もし矢口が気の強い姉さんだったら 17

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41ぷいぷい ◆MariW.4Klg


続かない会話が不自然な静寂をつくっていたが、それを破ったのは、
しばらくして聞こえてきた階下からの騒がしい黄色い声だった。
「えー・・・まりがぁ?」
「・・・きゃはは!」
階段をのぼる音がドタドタする。
絵里ちゃんの静かさとえらい違い。
美貴さんが帰ってきたみたいだ。姉貴もいっしょのようだ。
騒々しい一団は隣の部屋に入っていった。
「お姉ちゃん、帰ってきたみたい」
「そうだね」
「矢口くんのお姉さんもいっしょみたいね」
「うん・・・いつも、ごめんな」
「なにが?」
「姉貴、やかましいだろ?」
「ううん。それはうちもいっしょだから」
姉貴たちのおかげで、あたりさわりのない話題ができた。
感謝しなきゃいけないかな。
「絵里ぃ、入るよぉ」
あ、美貴さん。
貴「あのさぁ、パソコン・・・って、なんでレイプ魔がいるのよぉ!」
42ぷいぷい ◆MariW.4Klg :2005/09/03(土) 08:25:08 0
絵「えっ?」
絵里ちゃんがびっくりして俺のほうを見る。
もう、石川さんから情報がまわってるのか。
真「えー、○○、こんどは絵里ちゃんを狙ってるのかぁ、きゃはは!」
姉貴も加勢。
岡「へー、これが噂の○○くんなんやー」
三「真里の弟くん?こんにちわ」
なんか、知らないひともいる。
貴「梨華ぁ、○○いるよー。反撃しないの?」
岡「せやせや。リンチするで」
貴「梨華のあだ討ち」
三「目には目を」
岡「ハンムラビ法典や」
絵「歯には歯を・・・で、レイプってなんですかぁ?」
貴「あのね、こいつ、梨華ちゃんを犯したの」
絵「えっ?まさか・・・」
貴「本人に聞いてみる?」
絵「そんな・・・」
俺「ちがうんだ!」
最終的にはちょっと強引だったけど、あれはどう見ても、石川さんが誘ってるだろう。
貴「キケンだから離れな」
絵里ちゃんは座ったまま、顔をしかめてちょっと後ろに移動した。
貴「梨華ちゃんから聞いてるわよ。しめてやる!」
43ぷいぷい ◆MariW.4Klg :2005/09/03(土) 08:25:58 0
美貴さんが今にも飛び掛ってこようかというとき、
それを制止する声が上がった。姉貴だった。
真「ちょっと待ってよー」
姉貴!
真「なんか、○○だけが一方的に悪いわけじゃないと思う」
貴「なんでよ」
真「だって、梨華だって、部屋に入れてるわけだし」
貴「そりゃそうだけど」
真「それに、前回、あんなにノリノリで手コキしてたわけだしさー」
貴「まあね」
真「とりあえず、○○の話も聞かない?」
貴「それはいいけど」
真「ほら、オタクローも言ってたじゃん。罪刑ホウケイ主義」
岡「罪刑法定主義」
真「それそれ」
三「それもちょっと違うと思うけど」
真「だからさ、当事者が二人いるんだから」
貴「じゃあ、弾劾裁判ね」
真「そんな感じかな」
岡「めっちゃおもしろそう」
貴「いいじゃない?」
三「わたしたち、陪審ね」
岡「美貴が検察で、真里が弁護人やな」
真「絵里ちゃんは?」
絵「えーと、えーと」
岡「裁判官がおらへん」
真「あー、そうかー」
44ぷいぷい ◆MariW.4Klg :2005/09/03(土) 08:26:31 0
貴「じゃあ、とりあえず、絵里が裁判長」
絵「そんな、絵里、なにもわかんないし」
貴「とりあえずよ、とりあえず」
岡「絵里ちゃんの部屋が裁判所なんやし、それでええやん」
絵「えっ、ここで?」
三「こっちのほうが広いしね」
貴「おなじ四畳半よ」
真「うっそー、きゃはは」
貴「どういう意味よ」
真「いや、なんでもないけど、みんなそう思ってると思う」
貴「確かにちょっと汚いわよ」
梨「ちょっと、みんな、遊びじゃないんだから」
石川さんがやっとこっちにやってきた。
目線をそらされた。
真「原告登場!」
岡「刑事の原告は検察官やで」
真「?」
梨「そいつ、信じらんないんだから」
真「まあまあ、とにかく座んなよ」
梨「弟だから庇うのね」
貴「とにかくさ・・・。裁判長、お茶持ってきて、人数分。お菓子も」
真「裁判長をあそこで使って、つえー」
三「"あそこ"じゃなくって"あご"で使う、ね」
45ぷいぷい ◆MariW.4Klg :2005/09/03(土) 08:27:21 0
絵里ちゃんが部屋を出る。
真「○○は、絵梨香と唯、はじめてだよね」
俺「う、うん」
真「えっとね、こっちが絵梨香で、あっちが唯。おんなじクラス」
三「真里からいろいろ聞いてるよ。よろしくね」
岡「はじめまして、って、うち、○○くんの精子とは対面してんねんけどな」
俺「あ、どうも・・・」
いきなり「精子と対面してる」とか言われて、どう返したらいいんだ。
真「これが、弟でーす」
岡「へー。けっこう、お姉さん似?」
真「え、やだ、どこがー?」
岡「目ぇのあたりとか、なんとなく」
三「うんうん」
岡「せやけど、それ以上に・・・」
真「ん?」
岡「手ぇ早いところ」
真「きゃはははは」
岡「生も好きやし」
貴「そうよねー」
真「きゃははは」
三「ほんとにぃ?」
梨「ちょっと、みんな、冗談じゃないんだから!」
貴「ごめん、ほんとにそうよね」
急に静かになり、みんなの冷たい視線が一斉に注がれる。
梨「ほんと、生でなんて、彼にだってさせないんだから」
貴「うん・・・美貴も最近、生じゃしないな」
三「ちょっと怖い」
岡「このまえ、○○くんの精子、元気よかったしなー」
46ぷいぷい ◆MariW.4Klg :2005/09/03(土) 08:27:54 0
真「でも、けっこう大丈夫じゃんか」
梨「もう、お姉ちゃんがシッカリしないから、こうなったんだからね」
真「なんかおいらが悪いみたいじゃんか」
梨「ある意味そうなんだから」
真「でも、おいらの言うことを聞く聞かないは○○の自由だし」
梨「責任放棄?」
貴「もう、ふたりとも、喧嘩したって解決しないじゃない?」
梨「だけどさあ」
岡「うちらが公平に制裁したるから」
梨「うん・・・」
絵里ちゃんが戻ってきた。
紙コップと麦茶のペットボトル。それから割れた煎餅の山。
貴「絵里ぃ、もっとマシなのなかったの?」
絵「だって、お母さんが『これで十分でしょ』って」
貴「くそばばぁ・・・」
真「おいらは好きだよ」
姉貴が煎餅を鷲づかみにして、小さい口に豪快に頬張る。
絵里ちゃんが美貴さんの隣に座ろうとする。
貴「狭いから、あんた猫のとこいきなよ」
絵「ベッド?」
岡「裁判長やから、高いところがええわ」
三「被告人は?」
貴「梨華から遠くて、真里の隣・・・」
真「いまの場所でいいじゃん?」
貴「そうね。じゃあ、唯と絵梨香がベッドの下」
俺は絵里ちゃんとちょうど向かい合うかたちになる。
左手に美貴さん・石川さん。右隣は姉ちゃんだ。