!!
乙です

乙です
毎日投下してくれるからありがたい

引き込まれてる
いいとこで切るなしかしｗ

もはや毎日の楽しみになってる
もうガキさんの笑顔は見れないのかなぁ

まったくもってw

眠いほ

ほ

おつ

おつ〜

ガキさん・・・

ガキさんは大和撫子だな
耐え難きを耐え忍び難きを忍び・・・
作者さん続きをお待ちしてます

がきさああああああん

ほ

保全するよ

ガキさ〜ん

今や狼は亀ちゃん一色ｗ
ガキさん頑張れ

じゃあガキさんメインのやつでも書くかな

穂

書くのはいいけど新スレ立ててな
ここでは別の読みたくない

ほ

>>701は昨日の亀田の試合スレ乱立を指摘しているのでわ

だね

でしょでしょ

　　　 __＿_＿_,._＿_, |;:;:.... |
　ﾟ　　 　 ｡　 : 　 　 ..:| |ｌ￣| 　このスレはキャプテンに監視されています
:　　 　 　 　 。　 　 ..:| |ｌ 　|
　　　　゜　　　　　:　..:| |ｌ＿|
　　:　　　　　　 ﾟ 　 ..:|;:;:.... |
　　　　ﾟ　　　: 　 　 ..:|;:;:.... |
　　　　　　゜　　:　　..:|;:;:.... |
　 。 　 　 　 　 　 ﾟ ..:|;:;:.... |ﾉハヽ
　　　:　　　　　:　　 ..:|;:;:.... |´・_・ﾘ
　ﾟ　　｡　　:　　　:　 ..:|;:;:.... |⊂ノ
　　:　　　　　　:　　 ..:|;:;:.... |
　　　　　 ,,.,､-‐''"´~ `ｰ-‐'

ほ

ぜ

く

し

ほ

待ちに徹する

泣きの龍

ほ

あんた　背中が煤けてるぜ・・・

キルトクール

今日は暑いなぁ

ほ

夜もｱﾁﾞｨ・・・

地球を

ギャリック砲

ほ

(・e・；≡；・e・)

デン　デン　デンジャラスアース

糞スレ

うぇうぇ

図書館に戻った僕は
まるで何も無かったようなふりをして
絵里の前に座った
絵里に話すべきことじゃない
こんなことを話したって
僕にとっても絵里にとっても
何もいいことはないのだ
そう思った

「手紙どうだった？」
僕は手紙のことをすっかり忘れてしまっていた
「え？あ、ああ、大したことじゃなかったよ
あの、、お薦めの洋楽のリストとか、うん、そんなんだった」
「、、そうなんだ」
長い付き合いだ
僕の挙動不審な様子を
絵里なら簡単に見抜いていただろう
それでも絵里はそれ以上何も言わなかった
ただ彼女は
僕を信頼してくれていたんだと思う
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

本来ならば絵里とふたりの
とても穏やかな勉強時間のはずだった
しかし僕はどうしても集中することができないでいた
まったく落ち着かなくて
数分刻みで時計を確認してしまっていた
新垣のことを考えずにはいられなかった

僕は話がしたいと新垣に告げた
しかし実際何を話すというのだろう
　『僕は絵里と付き合っています
　だから新垣の気持ちには応えられません』
いくらオブラートに包んで言ったところで
結局彼女に告げる内容の要旨はこういうことなのだ
これを僕は彼女にどんな顔で告げるのだろう？
こんなことに何か意味があるのだろうか？
僕は自分の感情に整理をつけ
ただ自分が楽になりたいだけなんじゃないだろうか？
僕は
ひどく彼女を傷つけてしまうんじゃないだろうか・・・

次々とネガティブな思考が頭を過り
僕は少し狼狽しはじめていた
　　　　　　　　　　　　↓

落ち着きを取り戻そうと
絵里にわからないくらいに軽く深呼吸をして
館内をゆっくりと見渡した
２０代後半といったところだろうか
襟のピシッとしたオフホワイトの上品なワイシャツを着た
いつもの図書館員と一瞬目が合った
それはまるで僕を責めているかのような目つきに感じられた

「絵里、ちょっとジュース買ってくるわ
何がいい？」
「んー、お茶」
「おっけ」
館内のこもった空気と澱んだ思考に耐えられなくり
僕は外に出た
　　　　　　　　↓

午後２時を少し過ぎていた
外はじりじりとした赤黄色い嫌な暑さだった
校門横の自動販売機にお金を入れながら
はじめて３人で図書館で勉強したとても暑い日
新垣が僕にホットのコーヒーをくれたのを思い出した
　『君は暑い中ダッシュで走ってきてのどが渇いてると思うから、はい、あま〜いコーヒー、ちなみにホットです』
僕の口元が自然と少しゆるんだ
「あれ、、、てかホットなんてねーじゃん、、」
校門の外の緩やかな坂にふと目を落とした
坂を降りていくと道が二手に分かれていて
そのひとつはあのトンネルに続いている
僕はもう一度時計を見た
２時１２分
「まさかね、、、」
　　　『とても静かでブルーに澄んだひとりぼっちの世界です』
「いくらなんでも、、」
　　　『電車を待っています 』
「、、考えすぎだよな」
　　　『でもいくら待っても電車はやって来ません』　
「ありえないよ、、いるわけない」
　　　『電車が来ないことを知っているのです 』
「、、、、、」

僕は自販機にお金を入れっぱなしのまま
静かに歩きはじめていた
　　　　　　　　　　↓

校門をくぐり
ゆっくりと歩いて坂をおりた
努めて何も考えないようにしていた
感情の開放は
僕に致命的な選択をさせてしまうような気がした
そこらへんの生温かい空気を吸い込んで
そのまま頭に詰めこんだ
あらゆる意味で僕は鈍化しなくてはいけない
そんなふうに思った

トンネルが視界に入ってきた
僕はさらに歩く速度を落として
感情のスイッチを完全にｏｆｆにした
これは僕が無慈悲な人間だったということではない
そうしなければ
あの光景を見た僕は
きっとぼろぼろ涙をこぼしてしまっていたと思うから


午後２時２１分
新垣は相変わらずあの場所に座っていた
彼女は
ずっと僕を待っていた
　　　　　　　　【つづく】

また明日続きを書かせてもらいます

乙！こうくるとは・・・・号泣していいですか｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡

ガキさん切ね〜（ＴＴ）

ほまき

なんとかしてみんな幸せにしてﾎｼｲW
せつないよ…

保

ガキさん、ガキさん

ho

ほぜん

絵里を泣かせる奴を俺は許さない

ho

亀なんてどうでもいい　里沙ちゃむを泣かせる奴は俺が許さない

ガキさん。･ﾟ･（ﾉД`）･ﾟ･｡

ほ

>>739
裸になるほど切ないのか･･･

切な過ぎてコマ劇場までガキさんを助けに来ました

亀にもガキさんにも友人の母親にもあまりに不誠実だ
このままだとまたみんな傷つくよ

ほ

ぜ

ん

し

ま

幼なじみスレ落ちてた('A`)

すぐ復活させよう

http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1154678549/
立てました

ほ

>>759
乙！！

ほ

ほ

ho

ぜ

ほ

ぜ

ん

ほ

テニス部編の続きﾏﾀﾞｰ？

待ち

私待つわ〜

いつまでも待たないよｗ

落ちそうだね

は

保全

ほ

ろそろそかな　ガキさんの涙・・・

ほぜん

ガキさん

ほ

朝保

　

ほ

ぜ

更新なかったのか。。。
テニスとかまだ読みたい奴いんのかｗ

ほ

ぜ

ん

ほ

の

>>786
ノ

ﾉｼ

ﾉｼ

まじでかｗ
あれ読んでる奴と今の読んでる奴ってかぶるのかい。。。

内容によるくくりじゃないとおも
例えばここも読んでて、もしもスレでエロ小説も読んでる人が大半だと思うし
小説読む人と読まない人っていう分かれになるんでない？

テニスって通り雨スレの最初に　偽春樹と一緒に書いてた奴だろ
なんかと勘違いしてないか？

ん？勘違いてどゆこと？

最初から偽春樹と庭球部の二本柱だったじゃん
>>795-796ってほかのスレの事言ってるんじゃないの？

いや勘違いじゃないっしょ

来る者は拒まず

そりは失礼した

ていうか偽春樹っていう名前で定着したのかｗ

俺が勝手に言ってるだけだから　気にしないでくれ

ほ

ほ

ぜ

暇だったんで物語を脳内でカイジ風に変換したら恐ろしく楽しくなった

ざわ

ざわ

ガキさんをトンネルで見つけたシーンだけで3ヶ月は持つな

ガキさんをトンネルで見つけたシーンでざわざわになるでしょ
あと坊さんがお経飛ばしたところでざわ

ほ

じぇ

りお

ノゲ

い

ら

vs

小

川

麻

琴

なんでやねんｗ

ちょっと待てよ
俺最初にスレ立てた者だけどなんで3まで続いてるんだ
毎日狼にいるのに今気付いたぞ

>>825
神乙

>>825　乙ｗ
あれから偽春樹が神作生み出したｗ

あんたの蒔いた種が大きく育ったな

伝説が生まれた

ほ

そして伝説へ

ほ

僕はとても静かに
そしてゆっくりとトンネルの中に入った
新垣は僕の足音に気がついて僕のほうをすぐに見たが
何も言わなかった
ただ黙って僕をじっと見ていた
新垣の表情からその感情を汲み取ることはできなかった
周りの音が何も聞こえなくなり
この世の果てにふたりきりでいるような錯覚を起こした

「おまえ、、、何やってんだよ、、、」
音は失われていなかった
僕は声を発することができた
「なぁ、、新垣、、、」
新垣は何も言わなかった

彼女がひそかに僕らの名前を記した壁を背にして
僕は彼女のとなりにそっと座った


「、、、なんで来たの」
「、、、なんでいるんだよ」
この世の果てで
ふたりはぽつりぽつりと話しはじめた
　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「おまえ、まさか５時１０分まで、、
ずっとここで待ってるつもりだったのか、、？」
「あたしは、、、」
「やめてくれよ、、つらいんだよ、、、
誰かが悲しい思いとかしてんの、、俺もう見てられないんだよ、、」
「、、悲しくなんかないよ
だって５時１０分になれば君が来ることになってるんだもん
待ってさえいれば絶対に会えるんだから、、、
だから悲しくなんかないよ
好きな人を待ってるのは、、、
すごく幸せなことだよ
それにあたしは今まで随分長い間君を待ってたから
６時間なんて、、全然平気だよ、、、」

今すぐ新垣を抱きしめてやりたかった
でもそれは絶対にしてはいけないことだ
僕は絵里を選んだのだ
いや、はっきり選んだわけではない
数々の点のような些細なきっかけが
そう本当にたくさんの出来事が集まって
やがてそれは細い線になり僕を絵里に導いた
確かに自発的なものではなかったかもしれない
しかし過程がどうであれ
とにかく僕は絵里を選んだし
絵里とキスをした
僕は絵里とキスをしたんだ

「絵里とキスしたんだ」
僕の口からとても残酷な言葉が放たれた
　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

「絵里とキスしたんだ」
「、、うん」
「だから、もう、、待つなよ、、、
おまえがこんなことを続けても
、、誰も得しないんだよ、、誰のためにもならない
俺にとっても、おまえにとっても、、、、絵里にとっても」
「、、うん」
「もう、、俺を待つな、、、」
「、、うん」

僕は完全に感情を捨て去って
新垣にひどい言葉を・・・
本当にひどい言葉を伝えた
彼女は僕のすぐとなりで
ただ小さく
「うん」
と言っていた
　　　　　　　↓

僕はそれ以上何も言えなくなった
これだけ残酷な言葉を一方的に吐き捨てたあと
僕は我侭に沈黙した
　　
　　君には２人ともを助けることはできないよ
　　せいぜいどちらかを助けることくらいだね

Ｔの言葉が脳裏によぎった
僕は絵里を助けることにしたんだ
だから・・・

やがて新垣がぽつりと言った
「カメラ、、、」
「え？」
「カメラ持ってきたんだ
撮ってくれないかな」
「、、、ふたりで？」
「ううん、あたしだけ撮って
、、今まであたしがどんな風に君を待ってたのか
自分で見てみたいの」
「、、やめろよ、、、そんなの、、
そんなの悲しすぎるだろ、、」
「お願い、、、本当に、最後にひとつだけお願い、、」

『最後に』
新垣はそう言った
とてもつらそうにそう言ったんだ
　　　　　　　　　　　　　　↓

新垣の手から小型のカメラを受け取り
僕はファインダー越しに彼女を捉えた
新垣はいつもの場所に座って
僕を見ていた

「笑ってくれよ」
新垣は今にも泣き出してしまいそうな顔で
カメラのこちらにいる僕を見ていた
ひどく我慢しているのが容易にわかった
肩が少し震えていた
きっと顔をこちらに向けているだけでも
つらかったはずだ
「頼むよ、、、笑ってくれよ、、」

新垣は無理に笑顔を作った
彼女なりの最高の笑顔のつもりだったんじゃないかと思う
でもそれはぎこちなくて
寂しさの漂うものだった
それでも素敵な笑顔だった
僕はシャッターを切った

「、、撮ったよ」
「、、、ありがとう」
彼女はこんな僕にお礼を言った
ありがとうって言った
申し訳なくて
本当に申し訳なくて
できることは何でもしてあげたいと思ったけれど
僕は何もしてあげられなかった
　　　　　　　　　　　　　　【つづく】

昨日は体調不良で書けませんでした
１０年ぶりくらいでしょうか、嘔吐してしまいました
随分長い間吐いていたので、止まらないんじゃないかと怖くなりました
ゾンビみたいな音がしてすごく自分にがっかりしました

また明日続きを書かせてもらいます

乙です
いいねー誰かドラマ化してくれ

>>838
体調大丈夫？
体力消耗しがちな時期だから気を付けてね
それにしてもガキさん切ねえ・・・

号泣・・・（ＴＴ）
これはマジでドラマに出来る！

Tの手紙が最後のキーワードか
早く読みたい

ほ

>>838 乙
ていうか神作すぎだろｗ

自分にがっかりしないで

ほ

ほ

良すぎる

（　・ｅ・）＜ きょうは広島平和記念式典なのだ
　　　　　　　 秋葉市長はｶｯｺｲｲのだ

今週も気が向いたら一票いっとけ
http://musume-rakuen.sakura.ne.jp/vote/index.html

今のままでは誰も幸せにならないのか

（　・ｅ・）＜ それよりも作家先生の体調が心配なのだ
　　　　　　つ∵　お薬と
　　　　　　つ旦　白湯ﾄﾞｿﾞ

アイスキュロス

保全

ほ

ぜ

nn

ほ

h

ほ

も

さ

ぴ

え

ん

ぴ

なんでやねんｗ

�d�dやりたかったorz

ほ

ほ

に

傷の

ある

剣

士

ヌ

|

ブラ

太郎

時貞

死去

享年

万作

無理

ヌーブラ太郎時貞って誰やねんｗ

親父

の

背中

の

毛

根を

姉

歯

物件に

たとえると

海の

トリトン

DVD

９００

ガ
キ
さ
ん

情熱☆

大陸

棚

は意外と

大きくて

あ・・・熱い・・・

こんなの・・・

入んない

次スレ？

の季節

ほ

「、、、じゃあ、行くね、、」
「、、新垣！」
僕は叫んだ

すべての感情を切り捨て
鈍化に徹していたはずなのに
僕は叫んだ
これからも学校で会うことだって勿論あるだろう
うまくいけば会話だってできるかもしれない
何もこれが最後の別れというわけではないのだ
そのはずなのに
僕はひどく不安になった
えも言えぬ焦燥感が
体の内側から僕を突き刺していた

「、、ひとつだけいいかな」
「、、、うん」

蒸気を発散するかのような音をした無数のセミの声が
その場の主導権を握っているように感じられる中
僕は話しはじめた　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　↓

「俺さ、医学部に行くんだ、、」
「うん」
「父さんが医者で開業してるんだ
、、小さいんだけどね
父さんにとってはそれはすごく大事なもので
俺についで欲しいんだと思う
小さいときからずっと医者になるようにって
俺に言ってきたんだ」
「うん」
「でもさ、、
俺ほんとはやりたいことがあるんだよ
だから医学部にも行きたくない
、、けど、、この間父さんと話した時にさ
父さんが別のことしてもいいって言ってくれて、、
俺決めたんだ
俺は医学部に行くよ」
「・・・」
「それで、、ひとつ気になってることがあるんだ
前にさ、どこかに別の世界があって
そこでは新垣はモーニング娘でっていう話したじゃん」
「うん」
「、、、俺って、向こうの世界では俺がなりたかったものに
なれてるのかな、、」
　　　　　　　　　↓

運命と言ってしまえば聞こえは良いし
抽象的でぼやけた答えとして理想的なのかもしれない
しかしやはり、なぜこのときこんな話をしたのか
今でもまったくよくわからない
誰かに聞いて欲しかったのか
それとも新垣だから聞いて欲しかったのか
いずれにせよ、これがとても複雑に交錯する糸を
後々ひとつに結びつけるきっかけとなった
　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓

新垣は僕の目をしっかりと見て言った
「君は、、、
きっとこの世界で君のなりたいものになれるよ」
「え？」
「、、それでお父さんはすごく喜んでくれると思うな」
「、、、でも俺は、、」
「あきらめないで、、
絶対、、あきらめないで」

新垣はそれだけ言うと
制服のスカートのおしりの部分をサッと払って
カバンを拾い上げた
それから僕の目をもう１度じっと見た
寂しいマリンブルーの世界で
それはどこか現実離れしているように感じた


「、、、ばいばい」


本当に小さな声でそう言って
彼女は歩き出したんだ
　　　　　　　　　↓

新垣が行ってしまう

僕が伝えたかったのは
こんなことじゃない
これまでずっと肝心な時に何も言えなかった
それが原因でたくさん新垣を傷つけた
僕は新垣が好きだ
でも絵里を選んだ
新垣は僕をいつも待っていた
彼女は僕をずっと好きでいてくれた
僕は本当に感謝しなくてはいけないし
謝らなくてはいけないこともある
きちんと話さなくてはいけない
今までのようではいけない
感情をｏｆｆにしたこんなずるいやり方ではいけない

「俺は！」

新垣の背中に投げかけた
彼女はこちらを振り向くことなく
その場に立ち止った
　　　　　　　　　↓

僕は精一杯思いのたけを新垣にぶつけたつもりだった
でも僕の喉からは何の言葉も発せられなかった

　　　音を失うというのはとてもつらいだろう？

つらい
伝えたいんだ
僕は新垣に何もしてやれていない
何も

新垣はそっと顔だけこちらに向けて
「だいじょうぶ、全部わかってるから
君は、、、そのままでいいんだよ」
最後に笑顔でそう言った
彼女の頬をたくさん涙がつたっていた
↓

そうか・・・
またそうやって
僕に見せないように
ひとりで泣いていたのか
いつもそうやって

彼女の背中が見えなくなっても
僕はずっと見ていた
そしてトンネルの壁を思いっきり殴った
骨が折れたかもしれない
とても痛かった
痛くなくてはいけないと思った
血もたくさん出て
右手は思うように動かなくなった
それでもこんな痛みでは
全然足りないと思った
　　　　　　　【つづく】

>>840
ありがとうございます
>>852
ガキさんありがとう（癒され

また明日続きを書かせてもらいます

乙
体調はもう大丈夫？
で頬に傷のある剣士ヌーブラ太郎時貞はいつ出ますか？

里沙ちゃん･ﾟ･(つД`)･ﾟ･

ガキさんは俺が慰める

いや、俺が慰めるよ

いやいやここは俺が慰めるよ

ほ

る

ぜ

ウホッ