もしも新垣さんと亀井さんに同時に告白されたら４

落ちてたから立てたよ

前スレ
もしも新垣さんと亀井さんに同時に告白されたら
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1136947503/
もしも新垣さんと亀井さんに同時に告白されたら２
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1137228055/
もしも新垣さんと亀井さんに同時に告白されたら３
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1137691691/

それでは作者さんよろしく

即3P

あとから参加した人のためにログうｐしとくよ
http://www.uploda.org/uporg292942.txt.html
受信パスはgakieri

[30]前ｽﾚ最初の者です<sage>
2006/01/14(土) 23:00:01.05 0



決まった時間、決まったバス、決まった席にいつものように座る
窓枠に肘を乗せなんと無しに外を眺める
駅に向かう反対車線は一向に動こうとしない
もう既に一仕事終えたかのようにくたびれた顔をしたサラリーマン
バックミラーを覗き込みアイラインをペンシルで整えるOL風の女性
イラついた表情で窓から顔を出し前方をにらみつける咥えタバコのおっさん
そんな顔がいくつも並んでいた
いつか俺もあんな感じになっちゃうのかね、嫌だ嫌だ
俺の吐くため息に合わせてバスの速度が落ち停留所に止まる
プシュー
扉が開いたので俺は姿勢は変えず目線だけを向ける
乗り込んでくる人達の中に新垣と亀井の姿があった
「おっ○○君、今日も冴えない顔してるねえ」
「うっせ、よけいなお世話だ」
「おはよー○○君、危なかったねえガキさん、間に合わないかと思ったよ」
「いや亀、あんたが家出るの遅いからだから、もー毎日毎日ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ・・・」
「あー隣り空いてるね、座っていーい？」
「っておい聞こうよ人の話を、いやむしろわたしも座りたいから」
見渡すとどうやら空いている席は俺の横しかないらしい

[31]前ｽﾚ最初の者です<sage>
2006/01/14(土) 23:01:00.43 0
>>30
「やー　絵里が座るう、そのほうが○○君も嬉しいよきっと」
「ちょっ勝手に決めるな、わたしも座りたいんだって
　誰のせいでバス停まで走らされたと思ってんの？」
「えー？じゃあ決めてもらおーよ」
「よし、そーしよ、ほれどっっちがいいのさあんたは？」
へっ何で俺？いや人見てんだけど勘弁してくれ
「いやっあの、えーと・・・」
「ねっ絵里でしょ？、ねぇねぇ？」
少し顔を傾けアヒル口の亀井
「なっ、あんたは黙ってて、わたしでしょ？そーでしょ？」
妙にニコニコいてる新垣
俺は仕方無しに二人の後ろにいたお婆さんに声をかける
「え、えと、あっお婆さんここどーぞ」
なんか声裏返った俺・・・orz
「あれ、すまんねえ、おじーさんここ」
うそ？2人だったんだ・・・
作り笑いで席を立つ俺は
「最近の若い子にしては珍しく良い子だのぉ」
そう声をかけられた

−−−−結局、俺を真中に3人並んでつり革に捕まり立っている
「うまく誤魔化したねぇ、まっお年寄に優しくするあんたはなかなかいい奴だ
　わたしが見込んだだけあるね、うんうん」
一人で納得して頷く新垣
「へへぇ、これでびょーどー、びょーどー、でも今度はちゃんと選んでよ、いい？」
相変わらずくにゃりと笑う亀井
いや、無理っす・・・選べないっす・・・
でもこの状況悪くないや

>>4-5は前ｽﾚ最初の者です氏のログ

193氏
前ｽﾚ最初の者です氏

ログ針とりあえず終了
この後の展開に期待age

落ちたのか・・・

193氏は今書いてるらしいからそのうち更新あるさ

乙

風呂行ってくる保

⊂二二二（　＾ω＾）二二つブーン

風呂から出た保

あたらしいのみっけ
楽しみに待ってるからねー

（　・ｅ・）＜保全なのだ

センター試験とかでスレ立って落ちたのかね…

新

>>1,7
乙です

前スレ(>>3）つづき
長いのでとりあえず書けたとこまで

＃＃＃

「おい、里沙、まだか？」
「うーん、もうちょっとー」

僕たちは渋谷のとある地下ショップに来ていた。
新垣の崇拝するアイドルグループの専門店だった。
新垣は写真のサンプルを前にしては食い入るようにそれを見つめ、
新商品のストラップを手にとってはうっとりと恍惚の表情を浮かべていた。
店に入ってからはずいぶんと長い時間が経過していて、僕は正直のところ飽きてきていた。
けれど、新垣の楽しげな様子を見ることができて、嬉しくもあった。

数十分後、ようやくのことで店から出た僕たちはこれからの予定について話し合う。
時刻は午後七時を回ったところ。
日はとうに落ちていたが、この街は暗闇を知らない。
むしろ昼間よりも今の時間帯のほうが、より歪なパワーが街から放たれているようだった。

「えっと、とりあえずどっかで飯食って、それから……ん？」

話している途中で新垣が僕の袖をぐいっと掴んで、とある方向を指差した。
俯いた顔は真っ赤に染まっていた。
その方向は―――ど、道玄坂。
若い男女がこの時間に道玄坂に行く用事っていったら―――ねぇ？
新垣と付き合いだして３ヶ月。
いつかこういう日がくると思っていたが、まさか向こうから積極的に誘ってくるとは。

よ、よし、いざ鎌倉！

覚悟を決めて歩き出そうとした僕だったが、むんず、と背後から首根っこを何者かに捕まれた。
自分の衣服に首を絞められ、僕はゲホゲホと咳き込んだ。

痛ってぇな、誰だよっ！

「…ねえ、どういうこと？」

振り返ると今にも死にそうなほど暗い顔をした亀井の姿があった。

「…昨日、絵里に言ってくれた言葉は嘘だったの？
　好きだよって、絵里のこと愛してるって言ってくれたじゃん」

そ、そんなこと言った覚えは―――ないとは言い切れなかった。
どうも記憶がおかしい。
いや、おかしいのは記憶ばかりではない。
ぷるぷると体を震わす亀井の背中から、突如バサッと翼のようなものが生えた。

「裏切ったな！絵里の気持ちを裏切ったんだ！」

ウオォォォォォオオオオ！

この世のものとは思えない凄まじい咆哮が闇夜に響く。
亀井はすでに人間と呼ぶことのできないモノに変化していた。
高層ビル群とほぼ同等の大きさに巨大化した、人のような形をしたケモノ。
その腕部が僕に向かってまっすぐ振り下ろされた。
僕はすんでのところでそれをかわした。
アスファルトに舗装された道路がまるで砂糖細工のようにもろく崩れた。
もし直撃を食らえばひとたまりもあるまい。

はっ、新垣は？

気がつくと側にいたはずの新垣が消えていた。
突如、僕の周りが影に包まれる。
僕はおそるおそる顔を上方に向けた。

いた。
真上にいた。
おそらく新垣だった、モノ。
怪物、怪獣、そんな言葉では足りない。
どこか異世界からやってきたようなその奇怪なフォルム。
逆光でほとんど黒く見える体の一部に、ぼぅっと光が宿り始めた。

「まゆげビィィィィィィィィム！」

雄たけびとともに放たれた怪光線は夜空を切り裂き、１０９ビルを直撃した。
ズゴゴゴゴゴと爆音を立てて崩れ落ちるアスファルト。
それは一直線に僕へと落下してきて―――

―――うわあぁぁぁぁああぁぁ！

――――――
―――
―

―――うー、お、重い。

うなされつつ、重たい瞼を開いた。
重たいのは瞼だけではない。
僕は首だけやや起こして自分の体を見る。
レイナが僕の胸の辺りにどっかりと座り込んでいた。

…お前のせいか。

毛を逆立てては怒りを露わにするレイナをなだめながら布団からおろして、
僕はベッドから身を起こした。
背中が汗でぐっしょり濡れている。

……夢、か。

なんてバカな夢をみてしまったんだろう。
おそらく人生でワースト３に入る。
ちなみにそのワースト３の夢はすべてここ一週間の間にみたものだ。
ようするに僕は最近、こんな夢ばかり見ているのだ。

僕は朝っぱらから自己嫌悪に陥った。

＃＃＃

僕が新垣、亀井の両名から告白を受けた日からすでに一週間が経とうとしていた。
新垣は相変わらず手紙のことに関して一切触れないし、
亀井とも、お互いやや意識してしまう部分はあるものの、ほぼ以前と同じ関係を保っている。
僕にしたって今朝のような夢を見るようになったことを除いては、相も変らぬ日々を過ごしていた。
いや、変化は少しある。
このところ僕は忙しい。

「あのさ、メニューのことなんだけど、今のままじゃちょっと普通すぎない？」
「うん、やっぱり雰囲気にあったメニューのがいいだろうね。
　あとでみんな集めて意見をもらおう」

「なぁ、暗幕の数ってこれで足りるかな？」
「実際の寸法測って計算してみて。じゃないと意外と失敗するから。
　あと一応、予備として余分にもらっといたほうがいいと思う」

「おーい、先生が予算のことで話があるから職員室に来いって」
「わかった、今、ちょうど手空いたから行くよ」

僕は文化祭のクラス展示のリーダーになってしまっていた。

こんな事になった原因を作った当の本人はというと―――。

「ね、ね、ほら、ネコミミー♪　かわいくない？
　うん、やっぱり絵里は猫娘がいいかなー。
　でもさ、雪女のクールな美しさも捨てがたいよねー。
　ね、どっちがいいと思う？」
「…どっちでもいいよ」

僕は呆れながら冷たい返事を返した。
さっぱりと仕事をせず、
ただネコミミをつけて遊んでいるだけのサブリーダーを尻目に教室のドアへ向かう。

「あ、どこ行くの？」
「職員室。先生呼んでるって」
「じゃ、絵里も行く♪」
「いいよ、別についてこなくて」
「だって絵里はサブリーダーですよ？」
「じゃあ仕事してください…」

僕の言葉は亀井には届いていないようで、
ルンルンと軽い足取りを弾ませて、僕より先に教室を飛び出した。

おい、猫耳つけっぱなしで行くのか…。

僕のリーダー就任劇はちょうど一週間前、
ちょうどあの衝撃の日と同じ日のことだった。
新垣から『昼休みも演劇の練習に充てることになったから、
しばらく屋上の昼食会はなし』という旨のメールを受け取ったことに端を発する。

以下、その際のやりとり。

「ふーん、ガキさん頑張ってるんだねぇ」
「好きだからねぇ、ああいうの」
「…ねぇ、絵里たちもやんない？」
「…何を？」
「文化祭」
「ヤダ」
「えー、なんで？」
「めんどい」
「やろーよー」
「やーだ」
「やろーってばぁ」
「やんないの」
「えーん、えーん」
「泣きマネしたってダメ」
「……チッ、ばれたか」
「バレバレです」

「……やっぱり絵里のお願いじゃだめなのかなぁ」
「…どういうこと」
「だって去年はガキさんの成すがままに脚本書いたじゃん」
「（うっ、今、亀井の口からその名前を出されると…）　あ、あれは新垣が強引に…」
「絵里じゃダメなんだね…グスッ」
「（……ん？……これも泣きマネ……だよな？）　だ、だから違くて…」
「違くないもん………ヒック」
「（……ひょっとして、ほんとに泣いてる？）　……あ、あの、えーと」
「………文化祭、やってくれる？」
「……………………はい」
「わーい♪」
「（………やっぱり泣きマネじゃねぇかっ！）」

ってな具合で、完敗だった。
亀井もずいぶんとやるようになったものだ、うん。
クラス展示を準備するグループもちょうどリーダー決めに難儀していたところだったらしいので、
僕のリーダー立候補は歓迎された。
亀井のサブリーダー立候補についてはあまり歓迎されなかったようだが。

企画の内容は以前と変わらず『喫茶店』。
亀井は１年生の時と同じように演劇をやりたいと言い出したのだが、
すでに実行委員会に『喫茶店』申請をしていたために変更することはできなかった。
だいたい演劇をやるにしては時間が足りなさ過ぎた。

ところが、そのまま喫茶店をやるんじゃ面白くないとサブリーダーが駄々をこね始めたから、さあ大変。
喫茶店という方針を保ったまま、それにプラスアルファを加えることを考えなければならなかった。
はじめ、昨今のオタクブームに乗っかってメイド喫茶をやろうという案があったのだが、
唯一メイドコスプレに興味津々だった亀井を除く女子陣からの猛反対をくらってお蔵入り。
で、メイド喫茶案が一周してたどり着いた結論が『冥土喫茶』だ。

読んで字の如し。
海外のどこかにお化け屋敷とレストランをいっしょくたにした店があるらしい。
僕たちはそれの喫茶店＋和風版をやろうというのだ。
冥土に猫娘とか雪女は関係ないんじゃないかとかそういうツッコミはなし。
お化け屋敷と喫茶店のコラボレーション、トリビュート、ミクスチャー…なんでもいいや。
はたしてそれが面白いかと問われると疑問符がつくが、高校の文化祭ノリなんてこんなもんでしょ。

>>18-26
とりあえず以上
書けたらまた来ます
ダメだったらまた明日

>>17-27
乙です

>>17-27
ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

作者さん乙です

もつです
まとめさいと作ってください

禿乙！！
２ちゃん史上もっとも好きな小説になっとります。

出来れば携帯用も…

作者さん、乙。
ないと思うが、昔ごまっとうの小説なんか書いてないよね？

ここにきて登場人物を増やしてはいかが？
俺の希望はあいぼん

初めてここ来ました〜。作者さん乙です。今までの話がかなり気になる

>>36
>>3

いいねぇ
最初もういきなりｶﾞｷさんと付き合い始めたのかと思い焦ったよｗ

携帯だから見れない

実に良いぞちくしょぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

くそっＰＣサイトビュアーでも見れない

ただ僕は太陽の下を歩きたかっただけなのに……作者さんが眩し過ぎて歩けない

ただ僕は太陽の下を歩きたかっただけなのに……作者さんが眩し過ぎて歩けない。作者さんあんた最高だ

昨日のハロモニ最高。
やばい。垣さん急上昇。

つか毎回急上昇だから
去年の秋くらいからのガキさんラッシュは凄い

☆ﾉ〃ヽ
ﾘd＾-＾）あなたは２時間待ったかもしれないけど、私はずっと待ってるんだぞっ・・・

あなたのプロポーズ

乙〜

ho

ze

n

妄想を文章にするって難しすぃな

⊂二二二（　＾ω＾）二二つブーン

ニィニィ

☆ﾉ〃ヽ
ﾘd＾-＾)亀！！

ガキさんを取ります

ほ

両手に花

ほ

ほ

帰宅保全

帰宅部保全

保全ですよ？

ホリエモン逮捕保全

今日は早め

>>18-26
つづき

>>64
ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

普段だったらこの時間になると、部活に行くなり、下校するなりで静かなはずの廊下も、
ここ一週間ばかりは様相が違う。
どの教室からもギャーギャーとはしゃぐ声が響く。
遠くのほうの教室からはディストーションの効いたエレキギターの音も聞こえた。
ちょっと前にヒットしたロックバンドの曲のギターフレーズ。
おそらく文化祭用に即席で作ったバンドの練習で、
お世辞にもあまり巧いとは言い難かったが、これもこの季節限定品。
すれ違う人は皆忙しそうに、でもどこかイキイキとした表情で足早に駆けていく。
まったく、どこもかしこも文化祭浮かれモードだ。
まあ、自分だって人のこと言えないけど、と苦笑する。

その中でも一際目立ってうるさい教室の前に差し掛かった。
新垣のクラスだった。
いったい何やってんだか、と思うやいなや教室の扉がガラガラと音を立てて開いた。
中から出てきたのは僕たちのよく知る人だった。

「うわっ、ガキさん、コスプレ？」
「…なんて格好してんだよ」
「ふっふっふっ、どうだ、羨ましいでしょ？　エコエコレンジャーグリーン参上、シャキーン！」

新垣が自慢げにポーズを取ってみせる。
蛍光色のグリーンが目に突き刺さるほど痛いその衣装を、決して羨ましいとは思わなかった。
が、本人が満足気なのでよしとしておこう。

「今ね、衣装合わせしてたんだよ。
　お？カメもネコミミつけてんじゃん」
「エヘヘ♪　どう、かわいくない？」
「うんうんうんうん、かわいいかわいい、うんうん」

新垣のテキトーな返事にも、亀井はニンマリと得意げに微笑んだ。
戦隊コスプレとネコミミが普通に話をしている。
通常であれば頭がクラクラするような光景だが、
それをも違和感無しに変えてしまうのが文化祭期間というものだ。
恐るべし、文化祭パワー。
一人おののいている僕に、新垣が話しかけた。

「聞いたよー、クラス展示のリーダーやってるんだって？」
「…ま、どういうわけかね」

僕はその元凶となった人をちらりと睨んだが、本人はまったく気づいていないようだった。
ずい、と前に出ては自分のことを指差して言った。

「絵里もサブリーダーなんだよ？」
「へー、ちゃんと仕事してるかぁ、カメ？」
「うん、もうバリバリ働いてますよ？」
「…ウソつけ」

一応聞こえるように言ったつもりだったが、
亀井はまるで気づかずに新垣と話を続けた。
どうもさっきから自分にとって都合の悪いことだけ、
意図的に無視されているような気がしてならない。

「あ、そうだ、ガキさん来週、誕生日だよね？」
「おー、カメ、覚えててくれたかぁ、うんうん、嬉しいよぉ。
　それに引きかえ―――」
「「忘れてましたね？」」

二人分の冷ややかな視線が僕に突き刺さる。
うっ。
僕は思わずたじろいでしまった。
が、すぐに体勢を立て直す。

「お、覚えてるよ。確か１０月の―――２０日？」
「何で疑問形なんだよー！…当たってるけどさぁ」
「でもさ、それって文化祭の２日前じゃん」
「そうなの、だからみんな絶対ドタバタしてるしさ、カメたちだって忙しいでしょ？」

僕と亀井はお互い見合わせて、うーん、と唸った。
確かにその頃は修羅場を迎えている頃だろう。
ゆっくりと誕生日を祝うことなどはおそらく不可能だ。
と、亀井が何か思いついたように手のひらをポンと叩いた。

「あっ、じゃあさ、文化祭の次の日って振り替えで休みじゃん？
　だからさ、その日にパーッとどっか行かない？
　文化祭の打ち上げでさ、ついでにガキさんの誕生日もお祝いしようよ？」
「えー、あたしついでなのー？」
「うん、決まり！よしっ、そうしよー♪」

亀井は一人で勝手に話を進めて一人で頷いていたが、
”ついで”扱いにされた新垣の様子もまんざらではないようだった。
僕は背中に冷や汗が垂れるのを感じずにはいられなかった。

…今、この３人で出かけるってのは、ちと危険じゃないか？

いや、新垣と亀井はお互いの事を知らないのだから問題ないんだろうけどさ。
はたして僕の心臓が耐えうるか、どうか。

そんな危惧をしている間にも、話はどんどん進められていく。

「ガキさん、どっかいきたいところある？」
「行きたいところかぁ…――――――あっ！ある！」
「え、どこ、どこ？」
「うーんとね―――って、アンタ聞いてる？さっきから飛んじゃってるけど」

新垣は僕を覗き込みながら、目の前で手をぶんぶん振ってみせた。

「…えっ？　あ、ああ……大丈夫、だと思う…多分」
「ほんとにー？疲れてるんじゃない？」

それもある。
文化祭準備に労力を割かれているのはもちろん、
あの連日の悪夢のせいで安眠を妨げられているのだから当然疲れてはいる。
ただ、僕が心配しているのは別のことで、新垣はそれを知る由もない。

「あ、なんか呼んでるっぽいよ」

新垣は僕の背後を指差した。
振り返るとダンボールを抱えたクラスメイトが僕の名前を叫んでいた。

「おーい、衣装のやつらがお前のこと探してたぞー」
「おう、分かった、…って今から職員室行かなきゃダメなんだよな。
　悪いけど、亀井、先戻って話し聞いといてくれる？
　先生と話し終わったらダッシュで戻るから」
「んー、分かった。じゃあねー、ガキさん♪　打ち上げ＆誕生日の話はまたあとで」
「おう、カメも頑張れよー♪」

お互い楽しげに手を振り合った。
まったく呑気なものだ。
僕の気苦労も知らないで。

そして、思う。
今はまだこの祭りの熱に覆われてるせいか感じにくくなってるけど。
僕らが３人でこうして過ごす、穏やかな時間は残り少ないのではないのだろうか。
一旦ひっくり返したら、もう二度と戻せない壊れた砂時計の世界に僕たちは存在している。
残された砂の量を考えるたびに、僕の胸が軋んだ。

「…アンタも行かなくていいの？」
「…え？……うん、ああ、そうだ、行かなきゃ。じゃあ、また」
「うん、じゃあ、またね」

歩き出した僕の背中に、新垣が、「ねぇ！」と声をかけた。
僕がくるりと振り返ると、新垣は少し躊躇いながら、言った。

「…やっぱりその方が似合ってるよ」
「え？」
「皆の先頭に立って仕切ってるアンタの方が、うん、ゼッタイ、いい。
　…文化祭、頑張ってね」
「…そっちもな」

それだけ言うと、新垣は教室の中へと戻っていった。

学校中に溢れるはしゃぐ声。
下手くそなギターのリフ。
そんな音の中に紛れて聞こえなくなっているけれど。
耳を澄ましてみれば、冷たい時計の針はチクタクと容赦なく時を刻んでいた。

>>66-71
以上

>>34
ビンゴ

>>72
乙です

もう読みました
最高でした

>>72
最高ですた！！

>>34
おまいすごいな

二人の映像が転がってる (*´Д｀)ﾎﾟﾜﾜ

ガキさん！朝っぱらからたくさん出ちゃうよ・・・
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1137973044/

作者さん、乙
やっぱりか・・・そんでもってまさか73氏じゃないよね？

ほ

>>77
その位の数字を名乗っていたような気がします
その節はごめんなさい
今はとりあえずここのネタでお楽しみ頂ければ幸いかと

こんだけのもん書かれちゃうと他の人書けないね
いやいい意味で

　 ┏┓　 ┏━━┓　　　　　　　　　　　　　 　 ┏┓┏┓┏┓┏┓　　　
┏┛┗┓┃ ■　┃┏━━━━━━━━┓┃┃┃┃┃┃┃┃　　./≡≡≡≡≡≡≡≡≡|
┣-　 -┫┃┏┓┃┗巛うヽ 巛と ＼.━━┛┃┃┃┃┃┃┃┃　　|┌─────┐ �J　|||
┗┓┏┛┗┛┃┃　　.＿ヽ_ ＼￣ヽ ＼　 　 ┣┫┣┫┣┫┣┫　　| | ホリエモン ..|　◎　|||
　 ┗┛　　　　.┗┛　 (｡A ｡　）　）＿ゝ　ﾉ＿__┗┛┗┛┗┛┗┛__　| | 　タイーホ　　|　　　||||
／／　 ／／　　　　　　∨￣∨ ⌒　 　／ 　／⌒ヽ　　　　　　　　　/| .| |　　　　　　　　 .| ||||||| |||
／　 ／／　／　　　　　　　＼　　　　　ｲ　.／　人　＼　　　　　　　//　|└───── ┘||||||| ||
　 ／／　／　　 //　　　　 |二ヽ　　　　 Y　　/二＼　＼ノ⌒i二ﾆ|/||　 ￣| |￣||￣￣￣￣| |￣||
／／　／　　　//　　// 　　| ■ヽ　ヽ　　　 ﾉ■■■ヽ　／■■ |||||　......|_|.:::::::::::::::::::::::::::::|_|:::::::::

今度は完結させてね
そしたら読むから

（月刊明星　9月号より）

ところでベリーズのみんなは男性性器のことなんて呼んでるの？

熊井　えー、普通におちんちんって呼んでますよ。
清水　私は弟がいるのでちんぽちゃんって
徳永　おっきな、おーっきな、ちんぽっぽ！
須藤　いちもつ・・・
嗣永　あのですねー、ペニスって言いますよ
夏焼　ちょ、ばかじゃないの！言えません！
菅谷　ぽこちん

ほ

おぉ、こっそり読ませてもらってますがやはり73氏でしたか。
やはり作者の雰囲気って別作品でもわかるものですなぁ・・・

マイケルはどこだマイケルは

>>3
狼でパスとか阿呆じゃねーか

>>88
阿呆はお前だｗｗｗｗ

ニモ靴は(ry

ho

ri

ko

si

no

⊂二二二（　＾ω＾）二二つブーン

>>3が無いんだけど

新

垣

里

沙

か

わ

う

そ

え

亀

）　ｿ　　　　,.　　　　.'　　／＾＾⌒＾へ
´)　(　）ｿ　　　.'　　,.　 /　（0＼）》）ノ)　 アンドロギャース！
　).'　　)　)丶　．　　 ξミ　 ￣　⌒∞＼　
丿　.　ｿ(　.　　'　彳ゞ:》　　|＼＿＿＿＿）
　(:　'))　,.　.':　ゞ》ソ/　　　|　∨VVVV∨
（　　　ﾉ.　,　彳》ゞ/　　　　| 　；・ｅ・）＜中の人などいないのだ！
　　.'/|　.'.）　ゞ》ゞ/　　　　 ＼/VVVVV)　
　／/.'; 　　:　彳ｼ　　　　＼　￣￣￣／
（　' ヽゞゞゞゞｿξ　　　＼　⌒＼　　.|　⌒＼
　ヽ　　´⌒⌒　入（　　ソ `ＶＶＶ　　ﾉ）`ＶＶＶ
　).'＼　　　　　（　　 ノーー-、＿／ーー-、
　　　 ｀ーー-（　　　　　(＼＼＼　　 (＼＼＼

おちる

亀〜を

いるいる

かめかめかめかめかめ

帰宅ほ

帰宅部ほ

ho

ｒi

池

巧です！

今から書くんだけど、ガキさんがドッキリかなんかされて
子供に「泣っかしってない」って言ったハロモニっていつのだっけ？

見たのは覚えてるけど日付まではわかんないや
ｺﾞﾒｿ

だいぶ前だな

豆にあがってながったっけそれ

作者さん乙です

俺にもこんな文才があればなあ

>>118
2005/05/29　どっきり心理テスト

>>124
GJ！

ho

>>124
ナイスピッチン！

ze

夕食保全

スポフェスで新垣のモームス脱退希望署名集めます
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1138107536/

なんだよ
ガキさんの脱衣希望署名かと思って超応援しようと思ったのに

作者さん書き続けてるのか…
乙です

>>124
せっかく教えてもらったけどそのネタは明日にまわします、スマソ

>>66-71
つづき

＃＃＃

「わー、富士山だー♪」
「ホントだー♪」
「………」

「へー、フリーパスに顔写真入るんだねぇ♪」
「ね、ガキさん、変顔で撮ろうよー♪」
「………」

文化祭が終わるまでの日々はまるでビデオの早回しを見てるかのようで、あっという間に時が過ぎた。
『冥土喫茶』はその奇抜なアイデアのおかげで、賛否両論あったものの、まずますの人気を博した。
ちなみに猫娘か雪女で迷っていた亀井には、白装束で幸薄げに佇む役回りを与えた。
ほとんど仕事をしなかった罰のつもりだったが、その不気味さが人気獲得に一役買ったので、
最後の最後にしてようやくサブリーダーの責務を果たしたともいえるだろう。
途中、合間を見て亀井と抜け出し、新垣のクラスの演劇を観にいった。
張り切っていただけあって、演劇はなかなかの出来だったが、
どうも「僕に脚本を書かせればもう少し面白くなるのに」などと考えてしまい、
少しもどかしい気持ちになった。
もし去年のように３人が同じクラスだったら、僕と亀井もあのステージの上に立っていたかもしれない。
いや、たぶんきっとそうなることだろう。
そんな眩しげな空想を重ねながら、僕はステージを見つめていた。

と、そんな風にして祭りの季節は過ぎ去り、早回しのビデオがようやく通常再生に戻った今、
僕の目の前に広がる風景はというと。

日本一の山。
富士山。

新垣が文化祭の打ち上げ＆自らの誕生日祝いに選んだのは、そんなのが見える場所だった。

「…で、なんで遊園地に来てるのに」
「…いきなりスケート？」

慣れないスケート靴の紐を結びながら僕と亀井は口を揃えた。
すでに準備万端、やる気マンマンな”新垣さん”は、さも当然というように言った。

「やっぱ聖地巡礼はさ、ちゃんと順番どおりに回らないと」

なんでも新垣がDVDに録画しつつ毎週欠かさず見ているという、
某アイドルグループのTV番組でこのテーマパークが企画に使われたらしい。
そういった”ゆかりの地”を訪れることを聖地巡礼というらしいのだが、
そんな専門用語は僕の今後の人生において、およそ役に立たないことだろうと思った。

おぼつかない足取りでリンクに足を踏み入れてから数十分。
僕は徐々にコツをつかみ、ある程度スムーズに滑れるようになっていた。
対照的におばあちゃんのように腰を曲げて、ノロノロとしか進めない亀井。

「…おかしいなー、絵里、運動神経いいはずなんだけど」

言い訳がましくいう亀井を見るに見かねて、僕はさりげなくその横に並んだ。
さすがに手をとるのは躊躇われたので、手首の辺りを軽く握る。

「…あ、ありがと」

それでも伏し目がちに亀井が言うものだから、僕も意識せざるを得なかった。
今日、３人でここに来ることが決まったときから、
あの告白のことは一旦忘れようと心に決めたはずなのに。

いやいや、今のは違う。
せっかくこんな遠くまで来たんだから、
亀井にも存分に楽しんでもらいたいという気持ち一心の行動だ。
他意はないさ。なあ？
と自分に言い聞かせていると、どこからか奇声が近づいてきた。

「うあっ！うおっ！おっ！とぉ！」

声の主は新垣だった。
まるで円を描くような奇妙な滑り方。
上手い人がやればスムーズに前へ移動するのかもしれないが、
新垣の場合、刃を内側に向けては前方へ、外側に向けては後方へと倒れそうになり、
そのバランスを取るたびに口からは珍妙な声が発せられていた。

その姿があまりに滑稽で、つい見とれてしまったのがいけなかった。
新垣は僕と亀井の方向に直進してきていて、気がついたときにはすでに避けられる距離ではなかった。
結局僕たちは３人仲良く、もんどりうって転倒した。
起き上がるのも面倒で、青い空を眺めながら訊いた。

「…その滑り方は一体？」
「…ん？　ああ、”ひょうたん”っていうらしいんだけど、結構難しいねー」
「…それもTVでやってたんだ」
「うん、あと氷上ボーリングもやらなきゃなんだけど、どうも無いっぽいんだよね」

…そんなもんあるか。

めいっぱいスケートを楽しんだ（？）僕らは、
テーブルの真ん中にパンフレットを広げながら昼食をとった。

「よし、次はコレだね」

新垣が指差したのは園内で最大級のジェットコースター。
完成当時は世界最大に認定されギネスブックにも紹介されたほどで、
名前くらいは僕も聞いたことがある。

「えっ、コレ乗るの？ホントに？本気で？―――ぜったい無理っ！
　コレ以外だったら何でも大丈夫だから、コレだけは許してください！」

亀井はまるで命乞いをするかのような勢いで懇願した。
新垣は眉間に皺を寄せて、しかめっ面を浮かべたが、
亀井の凄まじいほどの拒否反応に押されて、渋々ながらも代替案を示した。

「…じゃコレは？」
「え…、う、うーん…それもダメ…」
「はぁー！？アンタ、さっき”コレ以外だったら何でも大丈夫”って言ったばっかでしょーがっ！」
「…やっぱりダメ」

新垣が次に提案したのは、
ウォークスルー型ホラーハウスのギネス記録をもつお化け屋敷だった。
文化祭では脅かす側だったのに、脅かされる側はどうやら大の苦手なようだ。
しかしながら新垣のツッコミも、至極その通りである。

新垣は「じゃあさー」と半ばキレ気味に、声を荒げて訊いた。

「…カメ、どれならいいの？」
「うーんとね、コレ」

亀井の指が示したアトラクション名。

『　とっとこハム太郎　フワフワお空の大冒険　』

僕は思わず椅子から滑り落ちそうになった。

そ、それはお子様がお乗りになるもので、
僕らのようなオーバーセブンティーンが足を踏み入れるのは場違いというものなのでは。

こんなヌルい乗り物はきっと”新垣さん”もお許しにはならないだろうと様子を伺ってみたところ、
意外や意外、新垣は「ふむふむ、なるほどー」と頷いていた。

「ハム太郎にはミニモニ。がお世話になったからねぇ。
　ハロモニ。の順番通りに回れなくなるのはちょっとだけど…。
　うん、いいよ、行こう！」

……もう好きにして。

>>134-138
以上です
スケートリンクは実際10/29からみたいだけど、この物語はフィクションです
あしからず

更新乙です！
修羅場もそろそろか…？

乙です
ハム太郎ﾜﾛﾀｗ

ここに来てやっと新垣がモーヲタということが判明した訳ですね！

作者さんが誰ヲタなのか気になるよ
普通に新亀ヲタ？

普通に読んでたんだが>>142を見て初めて気づいたｗ
ガキさんはやっぱりモーヲタになっちゃうんだなｗ

ﾌﾟｰﾙスレの校舎と新垣ヲタばれとかいろいろいりまじった感じの小説だな

こういうスレって作者マンセーがデフォなの？

そりゃ読みたい人が集まってるから作者さんには感謝するだろ

ﾏﾝｾっていうか作者がいてこそだしなぁ

仲良きことは美しき哉

面白いとは思うんだけどさ作者さん書き方うまいし
ただﾌﾟｰﾙｽﾚとか新垣里沙と送る〜とか思い浮かんでくる流れなんだもん
告白って言う設定があるから縛られるけどなんか違ったものも期待したいんだよ
てか駄目だしとかはしないのおまえら？

>>142>>144
夢の中でハロショに行ってたから知ってるんじゃ？
生徒会の時にもポスター貼ったりしてたし

⊂二二二（　＾ω＾）二二つブーン

そのﾌﾟｰﾙｽﾚとか知らないし
普通に楽しんでるよ

なんか言いたいなら雰囲気壊さないように考えて言えば問題ないんじゃないの

ﾌﾟｰﾙじゃないけど
もしも新垣がヲタバレを恐れる女子高生だったら�V
http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/zurui/1118971385/

（〜＾◇＾）オイラはプールとか良くわかんないから保全する

ガキさんみたいなモーヲタが友達にいる
ことを想像してオナニーした

作者さん乙です

乙〜

通勤保全

同時にじゃなくていいから告白されたい(´・ω・`)

>>154
いいかげんそのスレ落としてくれんかのう・・・・・はずいから＠某作者

>>162
ちょｗｗｗｗ>>154に続編書いてよ！！

ほ

>>161
友よ！

>>161
同志よ！

さむくない？

>>166
俺が温めてあげるよ

いや！ここは拙者が温めてしんぜよう

⊂二二二（　＾ω＾）二二つブーン

仲間の多いスレですね

>>171
いいスレだろ？

>>151
＞夢の中でハロショに行ってたから知ってるんじゃ？
確かハロショとは言ってなかったような…

＞生徒会の時にもポスター貼ったりしてたし
ジャニかも知れませんよね

>>172
なんか心強いスレだ

>>174
みんな良い人達じゃけんの〜
ゆっくりしてってや〜

小説以上におまえらのやり取りに萌えてきた

>>176
みんな仲間だから

期待上げ

ttp://cgi.linkclub.or.jp/~wave8hz/source/source/lovelove5095.jpg

新亀新亀！！
(ﾉ´∀｀*)

空気を読んで独占

阻止

>>146ってか>>読んでくれてる人
何かあるなら遠慮せずに言ってもらって構いません
考える材料になるし、可能な限りは対応します
不可能であればゴメンナサイを言います
ただあんまり批評的な目で読まれても困るけど
基本楽しく書いてるんで、楽しく気楽に読んでもらえるのが一番かなと
それが健全なネタスレの姿だと思うし
って狼に健全性を求めるのもアレだな

で、>>150のご指摘だけど、その通りだなと頷ける部分も多々ありました
その点に関しては自分の力量不足だと思います
あまりにも根本的な問題で、現時点からでは修正不可能なのでこのまま続けさせていただきますが、
次にもしも何か書く機会があれば大いに参考にさせていただきます

以上、超マジレス

カイノス通りからやって来たお前らはみんなきれいだな

>>142,144
一応>>151のように解釈していただけると幸い
ちょっと分かりづらかったかも、スマソ

>>173
モーヲタじゃないガキさんなどガキさんじゃないやい

>>183
楽しく読んでますよ
乙です

つづき読みたいもん

べつに続けるなとか言ってないし

>>187-188
日本語勉強汁

キモーター

>>185
それでいいのか。安心した
何となくだが作者はガキさん寄りな気がするのだが、どうよ？

保全代わり

>>143
キッズも含めた超生粋DD
ただこういうネタスレ書いてるときはそれに出てくる人が気にはなります

もしも新垣さんと亀井さんに同時に乳首をチョンってされたら

>>193
オート射精しますね

>>193
俺の心を代弁してくれてありがとう

>>193
んなもん突付き返すに決まってんじゃん
そんで>>194

そうだな仕返しは大事だ
ガキさんとえりりんの乳首をチョンんｍんｍｋんｊｋｌんせｒｊｋｂふぁせｇふじこあｗｄｆｊｋｂはうぇｄｆｗ！！！

左の乳首を突かれたら、右の乳首を差し出せるような人間になりたい

>>134-138
つづき

続きｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!!!

ちっちゃなお子様たちの群れに混じった、でっかい３人のお子様。
僕たちのその姿は、”とっとこワールド”において確実に浮いていた。
しかし、そのうち２人の大きなお子様のはしゃぎっぷりといったら、
そこら辺のお子様には引けをとらない見事なものだった。
ゴンドラから見える景色にやんややんやと騒ぎたて、
スカイサイクルに乗っては競争してるかのようにペダルを踏みしめ、
船型の乗り物では、さほど大きな揺れでは無いのにギャーギャーと悲鳴を上げた。
小さな観覧車に乗っているときの、
リアルお子様から浴びせられた冷ややかな視線をきっと僕は忘れないだろう。
結局、僕たちは”とっとこ系”を全て制覇するに至った。

ひと段落ついたところで、新垣が満面の笑みで亀井の肩をポンと叩いた。

「よし、じゃあ、そろそろアレに乗ろうか、カメちゃん♪」

アレが指すものとは、亀井が絶対的な拒否を示したジェットコースター。

「アー、アー、聞こえなーい」

耳に手をやっては、ずいぶんとベタな誤魔化し方をする亀井。

…今日、僕はこのやりとりをあと何回、目の当たりにするのだろうか。
そんなことを考えてしまい、少し途方に暮れた。

「やだやだばっかりじゃ大人になれないぞ！」
「いいっ！絵里、子供のままでいいっ！」
「んもぅ〜、そんなこと言ってー―――…って、え？」

新垣は何かに言葉を遮られて、自分の右腕に視線を下ろした。
その先には新垣の服の裾をギュッと掴む男の子の姿があった。

「…この子、誰？」
「……さぁ」

僕と亀井は揃って首をひねる。
男の子は「…おかあさーん」と言って、新垣のお腹に顔をうずめた。
新垣はぐっと膝を曲げてしゃがみこんで、目線を男の子と同じ高さに合わせた。

「…あのね、わたしはお母さんじゃないよ？」
「…え、だれ？」
「誰って…新垣ですけど」
「ニイガキ…？おかあさんじゃないの…？　うわ〜んっ！！！」

突然、堰を切ったように泣き出した男の子。
さきほどから新垣にいじめられていた亀井は、ここぞとばかりに反撃を試みた。

「泣ーかした、泣ーかした♪
　ガキさん泣っかした、いーけないんだー♪」
「泣っかしってないっ！！」

亀井に囃し立てられて、焦りの色を隠せない新垣は、ごそごそとバックの中を探った。
取り出したのは小さな袋に包まれたキャンディーだった。

「ほら、キャンディー、食べる？」

男の子は涙を拭う手の隙間からチラッと新垣の顔を伺い、
おそるおそる手を出してキャンディーを受け取った。

「ニイガキ……ありがと」
「あのー、呼び捨てはやめてもらえるかな？」

男の子は新垣のことがすっかり気に入ったようで、
迷子センターに連れて行ってからも、ギュッと握った手を離そうとしなかった。
新垣は「もぅー、仕方ないなぁ」と少し困ったように笑って、
その小さな手を握り返した。
僕たちは男の子の両親が来るまで一緒に待っててあげることに決めた。

「ねー、ニイガキ、どうぶつのものまねやってよー」
「はぁ、動物？」
「うん！どうぶっつ、どうぶっつ♪」
「えー、困ったなぁ…うー、わんわん♪　ワンワンワワンワンワン♪」

追い詰められた新垣が繰り出した渾身の犬の物まね。
が、どうやら男の子には不評だったようで、
期待の込められていた眼差しは、みるみるうちに蔑むものへと変化していった。

「あの…、醒めないでもらえるかなぁ…」

ガックリと肩を落とす新垣の姿を見て、僕と亀井は声を上げて笑った。

そんなこんなをしている間に、やがて男の子の両親が迎えに来た。
頑なに結ばれていた手もするりと解けて、両親の元へ駆け寄る男の子。
やはり親子の絆の前には、
出会ってから一時間足らずのほのかな友情など敵いもしない。

「バイバーイ、ニイガキー」と手を振る男の子に、
手を振り返す新垣の背中もどこか寂しげ―――などと思った僕が甘かった。
男の子が見えなくなった途端に、くるりと振り返った新垣の目には怪しい光が宿っていた。

「よーし、カメ　「いーやーだ！」

さしもの亀井の反応もなかなかだった。
新垣が言い終えないうちに、すかさずNO！を突きつける。

僕はその亀井の姿に中学時代の自分を重ねた。
学校の表舞台に立つのを嫌がる僕と、それを強引に勧誘し続ける新垣。
だとすると勝負の結果は見えている。
中学時代も後半になると、ほぼ新垣に誘われるがままに僕は動いた。
断ることが無駄だと悟ったからだ。
それくらい新垣の勧誘から逃れることは無理難題であり、とても亀井に勝ちは望めない。

―――が、ちょっと待てよ、と僕は腕時計に目を落とした。

「…あの、ナイスファイトに水を差すようで悪いんだけどさ、意外と時間ないよ。
　どっちも乗るまで結構並ばなきゃいけないし、帰りのバスの時間もあるから」
「え〜！そんなぁ〜！」

新垣の顔にみるみるうちに落胆の色が広がる。
反対に、亀井は助かったといわんばかりに安堵の表情を浮かべた。
しかし、僕は亀井にとって非情の通告もしなければならない。

「えーと、どっちか一つだけならいけると思うけど」
「…いらないよ、そんな余計な情報」

案の定、落ち込む亀井。
それを聞いた新垣は亀井に妥協案を申し出た。

「ね、一個だけだったらカメも大丈夫でしょ？」
「うーん、まあ、一個だけならいい……かなぁ…」

今、ここに『新亀和親条約』が結ばれた。
結局どちらかのアトラクションには行かなければならないので、
亀井にとっては不利な条約といえるだろう。
しかし当の亀井も、もはやどっちかに行かなければ帰れないだろうと悟ったらしい。
表情に諦めにも似た悲壮な覚悟を伺わせた。

トラックバック:http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/zurui/1118971385/

次に発生する問題は、どちらのアトラクションへ行くかという選択。

「うあー、どっちに行けばいいんだろー！決めらんないよぉー！」

とは、どっちにも行きたい新垣さん。

「…いいよ、もう、どっちでも」

と、やや自暴自棄の亀井さん。

やがてその問題の矛先は傍聴人を気取っていた僕に向けられた。

「アンタが」
「キミが」

二人分の視線を一身に受けて、少したじろいだ。

「「決めて」」

―――こうして全ての判断は僕に委ねられた。

「うーん、じゃあ―――――

――――――――

―――――

―――

―

>>200-206
以上

で、前スレで話題に上がってた通り、このネタをマルチエンドとしました
そしてここをターニングポイントとします
選択肢は２つ

FUJIYAMAに乗るか、超戦慄迷宮へ行くか

その選択を読んでくださっている皆さんにして頂こうと思います

明日は来れないので、27日の午後６時までに投票の多かった方を先に書きます
どのみちどっちも書くつもりではいるけど、こういうのも面白いかなと

一応、今日からこのスレ見始めた人用に過去ログをもしもろだにあげておきました
ttp://f57.aaa.livedoor.jp/~moshimo/upload.php

では、ご協力お願いします

乙で〜す
FUJIYAMAｷﾎﾞﾝﾇ

超戦慄迷宮

FUJIWARAで

乙〜

FUJIYAMAが先のほうがいいかなぁ

正直作者のすきに書けばいいでね？

作者さんが選んでくれって言ってんだから
読者が選べばいいんじゃないのか
俺はFUJIWARAが先みたい

読めればどっちでもいいよ
先のわかったモノだし

悩んだあげく主人公が自殺してほしい

俺は超戦慄迷宮がいいな

どちらを選ぶのか悩んで結果を出す展開のほうが見たかった
先の見えた話は正直萎える
まあ文章力があるから見てて面白くはあるが

先の見えた話って…　アトラクション決めるだけじゃん
どっちとくっつくとか別にいってないし

>>213
ルミネにでも行け

作者乙
超戦慄迷宮で

適当に上のコピペしたら間違ってた　orz

マルチエンドって言ってるじゃん

　

亀＜けんにーあたしと付き合って♪
新＜けんにー私と付き合って（はぁと）
(け´д｀*)＜俄然強めで絵里♪

乙〜

先の展開楽しみ乙
超戦慄迷宮を

超戦慄迷宮！

作者さん乙です
毎回あなたの文才には驚かされます

（　・ｅ・）　

☆ﾉハヽ
ﾉﾉ*＾ｰ＾)

保

亀

垣

里

理

カイノス通りからやってきたお前らはみんなきれいだな

（・ｅ・）

☆ﾉ〃ヽ
ﾘd＾-＾)

（　・e・）＜ほ

>>239
ガキさんありがとう

>>239
ガキさんありがとう！
君は英雄だ！

ﾉﾉ*＾ｰ＾)

ze

期待上げ

ここにいる人たちは新亀が一、二推しってのが多いのかな？
自分は>>207さんと一緒で超ＤＤだけど

俺はDNA

俺はDHA

俺はDHC

俺はDVD

俺はDQN

保存

俺は６期＋ガキさんヲタだよ
ＤＤだけど

俺は新亀愛ヲタ
このスレに愛ちゃん加わったら5回は萌え死んでるとこだな
今3回だけど

俺は新垣塾＋ミキティヲタだよ
ＤＤだけど

俺は愛垣推しのDD51

パンストここにもくるのかｗ

俺はガキさん１推し
亀は今は５番目ぐらい

>>252
おまおれ

>>252と>>254は同一人物だろｗ

>>255
多分初めて来た

今日は作者さん来ないんだったっけ
あの人の終わったら誰か書くのかな

亀を助けにスレって落ちたの？
すれ違いだったらスマソ、気になって

落ちたよ
いちおう第一部完だったし次ｽﾚに職人は来なかったみたい

そっかサンクス
900くらいまではチェックしてたんだけどね
つか次スレてｗ

最後グダグダだったけどねｗ

ほ

もしも新垣と亀井に左右から同時に頬ﾁｭｰされたら

勃起する

>>267
やべええええええええええええええええええええええええ

それは大問題ですぞおおおお大オオ大尾おおおお

ハァ…ハァ…！

>>267
これもまたオート射精ですね

>>267
そんなもんﾁｭ-し返すだろ二人に
そんで>>272

流れを無視するｗ

作者さん、乙です
迷宮に一票

期待上げ

　

ho

はひふへ保全

ze

んーーー

kitaiage

通学保全

☆ﾉ〃ヽ
ﾘd＾-＾)新垣さぁ〜ん

ho

保守

（　・e・）

保

もしも新垣と亀井に左右のB地区を同時にちょんされたら

やり返す
(ﾉ´∀｀*)つ

ほ

選択に付き合っていただいた方、どもでした
戦慄迷宮コースから書きます

おー！作者さん☆
今日も楽しみに待ってましたぜ

ho

ze

ｎ

ほ

２月デジタルブックスは高橋
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1138364518/

1 名前：名無し募集中。。。[] 投稿日：2006/01/27(金) 21:21:58.18 0
あれ？えりりんは？

http://www.helloproject.com/topic.html
★「ハロー!プロジェクトデジタルブックス」2006年２月は高橋愛の登場！

01 0411 松浦亜弥
02 0412 高橋愛
03 0501 後藤真希
04 0502 矢口真里
05 0503 紺野あさ美
06 0504 石川梨華
07 0505 藤本美貴
08 0506 道重さゆみ
09 0507 田中れいな
10 0508 辻希美・加護亜依
11 0509 新垣里沙
12 0510 石川梨華
13 0511 後藤真希
14 0512 中澤裕子＆柴田あゆみ
15 0601 Berryz工房

8 名前：名無し募集中。。。[] 投稿日：2006/01/27(金) 21:27:07.57 0
本体メンで出てないのは小川吉澤亀井だな

ワンダー３決定おめ

保全

ほ

>>200-206
つづき（戦慄迷宮選択編）

＃＃＃

お化け屋敷ですっかり驚き疲れてしまった亀井は、窓にもたれかかって眠っていた。
その隣に座る新垣も、目を閉じてはうつらうつらと首を揺らしている。
お化け屋敷ではビビりまくる亀井を叱咤激励しつつ、手を引っ張って先導し続けた。
その気苦労を考えると、疲労はひょっとしたら亀井よりも上かもしれない。
他の乗客も、はじめは遊園地での出来事を肴にぺちゃくちゃとお喋りを続けていたが、
やはり一日遊びまわった疲れが残っているようで、その声は次第に小さくなっていった。
だから、今、バスの中に響くのは淡々としたエンジン音のみ。
新垣、亀井の座る席と通路を挟んで反対側の席に座る僕は、どうも眠ることができずにいた。
仕方なしに、文庫本のページをパラパラと捲る。
と、エンジン音にまぎれて、小さく呼びかける声が聞こえた。

「…ねぇ」
「あ、起きたの？」
「うん…」

まだ眠たげな目を擦りながら、新垣は伸びを一つした。
そして闇に染まった車窓をちらりと見やる。

「今、どこら辺？」
「もうちょいで相模湖だって」
「ふーん」

自分から聞いておきながら、あまり興味なさげな返事だった。
ただ会話のきっかけが欲しかっただけなのかもしれない。

「今日、楽しかったね」
「…うん、まあ、亀井のビビりっぷりには参ったけど」
「ホントだよー。カメったら人がせっかく一緒に行こうね、って手繋いでんのにさ、
　いざお化け出てきたら、ビューって一人で逃げちゃうんだもん」
「あれって一人で逃げたほうが怖いと思うんだけど」
「それが分かんないのがカメなんだよ」
「…『お化けは触らない約束になってるから大丈夫』ってのもよく分からない話だけど」
「え、だって、そういう約束でしょ？」

いつ、いったい誰とそんな約束を交わしたのか気になったが、
新垣が、さも当然というように言ったので、あまり深く追求しないことにした。

「でもさ、ほんとに怖かったんだろうね、だって、ほら」

言いながら、新垣が亀井のことを指差した。
苦悶の表情を浮かべては、う゛〜ん、とうなされている亀井の姿がそこにあった。
ひょっとして夢の中でもお化けに追いかけられているのではないだろうか。
新垣が「お〜い、カメー、もう大丈夫だぞー♪」と顔の前で手を振っても、
その表情が安らぐことはなく、僕と新垣は見合わせて苦笑いを浮かべた。

それから僕たちは文化祭の話をした。
演劇はあそこをもっとこうしたほうがいいとか、喫茶店の亀井のキャラが良かったとか。
バスの走行音にかき消されないように、
けれど周りの乗客の迷惑にならないように、うまくボリュームを調節しながら話し続けた。
話は去年の文化祭、さらには中学時代の思い出話まで遡った。

「生徒会室でさ、CDのボリューム限界まで上げようって挑戦したことあったじゃん」
「ああ、やってたね。くだらねー」
「で、限界に行く前に先生が怒鳴り込んできて」
「あん時はさすがに怒られたなー」
「あーあ、聞きたかったなーフルボリュームの恋ダン。
　あれね、ちゃんと意味があったんだよ。恋ダンの中にね…」
「えーと、恋ダンって言いますと？」
「もぉ、『恋のダンスサイト』だよー、知ってるでしょ？」
「ああ、なんとなく聞いたことは…」
「で、その歌詞の中にね、『フルボリュームで、ウッ、ハッ、ウッ、ハッ♪』って歌詞があんの。
　だからその部分を文字通りフルボリュームで聞いてやろうって」
「……………………へー、そうなんだぁ」
「…何、その微妙な間は？　今、バカにしたなぁ？」
「いえ、別に」
「うー、怪しいなぁ……でもさ、楽しかったよね、生徒会」

そう言われて、思い浮かぶのはあの乱雑した生徒会室。
四方をアイドルのポスターに囲まれたあの部屋。
はじめは居心地が悪かったが、いったん慣れてしまえば、学校中で一番落ち着ける場所となった。
生徒会長の新垣がアイドルソングの振りコピをしていて、
副会長の僕がその傍らで本を読んで―――僕たちだけじゃない。
編み物が好きだった書記はせっせとマフラーなんかを編んでたり、
アニメが好きだった会計はガンダムのプラモを棚に飾っては悦に入ったり。
でも別に遊んでるだけじゃなくて、行事がある時なんかは皆でまとまってテキパキ仕事をこなしたし、
テスト前には、誰が言い出したわけでもなく、自然と集まっては勉強会が開かれていた。

あの生徒会にいた人間は、いろいろなものが『合って』いたのだと思う。
呼吸だとか、リズムだとか、温度だとか、そういうの。

夜遅くまで残って仕事をしていた時には先生から差し入れなんかもらったりして、
たまには皆で一緒に帰って、生徒会のくせに買い食いなんかして帰って。
ああいう状態を表す言葉は―――たぶん、これしかないんだろうな。
ちょっとありきたりだけど。

「…うん、楽しかった」
「あ、今、『楽しかった』って言ったね？言いましたね？」

せっかく人が思い出に浸りながら純粋な気持ちで返事をしたにも関わらず、
新垣は『その言葉を待ってました』と言わんばかりの陰謀に満ちた笑みを浮かべた。

…どうも嫌な予感がする。

「よし、じゃあ決まり！」
「…何のこと」
「いやー、今、生徒会の改選時期じゃん。
　頼まれちゃったんだよねー、現生徒会のコからさ、『中学校の時、生徒会長やってたんでしょ？』って。
　はじめは断ってたんだけどね、どうしても立候補者が足りないらしくてさ、じゃあ仕方ないなーって感じで。
　で、あと一人分役職が空いてるっていうからさ、アンタの名前言っておいた」
「…相変わらず、手の早いことで」

呆れはしたが、驚きはしなかった。
僕の意思を確認する前に、とりあえず周囲に『僕がやりたいと言っている』と嘘の情報を言いふらして、
外堀を埋めるのは新垣の常套手段だ。
そんなのはもはや慣れっこ。
ただちょっと久しぶりだったから、ほんの少しだけ戸惑いはあった。
去年の文化祭で脚本を押し付けられた以来だろうか。

「詳しいことは学校で話すから、ヨロシクー」

してやったりという表情の新垣。
僕はその顔をまじまじと見つめ返す。
聞きたいことが、あった。

「あのさ―――」

言いかけて、止まった。

ん？と問いかけるような新垣のキョトンとした表情。

その向こう側。



苦悶の表情でう゛ーう゛ー、うなされている亀井の姿が僕の瞳に映ったからだ。



僕は、言いかけた言葉を飲み込んだ。

「…いや、やっぱいいや」
「………そう？　じゃあ、もう一回寝ようかな、おやすみー…」

聞こうと思った。
僕を生徒会に誘ったこととあの手紙は関係があるのか。
いや、今回だけではない。
中学の時の生徒会だってそうだし、クラス委員、卒アル委員、修学旅行委員―――etc
どうしてそんなに僕を引っ張り出そうとするのか。
そしてあんな手紙を出していながら、どうしてそんな平静を装えるのか。

でも聞けなかった。
今の僕たちは触れたら崩れてしまう砂の城のようなものだ。
むざむざ自分で突付いて壊す必要はない。
いや、その勇気がない。
いつか波がさらっていくのを僕はじっと待っている。

胸にうずまく複雑な感情を乗せて、バスはハイウェイを走り続けた。

>>302-308
以上です

ｵﾂｶﾚｰｼｮﾝです

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

何じゃこりゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

生徒会か・・・青春だな・・・

続きが気になって眠れません

生徒会とか俺は無縁だったな
こんなこととかあったのかな

・ｅ・）＜お〜ま〜えなら〜い〜け〜るさ〜とむ〜　だ〜れ〜よ〜りもと〜お〜くへ〜

ここで中学時代生徒会長だったオイラが一言

当時中学のアイドルだった副会長の女の子から恋の相談を受けた
オイラも好きだったのに副会長の事が・・・

>>317
そんなのよくある話だ
俺なんかその昔クラスの不真面目連中の２トップだったのに
クラス一のかわいい真面目っ娘に告白されて２ヵ月後フラれたぞ

>>318
告られてんだからそれじゃ慰めになってねーよｗ

すまん
別に慰めてるつもりはなかった

ほ

ぜ

む

作者さん乙です
中学時代のことを上手く絡めてあっておもしろいです
生徒会のことでさらに近づくのかor距離が生まれちゃうのか・・・？



ドキドキフォォォォォォォォォォォォォォォォォ〜

俺にはこんな青春なかったなぁ

俺は代表委員の子と二人で夜遅くまで学校に残って・・・






なにも出来なかったorz

ho

ze

そんじゃあ横アリ行ってきます

横アリクイに気をつけてな

ほ

ぜぇ

む

す

る

よ

ん

き

ガキさん可愛がった保全

>>339
横アリいったの？

裏山保全

行ってきました
亀ちゃんとガキさんの絡みはなかったなぁorz

じゃあ同時に告白もされなかったのか

俺も横アリ行ったよ
５期ではダントツでガキさんが輝いてたな

もしも俺が新垣さんと亀井さんに同時に告白したら

そういう角の立つこと言わないの

>>334
ガキさんの髪型の詳細をレポよろ

>>347のレスアンカー>>344な

>>347-348
あんまり髪型とか気にしてなかったｽﾏｿ
コンサ初参戦だったんだよ

亀井さんのことも思い出してください

>>302-308
つづき
今日予定してたとこまで書けそうもないので、とりあえず書けたとこまで

作者さん乙です
俺の頭の中でガキさんの存在が大きくなっている件について

ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!!!

＃＃＃

「…おい、話が違うじゃないか」

目の前に張り出された模造紙を見ながら僕は言った。

「…あれー、おっかしいなー」

新垣は僕と同じ目線のまま、しきりに首を捻った。

公示された生徒会選挙の立候補者一覧。
そこには役職名が列挙されていて、その横に一人分ずつ名前が示されていた。
すなわちこれは信任投票ということ。
よっぽど不信任票を集め無い限り落選することなどありえない。
しかし、ある役職だけは立候補者の欄に名前が二つ記載されていた。
それは僕が立候補させられた『生徒会　会計』の欄だった。

「…ごめん、なんか情報の食い違いがあったみたい」

申し訳なさそうに言う新垣に、僕はため息で答えた。
このままいくと、会計以外の役職は全て信任投票。
唯一会計の役職のみ、通常の選挙を行うことになる。
それははっきりいって、正直面倒くさい。

「いいや、立候補取り消してくる。別に誰かと争ってまでなりたいものでもないし」

…アイツに譲るってのもちょっとシャクだけど。

アイツとは今のところ、僕の対立候補者である人物。
その名前にあまりいい噂は聞いたことがなかった。
付き合ってる女の名前が週単位で変わるようなヤツ。
ようするに、軽い性格。ひたすら、軽い。
今回だってどうせ目立ちたい一心で立候補したようなもので、
おおよそ『学校生活をより充実したものにしたい！』、
などという立派な精神は持ち合わせていないだろう。
まあ、そんなもの僕も持ってないけれど。

「逃げるのはダメ！」

職員室に足を向けた僕の腕を、がしっと新垣が掴んだ。
強い眼差しで僕の目を射抜く。

「やるって決めたら最後までやる！」
「…そうはいってもなぁ、選挙運動自体面倒だし、だいたい応援弁士だって誰に頼むんだ？」

僕たちの学校では選挙活動を行うに当たって一立候補者につき一人、
応援弁士というものを立てなければならない。
応援弁士とはいわば推薦人のようなもので、一緒に選挙運動を行ったり、
選挙日に行われる立会い演説会では、
立候補者に先駆けて自ら応援演説を行わなければならない。
信任投票ではこれが不要だと聞いていたのだが、通常選挙を行うとなると話が違ってくる。
しかし応援弁士は通常、上級生に頼むのが一般的だが、
部活動をやっていない僕はそういった繋がりを一切持っていなかった。

「やるっ！」
「おわっ、亀井、いつからそこに……って、え？」

突如、僕たちの背後から現れた亀井は右手をぴんと伸ばして、
ニコニコと気味の悪い笑みを浮かべながら自分の事を指差していた。

「えーと、『やる』っていいますと？」
「絵里、応援弁士やるっ！」
「その気持ちはありがたいけど、応援弁士ってのは普通、上級生に頼むものであって…」

僕の言葉を「いや、そうとも限らないよ」と新垣が遮った。

「去年だって同学年の人を弁士にしてるの見たことあるし。
　…それに、ほら、カメだってこんなにやる気あるみたいだし」

挙げっぱなしの右手をブンブンと振りつつ、顔をぐいぐい寄せてくる亀井。
どうやら自分の事を必死でアピールしているようだった。
少々うざったいその顔を遠ざけながらも、僕はその勢いに押されるように頷いた。

「…うん、まあ、じゃあ、いっか、ヨロシク」
「フッフッフッ、絵里に任せとけば大丈夫ですよ？
　大船に乗った気分でいてください♪」

…大船、ねえ。
僕は首を捻らざるをえなかった。

「よーし、明日の日本は絵里たちが創るぞー」
「…別に日本の政治にまで口を出そうとは思っちゃいないけど」
「むー、じゃあ、平和な学園生活は絵里たちが守る！」
「…それもなんか違う」
「んー、じゃ、じゃあ、とにかく頑張るぞー、エイエイ、オー♪」
「……………」
「返事は？」
「…………おー」

…。

脱力しきった返事で、僕たちの選挙活動は幕を開けた。

>>354-357
以上です

ｵﾂｶﾚｰｼｮﾝです

乙

何だか思いがけない展開と言うか・・・。
作者乙です。

乙！！！！！！！！

作者さん乙です！
これから混戦しそうな・・・楽しみフォォォぉぉぉぉぉ

先が読めない楽しみ乙

うむ

ニィニィ

クネクネ

ho

ze

やっと先々週のハロモニ。見終わった
超戦慄迷宮爆笑

n

ho

目の錯覚かと思ったら本当に餌付けしてるよ

http://hello.uh-oh.jp/cgi-bin/aaa/img/hell24582.jpg

新亀新亀！！

ほ

http://cgi.linkclub.or.jp/~wave8hz/source/source/lovelove5115.jpg

産んでくれ

　　　　　|||||||||||||||||||||||||
　 　　　||||||||||||||||||||||||||||| 　　　糞スレ
　　　　 |||||||||||||||||||||||||||||||　　　　　　　　　(｀ヽ 　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　　 |||||　￣　　￣　||||||||　　　　　　　　　 `ヽ＼　　　　　　　　──┐　|　　|　
　　　　 |||||　 ι　　　　 ||||||　　　　　､i,,　　　　　 )　）　　　　　　　　　　/　　|　　|
　　　　 |||||　 ＿　　　　 |||||||,l､.i,,.;:"'　　ﾞ`´ｰ,"､ノ /、　　∬　　　　　 ノ　　　　ノ　　┐
　　　　 |||||　￣￣　　　 |||||ｒ ﾉ:!　　　　　　　　　　 ﾞ　ヽ　　・〜　　　　　　　ヽヽ　　 .┴
　　　　　||/　　　　　　／|||||::::ヽ　　　　　/　　　　,ｲ　 ﾞi　　　　　　　　　──┐　|　　|　
　　　 　／　　　　 ／|||||||||／　　　　　　（　　　　ノ,;(`;､ﾉ　∬　　〜∞　　　　/　　|　　|　
　　　（＿＿＿_／||||||||||||　　ﾞi-､＿,v-ｰヽ、　く ；;ﾞ､;;;';） 　　　　　　　　　　ノ 　　　　ノ　　┐
　　　　　　　　"´　　　　 |　　|　　　　　　　ヽ、　）．;!':;'ﾉ　　∫　　　　　　　　　　　ヽヽ　　┴
　　　　　　　　　　　　 ,ノ　 ﾉ　　　　　　　 __ﾉ　ﾉ,;:（;,:;(　∬　　　　　　　　　　──┐　|　　|　　|　　|
　　　　　　　　　　　 (＿_,ノ　　　　　　　 (＿,ノ´,;";:・':;'ﾞ`ヾ　　　　　　　　　　　　　/ .　|　　|　　|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ;"''∵　' :"‘　　　　　　　　　　 ノ　　　　ノ　　　 ノ

食べたい

今から今日のハロモニ見るお^^

ho

ri

>>354-357
とりあえず書けたとこまで

＃＃＃

僕は再び慌しい日々の渦中に放り込まれていた。
まったく文化祭が終わったばかりだというのに、心の休まる暇もない。
しかし文化祭と違う点もあった。
それはクラス展示ではただ僕の周りで遊んでいただけの亀井が、
今回の選挙運動においては自ら率先して活動を行っていることだ。
僕は最小限の活動をして、受かれば万歳、落ちたら落ちたでいいや、ぐらいの意気込みだったのだが、
気がついてみると、朝、昼、放課後ときっちり一日三回、公衆の面前に連れ出されていた。
だから僕は今日も今日とてこんな朝っぱらから、
間の抜けたタスキをかけさせられて校門の前に突っ立っているわけだ。

「よろしくお願いしまぁーーーすっ！」

僕とおそろいのタスキをかけた亀井は、登校してくる生徒にチラシを配りながら声を張り上げる。

「この度、生徒会会計に立候補しましたぁーーっ！」

その姿といったら一年前の文化祭とはまるで大違いだ。
あの時の亀井といったら、本番が目前だというのに、突然僕たちの前から姿を消してしまったのだ。
結局、舞台袖のロッカーの中に隠れていたのを僕が見つけたのだが、
そうまでして逃げ出すほど、人前に出ることが嫌いだった。
その極端な嫌がり方をみて、僕はようやく自分のキャスティングミスを認めたのだった。

―――ん、そういえばあの時、どうやって亀井をステージに上げたんだっけ？

その時のことを思い出そうとしていると、
いまやその当時の面影もない亀井が僕の肩を叩いた。

「ほらぁ、キミも物まねの一つや二つやって盛り上げてよぉ！
　『私、へこたれへんっ！』とか言って、再起を懸けて熱弁を振るったりしてさ」
「…あれはボタンで床が開いて落ちるっていう仕掛けがあるから笑えるのであって、
　素人が軽々しく手を出すと痛い目に合うよ、きっと」
「つべこべ言わずに、ほらぁ！」

背中をドンと押されて、よろけながら前に出る。
無謀な物まねはせずに、僕は無難な挨拶でその場を凌いだ。

…ほんとに、何をこんなに張り切ってるんだか。

やや呆れながら、そんなことを思った。

しかしいまや、僕たちの選挙はちょっとした注目を浴びていた。
亀井の積極的な選挙運動に触発された対立候補者が、
持ち前の目立ちたがり屋精神を発揮してしまったからである。
女子から人気のあるサッカー部の先輩に応援弁士を頼み、
亀井に負けじとポスター、チラシ、校内放送など派手な選挙活動をおっぱじめた。
そうなると、はじめは生徒会選挙なんて微塵も興味を持っていなかった一般生徒も、
野次馬根性で事の成り行きを見守り始めた。
いってしまえば退屈な学校生活の、ちょっとした余興。
僕たちはサーカスのピエロみたいなものだ。

―――でも、たとえピエロだとしても。

連日声を張っていたせいか、亀井の声が少し掠れているのに僕は気づいた。
もう１０月も末だというのに、額にはうっすらと汗が滲んでいる。

―――ここまで必死に応援されたら、それを無視するわけにはいかないっしょ。

僕は亀井からチラシを奪い取ると、およそ自分らしくもない大声を張り上げた。

>>384-386
また夜来ます

乙です

お疲れ様です！
一日でよくこんなに文章が書けるなぁと毎回

頑張ってください

今も夜じゃん

乙です

ZZです

須永１軍へ“モー”アピール
ttp://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jan/o20040116_60.htm
幼なじみ亀井に応援来てもらいたい
　１軍入りへ“モー”アピールだ！　日本ハムのドラフト２巡目ルーキー・須永英輝投手（１８）は１６日、
新人合同自主トレで順調な調整ぶりを披露。“ご近所さん”の人気アイドルグループ
「モーニング娘。」のメンバー・亀井絵里（１５）に観戦にきてもらうために、早期の１軍昇格を狙う。

　３歳年下の亀井とは、自宅が近所で東京・荒川区の同じ小学校出身。
人気絶頂となった今でも須永の両親が営む大衆割烹（かっぽう）店によく訪れており、

　　「つい１か月くらい前にも店に来ましたよ」という。
　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　プロの世界に飛びこんだからには、登板試合を観戦してもらいたいのが本音。
「見に来てもらう？　いやいや、無理ですよ」とキャンプは２軍スタートで、
大それたことは言えないと須永は照れ笑いを浮かべたが、プロの水にも徐々に慣れ
「ここまではすごい順調に来ています」と笑顔のルーキー。
１軍で活躍し、トップアイドルに雄姿を見せるその日まで、地道に努力を重ねていく。

　にーちゃん　恥ずかしいよ〜
　　　Ｖ
☆ﾉハヽノハヽ
ﾉﾉ*＾ｰ（　　　 ）　＜　絵里も大きくなったな〜
　　（つ　　と)
　　 (⌒⊃ /
　　（＿）＿）

　　　　　　 ノハヽ
　 　　　　（´Д｀* ） ＜　えりりんの幼なじみ、日本ハム・ファイターズの須永をよろしく
　 ☆ﾉハヽ　と__,　ヽ 　　　　
　 ﾉﾉ*＾ｰ＾)∩(⌒⊃) )) ｶｸｶｸ
　　(二ヽ -"＿,ﾉ(＿つ

fazzでつ

ho

ze

期待あげぇ

>>384-386
つづき

＃＃＃

選挙投票日、前日の夜。
立会演説会を翌日に控えた僕はいつもより早めに風呂に入った。
体調を整えるために今日は早めに寝ようという、
僕らしくもない殊勝な考えによるものだった。
風呂から上がって自室に戻ると、引っかき傷でボロボロになったクッションが目に入った。
ベッドで丸くなっているレイナは悪びれたそぶりもなく、無垢な瞳で僕を見つめていた。

「オマエなぁ、これで何回目だよ？　リビングにおいてある爪とぎはいったい何のためなんだ？」

知らん、と言いたげにレイナは僕から瞳をプイと反らした。

「ああ、そう。　そういう態度とるわけ。
　じゃあ、むこう一週間、この部屋を出入り禁止とするぞ」

すればー、と言いたげにレイナは瞳を閉じて、丸まっていた体をいっそう丸めた。

「…一週間と一日に伸ばそうか？」

そう問いかけた時、机の上に置いてあった携帯が震えた。
突然の振動にびっくりして飛び起きたレイナは、震源を脅えた目で見つめた。
僕はその姿をみて、内心、ざまあみろ、と思った。

携帯のディスプレイには僕の応援弁士の名前が表示されていた。

「　もしもし、何？　」
≪　あ、ごめんね、遅くに。　今、何してた？　≫
「　ん？　…ちょっと、説教　」

ちらりとレイナのほうを見やると、自分に危害はないと判断したのか、またベッドの上で丸くなっていた。

≪　説教？　≫
「　ほら、前に猫飼ってるっていったでしょ、そいつがクッションめちゃくちゃにしてさ　」
≪　あー、なんて名前だっけ？　うーんと、えーと、…あ、レイナだ！
　　へー、一回見てみたいなぁ　≫
「　生意気なヤツだよ？　…それに亀井とはあんまり相性が良くない気がする　」
≪　えー、なんでよー？　≫
「　いや、なんとなく、そんな気がする　」

そして、その根拠のない予感は多分当たっていると思った。

「　で、何か用だった？　」
≪　あっ、そうそう。　今日もらった原稿なんだけどさ、
　　読めない漢字があって、教えてもらおっかなーって　≫

明日の立会い演説会に向けて、亀井の応援演説の原稿を僕が書いた。
大まかな内容を亀井が喋って、僕がそれを演説用の文章に書き直す形でそれは作成された。
自分を褒める文章を自分で書くというのは気恥ずかしい作業だったが、
亀井に任せておくといったい何を喋りだすか分かったものではない。
僕は亀井に『礎』という漢字の読み方を教えた。
こんなの漢字辞書を引いて調べればいいのに、と思ったけど、
どうやら電話のメインの内容はそれとは違うようだった。

≪　うー、明日なんだよね…、演説会　≫
「　あ、ひょっとして緊張してる？　」
≪　…うん、ちょっと　≫
「　去年の文化祭みたく直前になって隠れたりすんなよ？　」
≪　もうそんなことしませんー！
　　絵里は去年までの絵里とは違いますよ？　≫

口では強がっていたが、それでも少し震えた声は、
いつもの能天気な状態の亀井絵里でないことを僕に知らせていた。
だから僕たちはこの一週間の選挙活動の話をした。
3年生の教室に特攻をかけた事とか、昼休みに校内放送を使ってゲリラ演説をしたこととか。
とりあえずやるだけのことはやったということを確認させてあげたかった。
それらのすべては、僕の力なんかではなく、亀井の力で成し遂げたんだ、と。
一通り話し終えた後、少しの間をおいてから、亀井がしみじみと言った。

≪　でも、楽しかったなぁ…　≫

「　何が？　」と僕が尋ねると亀井は≪　選挙運動　≫と答えた。
「　あんまり楽しむようなものじゃないと思うけど　」と僕が言っても、
亀井は≪　ううん、楽しかったの　≫と言い切った。
まあ本人がそういうのなら、そういうことにしておこうと思った。
しかし、次に亀井の口から出てきた言葉は僕の心を揺さぶるのに十分なものだった。



≪　少しはガキさんに追いつけたかなぁ…　≫

僕は自分の耳を疑った。
が、亀井は確かに"ガキさん"という名前を出した。
それは紛れも無い事実。
脳内に溢れ出した様々な思考に、僕の頭は一瞬パニックになりかけた。

「　ど、どうしてそこで新垣の名前が出てくるの？　」

思わずうわずった声など気にしていられないほど、僕は動揺しきっていた。

≪　…だってガキさんは中学校の頃からキミのこと知ってるんだよ？
　　なのに絵里は高校入ってからで、ちゃんと話せるようになってからは一年しか経ってなくて。
　　…ずるいよ、そんなの　≫

僕は何も言えなかった。
ただ、体の内側からカァーッと熱のようなものが広がっていくのだけを感じた。

≪　…え、絵里は何言ってるんだろう？　ご、ごめんね。
　　じゃ、あ、明日頑張ろう！　…う、うん、じゃあね　≫

一方的に切られた電話。
僕は熱くなった体を落ち着けるように、溜めていた息を一気に吐き出した。

ようやく分かった。
亀井がなぜ文化祭のクラス展示に参加しようなどと言い出したのか。
なぜ応援弁士なんていう面倒なものを引き受けたのか。

亀井は気づいていたんだ。
新垣の僕に対する想いに。
本人から直接聞いたのだろうか。
いや、それはやはり可能性が薄い気がする。
僕と新垣との何気ないやりとりから、同じ女同士、何か感じるものがあったのかもしれない。
とにかく亀井は知っていた。

そして、亀井はきっと悔しかったのだろう。
一緒に居た時間、思い出が新垣と比べてずっと少ないことが。
だから文化祭に僕を引っ張り出して、選挙だって僕以上に張り切ってみせたのだ。
僕だって亀井だって、本来は面倒なことに自分から首を突っ込むタイプではないはずだ。
そんな彼女を突き動かしていたのは、嫉妬心と呼ぶには―――あまりに健気で純粋な想いだった。

だからこそ。
僕は思った。
今回の亀井の行動には大きな矛盾があることを本人は気づいているのだろうか。
もし気づきながらやっていたのだとしたら。

瞳を閉じてみる。
瞼の裏に見えるのは、校門前で声を枯らしながら懸命に僕の名前を叫ぶ亀井の姿。

その姿が、今はとても哀しげに映った。

>>400-404
以上です

乙です

えりりんせつねー…

乙です
なんか切ないな

えりりんとれいなの相性が悪いのにﾜﾛﾀ

お疲れ様です
とりあえずセツナイ・・・ハァ〜

せつなさ２００％。
ココロヲドル

乙です

たしかに矛盾してるな
えりりんは気付いてなさそうだよな、って言うか気付いてたらあまりに切な過ぎる・・・

☆ﾉ〃ヽ
ﾘd*´-`)これで少しはガキさんに追いつけたかな・・・

☆ﾉ〃ヽ
ﾘd*´-`)これで少しはガキさんに追いつけたかな・・・

感動した…
決めたよ絶対にこのスレ落とさない

これなんてイチゴ10（ｒｙ

>>415
あんなのと一緒にするな!!

てかマヂこのスレ立てて良かった・・・

せつない・・
当選したらその先の学校生活には・・
乙です！ほんと乙です！

>>418
落ちたら落ちたで「キマズイ」わけで
って言うかここは選択が別れてないんだな

保全

この作者さんの他の作品も読んでみたい
この話が終わってからでいいから教えてくれ

乙〜

ログ読んでやっとこのスレに到着保

ニィニィ

通学ほ

ほ

店に突然ガキさんか亀ちゃんが遊びに来ないかな保全

ho

麺ヲタの発狂を忘れないでほしい

須永１軍へ“モー”アピール
ttp://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jan/o20040116_60.htm
幼なじみ亀井に応援来てもらいたい
　１軍入りへ“モー”アピールだ！　日本ハムのドラフト２巡目ルーキー・須永英輝投手（１８）は１６日、
新人合同自主トレで順調な調整ぶりを披露。“ご近所さん”の人気アイドルグループ
「モーニング娘。」のメンバー・亀井絵里（１５）に観戦にきてもらうために、早期の１軍昇格を狙う。

　３歳年下の亀井とは、自宅が近所で東京・荒川区の同じ小学校出身。
人気絶頂となった今でも須永の両親が営む大衆割烹（かっぽう）店によく訪れており、

　　「つい１か月くらい前にも店に来ましたよ」という。
　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　プロの世界に飛びこんだからには、登板試合を観戦してもらいたいのが本音。
「見に来てもらう？　いやいや、無理ですよ」とキャンプは２軍スタートで、
大それたことは言えないと須永は照れ笑いを浮かべたが、プロの水にも徐々に慣れ
「ここまではすごい順調に来ています」と笑顔のルーキー。
１軍で活躍し、トップアイドルに雄姿を見せるその日まで、地道に努力を重ねていく。

　にーちゃん　恥ずかしいよ〜
　　　Ｖ
☆ﾉハヽノハヽ
ﾉﾉ*＾ｰ（　　　 ）　＜　絵里も大きくなったな〜
　　（つ　　と)
　　 (⌒⊃ /
　　（＿）＿）

　　　　　　 ノハヽ
　 　　　　（´Д｀* ） ＜　えりりんの幼なじみ、日本ハム・ファイターズの須永をよろしく
　 ☆ﾉハヽ　と__,　ヽ 　　　　
　 ﾉﾉ*＾ｰ＾)∩(⌒⊃) )) ｶｸｶｸ
　　(二ヽ -"＿,ﾉ(＿つ

まじで幼なじみ？

結構ご飯食べに言ってるらしい

高橋由−小野寺
結婚オメ☆

なんかスレ数多い

もし当選したらえりりんも生徒会室に入り浸りそうな予感

今読み返してみたけどやっぱ切ない・・・


でも切ないの好きなんだよな〜自分

この４スレしか読んでないけどかなりセツネーＧＯＯＤです

今から全部よんできます

ほ

ちょ、お前らえりりんがそんな事に気付いてる訳ないだろｗｗｗｗｗ
えりりんの頭の悪さを舐めるなよ

ze

n

>>439
それならそれでｶﾜｲｿｽ

fo

ze

星砂の島のエリリンが黒すぎるので保

ho

娘。ドキュ
保全

>>400-404
つづき

＃＃＃

――――――
―――
―

――――――ねえっ！」

呼びかける声に顔を上げると、王子の衣装を身にまとった新垣の姿があった。
”マメ王子”だけに、全身グリーンで固められたその衣装を見るたび、
僕はこみ上げてくる笑いを必死に抑えるのだった。

「ん？　ああ、何？」
「『何？』じゃないよぉ！　亀井ちゃんがいないの！」
「ああ、そう、亀井さんが……って、ええ！？　だってあともうちょいで本番じゃん！」
「だーかーらぁ、今みんなで手分けして探してるから、ほら、アンタも行くっ！」
「そうはいっても、もう顔にドーラン塗っちゃったし、この姿で校舎をうろつくのは…」
「ガタガタ言わないっ！わたしだって、この衣装で探しに行くの！」

結局、僕は馬の被り物に合わせるために真っ茶色に塗りたくった顔と、
これまた真っ茶色のタイツ素材でできた衣装のまま、校舎の中を探し回ることとなった。
しかしながら、亀井さんと話すようになったのは演劇の練習を一緒にやるようになってから。
それも”話す”というよりは、僕と新垣のやりとりを見て時折笑顔を覗かせるぐらいで、
話しと呼べるような話しはほとんど聞いたことがなかった。
だから亀井さんが行きそうなところなど、僕には皆目見当もつかない。
闇雲に探し回ってみても当然見つかることはなかった。

時刻はすでに開演予定時間、目前。
これはいよいよ謝るしかない、と思った。
主演不在のため演劇はできません、ごめんなさい、と。
嫌がる亀井さんを主演に指名したのはこの僕なのだから、責任は僕がとるべきだ。

その覚悟はできていたし、別に公衆の面前で頭を下げるのがまっぴら、というわけではなかった。
しかし、それでも僕の中に、どこか引っかかるものがあるのも事実だった。
確かに亀井さんは「ムリ」とか「ダメ」とかネガティブな発言を繰り返していたけども。

…僕や新垣と一緒に練習しているときは、結構いい笑顔見せてたような気がしたんだけどなぁ。

それも僕の思い違いに過ぎなかったのだろう。

僕は一足先に亀井さんの捜索に見切りをつけて、舞台袖へと戻ってきた。
クラスメイトは総出で捜索を続行中らしく、そこには僕以外に誰もいなかった。
開演予定の時間まであとちょうど一分。

６０…５９…５８…

僕はカウントダウンを始めた。
一分して何の吉報もなければ、このままステージに上がって頭を下げることを決めて。

４８…４７…４６…

うーん、何て言おうかな。
やはりここは素直にゴメンナサイが一番か。
僕はすでに諦めモードで、頭の中は謝ることで一杯だった。

３７…３６…３５…

何か代わりに一発芸でもやろうか。
…って、そんなの持ってないしなぁ。

２３…２２…２１…

それより心配なのが亀井さんだ。
こんな騒ぎを起こしてしまってはクラス中から非難の声が上がるのは必至だろう。
…ひょっとして学校に来なくなる、なんてことはないよな。
もしそんなことになったら僕の責任は計り知れないものになる。

１５…１４…１３…

今日のとこはもういいや。
もういいから、せめて胸を張って僕たちの前に出てきてほしい。

９……８……７……

だって亀井さんは、嫌がりながらも、練習に関しては誰よりも必死にやっていた。
それは他でもない、僕が認める。僕が見ていた。
だから、胸を張って。

３……２……１……　――――――ガタッ！

０を数えるのとその音が鳴るのは同時だった。
怪しげな物音が聞こえたのは体育用具がしまってある小さなロッカーからだった。

…まさか、な。

僕はダメ元でロッカーの戸におそるおそる手をかけた。
キィーッという金属音と共に開いたその戸の向こう。

蒼白した顔。
脅えた瞳が僕を見つめていた。

―
―――
――――――

　―――生徒会会計、立候補者演説。
　立候補者とその弁士は壇上に上がってください　≫

僕の事だと気づくのに少し時間が必要だった。

そうだ、今は立会演説会の真っ最中なのだ。
そんな大事な時に、僕はなんであの時の事なんか思い出していたのだろう。
…いや、こんな時、だからなのかもしれない。

前日に行われたリハーサル通り、立候補者の前を応援弁士が先に歩く。
そのため、亀井の表情を伺うことができなかった。
今日一日、特に変わったところはないように思えた。
演説会が始まる前の新垣の激励に対しても、
「ダイジョーブ、絵里に任せておいてくださいよぉ♪」なんてヘラヘラ笑っていた。
ただ、後ろから見るその亀井の足取りが、やけにしっかりしているのが少し気になった。
何か、悲壮な覚悟すら感じさせる後姿だった。

壇上に上がると数百もの顔が僕たちを眺めていた。
その顔のほとんどに退屈そうな瞳が張り付いている。
別に誰が生徒会の会計になろうが、自分には関係の無いことだと考えているのだ。
興味があるとしても、それはゴシップ的な話題提供を期待するくらいのもの。
そしてそれは多分正しい。
誰が生徒会になろうが、学校生活がガラリと変わるわけではないのだから。

けれど。
僕は握った拳をさらに固く握り締めた。

…何も知らないくせに。
どんな気持ちで亀井が今、壇上に上がっているのか知らないくせに。

…そして、僕だってそんなことは分からないんだ。
どうするのが亀井にとって本当に良いことなのか、僕には分からない。

迷ったままのやり切れない感情と、容赦なく浴びせられる無機質な視線に、
僕は苛立ちを隠せなかった。

打ち合わせの通り、演壇の前に並んで、合わせて一礼をする。
先に弁士が応援演説を行ってから、
その紹介を受けて立候補者が演説を行う手はずになっていた。
亀井が一歩前に出て、演壇の上に置いてあったマイクを掴んだ。

≪　私が、応援弁士の亀井絵里です　≫

淀みの無い、凛々しい声。
いつもの亀井の喋り方とは正反対で、僕は内心驚いていた。

≪　私が彼を生徒会会計に相応しいと考えた理由は３つあります　≫

…ん？
渡した原稿はそんな文章だったろうか、と僕は首を傾げた。
もう少し違う切り出し方だったような気がする。

その謎はすぐに解けた。
亀井が読むはずの原稿は、演壇の上に折りたたまれたまま置いてあった。

亀井は今、自分の言葉で喋っているんだ。

≪　一つ目は彼がリーダーシップに優れているということです。
　　絵里は一年生の時から彼と同じクラスだったんですけど、
　　文化祭のクラス展示では二年連続で皆の先頭に立って、クラスをまとめていました。
　　ここだけの話、ホントは本人、あんまし乗り気じゃないんですけどぉ、
　　周りの人に頼まれると、仕方ないなー、って頑張っちゃうんです♪　≫

途端に普段の喋り方が見え隠れし、ボロが出始めた演説。
異変に気づいた生徒たちの間で、わずかなざわめきが起こり始めた。
僕はその雑音に惑わされないように、ただ静かに亀井の言葉に耳を傾けていた。

≪　二つ目は人の事をよく見ているということです。
　　決して、表面上だけじゃなくて、その人が本当はどんな人なのかなーっってちゃんと見てる。
　　……絵里も、彼に新しい自分を見つけてもらいました♪　≫

後ろからでも、エヘヘ、と笑みを浮かべる亀井の表情が見えた気がした。

≪　そして、三つ目は………　≫

そこで、ぱたりと演説が止まった。

喋る内容が分からなくなったわけではなく、
何かとても大事なことを言おうとしているのだと思った。
大事な何かをどうにか言葉にしようとして、もがいている。

≪　三つ目、は……　≫

壇上に立つ人の明らかな異変に生徒たちが気づき始めた。
小さなざわめきは渦を巻くように大きく広がった。

見つめた小さな肩は、小刻みに震えている。

≪　みっつ、め……　≫

塩辛いものが混じった、絞り出すようなその声を聞いた時だった。


――――――。


考えるよりも早く、体が動いていた。
そんなことは多分、生まれてこの方、初めてのことだった。




≪　―――やめます、立候補を辞退します　≫

僕の声は、亀井から奪い取ったマイクを通して、体育館中に響いた。
渦を巻いていたざわめき声が、波が引くようにスーッと収まっていった。
僕の発言に皆、呆気を取られているのだ。
人を驚かすような行動をあまりしたことのない僕にとって、その様は痛快ですらあった。

≪　お騒がせして申し訳ありませんでした　≫

電源を入れたままマイクを置いたせいか、
振動がマイクとスピーカーとをループしてハウリングを起こした。
体育館がキーンという高周波数の音に包まれる。
その音に紛らせて、僕は言った。

「行こう」

震えている亀井の手を取った。
亀井はとても驚いた表情で、瞳には今にも零れそうなほどに涙が溢れていたけれど、
今はそれに構わずに、強引に手を引いて壇上から降りた。

ほんの、ほんの少しだけ思った。


―――新垣は今どんな顔をしているだろうか。


けど、僕は振り返ることなく、亀井を連れて体育館から飛び出していった。

>>449-458
以上です

乙です
今日も切なくなった

　　　　　　 　 　 ☆ノハヽ
　　　　　　 　 　 ﾉﾉ；＾ｰ＾).∩＜みっつ、め……
　　　　　　　　 _/ 　　¶ λ｀/
　　　　 　 　[￣￣￣￣￣￣]
　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣|
　　　　　 　｜　　　　　　　　.|


やべｗすげぇよかったｗｗｗ
193乙！！

作者禿乙＆佳境期待age

作者乙。
作者に清き一票を入れたい。

作品をみて寝るこれが日課

亀井をギュウってしたくなった

あ〜・・
なんか堪らないもう・・w

うむ

就寝前保全

うわぁ〜〜切ない・・・
ガキさんの表情とかも想像するとヤバイな

作者さん乙です

乙〜

乙です
何て言おうとしてたんだろう？

一つだけ言えること

俺だったら選べない

　　　　　　 　 　 ☆ノハヽ
　　　　　　 　 　 ﾉﾉ；＾ｰ＾).∩＜みっつ目は…玉袋……
　　　　　　　　 _/ 　　¶ λ｀/
　　　　 　 　[￣￣￣￣￣￣]
　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣|
　　　　　 　｜　　　　　　　　.|

えりりぃぃぃぃぃぃぃぃぃん

〃ﾉ〃ヽ
ﾘd・e・)

ほぜん

ガキさんと亀井

小説の冒頭の、屋上での2人のやり取りが好きだ

>>472
仲間だ

ほ

最高だな

ほ

ぜ

ん

ho

ze

新しい流れが来たぞ
http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/zurui/1118971385/73

n

ガキさん大好き保

亀井大好き保全

>>449-458
つづき

＃＃＃

屋上は寒かった。
厚く空を覆った雲が太陽の光を遮り、冷気を帯びた風が容赦なく吹き付ける。
あんなハプニングがあった後でも、演説会はまだ続行されているようで、
校舎からは人の気配が感じられなかった。
演説の順番は役職の低い順からで、信任投票の立候補者も演説は行わなければならない。
校舎に生徒が戻ってくるのはもう少し後のことになるだろう。

僕は自分のとった行動がはたして正しかったのかどうか分からなくなっていた。
言葉につまる亀井の背中があまりに痛々しくて、弱々しくて、
咄嗟にあんな行動をとってしまったのだけれど。
ほんとうに良かったのか、これで？

もし、良かったとするならば。
じゃあ、どうして亀井はこんなに泣いているんだろう？
いつものベンチで、僕の隣で、こんなにもしゃくりを上げて。
「ごめんなさい、ごめんなさい」とうわ言のように呟きながら。

いったい誰に何を謝っているのだろうか。
僕が当選しないことは亀井にとって都合のいい事なのではないのだろうか。
なぜ僕の渡した原稿を読まなかったのだろうか。

―――演説で、いったいどんな言葉を言おうとしていたのだろうか。

分からないことはいっぱいあった。
でも訊けなかった。

ただ、無為に時間だけが過ぎていった。

不意に、風に乗って、カチャリ、と屋上のドアが開く音が聞こえた。

音のしたほうを向いてみる。
自分の演説が終わってから、すぐさま走って駆けつけたのだろう。
新垣が、おでこに汗を滲ませて立っていた。
いつか見たような風景。
そうだ、あれは僕が二人から告白を受けた日のことだ。
この場所に３人で集まるのは、あの日以来のことだと僕は気づいた。

「カメ、アンタどうしたの！？」

ツカツカとベンチに歩み寄った新垣が、しゃくりをあげて泣いている亀井の姿を見るなり言った。
驚いた声の中にも、亀井のことを心配しているような感情が込められていた。
それでも亀井は顔を上げず、相変わらず「ごめんなさい」と呟いていた。
いや、変化はひとつあった。
繰り返される「ごめんなさい」の中に、「ガキさん」という単語が混じるようになった。

「……ガキさん………ごめんね………ごめんなさい……ガキさん……」
「なんで、私に謝るのさ？」

子供をあやすように亀井の頭を撫でながら、新垣が訊いた。
亀井はズズッと鼻をすすってから、ようやくポツリポツリと喋りだした。

「…だって………生徒会一緒にやりたかったはずなのに………
　…………絵里のせいで台無しになっちゃって……………ずるいよね、絵里」
「…何言ってるの、カメ？　コイツを生徒会に誘ったのはただの数合わせだよ？
　別に誰が生徒会になっても構わないし、それにカメ頑張ってたじゃん、選挙運動」

新垣の慰めにも、亀井は俯いたままプルプルと首を横に振った。

「…もう、隠さなくていいんだよ？」

そう話した亀井の口調はやけに落ち着いていた。
新垣が不思議そうな顔をして「何を？」と訊き返した。

「…ガキさんの気持ち。　…だって、それ絵里がもう伝えちゃってるもん」

新垣の眉がピクリと動いた。
亀井の話したことを理解できなかった僕が咄嗟に口を挟む。

「亀井が伝えた？　いや、それは違う。　僕は新垣から手紙をもらったんだ。
　それに隠すって―――」
「…手紙って？　何のこと？」

新垣は明らかに動揺の見える表情を浮かべて、僕に訊いた。
こんなに揺らいでいる新垣を見るのは初めてかもしれない。
そういえば新垣の前であの手紙について話すのもこれが初めてだった。
何かが壊れていく音が頭の中で鳴った気がした。

「へ…？　だ、だから新垣が、僕の事、…好きだって」
「…出してないよ、そんな手紙、わたし、出してない…」

新垣は首を小刻みに震わせた。表情はみるみるうちに蒼白していった。
とても嘘をついているような顔ではない。

―――これは、一体どういうことだ。

僕と新垣の視線は自然と亀井のほうへと集まった。

「その手紙出したの…絵里です」

その言葉は僕と新垣にそれぞれ別の種類の衝撃を与えた。
新垣は初めての事実を知りえた衝撃。
僕は今まで信じていた事実が嘘であったという衝撃だった。

早く！早く！！

>>495
急かす前に、正座して待て！

「で、でも、あれは確かに新垣の字で！」
「…同級生のサッカー部の人が好き、ってガキさんに嘘の相談したの。
　ラブレター書こうと思うんだけど、うまく書けないから一緒に書いて、って。
　何枚かガキさんにも書いてもらって、そのうちの一枚に名前だけ、
　絵里がガキさんの字を真似して書いたの」

僕はもっと注意深く手紙を観察しなかったことを後悔した。
気恥ずかしくて、あの手紙は一度読んだあとは机の一番奥にしまっておいたままだった。
でもラブレターにそんな疑いの視線を投げかけるヤツなんているだろうか。
たいていの男は舞い上がるのが普通のリアクションだろう。
無論、僕も舞い上がっていたのだ。

…だとすると手紙を受け取った翌日からの、
新垣の不自然すぎるほどの自然な振る舞いにも納得がいく。
そもそも新垣は何も知らなかったのだ。
３人だと思っていた芝居の演者の内、１人は何も知らずただ日常を過ごしていただけだったんだ。

「…なんでそんなバカなことしたんだよ」
「だって！　こうでもしなきゃ公平に告白なんてできなかったからっ！」

涙の入り混じった叫び声が屋上に響いた。
亀井の瞳からは新しい雫がぽろぽろと零れ落ちた。

「絵里、キミのことを好きだけど、ガキさんのことも同じくらい大好きなの！
　だってガキさんは同じクラスになった時からずっと絵里のこと気にかけてくれてたんだよ？
　絵里が恥ずかしがって何も話せなくても、すごい優しく笑いかけてくれて、太陽みたいな人だって思った。
　だから演劇の練習を通して、ガキさんと仲良くなれてすっごく嬉しかった、でも―――」

そこまで一気に喋って、亀井は一呼吸置いた。
次に切り出したその声のトーンは、１オクターブ下がっていた。

うおおおおおおおおおおおお待ちきれねえ工エエェェ(´д｀)ェェエエ工ええええええええええええ

だから気持ちはわかるが、座して待て！

あぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁああぁあぁあ！！

「気づいちゃったのも、演劇の練習してるときだった。
　―――ああ、ガキさん、キミのこと好きなんだ、って。
　でもね、ちょうどその頃、絵里もキミのこと好きになっちゃってて。
　…とてもガキさんに相談なんてできなかったよ？
　だって、絵里がキミのこと好きだってガキさん知ったら、
　自分の気持ち押し隠してでも絵里のこと応援してくれちゃうもん。
　ガキさんってそういう人だから、優しすぎるから。
　だからどうしよう、どうしようってずっと悩んでて。
　日に日に想いは膨らんで、時々はガキさんに嫉妬みたいなのも感じちゃって、そんな自分が嫌で嫌で…。
　―――それで、思いついちゃったの。
　ガキさんにラブレター書かせちゃって、それを絵里が届ければいいんだって。
　うん、絵里はガキさんのために…、ガキさんのために……？
　……あれ、おかしい……かな？　……おかしく…ない…よねぇ……？」

僕はその問いに答えることができなかった。
なんと呼んだらよいか分からない感情で胸がいっぱいだった。
悲しさでもいじらしさでもない、わけの分からない不思議な感情。
それは油断すると堤防を突き破って溢れ出そうになる。

僕はちらりと新垣のことを見やった。
じゃあ新垣は僕のことを本当のところどう思っているのだろうか。
ひょっとしたら亀井の一方的な思い込みかもしれない。
そう、僕は新垣自身から本当の気持ちを一度も聞いていないのだ。

が、その答えを僕はすぐ知ることとなる。
ずっと黙ったまま亀井の話しに耳を傾けていた新垣の右手が振りあがった。

「――――――この、バカカメっ！！！」

叫び声に合わせて、亀井は身をこわばらせて目をギュッと瞑った。

ガキさん暴力ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

―――振り下ろされる手はまるでスローモーションのように見えた―――

――――――！

……新垣の手は、亀井の左頬１ｃｍ手前でピタリと止められていた。
その代わり、かどうかはわからない。
新垣の瞳からブワッと涙が溢れ出して、それは静かに頬を伝った。

「………ほんとに、バカだよ」

吐き捨てるように呟いて、新垣は屋上から出ていった。
取り残された僕と亀井は何も喋らず、ただ俯いてその場に留まっていた。
しばらくして亀井が無言で屋上から立ち去った。
僕もそれを無言で見送った。

僕は一人、そのままずっと屋上にいた。

屋上は本当に寒くて。
きっともうこの３人で屋上に集まることはないのだろうな、とただ思った。


翌日。

亀井は、黒板の字が見えづらいとかなんとか適当な理由をつけて前の方の席へ移動した。
僕と新垣は廊下ですれ違っても、お互い気まずそうに目を反らしてすれ違う関係となった。
新垣と亀井の関係もきっとそういう感じだろう。

僕たち３人の楽しかった夏休みは終わった。
いや、そんなもの自体、不安定な感情の上にかろうじて乗っかっている幻のようなものだったのだ。
気がつけば暦はもう１１月で。

宿題の終わらなかった生徒は、いつまでも幻の夏休みを引きずり続けることになる。

>>491-504
以上です

>>505
乙です！

マジでどうなるんだろ

内容もうｐりかたもひっぱるねえ

>>508
内容はともかく、うpりかたに関しては
書き込む前に読み直して、修正したりしてるから仕方ないんです
別に狙ってるわけじゃないよ

これスケートリンク編もあるんでしょ？
もうおなか一杯なんだけど既に

はぁ
２ｃｈに来て涙流すことがあろうとはおもわなんだよ
次も待ってます！

いつみても文章の構成が秀逸だね

今、風呂からあがって一気に読んだ

まずは乙彼です＞作者さん

参った　そう来たかって感じ
ガキさんも亀ちゃんもリアルっぽくて感情移入できた

うむ

せつねぇぇぇぇぇぇぇぇッ

ダメだ・・・切なすぎて苦しい

ニィニィ

いいもの読んだ

神のお言葉ｷﾀ━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━ !!

☆ﾉ〃ヽ
ﾘd＾-｀)あ、あれ？絵里間違ってるかな？

えりりん・・・

ho

これはいいな
気に入った

te

あぁぁぁ！！！！！！！

ho

ふぉ

ちょっとした恋愛ミステリーもの読んでる気になった。
乙です、続き楽しみにしてます保

ふぉ

ぜ

ほ

え

あと３０分ほどで投下開始か
ワクワク

>>491-504
つづき

＃＃＃

一人で過ごす時間はあっという間に過ぎていった。
いや、物理的に一人でいる時間というものはそんなに多くなかったかもしれない。
教室にいれば適度な付き合いをするクラスメイトと適度に会話をして、
それなりに笑ったりしていたような気もする。
けれど、やはり僕は独りで、それでも淡々と時間をやり過ごした。
フッと息を吹きかければ、パッと舞い散ってしまいそうな日々だった。

僕は窓際の席に座って、ただじっと容赦なく移り変わろうとする季節を眺めていた。
木々から枯葉が舞い落ちたり、
朝、登校してくる生徒が首にマフラーを捲いていたり、
吐き出す息が白く昇っては消えたり。
そんな変化をひとつずつ見つけるたびに、
あの３人ではしゃいだ日々はどこかへ消えていってしまうようだった。

時折、強烈な喪失感に包まれた。
そんな時、僕は考えてしまう。
いったい誰が悪かったのだろうか。
僕たちの何がいけなかったのか。
その思考はいつも同じ結論を導き出す。

新垣は何も知らなかった。
知らないところで始まっていて、知らないところですべてが終わっていた。

亀井はただ自分が好きな人のためだけに行動した。
その矛盾の狭間で押しつぶされて、ボロボロになった。

…僕が一番悪いのだ。

気づいてやれなかった。
新垣の隠していた想いにも、それが本人の意思とは無関係に伝えられたことにも。

気づいてやれなかった。
亀井が能天気な笑顔をみせる裏で、あんなにも苦しんで悩んでいたことを。

しかし仮にそれらに気づいたとしても、僕が何をしてあげられただろうか。
結局、僕には足りなかったんだと思う。

…何が？。

僕に足りなかったもの。

―――それは”キモチ”だ。

人を好きになる気持ち、人から好かれることに応える気持ち。
そのどちらからも僕は逃げ回っていた。
ただ表面上のリズムに合わせて、少し斜めに構えて物事を見て利口な振りをする。
そういう生き方はとても楽なのだった。
傷つかず、傷つけず。
その先に待っているのが虚しさだということを、僕は今になってようやく知った。
そして、それを今知りえたところで、僕にはどうすることもできなかった。

僕たちの学校では２学期の終業式は決まって２２日に行われていた。
ちょうど祝日から冬休みが始まることに関して、僕はいつも詐欺に遭わされたような気分がしていたのだが、
そんなことも、もはやどうでもいいことだった。
それよりも僕はしばらくの間、学校に来なくてよいことに安心さえ感じていた。
学校にいると、いろいろなものが目に入りすぎるからだ。
それは彼女たち本人の姿だけではない。
挨拶を交わした昇降口、はしゃぎながら歩いた廊下、演劇を行ったステージ。
それらの端々に、眩しげな残像が存在し、僕に一時の幻想を見せた。
でもそれは手を伸ばしても決して触れることのできない幻。
触れることができないのであれば、そんなもの見たくはなかった。

「来年はお前たちも３年生になるんだからな、
　自分の将来をよーく考えて、充実した冬休みを送るように」

テンプレート通りのお決まりな担任の言葉で二学期は締めくくられた。
冬休みの到来にクラスメイトたちは色めき立ち、教室には解放感が溢れた。
僕はいそいそと荷物をまとめて、その場所から早く抜け出そうと考えていた。
授業がなかったせいか、いつもより軽いカバンを抱えて立ち上がった、瞬間。

―――教室の前方にいた亀井と、ばっちり視線がぶつかった。

どうやら亀井は、僕がそちらの方向を見るのを待ち構えていたようだった。
いつもならどちらからともなく逃げるようにして視線を逸らすのに、
今日に限って、亀井は僕の目をじっと捉えたまま離さない。
そして口元が小さく動いた。


――――――。


がやがやと賑やかな声が響く教室では、その小さな呟きが僕の耳に届くことはなかった。
やがて亀井は同じ電車通学の友達にせかされるようにして教室を出て行った。

声は聞こえなかった。
けれど僕には亀井の言った言葉がはっきりと分かった。

『―――ごめんね』

そうだ、亀井は確かにそう言ったんだ。

―――ごめんね。

あの日から、亀井はずっと「ごめんなさい」を呟き続けているのだろうか。
それはとても悲しいことだ、と思った。
胸を締め付けるような痛みもなく、こみ上げるような感情もなく、
ただただ”カナシミ”だけが静かに心を埋め尽くした。

僕は全身から力が抜けていくのを感じて、ペタンと自分の席に座り込んだ。

>>536-539
以上です
ちょっとキリ悪かったかも

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!
作者さんGJ！！

乙です

う〜ん・・・切ない
しかしここに至っても優柔不断な主人公には喝だな

＞人を好きになる気持ち、人から好かれることに応える気持ち。
＞そのどちらからも僕は逃げ回っていた。
このあたりようわかるわ・・・

作者さん乙〜

作者さん乙です

自分が一番悪いと思いながらも、具体的行動に移せない
なんてところがリアルでいいわ〜

切ないですねぇ
作者さん( ノﾟДﾟ)ﾖｯ!です

ごめんね
ってこんなにも泣ける言葉だったなんて
今、知った。
作者さん乙

斜に構えて利口な振り・・
あ〜・・・
乙です毎日毎日楽しみにしてます。

いつも楽しく読ませてもらってます
作者さん乙です

どうみてもﾌﾞｯｸﾏｰｸです
本当にありがとうございました

お前新垣ヲタか
鳩のにもいたな

今日はじめてこのスレ読みました。
このスレにある部分だけですけど、読ませてもらってすごく引き込まれました
作者さんいつもお疲れ様です
これからの展開楽しみにしてます

もちろんこのあと主人公にも恋のライバルが出てくるんだよな？
優柔不断な主人公はようやくそこで初めて自分の気持ちを悟るんだよな?

何勝手なこといってんだよｗ

>>540
乙です
あ〜今日も切ないな

ほ

就寝前保全

>>540

第一話から一気に読ませていただきました。
正直めちゃくちゃ面白いです。

2人が主人公を好きになった背景もしっかりしていて
ホントにプロの作家さんが書いた本を読んでいる気分です。

また読む側に気を遣って
主人公の名前を出していないところもありがたいです。

続きを楽しみに待ってます。

手の早いことで有名なクラスメートの寺田君が
どっちかに手を出すという展開になるよきっと

うむ

うむじゃねぇよｗ

須永１軍へ“モー”アピール
ttp://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jan/o20040116_60.htm
幼なじみ亀井に応援来てもらいたい
　１軍入りへ“モー”アピールだ！　日本ハムのドラフト２巡目ルーキー・須永英輝投手（１８）は１６日、
新人合同自主トレで順調な調整ぶりを披露。“ご近所さん”の人気アイドルグループ
「モーニング娘。」のメンバー・亀井絵里（１５）に観戦にきてもらうために、早期の１軍昇格を狙う。

　３歳年下の亀井とは、自宅が近所で東京・荒川区の同じ小学校出身。
人気絶頂となった今でも須永の両親が営む大衆割烹（かっぽう）店によく訪れており、

　　「つい１か月くらい前にも店に来ましたよ」という。
　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　プロの世界に飛びこんだからには、登板試合を観戦してもらいたいのが本音。
「見に来てもらう？　いやいや、無理ですよ」とキャンプは２軍スタートで、
大それたことは言えないと須永は照れ笑いを浮かべたが、プロの水にも徐々に慣れ
「ここまではすごい順調に来ています」と笑顔のルーキー。
１軍で活躍し、トップアイドルに雄姿を見せるその日まで、地道に努力を重ねていく。

　にーちゃん　恥ずかしいよ〜
　　　Ｖ
☆ﾉハヽノハヽ
ﾉﾉ*＾ｰ（　　　 ）　＜　絵里も大きくなったな〜
　　（つ　　と)
　　 (⌒⊃ /
　　（＿）＿）

　　　　　　 ノハヽ
　 　　　　（´Д｀* ） ＜　えりりんの幼なじみ、日本ハム・ファイターズの須永をよろしく
　 ☆ﾉハヽ　と__,　ヽ 　　　　
　 ﾉﾉ*＾ｰ＾)∩(⌒⊃) )) ｶｸｶｸ
　　(二ヽ -"＿,ﾉ(＿つ

>>553
>>559
元対立候補あたりが絡んで来るかな
それともあれはあれっきりのキャラか

ほ

ライバルはヒーチャンだな

>>563
奴を立候補させたのも亀って事は・・・ないよな？

ほ

193氏の分をはじめからtxtでまとめられている人がいたらもしもろだに是非

というか193氏の他の作品も読みたい

ぜ

ん

ho

　　　　　|||||||||||||||||||||||||
　 　　　||||||||||||||||||||||||||||| 　　　糞スレ
　　　　 |||||||||||||||||||||||||||||||　　　　　　　　　(｀ヽ 　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　　 |||||　￣　　￣　||||||||　　　　　　　　　 `ヽ＼　　　　　　　　──┐　|　　|　
　　　　 |||||　 ι　　　　 ||||||　　　　　､i,,　　　　　 )　）　　　　　　　　　　/　　|　　|
　　　　 |||||　 ＿　　　　 |||||||,l､.i,,.;:"'　　ﾞ`´ｰ,"､ノ /、　　∬　　　　　 ノ　　　　ノ　　┐
　　　　 |||||　￣￣　　　 |||||ｒ ﾉ:!　　　　　　　　　　 ﾞ　ヽ　　・〜　　　　　　　ヽヽ　　 .┴
　　　　　||/　　　　　　／|||||::::ヽ　　　　　/　　　　,ｲ　 ﾞi　　　　　　　　　──┐　|　　|　
　　　 　／　　　　 ／|||||||||／　　　　　　（　　　　ノ,;(`;､ﾉ　∬　　〜∞　　　　/　　|　　|　
　　　（＿＿＿_／||||||||||||　　ﾞi-､＿,v-ｰヽ、　く ；;ﾞ､;;;';） 　　　　　　　　　　ノ 　　　　ノ　　┐
　　　　　　　　"´　　　　 |　　|　　　　　　　ヽ、　）．;!':;'ﾉ　　∫　　　　　　　　　　　ヽヽ　　┴
　　　　　　　　　　　　 ,ノ　 ﾉ　　　　　　　 __ﾉ　ﾉ,;:（;,:;(　∬　　　　　　　　　　──┐　|　　|　　|　　|
　　　　　　　　　　　 (＿_,ノ　　　　　　　 (＿,ノ´,;";:・':;'ﾞ`ヾ　　　　　　　　　　　　　/ .　|　　|　　|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ;"''∵　' :"‘　　　　　　　　　　 ノ　　　　ノ　　　 ノ

ｒi

e

mo

mo

ta

ro

u

za

そろそろ正座して待つか

まだまだだよ
12:30頃じゃね？

今日あたりﾊﾟﾝﾂ脱ぐ用意をしてて構いませんよね

風邪引かないようにな

fo

>>536-539
つづき

ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

僕は呆けたように自分の席から動けずにいた。
教室の中の生徒の数は徐々に減りはじめ、各々の冬休みへと飛び出していく。
できるのならば、僕もその流れに混じって、こんな場所から早く立ち去りたかった。
でも、亀井の「ごめんね」という言葉が何度も頭の中でリフレインされて、
それは何かの呪文のように僕とこの席とを強く結びつけていた。

あの言葉は間違いなく僕に向けられたものだった。
演説会の日、「ごめんなさい」を繰り返していたのは新垣に対してだけではなかったのだ。

…亀井が僕に謝る必要なんか、どこにあるんだ？

すでに教室にいない亀井に問いかける。
答えはもちろん返ってこない。

窓の外に目を向けてみると、下校していく生徒たちの姿が見えた。
その一団の中にいる亀井の姿を僕の目が捉えた。

…なあ、どうして謝るんだ？

謝らなきゃいけないのは僕のほうなのに。
そして謝ってももうどうにもならないというのに。

僕の問いかけは届くはずもなかった。
窓の外の亀井は友達と何かお喋りしながら、楽しげに笑っていた。

…笑っていた？

僕が見つけた亀井の笑顔はこんなものだっただろうか。
そう、僕が去年の文化祭で亀井をお姫様役にしたのは、何も面白半分という理由だけではない。
いつもおどおどしていてグループの輪に入れずにいた亀井が、
新垣と話している時だけに、不意にみせた不思議な笑顔。
ニッコリとした太陽みたいな笑顔では決してなかった。
それは小さな八重歯を覗かせてニヤリと笑うような、ヘンな笑顔だった。
その仕種がなんだかとても可笑しくて、ひょっとしたらコイツはとても面白いヤツなんじゃないかと思った。
それ故のキャスティングだった。

なのに、今、亀井はなんだかとてもつるんとした表情で笑っていた。
何か大事なものがすっぽりと抜け落ちたような表情だった。
そんな悲しい笑顔を見ていられなくなって、僕が目を逸らそうとした時だった。

亀井が急に立ち止まった。

一緒に下校していたグループはそれに気づかずに先に歩いていってしまった。
輪から一人外れた亀井は、手のひらを上に向けて自分の前に差し出した。
まじまじとその手のひらを眺め、そして何かに気づいたように空を見上げる。
僕は亀井の視線を追うように、同じ空を見上げてみた。

空を覆いつくした低い雲から、小さな白い粒が落下してくるのが見えた。

―――雪だった。

重みを感じさせない、白い模様がはらはらと空を舞っていた。
決して積もることなどなく、地面に触れるとすぐに消えてなくなってしまう儚い白。

亀井は少しの間、じっと空を見上げていた。
額に、頬に、鼻に、雪がひらりと舞い落ちては雫となっていく。
まるで静かに涙を流しているような、そんな光景だった。

やがて、前方にいる友達から何かからわれる様なことを言われたのか、
亀井は照れ笑いを浮かべながら、そそくさと駆けていった。

もう冬なのだ、とその時になって初めて思った。
僕はようやく季節が完全に移り変わったことを悟った。
頭の中で繰り返されていた言葉もいつの間にかどこかへ消えていた。

帰ろう。

そう思って、立ち上がろうと机に手をかけた。

瞬間。

僕の背中に何か触れるものを感じた。
いや、何も触れてなどいない。触れるはずがない。
僕の後ろにはもう誰もいないのだから。
けれど、僕の背中には確かにはっきりと、
あの日、あの古文の時間に感じた優しい感触が鮮やかに蘇っていた。
ボールペンで背中をなぞった、あの軌跡が。

『　す　』　『　き　』

その言葉は、不意に、僕の頭から消えかけていた亀井の呟きと繋がった。



―――『すき』になって『ごめんね』。

気づくと、僕の頬を涙が伝っていた。
その流れは留まることを知らず、次から次へと溢れ出した。
僕は拭うこともせず、ただただ目から溢れ出るその液体の温かさに驚いていた。

涙がこんなに温かいものだと、初めて知った。
それと同時にその温かさがとても嬉しかった。

”キモチ”は僕の中に存在しなかったわけではなかったんだ。
それは心の奥のほうで、氷のようなものに閉じ込められていただけで。
それを溶かしてくれたのはいつかのあのボールペンの優しい感触だった。

亀井は自分のせいで僕たちの関係がダメになってしまったと思っている。
亀井が僕のことを好きにならなければ、３人でいつまでも仲良くやっていけたのに、と。

だから、『すき』になって『ごめんね』。

けれど、そんなのは違うと思った。

ほかでもない、今、亀井が教えてくれた。
僕の中にキモチがあることを。
痛みすら伴うほどの大きなキモチ。
それが今、熱い涙と供に溢れ出ようとしている。

背中の優しい感触は、まるで僕を包みこむ翼みたいに守ってくれるようだった。

ちゃんと、ちゃんと向き合おうと思った。
彼女たちの気持ちに。
向き合えると思った。

僕ははじけ飛ぶように教室から飛び出した。

止まっていた時計の針が、僕の中で再び動き出した。

――――――
―――
―

靴箱を覗いてみたところ、彼女はまだ校内にいるようだった。
教室にもいなかった、生徒会室にもいない。

…じゃあ、残された場所はひとつだ。

キィーと音を立てて開いた、その重い扉の向こう。

「やーっと、来たかぁ」

いつものベンチのいつもの場所に座った新垣は、こちらを見ずにいった。

>>589-594
以上です

こなああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

乙です

ついでに・・・>>568

あがががががががががががががががｓががががががががががあがががががｇ！！！
オッ津！！

ｷﾀｷﾀｷﾀｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ｯ!!!!
作者さん乙！！！

ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

ただただ綺麗です…

そこで終わりかよぉぉぉぉぉ

ねぇ　時に頼りなく 心は揺れる
それでも 僕は君のこと 守り続けたい

ああああ俺の背中にも感じたよ！

>>568
もうちょいで一応の完結をみるので、それからまとめた方がいいかと
上げる直前になって直書きして足したりしてるから、
自分のテキストファイルとスレに更新した内容が違ってたりするし
もし今の時点までの更新分を欲しいなら、ちょっと時間くれればまとめますけど、どうしましょ？

このスレから見始めたんですけど…作者さん最高です。どなたか完結したら１からうｐしてもらえませんか？ろだが見れないのでよろしくお願いします。

>>605
>>597

作者さん乙です。
今日の分まで読んで、目に涙が少したまりました。
続きも期待します！！！

とりあえず完結に向って突っ走ってほしいです

おーさかさーん！裸はｄ（ｒｙ


193氏
激しくお疲れさんです！！泣ける！！

>>596
ｗｗｗｗｗｗｗｽﾞﾙｲｗｗｗｗｗ

>>610
裸はｄ
の後が気になるなー

作者さん。乙。

こなああああああああああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

普通に泣きそうなお話ですね
最初から続けて読めば間違いなく泣くわ

なんかいいよね
作者さんｵﾂｶﾚｰｼｮﾝ

粉雪舞う季節は
いつもすれ違い
人混みに紛れても
同じ空見てるのに
風に吹かれて
似たよに凍えるのに

僕は君の全てなど
知ってはいないだろう
それでも一億人から君を見つけたよ
根拠は無いけど本気で思ってるんだ

毎回ながら作者さん素晴らしいです
も〜なんてゆ〜か・・・作者さんのことが『ス』『キ』です

乙〜

乙です

『ゴメンね』ってのがキーフレーズになってるようにふと感じた


３人が仲良かった頃は、えりりんがちょっと何か迷惑かけてもいちいち謝ったりするような関係じゃなかったのに、今は・・・
（たしか前にそういうくだりがあったな〜と、ふと思い出した）

粉雪聞きながら読んでたらなんか出てきました。
どう見ても涙です。本当にありがとうございました。

ho

それでも一つ言えることがある


俺だったら選べない

選ぶ選ばないんじゃない
僕のキモチに正直になるだけなのだ

ほ

ウェンツがいるな

もう一度言うよ

俺は新垣と亀井が好きだ

こなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいい
>>625
おれも

あの頃の僕と言えば
愛し方さえも知らず
ただ
不器用に君を傷つけて
優しさ忘れていた

今だったらなんかｴﾘﾘﾝをぎゅっと抱きしめたい！！

しょうがないからじゃあ俺はガキさん

阻止して３Ｐ

　　　　　　　　|||||||||||||||||||||||||
　　　　　　　 |||||||||||||||||||||||||||||
　　　　　　　||||||||||||||||||||||||||||||||
　　　　　　　|||||　　￣　　￣ ||||||
　　　　　　　|||||　 　　　J　　 |||||
　　　　　　 |||||||　　　　＿　 　|||||＜よく我慢したな犯してやりますよ？
　　　　　 　.|||||||　　　￣￣　||||
　　　　　　 　|||||＼　　　　 　l,|||
　　　　　　　　|||||||＼　　　　 ＼
　　　　　 r ――ノ;:;:　＼＿＿＿） ヘ　　　　　∩　　
　　　　／　　　　　￣￣￣ヽ/￣　ヽ　）　　　 ,,| |-　　
　　 　/　/　　人　　　　　　　 ヽ　　　） ヽ　　/　　|！
　　　/　　　丿　ヽ　　　　　　　 ）　　/ 　⌒ヽ|　　/
　 　（　　 　ヽ＼＼　＼　　　,, ノ＼ 丿Ｌ＿＿＿ノ,.-―‐-''"―-'ヽ
　　　＼　ヽ　＼）　ヽ　 ￣ヽ　　|　| |　　　　　 ,';;"　　　　　　　　　 ヽ;.
　　　　　ヽ　 　_ヽ　　| 　　 | 　　| | |　　　　　r';;'　　,,,..... ,,　　,, .......,,　ヾ_
　　　　　 　） 丿　＼ 　ヽ　ヽ　　|丿|　　　　　;:ﾄー{ニﾆニ}-─{ニﾆニ}-7
　　　（（（ 　巛　　　　　　ヽ／￣　ヽ/￣ヽ　　､;l　　`ー- ''ﾉ　.､`ー--'　 l　←亀ヲタ
　　　（（（　　|　　　　　　／　 　 　　 ＼　　＼l''l　　　　　/_,.,__,.,)ヽ　　　 |
　　　（（（　　ヽヽ　 　　/　　　　　　　　　　　　ﾍl　　　　/　,,...___,,,.. l　　　l　
　　　　　　　　|　　　　|　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　 r'ｴｴエｴｱ　　 /
　　　　　　　　|　　　　|　　　＼　　　　　ｒ――― .　　　 {i''''"Y`''''i} 　 /
　　　　　　　　|　　　　|　　　　 　ヽ　　丿　　　　　　ゝ　　ヽ._._._._.ﾉ　..ｲ
　　　　　　　　ヽ 　 　|　　　　　/　￣|/　 　　　　　　　` .. 　￣￣ .／　　
　　　　　　　　 ）　　ﾉ　　　　　/　 　 /　　/ヽ　　　　　 _　　　| 　 ヽ
　　　　　　　　|　　/　　　　　/　　　/　　/　　|＼＿丿　ヽ＿ノヽ　　＼　　
　　　　　　　　|　/　　　　　/　　　 /　　/　　 |　　　 　　　　　　　＼

えりりん！！！！

ｴﾘｶﾞｷｴﾘｶﾞｷ！！

po

oky

ho

ｒi

ko

shi

no

ri

de

wa

のりちゃんは頑張りやさん

>>589-594
つづき

あさみファンの作者ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

ベンチは舞い落ちた雪が溶けたせいで濡れていたが、そんなことお構いなしに僕は腰を下ろした。
この季節、屋上に来る生徒の数もめっきり少なくなるのだろう。
久々に圧し掛かる２人分の重みに、トレーニング不足気味のベンチはギシッと悲鳴をあげた。

「久しぶりだね、こうやって話すの」
「…うん」
「待ってたんだよ、ずっと」

新垣はかじかんだ手のひらにハァーッと息を吹きかけた。
その少し赤みを帯びた手が、新垣がずいぶんと前からここで待っていた事を示していた。

「…わたしね、あの日から毎日、ここに来てたんだよ。
　もし、いつか、アンタがまたここに来るようなことがあったら本当の事を話そうって、ちゃんと自分の口から」

あの日という言葉が示しているのは、演説会の日のことだろう。
あの時、この場所で僕たちの関係は崩壊した。
僕が逃げまどっている間、新垣は毎日毎日この場所に訪れていたのだ。

「それにしても、来るの遅いよぉ。もう二学期、終わっちゃった」

努めて明るく言ってみせた新垣に、僕は「ごめん」と告げた。
新垣は静かに首を横に振った。
そして、穏やかに話し始めた。

「ちょっとね、気づくのが遅かったんだ」

新垣はそう言って目を細めた。
その瞳は雪のちらつく空よりも、どこかずっと遠くのほうを見つめていた。

「中学校の頃なんかは、わたし、ほんとそういうの疎くてさ。…まあ、今でもかもしんないけど。
　でも、なんかいつも一緒にいて、それが当たり前のことなんだって思ってて。
　…ちょっと意識し始めたのは中３の終わりの頃。
　進路決める時になってさ、あれ、ひょっとして別の高校になっちゃうのかな、って気づいて。
　アンタ、結構勉強できたから、きっと進学校に行くんだろうなって思って。
　だから、おんなじ高校行くって聞いた時、なんかすごい嬉しかった。
　―――ああ、これってそういうことなのかなぁ、なんてしみじみ思っちゃったよ」

高校に入ると新垣はそれまでのツインテールをやめて、髪を下ろし始めた。
変化は確かにあったんだ。
鈍いのはきっと僕も一緒なのだ。

「今さらそんなこと言うなんてできなかった。言おうとも思わなかった。
　だって、言っちゃったらぜったい変な関係になっちゃうって思ったから。
　だったら、このままずっと楽しい気楽な関係でいたほうがいいなって。
　…結局、一番弱いのはわたしだったんだよね」

そんなことはない、と思った。
新垣が一番弱いなんてことは決してない。
もし仮に弱さがあったとしても、それは新垣だけの弱さではない。

気持ちをまっすぐ伝えられない弱さ。
拒絶されるのが怖くて、それを隠してしまう弱さ。
そんなのは僕らがみんな抱えている弱さだ。
だからこそ僕は、少しずつでもいい、強くなりたいと願う。

しばらく口をつぐんだ後、新垣は、ずっと遠ざけていた言葉を言った。
決して表に出ることなく、心の一番奥のほうで暖められ続けていた言葉。


「…………好きだったよ、ずっと」


雪とともに消えてしまいそうな声だった。
僕は小さな頷きで、その言葉が消えてしまわないように大事に受け止めた。

「…ったく、告白くらい自分でさせてって感じだよねぇ、ほんとにあのカメったら、どうしようもないね」

途端、新垣はいつもの調子で苦笑いを浮かべながら言った。
僕はそんな新垣を見て、安心して笑った。

新垣も、亀井のことが大好きなのだ。
あのアホで、ニヤニヤとブキミな笑みを浮かべていて、
突飛な行動をしては、いつも僕たちを驚かせる亀井のことが。
こんなにもお互いのことを想いあっている者同士が、このまま気まずい関係でいていいはずがない。
だから、僕はしっかりと新垣の気持ちに応えなければならない。
そこから、また僕たちの新しい絆が始まっていくのだと思うから。

言葉は、頭で考えることなく、それは自然と僕の口から流れ出た。

「…新垣にはすごく感謝してるんだ。
　もし中学校の時、僕にあんなに構ってくれなかったら、
　僕はいったいどんなヤツになってたんだろうって時々思う。
　もしかすると人の気持ちもぜんぜん考えないようなヒドイ奴になってたかもしれない」

新垣は僕の言葉に、ただ静かに頷く。

「だから、ありがとう。……………そして」

目を閉じる。
その言葉を告げる僕に、迷いはなかった。


「ゴメン」

「うん」

新垣は僕のその返事をあらかじめ分かっていたようにすんなり受け止めると、
フフッと思い出したように笑った。

「演説会で、アンタがカメの手引っ張ってくの見た時にね、
　ひょっとしたらって思ったんだ、いくら鈍いわたしでもさ。
　だってあの時のアンタ、カメを守る王子様みたいだったもん。
　だから王子役は譲るよ、馬から昇格。
　これからは”二代目”マメ王子を名乗るがよい」
「…はは、あんまりうれしくないかも」
「いいから譲り受けなさーい」

はい、と僕が言うと、新垣は、よし、と言って満足げに笑った。
そして「初代からの贈り物があるから、また明日学校に来るように」と新垣は言った。
「アホなお姫様をうまく呼び出してあげる」と。
おそらく僕が直接コンタクトを取っても、きっと避けられてしまうのでその申し出はとても有り難かった。
それと同時に、そんな役回りを新垣にさせてしまうのが申し訳なくもあった。
そのことを新垣に告げると、清々しいほどのさっぱりとした笑顔で一蹴されてしまった。

「謝りあうなんて、ウチららしくないじゃん」
「…だな」

まったく、あのアホガメにも聞かせてやりたい言葉だった。

「そろそろ行こう？いいかげん風邪ひくかもしれない」
「先に行ってくれるかな？…わたしはもうちょっとここにいるから」
「……うん」

ベンチの重みがひとつ、減った。
気づくと、いつの間にか雪は止んでいて、雲の切れ間からは太陽が少しだけ顔を覗かせていた。
そこから届けられるささやかな光は、やがて僕たちのいる屋上を柔らかく包み込む。
そんな光に乗せられた声が、歩き出した僕の背中に降りそそいだ。

「カメのこと泣かしたりしたら承知しないからね！」
「……ああ！」

返事をして、一歩踏み出す。
もう一度、今度はさっきより大きな声が届いた。


「私たちさ、―――――ずっとトモダチだからね！」


それは最高に嬉しい言葉だった。

「ああ！」

やっぱり新垣は強い、と思った。

>>646-651
以上です
多分、明日で終わると思います

ガキさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん

続きｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ｯ!!!!
193氏乙です！！！

うわぁぁあああああああああああああああああああん
ガキさぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああん

(・∀・)ｲｲ!!！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

叫ばずにはいられない

がきさぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん

この冬の最高傑作ももうすぐ終わるのかぁ。
作者さん。あったかい話をありがとう。
でも、せつねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。

aaaaaaa!!!!!
がきさんのハッピーエンドもみてー！！！

ぐぁきすわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん

あぁ・・・最高ですよ作者さん
何なんだろうなぁこのドキドキ感
ヤバイです

ガキさん・・・こうなるのわかっててずーっと屋上で待ち続けてたの？
せつねぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

参った　最高ですよぉ＞作者さん
FUJIYAMA編ではガキさんにも幸あれ

「いい奴ガキさん」コールしてぇくらいだ

ガキさん「…ずっと………好きだったんだぞッ……」
っていわれてぇぇえぇええぇぇ！！！！！！

作者さん、毎晩乙です

演説会での主人公の様子見て、ひょっとして？と思ってたところに亀の悪行発覚・・・
ガキさんのショックは図り知れないものだったはず
それなのにずっとベンチで主人公を待ち続け、さらに損な役回りまで引き受ける
そんなガキさんが大好きだー！！！！！！！！！！

作者さん乙

いやぁ〜
非常に切ないね…
ガキさん 切ないよ ガキさん

こなああああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい
がきさあああああああああああああああああああああああああああああんんんん
えりりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんんんんんんん

みんなしてああああああとかいいいいいいいとかうるせぇなぁ…





あれ？目から汁が…




こなああああァァッァァァァッァあああぁあぁｯァゆきいいイいいいぃぃぃいっぃｋぃいい

これはこれでガキさんにとってのハッピーエンドなんじゃないのか
むしろ俺のガキさん像はまさにこんな感じだ

やっぱりかぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁっぁあ
ガキさんが色々な思いを受け止めて汲み取って・・
でもこの切なさは明日で作品が終わってしまうところからが大きいかも
作者さん乙です、明日も楽しみにしてます

愛ちゃん好きー！！

んああああああ
里沙ちゃーん
切な過ぎるよぉおおおおお

ｷﾀ━━━━ヽ(´д`*)ﾉ━━━━!!!!
でももう終わりなのかorz
終わっちゃうんだな

こなああああああああああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
ねえ

193氏に改めて確認させて頂きますが
私の記憶が確かならこの作品はﾏﾙﾁｴﾝﾄﾞ方式を採用していましたよね
つまり亀井絵里ｴﾝﾄﾞ、新垣里沙ｴﾝﾄﾞの二つのｴﾝﾄﾞがあると
でなければとてもいたたまれないので

そして明日は亀の誕生日じゃないすか！
作者さんウマい！

ﾏﾙﾁｴﾝﾄﾞ必要か？

俺としては亀井エンドだけでいいと思う
やり直せないのが人生で　やり直せないからこそ登場人物たちは
恋とかいろいろ頑張れるんだと思う

いやガキさんがハッピーエンドになるパターンを見たことが無いのでぜひマルチに！！
だってガキさん、娘。であんなにがんばってんのに…

がきさ〜ん

>>675
気付くの遅っ!!

>>677
たしかにそうなんだけど、これじゃ余りにガキさんが不憫だ・・・

ごまっとうスレの続きが気になる・・・

屋上のベンチで保全

テレビドラマや小説でもエンディングは一つしかないから
マルチエンドは反対かな。
それにまだガキさんが不幸になるとは決まったわけじゃないし・・・

嫌な人はみなければいいわけで
作者さんにその気があるなら是非書いて欲しい
でもとりあえず完結してからの話だよ

元からもう一つ書くっていってるじゃん

おっと

とっと

夏

まゆみ

ho

ガキさんがんばれ

ガキは削除

お前が削除だ>>692

けんかしないの

ri

ka

me

えりりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいん！！！！！！！！！！１１

ほ

ぜ

ぜ

書くなら見ないわけにはいかないのがこの作者の凄いとこだ
だが今日の更新で終わりであっても文句は無い

po

ly

　　　　　|||||||||||||||||||||||||
　 　　　||||||||||||||||||||||||||||| 　　　糞スレ
　　　　 |||||||||||||||||||||||||||||||　　　　　　　　　(｀ヽ 　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　　 |||||　￣　　￣　||||||||　　　　　　　　　 `ヽ＼　　　　　　　　──┐　|　　|　
　　　　 |||||　 ι　　　　 ||||||　　　　　､i,,　　　　　 )　）　　　　　　　　　　/　　|　　|
　　　　 |||||　 ＿　　　　 |||||||,l､.i,,.;:"'　　ﾞ`´ｰ,"､ノ /、　　∬　　　　　 ノ　　　　ノ　　┐
　　　　 |||||　￣￣　　　 |||||ｒ ﾉ:!　　　　　　　　　　 ﾞ　ヽ　　・〜　　　　　　　ヽヽ　　 .┴
　　　　　||/　　　　　　／|||||::::ヽ　　　　　/　　　　,ｲ　 ﾞi　　　　　　　　　──┐　|　　|　
　　　 　／　　　　 ／|||||||||／　　　　　　（　　　　ノ,;(`;､ﾉ　∬　　〜∞　　　　/　　|　　|　
　　　（＿＿＿_／||||||||||||　　ﾞi-､＿,v-ｰヽ、　く ；;ﾞ､;;;';） 　　　　　　　　　　ノ 　　　　ノ　　┐
　　　　　　　　"´　　　　 |　　|　　　　　　　ヽ、　）．;!':;'ﾉ　　∫　　　　　　　　　　　ヽヽ　　┴
　　　　　　　　　　　　 ,ノ　 ﾉ　　　　　　　 __ﾉ　ﾉ,;:（;,:;(　∬　　　　　　　　　　──┐　|　　|　　|　　|
　　　　　　　　　　　 (＿_,ノ　　　　　　　 (＿,ノ´,;";:・':;'ﾞ`ヾ　　　　　　　　　　　　　/ .　|　　|　　|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ;"''∵　' :"‘　　　　　　　　　　 ノ　　　　ノ　　　 ノ

ho

ze

ｗｋｔｋ

お前らハンカチの用意はできてるか？

うん

マジいい

最後はどっちとセックスするんだ？
それとも3pか！！

そろそろだな
みんな正座して待とうぜ

ｷﾀ━━━━ヽ(´д`*)ﾉ━━━━!!!!???

えー、申し訳ありませんが、只今難産中です
しばし足を崩してお待ちください

乙乙乙乙乙

>>715
変なプレッシャーかけてしまったかな？
申し訳ない

気長に待ってるよ

今このスレ発見したんだが誰か過去ログ下さい

まぁ全部終わったらまとめてくれるらしいから気長にまとうや

ご飯食べた！
お風呂に入った！
歯磨きした！
後は寝るだけだ！！

別に今日無理に終わらせなくてもいいよｗｗ

>>720
それじゃあ終わるまで読めないじゃん・・・

俺は終わるまで読まないよ

俺は読みたいの

我慢するなの！

>>719
>>207

>>726
さゆ乙

>>727
さんきゅー

気長に保全

眠いけど保全

今日は更新なしなのかな？

携帯から首を長くして保全

3時くらいまで起きててくれれば…
とにかく今晩中に終わらせます

余裕で起きてるぜ

夜更かし決定

まあ大事な局面だろうしあせらず構想してくれればいいでしょ

早く読みたいというよりも良い物が読みたいよ俺は
焦らず書いてくれ

別に今日終わらせなくてもいいのに

俺達の期待に応えてくれようとしてるのは、有り難い
だが作者さんの納得がいくまで書いてみるのも良いのでは

>>740
同感
急いで書くと後で悔いが残る事にもなりかねんよ

その辺は作者さんもわかってるんじゃないれすか

いきましょう
長いです

>>646-651
つづき

ｷﾀ━━━━ヽ(´д`*)ﾉ━━━━!!!!

＃＃＃

昨晩、新垣からの連絡を受けて指定された場所の前に、僕は立っていた。
しんと静まり返った、ただっ広いフロア。
少しだけ傾いた日差しが差し込んで、大きな窓枠を縁取った影を映す。
その影の伸びた先の一角。
新垣がこの場所を指定したのに、何か意図があるのかどうかは分からない。
それでも僕はこのことをただの偶然だとは思わなかった。

―――僕はまたこの場所で亀井絵里を見つける。

もう二度と悲しい顔で笑わせないために。
もう『ごめんなさい』なんて言わせないために。

―――よしっ。

覚悟を決めて僕は扉をゆっくりと開いた。

―――が、その向こうに見えた光景はなんとも意外なものだった。



「―――うわああっ！
　ごめんなさい！ごめんなさい！
　絵里が悪かったですぅっ！本当にごめんなさい、もうしません！」

…扉を開いた僕が目にしたのは、しゃがみこんでは頭を抱えて、
必死に謝り倒している亀井の姿だった。
何かに脅えたように瞳をぎゅっと閉じているため、
この部屋に入ってきたのが僕だと分かっているかも怪しい。
そして亀井は、なぜだか分からないが学校指定のダサいジャージを着込んでいた。
僕の頭には一瞬にしてたくさんの疑問符が浮かんでいた。

その疑問符のうちの一つ。
人がせっかく『ごめんなさいなんて言わせない』と決死の覚悟を決めてきたにもかかわらず、
早々に繰り出された『ごめんなさい』のラッシュ。
しかしその『ごめんなさい』の言葉の質は、今までのものとどこか違うように感じられた。
今まで亀井が呟いていた『ごめんなさい』は胸が締め付けられるような切ない響きだったが、
目の前で嵐のように繰り返されている『ごめんなさい』は、
どこか切迫した雰囲気があるというか、緊急に迫られて口から出まかせにいっているというか。
その異常なまでの脅え方を見るに見かねた僕は、そーっと声をかけた。

「…あのー、ちょっと、亀井さん？」

僕の声が耳に届いたのか、亀井はぴたりと謝るのをやめて、おそるおそる顔を上げた。
そして僕の顔をキョトンとした表情で見つめる。

「…へ、なんでキミがいるの？　…あれ、”ぐんだん”は？」

”ぐんだん”という言葉が何を意味するのか、瞬時に理解するのは不可能だった。

「…いったい、新垣に何て聞いてきたんだ？　それにその格好、なんでジャージ？」
「えっ？　だ、だって、昨日ガキさんから電話があって…、
　『よくも勝手なマネしてくれたねぇ…
　　実は冬休みに入って、学校から人がいなくなるのをずっと待ってたんだよ…
　　この一ヶ月で結成した”軍団”連れて仕返しに行くから、体育準備室で待ってな！
　　逃げたら承知しないよっ！』…って。
　だから、ああ、絵里、ボッコボコにされちゃうんだなぁって思って。
　じゃあせめて服はボロボロになってもいいやつ着とこうって」

その真剣に思いつめた表情があまりにも滑稽で、僕は思わず吹き出してしまった。
誰がそんな話を信じるというのだろう。
いや、ここに信じたアホガメが一匹いた。
ご丁寧にジャージ姿でスタンバっていた”アホ”が。
僕はこみ上げてくる笑いを抑えることができなかった。

「…ちょっとー、そんなに笑わないでよぉ、絵里、真剣に怖かったんだから」

本当に可笑しかった。
涙が出るほど笑った。
そんな僕の様子につられるようにして、亀井の唇の端がぐっと持ち上がった。
ほんのちょっぴり八重歯を覗かせて。

それはいつの日か、僕が見つけた亀井独特の笑い方だった。

「久しぶりに亀井らしい表情見た気がするよ」
「…絵里らしい表情？」
「ここ最近の亀井は、なんかすっきりしててキレイすぎた」
「…キレイなのダメ？」
「うん、やっぱし、亀井は大人しくすましてるんじゃなくて、
　ニヤニヤ、キモチワルイ笑顔を浮かべててほしい」
「…キモチワルイっていうな」

なんだかずいぶん前にもこんなやりとりをした気がする。
僕の胸に懐かしさと嬉しさが広がっていった。

「…それを言うならキミだってキミらしくなかったよ？
　うじうじしちゃってさー、男のくせに」
「…それは悪うございました」
「キミは絵里のヒーローなんだからもっとシャンとしててよ」
「ヒーロー？」

亀井の口をついて出た意外な言葉に、僕が間抜けな声で聞き返すと、
亀井は、うん、とコックリ頷いた。

「…ねえ、覚えてる？
　去年の文化祭でさ、絵里が本番直前で皆の前から隠れちゃったの」

ああ、と僕は答えた。
覚えてるも何もこの場所がまさしくその隠れ場所だったのだから。
体育準備室とステージは繋がっていて、すなわちここが舞台袖となる。

「このロッカーだった」

亀井は古ぼけたロッカーの前に立って、それに優しく触れた。

「このロッカーの中で絵里は一人で脅えてた。
　あんなに沢山の人の前に立って、まして演技するなんて絶対できないって思った。
　だって、絵里、本当に人見知りで恥ずかしがり屋だったから。
　でもね、そんな自分を変えたいって、ずっと前から思ってたんだよ？」

伏し目がちに、昔を懐かしむように微笑みながら、亀井は淡々と話し続けた。
その甘ったるい声はまるで心地のよい音楽のようで、僕の心に優しい安心感をもたらす。

「だからキミに演劇の役を指名された時は、ひょっとしたらこれがきっかけになるかもって思った。
　口では嫌がってみせてたけど、内心は、よしっ、頑張ってみようって。
　…演劇の練習、すごく楽しかった。
　キミがいたし、ガキさんも優しかったし、何より演技してる間は違う自分になれたから。
　おどおどびくびくしてる”亀井絵里”じゃなくて、破天荒で奇天烈な”エリザベス・キャメイ”になれた」

言いながら、亀井はポーズをとって見せた。
手の甲を自分の頬っぺたに当てるポーズ。
新垣と僕と、そして亀井と３人で考えたポーズだった。
初めの頃、とても恥ずかしげにそのポーズをしていた亀井の姿が、なんとも微笑ましく思い出される。

「…けどね、本番直前になって怖気づいちゃった。
　やっぱり絵里じゃダメだー、って。　皆から絶対変な風に見られるー、って。
　そんなこと考えちゃってたら、いつの間にかロッカーに引き篭もってた。
　絵里ね、昔から狭い場所が好きで落ち着くのね。だから一番近くにあったロッカーに飛び込んだんだと思う。
　あははっ、…変だよね？　そう、絵里、もとから変だったのに、それでも人の目ばっかり気にしてたんだ。
　時間はどんどん過ぎてって、皆が絵里のこと探してるってのも分かってたけど、出れなかった。
　クラスの皆が絵里のことどういう風に思うかなんて考えもしなくて、ただ目の前の怖いことから逃げるのに精一杯で。
　―――でも、キミが見つけてくれた」
　
突如、パッと開かれたロッカーの戸。
そのロッカーは今は使われていないらしく、中は空気の抜けてへこんだバスケットボールが転がってるのと、
もう誰のだか分からないようなジャージが３着ほどかけてあるだけだった。
けれど亀井はその空っぽの埃だらけのロッカーをいとおしそうに眺めた。
ひょっとすると亀井はそこに昔の自分の幻影を見ているのかもしれない。

「光がね、急にパァって差し込んで、その向こうのキミは真っ茶色の顔で、絵里、ちょっと可笑しかった。
　キミはとてもびっくりした表情をしていたけど、すぐに優しい顔に戻って、言ってくれたんだよ」

亀井を見つけたところまでは僕も覚えている。
けど、その次のシーンが僕はどうしても思い出せなかった。
僕の記憶の次のシーンは、亀井のはっちゃけた演技をハラハラしながら舞台袖で見守っている場面。
その間を繋ぐ場面がすっぽりと抜け落ちてしまっているのだ。

すると亀井は「…あの時の演説の続きしよっか？」と言って、急にステージの上へと駆け出した。
突然の行動に驚きながらも、僕も亀井の後を追ってステージに立った。

目の前に広がるのはがらんとした寒々しいフロア。
そこにはあの演説会の時のような数百もの視線などなかった。
ただ、あの日のままで時間が止まっている、僕たちだけがそこに存在した。

亀井は無人のフロアに向かって、誰はばかることなく叫んだ。

「キミの好きなところ、三つ目！
　それは、揺るがない自分を持っているところです！」

声は体育館の端まで届いて、跳ね返ってきたそれが僕の耳に響いた。

「文化祭の本番直前で逃げ出した絵里を見つけるなり、キミはこういいました！」

そこで亀井は叫ぶのをやめて、今度は大事そうに、とても丁寧に言葉を続けた。
　
「『―――もう大丈夫だよ』って。　『ごめん、無理させた』って。
　なんでキミが絵里に謝るんだろうってすごい不思議でした。
　逃げ出したのは絵里のほうなのに。
　それでもキミは、絵里が練習頑張ってたのを誉めてくれて、それだけで十分胸を張っていいって言ってくれました。
　その後、絵里は、演劇を中止にすることを告げるためにステージに向かおうとするキミを必死で止めました。
　そんなことしたらキミが悪者になっちゃう。周りの人から悪口言われちゃうよ、と言いました。
　けどキミは『そんなの、別にいいんだ』って笑いました。
　『人間は他人の弱いところをつつくのが好きなんだ。
　　ミスったり、ちょっと人と違う行動するとすぐに目をつけられて叩かれる。
　　けど、そんなのにいちいち付き合ってたら、自分なんてどこにもいなくなってしまうだろう？』って」

「ああ、この人は強い人なんだって、絵里もこんな風になりたいって思いました。
　そうこうしてたら、皆、舞台袖に戻ってきてて、絵里はいつの間にかステージの上にあがってました。
　絵里、キミの言葉をずっと胸の中で繰り返してました。
　周りの人にどう思われてもいいやっ！って開き直れて、それはステージ降りた後もずっと胸に残ってて。
　その日から、絵里は変われた気がしました。
　やっとで本当の自分になれた気がして、毎日楽しくて、最高の仲間ができて。
　絵里は変われた気がした、けど―――」

亀井は急に口をつぐんだ。
その背中が急に小さくなった気がした。

「…絵里、変わってなんかいなかった。
　絵里は昔の弱い絵里のままでした。
　好きな人に変な告白の仕方して、大切な友達まで怒らせちゃいました。
　せっかくできた最高の仲間も、とっても大切な人も…みんな、絵里のせいで―――」

「そんなことない！」

亀井の言葉を遮るように僕は叫んだ。
このままじゃまた聞きたくない言葉を聞いてしまいそうだったから。
もう『ごめんなさい』なんて言わせないって、そう決めたから。

「亀井は強いよ、強くなった！
　たしかに、あの手紙の件は問題あるかもしれないけど、あれだって亀井なりに新垣を想ってのことだろ？
　そんな行動ができるくらい人を好きになるってすごい事だよ。
　僕にはその気持ちと向き合う勇気すらなかった。
　亀井は僕なんかよりずっと強い、強かったんだよ、最初から！」

亀井はぶんぶんと強く首を振るわせた。
そしてこちらにぐるりと体を向けた。
その顔はなんだかつるんとしていて、僕は表情から亀井の気持ちを読み取ることができなかった。

「演説会の時、キミがくれた原稿読まなかったでしょ？
　…あれ、ささやかな抵抗だったんだよ。
　絵里、アホだから最初、気づかなかった、応援弁士やるっていう意味。
　ただガキさんに追いつこうって思って、キミと一緒に選挙運動やれたら楽しいかなって思ったんだ。
　気づいたのね、演説会の日だったんだよ。それも演説でステージに上がった瞬間。
　遅いっつーのね、あははっ」

あまり好きじゃない笑い方だった。
そんな風に自嘲して笑ってなんかほしくない。

「あー、このままキミが受かっちゃったら、またガキさんと生徒会になるんだー、って思ったら、
　なんかどうしたらいいか分かんなくなっちゃった。
　それで、パッて閃いたの。
　せめて自分の言葉でキミのいいところ喋ろうって。
　せっかく原稿用意してくれたけど、絵里が自分の思ってること話して、
　それでキミが受かるなら、なんかいいかなって思った。
　結果はあんなことになっちゃったけどね…。
　…絵里はヒキョーなんだよ、エヘヘ」

また好きじゃない笑い方。
僕が好きな亀井の笑顔はそんなんじゃないんだ。

「…でもね、応援弁士やったことは後悔してないんだよ？
　だって、あんなに沢山、キミの名前呼べたもん♪」

強がって無理やり笑顔を作ってみせた。
触れたら崩れてしまいそうなほどに脆い、硝子の様な笑顔だった。
その瞳からはすーっと涙が零れ落ちた。
とても冷たそうな硝子の涙だった。

―――あの時は手を引いて、このステージから逃げ出したけど。

僕の背中に今も残る柔らかな感触が、その一歩を踏み出す勇気をくれた。

―――もう僕が逃げる理由なんてどこにもない。

一歩、足を踏み出す。
亀井は僕のその動きにとても不安げにこちらを見つめていた。
また一歩、亀井に近づく。
その距離は手を伸ばせば触れられるところまで縮まっていた。

そして―――



―――僕は背中から生えた翼で、亀井を包み込むように強く抱きしめた。



その偽者の笑顔を壊してしまうように、本物の亀井の笑顔を繋ぎとめるように。

亀井は自分の身に何が起こったのか分からないといったように、ただ口をパクパクさせた。

「えっ？…えっ？……えっ？」

亀井はひたすら驚いていて、声がなかなか言葉にならないようだった。
今まで驚かされぱなっしだったんだから、たまにはこっちが驚かしてもいいだろうと僕は思った。

「…なっ、なんでこんなこと、……するの？」

やっとで言葉を形成したその声はとても上ずっていた。
僕はその質問には答えず、逆に訊き返した。

「亀井、ルール破ったよね？」
「…るーる？」
「『僕から逃げない』ってのと、『なるべく前と同じように接する』っていうの。
　少なくとも、ここ一ヶ月は、僕から逃げてたし、前と同じなんかじゃなかった」

あ…、と亀井は思い出したように小さく声を上げた。
もちろん、そのルールを破ったのは僕も一緒なのだが、今はそのことには目を瞑った。

「だから、僕もルールを破る」

残るもう一つのルールは―――。

そのルールに気づいた亀井が、突然腕の中で暴れだした。

「やだっ！絵里、怖いよっ！
　…怖かったんだ、ずっと、返事聞くのがっ！
　だからあんなルール作って、返事聞かないようにしようって！
　絵里は弱いままなんだ！返事なんていらないっ！
　いらな――――」

言葉を塞ぐように、僕は亀井の細い身体をさらにギュッと強く抱きしめる。

そして、僕は生まれて初めての言葉を捧げた。


「――――――好きだ」


腕に、体に細かな振動を感じた。
亀井が震えているのだった。
僕は、それでも言葉を続けた。

「アホで、ブキミな笑顔で、突飛な行動で僕を困らせる亀井が、亀井絵里が好きなんだ。
　僕の中にそういう気持ちがあったのを気づかせてくれたのは、他でもない、亀井の勇気なんだ」

亀井の震えが止むことはなかった。
それどころか震えるその手で、僕の体をぐいと突き放そうとした。

「やだ…絵里、自信ないよ。
　せっかくキミに新しい自分見つけてもらったのに、結局、絵里、変われなかった。
　…キミにずっと好きでいてもらえる、自信ない」

腕の中から逃れようとする亀井を決して離さないように、
僕はギュッと強く引き寄せた。

「…じゃあ見つける。僕が新しい亀井、いっぱい見つけるから。
　だから側に居てほしいんだ、ずっと」
「でっ、でもっ！……ガキさんもキミのこと―――」
「新垣とは昨日話したんだ。
　新垣の本当の気持ち聞いて、それに応えた。
　新垣、なんとなく気づいてたよ、僕が亀井のこと好きなんじゃないかって。
　言ってたよ、『カメのこと泣かしたりしたら承知しない』って。
　…だから泣くなよ。僕が新垣に怒られる」

「だって………だって………」

亀井の頬を涙がとても美しく伝っていた。
僕はそれをそっと手で拭う。
やっぱりその涙は温かかった。

「嬉しいんだもん、こんな日が来るなんて思わなかったから。
　本当に、本当に―――嬉しい」

そういって亀井は体重を完全に僕に預けた。
僕の腕の中で、亀井の震えが徐々に止まっていくのを感じた。
そして、一言。

「あー…なんで、絵里、こんな大事な時にジャージ着てるんだろ…」

それは実に亀井らしい一言で、僕は笑みを洩らさずにはいられなかった。

「…じゃあ、着替えてくる？」
「…やだ。　もうちょっと、このままでいて？」

今、僕たちは、呼吸も、体温も、心臓のドキドキも一緒で。


―――それは、とても静かで、とても穏やかな時間だった。

亀井と見るのは本当に久しぶりの、いつものベンチから見える風景。
制服に着替えた亀井は、とても嬉しそうに僕と同じ方向を見つめていた。
寒さなんかは少しも感じなかった。

このオンボロのベンチも僕たちの関係の変化に気づいているだろうか？

と、僕の左隣に座る亀井が、突然、「さて、ここで問題です」と切り出してきた。

「今日は誰の誕生日でしょう？」
「天皇誕生日」

僕がわざと間違えると、亀井はただでさえ尖っているアヒル口をさらに尖らせた。
けれど、すぐに表情をコロリと変えた。

「絵里ね、自分の誕生日あんまり好きじゃなかったんだ」
「クリスマスとプレゼント一緒にされるから？」
「そう！ズバリそうなんですっ！
　…でも、初めて好きになれるかも。
　だって、大事な人と、大事な日を続けて過ごせるんだもん。
　それってなんか、よくないですか？」
「…うん、いいんじゃないですか？」
「もー、なんだよー、その気の抜けた返事はー？」

ベンチの中央には、僕らを繋ぐがっちりと結ばれた手。
その手は、今、ここにはいないけど、新垣が繋ぎ合わせてくれたんだと僕は思う。
『アンタたちはほんと仕方ないなぁー』って苦笑いを浮かべる新垣が、僕には見えた気がした。

「プレゼント、別々に頂戴ね？」
「…う、うん」

ちゃっかりとそんな事を言いのける亀井に、僕は焦りの色を隠せなかった。
自分の財布の中身を思い浮かべる。
大丈夫、だよな、多分…。

「…でも今日の分はいいや」
「え、何で？」

聞き返した僕の肩に、亀井の小さな頭がコテンと乗っかった。


「だって、今日は最高の誕生日プレゼントもらったもん♪」


そして、亀井はやっぱりニヤリとヘンな顔をして笑った。

epilogue―――

―――２００６年１０月。

体育館ステージ脇の舞台袖にて。


「あー、ヤバイ、緊張するー、緊張するー、き、ん、ちょ、う、するー」
「分かった、分かったから、ちょっと落ち着け」

男の子の周りを声を上げながらぐるぐると回る女の子。
それを少しうざったそうに、けれど愛しい眼差しで見つめる男の子。

「そうだ、ガキさんがね、仕事抜け出して観に来てくれるって。
　すごい楽しみにしてたよー♪」
「…あいつ、生徒会の仕事いいのかな」

そうぼやいた男の子。
急に思いついたように話しかける女の子。

「ねえ…。キスして？」
「…ば、ばか、いきなり何言ってんだよ」
「そしたら、絵里、頑張れる！」
「…人がいっぱいいるだろ」
「ちぇー、ケチ」

口を尖らせる女の子。
顔を赤らめる男の子。

やがてホールに流れる開幕を告げるアナウンス。

「よし、じゃあ、いってきまーす♪」

舞台へ歩き出す女の子。

「…ちょっと待って」

女の子の腕を掴んで、ぐいと胸元に引き寄せる男の子。

そして―――。


――――――。


「行ってこい、主演女優」


―
―――
――――――

女の子はスポットライトの照らす舞台へと上がる。
唇に残る優しい感触をなぞりながら。
ニヤニヤと笑顔を浮かべて。

―――fin

>>745-762
以上でした

ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

乙です・・・
えりりんおめでとう｡･ﾟ･(ﾉД｀)･ﾟ･｡

最後にチューしやがったなこのﾔﾛｰ！！！！！！１１１

作者さんお疲れ様です

この数週間、この小説が楽しみで毎日の日課になってました

もう1度読み返したくなる作品でした☆

涙が止まらねーぞｺﾉﾔﾛｰ！･ﾟ･(ﾉД｀)･ﾟ･｡
193氏乙です。

ナイスです。起きてて良かった

ちょっと違うけど「恋ING」を思い出しました・・・

乙です

>766と同じです。
毎日毎日どうなるか、とても楽しみでした。
乙です、またあなたの作品を読みたいです。
ありがとうございました乙。

お疲れ様でした。
まさに「登場人物が動いている」ように感じられる作品でした。

内気なえりりんがハッピーエンドを迎えられて良かったなと思う反面、
ガキさんがあの告白の後ベンチで一人泣いてたんだろうなーと考えて少し切なかったりしますが、
エピローグでの様子だと振っ切れたようですね。

ガキさんハッピーエンド篇が掲載されるのかは分かりませんが、次回作に期待しております。
っていうか、今までにどこかで小説を書いておられたとしか思えません。
差し支えなければ教えていただきたい。

作者さん乙！！よかった！
まずゆっくり休んでください。で書く気になってくれたらガキさん編もおねがいします

作者さん、ちゃいこーです。
こんな時間まで読み続けちゃいました。
今年の冬のいい思い出の1つになったよ。
毎日頑張って書いてくれてありがとおおおおおおおおおおおおお！
そして保全して盛り上げてくれてた人たちもちゃいこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！
P.S　がきさああああああああああああああああああああああああああん

ガキさん編もちょっと気になるね
いつか読めるといいな

なんだ小説スレかよ

偶然にも今日はガキ絵里ほうとうの放送日か

だれかまとめてくらはい

http://cgi.linkclub.or.jp/~wave8hz/source/source/lovelove5175.jpg
http://eri12kyamei23.no-ip.org/up/load/VA2846.jpg

>>777
それほうとう？
是非見なければ!!

あげ

バニッシュてなに？

乗り物

まんぞく

今読み終わりました。
作者さんホントに乙です！
久々に娘。小説でドキドキさせてもらいました。

自分も作中の主人公みたく自分の気持ちに素直になれたらいいなぁって思いました。

がきえりチャイコー!!!!!!!!!!

神スレ

軍団山本に対抗して軍団新垣結成希望

誰かもう一度最初からうｐしてくれませんか？ろだがみれないので…

帰ってから読みたいからあげとく

保全age

作者さん、気が向きましたら
以前からお願いしてたマルチエンディングの執筆をお願いします

みんなのために保全しとくよ

自作ができるまで穂

oho

挽回のためにも新垣編必要だな
こんなんじゃ満足できん

>>677のレスをした者だが>>684のレスを見て思い直した
読みたいと言ってる人がいるんだからそれを止める権利は俺にはないわな
>>677の気持ちは変わってないんだがガキさん編書かれたら読んでしまうだろうなぁ

取りあえず作者さん乙

よかったああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！
えりりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんんんんんん
がきさあああああああああああああああああああああんんんんんんんんんんん

ｷﾀ━━━━ヽ(´д`*)ﾉ━━━━!!!!
いいよすごいいいよ
あぁもうなんかその場面場面のｴﾘﾘﾝやｶﾞｷｻﾝの表情を想像して読んでったよ
堪らんかったよ(*´д｀*)ﾊｧﾊｧﾊｧｱﾊｧ
すばらしいものを読ませてもらったよ
作者殿ありがとう

アナザーストーリーあるのかなﾜｸﾃｶ

ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!

>>778 >>788

ただのネタスレかと思ったが、とんだ良スレじゃねえか

最初から読みて〜

須永１軍へ“モー”アピール
ttp://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jan/o20040116_60.htm
幼なじみ亀井に応援来てもらいたい
　１軍入りへ“モー”アピールだ！　日本ハムのドラフト２巡目ルーキー・須永英輝投手（１８）は１６日、
新人合同自主トレで順調な調整ぶりを披露。“ご近所さん”の人気アイドルグループ
「モーニング娘。」のメンバー・亀井絵里（１５）に観戦にきてもらうために、早期の１軍昇格を狙う。

　３歳年下の亀井とは、自宅が近所で東京・荒川区の同じ小学校出身。
人気絶頂となった今でも須永の両親が営む大衆割烹（かっぽう）店によく訪れており、

　　「つい１か月くらい前にも店に来ましたよ」という。
　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　プロの世界に飛びこんだからには、登板試合を観戦してもらいたいのが本音。
「見に来てもらう？　いやいや、無理ですよ」とキャンプは２軍スタートで、
大それたことは言えないと須永は照れ笑いを浮かべたが、プロの水にも徐々に慣れ
「ここまではすごい順調に来ています」と笑顔のルーキー。
１軍で活躍し、トップアイドルに雄姿を見せるその日まで、地道に努力を重ねていく。

　にーちゃん　恥ずかしいよ〜
　　　Ｖ
☆ﾉハヽノハヽ
ﾉﾉ*＾ｰ（　　　 ）　＜　絵里も大きくなったな〜
　　（つ　　と)
　　 (⌒⊃ /
　　（＿）＿）

　　　　　　 ノハヽ
　 　　　　（´Д｀* ） ＜　えりりんの幼なじみ、日本ハム・ファイターズの須永をよろしく
　 ☆ﾉハヽ　と__,　ヽ 　　　　
　 ﾉﾉ*＾ｰ＾)∩(⌒⊃) )) ｶｸｶｸ
　　(二ヽ -"＿,ﾉ(＿つ

１からうｐとか大変だな

txtにしてもしもろだにあげてくんろ

1000までにここにうｐしてくれない

読んでくれた方、レスくれた方、保全してくれてた方、どうもでした
txtファイルまとめたのでもしもろだにあげときます

せっかく投票してもらったんでFUJIYAMA編の方も近々書きます
こっちで飛ばしすぎた感があるんで、同じ勢いを保てるかちょっと不安ですが
まあ、ダラダラ書いていくと思います

>>808
作者さんお疲れ様です
徐々にで良いんで頑張ってください

あと、以前に自分が書いたのを読みたいとおっしゃっていた方がいたので
繋ぎ代わりにひとつ紹介します

えりがき、どっちも関係なくて恐縮ですが
ttp://www.geocities.jp/mossanmatome/の22冊目、『１月１０日』ってやつです
去年書いた美貴様視点の短編です
嫌いじゃなければ読んでみるのも吉

ここのまとめサイトは良作だらけなので、他作者の方のを読みながらのんびり待っててください

>>810
ありがとうございます！
作者さんもしミキで書いてたんですね
自分もこのスレは見てました
と、恐縮ながら少しだけですが書かさせていただいてました

もちろん『１月１０日』も読まさせていただきましたよ
コレも感動したのを覚えてます

気長に待ってますんで頑張ってください

>>810
これの作者だったのか
幼なじみスレはずっと見てたけど、ミキティ視点のってほとんどなかったから妙に印象に残ってたよ

>>810
このスレにまったく関係無くて恐縮なんですが
193氏（以前は73氏か）のごまっとうの続きを書いてる者です
雰囲気ぶち壊してる感がアリアリですが一応覗いてみてください
193氏を10とするならば、自分は0.1未満ですけど・・・

もしもﾐｷﾃｨが幼なじみの隣の娘だったら何冊目？
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1139135594/

1月10日感動した

txt頂きました
これから読みます

>>813
読んでるよー
ヒドい所で止まってて申し訳ないのと、描いてた展開がだいたい一緒でびっくり
自分が広げた風呂敷を、どうまとめてってくれるのか楽しみにしてます

193氏乙！泣かせていただきました
貴方の表現力や描写の上手さにはただただ感心するばかりです
自分も書く側になることもあるので素直に羨ましい限りです・・・

もしも系作者さんの中で三本指に入るほど好きでございます

ほ

感動した！
作者はプロのひとですか？

だれか作者さんだけのまとめサイト作ってくれませんか

ho

ri

え

感動しすぎて鼻血が出た

ho

すっげー感動した！
193氏ありがとう

>>193氏　乙！！
もしミキかぁ懐かしい・・・
オレも何回かショートショート保全書いたなぁ（遠い目）
1月10日も覚えてる！
あんたすげぇ！すげぇよ！！

うむ

やっぱり毎日覗いちゃう保

そして興奮した俺は血尿が出た

そんな俺は血の混じった精液出た。　なんだコレorz

ho

ho

>>831
ちょ・・・それなんて病気？

み

>>831
病院行ったほうがいいんじゃ…いや、マジで。

ho

えり

がき

えり

携帯で初めから見る方法ある？

無い
だれかがまとめサイト作ってくれるの待つしかない

ho

ze

ko

ri

ki

1月10日って何だったかなーって見てみたらすごく好きな作品だったのを思い出した
1周年記念投下祭りが俺の初投稿だったな
6期スレが立ったらネタいっぱい出てくるかなー

ho

ほ

ri

ho

ze

ん？

（　´ Д ｀）＜ぽ

>>831
尿道が炎症起こしてるだけ
一週間くらいオナニー我慢して、握り方擦り方を優しくしなさい
それでも血が出るなら病気かもね

今日もうｐないのかい・・

ho

ze

ほ

ぜ

ん

193氏いるかな？
質問したいんですけどみなさんはよくコンサに行きますか？

ho

>>863
行くよ
君は在宅？

行かないよ
在宅ﾏｸﾘﾝｸﾞだよ

>>866
俺この前の横アリが現場デビューだったけど
現場マジで楽しいぞ

現場はいいぞ〜

絵里もガキさんも可愛いぞ

一休さんﾏﾀﾞｰ

一休さんワロタ

しんえもんさん、呼んだ？

>>863
ハロモニ。もやってないような地方在住者には酷な質問
それでも年一回程度は定期観測しに行きます

今、こめかみの辺りを指でぐりぐりやってるんで夜半過ぎにまた

ｷﾀ━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━!!

あわてな〜い、あわてない、の精神でお待ち致しますので、ゆっくりと構想練ってください！

乙です
俺も地方だけど結構現場は行くよ

ちなみに俺は最近ご無沙汰気味。せっかく毎回コンサやってる地域なのに…
一緒に行く人いないし、そのせいでFC先行を取り忘れるorz

俺一人でも行くよ

コンサなんて5年くらい行ってないなぁ

ho

ほ

ぜ

し

『す』 『き』

えりりん！！

ガキさんだいすっき!!

えりさん
ガキりん

亀垣里絵
新井沙里

>>856
マジレスﾄﾝｸｽ。本気で不安だったよ俺。

『す』『し』

寿司すぎてバカみたい

ではFUJIYAMA編はじめます

>>200-206
つづき

ｷﾀ━━━ﾘ*＾ｰ＾)( ･e･ )━━━ !!!!!

＃＃＃

「いやー、スゴかったねー♪」
「…ああ」
「なかなか乗れるもんじゃないよねー♪」
「…確かにね」
「いい体験したなー♪」
「…ずいぶんと元気そうですね、亀井さん」
「へ？　あー、まー、いやー、ねえ？　あはは……♪」

亀井は頭に手をやって、誤魔化すようにして笑って見せた。
元気なのは、当然といえば当然である。
なぜならば、亀井はジェットコースターに乗っていないからだ。
１時間近く、僕たちと共に並んだまではいい。
しかし、いざマシンに乗り込み、さあ出発と意気込んだ僕と新垣が目にしたのは、
笑顔で手を振って僕らを見送る亀井の姿だった。
突然の和親条約破棄のおかげですっかり不機嫌になってしまった新垣は、
今はふてくされるようにして窓際の席で眠っている。
ちなみに冒頭の会話は、ジェットコースターを降りた後に亀井の希望で行った『トーマスランド』の乗り物の話である。
お子様の視線の冷たさは『スゴかった』し、この年齢になってトーマスなど『なかなか乗れるもんじゃない』。

何故に寿司.DIVA w

「…っていうか、あんな直前で逃げるくらいなら最初から言いなさいよ。
　そしたらお化け屋敷の方に行ったのに」
「…絵里だって、一応覚悟はしてたんだよ？
　でもさ、マシンが目の前に来た時に、『うわぁ、やっぱムリ』って思っちゃったんだよねぇ…。
　ごめんねー、ガキさん♪」

あまり悪びれた素振りもないまま、ご機嫌を伺うように亀井は新垣の寝顔を覗き込んだ。
心なしか眉が八の字に曲げられている気がしないでもない。

「うわぁ、怒ってるのかなぁ？」
「…大丈夫だよ、そんないつまでも根にもつようなヤツじゃないでしょ」
「だよねー、ガキさん、なんだかんだいって、最後は絵里のこと許してくれるし♪」

同い年なのに、それはまるで姉妹のような関係だと思う。
しっかり者だけど、ちょっと抜けてる姉と、それに甘えつつ、ちゃっかりおいしい所をもっていく妹。
そうなると僕は、さしずめそれを見守る親戚の兄ちゃんといったところだろうか。
噛み合っていないようでいて、でもどこかしっくりと来る、この二人の掛け合いを見ているのは好きだった。
だから僕はまだ心のどこかで、このまま三人、今までどおりの関係が続くのを願っているのかもしれない。
いろいろなことを先送りにしてでも。
例えそれが叶わない事だと知っていても。

「…そういえば、あの子供、絵里みたいだったなぁ」

他の乗客が遊び疲れて眠っている中で、亀井はまだまだ元気が余っているようだった。
喋っても喋っても喋り足りないように、口がよく回った。

「子供？」
「ほら、あの迷子のコ」
「ああ、新垣にやたら懐いてた」
「犬の物まねはお気に召さなかったみたいだけどねー」

見事に空振りに終わった新垣の物まねを思い出して、僕と亀井は見合わせて笑った。

「で、どうしてあの子供が亀井と似てるの？」
「高校に入ったばっかりの時の絵里ってね、迷子みたいなもんだったんだよ？
　周り知らない人ばっかりだったしさ、いつも一人ぼっちで、どこに行ったらいいか分かんなかった」

その姿は僕も何度か目にしていた。
亀井が自分の席で、ポツンと一人佇んでいる姿。
女子たちの間に、徐々に形成されていくグループにも入れないでいるようだった。
人が寂しさを感じるのは、何もただ一人でいるからというだけではない。
そりゃ、無人島に一人っきりってのもそれはそれは寂しいだろうけどさ。
教室という閉じられた空間、そこに人が大勢居る中で一人っていうのは、きっと別のキツさがあると思う。

「…ガキさんがね、絵里のこと見つけてくれたんだよ。
　休み時間にね、トコトコと絵里の机の前に来て、今日みたいにね、言ったの。
　『このキャンディー美味しいよ、食べる？』って。
　ガキさん、その後、いろいろ話してくれたんだけど、
　絵里、人と話すの久しぶりだったから緊張しちゃっててほとんど覚えてないんだ。
　けど、そのキャンディーが甘かったのだけはハッキリと覚えてる。
　だからあの迷子のコも、今日もらったキャンディーの味はずっと覚えてると思うよ」

なるほど、と僕は思った。
寂しがりやの迷子とそれを見つけたお姉さんという、
その時出来上がった関係が今もずっと続いているのだ。
ならば、なおさらその関係は壊したくない。
ましてや僕自身がその原因になろうとしているなんて、見たくもない現実だった。
けれど亀井は少し意外な決意を口にした。

「でもね、もうガキさんには甘えないようにしようって思うんだ」
「その割には今日の敵前逃亡を早速チャラにしようとしてましたけど…」
「むぅー、あれは無し、ノーカン。今から甘えないんです！」
「…うん、まあ別にいいと思うけど、それはまたどうして？」
「やっぱり勝負は対等の立場でやりたいから」
「…勝負？」
「そう、キミを賭けての―――」

そこまで言いかけて、亀井はハッと口を押さえた。
言ってはいけないことを言ってしまったという、分かりやすすぎるリアクション。
僕は亀井のその言葉に動揺を隠せなかった。


―――僕を賭けての………勝負！？

「し、知ってたのか、新垣からの手紙のこと！？」
「え、えーと、知ってた……、というか、あれは絵里が………、
　って、い、いや、違くって………う、うん、知ってたよ！
　ぐ、偶然見ちゃったの、ガキさんがキミの靴箱に手紙入れてるとこ」

なんということだ。
どうやら僕の推理はすっかり読み違えていたようだった。
僕はてっきり新垣と亀井はお互いの気持ちについてはまったく知らないものと思い込んでいたのだが。

「じゃあ、それと同じ日に僕に……ゴホン、えー、告白、したのも偶然じゃなくて…」
「そ、そう、ホントは全然電話するつもりなんかなかったんだけど、
　ガキさん見たら、焦っちゃった、っていうか」

そうだよな。
今、思えばあんな偶然あるわけないもんな。
新垣の行動がきっかけで、亀井が動いたというのならば説明がつくというものだ。
ん、となると…？

「…新垣は知ってるの？　亀井が僕に……えーと……告白、したこと」
「それは知らないよ！ガキさんは何にも知らない」
「…何にも？」
「え、えーと、何にもっていうのは…絵里が…告白…した事も、
　絵里がキミの事…………好き……っていうのも」

それを聞いて、僕は眉をひそめた。
余計なことだとは思いながらも、言わずにはいられなかった。

「…あのさ、当事者の僕が言うのもなんだけど、新垣にもちゃんと知らせたほうがいいんじゃないの？
　亀井だけが新垣の気持ち知ってるって言うのは不公平のような気がする」
「…不公平っていうなら、ガキさんもずるいよっ！
　ガキさん、中学校の時からキミのこと知ってるのに、絵里は高校入ってからなんだよ？」

少し大きめに出された声は、エンジン音のおかげで目立たずに済んだ。
照明に反射した亀井の瞳が少し潤んでいるように見える。
そんな事を言われてしまっては、僕は何も言い返せない。

「……絵里、もう寝る」

亀井は、ふてくされた子供みたいに言って、僕に背を向けるようにしてシートに身を委ねた。
その横では、やっぱり少し眉を歪ませた新垣が瞳を閉じていた。
一人、現の世界に取り残された僕は、新しく知りえた事実を頭の中で整理しようと試みた。
しかしその思考はうまくまとまってくれそうもない。
目を閉じてみても眠れそうになかった。持ってきた文庫も開く気にもならない。
亀井の話し声が無くなった車内には、ただバスの走行音が響いていて。
僕はその音にじっと耳を傾けていた。

>>891-897
以上です

こっちもなんだかいい展開。
作者氏乙。

ふぉ

作者さんお疲れ様です　相変わらず読みやすいです

>>865
たまに行きますよ
土日がちょっと用事がある事が多いのであまり行けないですが
近くに来た時は行くようにしてます

>>866
一回アノ雰囲気を味あわせてあげたいｗ

>>867
現場デビューおめ！
次回はどこに行くんですかね？
もしかしたら横アリですれ違ってるかもしれないですね

>>872
地方の辛さはよ〜くわかります
数年前までは自分もハロモニが見れない地域でしたから

>>874
遠征も結構楽しいですよね
まだ数回しかしたことないですけど

>>875-876
自分もほぼ一人ですよ
行き帰りが少し寂しいものがあしますけど
コンサ中はステージに夢中ですからねｗ
ま〜でも正直ヲタ友欲しいですね

>>877
久しぶりに行ったらハマっちゃうかもですね
自分もその口でした

と、夜中にウザイ位のレス申し訳〜

アナザーストーリーもいい感じですねぇ
続き待ってます！

乙です！

いい感じの出だしですね
>>896でえりりんが言い直した部分が気になりますが、いずれ明らかになるんでしょうね　期待してます

乙です

ho

も

げ

ho

ze

n

ﾌｼﾞﾔﾏ編良い！
続きが気になりますねー

作者さん乙です！

ほ

り

え

も

ん

り

http://mataorawotaka.raputax.com/mirai/img/tihi0603.jpg

「…あのさ、当事者の僕が言うのもなんだけど、新垣にもちゃんと知らせたほうがいいんじゃないの？
　亀井だけが新垣の気持ち知ってるって言うのは不公平のような気がする」


お化け屋敷編の方をラストまで読んじゃったからかもしれないけど、主人公のこのセリフがなんとなく気に障ったというか
ちょっとショック
亀井編の主人公とは別人って割り切って呼んだほうがいいんですかねやっぱ
って横槍スマソ
続き楽しみにしてます

>>921
呼んだ→読んだ

>>921
言われてみれば確かに告白されて悩んでる人物の発言にしては調子乗り杉かも
三角関係を楽しんでるっぽい印象があるよね
でもこのときの主人公は二人から同時に告られて浮かれモードだったって思えば
大して気にならないんじゃない？

フジヤマ編と前回の亀井エンドは完全な別物と割り切った方がいいと思うよ
むしろそうであった方が面白いし

主人公のその発言「新垣にもちゃんと知らせたほうがいいんじゃないの？」の部分が、
実際に知らせたら三角関係をさらに悪化させることになるから
読んでて気になったって意味か>>921
納得した
別に悪意は無くて、単にこの主人公は鈍感なやつなんだよきっと

>>921
俺は読んでて気にならなかったけど、そう言われてみればそうだな
>>925の通り、主人公が鈍感なんだと思う

>>921
言われてみて、ミスった事に気づいた
新垣と亀井がお互いの気持ちを知らないと主人公が考えた根拠として
一方が相手の気持ちを知りながらアタックをかけるようなことはしないと信じてる点があるんすよ
ようするにどっちも抜け駆けをするような性格ではないと　
で、今回亀井が喋った内容がそれに反しているから戒めるという意味での件のセリフだったんだけど
別にこれ、抜け駆けではなかったね
一方的に相手の気持ちを知ってる→抜け駆けじゃー！と何故か思ってしまったのがミスの原因でした

なるべく話の整合性は保とうとはしてるけど、書いてる側もたまに混乱するんで
ひょっとしたら>>924のように考えてくれたほうがいいかもしれない

とりあえず主人公鈍感解釈で乗り切っていただければ、ありがたいことです

以上、長々と言い訳

>>927
ドンマイですよ!!
主人公のこれまでの言動を見れば、かなり鈍感なのは間違いないしｗ

抜け駆けかどうかはえりりんの>>896での発言で前フリしてると感じたので、もう少し見守りたいと思います

これからも楽しみにしてますんで、無理せずゆっくりと執筆してくださいね

ho

ho

主人公は物語の中を生きている
その人の生き様をあーだこーだ言ってもしゃーない

>>931
それを言ってしまったら、小説系スレの存在価値って…

小説ｽﾚの存在価値＝作者のオナニー

実は以前「プールの季節」のスレで小説を書いていた者ですが、
今日偶然このスレを発見した時は、何か探していた宝物がようやく見つかったみたいな気分です。

で、2時間くらい時間をかけてじっくりと読まさせていただきました。
193さん、影ながら応援してますんで頑張ってください。
えりりん編のラスト良かったですよ。
ガキさん編も楽しみにしてます。


自分も話のネタはあるんだけど、転職してから書く時間が･･･（＾＾；

うぇちょちょちょﾌﾟｰﾙｽﾚの作者ｷﾀｺﾚ！！！！１１１

>>934

おか絵里なさい。
今は時間がないではなく作品を温める時期では？
氏の作品は最高でした。
いつかまたお願いします。

934です。
あ、申し忘れましたが、ちなみに「真夜中の校舎」の方です。

おやすミキティ〜

「真夜中の校舎」はまとめスレで読まさせていただきました
たっぷりと青さと痛みを味あわせていただきました
ごちそうさまでした

>>891-897
つづき

＃＃＃

学校生活というのはまるで長い川みたいなものだと思う。
そこに通う生徒たちは、その川の上を行く舟のようで。
舟には、不安だとか悩みだとか、そういった名前の荷物を積んで進む。
時々流れが激しくなったり、障害物があったり、支流に分かれていたりするものの、
基本的には流れにぽかんと乗っかって、漂っていれば海に出る、すなわち卒業だ。
僕はなるべく荷物を積まずに、なるべく穏やかな流れに乗っかってその川を進みたかったのだが、
何の因果か、激しい流れに身を委ねることもしばしばだった。
今、文化祭という激しい流れを乗り越えて、再び僕は穏やかな流れに漂う。
しかし、流れが穏やかになると、途端に、積み込まれていた荷物の重さが気になったりするものだ。
急流に流されている時は気にならなかったその積荷が、急に重みを増す。

―――ところが本日、その積荷が一つ、消え去ることとなった。
それも、すごくあっさりと。
意外な形で。

このベンチが３人分の重みに耐えるのは久しぶりのことだった。
新垣が文化祭の演劇練習を昼休みに始めて以来だから、約２週間ほどだろうか。
気づくと、吹く風にも少しずつ冬の香りが混じっているような気がする。

この３人でこうして顔をつき合わせていることの危うさを、僕は改めて噛みしめていた。
それは昨日、バスの車内で交わした亀井との会話がもたらしたものである。
頭の中に描いていた僕らの関係図を少々修正しなけらばならなかった。
今までの関係図は新垣と亀井の気持ちが僕に向いていて、
その二人は友達同士でお互いの気持ちは知らない、といった感じ。
こんなことを自分でいってしまうのも赤面ものだが、俗に言う三角関係というやつである。
基本的にその構図は変わらないものの、修正を加える部分は新垣と亀井の間だ。
新垣は亀井の気持ちを知らず、亀井は新垣にほんのちょっとのライバル意識を持っている。
その違いを知っただけで、こうも緊張感が生まれるとは。
それでもどうにかこうにか僕は普段通りの振る舞いで平静を装っていた。

「そういやさぁ、新垣、また生徒会やるんだな」

今朝、昇降口の掲示板に生徒会役員選挙の公示があった。
新垣が立候補していたことを、僕はそこに書かれていた文字で初めて知ったのだった。

「うん、今、生徒会やってるコに頼まれちゃってね、人数足りないって。
　実はまだもう一人分、足りないんだよね。誰かやってくれる人が出てくればいいんだけど」

ふーん、と頷いて、その言葉を聞き流した僕だったが、新垣のやけにあっさりとした態度に、
心のどこかで違和感を感じずにはいられなかった。

今までの新垣からすると、人数が足りていないのであれば僕に声が掛かってもおかしくないところである。
事によると勝手に立候補を申し込まれているケースすら容易に想像できる。

…まあ、新垣もようやく人を巻き込むことの罪というものに気づいたのかもしれない。
そうか、ようやく、僕は晴れて自由の身になったのだ。
ビバ、この支配からの卒業。
ビバ、マイペースな学校生活。

「あ、じゃあガキさんが受かったら生徒会室に遊びに行こう！」
「カ〜メ、生徒会室は遊ぶところじゃないのっ」
「…中学ん時は十分遊んでたけどな」

中学校の生徒会室は、それはひどいものだった。
アイドルのポスターとガンプラが同居している空間。
そこで僕は本を読んでたり、傍らでは女子の役員が編み物をしてたりと、まあやりたい放題だった。
新垣はここの生徒会室にもポスターをベタ貼りするのだろうか。

―――僕の頭に一瞬、風景が浮かんだ。

四方八方ポスターに囲まれた部屋。
それは文化祭のクラス展示の関係で何度か足を踏み入れたことのある、この高校の生徒会室だった。
そこで好きなアイドルの曲の振りまねをしている新垣。
その傍らには―――本を読んでいる僕の姿が見えた。

…いったい何を考えているんだ。
僕はもう新垣の支配からは逃れたんだ。
首をプルプルと振って、その風景をかき消した。
そして僕は話題を変えるために、声高に切り出した。

「あのさ、もうそろそろ屋上に集まるのは厳しくない？」
「あー、そうかもねー」

確実に僕たちをこの場所から追い出そうとしている冷たい風を、
―――目には見えないけれど―――睨みながら亀井が頷いた。
去年は３人ともクラスが同じだったから場所を探すなんていう必要はなかったのだが、今は訳が違う。
僕と亀井は、使えそうな教室をあれこれ思案した。
が、どれも先客がいそうで、なかなか理想の移民先は浮かばなかった。

「やっぱ生徒会室だ！」
「…それはダメだろ、さすがに」

中学校の時、生徒会室はまるで僕たちの部屋だった。
自分の部屋に知らないヤツがずかずかと入り込んできたら、腹が立つだろう。
高校でもそういうものなのかどうかは分からないが、
やっぱりまったくの部外者がのうのうとお昼ご飯を食べていい場所ではない気がする。

と、はじめ、目の前で繰り広げられている僕たちのうだつの上がらない会話をぼんやりと見守っていた新垣だったが、
腕を組んで少し考えた素振りを見せた後、唐突に会話に割って入った。

「ねえ、それよりさ、カメ、私に何か隠してない？」

亀井の肩がギクリと強張った。

>>939-942
書けたとこまで

明日でこのスレ最後か
はたまた次スレになってるのか

とりあえず見つけたスレに書きます

作者さん乙です

とりあえず保全
次スレの準備はしといたほうがいいな
このスレの小説の保存＆うｐもよろしく

作者さん乙
ﾜｸﾃｶしながら寝るよ