もしもミキティが幼なじみの隣の娘だったら 5?冊目
1 :
名無し募集中。。。:
2 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 11:34:08.98 0
誰も気づかないで終わりそうなヨヨカン
3 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 11:43:54.87 0
\ /
\ /
\ /
\ /
\ /
\∧∧∧∧/
< 俺 >
< 予 し >
< か >
─────────< 感 い >──────────
< な >
< !!! い >
/∨∨∨∨\
/ ∧_∧ !! \
/ (;´_ゝ`) \
/ / \ \
/ / / ̄ ̄ ̄ ̄/ \
/ __(__ニつ/ vaio /_ \
\/____/
4 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 11:46:13.00 0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
5 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 11:57:01.52 0
>>4 キタ━━━━━━━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!!
6 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 11:58:55.77 0
こんなスレあったのかああああああああああああああああああああああああああああああ
7 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 12:52:48.74 0
な〜んども〜聞くから〜首を縦に振らない〜
8 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 12:58:36.38 0
このスレ自体がだめだこりゃになりそうな気がするからage
9 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 14:28:03.16 0
おい、もうちょっと保全頑張ろうよ
せっかく復活したんだから
10 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 14:47:31.71 0
実質37〜8冊目じゃないか?
11 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 14:50:43.03 O
スマン!テキトーに立てたから何冊目かわからん
12 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 14:53:03.52 0
50はいってないよな、確かに
13 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 15:21:07.15 0
14 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 16:09:35.16 0
俺のログには44冊目の次に何冊目?ってやつが2つあるage
15 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 16:47:18.14 0
トナミキ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
16 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 16:51:55.64 0
ネタが重複したっていいじゃない
にんげんだもの みつお♂
17 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 16:57:02.68 0
トナミ運輸かとオモタ
19 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 18:39:59.50 0
何冊目だっていいじゃないか
復活したことに意義があるのだよ
20 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 20:07:18.14 0
保守保守
21 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 21:14:47.36 O
クラブから帰宅中
幼なじみほすぃ〜
h
23 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 21:51:37.60 0
書くか
24 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 21:59:06.44 0
待ってるよ
25 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 21:59:08.21 0
幼なじみスレ復活おめ!
26 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 22:26:55.92 0
あり!
27 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 00:01:18.51 0
保全しちゃうよ
保全っと
29 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 02:08:00.04 0
久しぶりだな
30 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 02:42:32.86 0
ほ
31 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 03:25:46.82 0
おちるよz
落ちないで
33 :
名無し募集中。。。 :2006/07/09(日) 03:55:30.10 0
実際は何冊目?47冊目ってことになるのか?
34 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 05:20:09.24 0
ho
35 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 07:03:16.18 0
ミキティには幼なじみが良く似合う
36 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 10:14:30.10 0
ze
37 :
高田:2006/07/09(日) 11:26:15.45 O
ハロモニでも見ようぜ
高田いたのか高田
ハロモニやってねーよ
h
高田だw
42 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 13:20:44.59 O
後輩スレが落ちて探してたら久しぶりの発見
43 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 13:28:30.67 O
復活してるー乙
44 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 14:01:14.70 0
「あ、そうだ美貴」
「何よ」
「マッサージしてよ(ゴロン)」
「何でよ」
「人の部屋にきて漫画読むだけで帰るってのもあれだしょ?」
「ったく、しょうがないなぁ…ちょっと乗るね(ガバス)」
「おっ!重い!」
「こらっ!重いゆうな!(ペシッ!)」
「まあまあ、始めてくれたまえ」
「何よそれ…じゃあ、するね(ギュッ)」
「もうちょい上」
「首筋?(ギュッ)」
「うん」
「どう?(ギュッ)」
「よかよか、そこから下に下ろしていって」
「背骨に沿って?(ギュッ)」
「うん」
「(ギュッ)指圧の(ギュッ)心は(ギュッ)母心〜(ギュッ)」
「古っ!」
「あの人亡くなったんだってね」
「だね…」
「…あーもう!あんたの背中硬すぎ!しかもでか過ぎ!(ぺちぺち)」
「叩くな」
「何でこんなにおっきくなっちゃったのよ!前は私より小さかったくせに」
「年をとったんだよ。…お前こそ」
「何よ」
「ケツがでかくて重い」
「…このバカ(こめかみを左右からグリグリ)」
「あいた!頭はマッサージしなくていいから!」
「一番悪いところしてやってんのよ、うりうり(ぐりぐり)」
「痛い痛い悪かった許してちょんまげ」
みたいな関係。
47 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 15:35:02.31 0
48 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 16:34:46.89 0
ほ
49 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 17:07:00.40 0
「おい、美貴ちょっといいかな」
「ごめん後にして」
「そんなに時間とらせないから」
「ったく、なんだよ」
「あ、あのさ」
「早く言えバカ」
「キ、キスしたい、な」
「はぁ?バカじゃないの。 この変態」
「やっぱりだめだよな」
「どこにしてほしいの?」
「えっ!」
実話を基にかいてみました。
下手くそですいません
50 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 17:13:08.04 0
そなげ?
「やっほー久しぶりー♪○○、元気ー?」
美貴が勢い良く鍵を掛けておいたはずの窓を開けておれの部屋に入ってきたとき、
おれは全裸でPCに向かい、うなだれた一物と、オナニーをしようかどうしようか
相談しているところだった。
「なにまたオナニー?相変わらず好きだよね−。彼女とエッチでもしたら?」
美貴は両目をくろい三日月にしながら言った。上機嫌だった。
「知っての通り彼女なんかいない。ヤケ抜きだ」
おれは仕方なくトランクスを履きながら応えた。
「何々、なんかあった?美貴が相談乗ったげるよ。言ってみな?」
上機嫌なまま美貴は言った。
「真希ちゃんが今度はカンコク人と付き合ってるとかナントカ」
「あーあの話ね。まあごっちんていつもあの調子じゃん。つか○○、ごっちんになんも
アプローチとかして無いじゃん。カンコク人と別れたら美貴が言っといたげよっか?」
美貴はなにやらつまらなさそうに、虫けらを見る目でおれを見ながら言った。
「いらない。おれのようなキモメンを相手にしてくれるような女は地球上にはいない」
「えーそんな自虐するほどかなー。じゃさ、○○じゃなきゃイヤっ!なんて娘いたら○○どうする?
結婚まで行っちゃう?」
「そんな娘とじゃなきゃおれは結婚なんか出来ない。しかしそんな娘はどこにも居ない」
「ふうーん、そうなんだあ…」
言って美貴はにこにこ微笑みながらおれの顔を覗き込んだ。
「ナニがおかしいんだ。バカにするだけとかなら帰れ。おれはもうふて寝する」
「沿い寝したげよっか。眠るまで居たげる」
勢い込んで美貴は言った。声が明らかに弾んでいた。
「うっさいうっさい。帰れ」
おれはベッドへダイブして枕を抱いた。
「なあーによ。せっかく久々に遊びに来てやったのに。じゃあね」
美貴はなにやら不服そうに言って窓からベランダへ出、窓を閉めながら続けた。
「さびしくなったらいつでも言いなよ。美貴が慰めたげるから」
なんだかとても優しい声音だった。静かに窓が閉じられた。
おれはなぜかとても安らかに昼寝に堕ちた。
だ め だ こ り ゃ
53 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 19:03:50.29 0
ほ
54 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 19:05:58.48 0
カンコク詳しく
55 :
42:2006/07/09(日) 20:01:58.96 O
56 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 20:28:35.91 0
だめだこりゃ忘れてたw
57 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 21:37:09.75 0
ho
58 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 22:11:18.69 0
ほ
59 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 22:26:41.63 0
イイヨイイヨ〜
ho
これはもうだめかもしれんね
62 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 23:40:39.08 0
ほ
63 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 00:39:44.58 0
ze
うむ
あなたにいじわる気持ちを知ってて
66 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 05:09:20.68 0
n
ho
68 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 07:28:39.73 0
川VvV)<おはゆー
69 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 08:01:07.54 O
ほ
70 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 11:10:29.90 O
从*VvV)<わにちんこ
71 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 12:39:01.08 O
ほ
72 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 14:44:10.51 0
落としてなるものか
73 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 15:16:39.06 O
从 VvV)
74 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 17:14:18.02 0
从VvV从
75 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 17:45:38.95 O
ほ
76 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 19:06:06.23 0
ほ
77 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 19:47:29.61 0
从VvV)<海行く?
h
79 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 21:31:11.77 0
\ /
\ /
\ /
\ /
\ /
\∧∧∧∧/
< な ミ >
< い キ >
< 予 し >
─────────< 感 か >──────────
< い >
< !!! >
/∨∨∨∨\
/ ノノハヽ !! \
/ 从VvV) \
/ / \ \
/ / / ̄ ̄ ̄ ̄/ \
/ __(__ニつ/ 書院 /_ \
\/____/
80 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 21:57:46.15 O
从 v )
例によってズッコケとエレカシと飛亡とリー待ちなのか?
82 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 22:48:00.50 O
ほ
83 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 22:49:59.89 0
作家募集中。。。
84 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 23:29:45.16 0
从VvV)<もう終わっちゃったのかな、美貴たち…
もう少し保全してくれれば書けるかも
明日明後日はちょっと立て込んでるからきついけど・・・
86 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 00:44:07.35 0
ホントだな
じゃあ保全すりゅ
87 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 01:47:30.37 0
すりゅ
┌○┐
ミ │保 |ノハヽ
│ |VvV)
ミ │全 |⊂_ノ
└─┘(⌒)
し⌒
89 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 03:24:18.18 0
美貴様乙
90 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 05:23:43.71 0
ho
91 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 06:42:01.29 0
するね
92 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 07:59:45.32 O
ほ
うむ
94 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 10:19:46.80 0
じゃあぼくも書く
h
96 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 12:32:33.26 O
从VvV)
97 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 13:41:07.26 O
ほ
ほ
「窓の外は雨、雨が降ってるう」
美貴は窓の対面にある出窓のスペースでひざを抱えて、歌を口ずさんでいた。
僕はそれを横目で気にしながらソファーで本を読んでいる。
美貴は窓から外をじっと見て、また歌った。
「ちいさくても鼻声だな」
そんな突っ込みにも振り向かず、美貴はそのあとの歌詞をハミングでごまかして左手の爪だけに
塗ったマニキュアを見た。僕はソファーを立ち、美貴の肩越しに窓の外を見た。
雲が足早に流れ、空の形を往々と変え、窓のふちでは風も巻いている。
「何も用事無いんだったら帰ってもらってもいいんだけど」
僕は心にも無いことを美貴のすぐそばでさらりと言った。
美貴は一度顔を上げた後、退屈そうな顔をしながらまた自分の爪を見、ハミングを続けた。
美貴の爪の所々には星のラメが貼ってある。
少しだけ手を傾けると、薄暗い部屋の中でもそれはキラキラと輝いた。
僕はひとつ鼻息で不機嫌を示してからソファーに戻った。音楽でもかけようかと思ったが、
CDデッキが僕のお気に入りを飲み込んだまま壊れたことを思い出して止めた。
しばらくして美貴は靴下を脱いでペディキュアを塗り始めた。真っ青な塗料が筆の先にとられ、
足の爪に乗せられていく。少しはみ出した部分をティッシュでぬぐいながら美貴は筆を進めた。
ひとつ爪を塗り終わるたびに美貴は「よしっ」と声をあげた。僕はそのたびにソファーの上、
本のふちから美貴を見た。白い肌に青い爪、硬そうなくるぶし、そのくるぶしまでかかる長い髪、
ハリのあるふくらはぎ。右手の指先は青い塗料がまだらに染めている。
また本に目を落していると、ふうふう、という音が聞こえてきた。
美貴の方を見ると、体を丸めて足先に息を吹きかけ、爪を乾かそうとしていた。
回し蹴りの素振りをしたりした方が早く乾くんじゃないか、と思ったが口に出すのは止めた。
これ以上美貴が強くなったら不味いと、僕はこれまで何度蹴られたか分からない太腿を擦った。
何度か人差し指の腹で足の爪を触り、乾いたのを確かめると美貴は、へへっと、小さく笑った。
そして出窓の床に左手と左足を並べ、携帯電話で写真を撮った。
カシャッという電子音が静かな部屋に響いた。一瞬、高い山に登ったときのように
耳の聞こえがおかしくなったが、窓を叩くあられの音と耳抜きでそれは直った。
美貴は携帯電話の画面で撮影結果を確認したあと、何度か親指を動かしてそれを保存した。
そしてストラップを付けていない携帯電話を脇に置き、ひとつため息を吐いた。
そしてかたわらからウェットティッシュを取り出し、指のマニキュアを剥ぎ始めた。
何で剥ぐの、と言いかけてまた止めた。美貴の行動に理由を求めるのは無駄なことだった。
美貴は、したいことをしたい時にするし理由も答えたい時に答える。たとえ理由が答えられたと
してもそれが理解できないことも多かった。それはお互いが成長するにつれて顕著になっていった。
だから今は美貴のやりたいようにやらせる事にしている。勝手に部屋に上がりこむのも良し、
CDがデッキに飲み込まれたまま出てこないのを僕に黙っとくのも良し、僕が本を読んでいるそばで
DVDを見るのも良し。
気が付くと美貴はテレビの下の棚からプレステを取り出していた。
右手にはDVDのケースが握られており、その中身は空だった。美貴はプレステの中に
ディスクが入ってると思ったのだろう。電源を入れ、テレビの対面にあるソファーに座る僕の隣に
座った。さっきまでいた出窓には青く染められたウェットティッシュがそのまま散らかされていた。
窓から差し込む薄明るい光に包まれて、それはまるで中心が青い白バラのように見えた。
テレビの左右のBOSEスピーカーが湿った部屋に控えめな重低音を響かせ始めた。
しかしテレビ画面に登場したのはお目当てのキョンシーでは無かった。
いわゆるひとつのアダルトDVDであり、昨夜お世話になったまましまい忘れた
ものであり、しかも巨乳モノだった。ヤバイと思って美貴の方を見た時には、
すでに目の前にコブシがあって、痛みを感じる前に鼻血が出てた。
「あんたってさぁ」
そう冷たく言い放ちながら、殴った手を痛そうに振る美貴が見たものは、
僕の止まらない鼻血だった。一晩煮込んだデミグラスソースのようなトロみのある
赤黒い血がお椀の形にした僕の両手に溜まっていった。
「ねえ、出すぎじゃない?」
そう言いながら面倒くさそうにティッシュを僕に当てる美貴が霞んで見えた。
美貴の顔は見る見るうちに不安げな表情に変わっていった。
「ほんと大丈夫?」
「貧血って初めてかも」
そう言って僕は気を失った。
目を開けるとそこには流れる光が無数にあった。それは無数のカラフルな流れ星のように見えた。
ただその星は右から左へと水平方向に流れていて、近い星ほど早く通り過ぎ、
遠い星ほど遅く流れていた。そこが電車内で、流れているのは街の灯りだと気付いたのは、
カタンカタンと車体が線路の継ぎ目をジャンプする音を聞いた時だった。
椅子に座り直し、胸元で腕を組んで車内を見回した。特急の指定席はほぼ空席だった。
隣の席と網棚の上に置いた荷物を確認して、また窓の外を見た。
実家の近くの駅まであと2時間ちょい。就職してから帰省するのはこれで三回目だ。
久しぶりに見た美貴の夢に、僕の心はほんの少しだけ高まっていた。
脇の鞄を開け、紙包みを取り出す。大きさの割りに重いそれの形を指先で感じながら、窓の外を見た。
電車は走行音を大きくして橋の上を通過している。川べりのネオンを反射する川を見て、
僕は子供のころの事を思い出した。
あれはまだ僕たちが小学校低学年で、たぶん夏の土曜日の午後だったと思う。
学校が終わってトボトボと家に帰ろうとしていた僕をうしろから呼び止めたのは
給食袋を振り回しながら駆け寄ってくる美貴だった。
「うおおい!」
徐々にスピードを落として隣に並んでくる。そして美貴は僕を少し追い抜いたところで
ピタッと止まり、「さ、帰ろう?」と一緒に歩き始めた。
僕は何度も振り返り、クラスの奴に見つかっていないかどうか確かめながら歩いた。
見られたら「やーい、いろおとこ!」とか言われるに決まってる。
美貴はそんな僕の気持ちを知ってか知らずか、うろちょろして周りを伺う僕の後を
金魚のフンのようにちょこまかと尾行した。
それも飽きたのか美貴はランドセルと給食袋をを僕に預け、道路に落ちたプルトップを
半分に折って丸い方を飛ばしたり、猫じゃらしの穂をむしり取って僕のランドセルの隙間に
刺したりしはじめた。僕はそんな美貴の分のランドセルを体の前にしょい、自分のランドセルは
背中に背負ったまま、サンドイッチマンのようになって美貴の傍らをトボトボと歩いていた。
しばらくして通学路唯一の小さな橋にさしかかった。田園地帯の三級河川にかかる幅10m、
長さ15m程のその橋は、コンクリートで出来ているものの車が通ると波のように大きく揺れる、
子供心にもちょっと怖い橋だった。僕は車が離合しないことを確認して、うしろでしゃがみながら
草の裏を除き見ている美貴より先に小走りでその橋を渡りきった。
振り返ると、橋の手すりに肘を付き、川面をじっと眺める美貴が見えた。
その手の先でくるくると回されていた葉っぱが、ふと離された。
ひらひらと回転しながら落ちるその葉っぱは、さっき美貴がしゃがんで眺めていたものだった。
裏が白くて産毛のような毛が生えているその葉は、10回転ほどしたあと流れの速い水面に落ちた。
葉っぱは流れのくびれた部分を流れ落ち、ゆるやかな流れ溜まりを経てまたゆっくりと流れていった。
それを美貴の隣まで来て眺めていた僕に、同じように葉っぱの行方を眺めている美貴が言った。
「川って海につながってんしょ?」
「たぶん」
「じゃあ確かめに行こう」
そう言い終わるか終わらないかの内に美貴は川べりの農道に駆け下り、川下の方向へと進んでいた。
川の方を見ながら元気良く跳ねる美貴の背中を見、正午の高い太陽を細めで眺め、
僕は小さなため息を吐いた。
給食袋をランドセルのフックに吊り下げ、靴のベロをきつく絞め直して歩き続けた。
川はくねくねと進みを蛇行させつつ下流へと伸びていた。
ただどれだけ歩いても田園風景は変わらず、右に川があり左に田圃が見えた。
かすんだ空気と淀んだ風を両ほほにじとじとと、感じる。
汗がだらだらと流れ、Tシャツの襟元はすでにびしょびしょになっていた。
太陽の表面のように熱い空気が肺に入って、そして出て行った。その度にまた汗が出て、
短パンの足を伝い、靴下を塗らした。持っていたタオルを赤白帽の上から頭に被り、
時間が止まったかのような真夏の午後をひたすら歩き続けた。
美貴はというと元気すぎるほど元気で、いつから拾っていたのか分からない木の枝を刀代わりにして
土手の草をバッサバッサと斬りながら進んでいる。汗で前髪が広いオデコにくっついたりしてるが
気にしてないらしい。
「おりゃぁ!おりゃぁ!」
声が高い、聞きなれた美貴の声。
これが成長して声が低くなったりして「オルァァ」とか言い出さないことをせつに願う。
105 :
◆YC00ES2YW2 :2006/07/11(火) 17:48:06.18 0
しばらくして川が広くなってきた所で僕たちは河川敷に降りた。
こぶし大の石がゴロゴロしてる中をフラフラしながら歩く。美貴は一足先に川べりまで達し、
ハンカチを水に浸していた。
「何やってるの?」
何とか追いついて聞くと、美貴はそのハンカチを絞り、頭に載せた。
「こうすれば暑くなくないよ」
それ日本語おかしくね?と思いながらも「僕も」とか言ってかぶっていたタオルを
川の水に浸し、そして絞った。それをまた帽子の上から被り、中流だったこともあって
それほど川の水は冷たく無かったけども、だいぶ暑さをが和らいだように感じた。
でもまた歩くのかと思い始めたとき美貴が水切りを始めたので、僕はそこらの石に座って一息ついた。
空はペンキのように青く、雲はクリームのデコレーションのように白くモコモコしていた。
どこかの牧場で食べたソフトクリームを思い出し、熱さで溶ける雲の姿を思った。
浅い川は底がすぐ見え、その表面で太陽の光をきらきらと反射している。
魚が跳ねた、と思ったが気のせいだった。美貴の水切りだった。
第一球、山田久志よろしくアンダースローで投げられた石は一度も跳ねること無く水中に沈んだ。
第二球、第三球ともに同じ結果で、最終的にたった十球でそのゲームは終了を迎えた。
今日はこんくらいにしといたろか、とでも言いそうな態度で美貴は両手をパンパンと払い、
川面をにらんだ。そのあと「じゃあ行こか?」と言って僕を手招きして川下へ歩き始めた。
僕は立ち上がり、ランドセルをしょい直した。
河川敷を出て土手を登り始めたころ、前を進む美貴が歌を歌い始めた。
「ニンニキニキニキ、ニンニキニキニキ、ニニンがサンゾー!」
再放送でやってるやつだ。僕はやけくそ気味に声を合わせた。
「おなかすいたぞ!くたびれちゃったぞ!」
その声はすでに元気が無かった。
「ワタシがいれぇば、だいじょうブンブクブン♪」
美貴は後ろ向きに歩きながらそう歌った。
「ゴーゴーウェス!」
美貴は相変わらず同じ歌を歌いながら前を歩いている。もう一時間近くになる。
河川敷から土手の上の道に戻り、途中からサイクリングロードの上を歩くようになった。
それにしても暑い。地面から出た湯気で遠くが歪んで見えるようになってきた。
もしかしたら倒れるんじゃないかとか思えてくる。もうどんぐらい歩いてきただろうか。
振り返って見ると、来た道も歪んでいた。僕はまた前を向き直し、歩き始めた。
すると、しゃがんでいる美貴にひざがドンとぶつかった。
「痛い!」
「どうした?美貴ちゃん」
僕は汗を拭きながら聞いた。美貴は広くなって緩やかな流れになってきた川面に視線を戻し、
考え込んでいた。僕はその後ろでタオルを絞り、流れ出る大量の水にひとり驚いていた。
アスファルトに落ちた汗が見る見る内にじゅわじゅわと蒸発していく。
しばらくして美貴が口を開いた。
「川の始まりってさぁ」
「え?」
「川って下流に行くと海につながってんでしょ?」
「うん、だからそれを確かめに…」
美貴は僕の答えを遮って、続けた。
「じゃあ上流に行くと何処とつながってんの?」
こりゃ難しい問題が出てきたぞ、と思いながらぼやける頭でなんとか考えた。
「海の反対、…空、とか?」
「うっそだぁ」
美貴はひとさし指を指して僕を笑った。しかし途端に真顔に戻り、また笑顔になったあと、
「ぜったい嘘だね」とか言いながら来た道を戻り始めた。
パタパタと小走りする音がやけに耳に響いた。
「どこ行くの?海こっちだよ」
美貴は立ち止まり、振り返って答えた。
「海につながってるの美貴知ってるから、こないだ見たもん。
だから、空につながってるかどうか確かめてやる」
「は?」
「嘘ついたらハリセンボンだかんね」
そう言って美貴はまた来た道を戻り始めた。
「ちょっとぉ」と言ってついて行く僕をまた振り返ったときの美貴は笑顔だった。
そしてまた来た道を戻り始めるふたり。
「東へ向かうぞニンニキニキニキニン!」
美貴は相変わらず元気よく歌っている。心なしか下りよりも元気な気もするが
それは思い違いかもしれない。美貴のシャツの背中も汗が滲んでいた。
じっと見ると美貴がふいに振り返った。僕は視線を川に反らし、歩いた。
もうどれだだけ歩いただろうか。美貴との距離は15mほどに開いている。
ランドセルにぶら下げた給食袋が地面をする音が聞こえる。ずるずる、ずるずる。
太陽が肌を焼く音が聞こえる。じりじり、じりじり。
体から汗が蒸発する音が聞こえたか聞こえないかしたところで僕の意識はまた切れた。
次に目を醒ましたのは中学校の図書室だった。
大きな古い机にうつ伏せに眠っていたらしく、ノートはよだれでびしょびしょになっている。
「うわっ!きちゃな!」
ノートをハンカチで拭きながら前に目を向けるとそこには制服を着た美貴が居た。
「あんた、よだれ出すクセ直した方が良いよ。たしかあん時も…」
美貴はそう言って宙を見つめ、少し考えた。
僕は、うるせーな、とハンカチをたたみ直しながら言った。すると美貴は
「あん時はよだれじゃなくて泡だったかも」と言ってあごに手をあてて考えた。
「いつ?」
「ちっちゃいとき日射病で倒れたじゃんあんた、覚えてない?」
そう言って美貴が指した指を払いのけながら答えた。
「忘られる訳ない、三途の川の手前まで行ったんだぞ」
「あの川って三途の川って名前だったっけ」
「そういう意味じゃない」
と少し大きな声を出したところでここが図書室であることを思い出し、周りを見渡した。
幸い僕たち以外には"客"はおらず、図書係の事務員がカウンターで本を読んでいる
だけだった。僕は口パクで、勉強しろ、と美貴に言って静かにするようにうながした。
美貴は、あんたもね、とこれまた口パクで返した。
すっかりよだれを吸い込んだハンカチを空いている椅子にふわりと掛け、ついでに窓の外を見た。
すぐ横の窓からはイチョウが黄色い葉を覗かせていて、その向こうには広葉樹の並木が見えた。
クラスメイト数人が背中を丸くしながら砂利の道を歩いているのが見えた。
僕らの学年はすでに部活を引退しているから、一日の授業が終わると家に帰るか、塾に行くか、
学校に残って受験勉強するかに分かれる。僕は塾に通ってなかった(通わなくても成績良かった)
ので、図書室で勉強することにしていた。しばらくひとりでの勉強だったが、そのうち美貴が
一緒に勉強するようになった。最近帰りが遅いじゃない、とか嫁のような言い方をして僕に
その理由を問いかけてきたことを覚えてる。僕は、色々あんだよ、とか答えたような気がするが、
そのあとの美貴の追及でしぶしぶ白状して、そしたら美貴が、じゃあ美貴も一緒にそこで勉強する、
とか言って僕は、じゃあって何だ?じゃあって、とか答えてる間に今に至る。
元々美貴は勉強が出来る子じゃ無かったし、たびたび家で家庭教師まがいのことをしたこともあった。
だが集中力が無い美貴は、すぐにマンガを読み始めたり、ゲームを始めるなどして途中で投げ出した。
しかし今回は高校受験ということもあって美貴も危機感を持っているようだ。
無い頭をフル回転させて問題を解こうとする美貴を目の前に見てると、そう思う。
「ねえ」
机に開いたノートの上に組んだ腕に小さなあごをのせて、美貴が聞いてきた。
「あんたさあ、高校どこ行くの?」
「何で?」
「いいから、教えてよ」
「あそこだよ」
「あそこって、阿蘇高校?」
「んあ?それどこにあんの?熊本?遠いよバカ」
「バカいうな、本当はどこなの?教えてよ」
「何で?」
「参考にしようと思って」
美貴はじっとこっちを見たまま返事を待っている。
「T高」
「えぇ?T高?」
「何でそんなに驚くの」
「美貴行けないよ、そんなとこ」
「藤本の成績じゃ行けないかもね」
「だからその藤本って止めてよね、名前でいいってば」
美貴の事を苗字で呼ぶようになったのは去年くらいからだったと思う。
美貴ちゃん、って呼ぶのに何となく抵抗を感じてきたからだ。美貴は相変わらず、あんたとか
お前とか呼んでくるんだけど、僕側からのこの呼びかけ方はしばらく続いてる。
ふと見ると、その"藤本"は椅子の背にもたれかかり、腕を組んで何か考えごとをしていた。
「どした?」
僕は微動だにしない美貴に声をかけた。すると美貴は組んでいた両手をゆっくりと解き、
机の上にバタンと付いて僕を見、こう宣言をした。
「決めた、美貴、私T高受ける」
「なぜそれを僕に?ってゆうか無理」
確かに美貴のこれまでの成績から考えるに合格ラインには三歩ほど届かないことは明らかだった。
「大丈夫、美貴にはあんたが付いてる」
美貴は僕を見る目をキラキラさせながらそう言うので、僕は
「だいじょばない、それ」と返した。
合格させるには、あと数ヶ月で美貴の成績を二倍以上にあげることが必要だった。
なんにせよ、今のように「まんが:日本の歴史」を読んでいるだけの美貴の勉強では
間に合わないことは確実である。僕は席を美貴の隣に移動し、美貴からその本を取り上げた。
ムッとする美貴に、無言のまま問題集を指差して本当の勉強をするように促した。
美貴は頬を膨らませながらも無言のまま鞄から筆箱とノートを取り出し、問題を解き始めた。
シャーペンのカチカチという音と、シャッシャッというノートを走るペンの音と、
美貴が頭をかきむしるゴシゴシという音が部屋に小さく響いた。
図書係の事務員は音も立てずに本を読み続けていたし、壁にかかった時計はずいぶん前から
電池が切れていて音を発していなかったから余計、美貴の発する音が耳に入った。
美貴がたまに小さく息をはき、やっばい分かんない、と独り言を言った。
僕は人差し指を口に付け、静かに、と合図する。すると美貴は同じように指を口の前に持ってきて
口パクで「しずー」と言うと両手で"うさちゃんピース"をして「カニー」と言って笑った。
僕が凸ピンの素振りをすると美貴はハッとして両手を顔の前で開くアメリカ人のような
ジェスチャーをして「オーケイオーケイ」と口を動かした。
僕の今日の勉強分が終わっても美貴はまだ問題に手間取っていた。
「まだ?」
「もうちょっと」
日は赤くなり始めており、遠くからは下校の音楽が聞こえ始めていた。
美貴の横顔が赤く染められてゆく。その珍しく真剣な眼差しを眺めていると
背後でパタンと本の閉まる音がした。振り向くと図書係の事務員は帰り支度を始めており、
目が合うと目線で、もう帰んなさい、と合図を送ってきた。
「ほら藤本、帰るよ。採点はまた明日するから」
「あ、うん」
美貴はぼんやりとしながらパタパタとノートや問題集をしまい始めた。
入口で電灯のスイッチに手を掛けたままにしている図書係の事務員の脇を抜けて図書室を出た。
美貴が先に歩き、僕がその後を追った。薄暗い廊下に夕日の赤が所々ぼんやりとした斑点を
作っていて、背後で僕たちとは反対方向に向かう事務員の足音が聞こえた。
周りは工作室と倉庫ばかりで、深としていた。廊下の大通りに出ても人影は無かった。
美貴のあとを付けながら誰も居なくなった教室や、赤く染まった中庭の木々を見た。
「早く帰んなきゃ暗くなっちゃうよ」
ゲタ箱でケンケンして靴のかかとを持ち上げている美貴がそう促した。
僕は返事をしてスリッパを脱ぎ、段差に座って靴を履いた。
「おっとっと、おわっ!」
その声に顔を上げると同時に美貴が倒れかかってきた。ふいを付かれた僕は仰向けに倒されて
後頭部をしこたま打った。まばたきを何度かして☆が見えないことを確認してから、
上に載りかかったままの美貴の両肩を掴み、起き上がらせた。
「よいしょ!早速運動能力が落ちてるんじゃないか?」
「ち、違うって。あれ、知恵熱で頭がボーッとしちゃっただけだから」
両肩を掴まれたままの美貴は顔を合わせようとせずにそう言った。そして僕の手を振り払って
床に落ちた鞄を取り、サクサクと歩き始めた。そのうしろ姿を眺めながら、さっきのしかかって
きた体の感触にしみじみと時の流れを感じていると、美貴が振り返って言った。
「ほら、帰るよ」
僕は手をむすんでは開いて、その感触を思い出しながら美貴の元に歩いた。
並木の終わりにある校門を抜ける頃にはもう、太陽はその半分を地中に埋めはじめていた。
校内のイチョウの木も上半分だけを赤く染められ、日陰にあたる部分は夜に侵食され始めている。
それを金網越しに見ながら僕は足並みを早めた。中学校に隣り合った小学校の敷地も通り過ぎ、
少ない家々の並ぶ街を抜けると、もうそこは田園地帯だった。
「ちょっと!置いてかないでよ!」
気が付くと僕はひとりで歩き続けていた。隣に美貴がいない。声のしたうしろを振り返ると
美貴が小走りで駆け寄ってくるところだった。
「もう!いっつも置いてくんだから」
横に並んだところで一息ついて美貴が愚痴をこぼし始めた。
「だいだいさあ、歩幅が違うんだから、美貴に合わせてよね。図体ばっかりでかくなっちゃってさ」
「しょうがないだろ、家系なんだし」
「そうか、おじさんもおっきいもんね。つーかさ、あんたホントでかくなったよね、
こないだまでは背も同じくらいだったのに」
そう言うと美貴は片手を自分の頭に合わせ、もう片方の手を僕の頭に合わせた。
そしてその両手の間の距離を変えないようにしながら自分の胸の前まで持ってきてそれを確認した。
「うん、でかくなった」
そう言って美貴は納得するように頷いた。
「成長するさ、僕だって」
僕は美貴を見てそう言った。すると美貴は笑顔になって、その視線を前に向けた。
僕も視線を前に戻し歩き始めながら言った。
「誰かさんと違って」
すこし遅れて同じく歩き始めた美貴がその言葉を聞いて声をあげた。
「ちょっと!それって誰のことよ」
「誰だろうね」
僕は美貴を見ないままそう言って大股で歩き始めた。
美貴は小走りで追いかけながら僕のケツを何度も蹴った。
走りながらのキックは威力も弱く、蚊の刺すような痛みだけがした。
それも収まると美貴はふてくされた顔をして鼻息を荒くしながらも隣にならんで早足で歩きはじめた。
僕は歩幅を美貴に合わせて少しゆっくりめに歩いた。
小さな坂を下り、あの日と同じ橋を渡り始めた時に思い出したように美貴に聞いてみた。
「あん時さあ、どうなったんだっけ?」
「何が?」
美貴は跳ね上げながら歩く足元を見ながら答えた。
「日射病で倒れた時さ」
「ああ、あん時ね。いきなしあんたが倒れたからさ、美貴びっくりしちゃって、大急ぎで帰ったの。 そしてジュース飲んでパァーッってしてさ、そしてあんたん家に駆け込んでおばさんにゆったの。
おばさん、すごいビックリしててさ、あん時。すぐに車で迎えにいったの」
「そうだったっけ?」
「うん、たぶんそう」
「たぶん、か」
そう言えばそうだったような気がするが覚えていない。
気が付くと家の居間で扇風機を浴びていたから。
キンキンと鳴る金属製の風鈴の音が響いていた気がする。
すっかり暗くなった農道を抜け、ようやく家にたどり着いた。
「じゃ、また明日ね。起こしにくるからね」
双方、手をあげていつものように別れの挨拶をする。家の玄関に消えそうになった美貴を
なんとなく呼び止めた。
「美貴」
美貴は閉じかけた扉をまた開き、顔を出して答えた。
「ん?」
「何でもない」
「何だよそれ、あっ!名前で呼んだ!」
「悪い?」
「悪くないよ、じゃあね」
そう言って扉は閉じられた。
僕は僕の家の玄関に向かった。立ち止まり、空を見ると月が浮かんでいた。少し欠けた月だった。
その月が雲に消え、また現れた。近くに美貴の部屋の明かりが点くのが見えた。
足を踏み出すと足元で枯葉の砕ける音がした。夜が段々と寒くなってきてるのを感じながら、
ただいま、と玄関の扉を開けた。
車窓からはあの日と同じような少し欠けた月が見えていた。
雲の少ない空にポカリと浮かんだ月と満天の星。
窓に映る車内灯に負けじと輝く月は、あの日よりも幾分か近くに見えた。
結局あの秋から春先までみっちりと勉強をしたこともあって、美貴は僕と同じ高校に
進学することが出来た。美貴の試験のあとのどんよりとした沈み込みと、合格発表日の喜びの対比は、
燃え尽きたジョーと、復活勝利したロッキーを思わせた。卒業式に見せた美貴の涙に驚いたのも
昨日のことのように感じられる。
緩む頬を押さえながら車内移動販売でコーヒーとスナックを頼んだ。
お釣りとコーヒーを受け取ろうとした時に少し電車が揺れた。
小銭は床に弾け、コーヒーは指先にかかった。コロコロと転がる小銭を追う販売員の足取りが
揺ら揺らと揺れて見えた。電車はトンネルに入ったらしく、耳が少しキンとなった。
あと45分くらいで到着の予定。闇の中だが見慣れた景色が見られるようになってきた。
コーヒーはひと口飲んだだけでカップホルダーにしまった。スナックも空けずにバックに入れた。
電車はカーブにさしかかり車体を傾かせた。汽笛の音がファッと短く車内に響いた。
もうひと眠りしようかと目を閉じると、またあの顔が浮かんだ。自然と口元が緩み、
僕は腕を組んで椅子の背にもたれ掛かった。カタンカタンと一定のリズムが心地よかった。
疲れたので
おし舞波
从 ’w’)クゥ〜ン
116 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 18:59:14.09 0
うひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
続きがあれば見たい
117 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 19:36:17.67 0
乙〜
118 :
名無し募集中。。。h:2006/07/11(火) 19:45:45.03 0
イイ!!
从VvV)クゥ〜ン
おお〜 いいなあ
>>115 一所懸命読んじゃったじゃねえか!w
続きよろ!!
しかしきれいな文章だねー
あと構成もいいなー
まったりした高校(でいい?大学?)時代
跳ねるような小学時代
しみじみとした中学時代
うまいなー実にいいなー
从*’w’)クゥ〜ン
123 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 23:12:04.25 0
>>122 帰宅後速攻読みました!!
いや〜良いですねぇ〜
『それも収まると美貴はふてくされた顔をして鼻息を荒くしながらも隣にならんで早足で歩きはじめた。
僕は歩幅を美貴に合わせて少しゆっくりめに歩いた。』
こことか
『しかし途端に真顔に戻り、また笑顔になったあと、
「ぜったい嘘だね」とか言いながら来た道を戻り始めた。』
たまらんです!!!
なんとなく呼び止めた。
「美貴」
美貴は閉じかけた扉をまた開き、顔を出して答えた。
「ん?」
「何でもない」
「何だよそれ、あっ!名前で呼んだ!」
「悪い?」
「悪くないよ、じゃあね」
そう言って扉は閉じられた。
ここもイイ!
125 :
名無し募集中。。。:2006/07/11(火) 23:54:57.62 0
おれは「しずー」「カニ」のとこが好き!
从VvV)
128 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 00:30:34.59 0
ほ
从VvV)
130 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 00:39:46.75 0
ほ
131 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 00:53:05.17 0
Hな後輩だったらスレが落ちた
スレ乱立が終わったら誰か立ててくれ
133 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 00:58:45.73 0
せっかく立てたのに(´・ω・`)
134 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 01:04:30.18 0
なんか変なのが来てるのか
保全
136 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 02:18:18.21 O
从VvV)
後輩スレはまだ?
138 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 02:49:31.74 0
乙
おやすみきてぃ保全
藤本にもそんな日があったのかと思う次第
142 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 05:22:26.45 0
ho
143 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 07:45:53.90 O
ほ
144 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 08:38:35.23 0
从VvV)<海。
145 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 09:36:14.80 0
海行くか?
146 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 11:12:43.15 O
从*VvV) ジュン
147 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 12:25:45.00 0
ほ
148 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 12:54:06.01 O
海とゆったら→
149 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 15:04:14.99 0
ほ
150 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 15:50:13.03 O
や
151 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 16:43:56.83 O
ほ
や
153 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 20:53:51.84 0
ほ
154 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 20:58:21.71 0
ほ
h
从VvV)
俺が守る
158 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 23:08:42.00 0
「ねえ〜キョン?キョンってば」
俺の後ろの席の不良女が話しかけてきた
「…なんだよ。」
「あんた暇なんでしょ?ミキとしりとりでもしようよ。」
「授業中だ。」
「でも安住の授業って退屈じゃん。」
「面白い授業なんてあるのか?」
こんなやりとりを毎日している。まあ大抵はこいつの暇つぶしにつきあってやっている俺だが・・・
ちなみ安住は俺らのクラスの担任だ。クラス生徒の母親うけはやたらいい。
「今日は罰ゲームアリよ!いいわね。」
「ああ。」
いつもは大体、俺が負けてやっているわけだが。自分が負けると途端に機嫌が悪くなるからなコイツは
「そうね〜・・・自分が好きでもなんでもない相手に告白って言うのはどう?」
「・・・悪趣味だな。」
「ゲームよ!ゲーム、相手も絶対本気にしないって。」
一瞬チラッと安住が俺達の方を見たが、奴は注意もせずにそのまま授業を続けた。
毎度毎度の事なので、奴も慣れているんだろう。拝啓、安住先生すまないな
ちなみにしりとりは答える奴が不良女で・・・た、から始る言葉
159 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 23:10:33.84 0
「だ、でもいいよね。えっと〜・・・」
「あと10秒・・・10、9、8・・・」
「あっ!タイヤ!タイヤよキョン。」
俺はふと時計を見た。もうすぐ授業も終わりなので俺が負けてやることにした。
「・・・ヤカン。」
「んがついたわよキョン。今日もミキちゃんの勝ちよね!」
コイツは子供のような笑顔で喜んだ。俺は一応くそーと言うリアクションもしておいた。
こういうところは大人なのだ。
「キョン〜罰ゲームの話、覚えてるわよね。」
「・・・ああ。誰でもいいぜ、可愛い奴ならな。」
と言うとコイツは明らかにクラスでも一番ブスの女を指差した。おいおい、藤本さんよ。
「おい!俺は動物園の飼育係じゃないぞ。」
「キョンとお似合いだと思うんだけど。」
「・・・冗談はよせ。この世に女があの女が1人になったら俺はまよわずゲイになるさ。」
「あら、そう残念ね。キョンはけっこうキツイこと言う人間なのね〜。」
そう言うとコイツはけらけら笑い出した。ちょっと可愛いのがムカツク。
「そうだ!キョン、あの子はどう?ほら一番前の席の皆藤さん。皆藤愛子ちゃんだっけ?」
「・・・皆藤さんね。うんうん、うん?ええっ!?」
「あの子は告白とか、男に慣れてなさそうだからちょうどいいんじゃない?
あらキョン?凄い汗よ顔も青いし・・・でも、放課後決行予定だかんね!さあ、メシ食いに行こうと〜!」
そう言うと奴はクラスの女数名とランチに行った。
「・・・冗談だろ?」
ミキが告白相手に選んだのは俺がず〜っと憧れていた女の子だった。
キョンって何だ
ハルヒかよw
162 :
名無し募集中。。。:2006/07/12(水) 23:51:07.30 0
美貴ちゃんのキャラ違うな
つまんね
恋かな
165 :
名無し募集中。。。:2006/07/13(木) 01:47:42.06 0
藤本じゃもう妄想が浮かばない
166 :
名無し募集中。。。:2006/07/13(木) 02:55:04.16 0
ションナ
jpgが足りないとか
168 :
名無し募集中。。。:2006/07/13(木) 06:30:12.81 0
ho
舞波の人、続きとか新作とか書いてくれたりしてください