>>189 鬼ごっこをすると、ずっと鬼役をやらされていた舞波。
歴史の本を読むのが大好きで、よく俺に歴史クイズを出していた舞波。
餌をやった野良猫がいつまでもついて来て、嬉しいような困ったような表情を浮かべていた舞波。
大好きなイチゴをほおばって幸せそうだった舞波。
夏祭りで、初めて浴衣を着たとき、嬉しそうに俺に見せに来た舞波。
次々と打ちあがる色とりどりの大きな花火に圧倒され、呆然と夜空を眺めていた舞波。
笑顔の舞波。泣き顔の舞波。
嬉しそうな舞波。悲しそうな舞波。悲しそうに俺を見つめる舞波…。
長い妄想の最後に浮かんだのは、俺が目の前でプロフィール帳を破いたときの舞波の悲しげな表情だった。
そして再び自己嫌悪におちいる、俺。
あの時、伝えられなかった想い…。「ありがとう」という言葉。
それを伝えなければ、俺はいつまでたっても前に進むことが出来ない…。
そう決心した俺は、最後の別れの日に出せなかった勇気を少し振り絞って、
舞波に手紙を送ることを決めたんだ。