もしも新垣さんと亀井さんに同時に告白されたら6

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1名無し募集中。。。
2名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 20:37:07.60 0
どういうスレなの?
3名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 21:13:13.75 0
4名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 21:13:24.43 0
相変わらず亀ヲタは頭がおかしいな
5名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 21:20:48.42 O
>>1
小川
6名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 21:21:05.28 0
ガキさんの豆を亀ちゃんの亀頭が・・・ハァハァ
7名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 21:26:47.44 O
どなたか避難所たててください
8名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 22:02:33.09 0
>>1
9名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 22:32:07.63 0
>>1
オツ

ところで前スレって何レスくらいでおちた?
10名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 22:39:04.75 0
手許にあるのは 129までだけどもっと行ったのかな?
11名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 22:43:24.11 0
俺も129までだ、多分そこで落ちたと思われ
12名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 22:49:26.66 0
>>10-11
トンクス

おれ124までだ
13名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 22:50:11.93 0
>>12

125 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2006/02/12(日) 10:49:38.39 O
どなたか避難所たててください

126 名前:名無し募集中。。。[sage] 投稿日:2006/02/12(日) 11:04:02.98 0
>>114
ノシ

127 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2006/02/12(日) 11:42:40.04 0


128 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2006/02/12(日) 12:49:24.57 0
||c|・e・)|

129 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2006/02/12(日) 13:37:36.25 0
ze
14名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 23:00:24.87 0
>>13
トンクス

読み漏れがないことがわかったので安心したよ
15名無し募集中。。。:2006/02/12(日) 23:22:23.08 0
新狼を使わせて頂いて。
【避難所】もしも新垣さんと亀井さんに同時に告…
http://yy21.kakiko.com/test/read.cgi/morning/1139753971/

当方、最初から全部のログは持ってるんだか持って無いんだか判らず。
出来ましたら漏れなく持ってる方、お暇な方、諸々お願い致します。
16名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 00:40:55.48 0
17名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 00:54:08.41 0
新狼なんて初めて聞いた
てか怖くてそんなとこいけないお
18名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 00:58:04.06 0
ログ持ってるが新狼ってどうなの?
羊か鳩になら出向けるのだが
19名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 01:04:14.04 0
殆ど羊とか鳩みたいなもん。
20名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 01:10:42.15 O
ID無いしな
21193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/13(月) 01:12:42.55 0
>>1,15
乙です

避難所は自分が読み返して修正を加えたのを上げてこうかと

とりあえず今日の分
前スレの続き
22193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/13(月) 01:15:49.74 0

###

新垣は、無事、生徒会に当選した。
信任投票なのだから当たり前といえば当たり前だ。
落ちるほうが難しい。
余っていた一枠に僕の名前が挙がることはなかった。
あれだけ強く新垣に反対されてしまっては、僕が立候補する意義も理由もない。
ただ口をついてでた出まかせのような言葉が、あんなにも新垣を怒らせたことに僕は動揺を隠せなかった。

しかしながら、空いていた生徒会役員の枠に飛び込んだヤツの名前を見ると、
まだ僕がやったほうがマシなのではないかなどと考えてしまった。
その名前にいい印象はまったく抱いていない。
いつもチャラチャラと校内を練り歩いていて、その横には週代わりで違う女を侍らせているようなヤツ。
とにかく軽い男。
到底、生徒会の仕事なんか務まるわけもないし、本人だっておそらくただ目立ちたい一心で立候補しただけ。
やる気など、一欠けらも持ち合わせてはいないだろう。
23193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/13(月) 01:18:07.75 0

まあ、いいや。
別に誰が生徒会になったところで学校生活がガラリと変わるわけではないのだし。
僕にはまったく関係のないことだ。
そのことは演説会の日に、体育館の壇上に上がって演説を行う新垣を見て、強く認識した。
ステージの上にいる新垣と、それを見上げる僕。
関係などあるはずもない。
むしろ僕はその関係から逃れたかったはずなんだ。

それよりも、今、僕には考えるべきことがある。
それは自転車を押して歩く僕の隣に並んだ人。

「ヒャークマーミーピートゥーパー♪」

その言葉の意味はまったく分からない。
しかし、とにかく浮かれている雰囲気だけはひしひしと伝わってくるものがあった。
24193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/13(月) 01:23:51.58 0

やがて、目的の場所に着き、非常に見慣れたドアの前に僕らは立った。
見慣れた、どころか、朝と夕方、毎日2回以上は僕が必ず目にするドア。

「おじゃましまーす♪」
「どうぞ」

それは僕の家のドアだった。

亀井が僕の家に来ることが決まったのは今日の昼の話。
最近ではオートマの車の運転のコツも徐々に掴み始めていて、ようやく二人で過ごす昼休みにも馴染んできた。
僕が何気なく昨日の夜の出来事を亀井に話したのが事の始まりだった。

―――昨日、レイナにクッションぐちゃぐちゃにされてさ。
―――れいな?
―――猫飼ってるって前に言わなかったっけ、そいつの名前。
―――あー、言ってた言ってた。 …へー、レイナかぁ。
―――これがまた生意気なんだよ、人の説教、無視するし。
―――…見に行ってもいいかなぁ?
―――え、な、何を?
―――レイナを。
―――…いつ?
―――今日♪
―――それはまたずいぶんと急な話で。
―――…なんか用事あるの?
―――別にないけど…。 あ、じゃあ、新―――…いや、う、うん、いいよ、別に、今日来ても。
―――ほんと? ヤッター♪
25193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/13(月) 01:25:25.66 0

…ってな具合だ。

突然の訪問を承諾するかどうかは、実際のところ決めかねていたのだが、
言いかけた言葉を飲み込んだついでに、ついつい安請け合いしてしまった。

その言いかけた言葉。

『新垣も誘ってみる?』

僕が新垣の話をすることは、亀井を不安にさせる。
そして亀井を不安にさせることは、新垣の怒りを誘う。
それは誰も喜ばないことだと思った。

僕の頭の中に、あの言葉が鮮明に焼きついて離れない。

『わたしの事なんかどうでもいいから、これからはカメの事だけ考えてあげて』

垂れた髪の下。
あの時、新垣はどんな表情をしていたのだろうか。
26193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/13(月) 01:29:24.09 0

靴を脱いで玄関に上がるなり、さっそくレイナがトコトコと2階から階段を降りてきた。
いくら生意気とはいえ、一応、ご主人様を迎えに来る気概くらいはあるのだ。
その行動の裏に『はやく飯を食わせろ』という催促があるのはご愛嬌。

「あ! あれが、レイナ?」
「うん」
「うあー、かわいいー♪」

レイナの愛くるしい容貌に悶え苦しむ亀井。
一方、見知らぬ人間の出現に、尻尾を立てて警戒心を露わにするレイナ。
しかし亀井はそれに気づかないまま、呑気に駆け寄り、すっと手を差し出した。

「ほらっ、抱っこしてあげ―――――」

―――シャッ!

差し出された亀井の手に赤い線が薄く刻まれていた。
ドタドター!と激しい音を立てて、どこぞへと逃げていくレイナ。

「ひ、ひえぇー!」

遅れて、亀井の悲鳴が上がった。

…なんとなくこんな事になるような気がしてたんだよ。

僕は、亀井の悲鳴と、レイナが奥の部屋のほうでドタバタ暴れている音を聞きながら、ため息をついた。
27193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/13(月) 01:32:15.55 0
>>22-26
以上です
今から避難所の方、上げてきます
28名無し募集中。。。 :2006/02/13(月) 01:35:22.20 0
乙です。
家に連れてきたということは、まさか
29名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 02:48:41.54 O
(゚∀゚;)!
30名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 04:18:27.93 O
作者さん乙です  いつ読んでも情景がリアルに伝わってきます        
避難所の方でもまた読まさせてもらいたいと思います!
31名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 05:09:41.12 0
作者さん乙〜
32名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 08:03:29.00 0
33名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 10:42:03.80 O
34JSHQ1002833:2006/02/13(月) 12:52:22.57 O
35名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 14:12:33.20 0
36名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 14:29:30.10 0
ここへきてレイナが活躍
37名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 16:46:43.29 0

38名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 17:59:12.31 O
39名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 19:25:38.84 0
40名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 20:38:04.19 0

41名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 21:39:55.08 0
ho
42名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 22:21:06.06 0
ニャー
43名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 22:32:36.73 O
44名無し募集中。。。:2006/02/13(月) 23:23:51.15 0
ho
45名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 00:04:27.67 O
ze
46名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 00:29:51.32 0
レイナ、亀と仲良くして
47名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 00:46:42.69 0
レイナってなにげにイイ味だしてるよな
48193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/14(火) 00:54:05.29 0
今書いてるとこ一気に上げたいんだけど、
今日中に書き終わりそうにないので避難所の更新でお茶を濁します
すいやせん

そういや前スレで鋭い人がいたなぁ
引き出しが狭いゆえ、昔書いた話とネタが被ってるかも
まあ、パクリにはならないと思うんで気にせずやっていきます
49名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 00:55:25.90 0
作者さん乙です。のんびり書いてください。
50名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 01:04:45.27 0
何か書いてみたくなった保全
51名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 01:51:22.23 0
>>50
書いてくれ保全
52名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 02:54:55.39 0
もしも〜4の942以降のはどこかで読めませんかね
53名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 04:12:12.80 0
ho
54名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 04:30:16.10 0
>>52
もしも〜4の942以降ってそのスレだけの事?
962まで行ったけど小説の更新分は無いよ。
55名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 05:38:06.74 0
ze
56名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 05:38:10.86 0
じゃあ俺も書くよ
57名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 07:30:39.24 0
ho
58名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 08:08:20.21 O
避難所で初めて読ませてもらいました
>はじめて役に立った古文の教科書に感謝しながら。
ここたまんねえっす 最高っす
作者殿のんびり頑張って下さい
59名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 11:31:08.19 0
ho
60名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 12:17:59.11 0
>>54
もしも〜4は更新なしでしたか
もしも〜5の分は見れなかったんだけど
更新ありましたか?
61名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 12:49:52.86 0
>>60
避難所に作者さんが手直ししたの待てばいい事なんだけど…
ttp://f57.aaa.livedoor.jp/~moshimo/upload.phpのmoshimo189.lzh
txtファイルだけど上げてみた。
62名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 14:02:13.63 0
>>61
アリガト!(´▽`)
読めた読めた♪
63名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 14:03:56.72 O
電車から保全
64名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 15:38:17.03 0
||c|・e・)|
65名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 16:34:08.24 O
66 ◆erinysMCWg :2006/02/14(火) 16:46:12.62 0
    |┃≡
    |┃≡
 ガラッ.|┃ノハヽ   
.______|┃*^ー^) くこ?
    | と   l,)
______.|┃ノーJ_
67名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 16:47:29.28 0
くこれす
68名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 18:04:01.33 0
ze
69名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 18:27:38.16 O
70名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 19:00:32.33 0
ノノ*^ー^)∬´▽`)( ・e・)<絶叫戦隊サーフコースターズ
71名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 19:41:39.19 0
72名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 20:45:34.24 0
73名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 21:04:51.46 O
74名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 21:40:13.53 0
ノノ*^ー^)∬´▽`)( ・e・)<ん
75名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 22:30:41.10 O
アンフェアなのは誰?
76名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 22:33:54.41 0
まこっちゃん>ノノ*^ー^)つ ∬;´▽`) ⊂(・e・ )<まこっちゃん
                   ∧
                  えーっ
77名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 23:12:11.81 0
ニフラムでも唱えとけ
78名無し募集中。。。:2006/02/14(火) 23:52:59.51 0
ho
79名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 00:35:47.77 0
ho
80名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 00:35:48.69 0
ho
81 ◆erinysMCWg :2006/02/15(水) 00:55:42.43 0
      o_______o
    ノノハヽ     ☆ノハヽ
    リ|c|*・e・)| ̄) ̄从*´ー`) スーピー スーピー
  ((  /   つ〆⌒ヽ〜'⌒⌒ヽ.、
    (  _つ\ .`o  , '   `、 ゙ヽ o
    し' ||\.\|| ̄| ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||
           \|| ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ ̄||
          ||j ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
82193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:03:38.30 0
起きて
続き書くから
ってなわけで>>22-26つづき
長い
83名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 01:04:37.97 0
キタ
84193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:07:00.08 0


「おいで?」

亀井の動物愛護の精神には頭が下がる思いだった。
いくら拒絶されようと、めげることもせずに、何ども何ども手を差し出す。
レイナは今、僕の部屋の隅にいよいよ追い詰められようとしていた。

「レーイーナー?」

そのすわった声には、もはや意地のようなものさえ見え隠れしている。
生傷の耐えないその手がなんとも涙ぐましい。
立ちはだかる亀井の鬼気迫る笑顔は、レイナの瞳にそれはそれは恐ろしいものとして映っているに違いない。

「おーいーで?」

言葉とは裏腹に、じりじりとにじり寄り、レイナとの距離を詰めていく亀井―――そして。
いまだっ!と亀井がその両手を稲妻のごとく伸ばした。
が、ネコ科の俊敏性には一歩及ばず、
レイナは済んでのところで亀井の脇をすり抜けて部屋から飛び出していってしまった。
85193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:10:13.94 0

「もー、なんでドア閉めとかないのー!」

ドアを開けっ放しにしといたのは、僕なりの気遣いだった。
いわば遠まわしのドクターストップ。
これ以上やりあったところで、待ち受ける結果はどちらにも傷が残るだけだ。
亀井は手に、レイナは心に。
ようやくレイナを追いかけることを諦めた亀井がガックリと肩を落として呟いた。

「レイナ、絵里のこと嫌いなのかなぁ…」
「まあ、人見知りする猫だから。 少しずつ慣れていけば大丈夫だよ、きっと」

とは言ったものの、ここまで人を嫌うレイナを見るのも初めてだった。
僕が予想したとおり、亀井とはすこぶる相性が悪かったようだ。

「とりあえず、なんか飲み物持ってくるから、適当に座って待っててよ」
「うん…って、えーと、どうしよ…」

戸惑いを見せる亀井を見て、あ、そうか、と僕は心の中で舌打ちをした。
昨日、レイナにクッションをダメにされてしまっていたのだ。
フローリングの上に直に座らせるのはちょっと気が引けるし、ベッドの上は―――どう考えてもマズいだろ。
僕は机に備え付けられているデスクチェアを指差しながら言った。

「そこのイスにとりあえず座っていいから。 今、クッションもって来る」
「う、うん」

どこかぎこちないように亀井が頷いた。
その緊張感は否応にも、僕にも伝染してしまった。
86193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:14:13.95 0

「え、絵里がココア好きだって知ってたんだ?」
「う、うん、前にそんなこと言ってたから」

亀井は僕が別の部屋から持ってきたクッションにちょこんと腰を下ろして、ココアを啜っている。
僕は亀井がさっきまで座っていたデスクチェアーで、コーヒーを啜る。

…うーむ。

―――会話が、ない。

レイナを生け捕るという目的があった時は良かったのだが、
こうしていざ向き合ってみると、どうにもお互い意識しあってしまい、その緊張感がぎこちなさを生む。
僕は自分の部屋に亀井がいるのが不思議に思えたし、それは亀井も同じ思いなのかもしれない。

沈黙の空気に包まれる部屋で、スプーンがカップを擦る音だけがやけに際立った。

「な、なんか静かだね」
「う、うん」
「家の人とかいないの?お母さんとか」
「…いないよ」
「そ、そうなんだ…」

…気まずい。
亀井風に言うなれば、キマヅイ。
家に他に誰もいないという事実を伝えたことが、その気まずさにさらに拍車をかけた。
会話がないのを誤魔化すためにやたらと口をつけたせいか、
コーヒーカップの中身はすでにほとんど無くなってしまっていた。
87193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:18:44.37 0

それでも亀井はどうにか会話を繋ぎとめようと、僕の家族の話題を続けようとした。
しかし、それは僕を少し困らせる話題だった。

「お母さん、仕事?」
「違くて―――ウチ、母親出てったから」

さらりと軽く言ったつもりだった。
実際、深刻になるような話ではない。
どこにでも転がっている、よくある話だ。
だけど、亀井はそうは思ってはくれなかったみたいで、動揺の伺える声で僕に訊いてきた。

「…え? な、なんで? いつ?」
「ちょうど中学校上がるとき。仲悪かったんだ、ウチの両親。
 顔会わせるたびに喧嘩してさ、だから良かったんだよ、結果的に。
 今でも、ぜんぜん会わないってわけじゃないし」
「そうだったんだ…ごめん、ヘンなこと聞いちゃって」
「いいよ、もう昔のことだし」
「…だからお昼ご飯、いっつもコンビニのパンとかだったんだね」

亀井はため息をつくと、少しだけ哀しそうな顔をしてから、自嘲気味に笑った。

「…ほんと、やだなぁ。
 絵里、知らないことばっかりだ、キミのこと」

その言葉は、やけに僕の心に重たく響いた。
何か、心の奥の隠していた扉を叩くようにやたらと胸が痛んだ。
88193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:22:33.12 0

「あ、そうだ!」

重苦しい空気を一蹴する明るい声が響く。

「中学校の卒業アルバムあるでしょ? それ、見てみたいなー♪」

それは悪くないアイデアだった。
このなんともいえない空気を埋めるには持ってこいのアイテムだ。
こういう時は物に頼るに限る。
猫がダメになった今、卒業アルバムというものだけが、この状況を打破する唯一の光に見えた。

僕は部屋の収納から、やたらと立派なケースに包まれたアルバムを取り出した。
このアルバムが開かれたのはひょっとしたら卒業式以来かもしれない。
アルバムを受けとるなり、亀井はパラパラとページをめくり始めた。

「何組?」
「B組」
「どれどれ、えーと……あ、いた!うわー、若いなぁー」
「若いって、まだ2年も経ってないっつーの」

とはいえ気恥ずかしさは隠せない。
僕は自分の個人写真を直視できずにいた。
亀井はそんな僕をからかうように、「ほらー、ちゃんとみろー♪」とわざわざアルバムを目の前に押し付けた。
視界一杯に広がる少しだけ昔の僕の写真。
そして、思ってしまった。

ここに無愛想に写っている僕と、今の僕とで何か変わったところはあるだろうか、と。
89193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:26:08.27 0

背は多少伸びた。
この頃は気にしていなかった髭なんかも、最近ではたまに剃らなければいけなくなった。

けれど。
もっと、人としての根幹の部分。
そこはちっとも変わっていないのではないだろうか。

ついさっきの亀井の言葉が頭によぎる。

『絵里、知らないことばっかりだ、キミのこと』

亀井にでさえ、そんな事を言わせてしまった。
写真の向こうの乾いた瞳を見ていると、なんだか胸がざわついて吐き気すらした。

「あ、ガキさんだー。おでこ全開ー♪」

亀井はそんな僕の様子には気づかずに、
満面の笑みで写真に写っている新垣のおでこを、すりすりと指でなぞって遊んでいた。
その仕種を見て、僕は揺らぎかけていた自分をどうにか元に戻した。
90193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:32:26.32 0

「…そういうことやって新垣のことよく怒らせてた」
「え、何々、聞かせて?」
「この頃の新垣の眉毛って、ほら、見ての通り―――よく言えば立派な眉毛じゃん」
「あー、ホントだ」
「だから、それを生徒会のメンバーでいじるのが流行ったんだよ。
 隙を見て皆で触ろうとして、その度に新垣が、もぉー!って怒って」
「あははっ、なんか想像できるー」

亀井が手を叩いて笑った。
新垣の話をしていると、なんだか僕の心も落ち着いていくようだった。
だから、ついつい調子に乗ってしまったのかもしれない。

「他のページにも写ってないかなー―――…あ、いた!」
「ああ、これがその生徒会のメンバー。この時さ、大変だったんだよ。
 写真、生徒会室で撮るってのすっかり忘れててさ。
 部屋中、新垣の貼ったポスターだの、誰かが置いたプラモデルだので一杯で。
 もう大慌てで、みんなで必死に片付けた。
 そん時も、新垣がポスターの剥がし方にいちいち小うるさかったなぁー」
「…へ、へぇー」

体育祭、文化祭、修学旅行。
ページをめくる度に、僕はその時々のエピソードを披露した。
亀井の様子の変化に気づくこともなく、僕は声高らかに話した。
しかし、それが間違いであることに僕は徐々に気づき始めた。
一通りアルバムに目を通した亀井は、やがてしょんぼりした様子で冊子をパタンと閉じた。
91193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:35:20.25 0

「い、いやー、やっぱ、恥ずかしいな、こういうの」

僕の取り繕うように上ずった声もまるで宙に浮いてしまう。

僕の犯した間違い。
それは僕が話したエピソードの端々に、欠かさず新垣の名前が登場してしまっていたことだ。
あんなに新垣に強く言われたのに。
揺らいでいた自分を落ち着けるのに精一杯で、亀井のことなんかちっとも考えていなかった。
卒業アルバムの表紙に目を落としたまま、亀井がポツリと呟いた。

「一つ、聞いてもいいかな」
「な、なに?」
「…なんであの高校に行くことにしたの?」
「なんでって…近いから」

僕は亀井の質問に努めて軽く返事をした。
その質問の意図はうすうす分かっていた。
けれどなるべくそれに気づかない振りをした。

「…それだけ? …キミならもっと別の進学校とか行けたのに」
「別に大学に行くかどうかなんて決めてないし、仮に大学行くとしても勉強なんてどこでもできる」
「…ガキさんと同じ高校にした、とか?」
92193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:37:51.07 0

…やっぱりそう来るか。
確かに、僕は自分の進路を決める前に、新垣があの高校に行くことを知っていた。
けれどそれは僕の進路決定に何も影響は及ぼしていない、はず。
何ども、自分の胸に尋ねる。
返ってくる答えは―――。

「―――違うよ、ぜんっぜん違う」

少し、声が大きくなってしまったかもしれない。
音のない室内だから、それが余計に際立つ。

「だいたいなんでそこで新垣の名前が出て来るんだよ。
 こないだの件にしろ、新垣のこと意識しすぎ―――」

そこまで言いかけて、僕は続く言葉を失った。
僕の言葉を止めたのは亀井の瞳から零れ落ちるものだった。
ぽろぽろと、それは次々に亀井の頬を伝った。

「…不安なんだよぉ」

亀井は声を搾り出すようにして言った。
93193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:45:46.17 0

「ずっと、ずっと不安だった。
 ガキさんはキミのことなんてなんとも思ってないって言ってたけど、じゃあキミはどうなんだろうって。
 キミはガキさんのことどう思ってたんだろうって。
 でもそんなこと聞く勇気なかった」

亀井は顔をくしゃくしゃにして、体を震わせながら喋り続けた。

「嘘の手紙出した次の日、柱の影から二人が並んで学校来るの見てて、すっごく怖くなっちゃった。
 絵里、ガキさんの事も好きで、キミの事も好きで。
 だから公平に告白しようって決めたはずなのに、二人が付き合っちゃうのは嫌なんだって気づいちゃったんだ。
 そんな自分が嫌で、絵里、どうしたらいいかわかんなくて、不安で、不安で……」

抱えていた想いを全てぶちまけるように、亀井の感情の吐露は続いた。
その亀井の姿はあまりにも弱弱しく、とても見ていられなかった。

僕はどうにか亀井を安心させられる言葉を探していた。
けれどいくら頭で考えても、それはうまく言葉にならなくて。
もし仮に言葉になったとしても、それはどこか嘘っぽくて亀井の心には届かないような気がした。

気がつくと、僕は自分でさえ思いもよらない行動に出ていた。
94193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:48:35.12 0

「―――大丈夫だよ」

僕の声は亀井の耳のすぐ側で発せられた。
僕の顔は亀井の顔のすぐ横にあった。
僕の腕が亀井の細い身体を包んでいた。

表情は見えないけど、亀井はとても驚いた顔をしているはず。

もう一度、耳元で囁く。

「大丈夫だから」

亀井の身体から力が徐々に抜けて、震えが少しずつ納まっていくが分かった。
それと共に、だんだん冷静に戻っていく頭が、
自分のしてしまった行動と現在の体勢に対して、あれこれ考えをめぐらせ始めてしまった。
制服越しに伝わる感触と、鼻をくすぐる僕の部屋以外の匂いとが、心臓の鼓動を急激に高める。
離すことも、かといってどうすることもできずに、その体勢のまま固まってしまった。
95193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:52:29.39 0

と、その時。

ニャー。

突然、ドアのすぐ向こう側からレイナの鳴き声が聞こえて、
僕はそれを合図に慌てて亀井から体を離した。
ドアを開けると、レイナはさっきの亀井との格闘のことなんか忘れたみたく、
のうのうと僕の部屋に入ってきては、ベッドの上で身を丸めた。
…まったく、猫なんてのは気まぐれな生き物だ。

僕がレイナを指差して笑いかけると、亀井も目に涙を浮かべながら笑った。
多分、お互い真っ赤な顔をしながら。

僕は言った。

「…付き合ってみようか」

亀井は、僕が何を言ったのか分からないというように、赤い目を何どもパチクリさせた。

「このまま宙ぶらりんの関係なんてやっぱり良くないと思うんだ」
「…え、え? なんでそんな、急に?」
「亀井がそんなに不安だったらさ、その不安を少しでも和らげてあげたいって、さっき思ったんだ」
「じゃ、じゃあ、絵里のこと―――」
「―――嫌いなコを、あんな風に、え、えーと、……抱きしめたり、はできないと思う」
96193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:56:53.13 0

僕の言葉に嘘はなかった。
けれど、亀井は顔を俯かせてしまっていて、
また何かいけないことを言ってしまったかと、僕は不安になった。

「ルール違反だよ…、絵里、返事していいって言ってないのに、ずるいよ」

そう言った亀井の口元からは八重歯がちょこっと顔を出していた。

「…あ、そっか、そうだった。 ………ごめん。 
 …じゃあ、さっきの取り消す?」

少し意地悪く聞くと、亀井は慌てて首を横に振った。

「取り消しちゃダメ!」

そして亀井の表情にみるみるうちに笑顔が戻った。
まだ目の色は赤いけれども。

「…嬉しいな」

亀井が安心したように言って、その言葉は僕の心にも安心をもたらした。
そしてこれはきっと新垣も安心するはずだと、瞬間、頭を過ぎった。
これが一番スマートで綺麗な僕たちの形なのだと、そんなことを頭のどこかで思っていた。
97193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 01:59:31.16 0

亀井が玄関の扉を開くと、薄暗くなった空からポツポツと雫が落下しているのに気づいた。
目の前のアスファルトの道路に、染みのような模様が次々と浮かび上がる。

「…あれ?……雨だ」
「大丈夫。 傘は一杯あるし、駅まで送ってくから」

僕は傘立てから、普段使っている自分の傘と、日々の生活でいつの間にやら増えていたビニール傘とを抜き取って、
少し考えてからサイズの大きい自分の傘の方を亀井に差し出した。
でも、亀井は小さく首を横に振って、それを受け取らなかった。

「…1つでいいよ。1つがいい」
「そ、そっか」

そう言われて、ビニール傘の方を傘立てに返して、僕はもう1本のほうを持って外へ出た。

いくら大きめのサイズとはいえ、二人が入るにはそのサークルはいささか狭かった。
僕は亀井がなるべく雨に濡れないように、できるだけその円の中心を亀井のほうに寄せた。

この雨からだけでなく、いろんな不安から亀井を守ってあげたいと僕は思っていた。
そうすることだけが唯一正しいことだと、僕は思っていた。

傘を叩く雨音の一つ一つはまるで何かの疑問を投げかけているかのようでもあったが、
僕はその音にはまったく耳を貸さず、ただ傘を持つ右手にだけひたすらその意識を集中させていた。
98193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 02:01:10.60 0
>>84-97
軽く山場でした
疲れた…
99名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 02:02:44.63 0
>>98
乙です。
主人公の煮え切らない感がどうなっていくのか・・・
楽しみです。
100名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 02:29:09.92 O
切ねえ・・・
作者さんお疲れ様です
101名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 02:30:43.97 O
 
102名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 02:32:00.95 0
更新乙です。
そうか…こう来ましたか。

避難所の更新も有難うございます。
あちらの方、我侭なお願いになりますが、
抽出し易い様に、名前欄に「〜編」等入れて頂けませんでしょうか?
103193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/15(水) 02:52:39.56 0
>>102
分岐点にいってからそうします
抽出のことを考えると更新と更新の間も何にも書かないほうがよさそうね
104名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 05:33:23.49 0
ho
105名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 06:57:17.84 O
106名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 08:18:34.48 0
ho
107名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 09:01:00.32 0
ノノ*^ー^)∬´▽`)( ・e・)<絶叫戦隊バニッシュ3!!!
108名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 09:53:32.37 O
おっ
109名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 10:26:31.09 0
作者さん乙
ドキドキ感が伝わってくるね
110名無し募集中:2006/02/15(水) 11:17:47.48 0
うん
111名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 12:46:49.51 O
re
112名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 13:26:09.56 O
113名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 14:57:03.57 0
hozen
114名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 16:17:57.24 O
穂積ぺぺ
115名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 18:05:21.84 0
ノノ*^ー^)( ・e・)<ほ
116名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 19:24:35.27 0
117名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 20:11:50.36 0
118名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 21:17:51.16 O
119名無し募集中。。。 :2006/02/15(水) 21:33:15.84 0
続きが気になるんだが終わって欲しくないような変な気持ち
120名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 22:04:17.34 0
ho
121名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 22:21:20.26 O
んだな
122名無し募集中。。。:2006/02/15(水) 23:01:19.15 0
だべだべ
123名無し募集中:2006/02/15(水) 23:59:40.85 0
うむ
124名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 00:08:34.05 0
亀の悲しむ顔は見たくな・・・_| ̄|○
125193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 01:04:12.96 0
( ・e・ )やぁ。ようこそマメカメハウスへ。
このレスはサービスだから、まず見て落ちついて欲しい。

うん、「また更新できない」んだ。済まない。
保全人の顔も三度って言うしね、謝って許してくれと言っても許されないかもしれない。

でも、このスレを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「切なさ」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした2ちゃんねるの中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思って
ゆっくり書くんだ。

じゃあ、更新以外の注文を聞こうか。
126名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 01:04:25.66 0
127名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 01:07:36.37 0
いいよいいよー
更新がくるまでしっかり保全するぜ
128名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 01:07:57.04 0
いっそキューティーチャーミーみたいに作者が作品を思いついたらスレを立てるとか
129名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 01:08:41.36 0
気にスンナ焦らずに書いてくれ
130名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 01:09:06.72 0
苦し紛れ更新ワロス
131名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 01:10:49.63 0
バーボンパロイイ!!
132名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 01:53:37.02 0
避難所更新乙
133名無し募集中:2006/02/16(木) 02:32:09.04 0
まぁ自分のペースで更新してくださればそれでよいかと
134名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 02:32:44.48 0
豆亀保
135名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 02:42:44.39 O
のんびりやってくだされ作者殿
136名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 03:41:33.21 0
ワロッシュwwwww
137名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 04:02:37.97 0
オリンピックみながら保全
138名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 05:22:51.50 0
ho
139名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 08:00:34.30 0
140名無し募集中:2006/02/16(木) 08:31:49.76 0
141名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 08:33:12.89 0
マメマメ見てカメカメ起っきっき
142名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 12:18:56.70 0
ho
143名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 14:08:10.56 0
kame
144名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 15:42:24.28 0
mame
145名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 16:55:25.71 0
ho
146名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 17:30:41.54 O
ze
147名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 18:22:00.76 0
148名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 18:37:53.23 O
149名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 19:34:43.60 0
   ___
  |_  _|_
 ノノ*^ー^)    ホゼンー! ホゼンー!
  (    )
   | 彡つ
   し∪J
150名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 19:35:01.50 0
151名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 20:22:00.21 0
ho
152名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 21:24:29.46 0
ho
153名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 22:36:21.54 0
mo
154名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 22:36:50.22 0
ho
155名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 22:43:08.68 0
>>149
( メ・e・)<その貧相なモノを尿っととしまう尿だ
156193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:11:58.46 0
>>84-97
つづき
157193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:14:46.48 0

通勤、通学の人々でごった返す駅。
亀井は改札を抜けてからも、人混みに逆らって振り返り、何ども僕に向けて手を振った。
その度、僕も少し照れながら小さく手を振り返す。
亀井の手を振ったほうの反対の手には僕の傘が握られていた。
二人で一つの傘で駅まで来たはいいが、
そこで別れた後のことを僕たちはまったく考えていなかったのだ。
「…やっぱり亀井はアホだな」と言ったら、「…キミもだよ」とあっさり返されてしまった。
やはり、お互いどこか舞い上がっていたのかもしれない。
傘の押し付け合いには僕が勝った。
亀井は渋々ながらも、大事そうにその傘を手に取った。

帰りのために駅のすぐ側のコンビニで僕はビニール傘を買った。
ビニール傘というのはこういう風にして増えていくのだと思った。
158193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:21:16.67 0

駅と僕の家とを結んだ直線上に、僕らが通う高校は位置している。
だから最短距離を行こうとするならば、電車通学の生徒たちの通学路を反対から進むことになる。
今の時間はちょうど屋内の部活動が終わったあたりらしく、
駅でも僕の学校の制服を着た生徒をたくさん見かけた。
下校してくる生徒たちの波に逆流して歩くのはなんとなく嫌だったので、少し遠回りになるものの、
僕は通学路を外れて入り組んだ住宅街の道を通って帰ることにした。

陽が落ちてから住宅街を歩くのは、あまり好きではなかった。
それはそれぞれの家に宿っている灯りのせいだと思う。
暗い道に零れてくるその灯りは、とても暖かそうで、眩しげで、少し痛い。
けれど今日はその灯りもほとんど気にならなかった。

あまり大きな道でないうえ、雨が降っているせいか人通りが少ない。
そのため、たまに人とすれ違うときなどは妙に相手のことを意識してしまう。
こちらに向かって歩いてくる人の姿を見とめた後は、すれ違うまでなるべく相手のほうを見ないように心がけた。
そうやってすれ違う人の何人目だったろうか。
僕が遠くに見とめた赤い傘を差したその人影は、どことなく見覚えがあるようだった。
近くまで来て、もう一度その人影を見直して、それは確信に変わった。
僕が、よっ、と声をかけると、おおっ?、と少し驚いた声が上がった。
くいっと持ち上げられた赤い傘の下には、不思議そうな表情をを浮かべている新垣の顔があった。
159193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:24:12.43 0

「あれ、こんなところで何やってんの?」
「い、いや別に」
「別に? …なんじゃそりゃ?」

新垣は怪訝そうな顔で僕を見つめた。
確かに意味の分からない返答ではある。
けれど僕がこの道を歩いている理由を話すには少し急すぎると思った。

「えーと、新垣の家ってこの辺なんだっけ?」
「あとほんのちょっと行ったとこだけど?
 …だいたいアンタ一回来たことあるでしょーが。
 忘れちゃったの?」

言われてみればそうだった。
中学校のとき、生徒会のメンバーで学校帰りに立ち寄った記憶がおぼろげに思い出された。
立ち並ぶ家々にもどことなく見覚えがあるような気がする。

「それにしても、帰り、ずいぶんと遅いんだな」
「んー、ちょっとね、生徒会の引継ぎとかあって。
 やっぱ大変だねー、ちょっと疲れちゃったよぉ…」

確かに新垣の顔はいつもと比べて元気のないように見える。
さっき、遠くに新垣の姿を見とめた時にも、
どこか肩を落としてとぼとぼと歩いているようにみえた。
だとすると雨の中、あまり長く引き止めるのも悪いと思って、
僕は伝えるべきことを話す覚悟を決めた。
160193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:28:35.05 0

「あ、あのさっ」

浮き上がった声で僕が言うと、新垣はキョトンとした顔で僕を見返した。

「どしたの?」
「…実は、亀井と付き合うことにしたんだ」
「―――へ、へー、そうなんだ、良かったじゃん」
「うん。 で、今、ちょうど駅に送ってきた帰り」
「あー、なるほどね」

新垣のリアクションに一瞬間があったのは気のせいだろうか。
それもきっと疲れているせいだ、と僕は考えることにした。

「…これで新垣も安心したろ?」
「…え?」
「亀井のこと、ずいぶんと心配してたみたいだったから」
「う、うん、そうなんだよー、だってあのコ、ああ見えて、何気に弱いとこあるからさ。
 見てるこっちがヒヤヒヤするんだもん、そっか、そっか、そりゃ良かったよ」
「だからさ、これからは僕たちにヘンな気を遣ったりしないでいいから。
 で、たまにはまた3人で昼飯食べられたらいいなって。
 多分、亀井も喜ぶんじゃないかな」
「…そだね、時間が合えばね。
 まー、とにかく良かった良かった、ほんっとに良かった。
 大事にしなよー、カメのこと泣かしたら怒るかんね」
「おう」
「…じゃ、わたし行くから」
161193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:34:54.43 0

―――じゃあね。

すれ違いざまに発せられた、その声がやたらと弱々しく聞こえた。
僕は思わず振り返って新垣の背中を見つめてしまった。
しかし、ただくるくると揺れているだけの赤い傘からは何も伺うことができない。
仕方なく、僕は自宅の方向へと足を向けた。
そして新垣も、今日何人目になるかも分からない、僕とすれ違う人の一人となる―――はずだった。

僕が歩き始めて、まだ2,3歩というところ。
背後から、雨音に混じって何かが落ちる音が耳に聞こえた。
音に振り返ると、開いたままの傘が柄を中心にして地面をコロコロと転がっていた。
その傘が描く扇形の、すぐ側。
新垣が背中を丸めてうずくまっているのを僕の瞳が捉えた。
162193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:37:19.60 0

「おいっ!」

はじけたように、僕は慌てて新垣の側に駆け寄った。
僕が呼びかけても、その声は新垣には届いていないようで、
ただぶるぶると身体を震わせているだけだった。
垂れた髪をかき上げて、おでこに手を当ててみる。
外気にさらされて僕の手が冷たくなっていたことを差し引いても、
手のひらに伝わるその熱量は明らかに異常だった。

僕が取るべき行動に選択肢はなかった。
手にしていたビニール傘を畳んで、新垣を背中に乗せる。
そして新垣のカバンと赤い傘とを両手に持って、
数年前の記憶の糸を辿りながら雨の中に駆け出した。

僕の耳元で新垣がうわ言のように呟いていた。

―――やだよぉ…、いやだよぉ…、いやだ…

新垣は、そう、何ども呟いていた。
163193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/16(木) 23:40:09.82 0
>>157-162
以上です

狼で書いてる以上はあんまり間空くのはマズイと思ってるんで
まあ、楽しく無理しない程度にやります
164名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 23:41:01.08 0
がぁきさあああああああああああああああああああああああん
165名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 23:41:05.96 0
う、う、うウェルカ〜ム!!!
166名無し募集中。。。:2006/02/16(木) 23:42:41.13 0
何か読んでるうちに書いてみたくなった
167名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 00:01:29.48 O
作者さん乙です〜
ガキさん、一体何がいやなんだ?気になるぅ〜

>>166
書いてみたらどうだろう?
168名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 00:41:14.65 O
おつ
169名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 00:50:18.60 0
作者さん乙!

亀ちゃん編はすんなりいったけど、ガキサん編は山あり谷ありね♪
これもガキサんの宿命!?
170名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 01:18:52.88 0
ガキさぁーーーーーーーーーーーーーん!!!
何があったんだああああああああああああ!!!???
171名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 01:44:56.91 0
ガキさああああああああああああん!!11
172名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 01:52:46.20 0
いいね、こっちも
つか、こっちの方が俺好みかも
亀ちゃんの悲しむ顔は見たくないけどな
173名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 02:47:39.27 0
亀ちゃんには幸せになってほしい・・・
174名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 03:02:16.45 0
ガキさんには切ない恋がよく似合う
175名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 03:02:48.12 0
作者さんお疲れ様です
マイペースでいいんで頑張ってください!

ってかこの回はやばい・・・これはかなりキテます・・・

ガキさああああああああああああああああああああああああああああああん
176名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 04:29:33.81 0
作者さん乙

ガキサンどうしたんだろう
最初車かなんかにはねられて死んじゃったのかとおもたよ
177名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 05:36:06.22 0
乙〜
178名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 08:14:55.09 O
ガキ絵里が好きすぎてバカみたい
179名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 10:16:12.33 O
恋の始発列車
180名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 11:51:44.17 O
181名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 14:40:20.69 0
がきかめ
182名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 16:14:42.58 0
ガキさああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん
183名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 17:07:52.12 0
184名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 18:17:17.12 0
nn
185名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 19:31:14.27 0
ho
186名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 20:40:51.95 0
187名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 21:02:09.30 0
ze
188名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 21:32:19.58 0
n
189名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 22:20:30.83 0
( ・e・)
190名無し募集中。。。:2006/02/17(金) 23:06:54.70 0
ho
191名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 00:17:33.80 0
ze
192名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 01:08:04.45 0
今夜は充電期間かな
193193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 01:13:21.40 0
自分の番号を自らget
そして明日までho
194名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 01:13:48.86 O
だな
出来れば知らせてもらえると有り難いのだが…
195194:2006/02/18(土) 01:15:33.99 O
入れ違いだった_| ̄|○
196名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 01:47:00.05 O
お休みほ
197名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 02:42:12.87 0
ノノ*^ー^)<保全ですよ?
198名無し募集中:2006/02/18(土) 03:29:37.65 0
うむ
199名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 03:51:15.13 0
ヌルポ
200名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 04:18:22.34 0
ぽぽぽ
201名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 05:39:08.22 0
( ・e・)<保全中なのDa
202名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 06:13:52.74 0
( ・e・)<保全中なのDe
203名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 07:28:17.65 O
避難所更新乙です!
204名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 09:14:59.83 O
ho
205名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 09:56:32.21 O
206名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 11:09:24.88 0
n
207名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 12:25:23.42 0
n
208名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 12:45:55.04 O
209名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 13:07:31.21 0
( ・e・ )<禅
  ∞
210名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 14:11:59.92 0
( ・e・)<保全するのだ
211名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 15:43:59.23 O
212名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 17:09:56.41 O
213名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 17:39:20.97 0
214名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 17:52:16.72 0
215名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 18:15:29.78 0
216名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 19:05:24.58 0
217名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 19:06:46.12 0
218名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 20:26:35.01 0
219名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 21:07:00.64 0
220名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 21:39:50.42 0
221名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 22:16:04.58 0
222名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 22:35:01.61 0
223名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 22:35:39.33 0
どっちも好き
224193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:06:24.81 0
>>157-162
つづき
225193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:10:12.32 0

###

新垣の家は拍子抜けするほど近かった。
決死の覚悟で走り出してから、ものの数分で玄関の前までたどり着くことができた。
一度来た時の記憶が意外と残っており、道に迷わなかったのも幸いした。
しかし間の悪いことに新垣の家には誰もいないようで、部屋の窓からは灯りが一切放たれていなかった。
僕は少々の罪悪感を感じながら新垣のカバンを漁った。
すると運良く内ポケットの中からキーケースを見つけ出すことができた。

以前、訪れた時の記憶を頼りに、新垣を部屋まで負ぶっていく。
おそらく新垣の部屋であろうドアを開けると、部屋中に貼られたポスターが僕を出迎えた。
どうやら正解だったようだ。
ベッドに新垣を座らせて、僕はその苦しげな顔を覗き込みながら訊いた。

「大丈夫か? どっか痛いとこある?」
「…アタマ」

か細い声で新垣が言った。
暗い外では気づかなかったが、
蛍光灯に照らされた新垣はずいぶんと熱っぽい赤い顔をしていた。
しかし僕の声に反応できるようになったということは、
さきほどより少しは具合が回復しているのかもしれない。
226193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:16:42.24 0

「着替えたほうがいいと思うんだけど…。
 一人で大丈夫…だよな?」

少量ではあるが、雨に濡れてしまった制服でいるのは身体によくないと思った。
とはいえ、僕が着替えを手伝うわけにもいかない。
僕の質問に新垣は朦朧としながらもコックリと頷いた。
その頷きを信じて、僕は部屋の外で待つことにした。
暗い廊下にしゃがみ込んで、部屋のドアに寄っかかりながら、思った。

…まったく、新垣ときたらいつもこうだ。
おそらく自分の体の変調には気づいていただろうに。
周りの人に弱音を吐いたり、迷惑をかけることを極端に嫌って、いつもギリギリまで頑張ってしまう。
思い出してみたら、中学校の頃も体育祭準備の時にいきなり倒れたことがあった。
ツラいときはツラいって一言周りに言えばいいのに。
それができない性格なのだ。

ひょっとしたらその性格は僕とどこか似ているのかもしれない。
けれどその根っこにある気持ちはまったくの別物だ。
新垣の場合は生まれもった芯の強さ故に。
僕の場合は―――。

そこで、僕は考えることを止めた。
227193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:21:04.00 0

頃合いをみて、僕はドアをコツコツと叩いた。

「おーい、入っても大丈夫?」

僕の呼びかけに返事はなかった。
まさか具合が急変して中で倒れているのでは。
最悪のケースが頭を過ぎった。

「…入るよー」

二種類の緊張を覚えながら僕はおそるおそるドアを開けた。
倒れていたらどうしようという緊張と、その場合、新垣がどんな格好をしているのかという緊張。
その緊張のうちの一つ、倒れているのでは、という予測は当たってしまっていた。
確かに新垣は倒れていた。
ベッドの上で、ちゃんと着替え終わって、しっかりと布団を被って。
倒れている、というよりは眠っているといったほうが正しい。

…どおりで返事がないはずだ。
やや呆れながら、布団を丁寧に掛けなおした。
確認のため再度おでこに手を当ててみると、先ほどと変わらぬ熱量が手のひらに伝わった。

こういう場合はとりあえず冷やしたほうがいいのだろうか。
洗面所にいけばタオルくらいは見つかるだろう。
人の家を勝手に歩き回るのは少々気が引けるが、そんなことを言ってられる状況でもない。
228193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:25:49.65 0

そう考えて、僕がベッドから離れようとした時だった。
ふいに僕の制服の袖がきゅっと掴まれた。
袖を掴むその力はわずかなものであったが、
移動するために足に込めた力を全て吸い込んでしまう不思議な強さがあった。

「…やだ。 …行っちゃやだよ」

眠っていたと思っていた新垣が、不安そうな声で呟いた。
目は閉じられたままで、意識も朦朧としているはず。
はたしてここにいるのが僕であるということを認識して言っているのかも分からない。
けれど、その手は、僕の袖をひしっと握ったまま離そうとしなかった。
具合が悪いときに、一人になってしまう心細さは知っているつもりだった。
中学に入ったばかりの頃、僕がひどい風邪を引いて寝込んでいた時に、
レイナ以外に僕の側にいてくれた人は誰もいなかった。

「―――大丈夫。
 タオルとってくるだけだから、すぐに戻ってくるよ」

言いながら、袖を掴まれた手をそっと握り返した。
小さな、とても小さな手だった。
すると新垣は少し安心したような顔をして、その手を再び布団の下に潜りこませた。
229193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:29:10.51 0

新垣はおでこに濡れたタオルを乗せて、ぐっすりと眠っている。
どうやら大事に至ることはなさそうで、僕はほっと胸を撫で下ろした。
状況が落ち着いてきたところで、改めて新垣の部屋をまじまじと眺めてみる。
その光景は中学の頃に訪れた時からなんら変わっていなかった。
いや、きっと変わったんだろう、ポスターの種類とか、貼られているカレンダーとか、並べられたCDとか。
僕にはその変化は一切分からないが。
そんなことを言ったら、きっと新垣は怒るのだろうなと思って苦笑した。

玄関のほうから物音が聞こえた。
きっと家の人が帰ってきたのだろう。
そうであれば、新垣の具合だけ話して、後のことは家の人に任せるのが一番だと思った。

部屋を出ようと立ち上がったとき、僕はこの部屋で唯一、アイドルグループと関係のない写真を見つけた。
シンプルな木製の机に置かれた写真立て。
そこには中学校の時の生徒会で撮った写真が飾られていた。
確か生徒会最後の仕事である文化祭を終えた記念の写真だったろうか。
まだ片付けの終えていない体育館をバックに、一仕事終えてどこか晴れやかな顔をした僕たちが写っていた。
230193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:30:32.99 0

満面の笑みを浮かべて中央に陣取る新垣。
その隣で笑顔といえば笑顔のような、ビミョーな表情をしている僕。

はじめ写真を撮るのが照れくさくて断っていた僕を、新垣がカメラの前まで強引に引っ張って連れてきたのだ。
しかも、その上、最高のスマイルまで強要された。
その結果が、このなんともいえない引きつったような笑顔だ。

けれど、これはいい写真だな、と思った。
自分で言うのも恥ずかしいけど、それでもいい写真だった。

何かが胸の中で溢れ出しそうになっていることに気づいて、
僕はそれに蓋を被せるように、そっと部屋のドアを閉めた。
231193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:36:01.83 0

自室の照明のスイッチをパチリと押す。
暗闇から浮かび上がったのは数時間前までこの部屋にいた人の形跡だった。
空っぽのマグカップとか、別の部屋から持ってきたクッションとか、そして微かに残る彼女の匂いとか。

いろんな事が起こった一日に、僕は少々くたびれたようにベッドに腰を下ろした。
そして放り出されていたままの卒業アルバムがふと目に付いて、何気なくそれに手を伸ばした。

よく考えると、こうして自分がもらったアルバムをまじまじと眺めるのは初めてではないだろうか。
アルバムの写真自体はいやというほど何回も目を通した。
それは僕が卒業アルバム製作の委員だったからだ。
中学校生活の最後の最後まで新垣に振り回された結果だった。
だから、サンプルなどですでに中身を把握していたために、
卒業式で受け取ったあとも軽く目を通しただけで、そのままずっとしまわれていたのだ。
まあ、改めて見たところで、自分が写真を選ぶ立場にいたせいか、
はたまたさっき亀井が見ていたのを横から眺めていたせいか、新鮮味もあまり感じられなかった。

ページを適当に捲っていると、僕のポケットで携帯が震えた。
数回の震動で止まったのでメールだと思った。
左手でページを抑えたまま、右手で携帯を取り出して操作する。
ディスプレイには可愛らしい絵文字が映し出されていた。
232193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:44:00.24 0


    明日はお昼ごはん買わないできて!
    エリがお弁当作っちゃいまぁす♪ リd*^ー^)     
                                  』


張り切った亀井の様子が液晶の文字に滲んでいて、僕の顔も思わずほころんだ。
返信を打とうと、携帯を右手に持ったまま、左手だけでアルバムのページをパラパラと送った。

そのページの一番最後。
マジックで何か文字が書かれているのがふいに目に入った。
それがやけに気になって、一旦閉じられたアルバムを、僕は背表紙から再び開いた。
そこは寄せ書きのページだったが、誰かに何かを書いてもらった記憶はなかった。
そもそも卒業式の日に軽く眺めて以来、その後今日までこのアルバムが開かれることはなかったのだ。
けれどそこには太いマジックでハッキリとこう書かれていた。
233193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:45:27.15 0


『    

      高校でもヨロシク!!
      わたしたち、ずっと一緒だよ!!

                     新垣 里沙

                                  』

234193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:47:03.00 0

携帯が僕の手からするりと抜けて、床に落ちた。
心に鋭利な刃物を突き立てられたような痛みが走る。
その傷口からわけの分からない感情が滲み出してきて、
呼吸をすることさえ忘れてしまうほどの苦しみが僕を襲った。

このアルバムを受け取ったときのことが急激に頭の中に蘇ってきた。
あの時、僕と同じく製作委員会だった新垣が、クラスのみんなにアルバムを配布する役を買って出ていた。
そして皆に配り終えてから、別のところに分けてあった一冊を最後に僕に渡したのだった。
中学卒業の日の何気ない一場面が、どうしてこんなにも鮮明に思い出されるのだろう。

新垣がどういった気持ちでこのメッセージを書いたのかは分からない。
けれど、その文字からは溢れるばかりの未来が感じられた。
確かに僕たちはあの頃いつも一緒にいて、それがなんだか自然な形で、これがずっと続くような気もしていた。
新垣は透き通った瞳でただ前だけを見つめて、眩しい未来だけを見据えて、この文字を書いたに違いない。
235193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:49:55.69 0

震える手でアルバムを閉じた。
開かれることすらなかったページ。
そこに刻まれていたメッセージは、時を経ても、少しも色褪せることなくピカピカと輝いていた。
僕はそれをずっと見逃し続けてきたのだ。

…見逃して?

―――違うだろう?

転がったままの携帯を拾う気にもなれず、ベッドに乱暴に身を投げ出した。
どこからか聞こえてくる、心の底からの囁きに僕は必死に耳を塞いでいた。


―――見て見ぬフリをしてきただけだろう?
―――本当は気づきたくなかったんだろう?
―――自分の気持ちと向き合うのを避けていたんだろう?


僕はきっと大きな間違いを犯している。
今日だけでなく、ずっとずっと昔から。
そしてそれはもう二度と取り返しのつかないものであることを僕は知っていた。

今、僕にできることは次々に溢れ出てくる感情に蓋を被せるだけだ。
今まで僕がそうしてきたように。
ただ今回ばかりはなかなかうまく蓋が閉まってくれず、
溢れてしまった感情は僕の目の端のほうから流れ落ちた。
236193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/18(土) 23:50:41.98 0
>>225-235
以上です
237名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 23:52:05.06 0
激乙!
238名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 23:55:51.81 0
オツ!
239名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 23:55:54.87 O
>>236
乙です
泣ける。・゚・(ノД`)・゚・。
っていうか、主人公のバカ!!と言いたいわ

ガキさん幸せになって欲しいが、このままだとえりりんカワイソス(´・ω・`)
240名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 23:57:19.94 0
乙です!ガキさんを幸せに…
241名無し募集中。。。:2006/02/18(土) 23:57:28.87 0
ィィョィィョ〜
最後ケツメイシだったね
242名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 00:23:02.86 0
ガキさああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!11
243名無し募集中。。。 :2006/02/19(日) 00:51:21.66 0
ガキさんの笑顔が見たい…
244名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 01:39:28.97 O
泣ける…
245名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 01:41:28.06 0
小説ごときでこんなに切ない気持ちになるとは・・
作者乙
246名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 02:23:53.22 0
保全を兼ねて…
いや、いいわ 亀ちゃんの今後が若干気になるけど、
ガキさんと主人公の「気持ち」がひしひしと伝わってくる
主人公と一緒に俺も泣きそうになったぉ
247名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 02:32:12.31 0
( ・e・)<保全になってないのDa↑
248名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 03:36:01.71 0
定期保
249名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 04:10:31.45 0
もうどちらか俺に譲ってくれ保
250名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 05:15:08.85 0
ho
251名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 06:04:04.84 0
シュッ!シュッ!
252名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 07:30:07.91 0
ポッポ!ポッポ!
253名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 07:55:20.30 0
どっちかを振るって残酷なようだけど
どっちにもやさしくするって方が遥かに残酷だよな
深い…
254名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 09:33:18.63 0
亀ガキ保全
255名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 10:07:33.37 0
亀カメ!
256名無し募集中。。。 :2006/02/19(日) 10:40:30.00 0
作者さんどちらとも付き合わないエンディングはあるのでしょうか?
257名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 11:05:39.27 O
258名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 11:09:12.85 O
さゆヲタだから亀井。
259名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 13:11:49.51 0
ほぜん。

学校帰り。いつものようにちょっと先を新垣が歩く。そして突然振り返る。
「亀があんたのこと好きだって!」
「あぁ、今朝アイツから言われたよ・・・」
「そんでどうすんの?付き合うの?」
「さぁ・・」
「『さぁ・・』ってあんないい子いないでしょうがぁ!!
 付き合いなって!ねっ!うん!そのほうがいい!!」
「うるさいなぁ・・俺だって他に好きなやついんだよ!・・隣に・」

恥ずかしくて最後の言葉は小さく風に流された・・・

「・・・私も・・・・・」

そう聞こえたが沈黙が続く。お互いの顔が赤いのはきっと夕焼けのせい。
『あーあ、二人の分かれ道まであと10分。気まずいなぁ・・・』
なんて思いながらも、ちょっと笑顔だったりして・・・。
260名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 13:41:56.05 O
>>259
(・∀・)イイ!!
本格的に書いてみる気はないか?
261名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 14:06:41.87 O
頑張って書いてみてください
262名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 15:19:30.11 0
263名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 16:13:03.39 O
264名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 16:15:46.05 0
265名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 17:28:21.13 0
ho
266名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 17:38:53.92 O
ze
267名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 18:25:18.15 0
n
268名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 19:20:18.53 0
ふぉ
269名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 19:48:05.63 0
>>260>>261
小説をまともに読んだのがこのスレだけで経験も知識もない僕には
本格的に書く力は間違いなく無いですね・・・
なんせネタの引き出しもう空っぽなんだもの^^;

おとなしく保全して193氏の登場を楽しみにしてます。
270名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 20:29:25.43 O
271名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 21:30:15.18 0
272名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 21:34:52.40 0
273名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 21:57:47.87 0
274名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 22:02:24.95 0
275名無し募集中。。。:2006/02/19(日) 22:58:56.50 0
276名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 00:07:40.44 0
277名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 00:14:23.01 0
278193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/20(月) 00:28:17.32 0
明日お会いしましょう
279名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 00:33:27.19 0
はい
280名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 01:15:52.92 0
じれったい
281名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 01:21:44.26 0
キス
282名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 01:32:26.40 0
もっと
283名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 01:44:37.17 0
熱い鼓動の
284名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 01:58:17.85 0
セークシィ
285名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 02:18:45.62 0
アーイランッ
286名無し募集中:2006/02/20(月) 02:22:38.49 0
愛して
287名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 02:41:47.76 0
急接近♪
288名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 03:31:52.70 0
未来に
289名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 03:37:31.27 0
大接近
290名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 04:27:11.30 0
どこまでも
291名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 05:06:07.65 0
ho
292名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 05:31:43.33 O
>>290
抱き締めて〜
293名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 05:39:39.04 0
ほ〜〜ぜ〜〜ん〜〜〜〜〜
294名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 06:22:26.46 0
>>293
ヲイw
295名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 07:38:47.14 0
ん!
296名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 10:32:51.23 0
ちょっとアンケートとりますけど
マジヒッキーの方挙手してください
297名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 12:18:24.87 0
マジで「ヒッキ」って呼ばれてる保
298名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 12:44:37.41 0
ほぜん
299名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 14:43:49.72 0
从*´ ヮ`)れいなが保全するっちゃ
300名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 15:00:21.36 0
ありがとうれいな大好きだ
301名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 16:20:59.40 0
hojen
302名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 17:01:30.34 O
片思いも出来なくてぇ〜
303名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 17:48:42.55 0
人生
304名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 18:30:03.53 0
つまんないって
305名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 18:30:14.42 0
オバケ屋敷を見つつ保全
306名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 19:20:25.68 0
時期もあった
307名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 20:08:05.53 0
保金
308名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 20:48:57.24 0
ho
309名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 20:49:35.30 0
おれはスイートほうとう見つつ保全
310名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:18:53.38 0
今 実際恋愛中
311名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:19:30.97 0
ttp://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1138886389/590

あっちでも聞いたんですが、作者さんの過去作品をできれば教えてください
まとめサイト作りたいぐらい好きなんですがw
312名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:24:33.08 0
亀ちゃん編ならもしもろだにあった気がする
313名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:26:26.47 0
こことごまっとう同居とガキさんモーヲタはログ全部持ってるんですが、
その他で書いてるのが分からなくて・・・
314名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:29:00.94 0
本人に聞いてくらさい
315名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:31:59.38 0
もしもロダでアクセス権が無いって言われるんだけどなんでだろ?
316名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:33:21.16 0
嫌われてるんだよ
317名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:34:21.73 0
言われると思った
318名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:35:18.83 0
だから言った
319名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:36:17.44 0
じゃあそろそろマジ解答頼むわ
320名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:37:47.10 0
321名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:40:55.26 0
lzh落とそうとすると言われるんだよね
322名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:44:14.31 0
右クリックの保存じゃなくてそのまま左クリックしてみては?
323名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:48:10.49 0
やったんだけどIEでは出来ませんて言われた
324名無し募集中。。。 :2006/02/20(月) 21:52:04.71 0
左クリック→保存でできるんじゃない?
左クリック→開くだとだめっぽい
325名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:54:38.61 0
左クリック→保存
これで>>323になる
326名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 21:59:44.63 0
今やってみたけど普通に保存できたぞ
327名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 22:00:31.70 0
なんでだろう
ノートンさんとか関係あるのかな?
328名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 22:23:56.18 0
ブラウザ変えたら?
329名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 22:25:48.73 0
火狐とか入れてみようかな
330名無し募集中。。。:2006/02/20(月) 23:26:17.00 0
作者乙、一週間でも10日でも待つからゆっくり書いてくれ
331193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/20(月) 23:42:50.11 0
>>225-235
つづき
332193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/20(月) 23:44:48.19 0

###

僕はなるべく亀井のことだけを考えて毎日を過ごすことにした。
授業中に背中を向けている時以外は、できる限り亀井と向き合うように心がけた。
毎日作ってきてくれるお弁当も、薄すぎる味に文句言うことなく残さず食べた。
いや、一度だけ、「もう少し濃い味もいいかもしれない」、と遠まわしに注文してみたことがあった。
そのところ、翌日、毎日食べ続けたら確実に成人病になりそうなお弁当が届けられたため、
前の味付けに戻してくれるように頼んだのだ。
その後、味の濃さは株式の平均価格のように日毎に高下したが、それでもとにかく食べた。

倒れた新垣を家まで担いで行った日以来、新垣とはほとんど話をしていない。
しいていえば、体調が回復してから学校で会ったときに、簡単なお礼を言われたくらいだ。
その時、「…わたし、なんかヘンなこと言ってなかった?」と訊かれた。
僕は「…いいや、何も」と答えるのが精一杯だった。
「そっか、もし言ってたとしたらさ、病人の戯言だと思って聞かなかったことにして」と新垣は笑った。
それは無理な頼みごとだった。

『…行っちゃやだよ』

今までさんざん見てみぬフリをしてきた声、メッセージ。
しかし一度それを認識してしまうと、小さな穴から堤防が決壊するように、僕の心は揺れに揺れた。
そんな時こそ、僕は亀井に優しく接した。
そうすることによって僕はどうにか自分を保っていたのだ。
333193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/20(月) 23:51:33.63 0

休日には亀井と電車に乗って大きな街へ出かけることにしていた。
映画を観たり、ウインドウショッピングをしたり、ランチをとったりと、
ごく平凡なデートコースを手を繋いで回った。
この手を離してはいけないといつも思っていた。
亀井のことを離したくないという理由からではなく、
それはむしろ逆で、僕が亀井から離れないようにするためだった。
今、この手を離してしまえば、
僕はまるで風船のようにフワフワと空に舞い上がり、上空でパチンとはじけてしまうだろう。
亀井のことを守りたいなんて思っていたけれど、今や僕が守られている側なのだと気づいた。

そういう風にして、何度の休日を過ごしたのだろう。
気がつけば日々は流れ、2階にあるカフェの窓際の席から見下ろした交差点は、
コートに身を包んで歩く人で溢れていた。
白い息を吐き出しながら、皆せかせかと忙しそうに歩いている。
駅の出入り口はガッポリと口を開けて待ち構えており、
そういった忙しない人々を飲み込んだり吐き出しだりしていた。

「来週は大変だね♪」

その声に僕は窓の外から正面に座る人に視線を戻した。
向かいに座った亀井はニヤリと笑みをこぼしていた。

「楽しみにしてますよ?」
「任しといて」

来週は亀井の誕生日とクリスマスが立て続けにやってくる。
亀井はプレゼントは一つでいいと遠慮していたが、僕はそれを断って別々にあげることを伝えていた。
亀井が喜んでくれそうなことは一つでも多くやってあげたいと考えていた。
334193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/20(月) 23:54:33.74 0

僕の返答に満足げに頷いてみせた亀井は、
ホイップクリームがたっぷりと乗せられたココアに口をつけた。
と、何かに気づいたように、カップを置くなり窓の外を指差して言った。

「…ねえ、あれ、ガキさんじゃない?」

指差した方向は交差点の向こうにある人混みで賑う駅前の広場。
そこには確かに新垣の姿があった。
壁に寄っかかっては、右手に持った携帯をしきりに操作していた。
私服を見る機会はそんなに多くないけれど、なんだか大人びた服装だった。

「…ホントだ」
「電話かけてみよっか? 何やってんのーって」
「やめといたほうがいいよ」

亀井とこうして休日を過ごしている姿を見られたくないのか、それとも見せたくないのか。
どちらにしろ、その言葉は僕の口を咄嗟について出た。
亀井はさして疑問にも思わずに笑顔で相槌をうった。

「だよねー、ひょっとしたらこれからデートかもしれないもんね―――って、あれ…?」

亀井の冗談めかした言葉に、まさか、と苦笑いを添えてツッコミを入れる前だった。

「うわぁ、ホントだったりして…」

僕の視界の中で、新垣は駅の出口からやって来た男と連れ立って歩き出した。
その光景は僕に少なからず動揺を与えた。
そしてやって来た男の顔に見覚えがあることに気づいて、僕の心はますます揺れた。
335193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/21(火) 00:01:14.55 0

「へ、へー、ガキさん、そうだったんだぁ…」

亀井もその事に気づいたようで、とても祝福しているとは思えない微妙な表情を顔に浮かべた。
隣を歩いているその男は生徒会の最後の一枠に飛び込んだヤツだった。
見てくれのよさと生まれ持った財力とで女を引き寄せて、飽きたら捨てるまるでクモみたいなヤツ。
人の色恋沙汰にはさして興味を抱かない僕にも、
彼の糸に引っかかった女の噂はたびたび耳にしたし、その数の多さに嫌悪感を抱かずにはいられなかった。

―――なぜ?
―――どうして?

僕の頭の中にはその2種類の疑問符しか出てこなかった。
新垣とその男との間に空いた微妙な隙間が、何かを暗示しているようにも見えた。
そのわずかな空間が新垣の本心をかろうじて伝えようとしているようだった。

やがて新垣とその男は微妙な距離を保ったまま雑踏の中へと消えていった。
人ごみに吸い込まれていくその姿を、僕は分厚い窓ガラス越しに眺めていることしかできなかった。
336193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/21(火) 00:02:12.72 0
>>332-335
以上です
337名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 00:09:06.42 0
禿乙!
338193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/21(火) 00:20:36.13 0
>>311
新垣さんでも亀井さんでもない方から告白されても…
って好きなのは自分の書いたネタの方ね

まとめサイトとか作者冥利に尽きるのですが、長編の完結率の低さには目を見張るものがあるのでその意義は薄いかと
一応完結したのは、それぞれ然るべき箇所でアーカイブにさせていただいてるので
このスレのまとめサイトを作っていただけるのが一番有り難いです

過去作品はごまっとうスレの方で挙げてたやつでだいたい全部だと思います
後浦姉ちゃんに関しては書いたテキストも2chのdatも失くしてしまったので、自分が読みたいくらいです
1はろだに上がってたけど2を持っている奇特な人がいたら上げてくれれば嬉しい
339名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 00:25:00.08 0
激乙です!!
主人公よ、なんとしてもガキさんを救い出せ!
340名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 00:52:37.07 0
更新されていたか、作者乙
341311:2006/02/21(火) 00:56:35.37 0
>>338
作者さん、さっそくレスありがとうございます
ガキさんモーヲタ編の大ファンのくせに、ごまっとう同居やこのスレ読んでても
同じ方と気づきませんでした^^;
また好きな作風の方がいるな・・・ぐらいでw

後浦スレのログありましたので、もしもろだの192に上げときました
少しでも手助けになれれば幸いです
これからも応援してますので、これからもお付き合いさせてくださいw
342名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 01:01:25.01 O
作者さん乙です

>>339に同感ですが、そうすると今度はえりりんが奴の毒牙にかかっちゃうんじゃ・・・

あと思ったのですが、中1日で投稿されるようになってから、更にクオリティが上がったような気がします。
だから読者の事はあまり気にせずにゆっくり書いてください!
343名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 01:08:38.74 0
>>342
気にせずっつー割りには注文が多いな
344311:2006/02/21(火) 01:21:43.92 0
余計なお世話で、ごまっとう同居人スレの過去dat全部も上げときました
私のように作者さんの魅力にとりつかれた方はどうぞw
345名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 01:31:49.42 0
>>344
乙乙
346193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/21(火) 01:58:00.69 0
ログいただきました、多謝
どっちも勿体無いことをしたなーと
お返しってわけじゃないけど昔飼育の企画に出した中から狼に優しそうな男×娘。を
ttp://mseek.nendo.net/event/messe03/1058969773.html
飯田さんモノです、すでに知ってたら申し訳
347311:2006/02/21(火) 02:03:24.55 0
>>346
飼育でもいくつか書かれてるんですね
飼育もある程度は読んでるんですが、その作品は未読なのでさっそく拝見します
348名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 02:15:32.92 O
つかぬ事を伺いますが
ガキさんモーヲタ編って羊にあるガキさんがヲタバレを恐れる〜ってのとまた別ですよね?
すげえ見たい
349名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 02:27:34.16 0
350名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 02:32:27.48 0
>>349のを元にしたサウンドノベルなんかもあったり
ttp://musumerpg.hp.infoseek.co.jp/game/gakisan/gakisan.html
351名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 02:34:13.27 0
げぇ、これ書いた人だったのかよw
そりゃ惹きこまれるハズだわww
352名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 02:57:55.05 0
>>348が言ってるガキさんがヲタバレを恐れる〜(元は狼、今は鳩)もこの作者さんじゃね?
──の多用とか、男x娘で一人称が僕とか、なんかそんな気がしてきたw
353名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 03:29:55.77 0
ここって新しく書いちゃダメ?
354名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 03:32:55.19 0
どうぞどうぞ
楽しみにしてますよ
355名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 03:35:18.30 0
じゃあ書いてみるか
356名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 05:12:11.57 0
書いてチョ
357名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 06:23:03.85 0
どんな駄作でも保全になりますし、気楽に書いてください!
「どんな駄作でも」って変な意味じゃなくて、もちろん期待してますよ^^;

ちなみに259で地味に短編を書いた者ですけど、思いついたら書いていいでしょうか?
実力も発想もないんで半年に1回くらいになりそうですけど・・・orz
358名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 06:46:24.68 0
初のパソコンからのレスです
作者さん乙です☆
359348:2006/02/21(火) 09:04:22.60 O
>>349>>350
ありがとうごさいます
今度ネットカフェ行って読み耽ってきます
360名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 11:30:09.73 0
361名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 11:47:34.79 0
パソコン買い
362名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 12:02:32.17 0
なよ
363名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 12:16:10.74 O
小説書き
364名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 13:43:01.95 0
なよ
365名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 14:28:04.48 0
保全しちゃい
366名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 16:25:37.58 0
なよ
367名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 16:33:07.16 O
368名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 17:09:57.53 0
369名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 18:36:19.22 0
370名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 19:05:58.37 0
371名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 19:08:28.72 0
瀬間仲ノルベルト
372名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 20:04:53.45 0
ho
373名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 21:04:08.26 0
ze
374名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 21:30:56.50 0
375名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 22:06:28.25 0
ho
376名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 22:44:29.32 0
ze
377名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 22:48:01.70 O
>>371
お主やるなw
378名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 22:59:07.42 0
柑橘系で短編書いてたけどスレが落ちちゃって
もやもやしてる午後11時
379名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 23:01:08.25 0
立てりゃええやん
380名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 23:01:41.63 0
落ちるべくして落ちた感じだったが
381名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 23:25:51.76 O
>>378
あるあるw
俺は年頃な妹スレで書いてたら落ちた
382名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 23:55:31.98 O
初夏スレで結構満喫してすぐだったから
勢いがなかったしな
好きだったけど
383名無し募集中。。。:2006/02/21(火) 23:56:57.39 0
>>378
ガキさんは昭和の匂いを感じる
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1140533383/

立ったぞw
384193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/22(水) 00:26:07.72 0
当初の菊地原ばりの連投も影を潜め、最近は中一日がすっかり板についてしまいました
なんか目が痛くてPCの画面を見るのも辛いので避難所の更新も休みます

>>352
それは違いやす
一読者としておいしくいただきました
385名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 01:12:15.19 O
ちょw菊地原www
386名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 01:13:06.67 O
興奮して書き忘れた
作者さんお大事に〜無理しないで下さいね
387名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 01:13:44.70 0
乙です。
マイペースで更新していただければ。
次回、楽しみにしています。
388名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 01:15:50.12 0
>>384
菊地原キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)゚∀゚)・∀・)´_ゝ`)´Д`)゚ー゚)━━━!!!!!www
389名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 01:42:39.14 0
昭和の匂い10レスで落ちたぞw

作者さんごゆっくりなさってくださいな
390名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 02:05:24.07 0
391名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 02:06:24.87 O
作者さんお大事に
体が一番です
392名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 02:10:55.68 0
>>378
ココで言うのもスレ違いなんだが
アナタの作品何気に好きだった
淡々と書いてあるんだけど一行ごとにちゃんと風景が見えた
機会があればまたどこかで頼む
393名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 03:22:26.45 0
豆亀保
394342:2006/02/22(水) 04:09:09.41 O
>>384
菊地原さん乙ですw
っていうか、作者さんはワンポイントリリーフ中心の菊地原より権藤タイプなのでは?

とにかくゆっくり休んでください
395名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 05:16:31.75 0
396名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 07:56:51.70 O
ブリーン
397名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 09:44:36.00 0
ho
398名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 10:14:58.53 O
ze
399名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 10:33:07.65 0
age
400名無し募集中:2006/02/22(水) 11:19:06.17 0
umu
401名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 11:52:16.58 O
休み時間になるとなぜかぼくの席の回りに新垣と亀井が寄ってきて
お喋りを始めるのだけど
さっきとか
亀井がぼくの片膝に腰をおろしてきて何事も無いように会話を続けるもんだから
言ったんだ。
「なあ、ぼくの膝にだらしない尻がのってるんだけど」
真っ赤な顔してこっちを見、はにかむ新垣を尻目に
振り返って体温が感じられるほどの至近距離で
亀井は何て言ったと思う?
402名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 13:37:35.47 O
銭湯の娘保全
403名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 15:56:01.94 0
ho
404名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 16:35:47.27 0
ho
405名無し募集中:2006/02/22(水) 17:33:48.31 0
うむ
406名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 19:02:54.87 O
UM
407名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 20:25:26.02 O
はーふたいむ保全
408名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 21:14:43.27 0
ho
409名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 21:44:11.94 0
インド戦圧勝ほ
410名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 21:46:19.28 0
411名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 22:43:27.87 0
豆亀保
412名無し募集中。。。:2006/02/22(水) 23:37:25.26 0
ほっほっほっ
413名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 00:02:49.82 0
414193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:04:43.44 0
>>332-335
つづき
415193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:07:51.17 0

###

その後、亀井とどんな風に話して、どんな風に別れたのかよく覚えていない。
きっと表面上は普通に振舞えていたと思うが、
僕の頭の中は、なぜ、どうして、の2つの疑問符でずっと埋め尽くされていた。

僕は家には帰らずに、地元の駅の改札の前にしゃがみ込んで、新垣が出てくるのをじっと待っていた。
小さな駅ではないが、改札はこの場所に一つしかない。
今日、新垣を捉まえることができるとしたらここ以外になかった。
待っている間、何ども電話を掛けてみたのだが、新垣が通話のボタンを押すことはなかった。
ただスピーカーから鳴り続ける呼び出し音が、僕の焦燥を掻き立てた。

電車が駅に着くたびに、改札からは人が波のようにして溢れ出てくる。
新垣の姿を目で探しながら、思った。
本当に人がたくさんいるのだ、と。
この駅を利用する人だけでも、こんなにたくさんいる。
この沿線には、この地域には、この日本には、それこそ数え切れないほどの人がいるのだろう。
そしてそのほとんどが顔を会わせることも無く、奇跡的に顔を会わせたとしてもすれ違うだけの関係で終わる。

僕は急激な不安に襲われた。
その中から新垣のことを見つけることができるだろうか、と。
今に限った話しではない。
もうずっとこの先、二度と新垣を見つけられないような漠然とした不安に僕は陥っていた。
416193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:10:24.49 0

だから改札から出てくる人の中に、新垣の姿を見つけた時は少しほっとした。
新垣も僕のことに気づいたようで、ツカツカとこちらに歩み寄って来る。
口元には紫がかった少し濃い色のルージュ。
そんな色は新垣には似合わないと思った。

「…何してんの、こんなとこで?」

新垣は訝しげに眉をひそめた。
不審者に目を向けるような冷たい視線だった。

「…なんでアイツなんだよ?」
「…何のこと?」

僕は自分の吐き出した言葉の幼稚さに、内心、呆れていた。
言うべきことはそんなことではないはずなのに。
しかし自分の中で怒りの感情が勝ってしまっていたのだ。
新垣の取った行動に対して、僕は怒っていた。
こんなに強い感情を抱くのは久しぶりのことだった。
新垣は知らない素振りをみせたが、その目はどこか泳いでいるようだった。

「今日、一緒に歩いてたヤツのこと」
「…見てたんだね」
「偶然、な」
「…で、それが何?」

やけにあっさり認めたと思ったら、今度は開き直ったように冷たく言った。
その言葉の温度が、僕の怒りを増幅させた。
417193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:14:24.48 0

「何、じゃない。アイツがどんなヤツかは新垣だって知ってるだろ?」
「…うるさいなぁ、ほっといてよ」
「ほっとけるかよっ!」

喉を震わせた大声は駅の喧騒に掻き消され、あまり目立つことはなかった。
けれど目の前の人を驚かせるには十分な声量だった。
新垣は目を丸くして僕を見返していた。

「自分が馬鹿なことしてるって分かってるんだろ!
 どうしてそんな自分を傷つけるようなことするんだよ!
 そんなの新垣らしくないよ、全然らしくない!」
「…あー、もう! ほっといてってばっ!
 わたしのことはアンタに関係ないでしょ!」

僕につられるようにして新垣の声もヒートアップしていた。
新垣の口から大きな声で放たれた『関係ない』という言葉は、僕に深く突き刺さった。
熱を帯びていた頭が、急速に冷えていくのを感じた。

…そう、僕は人と関係を持つことを恐れていたんだ。
特に自分から人に関係を求めるのが怖かったんだ。

だからマイペースを気取って、自分の気持ちと向き合うの避け続けた。
そのことが今となってはこんなにも人を苦しめるなんて。
418193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:18:12.76 0

僕と新垣は同じ磁極を持つ磁石なのだと思う。
どちらかがある一定の距離を越えようとすると、片方は音も立てずにすっと離れてしまう。
それらが引き寄せられてくっつくことは、ない。
決して交わることのない、2本の平行線。
ただ僅かな距離を保ちながら、ずっと側にいるだけ。
それを分かっていながらも僕はどうにか新垣を手繰り寄せたかった。
今、僕から離れていこうとしている新垣の行く先は、危なすぎる。

息をゴクリと飲み込んで心を落ち着けてから、なるべく穏やかに僕は話し始めた。
磁石をそーっと、そーっと近づけるように。

「…卒業アルバム、見たんだ」
「…え?」
「アルバムの最後の寄せ書き、実は最近になって初めて見たんだ」
「…もう昔のことだよ」

改札のほうから吹きつける風。
なびく髪を軽くかき上げながら、新垣は懐かしそうに少し目を細めた。

―――ほんの、ほんの少しだけ距離が近づいた気がした。
419193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:20:02.74 0

もう一歩、踏み出してみる。

「昔のことかもしれない。けどそこに書かれた言葉は生きてた。すごい眩しく見えた」
「…やめてよ、恥ずかしいよ」

もうちょっと、あとほんの少し。
僕は一気にその距離を詰めた―――瞬間。

「おかげで分かったんだ、いや、ずっと前から分かってたけど気づかないフリしてた。
 僕は新垣のことを―――」

「…それ以上言ったら、怒るよ?」

新垣は笑っていた。
今にも泣きそうな顔で、笑っていた。
潤んだ瞳から零れ落ちそうな雫は、長い睫毛のおかげでかろうじてそれを濡らすだけに留まっていた。
420193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:23:56.21 0

「…アンタにはカメがいるでしょうが。
 前にも言ったよね、カメのこと泣かしたら怒るって。
 あれホントだからね、もしそんなことしたら、わたし、もう口も利かないからね」

じゃあね、という別れの言葉もなく、
新垣は人の波に流されるようにして僕の前から消えていってしまった。

―――また距離が離れていく。

遠ざかっていく新垣の姿が、闇へと吸い込まれていくように見えた。

その手を掴みたいと思った。
けど新垣の言うとおり、僕の手は別の誰かの手をすがるように握りしめたままで。
片手に一人ずつなんて都合のいいことできない、やってはいけない。
それではきっと誰も救うことなんてできないんだ。
両の手でなければ、飲み込まれていく闇の中から新垣を引っ張り出すことはできないだろう。

僕のことを求めてくれている手を離すのは怖いけど、それでも変わらなければいけないのだ。
磁極を変えるように、僕自身が変わらなければいけない。

怖いけれど、それでも、僕は、この手を―――。
421193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/23(木) 00:24:47.36 0
>>415-420
以上です
422名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 00:26:56.85 O
作者さん乙です。これで眠れる
423名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 00:28:57.34 0
(・∀・)イイ!(・∀・)イイ!(・∀・)イイ!
424名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 00:29:05.79 0
いつもいい所で終わるw
425名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 00:29:33.98 O
乙でした

なんか今回のガキさんはヤだ
こんなのガキさんじゃない。・゚・(ノД`)・゚・。
まさかあの男とギシアンしたのだろうか・・・

と思わせる作者さんの力量に感服です
426名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 01:16:55.94 O
この小説で193氏の大ファンになり
秘かにずっと拝読させて頂いてました
いつも素晴らしい作品をありがとうございます&お疲れ様です

今回は私的にかなりグッときました!
主人公の感情と言動がなんか凄く切なくてドラマティックだった

続きが楽しみで仕方ありません
427名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 01:21:56.01 0
乙です

これを読んで眠るのが、隔日課となっている俺ガイル
428名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 02:03:39.54 O
乙です!最高です
ガキさんには幸せになってほしいが
終わっちゃうのも寂しいな・・・
429名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 02:03:39.77 0
>…そう、僕は人と関係を持つことを恐れていたんだ。
>特に自分から人に関係を求めるのが怖かったんだ。

ここ・・・ヤバイです・・・

なんか苦しいです・・・

ガキさああああああああああああああああああああああん
430名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 02:36:56.81 0
431名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 03:02:02.43 0
432名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 03:39:37.57 0
保全代わりってことで・・・

「でさぁ!マラソンのせいでハロモニ中止なんてありえなくない?」
「うん・・・」
「マラソンなんかより娘。映してほしいよねぇじゃないと一週間が始まらないっていうかさぁ」
「うん・・・」
「ちょっと!さっきからうんばっかで聞いてるの!?」
「あのさぁ新垣・・・ちょっと話あるんだけどさ」
「うぇ?あぁ・・・うん何?」
「いやぁ・・・まぁ言いにくいんだけどさ」
「なにぃ?アンタらしくもない」
「その・・・できたんだ。彼女。」
「えっ・・・そっそうなんだ。へーよかったじゃん誰?誰?」
「その・・・亀井。」
「亀ぇ!?あんたたちいつからそんな関係になったの!?」
「んーっと・・・昨日かな。告白されたんだ」
「・・・『男友達』・・・」
「ん?何それ?なんかの曲?」
「いや!何でもない何でも!それよりアンタ亀と付き合ってんだったらあたしなんかとお茶してる場合じゃないじゃん!」
「あぁ・・・一応話とこうと思ってさ」
「ほら!ここおごってあげるから早く行った行った!」
「うんじゃぁ・・・」
「仲良くしなよ!亀泣かせたら許さないからね!」
「ああ・・・ねぇ新垣」
「ん?何?」
「ありがと・・・な」
433名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 03:39:56.39 0
・・・・・・・・・・
いやぁ〜娘。のヲタやってるもんだねぇ!まさかおんなじ状況と出会えるなんてさ!
すごいよ!うんすごい!こんなのめったにないって!
「ううっ・・・うぇぇ・・・」
今だけ。今だけ泣いて終わりにしよう。二人が好きあってたの知ってたけど。入り込む隙なんてないってわかってたけど
多分これがあたしの初恋だから・・・かなわないのはわかってたけど、やっぱり失恋は悲しいものだから・・・
アイツだってあたしの気持ちなんて気づいてないんだから。明日さとられない為にも今だけ・・・今・・・だけ・・・
・・・・・・・・・・
「やっ!」
「ああ・・・亀井か」
「ああとは何よああとは!カ・レ・シ君♪」
「はいはい。」
「ぶぅー・・・何聞いてるの?キミが音楽聞くなんて珍しいじゃん」
「ちょっと久しぶりにこの曲聞きたくなってさ」
「いい曲・・・でもなんか悲しいね・・・」
「あぁ・・・この曲好きなんだ」
「なんて曲なの?」
「・・・『男友達』・・・」
434名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 03:55:44.03 0
荒んだガキさんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
435名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 04:19:30.68 O
>>432>>433
イイヨ イイヨー
今だけ・・って切ないね〜
436名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 05:23:06.74 O
437名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 07:05:09.44 O
ho
438名無し募集中:2006/02/23(木) 07:37:37.31 0
439名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 09:06:30.48 O
nn
440名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 10:37:50.46 0
441名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 12:46:29.17 O
442名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 12:47:16.59 0
443名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 14:41:22.84 0
444名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 15:56:37.50 0
保全
445名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 16:28:26.23 0
446名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 17:37:34.42 O
447名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 18:54:07.83 0
ho
448名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 19:35:13.24 0



449名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 20:28:37.74 0
450名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 21:26:08.10 0
451名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 21:52:07.79 0
452名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 22:13:11.59 0


453名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 22:38:19.15 0
454名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 22:58:16.48 0
455名無し募集中。。。:2006/02/23(木) 23:20:25.31 0
456193 ◆XafcAR9bVU :2006/02/24(金) 00:15:02.69 0
いけど、ググったら富良野にいるぽ
シーユートゥモロー
457名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 00:15:57.99 0
乙乙
458名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 01:09:37.18 0
おやほ
459ピーコ:2006/02/24(金) 01:12:05.92 O
>>456
菊地原よ酷使し過ぎてすまない
ゆっくり休んでくれ
460名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 01:41:34.78 O
菊地原さんのナイスなタイミングw
461名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 01:45:15.38 0
>>459
まあええことよ
462名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 01:57:58.31 0
>>456
作者よ、いっそのこと菊地原と名乗ってみては?w
463名無し募集中:2006/02/24(金) 02:26:54.52 0
うむ
464名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 03:05:47.64 0
465名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 03:21:45.10 O
避難所見てきた
泣いてまうわ・・・あれは
素晴らしい!
466名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 04:29:54.21 0
ガキエリ独占だお
467名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 04:37:19.39 O
阻止!そしてマサヲ君独占!!!
468名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 05:31:49.82 0
ho
469名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 05:52:12.58 0
ri
470名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 05:56:11.25 0
ken
471名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 07:03:11.11 O
荒川区金メダル保全
472名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 07:45:09.00 0
kinome
473名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 09:10:13.97 O
ni
474名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 12:09:21.67 0
ある男が、自分を愛している2人の女の中で
誰を恋人にするか長いこと考えていた。
そこで彼は2人に5000円ずつ渡し
彼女らがその金をどう使うか見ることにした。
一人目の女は、高価な服と高級な化粧品を買い、最高の美容院に行き、
自分を完璧に見せるためにその金を全て使って こう言った。
「絵里はあんたをとても愛しているの。
だから、あんたが町で一番の美人を恋人に持っていると
みんなに思ってほしいの」
二人目の女は、恋人になるかも知れないその男のために新しいスーツやシャツ、
自転車の整備用品を買って、 残らず使いきる と、こう言った。
「私にとってはあんたが一番大切な人なの。
だからお金は全部あんたのために使ったよ」
男は考え、2人のうち、おっぱいの大きい女を恋人にした。
475名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 12:50:37.97 0
5000円て・・・・・
476名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 13:56:26.00 0
477名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 15:26:05.55 0
478名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 16:16:53.36 0
479名無し募集中。。。:2006/02/24(金) 17:30:58.88 0
480名無し募集中:2006/02/24(金) 18:46:11.32 0
481名無し募集中。。。