もしも新垣と亀井がちょっぴりHな幼なじみだったら7
1 :
名無し募集中。。。:
れいなしね
3 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 00:30:06.35 0
5 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 00:35:44.57 O
6 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 01:07:55.25 0
7 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 01:15:35.05 0
愛キュン、中田の祭りのあおりか
毎度のスレ立て乙です
8 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 01:53:16.28 0
スレ立て乙〜
9 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 03:36:09.05 0
保全
10 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 05:07:39.08 0
ほ
11 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 06:03:27.58 0
起床保全
12 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 07:28:50.29 0
乙保
うむ
14 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 08:38:52.08 0
ほ
15 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 09:42:58.43 0
えっち
h
17 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 11:36:40.38 0
えっちぃ
くだらね
ほ
h
21 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 15:28:44.30 0
O
22 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 17:13:25.77 0
z
e
ほ
ze
n
27 :
携帯21:2006/07/04(火) 20:30:26.21 O
「ピィ〜!!」
高々と抜けの良い笛の音が鳴り響いた。
「集合〜!みんな揃ったかぁ〜!?」
今年新卒でこの学校にやって来た吉澤先生はスラリと伸びた四肢を見せつけるかのようにきわどい競技用の水着で一歩前に出た。
整列して自分の名前が呼ばれるまで里沙はあの時のことを思い出していた。
28 :
携帯21:2006/07/04(火) 20:51:49.48 O
このクラスになって早々、ドイツ系アメリカ人の血を引くスティックマイヤー先生の英語の授業でどういう展開でそんなことになったのか覚えていないが“人の下の毛の色は眉毛の色に比例する”という話になって随分驚かされた。
日本人、しかも自分のことしか知らない里沙にとってこの話は間接的な世界デビューであり、外国人を理解する上で1つの術だと思えた。
29 :
携帯21:2006/07/04(火) 21:01:45.51 O
そして同時に“眉毛の濃さは下の毛の濃さに比例する”ということも知り、言葉にならない程の衝撃を受けたのだった。
生まれてこのかた里沙の自慢はこの立派な眉毛をおいて他にないと思っていた。
思春期以降年を取るにつれ、眉が薄くなるという女性の性質が自分の場合全くあてはまらないことに不安を覚えていた。
<続く>
30 :
名無し募集中。。。:2006/07/04(火) 22:00:35.97 0
乙〜
おつです
乙です
ガキさんのふさふさな下の毛ハァハァ
里沙は砂の上に並べた写真を眺めながら、じっと考え込んでいた。
その横では絵里が砂浜に寝そべり何やらもぞもぞと動いている。
これは亀の産卵の形態模写をしているのだった。
昔、絵里がこの遊びをやっていたのを思い出したという、里沙の指示によるものだった。
「ガキさん、絵里、ほんとうにこんな遊びやってたっけ…?」
「やってたよー、やってた、やってた」
絵里のほうには目もくれず適当な返事を返す里沙。
実際は、絵里との砂遊びになどに付き合っていられない里沙がでっちあげた捏造の記憶だった。
「…もう止めてもいい?」
「んー、もうちょい続けてみて、それに結構楽しいでしょ?」
「…あんまり楽しくない」
むくれながらも、過去の遊びを再現してみるというのは自分が提示した案でもあるので、
しかたなしに亀の産卵ごっこを続ける絵里。
里沙はそんな絵里のことなどアウトオブ眼中。
ただじっと写真とにらめっこを続けていた。
鍵はやはり写真にあるはずなのだ。
というか、もはやここから何かを見つけ出すしか手は残されていない。
里沙にしてみれば藁にもすがる思いで、躍起になって写真に目を通していた。
が、そんな里沙の思いをあざ笑うかのように、突如強く吹きつけた浜風が写真をさらっていく。
この海で作られた幼い日の思い出が、白い砂浜にパラパラと散らばった。
その光景は美しくもあり、どこか物悲しくもあった。
里沙は頬をプクッと膨らませて、少々苛立ちながらそれらの写真を拾ってまわった。
「んもぉー、順番バラバラになっちゃったじゃないのっ!」
写真に付着した砂を落としながら、ブツクサと文句を垂れる。
「…ん、順番?」
と、ふと里沙の中で何かが閃いた。
写真の風景の中にヒントを求めるあまり、一枚一枚の写真に意識が偏りすぎていた。
昔、熱海で撮られた写真は里沙が手にしているとおり、他にもたくさんあるのだ。
その中から一枚だけを選んで抜き取ったことに何か理由はないだろうか。
彼が何の写真を持っていったのか、もっと大きな視点から考えるべきだったのだ。
さきほどから穴の開くほど写真を見つめていたため、
写真がどのような順番でアルバムに収められていたかは容易に思い出すことができた。
また並び替えていくうちに、光源の具合や自分の中にかすかに残る記憶から、
実際に撮影された順番に写真が収められていたことも明らかになっていった。
抜き取られた写真のあった位置を改めて確認してみる。
その写真は、どうやらその日の最後から2番目に撮られたものであるようだった。
一つ前の写真はすでに水着から着替え終えており、帰る前に海をバックに撮ったもの。
若干傾いた西日が、はじけるような彼の笑顔を照らしていた。
一つ後、すなわちその日の最後に撮られた写真は、帰りの車の中の光景。
ちょっとくたびれた様子の彼の両脇には、里沙と絵里の姿もあった。
さすがに一日はしゃいで疲れたのだろうか、皆、どこかぐったりした表情だった。
抜き取られた写真はこの二つの間に撮られたはずだ。
家路に就く前に、どこかに立ち寄ったりなどはしていないだろうか。
そう考えてみると、抜き取られた写真の前後ではずいぶんと時間が経過しているようだった。
最後に車内で撮られた写真の時には、すでに外が真っ暗になっている。
里沙自身、もう少しで何かを思い出せそうなことを感じていた。
はじめバラバラだった記憶のパズルが、今はもう後1ピースで完成するところまで迫っている。
だが、その1ピースがどうしても見つからない。
すっかり思考に入り込んでいた里沙は、自分を呼ぶ声がするのになかなか気づくことができなかった。
ねえってばぁ、と呼びかける声がようやく耳に入り、
その声のする地面の方へと目を向けると、そこでは絵里がいまだに亀の産卵を演じていた。
「ねえ、どうこの動き? 絵里、ほんとに亀っぽくない? うまくなってきてない?」
どうやら、昔、おままごとで演じていたときの感覚が戻ってきたらしい。
足でもぞもぞと砂を掘る仕種にもずいぶんと熱がこもってきていた。
が、里沙は絶対零度の視線を向けて冷たく言い放った。
「今いいとこだからちょっと話しかけないで」
「…そんなあ、ガキさん、冷たいよぉ、えーん、えーん」
「そんな泣きまねしたってねぇ―――ん、泣く?」
自分で発した”泣く”というフレーズが、今、手にしている写真の違和感に気づかせるヒントとなった。
車で撮った写真に写っている自分たちの目がどことなく赤いのだ。
それに目の周りが腫れぼったい。
ぐったりしているように見えたのは、どうやらこの写真を撮る直前まで泣いていたせいだった。
人が泣く時の感情はさまざまだ。
感動に心震えた時、途方も無い悲しみに襲われた時、そして―――震え上がるような恐ろしい体験をした時。
欠けていた一枚のピースは、”恐怖”という言葉と共に見つかった。
恐怖が、自らの記憶を押しとどめていたのだった。
里沙はおもむろに立ち上がり、寝そべる絵里の手を引いた。
「カメ、そんなバカなことやってないで行くよっ!」
「えー、せっかくノッてきたところだったのにぃ―――って、どこに行くの?」
「アイツの持ってった写真がなんだったのか分かったの!
…多分、アイツはそこにいるはずだよ」
絵里は里沙に手を引かれるまま、車の往来がある道路まで連れて行かれた。
里沙は通りかかったタクシーを止めたが、すぐには乗り込まなかった。
まず運転手に確認しておくことがあった。
「あの、この辺りに自殺の名所ってありますよね!?
断崖絶壁で海に飛び込めるようなところなんですけど!」
うら若き乙女が発したとは思えない物騒な言葉に、運転手はギョッと里沙のことを見返した。
何も聞かされていない絵里も、同じように驚いた瞳で里沙を見つめた。
里沙と絵里は足早に小道を駆けていた。
小道の両脇は藪に覆われ、ところどころに看板が設置されていた。
そこには『ちょっと待て!もう一度考え直しましょう』だとか『死ぬ勇気を生きる勇気に変えてみませんか』だとか、
なんとも素敵な文言が書かれていた。
「…ね、ねぇ、怖いよぉ、ガキさん」
「…だ、大丈夫、お化けは触らない約束になってるから」
「ほ、ほんとに?」
「うん、だから、あんまりくっつかないでよぉ、動きにくいんだからぁ…」
「だ、だってガキさん、絵里おいてさっさと先に行こうとしてるし…」
「…でも、急がなくちゃいけないのはカメも分かるでしょ?」
「それはそうだけどぉ…」
二人は、昔、確かにこの道を通った。
絵里もタクシーの中で里沙の話を聞き、今はその時のことをはっきりと思い出している。
当時、この場所へ来ることを希望したのは、彼の母親だった。
素敵な眺めを見れる場所がある、と言って皆を連れ出したのだ。
そこは確かに吸い込まれそうになるほど美しい眺めだった。
彼の母から、実際に吸い込まれてしまった方も多数いると聞いたのは記念写真を撮ったあとだった。
何も知らない幼少時代の里沙、絵里、彼の3人は、
幾多の命を吸い込んだ海をバックに、暢気にピースサインをして写真に写りこんでしまったのだ。
彼が持っていったのは、おそらくその時に撮ったものだ。
写真を撮影し終えた後、彼の母はこの海で目撃された霊の話を嬉々として語った。
そう、彼の母は大の心霊マニアだったのだ。
子供らが恐怖に怯えて泣いているのにも関わらず、
一度話し始めたが最期、もうそれを止めることは誰にもできなかった。
思えばシャッターのボタンを押す彼の母は、何かこの世のものではないものが移りこむのを期待するように、
目をらんらんと輝かせていた。
里沙が彼の母親を苦手にしているのも、あの恐ろしいほどにマイペースな性格だけが理由ではなかったのだ。
実際は、恐怖のあまり押さえ込んでいた記憶が、
彼の母の笑顔を見るたびに無意識のうちに呼び覚まされていたからなのだ。
二人は彼がここを通ったという、確信めいたものを抱いていた。
だが、反面、それがはずれていてほしいという気持ちもあった。
なぜ彼があの写真を抜き取り、このような場所を訪れなければいけないのか。
その理由を考えると、胸の中にざわざわと嫌なが予感が巻き起こり、足取りは自然と早まるのだった。
やがて藪を抜け、視界がパッと広がった。
青一面の景色が二人を出迎えた。
青い海と青い空、その境目はほとんど分からない。
そして、その青の中に―――今にも溶けて消えてしまいそうな彼が立っていた。
>>34-40 ほんっっっとうにダラダラと書いてきましたがおそらく次で最後です
おつです!
43 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 00:45:34.25 0
あぁ、ついに終わるのか
多分泣いちゃうな、俺
作者さん乙です もう一息頑張ってください
44 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 00:53:50.89 O
43氏激しく乙です!
次で最後とか聞くと以前の同時告白スレが終わる直前の事思い出して何とも言えない寂しい気持ちになりますね…
出来ることならずっと43氏の作品を読み続けたい心境になりますな(´・ω・`)
携帯21氏の続きもワクテカで待たせて頂きます!
45 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 01:56:07.74 0
ほ
乙〜
47 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 05:03:14.34 0
ze
zex
ん
50 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 08:38:55.90 0
ほ
ぜ
h
53 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 13:27:38.83 0
o
リd*`ー´)
ho
h
57 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 18:08:36.18 0
危ね〜保全
ze
h
60 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 19:27:59.45 0
o
h
ze
63 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 22:04:15.27 0
n
ほ
65 :
携帯21:2006/07/05(水) 22:50:14.20 O
>>29 …というのも、里沙の下の毛は無毛ではないにしろ、ツンドラ気候の植物の如くチョロチョロとしか生えていなかった。
その為もしこのままいけば里沙は自分が法則外の女になってしまいかねないと思っていた。
それならまだしも自分もやはり法則内の女なら、近く爆発的な覚醒により薄紅色した深海の貝の如く閉じられている里沙の一本筋が、安っぽいのり弁に覆い尽されてしまうのではないかと思えてならなかった。
66 :
携帯21:2006/07/05(水) 23:08:26.00 O
「ツンドラと熱帯雨林じゃ大きな違いだ!」
これまたまだ誰のものでもない里沙のアンタッチャブルもいつかは誰かに捧げる時が来るだろう…。
もしその初お披露目の時に、未だ少し残っている蒙古斑までびっしり生えたのり弁を彼が見たらどう思うだろうか…!?
己の眉毛の宿命を想わずにはいられない、電気はつけたまま派の里沙17歳であった。
そしてその時に、調子に乗った男子生徒が発した“鼻のでかいヤツはアソコもでかい!”という新たな法則を思い出し、里沙は顔を赤らめ目のやり場に困ってしまった。
<続く>
おつー
けっこうえろいな
おつ
いいよいいよ〜
69 :
名無し募集中。。。:2006/07/05(水) 23:55:33.58 O
携帯21氏激しく乙です!
みんな言ってますが結構エロい!
(・∀・)イイヨイイヨー
70 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 00:14:48.96 0
ほ
ぜ
72 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 01:25:41.37 0
ん
h
74 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 03:44:22.77 0
h
亀垣絵里沙
おは
77 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 06:54:38.28 0
起床保全
うむ
79 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 09:40:27.71 0
うぇうぇ
もげら
81 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 12:18:27.39 O
昼休み保全
h
83 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 13:46:45.51 0
お
h
o
86 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 17:49:36.62 0
z
うむ
88 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 19:40:35.95 0
ガキさんはちょっぴりHかもしれないが
亀ちゃんはむちゃくちゃHだと思う
89 :
名無し募集中。。。:2006/07/06(木) 19:47:34.88 0
がきさんの眉毛を抜くというボランティア活動を
するための団体を作ると俺が言ったらお前たちは
h
o
え
94 :
携帯21:2006/07/06(木) 23:11:07.77 O
>>66 「新垣!」
均整のとれた女前の吉澤先生から里沙は呼ばれていることに気付いた。
「は、はい!」
「ボ〜っとするなよ!」
吉澤先生から注意された里沙は益々顔を赤らめた。
「やっぱり今日のガキさんはおかしい…」
絵里は小さくそう呟くと点呼も終わりを迎えた。
「今日は欠席が1人だな、よし、それじゃあアキレス腱を伸ばそうか!」
生徒達は各々バラバラに散らばってプールを囲む金網に向かった。
「足がつったら怖いからなぁ〜!しっかり伸ばせよぉ〜!」
少し籠り気味の吉澤先生の声がプールに響くと、生徒達は下を向いた姿勢で金網に手をつき背を反らせおしりを突き出して片足を伸ばした。
95 :
携帯21:2006/07/06(木) 23:23:33.86 O
チアリーダーをしている絵里は見掛けによらず柔軟な体をしている。
卒業したチアの石川先輩直伝のY字バランスも今では誰よりも綺麗に且つ大胆でセクシーにキメることが出来た。
そういうわけで絵里の背を反らす姿は美しい上になまめかしく、突き出されたおしりのボリュームとそれを支える暴力的なまでの太腿の妙が益々見る者を刺激した。
絵里に限らず女子によるその光景は、見方によれば男子にとって相当いやらしいものになった。
場合によれば男子に様々な映像を直で提供する上に次から次へといろいろな想像を容易にさせた。
96 :
携帯21:2006/07/06(木) 23:33:56.16 O
スイムキャップとスクール水着…。
いろんな膨らみ…。
少しはみ出た脇のお肉・おしりのお肉・恥ずかしいお肉…。
金網に手を…。
足を伸ばす度に揺れる…。
まるで後ろから…。
…。
…。
いち早くそれに気づいた男子はとっとと自分のアキレス腱を済ますと横目で隣を見る者、プールの縁に座ってあからさまに眺める者、チラ見に耽る者…様々だった。
常日頃から男子の間で囁かれる人気の女子はサユ、絵里を双壁に里沙、今日休みのれいな、天然のみうな、巨乳の唯…が続いた。
97 :
携帯21:2006/07/06(木) 23:57:05.77 O
男子にはその場で動けなくなる者、フライングでプールに飛び込む者、半笑いでトイレに駆け込む者、神に感謝する者…などが続出しプールは一種異様な雰囲気に包まれた。
「ピィ〜!さあそろそろプールに入ってぇ〜!!」
吉澤先生が叫ぶように促すと女子達は一人ずつ備え付けの梯から水に浸っていった。
里沙は爪先で水面をなぞるように少しずつ足首から脛、膝へゆっくりとつかっていった。
水面に触れた時は冷たく思えた水も腿の辺りまでくる頃には程良く生温かいものになっていた。
そしてトプン!という音と共に飛び込むと、あっというまに足が底についた。
プールの底は少しザラザラしていて足の裏でその触感を里沙は楽しんだ。
「…私の夏も始まった…」
里沙の唇から小さく洩れたその言葉に鋭く反応した一人の男子がいた…。
<続く>
プールスレ?w
99 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 00:10:46.23 0
七夕保全
100 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 00:12:35.68 0
ほ
>>34-40 ごめんなさい、終わりませんでした
その割りに長いです
つづき
102 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 00:32:39.60 0
キタワァ*・゜・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜・* !!!!!
「「ちょっと待ったぁああっ!」」
里沙と絵里は血相を変えて彼の元へ駆け寄った。
ねるとんのコールにしてはいささか大げさすぎる、などといってられる場合でもない。
海のほうへ体を向けていた彼は、二人の声に驚くようにして振り返った。
「二人とも、どうしてここに…」
「どうしてじゃないよっ!
…アンタ、まさかそこから飛び降りる気じゃないよね?」
里沙の問いに、彼は何も答えなかった。
ただ静かに微笑んだだけだった。
「なんで、いったい何があったの? ねえ、黙ってないでなんとか言ってよぉ!」
絵里は目に涙を浮かべながら言った。
現実を目の前にして、ようやく事の重大さに気づいたようだった。
切り立った崖の淵に立つ彼。
その彼と対面する自分たち。
そう、これは紛れも無い現実なのだ。
まるで火サスのラストシーンのようだが、さきほども言ったようにとても茶化せる状況ではなかった。
本来ならばすぐにでも彼の身を確保したいところだが、不用意に近づくと彼が早まってしまう恐れがある。
二人と彼の間には何か見えない力が存在していて、二人が彼に近寄ろうとするとその力が働き、
彼は瞬く間に海へと押し出されてしまうような気がした。
それほどまでに今の彼の存在は危ういものだった。
里沙と絵里は、彼と声を交わせる距離にいながら、その手を掴むことは叶わないのだった。
「…どうしてなの、せめて理由くらいいいなさいよ」
里沙はせめてもの時間稼ぎとして、彼に問いたてた。
彼は穏やかな表情を浮かべたまま里沙と絵里の顔を見やり、その問いに答えた。
「好きだから…、二人のことが」
里沙と絵里はハッと息を呑んだ。
二人が取り決めた恋の勝負のルール。
それは彼に自分のことが好きだと告白させること。
彼が今、発した言葉はその条件を満たすものであった。
しかし残念ながら、その気持ちはどちらか一方ではなく、二人に対して向けられたものである。
それに状況が状況、とても喜べるようなシチュエーションではない。
絵里は彼の答えに納得いかないといったように、首を振るわせた。
「…分かんないよ、そんなのぜんぜん答えになってない」
すると彼はふいに頭に手を当てた。
まるで拳銃自殺を図る人のように、人差し指だけを立てて、ある箇所を指差した。
そこは昨夜、里沙が見つけた傷のある位置だった。
「…昨日、俺の頭に傷を見つけたよね?
新垣に部屋の窓から落ちた理由を聞かれて、俺はその理由を思い出すことができなかった。
というか昨日聞かれるまで、その理由について考えたこともなかったんだ。
おかしいと思わない?
あんなに大きな事故だったのに、一度もそのことについて考えたことがないなんて」
彼がなぜこんな話を始めたのか、里沙と絵里はその意図を測りかねた。
それでも彼は淡々と、あくまで穏やかに話を続けた。
「でも、違った。
正確には考えたことがないんじゃなくて、考えてはいけなかったんだ。
無意識のうちに考えないようにしていたんだ。
事故について考えて、よもやその理由を思い出すようなことがあれば、俺はまた同じような行動をとるだろうから。
きっと生存本能が記憶を封じ込めていたんだろうね。
だけど、昨日、新垣と亀井が話しているのを聞いて思い出してしまった。
あの時も、俺は自分から飛び降りたんだって」
彼は事も無げにさらっとそれを言いのけたが、その事実は里沙と絵里を驚かせるのに十分だった。
それに、あの時”も”、という言い方が引っかかる。
それは彼が、今またここから海へ飛び降りようとしていることを示しているのだ。
二人の体にますます緊張が走った。
「じ、自分から…? な、なんで、どうして?
それに昨日の話って…、ひょっとして昨日の夜、絵里たちが話してる時、起きてたの?」
「人が寝てる前であんな大きな音を立てれば、誰だって起きるよ」
「で、でも、絵里たちは小声で話してたのに!」
「声じゃなくて音。
ごっちーん!ってすごい音が鳴った」
それは里沙と絵里が頭をぶつけた際の音だった。
その衝突音が眼前で鳴らされた時に、彼は目を覚ましていたのだ。
その後、絵里たちが小声で話していたのはまったくの無駄な努力だったことになる。
「けど、昨日の絵里たちの話が今のこの状況にどう繋がるの、ぜんっぜん関係ないじゃんっ!」
「…キス」
ほどんど泣きそうな声の絵里に対して、彼は少し照れながらその単語を口にした。
「…二人とも、俺に、キス、しようとしてたって」
「「あ…」」
未遂に終わったとはいえ、本人からその事を改めて告げられると照れも倍増する。
里沙と絵里の頬が朱に染まった。
「あ、あれは絵里たちもアンタのこと好きだからっ!」
反射的に言ってしまってから絵里は、しまった、というような顔をした。
自分から彼に気持ちを告白することは、二人で取り決めたルールに反する。
いや、ルールなどはもはや関係ない。
こんな風に勢いで自分の気持ちを伝えるのは本望ではなかった。
おまけに里沙の分までも、”たち”扱いで気持ちを伝えてしまった。
だが、言ってしまったものは仕方ない。
里沙も絵里の言葉に続いた。
「そ、そうだよ、私たちもアンタのことが好きなの!
だから、アンタがウチらのこと、す、好きなんだったら、それはむしろ喜ぶべきことなんじゃないの…?」
彼は首を横に振った。
穏やかな表情に、わずかに悲哀の色が浮かんだ。
「…ダメなんだよ、だからダメなんだ。
俺が二人のことを好きで、二人は俺のことが好きで。
そして今また、キスなんかしようしている。
キスをしてしまったからあの時、俺は―――」
そして彼は語りだした。
自分の部屋から飛び降りたあの日のことを。
それは昨夜、里沙と絵里が話していた、初めて彼にキスをした幼い日のことだった。
―――彼は非常に純粋な子供だった。
たとえばその日あったことはなんでも母親に報告するような、素直ないい子だった。
その時の彼もやはり、その日に起きた出来事をニコニコと笑顔で包み隠さず報告したのだった。
「あのねー、きょー、かめーとにーがきと、おままごとしたんだよー」
ちょっと変わった苗字だったからなのだろうか。
それともお互いの苗字の響きが、たんに子供心に面白かったからなのかもしれない。
彼らは幼少の頃からお互いのことを苗字で呼び合っていた。
大きくなって変わったところがあるとすれば、苗字に含まれている長音が”い”とはっきり発音されるようになったことぐらいだろう。
「でね、そのあと、よつばのくろーばーさがすきょうそうしてねー」
はじめ、彼の母は彼の一日の報告に、ただ静かな微笑でウンウン相槌を打つだけだった。
だが、次に彼が伝えた内容は、彼の母にとって聞き逃すことのできないものだった。
「うーんとね、あとは、あとは…あ、そうだっ! きょー、おくち、ちゅっ♪ってしたんだよー」
「…おくち、ちゅっ? それは里沙ちゃん、絵里ちゃんのお口?」
「うん♪」
「…どっちとしたの?」
「どっちともー♪」
彼は少しも悪びれることもなく無邪気にそう答えた。
しかしその返事を聞いた彼の母は表情を曇らせた。
「…あらあら、両方ともキスしちゃったの? それは大変ねぇ…」
「…きす?」
「そう、唇をね、ほかの人の体に当てることをキスっていうの」
「ふーん、なんでたいへんなの?」
「だってね、キスは自分が好きな相手としかしちゃいけないのよ」
「だったらだいじょーぶ、ぼく、にーがきもかめーもだいすきだよ」
「…きっと里沙ちゃんも絵里ちゃんもアナタのことが好きなのね。
だけど、アナタは里沙ちゃんか絵里ちゃん、どっちか一人しか好きになっちゃいけないの。
どっちか一人を選ばなきゃいけない時がくるの」
「えー、なんで? ぼく、にーがきもかめーも、どっちだいすきなのにぃ!」
「ダーメーなーの! 二股はゼッタイにダメ!」
彼の母は珍しく真剣な口調で彼に説いた。
二股をかけられた女性がいかに心身ともにボロボロになるか。
その果てに、どれだけ目も当てられないほどのドロドロの愛憎劇が待っているか。
それは自らの体験談でもあった。
彼の母はその昔、二股をかけられ、
それはもう1クールのドラマに出来そうなほどの愛憎劇を繰り広げたことがあったのだ。
やはり彼の母ほどマイペースの極致に至るには、
それ相応の人生を歩まねばならないといったところだろうか。
しかし、自らの怨情を重ねすぎたせいか、
彼への説法が少々おおげさなものになってしまったのも否定できない。
かくて、彼は世界一悩める子供となった。
小学二年生にして、二人の女性の間で揺れる形となったのである。
だが、彼は自分がどちらか一人を選ぶのはありえないということにすぐに気がついた。
どちらか一方を選ぶということは、どちらか一方を捨てるということ。
それは確実にありえない。彼はどちらの悲しむ顔も見たくなどなかった。
けれど態度を曖昧なままにしておくのも問題だと母は言っていた。
男がいつまでも曖昧なままでいると、やがて女性同士の間で諍いが起きると。
里沙と絵里の仲が引き裂かれるのは避けなければいけないことだった。
まして自分がその原因となるなど、考えられることの中で最も最悪な出来事の部類に入る。
それほどまでに彼は里沙と絵里のことが好きだった。
さらにいうと、彼は”里沙と絵里”というより”二人”のことが好きだった。
”里沙と”、”絵里と”、というよりは”二人と”いっしょにいるのが好きなのだ。
二人が仲良く楽しんでくれていれば、それで満足。
極論を言えば、その場に自分の姿はなくてもいいくらいだった。
ふと彼はいつか母が話していた守護霊の話を思い出した。
人間には常に背後から見守っていくてくれる霊が存在すると。
それはまさしく自分が望むものだった。
彼は二人の守護霊になりたいと、純真な気持ちで思った。
なにより人間としての自分がいなくなれば、どちらかを選ぶ必要もなくなり、自分が原因で里沙と絵里の仲が壊れることもない。
もはや、彼に迷う余地などなかった。
窓に駆け寄りガラス戸を開けると、助走のための距離を取り、勢いよく走り出した―――
―
―――
―――――…そ、それで飛び降りたっていうの?」
彼の口から飛び出した途方もなくあまりもバカげた過去に、里沙は呆れることを禁じえない。
呆れると共に、自分たちのした行動が彼をそこまで追い詰める結果になっていたことにショックを受けていた。
それは横にいる絵里も同じようだった。
「だけどダメだったんだね。
家の庭じゃ地面が柔らかすぎたし、何より途中で木に引っかかってしまって勢いが殺されてしまった。
病院に運ばれて、意識が目覚めたときには自分で飛び降りたことも、二人とキスしたことも綺麗さっぱり忘れていた。
いや、忘れていたんじゃなくて、生きるために本能的に思い出そうとしなかっただけだ。
ただ、二人の守護霊になりたいっていう想いだけは残ったみたいだけどね」
彼はそう言いながら薄く微笑んだ。
言われてみれば、3人の関係で彼の影が薄くなり始めたのは、彼がその事故の怪我から退院してきてからだった。
彼は二人から一歩引いた位置にポジションを取るようになり、二人が遊んでいるのを嬉しそうにニコニコと見守っていた。
彼が二人からの頼みごとをことごとく断れないのも、
二人を支えたい、願いに答えたいというプログラムが頭の中に組み込まれていたからだ。
だが、里沙はとてもじゃないが彼のように笑えそうにはなかった。
「そんなのはさ、子供のころのただのバカな思い込みの笑い話だよね?
…アンタ、まさか今もそんなバカなこと考えちゃいないよね?」
「…言ったよね、あの事件のことを思い出さないようにしてたのは、
もし思い出してしまったら、きっとまた同じ行動を取るからだって」
彼はただ鈍感で二人のアプローチに気づかないでいたわけではない。
それも一種の防衛本能なのだった。
二人のことを女性として見ずに、あくまで幼馴染として認識する。
もし二人に恋心を抱いてしまうようなことがあれば、
また3人の関係に思い悩み、最悪自らの存在を削除することを選びかねないからだ。
二人とキスを経験した記憶を閉じ込めていたのも、その一つといえるだろう。
しかし時に度を越した二人の身体的な接触は、
あの自分の部屋の窓からダイブした日に閉じ込めた気持ちを揺り動かすものとなってしまっていた。
バレンタインデーの日に里沙と絵里はお互いの気持ちに偶然気づき、そこから恋の勝負が始まった。
ところが、その勝負における行動のすべて。
”透けブラ勉強会”に始まり、”ミニスカバスケ””ゲリラ振りコピ”
”白昼コスプレ””おとなのお医者さんごっこ””リアルおままごと”
それらすべてが結果的に彼を追い詰めるものとなってしまっていたというのだから、なんとも皮肉な話だった。
絵里は昨夜自分が話していたことを思い出していた。
自分たちはタッチの状況に似ている、と。
誰か一人がいなくならなければ事態は収拾しないのではないか、と。
だが、想いに耐え切れなくなった南ちゃんが死んでしまうタッチなんてありうるだろうか。
いや、もはや漫画などに頼っていられる状況ではない。
なんとしても別の結末を探り出そうとしていた。
誰も欠かず、3人そろって笑えるようなラストシーンを考えようとしていた。
「じゃ、じゃあ、絵里たちがアンタのこと嫌いって言ったら、飛ぶの止める?」
「二人に嫌われるくらいなら、やっぱり死んだほうがマシだ」
しかし、その考える時間はもう残されていないようだった。
苦し紛れの説得も、あっさり跳ねつけられてしまう。
彼は体を少し震わせると、二人に最期の言葉を届けた。
「好きなんだ、二人のことが、ほんとうに」
彼は一歩、後ずさりをした。
驚くほど安らかな表情。
明らかに何かを決意した人間のものだった。
「だから、どうかいつまでも仲良く―――」
言い終えずに彼は踵を返す。
そしてまるでプールの飛び込み台でするかのように、反動をつけるため両腕を後ろへ引き、膝をぐっと折り曲げた。
「「ダメェーーーっ!!! 待ってぇえええーーーーー!!!!」」
断崖絶壁に、二人の絶叫が木霊する。
次の瞬間、崖からパラパラと崩れ落ちた砂利が、はるか下のほうで音もなく波に飲まれた。
断崖に残った人影は残念ながら3つではなかった。
残された人影も、無念さを抑えきれないのだろうか。
その人影は崖の淵で地面に這い蹲り、肩をプルプルと震わせていた。
116 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 01:21:13.31 0
こんなトコで止められるとつらい
ふたりともおつ〜
彼が死ぬのだけは無しでよろ
誰も死なないべw
120 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 02:24:26.03 0
ハッピーエンドになることを祈ってる
もうすこしだ!!! 保全
122 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 05:21:16.68 0
乙〜
123 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 06:24:46.86 0
起床保全
読み応えがある 不安な気持ちになるけど早く結末が知りたい
素直に3Pすりゃいいのに本能に任せて
でもな〜………ハッピーにはなれない気がする
つーか主人公思い込み激しすぎw
126 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 08:41:44.27 0
ほ
ほ
128 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 10:12:10.82 O
携帯21氏
43氏
激しく乙です!
携帯21氏のはホント細かいエロ描写が絶妙ですな
リアルに高校時代に戻りたくなりました(´・ω・`)
43氏はいよいよ次の更新でラストですかぁ…
ラストがメチャメチャ気になるんで早く続きを見たい気持ちと
更新あったら終わりなんだなぁ…と言う寂しい気持ちで葛藤してます(´・ω・`)
129 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 11:22:50.74 0
ほ
43氏乙です!!
次で終わりでしょうか。寂しくなりますね…
みんなも書いてますが、ハッピーエンドで終わって欲しいものです
亀垣絵里沙
亀垣絵里沙
133 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 15:17:47.64 0
ほ
134 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 15:30:37.56 O
オレの予想は
彼は助かるけど記憶喪失とか半身不随とかになって二人で彼をずっと介護するって結末になりそうなヨカーンだが・・・
どう思うよ?
うん。そういう予想が少しでも当たると
作者が非常に書きにくくなるからやめようね
136 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 17:02:30.10 0
だな
137 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 18:06:42.52 0
ほ
138 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 18:16:11.39 0
>>135 予想が当たっててもそのまま書くだろ普通
予想が当たってるからシナリオ変える事はしないと思うが
139 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 18:23:12.56 0
43氏の今までの話うPしてくれるとありがたいんだが・・
過去ログ見れないし
141 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 19:05:25.04 0
もしも新垣と亀井がちょっぴりHな幼なじみだったらのまとめって無いんですか?
ろだにも無いんですが
142 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 19:09:52.14 0
143 :
名無し募集中。。。:2006/07/07(金) 19:39:18.01 0
あホントだ、サンクス!
ほ
ぜ
ん
そう言えば最近286氏見ないなぁ
まだ忙しいのかな
148 :
携帯21:2006/07/07(金) 22:06:59.32 O
>>97 その日Sは、眠い目を擦りながら兄の部屋に入ってきた妹を優しく迎え入れていた。
「起きたのか梨沙子!」
一度眠ったら朝までまず目覚めることのない妹に兄は驚いていた。
「…うん…だって…W…杯…応援…」
寝癖でクリンクリンになった頭に赤いチェックのパジャマ姿の妹がペタンと兄の横に座った。
この東欧のお人形さんのような愛らしくどこか脆さを感じさせる妹を兄は昔から放っておけなかった。
149 :
携帯21:2006/07/07(金) 22:34:32.85 O
試合が始まるとそれまで眠っていたような妹が子犬のようにはしゃぎ始めた。
どっちかというと静かに試合を分析して個々の能力と組織力とを味わいたい兄であったが、普段なかなかお目にかかれない妹の盛り上がりっぷりに合わせて今日ばかりは一緒にはしゃいでみようと思った。
それに実力が均衡したチーム同士ならともかく、相手は優勝候補のサンバ王国となのだ。初めから勝ち目は皆無に決まったようなもんだ。
しかし、そんな前評判などどこ吹く風で健気に応援している妹の姿を見るとイチルの望みに予選突破を賭けてみたくなる。
「いけぇ〜!!」
いつもはおしゃまな妹の声が珍しく家中に響いた。
前半は大方の予想を裏切る大健闘の1対1!兄も妹も興奮は最高潮に達していた。
150 :
携帯21:2006/07/07(金) 22:46:31.00 O
ハーフタイム、兄と妹はどちらからともなく言葉を交していた。
不意に妹が目を輝かせて聞いてきた。
「お兄ちゃんって付き合ってる人いるの?」
お年頃の女の子にその手の話が興味ないわけない。
「…な、なんだよ急に…」
「ねぇネェねぇ〜!?」
「…い、いないよ…そんなの…」
「ホント?」
「…ああ…」
兄は顔を赤らめた。
「…じゃあ好きな人は?」
「…いない……よ…」
「ホントにぃ〜!?」
「そんなことよりお前こそいるのかよ?」
途端妹は静かになった。そして押し殺したような声で囁いた。
151 :
携帯21:2006/07/07(金) 22:56:43.13 O
「…いるよ!」
「誰だよ?」
「…お兄ちゃん…!」
「…ば、ば、馬鹿…!」
「お兄ちゃんりしゃこのことキライ?」
舌っ足らずの妹がいつもに増してうるんだ瞳で聞いてきた。
「…き、キライじゃないけど…」
会話のブラックホールとでもいうような沈黙が挟まれた後、妹はいたずらっぽい目で手を振った。
「嘘!ウソ!冗談だよお兄ちゃん!!」
「…あ、当ったり前だろぉ〜!」
やたらと甲高い声の兄であった。
「ふ〜ん…でも、もしお兄ちゃんに彼女がいたら里沙姉ちゃんだったらいいのに…!!」
<続く>
乙
りしゃこが出てくるとは意表を突かれたわ
153 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 00:46:15.78 0
りーちゃんがいればハロプロはあと10年戦える!
うむ、りさこを引っ張り出してくるとは予想外だったな
>>103-114 本当にすみません、嘘をつきました
また終えられませんでした
とりあえずつづき
地面に這い蹲った人影は、なかなか立ち上がろうとしなかった。
時間の経過と共に肩の震えもひどくなっていく。
時折、ううっ、と低く呻くような苦しげな声を漏らした。
視線は幾多の命を呑み込んだ海へと向けられている。
その鮮やかな青を今はもう目にしたくはなかった。
そのためには身を起こし、立ち上がり、忌まわしきこの場所から立ち去ればよいのだ。
だが、立ち上がれるはずがなかった。
なぜならば、伸ばした両手の先には人間が二人―――里沙と絵里がぶら下がっているからだ。
「ちょっ、ちょーっ! お、落ちるっ!落ちるぅっ!」
「やだっ、やだよぉっ! 絵里まだ死にたくないぃっ!」
崖の上に残った人影とは彼のこと。
歯を食いしばり、左と右、それぞれの手で里沙と絵里の手を握り締め、重力と懸命に戦っていた。
肩が震えていたのは二人の体を腕一本ずつで吊り上げていたからにすぎなかった。
どうしてこんなことになったのだろうか。
話は、ついさきほど、彼が海へと飛び降りようとした瞬間に遡る―――
―――いよいよ彼が海へと飛び込もうとしている。
里沙と絵里は、もはや躊躇してなどいられなかった。
「「ダメェーーーっ!!! 止まれぇええええーーーーーっ!!!!」」
二人は絶叫しながら、どうにか彼が落下する前に手を掴もうと、はじけたように崖の淵へ向かって走り出した。
だが、その時、予想だにしない出来事が起きた。
「うん、分かった」
彼は止まったのだ、至極あっさりと。
前述したように、彼は二人からの頼みごとを基本的に断ることができない。
だから、二人から”止まれ”と強く命令された彼は、反射的にその動きを止めたのだった。
ちなみに二人がこの崖で彼を見つけたときも、”ちょっと待った”と言われたから彼はその通りにしたのだし、
”理由くらい言いなさい”と言われたから、彼は自らの過去をペラペラと喋った。
ようするに、二人ははじめから”海に飛び込まないで”と言えばよかったのだ。
しかし、今さらそれが分かったところで後の祭り。
「…うぇ?」
「…へ?」
彼のよもやの行動に驚いたのは里沙と絵里だ。
てっきり海に飛び込むもんばかりと思っていたせいで自らの勢いを止めきれず、彼のことを追い越してしまった。
崖の淵でつんのめった二人は、バランスを取るために腕をくるくると回す。
だが、そんなことでは前方へ傾いた重心を修正することはできなかった。
この開けた空間で、掴まれるようなものは一つしかない。
それは彼の腕だった。
がしっ、と彼の腕にしがみついたまではよかった。
が、誤算だったのはそれが里沙と絵里、同時に行われてしまったこと。
一人一人個別にしがみつかれたならばまだ対応のしようがあるが、
両腕を同時に掴まれては彼も踏ん張りきることは不可能だった。
結局、里沙と絵里の足は地面とはおさらば。
彼が咄嗟に二人の手を掴み返さなければ、二人はパラパラと崩れていった砂利同様、波に飲み込まれていただろう。
彼が地面に倒れこむことによって、どうにか彼をも巻き込んで海へ投げ出されることだけは避けられた。
しかし結果として、ピクリとも身動きできない、まったくもって絶望的な体勢になってしまったのだ―――
159 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 01:26:13.82 0
( ゚д゚) ポカーン
「ちょ、ちょっと、アンタ〜っ! なんで急に止まるのよっ!」
「だ、だって、止まれっていうから…」
「そんなの真に受ける、フツー!?」
いったい、彼に飛び込んで欲しかったのか、飛び込んでほしくなかったのか。
今、かろうじて自分の命を繋ぎとめてくれている本人に対してとは思えない、少々失礼な言葉が下方から浴びせられた。
彼は目の前の状況をにわかに信じることができなかった。
海に飛び込むことを考えていた人間が地上にとどまり、
反対にそれを止めるために来た人間が、限りなく落下に近い状態にある。
タチの悪いジョーク、またはとてつもなく悪い夢のようにさえ思えた。
だが、腕にずっしり伝わる重みが、これが決して夢などではないことを教えていた。
これは間違いなく自分が招いた事態なのである。
自らの死をもって、二人の関係、存在を守ろうとした彼だ。
これはもう、死んでも二人の手を離すわけにはいかなかった。
いや、彼がこの状態で死ぬということは、すなわち二人の海への落下を意味する。
彼は生きて、必ず生き続けて、二人の手を握らなければならないのだ。
「ひゃっ! お、落ちるっ、落ちる〜っ! ちょっと、もっとしっかり掴んでよぉっ!」
情けない声をあげてから、絵里は彼に必死に注文をつけた。
どうも里沙と比べると、絵里のほうが不安定に宙に揺れるようだった。
「せ、せめて、手が逆だったら…」
彼は思わず本音をポロリとこぼしてしまった。
彼の利き手である右手を掴んだのは里沙、逆の左手が絵里である。
「…ちょっと、なにそれ。 …絵里が重いってこと?」
乙女のプライドを傷つけられた絵里は、自らの状況も忘れて彼のことをジロリと睨んだ。
「あのね、いっとくけど女の子はこんくらいのほうがいいんだよ、ガキさんなんてガリガリで粗末な体じゃん」
「ちょ、アンタっ〜! 粗末はいくらなんでもひどいでしょうがっ!」
途端、喧々囂々と罵り合いをはじめた里沙と絵里。
それが切り立った崖の側面、腕一本で宙吊りになっている状態で行われていというのだから、まったく大それた二人である。
「た、頼むから暴れないで…」
彼が嘆願するのも、二人の耳には入っていないようだった。
彼はケインなにがしではないので、某CMのようにファイト一発大逆転というわけにもいかない。
時間が経過すればするほど、彼の筋肉は疲労し、状況は悪化していく。
ケンカなどしてる場合ではないと、二人はようやく気がついた。
どうにか状況を打開しようと、里沙は彼に尋ねた。
「…ねえ、ひょっとして、一人だけなら両手で持ち上げられる?」
彼は問いに答えなかった。
里沙はそれを、”できる”という答えとして受け取った。
彼が答えないのも無理はない。
それをするためには当然どちらか一方の手を離さなければいけないからだ。
「できるんだね? …じゃあ、私の手、離して」
「ちょ、ガキさん!? やだよ!? 絵里を助けるために犠牲になろうとか、そんなのゼッタイ嫌っ!」
「カーメー、勘違いしないでよ、死ぬつもりじゃないって。
まず最初にカメが丘に上がって、それからすぐに助けを呼んで。
そうすれば私も助かるかもしれない」
”かもしれない”。
そのなんとも頼りない言葉を聞いて、絵里は少し考えてから言った。
「…だったら、絵里の手、離して」
「カメ、なんでよっ!?」
「だって、絵里のほうが泳ぐの上手いもん」
「あのね、カメ、服着てたら泳ぎが上手いとか下手とか関係ないって」
「…でも、やだ。 …もし、ガキさんだけ助からないようなことになっちゃったら、絵里、生きてけない」
「カメ…」
絵里の健気な言葉に、里沙は思わず目頭が熱くなる。
それがばれないようにわざと明るい声を作った。
「大丈夫だよ、ぜったい上手くいくから!」
「じゃあ絵里が海に落ちるほうでもいいでしょ?」
「カメ…、分かってよぉ」
「分かんないよ、とにかくガキさんが死んじゃうのは嫌なのっ!」
「死なないっ!」
「死ぬっ!」
もはや里沙が死ぬと決まったような口ぶりである。
里沙の提案を拒み、自分が海へ落下することを主張する絵里。
そんな絵里にどうにか説得を試みる里沙。
お互い、相手の主張は頑として受け入れようとしない。
二人は次第にヒートアップしていった。
「んもぉ、この分からず屋っ! 私が海に落ちるのっ!」
「ダメ、絵里が落ちるっ!」
「私がっ!」
「絵里がっ!」
通常ならば、ここは某倶楽部のお家芸、『どーぞ、どーぞ♪』を炸裂させるタイミングではあるが、
今回ばかりはお互い譲らない。
譲るわけにはいかない。
二人とも気づいているのだ。
海に落ちたほうが後にレスキューによって救出されるというのはまったくの詭弁。
いったいどれくらいの時間で助けが来るのか分からないし、それまで命がある保障などどこにもない。
結局はお互いの命を最優先に助けたい一心なのだ。
その想いの強さは双方譲らず、いくら話し合っても決まることはなかった。
里沙と絵里は次第に言葉数が少なくなり、最後は無言でしばしお互いを見詰め合った。
視線だけで何かを確認してから、コクッと頷く。
その視線はやがて、上方にいる彼へと向けられた。
「…アンタが」
「…選んで」
今、彼に究極の選択が突きつけられた。
166 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 01:43:48.89 0
乙です
次がラストかな?
>>165 ラス前乙ですw
マルチエンドだったら前作っぽいですが、そこまでするほどの長編でもなさそうですしね
粗末な体っていう表現はなんか違和感があるような
貧相な体の方がしっくりくるかな
168 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 02:05:56.01 0
その時
だ
ワンダー3って言葉があるよね、不細工ワースト3なのか不人気ワースト3なのかは知らないけど
狼一般には紺野小川新垣の3人を指す言葉らしい、悪い意味で
ところが紺野小川をそのままに新垣を亀井に入れ替えてワンダー3と言うレスを見かける
紺野では無く新垣を亀井に入れ替えているのである
不細工なのか不人気になのか知らないが恐らくワーストを示す言葉にも関わらず
紺野を残し新垣を亀井に入れ替えているのである
新垣が紺野と亀井に何で勝っているのかは私は知らない
写真集の売上では小川にさえ負けている新垣がワースト3から何故逃れられるのか?
2ch,狼におけるレスの数がそのまま人の数では無い事は説明するまでも無いでしょう
今でも私は紺野小川亀井の名前を説明的に添えてレスされたワンダー3と言うレスを見かけます
説明が長くなりましたが、この事からも紺野と亀井のアンチの姿が
透けて見えるかと思います。
171 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 03:10:48.99 0
ほ
172 :
286:2006/07/08(土) 04:12:37.65 0
忙しい時期を風邪ひきながら乗り越え、そこにスランプも重なった結果の更新停止でした
申し訳ないです。まだ微妙にネタ切れですが・・・とりあえず
(;286)つ【続き】
173 :
286:2006/07/08(土) 04:13:35.75 0
「ん〜じゃあ遊びにいこっか。体もなまってるし」
めでたく遊びにいくことが決まった俺たちは新垣の提案で体を動かしにカラオケに行くことになった
「うぇ?だってカラオケって体動かすトコでしょ?」
という言葉に一抹の不安を覚えつつもカラオケ店に向かった・・・
・・・約五時間後
「つか・・れた・・・」
「えーこの程度で疲れてちゃだめだよ?」
「ごめんなさいこれ以上は無理です・・・」
「あーそれにしてもヒサブリに本粋で打っちゃったよー」
俺の苦行の五時間はご自由に想像してほしい。OADだのロマンスだのの単語を覚えたということだけ語っておこう
「あれ?カメは?」
「あー亀井なら途中で逃げ・・・いや用事があるって帰ったよ」
「ふぅーんまぁカメにはあとで色々教えとこ」
亀井に幸あれ・・・
「ねぇまだ時間大丈夫?」
「え?まだ大丈夫だけど?」
「じゃああたし行きたいとこあるんだけどさ」
「え?どこ?」
「んーちょっと」
「ちょっと?」
「ちょっとだってば!」
174 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 04:14:04.50 0
コピペの上に長文とか
175 :
286:2006/07/08(土) 04:14:40.59 0
「ここだよ!」
あたしが連れてきたのは何の変哲もない神社
でもあたしにとってはどこよりも神聖な場所
「ちょっとここで御参りしてこ」
「ここで?」
「ここじゃないと意味無いからさ」
「ふーん」
懐かしい・・・何にも変わってないや
ここは昔あたしが助けられた場所。迷子になって・・・アイツに助けられた場所だから
「ささっ御参りしよ!」
「う・・・うん」
「はい!合掌」
「新垣それお寺・・・」
「グダグダ言わないの!男のくせに」
もちろん願うのは恋愛成就だ。
「かないますよーに・・・っと」
「何お願いしたの?」
「それ言ったらかなわないでしょーがぁ」
それに言ったらカメに悪いしね!・・・一応
176 :
174:2006/07/08(土) 04:15:07.54 0
ごめんちょっと上の変な奴のことね
177 :
286:2006/07/08(土) 04:15:16.72 0
「新垣知ってる?この神社の昔話」
「昔話?何それ?」
「んー神話とかそんなのに詳しいやつに聞いたんだけどさ」
「うん何?」
「昔々神様と女神様がいました。女神様は神様をたいそう慕っていましたが神様はそれに気がついていませんでした」
どっかで聞いたような話だな?
「ある日女神様はそんな神様に痺れを切らして神様のもとを去っていきました。」
「神様は女神様を必死に探し回りました。そして・・・二人が再び出会ったのがこの場所だったのです」
「それから二人は豆のようにかわいい子供を・・・」
「ちょっと待って、普通玉のようにかわいい子供じゃないの?」
「んーでも豆のように可愛い子供だって」
「まぁいいや続けて」
「豆のように可愛い子供を作り、記念に二人が出会った場所に社を立てました」
「それが神話?」
「うん。だからここ恋愛成就の神様らしいよ」
「ほぉー」
じゃあ少しは効果あったかな?
あったら・・・いいな
178 :
286:2006/07/08(土) 04:16:42.42 0
以上。
言わずもがなですが遊びのほうに進んでいます
180 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 06:16:44.03 0
起床保全
ほ
ほほほほほ
185 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 11:41:12.43 0
ほ
ほ
187 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 13:36:43.68 O
ほ
188 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 14:06:43.24 0
ぜ
ん
ho
191 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 16:45:24.76 0
ze
192 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 17:38:46.37 O
ノlc| ・e・)<んっ!!
ほ
194 :
147:2006/07/08(土) 18:56:25.40 O
43氏乙です
マルチエンドじゃなくて良かった…
もしそうだったら泣いてたよ
ラストスパートがんがってください
286氏も久々で乙です
>>147書いた日に復活で嬉しく思います
無理せず書いてくださいね
h
h
197 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 22:16:11.41 0
晩酌保全
n
199 :
名無し募集中。。。:2006/07/08(土) 23:25:58.29 0
ほ
ze
201 :
携帯21:2006/07/09(日) 00:17:55.27 O
>>151 「!!」
突然の妹の切り返しに兄は面食らった。
軽く前後不覚に陥った兄は平静を装いながら呟いた。
「な、なんでだよ?」
「…だってさあ、里沙姉ちゃんってりしゃこに優しいし、なんかお兄ちゃんとお似合いな気がする!」
妹は同じ響きの名前を持つ兄の幼馴染みを小さな頃から親しみを込めて“里沙姉ちゃん”と呼んでいた。
それにこの兄の幼馴染みも、幼馴染みの妹ということを超えて自分の名前に“子”の字のついたお人形のようなおチビちゃんを実の妹同様に可愛がった。
202 :
携帯21:2006/07/09(日) 00:33:12.25 O
「里沙姉ちゃんには小さい頃、よくバスケ教えてもらったしさぁ〜!」
兄は久々に思い出していた…。
そうだった…あの頃里沙と梨沙子と毎日近くの空き地で暗くなるまでやってたっけ…。
誰か一人がリングの役をして…あの頃は気づかなかったけどポートボールだったんだ。
ちょうどバスケ漫画が流行っていて小さいながらもあの漫画みたいに汗だくだった…。
今では妹は近年稀にみる強豪チームに属し、彼女とチームメイト達は“スペシャルジェネレーション”とまわりから呼ばれていた。
…あの頃は楽しかったなぁ…。
しかしあんなことが起きてから、そんな記憶もいつのまにか封印してしまっていた…。
203 :
携帯21:2006/07/09(日) 00:44:09.16 O
Sは無理矢理押し込んだ記憶達をたぐり寄せては少しずつ紐解いてみた。
もしあんなことにならなければ、随分今とは違った高校生活になっていただろう…。
妹にはバレないようにとりつくってみたけれど、多分バレてる…。
女のそういうカンって歳は関係ないっていうから…。
それに…。
それに多分妹は分かっていて、分かっているからこそあんなこと言ったんだろう…。
そうじゃなきゃ…。
新…垣…里沙……。
でも、今の自分にはどうすることも出来ない…。
…出来ないんだ…。
<続く>
おつおつ〜
乙〜。
ワッフルワッフル
「で、できないよ、そんなの!」
当たり前だ。
彼に二人のうちどちらかを傷つけてしまうような選択ができるはずがない。
ましてそれが生命の危険に及ぶものとなればなおのこと。
彼はその選択を回避するために幼少時に自分の部屋から飛び降りたり、
今もこうして熱海くんだりまでやってきて自分の存在を消そうとしたのだ。
彼の表情は苦痛に歪んでいた。
それは二人を支えている腕の痛みからくるものだけではない。
自分がもっとも大切にしていたものを、自分の手で切り離してしまう恐怖によるものだった。
彼の心はその重圧にぎゅうぎゅうに押しつぶされていた。
こみ上げてくる嗚咽を止めることができず、ただ同じような言葉を呻くように繰り返し呟いた。
「選べないよ…選べるるわけがない…」
だがそんな彼とは対照的に、里沙と絵里は穏やかな眼差しで彼を見つめていた。
危機的状況にありながらも、その顔はどこか晴れやかでもある。
二人は握った手にもう一度強く力をこめながら、言った。
「アンタが選んだ答えだったら」
「どんな結果になっても、絵里たちは納得するよ」
強く、まっすぐな視線が彼を射抜く。
信頼に満ちた瞳が彼を包む。
「だから、大丈夫」
「うん、絵里たちなら、大丈夫だって」
―――!
彼の心を押しつぶそうとしていたものが、どこかへ消えていくようだった。
”大丈夫”
”絵里たちなら、大丈夫”
まとわりついていた闇が、眩しいほどの光に照らされる。
彼は自分を恥じた。
なぜ自分たちのことをもっと信じることができなかったのか。
自分たちを一般的な男女の関係と安易に重ね合わせ、それが壊れてしまう恐怖に勝手に怯えていた。
自分たちの絆はそんなことで壊れてしまうような脆いものだったろうか。
いいや、違う。
彼女たちがそう言っている。
何があっても、どんなことになっても、自分たちなら大丈夫だと、そう言っている―――
彼の表情がふいに和らいだ。
「…分かったよ、じゃあ―――」
彼の言葉が終わり、少ししてから、その手が離された。
絵里の視界の中の彼の顔がどんどん小さくなっていく。
重力が残酷に絵里の体を地球の中心へと吸い寄せていった。
海へと落下していく最中、絵里の頭の中に浮かんだのは、三人で過ごした膨大な時間だった。
いっしょに公園で遊んだ日。
いっしょに草原を駆け抜けた日。
いっしょに夕焼けを眺めた日。
いっしょに登校した日。
いっしょに傘を差して歩いた日。
いっしょに手を繋いだ日。
いっしょに笑った日。
いっしょに泣いた日。
いっしょに怒った日。
いつも3人いっしょだった。
どんな些細なことも、どんなくだらない出来事も、
とても大切な、かけがえのない思い出だった。
その思い出を抱きしめたまま、絵里の体は冷たい海に飲まれた。
下から見る海面は太陽の光がキラキラと反射し、とても綺麗だった。
少し離れたところに里沙の姿が見えた。
自分と同じように海の中に漂っている。
そう、彼は里沙の手も離したのだ。
絵里はただじっと、海面越しに揺れる太陽を見つめていた―――
―――彼が目を開くと、真っ先に空の青が飛び込んできた。
その光景が美しすぎて、ここはひょっとしたら天国なのだろうかと錯覚する。
だが背中にゴツゴツと当たる感触が、ここが波打ち際の岩場であることを教えてくれた。
岩は彼の背中に直接触れている。
彼は上半身裸だった。
いや、上半身だけではなく下も履いていない。
彼はいわゆるパンツ一丁で岩場に倒れこんでいた。
頭に痺れるような痛みが残る。
体中の筋肉が疲労しきっていたが、どうにかよろよろと身を起こした。
少し離れたところに、びしょ濡れの絵里が座っていた。
呆然とした表情で遠くの海を見つめていた。
その傍らに里沙の姿もあった。
里沙は身を横たえたまま動こうとしない。
重い身を引きずって二人の側まで寄ると、絵里は彼の存在に気づいたようだった。
視線は彼のほうではなく、里沙のほうに向けながら、絵里は言った。
「綺麗な顔してるでしょ、これ…」
「ま、まさか、死―――」
彼は取り乱して里沙の肩をガシッと掴んだ。
そして、下が岩場だというのも忘れて全力で里沙の体を揺すった。
それはもう後頭部が地面と擦れるほどに揺すった。
すると、突然里沙の目がカッと見開かれた。
「勝手に殺すなぁっ! そんな風にしたら頭痛いでしょーがっ!」
里沙はガバッと起き上がるなり、彼に一喝食らわせた。
その元気な様子を見て、彼は心から安心したように、ホッと息を吐き出した。
三人は生きていた。
まことに信じられないことではあるが、九死に一生をえるとはまさにこのことか。
究極の選択を迫られた彼の出した答え。
―――三人でいよう、死ぬときも、生きるときも、三人で。
それはすなわち二人の手を離し、自らも海に飛び込むということだった。
彼は二人にまず海の中で服や靴を脱ぐことを考えないように伝えた。
水中での脱衣は相当難しく、また衣服は行動の妨げにはなるものの空気を取り込めば浮力を得ることができるからだ。
泳ごうとはせず、浮くことだけを考える。
そのために、二人には仰向けで太陽をじっと見つめているようにと言った。
そうすれば自ずと最も安定した背浮きの姿勢になる。
もっとも重要なことは、絶対に慌てないこと。
この二人に、ましてこのような状況で慌てるなというのは大分無理のある注文ではあったが、
それでも二人は彼の言葉を信頼し、じっと海に漂った。
彼は二人の手を離した後、即座に消防へ救助を要請した。
”三名”海に飛び込んだものがいる、と。
そして自分の衣服を脱ぎ捨て、リュックの中身を空にし、それを持って二人の後を追った。
彼とてはじめは泳いで岸までたどり着くことは考えていなかった。
浮き具代わりのリュックと、身軽な自分で二人をサポートし三人で救助を待つ、それが彼の考えだった。
だが、飛び込んだ海の流れは予想以上に穏やかだった。
この程度ならば二人を岸に連れて行くことも可能だと咄嗟に判断した。
そのほうが三人で助かる可能性が高い、と。
彼は三人で生きることを強く望んだ。
この海岸の形は、さきほど二人を腕で吊り上げていた時に嫌というほど目にしていたため、
もっとも近い岸の位置は十分頭に入っていた。
空のリュックを、比較的泳ぎに長けている絵里にもたせ、はじめ里沙を岸まで連れて行く。
岸までの距離はさほど遠くはなかったとはいえ、往復する頃には彼の体力は極限まで削られていた。
彼が意識を失ったのは、ちょうど絵里の足が地面に届くところまで運び終えたときだった。
まさに一か八かの策。
下手をしたら三人そろって海の泡と消えるところだった。
ちょうどその時間、干潮のため潮の流れが止まっていなかったらこんなにうまくはいかなかっただろう。
その偶然も、彼ら三人の絆の強さが引き寄せたものだと信じたい。
「…でも、ほんとうに死ぬかと思った」
「絵里もだよぉ…」
二人は彼のことを責め立てるように、瞳を潤ませながら睨みつけた。
「それに、アンタも…」
「ほんとうに死んじゃうかと思った…」
やがて目じりからぶわっと涙が溢れ出す。
それが合図だったかのように、二人はいっせいに彼の肩を叩き始めた。
「「ばかばかばかばかばかばかぁーっ!」」
両側から肩の辺りをポカスカ叩かれた。
それでも二人は大声で泣きながら叫び続けた。
「誰かがいなくなって幸せになれるわけなんてないでしょうがぁ!」
「そうだよぉ、アンタがいなくなったら、絵里たち、どんだけ悲しむと思ってんの!?」
その勢いはもはや叩く、というより殴るといったほうが正しい。
だが、彼は何も抵抗せず、ひたすら二人からの暴力を甘んじて受け入れていた。
痛みは体より、むしろ心に響いていた。
こんなにも大切な人を自分のせいで悲しませてしまった痛みと、
二人がこんなにも自分のことを想っていてくれたという嬉しさ。
その二つが、直接心に響いてきた。
「もう、こんなこと、しないでよ…」
「ゼッタイ、死んじゃったりしちゃ、ダメだよ…」
彼はうな垂れたまま、首を縦に動かした。
そのことを確認すると、里沙と絵里は力尽きたようにばったりと仰向けに寝転んだ。
やはり海水浴にはまだ早いようだった。
三人は途方もない寒さに包まれていた。
だが救助はまだ来ない。
絵里は空を見上げたまま、里沙に話しかけた。
その話題は、今の状況からすると少々適切でないような気もしたが、
こんな時だからこそ、恥ずかしげもなく素直に話せるのかもしれない。
「…ねえ、ガキさん、”アレ”どうする?」
「”アレ”って…、勝負のこと?」
絵里は里沙の方に顔を向けて、コックリと頷いた。
一人、置いてけぼりを食らったのは彼だ。
「…何、勝負って?」
絵里は洗いざらい、すべてを彼に話した。
里沙と絵里はお互いの彼への気持ちを知っていたこと。
その上で、彼に好きだといわせるために、あれこれ画策していたこと。
だが、この勝負はすでに破綻しているのだ。
二人は彼に自分の気持ちを伝えてしまったのだし、
彼は究極的に追い込まれた状態でも二人のうちのどちらかを選ぶことができなかったのだから。
しかし里沙はふいに何か思いついた顔をした。
そして意味深な笑みを浮かべながら絵里に語りかけた。
「続行ってことにしよっか?」
絵里ははじめ不思議そうに里沙を見返したが、
徐々にその真意に気づき、やはり同じようにニヤリと笑みを浮かべた。
「…なるほどね、いいよ、勝負は続行ね」
戸惑いを見せたのは彼だった。
「え、だ、だから、できないよ、俺にはどっちかを選ぶなんて…」
「「選ばなくていいよ♪」」
二人は声を揃えて言った。
なんだかやたら楽しげな二人に、彼は不思議そうな顔をして尋ねた。
「でも、それじゃ決着がつかないんじゃ…」
里沙と絵里はお互い顔を見合わせる。
そしてコロコロと笑いながら言った。
「決着がつかないからいいんだよ♪」
「さしずめ、いつまでもずっと続く延長戦、ってとこかな♪」
勝負の決着がいつまでもつかないということ。
それはすなわち3人がいつまでも一緒にいるということだった―――。
―――後日。
桜の花びらが舞い散る道を三人が並んで歩いていた。
その日は三年生になって初めて登校する日だった。
高校生活、最後の一年が始まろうとしているのだった。
いつもどおり里沙が彼を迎えに行き、二人が絵里を迎えに行く。
いつもはお寝坊さんの絵里も、久々の学校ということで気合が入っていたのか、
いくぶん余裕をもって家を出ることが出来た。
「でもさー、今考えるともったいないよねぇ」
「ん、何がよ?」
道の途中、絵里がしみじみと呟くと、里沙がテンポよく合いの手を入れた。
「せっかく熱海まで行ったのにさぁ、温泉入らないで帰ってきちゃったんだから。
うん、ぜったいもったいない」
「…海には入ったけどね」
彼が言うと、里沙と絵里はジロリと彼のことを睨んだ。
「「…誰のせいだと思ってんの?」」
「…ゴメンナサイ」
しゅんと彼がうな垂れると、里沙と絵里は声をあげて笑った。
そう、どんなこともいつか笑い話に出来る。
苦しみも、悲しみも、痛みも、恥ずかしさも、絆が失われない限り、いつかは、きっと。
「ねえ、いつかまた熱海行こうね。
…あ、いつか、じゃなくて、近いうちに、ぜったい」
「お、いいねぇ、今度は温泉とかにゆっくり入りたいねぇ」
「ウヘヘ、混浴とかあるかなあ。
そしたらいっしょに入ろうねぇー♪」
絵里はふざけたように言いながら彼の腕を掴んだ。
突然の行動に彼が戸惑っていると、里沙は真っ赤な顔をしてその二人の間に割って入った。
「ちょ、カメ、何言ってんのよっ!」
すると絵里はさっと反対側へ回り込み、再び彼の腕を掴もうとする。
それを阻止しようと里沙も絵里に続いた。
二人は彼を中心に、その周りをぐるぐると追いかけっこを始めた。
「やーい、ここまでおいでー♪」
「こ、こらぁ〜、カメェ〜」
やがて絵里は桜の絨毯を踏みしめながら、先へと駆けていく。
里沙はカバンをぶんぶん振り回しながら、その絵里を追いかけていった。
彼はそんな二人の様子を優しげな眼差しで見つめていた。
延長戦が終わる気配、全くなし―――
>>208-219 以上でした
最後まで付き合ってくれた方、途中で見切った方、みんなみんなありがとうです
特にスレを保全してくれている方には最大級の感謝です
他の作者さんも無理しない程度に頑張ってください
陰ながら応援しています
では
221 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 02:39:17.76 O
全て見させていただきました。長い間作者さんご苦労様
222 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 02:39:40.91 0
>>220 お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、お、乙です!!!
マジで最高でした。。。ほんとにお疲れ様…
乙!!!!! やっぱマルチじゃない限りこの二人は選べんな
今度43氏にリクエストしていいですか?
終わったばっかなんで先でいいですので
>>220 お疲れ様でした
いつ読んでも文章力が素晴らしくて、リアルに3人のやり取りが頭に浮かびます
もしもシリーズが退化していく中、このスレがホントに楽しみでした
ガキさんと亀ちゃんのキャラってのがスゴイ良く出てて
作者さんの愛を感じましたよwよく見てるな〜って
『同時告白』を含め長い間ホントにお疲れ様でした!
またどこかで新作が読めることを楽しみにしてますw
225 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 03:13:07.69 0
俺 は 泣 い て い る
乙!
あえて言おう、最高であると!
W杯のために4時に起きたけど、試合そっちのけで読んじゃいましたw
今回も見事な展開とエンディングに脱帽です
また今回も整形してアップしたいと思います
前作から短いインターバルでしたが、本当にお疲れ様でした!
ほらほら終わって安心してないで
保全!!保全!!
229 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 07:16:22.11 0
ほ
230 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 07:20:50.39 0
どっちも選べないかぁ
予想はしてたけど予想なんか目じゃ無いくらい面白かったです
231 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 09:04:20.61 O
43氏本当に激しく乙でしたm(__)m!!!
あの危機的状況をいかに打破してハッピーエンドを迎えるのか
正に息を呑んで見守っていましたが三人の絆が産み出した『奇跡』に納得と感動の嵐でした!
途中ガキさんと亀ちゃんがとってた面白過ぎる行動の数々を見て『今回は短編集みたいな展開かな』
と思いながら見ていましたがラストでその全ての点が見事に線になる構成は本当に素晴らしかったです!
また暫く43氏の作品を見られなくなるのは本当に寂しいですが次回作でお会いできるのを楽しみにしてます!
まとめの人もいつもありがとうございます!
286氏
携帯21氏
両氏の作品の完走を見届ける為にこれからも保全頑張ります!
232 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 10:13:39.39 0
乙〜
233 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 11:12:48.03 0
43氏本当にありがとう!!!
保全
ほ
235 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 12:24:01.75 0
ほ
236 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 12:34:04.48 O
>>220 お疲れ様でした
最高だよあんた最高だよ!!!!!
小説家を目指してみてはどう?w
趣味は趣味だからこそ楽しいのだよ
238 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 13:32:01.18 0
もうすこしエロが欲しかった今日この頃・・皆さんはいかがお過ごしでしょうか
239 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 13:59:08.72 0
久し振りにDVDのえろりんでも堪能するかな
ほ
ま
242 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 16:38:37.45 0
感 動 を あ り が と う
243 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 17:28:06.63 0
だっふんだ
244 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 17:35:57.26 O
43氏が途中でちょいエロにも手を出したりしてきて
それすらも予想通り官能的で上手なのには感動したわw
245 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 18:38:00.10 O
夕飯前保全
246 :
携帯21:2006/07/09(日) 19:04:30.40 O
>>203 そうこうしているうちに後半も始まり、瞬く間に3点取られて奇跡の予選突破は夢と消えた。
Sは妹とテレビの前で声を荒げていたにも関わらず後半のことは全くといっていい程印象に残っていなかった。
ただ甘酸っぱくも苦く切ない想いだけが彼の心を占めていた。
247 :
携帯21:2006/07/09(日) 19:15:58.15 O
水泳の授業といえど泳ぐわけではない。
泳ぎたければ泳げばいいし、遊びたければ遊べばいい。
とにかくこのプールの中で1時間過ごす…それだけだった。
さっき聞こえた新垣の小さな呟きによって生じた気持ちの高まりを、Sは誰にも悟られまいと一人で泳いでいた。
「ドン!!」
突然頭になにかモンマリとしたものが当たってSは泳ぎを止めた。
「ごめ〜ん!ってなんだSか!」
絵里が右手で自分のおしりを撫でながら八重歯を見せて笑っている。
「当たっておいてそういうこと言うかねぇ全く…!」
「ウヘヘへ…」
絵里に罪の意識はない…。
248 :
携帯21:2006/07/09(日) 19:27:54.41 O
「どうしたの?なんか元気ないじゃん!?」
「べ、別にそんなことねぇよ!あったとしてもオマエにゃ関係ないだろ…」
…一瞬だけ哀しげな表情をしたようにも見えたが、やっぱりいつもの亀井…だった…。
「なんだよぉ〜その言い方はぁ!折角絵里が心配してあげてんのにぃ〜!!」
絵里は丸っこい手をポカポカ振り回した。
「やめろって!あっち行けよ!」
Sは水をすくって絵里にかけた。
「やったなあ〜!!」
こうなると誰も絵里を止めることは出来ない…はずが…。
249 :
携帯21:2006/07/09(日) 19:40:31.24 O
「仲が良くて羨ましいの…!」
突如現れたサユの一言に絵里の手が止まった。
「…そ、そ、そんなことない!そんなことないってばぁ!!」
「……」
ただ黙って絵里の目を見ているサユ…。
“フン!”と聞こえたかと思うとサユは背中を見せてプールサイドに上がり、長い髪を左右に振って残っていた水を飛ばした。
そしておしりの辺りの水着のラインを両手で少し摘み上げ指を離すと“パチン!”と勢いよく水着が白い2つのもりあがりに当たる音がした…。
250 :
携帯21:2006/07/09(日) 19:52:28.15 O
「う〜ん…!」
美しく長い髪をポニーテールに束ねているサユの後ろ姿を目で追っているSに絵里がプイと口をとんがらせた。
「ああいうのが良いわけぇ?」
「…」
「ああそうですかぁ!なんだよ…今日はSもガキさんもなんか変だしさぁ〜!!」
「新垣が!?」
「…うん」
「…ふ〜ん…」
「…気になる?」
「……」
最後の絵里の質問には答えずSは少し休もうとプールサイドに上がっていった。
「なんだよもう〜!!」
誰のせいでもないのに誰かのせいにしたい膨れっ面の絵里であった…。
<続く>
俺のせいにして
252 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 20:31:38.56 0
乙〜
253 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 21:20:59.99 0
イイヨイイヨー
乙!
ん?
サッカーからプールの間がよくわかんない
256 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 23:02:58.34 0
ほ
257 :
286:2006/07/09(日) 23:25:50.28 0
43氏長い間お疲れ様でした
前回の同時告白の時から読ませていただいておりましたが今回も面白かったです
また次回作に期待しております
途中で私が割り込んでしまったようだったので少々心苦しかったのですが・・・
書き始めたからには最後まで行きます
( 286)つ【続き】
258 :
286:2006/07/09(日) 23:26:49.11 0
「おはよー♪」
「お・・はよぉ」
「何亀井元気ないじゃんか」
「そう!酷いんだよ!ガキさんったら夜絵里に無理やり」
「カ〜メ?余計なこと言わないの。今日もやる?」
「いえ!いいですすみませんでした絵里は何にも喋りません」
「よろしい」
余計な詮索は止めとこう。それが平和のためだ
「はぁーしかし久しぶりの学校だよ」
「絵里もだよぉー」
「授業進んでるんだろうな」
「だーいじょうぶ!しっかりあたしがノートを取っておいてあげましたから」
「さっすがガキさん頼りになるー♪」
「あのね。カメも最初のほうは学校にいたんだからね。そこの所はとってておかしくないんだよ?」
「まーまーそういわずにお代官様ぁ」
いつ見ても二人の漫才は変わらないのね
「まぁ・・・不安はそれだけじゃないけどね」
「ん?何なんかあるの?」
「まぁちょっと」
理由はどうあれ人殴って入院して初めて学校に行くんだそりゃ不安になるさ
「大丈夫だよ」
「え?」
「絶対大丈夫」
新垣はそういうとキュッと手を握ってきた。
259 :
286:2006/07/09(日) 23:27:52.72 0
思えば・・・新垣は誕生日が一番早いからか子供のころから何かとお姉さんぶっていた気がする
亀井も昔は引っ込み思案だったし俺も自ら進んで前に出るタイプではなかったし当然といえば当然なんだけど
いつだったかもう覚えてもないほど昔のこと
前後に何があったかも覚えてないけどただその瞬間だけ覚えている
・・・
「こわいよぉー」
「だいじょぶだって。あたしがいるから」
「ほんとに?」
「うん。ずっといっしょにいてあげるよ」
「ずっと?」
「うんずーっと。ほらこうしたらもうこわくないでしょ?」
「うん。りさちゃんのおててあったかいね」
「ずっといっしょにいてあげるからね。おじいちゃんとおばあちゃんになっても」
「やくそくだよ?」
「うん。やくそく」
・・・
260 :
286:2006/07/09(日) 23:29:31.10 0
「どしたの?急にぼけっとしちゃって」
「ん?なんでもないよ」
「ちょっとぉー何二人でいちゃついてるの!絵里も混ぜるの!」
と、反対の手を亀井が握ってきた
「おい・・・さすがにこれは恥ずかしいぞ」
「気にしないの♪」
「カメぇー!」
「ひゃっごめんガキさん」
「同感だよ♪」
「やったぁーガキさんの許しが出たぁー」
「おい新垣・・・」
「いーじゃんたまには・・・たまにはね」
「そーそーいいじゃんいいじゃん♪」
「でもカメは調子に乗りすぎ!」
「ウヘヘ〜調子に乗ってナンボの世の中だよ?」
「こらぁー」
「俺を挟んで言い合うなよ・・・」
261 :
286:2006/07/09(日) 23:30:04.43 0
と、いつもの調子で言う俺だったが
さっき俺を少し見上げた新垣の瞳は当たり前だけど子供のときから変わってなくて
それに・・・少し綺麗になっていて
ほんの少しだけ・・・友情以外の感情を感じたような気がしたんだ・・・
「何?またボーっとしちゃって」
「何でもない・・・気のせい気のせい」
「うぇ?それこっちの台詞だから」
「なにー?アンタガキさんの天然がうつっちゃったんじゃないのぉ?」
「ちょっとそれカメにだけは言われたくないんだけど」
「それどういう意味ぃ?」
「はいはい俺がボケてたのが悪かったから俺を挟んで喧嘩しないの」
「そうだよアンタが悪い!」
「カメぇ!」
気のせい・・・にしとこう
じゃないとあとがつらすぎるから・・・
今の日常を壊したくないから
そして亀井を一人にするわけにはいかないから・・・
262 :
286:2006/07/09(日) 23:32:22.46 0
以上。クライマックスに向かい始め
ガキ絵里の始めてのハッピーバースディ良すぎです
263 :
名無し募集中。。。:2006/07/09(日) 23:36:05.61 0
乙です286さんもクライマックス近いのかぁ
264 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 00:14:19.26 0
初ハピ早く聞きたいなー
265 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 00:17:37.96 0
音源あがってたよ
266 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 00:57:52.38 0
寝る前保全
267 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 01:25:49.41 0
眠れなくて保全
おつん
h
270 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 05:01:22.35 0
o
271 :
名無し募集中。。。:2006/07/10(月) 06:21:56.54 0
起床保全
272 :
携帯21:2006/07/10(月) 08:13:34.64 O
>>255 分かり難かったですか!
時間上では
>>97から
>>247へ続いているのですが、その間の回想は247以降への布石といいますか…どうかヨロシクです!
書き込んだ後、いろんな意見・感想もらえるのはホント嬉しいです!!
ありがとうございます!
43氏には一喜一憂させられっぱなしでした。多分自分も相当影響受けてると思います。心からありがとうございました。また43氏のガキさんとカメに出会えることを願っています。
事情により3、4日書くことが出来そうにないのでこれからあげておきます。
携帯21の里沙と絵里もみなさんに愛されるよう頑張ります。
273 :
携帯21:2006/07/10(月) 08:28:28.47 O
>>250 Sがプールサイドに横たわって空に向かって溜め息をついていると、近くの棚に並べられたビート板を取りに来た里沙と目が合った。
里沙はちょっと伏せ目がちで優しげに微笑んだ。
「あ、新垣…!」
Sは自分でも驚くほど自然に里沙を呼び止めることが出来た。
「?」
呼び止めたはいいが、どうやって切り出したもんか考えてなかった為に一瞬間が空いてしまった。
「…さっき亀井のヤツがさあ…今日の新垣はなんかおかしいって言ってたぜ…」
「亀がぁ?」
「…うん…なんかあったのか?」
遠くの妖しげな雲を眺めつつSはぶっきらぼうに聞いた。
「う〜うん、別になんでもないから…ありがとう…」
「…それなら良いんだけど…」
タタタ…ンと小走りで里沙はビート板を小脇に抱えるとまたプールに入っていった。
274 :
携帯21:2006/07/10(月) 08:42:58.18 O
Sはその様子を目でうわずにはいられなかった。
「あの傷は…!」
里沙の片方の膝にある傷…あれさえなければ俺達の高校生活も違ってただろう…Sは後悔と無力の自責の念でいっぱいになりながらまた目を遠くの雲に移した。
さっきより妖しい雲が大きくなった気がした。
「ピィ〜!!」
プールの中で生徒達と一緒にモミクチャになっていた吉澤先生の笛が高らかに鳴った。
「は〜い今日はここまでぇ〜!!」
途中巨乳の唯ちゃんの片乳ポロリ事件や天然素材のみうなちゃんは天然だけにアンダーヘアーも未処理の生やしっぱなしの伸びっぱなしということも分かった。
大きな収穫の1時間だった。
275 :
携帯21:2006/07/10(月) 08:54:04.37 O
絵里はむしゃくしゃした気持ちをなんとかしようと散々水中で遊びたい放題遊んだ為に、プールの縁で上がろうにも上がれず疲労し切っていた。
「どうしたの亀?」
「あ、ガキさん助けてよ!もうクタクタで上がれなくなっちゃったよぉ…!!」
「アンタみたいな体力あり余った人でもそんな風になっちゃうんだ!」
「ガキさん人を珍獣みたいに言わないでよ!それより押してくれる!?」
プールの縁にへばりついた絵里はまだ胸まで水につかっている里沙に懇願した。
「ちょ、ちょっとホントにぃ〜!?」
「お願いガキさん!」
モンマリとしたおしりの向こうに今にも泣きそうな絵里の顔が見えた。
「わ、分かったよ!」
276 :
携帯21:2006/07/10(月) 09:05:45.08 O
里沙ははち切れそうな程実りに実ったたわわな絵里のおしりに両手を添えると、水の下にある両足に力を込めて踏ん張った。
「いくよぉ〜!」
「ふぁ〜い…」
「「せぇ〜の!!」」
……。
「亀、アンタ力入れてる?ビクともしないんだけど…!」
「入れてるよガキさん!ガキさんこそ入れてるぅ?」
「当たり前でしょうがアンタァ〜!」
ちょうどそこにプールから上がってタオルで頭を拭いていた涼しい顔のSが通りかかった。
「ちょっとS、いやS様、どうか絵里を引っ張り上げて下さいませんか!?」
最初Sはいつものように2人がふざけて遊んでいるように見えた。いっそ知らん顔してしまおうと思ったが、里沙のただならぬマジな目にこれは本気なんだと思い直し急いで絵里の両手を掴んだ…。
277 :
携帯21:2006/07/10(月) 09:51:54.77 O
…おいおいおい…ちょっと亀井のヤツ分かってんのかなあ!ここからじゃ胸の谷間が丸見えだっちゅうの!
ちょっと角度ずらせば谷間の両脇にあるお楽しみまで拝めちゃうって…!
…いつも以上に視覚に訴えてくる絵里の体にSは目が泳いでしまっていた。
「それじゃあ〜いくよぉ〜!!」
里沙の声が響いてSのお楽しみ会は無理矢理現実の世界に引き戻された。
「「「せぇ〜の!!」」」
ようやく絵里のお腹がプールの縁に乗った。
そして絵里は柔軟な体を活かしてギリギリ右足の爪先を縁に引っ掛けた。
L字になって開けっぴろげに開かれた絵里の下半身…。
…そこには普段じゃとてもお目にかかれない絵里『17歳』のサンクチュアリが水着の生地のすぐ下に潜んでいた。
絵里のおしりから流れれ伝う割れ目をなぞるかのようにしたたかに食い込んだ薄皮1枚の水着…。
もしペロンとめくるかずらすか出来たなら…。
アンタッチャブルがタッチャブルに変わる…。
…そんな夢の世界との狭間にいることを上から絵里の手を引っ張っているSは残念ながら知らない。
278 :
携帯21:2006/07/10(月) 10:09:33.06 O
「「「せぇ〜の!!!」」」
3人が最後の力を振り絞った。
ドッカ〜ン!!
「うぉ〜!!」
絵里の体は勢いよく弾みプールサイドに打ち上げられた。
その反動で上にいたSはドリフのコントのようにまっ逆さまにプールに叩きつけられてしまった。
その際Sはなにかフニュっとした膨らみに触れた気がした。
柔らかくとても心地良いものを確かに触った…。
ずぶ濡れになって立ち尽くすSの横で身をよじらせて顔をうつむき加減で赤らめた里沙がいた。
「…大丈夫か新垣!? 」
Sは親切心から言ったつもりだったが、里沙はどういうわけか両手をクロスさせてまるで胸を隠すかのように足早に去って行った。
「……」
この不思議な触感と共に、ただでさえ微妙な新垣との隙間が益々微妙になってしまったと感じたSであった。
絵里は水の抵抗から解放されると急に息を吹き返した。
「亀は水より陸の方が好きなんだよ…!」
未だ水中にいるSに聞こえるかのような声で絵里はそう言うとスタコラと更衣室の方へと歩いていった…。
279 :
携帯21:2006/07/10(月) 10:15:24.12 O
…というわけで男子生徒の中にはなかなかプールから上がりたくても諸事情により上がれない者もいた。
思春期の男子には思うところと思わざるところ様々な理由があることを新任ながらわきまえている吉澤先生は、プールから上がり肩にタオルをかけて男子達を待っていてくれた。
そんな吉澤先生の優しさが残念ながら裏目に出て男子は益々上がれなくなってしまった…。
280 :
携帯21:2006/07/10(月) 10:31:40.22 O
…というのも吉澤先生は濡れて体に張り付いた水着の為に、前から見ても分かる程吉澤先生の恥毛がきわどいハイレグのVゾーンから放射状に突き抜けていた。
男子生徒憧れの的の吉澤先生は剣山の如き針山の持ち主と判明し、某漫画のキャラクターの使う術から“万華鏡写輪眼”と後々まで噂されるようになった…。
「汚〜い!」
その吉澤先生の様を見てそう言ったある者は天罰が下ったのか、即日喫煙がバレて退学か停学かのどちらかの処分になるということでとりあえず親の監視下で自宅謹慎が決まった…。
それはさておき、吉澤先生はそうなっているとは露知らず例の少し籠った声を張り上げた。
「風邪引かないように温かくしておけよ〜!」
遠くにあったはずの妖しげな雲の一団がより一層大きくなってこちらに近づいてきた。
<続く>
おつおつ〜復帰待ってるよ
282 :
携帯21:2006/07/10(月) 10:48:48.79 O
ありがとうございます。
>>274の冒頭
○目を追わずには…
>>277 ○流れ伝う…
水泳関連はもう少し続きます。
近日予定の更衣室以降をどうぞお楽しみに!
283 :
携帯21:
また間違えてしまいました。
>>274冒頭…
○目で追わずには…
重ね重ねすいません。
これからもよろしくお願いします!