今日の更新
574 名前:仮73 投稿日:2006/02/20(月) 13:14:54.73 0
>>531-535 続き
575 名前:仮73 投稿日:2006/02/20(月) 13:23:58.47 0
◇
病院を出てからも僕と後藤は無言だった。
どこへ行くでもなく、ただ歩いていた。
そうやって行くあてもなく彷徨っていると、いつの間にか公園にたどり着いた。
それは、あの後藤のバイト探しの途中で立ち寄った公園だった。
僕は後藤に声をかけ、二人であの時と同じベンチに腰掛けた。
公園の中央では幼稚園ぐらいの子供が楽しそうに遊んでいた。
ふと顔を上げると、僕たちの座っている反対側に常緑樹があり、その枝が風に揺れていた。
その風に後藤が軽く身体を震わせる。
僕は公園の入口にある自動販売機まで歩いていって、ホットのコーヒーを二つ買ってきた。
「はい」
寒がっている後藤にコーヒーを一つ手渡す。
後藤は小さな声で、ありがと、と言って受け取った。
576 名前:仮73 投稿日:2006/02/20(月) 13:29:48.63 0
後藤と二人、ベンチに座ってコーヒーを飲む。
静かに時が流れていく。
昨日と何も変わらない風景。
昨日と何も変わらない人々。
僕も後藤も昨日とほとんど変わっていないだろう。
変わったのはただ一つ。
藤本のコトだけ。
たったそれだけのことなのに、僕たちは大きく変わってしまった。
手の中にあるコーヒーの温かさが、それをさらに際立たせたように思えた。
コーヒーを飲み終わり、陽も少しずつ傾いてきた。
「そろそろ帰ろうか」
そう言って、僕は立ち上がった。
577 名前:仮73 投稿日:2006/02/20(月) 13:37:11.44 0
ふと後藤のほうを見ると、うつむいたまま立とうとしていなかった。
「どうした?」
声をかけると、後藤はうつむいたまま言葉を紡いでいった。
「私、家に帰ろうと思って・・・」
「? だから帰ろうって言ってるじゃん」
「違うの、実家に帰ろうと思って」
一瞬、後藤が何を言っているのか分からなかった。
後藤は顔を伏せているので、表情を伺うことは出来なかった。
「な、なんで・・・?」
どうにか言葉を搾り出す。
不思議なくらい後藤の冷静な言葉が続く。
「実は一回くらい帰ろうかなってずっと思ってたんだ。でも、きっかけがなくて・・・
でも帰るなら今しかないかなって、それで」
「なんだよ、それ!?意味わかんねーよ!!!ちゃんと分かるように説明してくれよ!」
後藤の急な話に思わず声が大きくなる。
578 名前:仮73 投稿日:2006/02/20(月) 13:42:46.75 0
後藤がフッと顔を上げる。
そこには泣いているような顔があった。
しかし、その眼には強い決意のようなものがあった。
それを見た瞬間、僕は何も言えなくなってしまった。
「もう決めたから!!じゃあね!!」
バッサリと話を打ち切るようにそう言うと、後藤は僕を残して走り去っていった。
ベンチの上には後藤が飲んだ缶コーヒーの空き缶だけがポツンと置いてあった。
579 名前:仮73 投稿日:2006/02/20(月) 13:51:49.74 0
◇
公園にある電灯に明かりが灯った。
僕はその時初めて後藤が立ち去ってから時間が経過していたことを知った。
何が起こった?
理解が出来なかった。
いきなりの出来事に頭の中が整理できなかった。
時間の経過と目の前の光景が示しているのは、後藤がいなくなったという事実だけだった。
藤本に続いて後藤まで僕の前からいなくなってしまった。
今日まで僕の心の大きな部分を占めていたものがあっという間に無くなってしまった。
消えてしまった。
どんどん隙間が出来ていた。
その空虚は僕を飲み込もうとしているようで怖かった。
♪♪〜♪
その時、僕のポケットの中の携帯が着信音を鳴らした。
今の気分に不釣合いな陽気なその曲に反応して、僕は何も考えずに通話のボタンを押す。
携帯から聞こえてきたのは、僕の心の大きな部分を占めていた最後の一人の声だった。
580 名前:仮73 投稿日:2006/02/20(月) 13:52:10.99 0
>>575-579 今日はここまで
8 :
名無し募集中。。。 :2006/02/20(月) 23:47:32.80 0
::|ハヽヽ
::|Д `)
::と ノ
::|__)
( ´ Д `)<前スレ落ちちゃったー
>>1 乙
10 :
名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 23:59:20.07 O
ぉ・・・やっと人来たw
保全
もしもろだの193に過去dat全部上げてみました
よろしければどうぞ
( ´ Д `)<保全していきまっしょい
過去datありでーす
管理人さんいつもdat欲しがってたなぁ…
>>16 そうだったんですか
なんかいまさらで申し訳
まとめサイトはもう仮73の作品とか、更新されないのかな
仮73さんでした
敬称忘れスマソ
ドンマイケル
おーい仲達ーまとめ更新してくれー
うむ
落ちてたか
ho
z
うむ
( ´ Д `)<保
28 :
名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 14:57:39.53 O
ほ
新スレおめ
ごっちんフィーバーでここが落ちるのは悲しいな保全
h
( ´ Д `)<「指」見てぽ
見るぽ
35 :
名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 21:11:15.98 0
ho
ze
37 :
名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 22:33:04.86 0
u
「指」おもしろかった
どこかの銭湯ドラマよりずっとおもしろかった
39 :
名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 23:52:51.39 0
ほ
ほ
41 :
名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 01:26:51.34 0
ほ
保
ho
( ´ Д `)<5:11
ミキちー厳しい
47 :
名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 07:29:58.69 O
おはよー
ho
ん
続き期待保
51 :
名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 14:00:52.63 o
作者さん待ち保
ほっほっほー
ほ
ほ
h
ぽ
( ´ Д `)<ほ
ze
59 :
仮73:2006/02/22(水) 21:27:45.13 0
どうも、ヘタレ作者です。
楽しみにしてる皆さんには申し訳ないですが、更新は明日になります。
明日できなかったら月曜日です。
重ね重ねスイマセン・・・
ヘタレ乙
4714!
急がなくていいから、納得のいく内容で頑張って
ほ
ゆっくり待ってます〜
ho
ほ
ぽ
ほほ
ほほほ
ほほほほ
71 :
名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 04:33:26.37 0
ほほほほほ
72 :
名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 07:19:23.66 0
ほほほほほほ
ho
ze
n
76 :
名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 12:46:28.72 0
ho
77 :
名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 15:02:45.08 o
1500
ほ
79 :
仮73:2006/02/23(木) 17:16:51.65 0
80 :
仮73:2006/02/23(木) 17:26:03.56 0
◇
駅構内は会社通いの人や学生の帰宅時間の前ということもあり、まだ落ち着いていた。
それでも、どこかへ向かう人、どこかから来た人、来る人を待ちわびる人の姿がちらほら見えた。
そんな人たちの邪魔にならないように、僕は改札口から少し離れたところに立っていた。
待ち合わせの時間から5分ほど経ってか頃、その人は現れた。
僕が雰囲気を感じて時計から顔を上げると、少し息を切らせながら亜弥ちゃんが小走りでやってきた。
その両手にはうちにやって来たときに持っていたあの鞄を持っていた。
「ごめんね、少し遅くなっちゃった」
「ううん、大丈夫」
亜弥ちゃんの顔色はまだ良くなかったが、それでも今朝見たときよりはだいぶ良くなっているように見えた。
「帰るんだね」
僕は亜弥ちゃんの鞄に目を落として言った。
「うん・・・受験も終わったし、そういう約束だから」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
重い沈黙が僕たちを包む。
言葉にしなくても、互いに考えていることは分かった。
81 :
仮73:2006/02/23(木) 17:33:42.79 0
「命に別状は無いから」
「うん・・・」
「何か変化があったら必ず連絡するから」
「うん・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
そのまま、また二人とも口をつぐんでしまった。
後藤のことを言うのはやめておいた。
僕自身まだ気持ちの整理がついていなかったし、亜弥ちゃんに余計なことを言いたくなかったから。
目線も合わさず、二人ともスベスベしている駅の床をじっと見ていた。
二人が何も話さなくても、当然のように時間は過ぎていく。
そうしているうちに、亜弥ちゃんの乗る電車の発射時刻が近づいてきてしまった。
「亜弥ちゃん、そろそろ行かないと・・・」
僕が静かに言うと、亜弥ちゃんは視線を上げずに頷いた。
82 :
仮73:2006/02/23(木) 17:41:57.27 0
亜弥ちゃんは両手で鞄の吊り紐をギュッと握り締め、意を決したように僕の顔を見た。
「お兄ちゃん・・・」
「ん・・・?」
「美貴タンをよろしくね」
そう言う亜弥ちゃんの眼には薄く涙が浮かんでいた。
でも、そのさらに奥には強い力を感じた。
「うん・・・!」
その力を全て受け取るように、僕は返事をした。
亜弥ちゃんは少しの間じっと僕の眼を見つめ、それから少し笑ってから僕に背を向けた。
そのまま僕の方を振り返ることなく、亜弥ちゃんは改札口を通っていった。
僕は亜弥ちゃんの姿が見えなくなっても、しばらくそこに立っていた。
83 :
仮73:2006/02/23(木) 17:49:42.38 0
◇
亜弥ちゃんと別れてからしばらく経ってから僕は部屋に帰った。
辺りはすっかり暗くなっていた。
階段を上がり、鍵を開けて、ドアを開ける。
そこには暗い空間が広がっていた。
シンと静まり返った部屋。
いつもなら聞こえる『おかえり』という声が聞こえない。
藤本の話す声も、後藤が料理する音も、亜弥ちゃんの笑い声も聞こえない。
そこにあるのは黒い空間。
ただそれだけ。
少し経ってから、僕はやっと認識することが出来た。
誰もいないんだ、と。
84 :
仮73:2006/02/23(木) 17:54:49.90 0
大学に通い始めた頃はこういう状態だった。
家に帰っても誰もいない。
それが普通だった。
それが、藤本と知り合い、帰るとたまに藤本が待っていることがあった。
そして後藤と出会い、亜弥ちゃんがやってきて、帰れば誰かが家にいた。
『おかえり』と声をかけてくれた。
だけど今は誰もいない。
部屋の中には誰もいない。
最初の状態に戻っただけだというのに、僕の胸は締め付けられるように痛んだ。
そして、僕の目から一筋の涙が零れ落ちた。
床に涙が落ちる音さえ、大きく聞こえたような気がした。
85 :
仮73:2006/02/23(木) 17:55:10.49 0
乙
おーつ
帰ってから読むよ
ho
ほ
せつないねぇ
乙
発射時間(;´Д`)ハァハァ
ho
失って初めて気づくものって大きいよね・・・
そんなんばっかりだ・・・
ze
96 :
仮73:2006/02/23(木) 23:34:54.80 0
発射時間・・・_| ̄|○
サイアクダ・・・ゼンゼンキヅカナカッタ・・・ウツダ、シノウ・・・
誤字ぐらい気にしないよ
98 :
名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 00:20:38.36 0
s
うむ
100 :
名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 02:31:04.56 0
ほ
切なくなりつつ穂
ズキズキ
ho
104 :
名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 06:47:10.80 O
ho
ほ
ほ
うむ
ぽ
po
保全
ぽ
ほ
h
あぅあぅ
切ないぞ
寂しい過ぎて・・・
ho
待ち遠しい
だね
ほ
ぽ
ほす
んぁんぁ
( ´ Д `)<寝るあ
ze
n
そろそろ誰かが仮ニモになってもいい頃だな
んあ
ぽ
ん
ち
ho
ze
n
ここも守る
137 :
名無し募集中。。。:2006/02/25(土) 18:29:26.02 0
c
ほ
ho
ほ
ze
nya
ほ
あちらのまとめサイト作りました
よろしければどうぞ
145 :
名無し募集中。。。:2006/02/26(日) 00:41:48.80 0
ほ
ほ
あちらってどこ?
ho
まじでどこかわかんないんだがorz
俺もさっぱりわからんorz
ふぉ
ごまいん
ごまぽ
さんを付けろよこのデコスケ野郎
うぬ
157 :
c202-180-191-200.customer.mni.ne.jp:2006/02/26(日) 13:02:14.84 0
ミキティ誕生日ネタ期待穂
ho
ほ
ho
ze
みきてぃおめ
n
ho
ze
ほ
168 :
名無し募集中。。。:2006/02/26(日) 23:28:31.52 0
v
ぽ
ho
∋8ノハヾ
ノlc|*´ Д `)っ@
∋∪ハヽo∈oノハヽo〜
从VvV)从‘ 。‘ 从
(っ⌒/⌒oと .田と)
((⌒)_つ. (_(__つ
ほ
ぜ
ん
ho