早速乙
3 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 09:06:31 0
4 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 09:31:32 0
まだまだ続くよ
5 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 09:42:09 0
くこか!
保全しちゃうもん
ねー?
\ヽ //
〃ノハヾヽ 〃ノハヾヽ
从*・ 。.・) (・ 。.・*从
即死判定ってあるの?
8 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 11:46:06 0
知らない
9 :
07001110479570_ag:2005/08/02(火) 12:46:42 O
保全
10 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 12:48:14 0
新スレおめこ
11 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 13:21:12 0
出先からも保全してやる
12 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 14:11:16 0
落ちない
保全します
14 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 15:06:24 0
保全
从*・ 。.・)未婚の母なの?
16 :
【真夜中の校舎】:2005/08/02(火) 16:03:29 0
スレ立てありがとうございます。
更新は明日になりますが、宜しくお願いします。
了解保全
18 :
名無し募:2005/08/02(火) 17:07:08 O
んあ?
ho
20 :
350228001415069:2005/08/02(火) 18:58:51 O
期待
もうすぐ8月・・・自分の28回目の誕生日が来る。
正直今年に限って自分の誕生日なんてどうでもいいと思った。
去年までは特別に感じる大切な誕生日が、今年に限っては自分にとっては何も変哲も無いただの誕生日。
理由は明確だ。
3ヶ月前に長年付き合った彼女とついに別れてしまった。
思い当たる節はいくらでもある。
いや、むしろあり過ぎたくらいだ。
28にもなって定職に就いてない契約社員だし、就職活動しても面接して落ちた会社の数は30社以上・・・。
有名私大卒のはずだけど、売れない役者やってたからその間はフリーターと何ら変わりない。
おまけにモーヲタときたもんだ。
彼女に会う時間割いてコンサに行ってるようじゃ世話無いw
今にして思えば役者活動辞めた時かな・・・彼女が自分に対する愛が冷めてしまったのは。
何でこんなことに・・・人生の選択誤ったかなと、そんなことを考えてる毎日。
そんなある日毎日2chの狼を覗くのが日課なんだけど、ふと心が温まるスレを見つけました。
それが・・・ここのスレです。
何か小説と言うよりは、ちょっと心温まる物語って感じがしてお気に入りかな。
そんなわけで自分が昔体験した話をちょっとだけここのスレに合わせて書いてみたいと思います。
【真夜中の校舎】
「暑いな・・・。」
今年は記録的な猛暑らしい。
毎年夏場はエアコンも効かない視聴覚室で部活してるんだけども、今年ばかりはどうも耐えられそうに無い。
よりによって高校3年の引退が迫った大会の時に。
自分は演劇部に在籍している高校3年生。
次の夏の地区大会の公演が最後になる。
本当だったら4月で引退だけど、今年は新入部員が少なく3年生まで借り出される始末。
自分はいつもだったら舞台装置担当なのに、今回に限っては役者で出るハメになってしまった。
勿論地区大会から県大会、さらに関東大会から全国大会にまで進出してしまえば、その分引退が遅れることになる。
確か全国大会は年始だったよな・・・
そんなことを考えた時点でウチの演劇部がよくて県大会までしか行ったことがないのに、いきなり全国大会なんか行ける訳が無い。
それに自分の受験にもひびく訳だし・・・。
でもそれでも正直良いかなと思った。
その分アイツと一緒にいられる訳だから・・・。
視聴覚室の別室に当たる準備室でひとり台本を読んでたつもりが、
暑さのせいかついアイツのことを考えるようになってしまった。
そんなボーッとしてるときにアイツが声かけてきた。
「どう、台詞覚えた?」
「あ・・・亀井・・・。」
「さっき私の出るシーンの稽古が終わったから、個人練習付き合うよ。」
「悪いな・・・なんか。」
「いいの、いいの。それよりせっかく最後の最後で大役もらえたんだから、しっかりね!」
自分は恥ずかしい話、芸能界という世界に少なからずとも興味を持ってた。
だけどこんな片田舎の町から芸能活動なんてあり得ないし、だったらせめて芝居だけでも経験してみたいなと思って入ったのが演劇部だった。
更に恥ずかしい話、役者をやりたかったのに何故かいつも自分が担当するのは舞台装置ばかり。
手先の器用さが災いして、いつも役者やりたいと思っていても結局舞台装置担当に落ち着いてしまう。
そんな自分が最後の最後で役者に抜擢された。
主演とまでは行かないが準主演みたいな感じで。
またまた恥ずかしい話、3年生にて初めて本格的な役をやる訳だから、正直経験も何もあったもんじゃなく、
練習でいつもいつも後輩から突っ込まれているわけだから立場的にもしんどい。
そんな自分を見て同じ3年生の亀井はいつも声をかけてくれる。
「じゃ、やってみようか。」
このシーンは台詞が凄く長い・・・1ページはまるまるあるw
一応相手役は亀井なんだけど、ここでの彼女は聞き役に徹しているため台詞はほんのちょっとだけ。
とりあえず台詞は頭に叩き込んであるはずだから、体当たり的に台詞を発してみる。
・・・しかし、ものの数行目で止められてしまった。
「ダメだよ、これじゃ会話として成り立ってないジャン。私の台詞聞いてる?
言葉と言葉の受け答えがしっかりしてないと、ただの朗読だよ、そんなの。」
「・・・ゴメン。」
毎回このシーンで自分はいつも顧問の先生に怒鳴られる。
かなり鬱だ。
「台詞覚えるのでいっぱいいっぱいでしょ。
覚えるだけだったら誰にも出来るよ。しゃべるのも誰にだって出来るよ。
それを踏まえた上で感情入れていくのが一番難しいんだから、もうちょっと台詞頭に叩き込んで。」
「・・・わかった。」
何時の間にか暑いという感覚すら忘れてた。
(これが抜けてた)
本番まで3日後・・・
明日はリハ、明後日は会場まで荷物を搬入しゲネリハを行う。
時間は今日までしかないのだ。
「明日が最後のリハか・・・。」
部活の帰り道、ぼんやりと夜空を見つめながらそんなことを呟いてしまった。
隣には余裕な表情を見せる亀井。
「大丈夫だって。」
何を根拠にそんなこと言ってんだよ・・・。
そう思いながらも卑屈になりすぎてしまっている自分がいた。
でも、正直この重圧から逃れたい。
役者やることがこんなプレッシャーになるくらいだったら、舞台装置のままで良かったかな・・・みんなにも迷惑かかんねえだろうし。
そんなときに亀井が話し掛けてきた。
「ねえ、もうすぐ誕生日だよね。」
「ん?ああ。」
「無事に18年過ごしてきた?」
自分は亀井がいきなり突拍子も無いこと聞いてくるもんで、その内容をなかなか把握出来ずにいた。
でも、とりあえず・・・訳判らないけど、今こうして無事に自分がいるわけだから、ここはとりあえず「ああ。」と軽く答えておいただけだった。
「そっか、それなら大丈夫だよ。きっと乗り越えられるから。」
勿論このときの自分も最初亀井が何でこんな事を言っているのかが判らなかった。
だけど後々になってそれがとても重い言葉だったとはまだ想像だにしなかった。
ときどき亀井はヘンなことや意味不明なことを口走ったりするが、自分は亀井のそういったところが結構好きだったりもする。
いつも部活が終わった後、こうして帰り道・・・というかバスの方向が同じなので途中まで一緒に帰っている。
自分は一日の中で一番楽しい瞬間でもある。
亀井とは正直部活の中での付き合いでしかない。
クラスは一緒になった事は無いし、プライベートでも一緒になって遊んだ事が無い。
そんな亀井と唯一一緒になれる瞬間がこの帰り道。
だけどその帰り道もあと少ししたらもう終わってしまうのが何より悲しい。
何か本番が近いというのに、いろいろなことが頭の中を横切る。
ちょっと・・・いや、かなり切ない。
バス停に着いた。
終バスももうすぐ来る。
それまでは普通に地区大会の事、今の稽古のことなど、部活中心で話してたことに対して別の感情が徐々に出てきた。
帰りたくないな・・・。
もうちょっとだけ亀井と一緒にいたかった。
亀井はそんな自分の気持ちを知らずに相変わらず、自分の演技に対する指摘ばかりしてくる。
しょうがないか・・・学年は同じでも1年の時から先輩差し置いてずっと役者やってたからな、そこだけは自分にとっては先輩だ。
亀井は可愛いせいかやはりヒロイン受けがいい。
しかも独特の透明感があり、固定的なイメージが湧かないのだ。
つまりはどんな役に対してもクリアに受け止められる才能があるのだ。
自分も亀井のような才能があればな・・・そう思っているうちにバスがきた。
「どう、わかった?」
「へ?」
しまった・・・頭の中をいろんな感情が横切りすぎて、亀井の話をあまり聞いていなかった。
とりあえず適当に合わせとけw
「いや・・・正直頭では理解してても、体の方がね。もうちょっと亀井に練習見てもらえる時間があればなって思うよ。」
「そう・・・。」
「でもリハは明日だし、そんな時間無いしな。亀井も明日は大変だからとりあえず自分のことは自分で何とかするよ。」
「力になれなくてゴメンね。」
「いいって。今までありがと。」
(今までか・・・)
亀井がふとこぼしたその言葉はバスの騒音で、その先何て言ったか聞き取れなかった。
終バスが来た。
目の前で止まる。
ドアが開き乗り込もうとするそのとき、袖が何かに引っかかった感触を感じた。
いや・・・引っかかったんじゃない、亀井が自分のYシャツの袖を引っ張ってたのだ。
「練習・・・していく?時間がくるまで。」
気がついたら終バスはとっくに過ぎ去っていた。
バス停には自分と亀井の2人だけがそこにいる。
しばらくの間沈黙が続いた。
ようやく自分が口を動かせたのはそれからしばらく経ってからのこと、「どうして・・・」という一言だけだった。
「どうして・・・。」
「練習・・・したいんでしょ?」
「ああ・・・。でも、でもどうして終バス逃してまで・・・。」
「どうしてだろうね。ねえ・・・一旦学校に戻ろうか。」
そして、自分たちは行った道を戻るかのようにしてまた学校の方へ足を向けていた。
また妙な沈黙が続く。
自分はこの不思議な空間にただただ黙って下をうつむくだけだった。
練習だけでなんで終バスに乗らなかったんだろう?
ひょっとしたら亀井も自分のこと・・・。
微かな期待のみが心臓の鼓動を早くする。
その鼓動に駆られてか、思わず亀井に話し掛けてしまう。
「なあ、亀井。」
「ん、何?」
「その・・・両親に連絡しなくていいのか?いくらなんでも心配するだろ。」
「そうだね。連絡しとくか。」
「何て言う?」
「テキトーに友達んち泊まるって言っとくよ。」
「俺もそうするわ。」
それからしばらくして近くにあった公衆電話からお互いの家に連絡した。
まあ大会が近いということもあり、部長の家でミーティングしながら泊まるといった感じで納得してもらえた。
「うん・・・そんな感じで。じゃまた連絡するね。」
「大丈夫だった?」
「うん。じゃ、行こうか。」
それからしばらくして亀井がまた話し掛けてくる。
「ほんとはね。」
「何?」
「普通にこのまま夏休みが終わったらなんか厭ジャン。」
「どうしたんだよ、急に。」
「今度の地区予選って、夏休みの最後に当たるわけじゃん。部活の合間に夏休みの宿題にとりかかったりで・・・
正直アタシも息詰まりそうなんだよね。自分の時間が全く取れないし、帰る時間もいつも終バスだったりとかさあ・・・。」
「・・・・・。」
「だから最後くらいはちょっと遊びたいなーって思うわけジャン、何か。」
そのとき急に亀井が悪戯っぽく上目使いで自分のことを見てきた。
何か誤魔化そうとする時はいつもこうだw
普通に聞けば「アレ、自分の練習は?ダシにされてんの?」
と思うような内容かもしれないが、そんなことはどうでもよかった。
「遊ぶって何を?」
「真夜中の校舎って何か面白そうじゃない?」
そういえば去年の合宿を思い出す。
去年、学校で合宿をやったときはこんな感じで同級生のみんなと一緒に合宿所から抜け出して、
夜の校舎を探索ながらいろんな話したっけな。
そのとき亀井がいつも以上にはしゃいでいたのを思い出した。
遊ぶ場所と言って学校と聞くと???って感じかもしれないが、いつも部活ばかりで時間も無く
しかもこんな田舎町じゃ、遊び場と言えば海と学校しかなかった。
実は真夜中こうして学校に侵入するのも今回が初めての事じゃないし、
いつもは授業をサボる場所として部室兼視聴覚室を利用している。
視聴覚室の大画面でスーファミやったり、洋楽のライブビデオ観たり・・・時には野郎揃ってAV鑑賞会ってのもあったw
だからこの時期たまに同級生同士で、普通に部活に帰るふりをしてそのまま学校に残って花火やったりとかはあった。
ただ今回違うのは・・・他の同級生のほとんどが学業優先というか受験の為に部活には参加していない。
つまりは・・・自分と亀井、2人だけ。
「ゴメンね、何かこんな時間に付き合わしちゃったみたいで・・・。」
「いいって、別に。」
校門はもう閉まっているので、裏門から入ることに。
自分が先にバックを門の向こう側に放り投げ、上からよじ登って降りた。
続いて亀井。
亀井も同じようにバックを放り投げ、自分が上手くそれをキャッチする。
門をよじ登る亀井。
最初に足をかける時点で亀井のふとももがちょっとはだけて見える。
スカートが短い分、適度な太さも持ち合わせているため、たまに亀井のスカートの中身を何回か拝見してしまうことがある。
だけど今は深夜ということもあり、その部分に関してはよく確認出来なかった・・・残念!
そして身長に門から降りた後、荷物を亀井に渡す。
「どこ行こうか?」
迷わず自分は答える。
「プール行くぜ!」
「よっしゃー、プールへレッツラゴー!ついて来い!」
何だよ・・・そのレッツラゴーって・・・。
去年も深夜にプール行ったっけ。
あの時は無理矢理侵入して、プールのドアの鍵ぶち壊して超焦ったな。
走る亀井。
それに続く自分。
とりあえずまた鍵をぶち壊すのはヤバイので、ブロック塀からよじ登る事に。
自分は体育倉庫の近くに置いてあった脚立を持ってきて、ブロック塀から侵入する。
続いて亀井。
無事にブロック塀をよじ登り、プールサイドにたどり着くことが出来た。
自分は真っ先にプールの温度を確認する。
「どう?」
亀井が聞いてきた。
ここんとこ熱帯夜だったせいか、水温もこの時間だというのに冷たくなくむしろちょうど良い。
「ちょうどいいな!」
そう決まったら、おれはYシャツとズボンを脱いで思いっきり飛び込んだ。
言わばパンツ一丁状態。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!」
それまで静寂だったプールの水面が激しく波立つ。
「ちょっと、気が早すぎー!」
亀井のその言葉はもはや自分の耳に届いていなかった。
水中下。
真夜中のプールは視界ゼロの状態。
宇宙にいる感覚ってこんな感じかな・・・でも凄く癒される何かを感じる。
自分もまた相当プレッシャーにやられていたのかな、地区大会が終わるまで芝居に集中したいと思っていたのに。
息が続く限り水中に潜ってみる。
頭の中ではいろいろなことが脳裏を横切ってくる。
亀井は―――――――――――
そう考えた瞬間、亀井のことをすっかり放置してしまった。
水面から顔を出すと、亀井がルーズソックスを脱いでいた。
「いっくぞおおおおおおおおおお!」
「え?」
そう叫ぶと亀井は制服のままで飛び込んできた!
――――――――――――――――――――
あたり一面大きな水しぶきが舞う。
まさか制服のままで飛び込んでくるとは思わず唖然とした。
そして勢いよく水面から顔を出す。
「アタシも我慢出来ないから入っちゃったよ。」
「我慢出来ないって・・・着替えなんて持ってきてないのによく飛び込んだな・・・。」
「どうせ夜なんだし、気にしない、気にしない。」
そう言うと亀井はクロールで端の方まで泳ぎ始めた。
自分も亀井に続こうと思ったが、トランクスだと水の抵抗もあって脱げやすいw
その点亀井は制服のままだというのにとても優雅に泳ぐ。
泳いでいると言うよりは、そう見えるのだ、自分にとっては・・・。
そんな亀井をしばらく眺めていたら
「ねえ、もう泳がないの?」
「何か思ってた以上に体が疲れてたよ、ちょっと休むわ。」
「いいからこっち来なよ、潜るだけだったら別に疲れないでしょ?」
潜るだけ?
亀井が何を企んでるのかは知らないけど、あえて釣られてみる。
「何?」
「いいから潜ってみて、目を開けて仰向けで上の方を見てて。」
「目開けるの?」
「うん。」
正直水中で目を開けるのは苦手なんだが、まあ亀井がそう言うんであればそうしておこう。
すると亀井は「見ててね」の一言だけ言って水中に潜った。
自分もそれに続く。
とりあえず自分はプールの底に背中をつけるような感じで、そのあと水面を見てみた。
すると先ほどは気がつかなかったのだが、水面付近が照らされていてとても明るい事に気付かされる。
満月か・・・。
そういえばなんかの本で読んだな、漫画だったけかな。
月は綺麗だけど、自分で光っているわけじゃない
月はただ太陽を映しているだけで、太陽が無かったら月は光る事も出来ない
だけど不思議な事に月は見た目の大きさだったら太陽と一緒で
人が昔から月を見て心を動かされるのは、月の囁きが聞こえるからである
僕を照らして。
僕はここにいる―――――――
僕は太陽(キミ)がいなかったら生きていけない。
自分もまたそうなのかな。
ふと走馬灯のように昔の記憶が呼び戻される。
入部当初。
もともと芝居に興味があるというのもあったが、中学の時仲の良かった先輩が奇遇にも演劇部で部長をやっていたということもあり、
誘われるまま見学という形で芝居の練習風景をずっと見ていた。
その時演劇部は新入生歓迎公演を行っており、ドラマの脚本化で有名な三谷幸喜の作品で芝居をやっていた。
その日たまたまリハを行う日でもあったので、幸運にも自分と一緒に誘った友人は芝居を一通り最後まで見ることが出来た。
公演のタイトルは「天国から北へ3キロ」といって、ドラマでは確か中井貴一と鷲尾いさ子がやっていたような気がする。
話の内容は不慮の事故から死んだ彼女が、自分の死を認めたくないあまりに、天国に行く事を拒否する。
自爆霊のような存在で彼氏の傍らにいるものの、彼氏は彼女の存在に気付く事も無く、ただただ時間だけが過ぎ去っていく。
天使はそれでも何とか彼女を天国に行かせようとするが、彼女にとっては彼氏の存在が気になって仕方が無い。
ついにはふとしたことから、彼氏が幽霊となった彼女の存在に気付いてしまう。
姿形は変わっても、また再び恋人としての関係に戻ってしまった2人に天使は頭を悩ませる。
そこで天使は最後の手段として“ある人物”を天国から呼び寄せ、再び彼女の説得を試みるのだが・・・。
自分は最初2時間もののドラマで放映されていたのを知っており、ストーリーの内容はだいたい判っていた。
だからこそどうしても比較してしまうような視点があったのは事実である
中学の時に見た演劇部の公演なんて学芸会の延長線上でとても最後まで見ていられなかったのを覚えている。
だから正直高校の演劇なんてのも多少なりともそういった要素での固定観念があった。
それは一緒にいた友人も同じだったであろう。
リハ終了後―――――――――――――――――――――――
しかし、実際に自分たちが見た先輩達の芝居はまさに演劇と呼べるそのものだった。
単にレベルが高いとか、そういう次元の話ではなく、純粋に感動したのである。
勿論脚本の力もあるだろうが、それ以上に自分らと対して年も変わらないような高校生が数人集まっただけで
ここまで完成度の高い芝居作りが出来るのかというところに圧巻された。
そんな訳で自分は入部を希望し、同じく一緒にいた友人も即座に入部を希望した。
これは後からの話になるが、最初自分が誘った時に厭々付いて行った友人がまさかこの後に部長になるとは想像もしなかった(笑)
それから自分らは他の1年生よりも早く先輩達の公演の手伝いをすることになり、公演日まで夜遅くなる毎日が続いた。
だけどそれに対して苦に感じる事は無かった。
どんなに厳しくてもみんなで何かを作り上げるこの空間というのに一喜一憂していたような気がする。
公演日当日は受付や道具の出し運びの手伝いといった雑用程度だった。
仮入部から1週間、公演終了に至るまで手伝いだけの活動でしかなかったけど、それでも自分にとってはかけがえの無い1週間だった。
公演終了直後は袖裏で先輩達が泣いていた。
3年生の先輩にとってはこれで最後の事実上引退公演となるわけである。
自分も思わず先輩達に混じって泣いてしまった。
新入生歓迎公演から数日後―――――――――――――――――――――――――――
公演の片付け、それに伴う部室の大掃除も終わり、今日から改めて1年生を視野に入れた練習がスタートする。
そんな自分は早まる気持ちを抑えきれず、部室・・・というか練習場でもある視聴覚室に1番のりで入った。
まだ誰も来ていないことを確認し、とりあえずかばんの中に入ってたジュースでも飲んで時間を潰そうかなと思っていたその時、
見知らぬ女の子2人がドアをノックしてきた。
見ると雰囲気からしていかにも同じ1年生である事は用意に想像出来た。
ああ、入部希望か見学を希望してきたのかな。
そう思ってドアを開ける。
「はい。」
「あ、あの・・・ここは演劇部の練習場で宜しいでしょうか?」
「はい、そうですが・・・。」
「あの・・・私たち入部を希望したいんですが・・・。」
自分のことを先輩だと思っているのだろうか、やけに丁寧口調である。
でもそれ以上にこの2人が結構可愛かったので、ちょっと見とれてしまった。
ひとりは・・・アヒル口の笑顔が可愛い、やけにクネクネした感じの女の子。
もうひとりは・・・髪を左右に2つに縛り、前髪はまだそのときは無かった。凛々しいまゆ毛が印象的だったのを覚えている。
その時自分はまったく気付かなかったが、それでもこの2人がこの公演を見に来ており、
そして自分と同じように感動して入部した1年生のひとりでもあったことは事実だ。
名前は亀井絵里。
もうひとりは・・・もう今はここにはいない新垣里沙。
これが自分たちの初対面だった。
「あの・・・お名前は・・・。」
「亀井・・・1年3組の亀井絵里と言います。」
「あ、私は・・・私も同じ1年3組の新垣里沙と言います、ヨロシクお願いします!」
「いや、そんな敬語使わなくてもいいよ、同じ1年生なんだから。」
「え、そうだったの?」
「うん、同じ1年生同士なんだし。・・・先輩達来るまで待ってる?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
当時亀井は1年生の間ではかなり有名だった。
その可愛さもさることながら、まったく飾らない性格は男子達に凄く人気があった。
中学時代では登下校の間に同じ中学の先輩や他校の生徒からよく交際を申し込まれたらしい。
そんな感じだから入学当初は彼女を見ようと廊下に集まった男子達で凄かった。
勿論当然入部した当初も彼女目当てで入部した輩が少なからずともいた。
ただそんな男子達にとって不思議な存在でもあったのが、浮いた話が彼女には何一つ無いということだった。
中学からそんなに人気があったのにも関わらず誰かと付き合っているという話も無く、
クラスではいつも新垣や道重と3人で一緒にいるイメージが強かった。
新垣はどちらかと言えば異性はもちろんの事同姓からも好かれていた印象があり、
その明るく裏表無いような性格というかキャラクターでみんなから人気があった。
教室は勿論の事、部活でもみんなをよく笑わせてくれたなという思い出が多い。
自分もまたそんな明るい新垣の性格が好きで、部活で落ち込んだ時とかは自然と新垣の傍にいることが多かったような気がする。
まさに太陽のような存在、それが新垣里沙。
入部して間もなく自分と、後に部長となった友人、亀井、新垣の4人で行動することが多くなった。
たまたまだが4人ともバス帰る方向がみんな一緒ということもあり、部活帰りにマックに寄ったり
みんなでカラオケに行ったり・・・今にして思えば自然と仲良くなれるような環境だったなと実感する。
入部してから間もなく夏の大会に向けての稽古が始まる。
それまでは和気藹々と活動していた部活動にも緊張感が走り、練習が本格的にスタートしてからは先輩達も一変して厳しくなる。
亀井は中学の頃から演劇部で活動していたという経験としてのプライドを潰され
太陽のような新垣から笑みが消える瞬間も多々あった。
そんな自分は物投げられてばっかだったような気がするw
TVで見るような某演出家ではないが、台本から上履き、椅子や小道具に至るまで投げられるものは全て投げられた
亀井目当てで入った輩はだいたいここで消えていった。
自分らも4人で帰りがけのマックでいつも泣いていた。
誰が慰め役になるわけでもなく、ひたすら泣く事で少しは気も和らぐ。
そしてまた明日から厳しい練習が始まる。
毎日この繰り返し。
それでも不思議と辞めたいと思ったことは無い。
むしろここまで痛い思いをしている訳だから、みんなで本気で全国行ってやろうという気持ちがそこにはあった。
自分たち4人に限った事では無く、それは同じ1年生みんなが共有している思いに近かった。
そんな自分らはいつしかみんなで日誌を回すことになった。
嬉しい出来事があったらみんなで共有し、辛いことや悲しいことがあったら慰めることでそれを半分にしていこうと。
そんな感じで自分たち1年生の結束は高まっていた。
亀井はやはり役者として、自分と新垣は舞台装置としてほぼ役職が固定化されていた。
自分は手先が器用ということもあったが、新垣は中学の頃は美術部だったこともあり、美術的センスが凄く良い。
新垣がデッサンした装置を自分が製作する。
こんな感じで自分と新垣はコンビを組んでいた。
役職的には本当に絶妙なコンビネーションだったと我ながら思う。
それに新垣は本当に人を動かしたりするのが上手い。
正直普段は「うおっ!」「おおおううぅぅ!」なんて奇声を発しながらテンパってるというイメージがあるが、
いざ仕込みに入るといつもの新垣とは別人になる。
人を動かしたり、進行に対する進め方が物凄く上手い。
時間の使い方に無駄が無いのだ。
そんな新垣にある日聞いてみた。
自分にとっては舞台装置を作ることは得意分野かもしれないが、そういった人を動かす分野はどちらかと言えば苦手分野だと。
なんか上達できるコツなんかあるかなと、それとなく新垣に聞いてみたら意外な答えが帰ってきた。
「それはね、キミがいるから安心して仕込みに取り掛かれるんだよ。
キミがいなかったら正直あそこまで自信持って指示出せないから。」
忙しかった事もあるが、新垣が言ったのはこれだけのことだった。
そう言われると何か自分も新垣に貢献してるのかなと思ったのだが、思い当たる節はない。
ともかくこう言えるのもお互いを本当に信頼しきっているからだだという実感は確かにあった。
そんな感じで新垣は自分にとって最高のパートナーだったと言える。
・・・少なくとも去年の今頃までは。
去年、夏の公演が終わり中間テストでしばらく部活が休みになっていた。
そういえば、いつもなら部活帰りに一緒になれるはずの亀井がいない。
この時期はいつもだったら一緒に帰るはずの部長や新垣もいない。
何より明るい時間に下校する事に対して違和感を感じるほどである。
むしろこんな時期だからこそクラスの女子達と一緒に帰ったりするんだろうな。
何気なく周囲を見渡す素振りをしてスニーカーを履いて下校する自分。
いつからだろう、こんな気持ちになったのは。
忙しい時なんかはこんな感情なんて少しも出てこなかったのに・・・。
鞄の中からウォークマンを取り出そうとしたその時、誰かが自分の名前を呼んできた。
思わず声のある方向を振り向いてみる。
新垣だった―――――――――――――――――――
「よっ!」
いつものようにハイテンションで話し掛けてくる新垣。
「あれ、今日はひとりなのか?」
「うん、亀井ちゃんは今日は田中っちと重さんらと一緒に帰ったし。」
「そうか・・・じゃ、一緒に帰るか。」
「うん!」
途中バス停までの道のりで、何気ない話からバカ話まで超盛り上がった。
しばらく部活かテストしか自分たちにはなかったから、それ以外での話題がたくさんあった。
そのまま盛り上がった勢いで、自分たちはいつものマックで話の続きでもしながらお茶してた。
「でさ、最近はね『ロビンソン』がお気に入りでさー、超良くない、あの曲?」
「うん、自分もそう思う。高校入ってからあんま日本の曲とか聴かなくなったけど、
それでも最近の曲では結構いい雰囲気あるよね。スピッツだっけ?たまにバンドか曲名がごっちゃになるけどw」
「そう、スピッツね。最近どんなの聴いてるの?」
「新垣に言っても判るかな・・・。基本NIRVANA、THE STOOGES、RAMONES...最近はGREEN DAYとかも聴くね。」
「(知らない・・・)日本人だと誰が好き?」
「イエモンとかブランキーかな。」
「あ、それなら知ってる。ロック好きなんだね。」
「亀井の兄貴が結構そういったCDたくさん持ってるらしくてさ、亀井通して借りてるんだよ。」
「亀井ちゃんから?」
「ああ、アイツも結構ロックとか好きだからね、たまにそう言う話するよ。」
「へぇー・・・。」
そんな感じで今まで盛り上がっていたのだが、ここでちょっとだけ沈黙が訪れた。
ちょうどその時新垣が頃合見計らったかのように「じゃ、そろそろ帰ろうか」と言って切り出した。
時間も7時を回っていた。
「カラオケだといつもブルーハーツとか米米クラブとか歌ってるからさ、てっきり・・・。」
「まあ、カラオケではさっき言ったような曲は配信されてないからね。」
「またカラオケ行こうよ、テスト終わったら。」
「ああ、またみんな連れて行こうな。」
「・・・・・。」
そこからまたしばらくの間沈黙が訪れる。
バス停の時刻を見るとあと20分は来ない。
ちゃんと確認しておいてからマック出れば良かったかな・・・なんてことを考えていたら新垣がまた話し掛けてきた。
「ところでさあ・・・今好きな人いるの?」
え?・・・・・
自分でも予想だにしなかったその問いに何て答えればいいのか判らなかった。
再び沈黙が訪れる。
「新垣・・・。」
「・・・・・。」
ふと見た新垣の表情はやや憂いを帯びていた。
ただ・・・ただ微かに亀井の顔が自分の脳裏を横切った事は確かだ。
「私ね、・・・あなたのことが好き。」
「うそ・・・。」
「うそなんかじゃない・・・。」
「どうして・・・どうしてオレを・・・。」
「100くらいある。」
「え?」
「いつもひたむきで一生懸命、どんなにみんなから文句言われても顔色ひとつ変えずに頑張るところ。
何かあったときはいつも明るくさせてくれる、相談に乗ってくれる、人の気持ちがわかる人。
あとはやっぱりちょっとカッコいいところもあるかな、私服にももうちょっと気を使って欲しいけど・・・。」
しばらくの間その後新垣は下を向いたまま。
自分もなかなか話し掛けるタイミングがつかめない。
「ごめん・・・3つしか言えなかったね・・・。」
「・・・・・。」
「いつも私がキミのこと見ていたことに気付いてた?」
知らなかった――――――そんなこと意識すらしたことも無かった。
「・・・そうだよね、だってキミが見ている先には――――――――亀井ちゃんしかいなかったから。」
新垣はすべて知っていた。
何となく自分が思っていたことが、ここで確信的なことに変わっていく。
なのに自分はぼんやりと空を眺めていては聞こえてないふり。
それだけしか出来なかった。
「そう思うのは私の思い違いかな。」
いや―――――――――思い違いじゃない。
だけど自分はその先が言えずにいた。
部活でどんなに辛い時でも、毎日こうして部活に取り組めたのは亀井がいたから・・・・・というのはあった。
だけどそれに対して特に恋愛感情という点で意識した事は無いと自分では思っていた。
だけど―――――――――――――――
遠くにいても
何をしていても
いつでもどこでも
亀井を見ていた・・・捜していた。
その事実だけは変わりは無い。
そして、そんな自分と同じように、新垣は自分をずっと見ていた。
こんなに近い存在なのにも関わらず・・・いつも舞台装置の仕事をお互いやり続けてきた中なのに・・・。
「やっぱり女の子としては見られていなかったみたいかな、私。」
「いや・・・新垣のことは自分もずっと見てきたよ。」
「え?」
「挨拶する時は人一番元気がいい。
忙しくなるとテンパってくるけど、ここ一番でしっかりまとめてくれる。
とても後輩思い。いや・・・それ以前に人としての暖かさがある、オレはそんな新垣に何度も助けられた。
それにもんじゃ焼きの土手をあえて作らないところ。
あとは・・・やっぱ女の子なんだよな。
泣いてる新垣を見ると、そう感じるよ。」
「え・・・。」
ふと新垣を見ると新垣の目から一粒の涙がこぼれ落ちた。
「あれ・・・あはっ、どうしたんだろう、私・・・今日はもともとフラれる覚悟できたのにね・・・。」
「・・・・・。」
「本当はこうして会えるのも最後かもしれないから・・・だから告白しようと決めたんだ。」
「え?」
新垣が再び自分を見つめてくる。
こんな新垣は見たことが無かった。部活で見る新垣とは全く別の・・・
「お願いがあるの。」
「何?」
「これから大事な話があるから、最後まで聞いて欲しい。」
「・・・うん。」
「その前に・・・。」
「その前に?」
また新垣の目から大きな涙が一粒ぽろりとこぼれ落ちた。
「今日一日だけでいい、今日だけでいいから私を女として見てくれるかな?」
「・・・・・ああ。」
「ありがと。」
自分はその場で新垣を抱きしめた。
自分の胸の中で泣き続ける新垣はこんなにも小さかったことに気付かなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
どのくらい新垣を抱きしめ続けていただろう。
しばらくして新垣が自分の胸ごしに話し掛けてきた。
「私ね・・・部活辞めることにしたの。」
「え?」
―――――――――――――と、その時。
自分の額に一粒の雫が落ちてきた。
「雨?」
「結構降りそうね。」
そう思った瞬間、夕立だった。
激しい雨が突き刺すように降ってくる。
バスを待ってる余裕は無かった。
とりあえず雨宿りを・・・
付近で雨宿りになれそうなのはバス停前の橋桁の下しかない。
自分と新垣はとりあえずそこに駆け込んだ。
走って1分もかからないような場所なのに、物凄く濡れまくった。
こんな時に限ってタオルとか拭く物が無い。
そんなときに新垣がそっと無言でハンカチを出してきた。
「ありがとう。」
とりあえず自分の額を拭いた。
雨で溶けたヘアジェルが目に入ってきて痛い。
「新垣は・・・使う?」
「私はいいよ。」
少しニコッと微笑んだものの、その表情には雨で濡れているのか、またはそれが涙なのかは分からなかった。
「とりあえず夕立だからな、少しすればやむだろう。バスだってまだあるし。」
「うん・・・。」
外灯の光が僅かばかりだが差し込んでた。
新垣もまた夕立のせいでかなりズブ濡れになっていた。
!!!!!
その瞬間雷鳴が響いた。
新垣は反射的に自分の懐に飛び込んできた。
「近いな・・・。」
「ビックリした〜もう〜・・・。」
気がつくと自分と新垣の距離はとても近かった。
ふと目が合う。
目が合った瞬間がとても長い時間のように感じた。
それと同時に徐々に新垣を女として見てしまっている自分がいた。
その沈黙を破ったのはどちらでもなかった。
次に新垣を意識したのは・・・彼女の唇の部分だった。
自分にとっては初めての体験だった。
この世にこれほど柔らかいものがあるのかと思ったほどだった。
・・・・・しばらくして新垣の方から唇を離す。
「ゴメンね・・・。」
「いや・・・。」
そして今度は自分の方から新垣に口づけした。
「え!?」
新垣を女性として見てしまった以上、自分の中での動物的な本能の部分に火がついた。
そのまま自分は雨と泥まみれになった新垣を抱きしめ続けた。
初め新垣はその豹変した自分に驚き思わず力が入ってしまった。
「ご、ごめん・・・。」
「・・・いいよ。」
「え?」
そして徐々に新垣から力が抜けてくる。
「最初言ったよね、今日だけでいいから私を女の子として見てって・・・。」
「新垣・・・。」
自分もまた同じように脱力するかのごとく新垣をそっと押し倒した。
そして・・・自分と新垣は時間がくるまで激しく抱きしめあった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あれから1週間後――――――――新垣は正式に退部届けを出してきた。
顧問の先生とか部長は前々から彼女が何故辞めるかを聞いていたらしい。
「私・・・将来は絵を勉強したいんです。」
もともと舞台における美術はみんなの目から見ても素晴らしいものがあった。
それもそのはずで新垣は中学の頃から美術部で活動し、何かの展覧会で受賞歴があるほどだ。
高校3年にあがり、受験に備える前から将来的なことを考えて美術部に転部する事を決心したのだという。
じゃあ、新垣にとって演劇部に入ったことはなんだろう?
・・・・・考えれば考えるほど罪悪感が拭いきれない。
今でもたまに新垣とは廊下とかで会ったりもするが、挨拶程度だ。
あの時あの場所で会った出来事は2人だけの出来事。
そう、もうこれからずっと触れる事の無い永遠の秘密。
「――――――――くん?――――――大丈夫?起きて!」
どこかでそんな感じの声が聞こえる。
――――――――――亀井だった。
亀井は水中から自分を起こそうと体をゆすってくる。
自分はそれに反応するかのようにとりあえず水中から顔を出した。
「ぷはっ!」
「もう、ずっと水中に潜っていたから心配したんだよ!」
「え、そんなに潜ってた?」
「溺れちゃったかと思ったよ!」
自分では意識していなかったけど、そんなに時間が経ったのか・・・。」
「それより・・・綺麗だった?」
「え、何が?」
「も〜う、水の中から見える満月が凄く綺麗だったのにそれに気付かなかったわけ?」
「え・・・・・。」
いや・・・気付かなかった訳じゃない。
月が・・・月が自分に囁やいたからだ。
自分もまた月を見ることによって心を動かされた。
亀井は純粋に綺麗だから自分に見せようとしたのだろうか。
それとも亀井自身もまた、月を見ることによって何かを感じ、その事を自分に伝えようとしたんじゃないのだろうか。
何でこんな昔の出来事を今更思い出したのだろう。
それとも月が昔の思い出を囁くことによって、自分に何かを伝えようとしたのかな・・・。
亀井がプールからすでに上がっていた。
すると先ほどとは異なり、月明かりが彼女を照らしているのがよく判る。
当然彼女はズブ濡れで、シャツの下にある下着のラインまでくっきりとここから確認出来た。
その亀井の姿に自分は一年前の新垣の姿を見た。
あの時の本能が再び甦ってくる・・・・・。
亀井はズブ濡れになった制服を絞ってくると言って、更衣室の方に向かった。
亀井が言うには水泳部がいつも洗ってしまってあるタオルがあるかもしれないらしい。
自分もとりあえず亀井が更衣室に行っている間に、自分のパンツを今のうちに絞っておく。
しばらくすると亀井が嬉しそうにタオルを持ってくる。
「はい、あったよ。」
「ありがとな。」
とりあえず自分は髪の毛を拭く。
亀井も自分の髪を拭いていたが、彼女の場合はそのままプールに入ったので、
いくら制服を絞ったとは言っても、まだ濡れた状態だった。
「こんだけ熱帯夜なんだから、すぐに乾くって。」
そう言うと亀井はちょっと風通しの良い場所に移動した。
一方自分は鞄の中からタバコを取り出す。
こんなことを言うのも何だが、学校では吸わないつもりでいた。
だけどこんな開放的な雰囲気だからこそ、そんな気分になってくる。
「え、ちょっと何アンタ、タバコなんて吸うの?」
「え?ああ、いや別に黙ってたつもりじゃないけどね。」
とりあえず気にせずタバコに火をつけた。
「普通にマジメな奴だと思ってたのに。」
「部活ではマジメじゃん。別に秘密にしてたつもりもないし。」
「・・・・・。」
しばらく亀井が無言でいたかと思うと急に近づいてきた。
「あたしにも1本ちょうだい。」
「吸うの?」
「一度吸ってみたい。」
勧める気なんてなかったけど、亀井がどうしてもと言うんで1本あげてみた。
「ラークマイルド・・・。」
バーボン中
(ノ▽^)アチャーミー
亀井がタバコに火をつける。
「あれ?火がつかない。」
「そりゃ、火つけるときに吸わないと火がつかないって。」
「そっか。」
もう一度タバコに火をつける亀井。
しばらくして思いっきりむせる。
「ケホッ、ケホッ・・・タバコってこんなにキツイものなの?」
「肺にうまく入れないからだよ。」
「どうすんの?」
「一回口の中で溜めるようにして、それから普通に空気を吸うようにして・・・あとは吐き出す。」
亀井が言われたようにやってみる。
すると・・・
「う〜ん・・・(クラッ・・・バタン!w)」
倒れたw
みんなもそういえば同じような経験ってないかな?
自分も初めてタバコ吸った時って、かなり眩暈がしたような気がするw
―――――――――――――――10分後
亀井は2本目のタバコにチャレンジしている。
「あんまり吸いすぎると毒だぞ。」
「何それ、超説得力無い。」
それでも亀井はちょっとむせながらまだ吸い続ける。
そのタバコを吸っている亀井を自分はずっと見ていた。
と、その時―――――――――
ピリリリリリリリ、ピリリリリリリリリ・・・・
何だこの音、ポケベル?
「あ、ちょっと待ってて。」
亀井が鞄の中からポケベルを取り出す。
「え、いつから持ってた?」
「え、見せなかったっけ?つい最近だよ。」
「知らなかった。」
そういえばクラスの奴等もようやく何人かポケベル持ち始めたな。
東京だとほとんどの奴が持ってるのかな。
亀井はポケベルの内容を確認している。
「何て書いてあるの、最近のって文字が直接出てくるんだろ?」
「ちょっと勝手に見ないでよ。」
「え、そんな内容なの?」
「別にそういうわけじゃないけどさあ・・・こういうのって人のプライベートな部分でしょ。」
ちょっとバツが悪くなってしまった。
でも正直少しだけ中身が知りたい好奇心もあったりする。
軽い気持ちで聞いてみた。
「友達?」
「・・・・・元彼。」
え?――――――――――
元彼?―――――――――――――
亀井から発せられたその言葉に自分は戸惑いを隠しきれなかった。
「どうしたの?」
「いや・・・今までそんな話聞いたこと無かったから・・・。」
亀井の動作が一瞬だけ止まる。
「そうよね、誰にも言ったこと無かったし。」
「誰にもって・・・新垣にも?」
「里沙ちゃんには話してある。けど他の人は誰も知らないよ。」
「隠してたのか?」
「別に。でもわざわざ彼氏出来たってみんなに話す必要ってある?」
何故か反論出来ない自分がいた。
というより亀井に彼氏がいたことを知らない自分が情けなかった。
誰なんだ?
あれだけ毎日部活ばかりで忙しくて、他に恋愛できる時間なんてあったのか?
同じ高校?それとも他校?
同級生なのか、先輩なのか。
相手から・・・それとも亀井から?
それよりいつ頃付き合い始めて、いつ別れたんだ?
自分の頭の中で様々な思考が脳裏を過ぎる。
何より自分自身激しい嫉妬を感じてた。
言いたいこと聞きたいことはたくさんあるのに何一つ聞けない自分と空気がそこにある。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
しばらくして亀井がふと語り始めた。
「なんかウチらってさあ、部活以外だとお互い何も知らない者同士だよね。」
「え?」
「タバコだって、ポケベルだってそうだし・・・私の元彼についてもそうだし・・・。」
「・・・・・。」
「話そうか?」
「え?」
「もっとお互いの事。」
プールの水面では月が笑うようにユラユラ揺れていた
自分は鞄からタバコを取り出した。
「私も。」
更に亀井にタバコを1本渡す。
「ライター貸して。」
深々とケムリを吸う亀井。
「ようやくさまになってきたかな。」
「何言ってんだよ、タバコくらいで。」
「いいじゃん、カッコつけられるものがあるんだから。」
自分も一服する。
だけど妙な味がした。
こんな誰もいない深夜の学校のプールでこうして亀井と2人でタバコを吸うこと自体あり得ないシチュエーションなのだが
これから始まる亀井の話に自分は緊張を隠せなかった。
小刻みに手が震えるのを隠すのに自分は必至だった。
「何から話そうか・・・そうだね、やっぱ元彼のことから話そうか。」
「ああ。」
呼吸が一瞬止まる。
「別れたのはつい最近だよ。6月の半ばあたり。」
ちょうど公演の稽古が始まりかけた時期か・・・。
「で、相手はね・・・同じ中学の同級生だった人。
中学の頃からの付き合い始めて、高校1年まではお互い忙しい合間を練って会ってたりしてたんだけどね、
高1の3学期にちょっと距離を置いた。
やっぱり会えない時間が多すぎると、お互いすれ違う事もよくあった。
だけど今年に入ってからまた連絡とるようになって・・・やっぱまだ好きだったみたい、また付き合うようになっちゃったんだよね。
それが2月に入ったばかりの頃。」
時期的には4ヶ月か・・・短い方だなと思うがどんな理由があったのかは、このときの自分はまだ想像すら出来なかった。
それからの亀井の話はごくごく今までの交際のエピソードを淡々と語ってくれた。
他にもお互いが好きになったきっかけとか、ケンカした話。
彼氏は中学の頃サッカーやってて、高校ではバンドやってると言う話。
実家が美容院で髪型はそうとうおしゃれだとかそんな話が主だった。
認めてしまうのは正直辛いが、恐らく今でも亀井はそいつのことが好きなんだろう。
ケンカした話こそは出てきたものの、相手の悪口は一切言ってはいない。
むしろ話していること自体が本当に楽しそうだ。
こんなに楽しく話す亀井を見るのも久しぶりのような気もする。
だから別れ話は向こうからか・・・そんな推測まで自分はしていた。
それと同時に自分の知らない亀井がそこにいるのである。
その部分を知っているその元彼にまたも嫉妬してしまう自分がいた。
亀井の回想話は今年に入った。
やれ、春休みは一緒に東京に遊びに行ったとか、今年は相手が受験生だから忙しくて会えないとか、
そんな日常的なエピソードが相変わらず続いている。
しかし、不思議なことに一向に別れ話になるような展開がない。
その点だけが唯一気になるところである。
「・・・・・でね、あ、そうだ、またタバコ1本くれる?」
その瞬間亀井の表情が変わったのを自分は見逃さなかった。
それに対して自分もちょっと戸惑ってしまったが、何も言わず自分はタバコを1本亀井に差し出した。
ケムリを吸う亀井。
そして吐き出すまでの時間がとても長く感じた。
おそらくここが話の中核になることは容易に想像出来た。
だけどここからしばらく長い沈黙が訪れる。
「あ、そうだ!」
いきなり予想外のことを言い出すから何かと思った。
「さっきのポケベルの返事しなきゃ、すっかり忘れてた!」
なんだよ・・・こんなときに・・・。
「すぐ返事しなきゃならない内容だったの?」
「それを忘れてた。」
「ちょっと公衆電話からかけたいから付き合ってくれる?」
「え、だってすぐ近くにあるから行ってこいよ。」
「だってあんな暗いとこ女の子ひとりで行かせる気?」
しょうがねえなあ・・・。
そう思った瞬間何か自分の中で緊張感が解けた。」
何気にプールの近くに公衆電話があるのだが、そこは妙に雑草や気が多い茂っており、周囲に外灯も無いことから
確かにひとりじゃあまり行きたくはないような場所だと判る。
「ちょっと待っててね。」
そう言うと亀井は財布からテレカを取り出し、慣れた手つきで素早く番号を押してくる。
時間的に1分もかからなかったんじゃないだろうか、しばらくして受話器をガチャンと置いた。
勿論ポケベルの相手は元彼だろう。
ただただその内容が気になって仕方がなかった。
「じゃ、戻ろうか。」
そう言うと亀井はまたプールの方に足を向けた。
しばしお互い無言のまま歩いた。
やがてプールを目の前にして亀井がただ一言つぶやいた。
「おろしちゃった。」
「え、何を?」
「子供・・・堕ろしちゃったんだよね・・・。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「妊娠4ヶ月です・・・。」
やっぱり・・・。
覚悟は出来ていた。
この兆候が妊娠なのは17の私でも予想していた。
毎日微熱が続き吐き気がした。
勿論生理も来ない。
妊娠を信じたくなかった私は、何か他のことが理由に違いないと考えるようにした。
しかし、一向に来ない整理、毎日のように続く嘔吐、暴飲暴食が続く中このままでは家族にもいつかはバレてしまう。
私は彼にその話を打ち明けた。
妊娠をしたというのは最後の最後まで本当は言いたくなかった。
でも、正直私の精神状態は限界だった。
「妊娠しちゃった・・・、毎日恐くて仕方がなかった。」
と彼に泣きついてしまった。
そのとき彼は泣きつく私を見てどう思ったのだろう。
私も彼もまだ17なのに・・・。
それからしばらく沈黙が続いた。
まだ17才にこんな人生の決断をせめられて答えが出るはずがない。
それでも彼が私の肩をずっと抱きしめてくれただけでも安心できる何かがあった。
それでも何度も何度も脳裏には罪悪感しか残らない。
子供を産むという選択肢もあるけど、それを行うためのリスクがどれだけあるのかは想像しきれない。
堕胎についても同様だけど、リセットは可能だ。
だけど・・・だけどだけどだけど・・・そう考えると涙が止まらない。
また私は泣き崩れてしまった。
誰もいない公園で彼もまた、私を抱きしめてくれることしか出来なかった。
私は自分の無力さを実感したのである。
2人でならどんな障害でも乗り越えられるなんて、そんなの安っぽいドラマの台詞でしか所詮はないのだと。
現実はこんなにも自分たちが無力なんて想像も出来なかった。
それからは彼に送られるようにして自宅に戻った。
とにかくお互いこの状況を受け止める時間が欲しかったのだ。
家の近くで彼が「大丈夫か?」と言ってくれた後、優しくキスをしてくれた。
そのキスの後に今度は私の方からねだる。
そしてもう一度だけキスをする。
このまま離れたくなかった。
このまま時間が止まってくれれば良いと願った。
そして長い長いキスが終わった瞬間、私は現実という地獄に一気に引き戻された。
それから数日後、お互いが堕胎を決意するまでそう時間はかからなかった。
やはり私たちは無力な存在である。
今の私たちにはこの壁を乗り越える事は出来なかった。
現実的な理由を言ってしまえばまだ親に養ってもらっている高校生だということ。
もし、逆にすべてを捨てるかのように2人の子供を育てようとしても、その過程においては限界があることを悟らざるを得なかった。
そして何より・・・望まれるべき子供ではなかった――――――――――――――――――
しばらくして私と彼は今後の現実的な問題について考えるようになった。
まず費用だが元々中絶には保険証がかからないので、高額なことになることは想像がつく。
案の定初診時に言い渡された金額は84000円。
余談だが出産経験が無いと予算が高くなるらしい。
ここはお互いの貯金を合わせて何とかなったし、彼自身も短期のバイトで何とか費用を作ってくれた。
そして同意書の記入。
勿論両親には知られたくないのを前提で記入する訳である。
ただし当然の如く私たちは未成年なので、保護者記入欄にはどうしても同意としての記入をせねばならない。
やむを得ず彼の親友に事情を話した上でそこは記入してもらった。
ただ緊急時の連絡のみという場合においてのみ、この保護者欄としての連絡先が活用される訳で、
そういう事態にならないことを後は祈るしかない。
そんな感じで経済面と書類面はクリアした。
そして1週間後に中絶手術を迎える事になった。
この事実を言ったのはごく数人。
保護者欄に名前を書いてもらった彼の友人と、演劇部の部長、2人だけである。
この事実は親友であるさゆみやれいなにも告げていない。
いずれにしても部活が不明瞭な理由で休むことが続くとみんなから不信感を抱かれるのは間違いない。
だったらせめて部長にだけは本当の事を話した。
妊娠した事からその経緯までをとりあえずは話し、しいては中絶後は体調の関係上もあるのでしばらく部活を休ませてほしいと。
当然部長とはいえ同じ17才の少年である。酷く困惑した様子だった。
それからはお互い部活内ではどうやってこの事実を隠すかを話し合った。
幸いにも私の家が自営業だったこともあり、母が倒れたので店の手伝いをしなければならない。
その上でしばらく部活はお休みさせていただくと。
これが一番手っ取り早かった。
それから手術当日までの1週間は何も考えないようにしていた。
でも、つわりのためにまた現実に引き戻される感覚が、私の中に赤ちゃんがいるという現実でもある。
それまでは赤ちゃんのことを考えても断片的だったのが、いざ残るは手術のみとなると新たな生命に対して意識するようになってしまう。
事実私のおなかの中には彼との子供がいるのである。
その新しい芽を摘むという行為と殺人とはどう違うのかを考えるようにまでなってしまった。
「ゴメンね、本当にゴメン・・・。」
ある日どうしてもその事実に耐えられなくなり、手術前の最終検査のときにふと担当の先生にそのことを話してしまった。
見た目はやや中年の女性の方だったので、母親にすがる思いで聞いてしまった。
すると先生は優しくこう答えてくれた。
「お子さまはあなたに贈り物をくれました。その贈り物は『温もり』です。」
「温もり・・・ですか?―――――――――」
続いて先生は1冊の文庫を取り出し、ページをめくり、とめたそのページのある一小節を私に見せてくれた。
その文章にはこう記されてあった。
お腹にはいのちが誕生しているのです。
いのちの温もりを感じてみて下さい。
その温もりは親としての愛情でもあります。
決して忘れてはいけません。
それはあなたを思うご両親の愛情と同じです。
あなたは無限の愛情に包まれて育ってきたのだと感じる心を教えて下さっているのです。
せめてお腹にいる少しの時間だけでもお子さまに美味しいものをご馳走してあげてはいかがでしょう。
優しいお言葉をかけてあげてはいかがでしょう。
いのちの授かっている喜びを忘れないように、精一杯心の奥に刻んでおこうとする気持ちが大切です。
その文章を読み終えたとき、涙が止まらなかった。
そんな私を見て先生は肩を抱き寄せたった一言
「頑張るんだよ。短い間でもあなたはお母さんなんだから。」
と私に言ってくれた。
こんな高校生の私でも母親なんだ・・・たった数ヶ月だけの母親。
それを認識したのは実に手術の2日前の事であった。
手術は金曜日。
術後は1週間安静をとるように言われてたので、その間に週末をはさんでおくことがベストだと思ったからだ。
だけど問題がある。
赤ちゃんが結構育ってしまっているため、入院を余儀なくされてもおかしくない状態らしい。
妊娠してから12週目までは吸引術といって子宮内を広げ、胎児もしくは胎盤ごと吸引して母体外へ排出する方法らしい。
それ以降は一言で言ってしまえば人口流産みたいな処置をとるため入院を余儀なくされる。
自分は妊娠3ヶ月をとうに超えていた。
しかし、以外にも成長の度合いが平均的なものでなく、今からだったら吸引術でも十分対応できるとの事らしい。
でも、一応入院は勧められたくらいだから、あまりにも体調が良くない場合は仮病でも使って学校を休もうと考えていた。
そして手術当日。
私はいかにも手術用にしか見えない無機質なベットに横たわった。
その瞬間死刑台に立たされているような錯覚さえ陥る。
そして医師は私に
「膣口を広げるために棒を入れますからね。」
と言った。
その棒はあとから聞いた話だと「ラミナリア」という名前らしい。
名前なんてこの際どうでもいいのだが、それ以上に膣口にどんどん棒が入ってくる。
かなり痛い、もうムリ、耐えられない。
妊娠週10週目くらいまでなら少なくて済むようだけど、10週を過ぎると何度もその措置をするみたい。
それから先は全身麻酔をうたれていたこともあり、よく覚えていない。
ただヌルリヌルリした感覚が私の子宮から出てきたような感覚だけが不思議と残っている。
気がついたら手術は終わっていた。
その後は重い生理痛のような感覚に襲われ、徐々に吐き気をもよおすようになった。
しばらくして彼が迎えに来てくれた。
一応は日帰りの手術ということもあり、これから重い体を引きずって家に帰ることになる。
でもせめて最後にお世話になった先生に挨拶がしたかった。
だけど留守だったらしく、後日改めて挨拶に伺おうと思った。
最後に手術を担当した医師が様子を伺いにきた。
「大丈夫ですか?」といった他愛もない会話を繰り返した後、私はどうしても気になって仕方が無かったことを聞いてしまった。
「あの・・・私の赤ちゃんは・・・男の子ですか、それとも・・・女の子ですか?」
「それはどうしても知りたい内容かな?」
「・・・・・はい。」
「それは聞かない方がいい。」
「・・・・・。」
それはそうかもしれなかった。
「つらいことかもしれないけど、頑張って。」
「はい。」
そして私と彼は病院を後にした。
気がついたら雨が結構降っていた。
帰りは彼がタクシーで家まで送ってくれた。
途中私は放心状態で、彼自身もかける言葉も無くただただ無言の状態が続いた。
家の前に着くと彼は最後になんかあったらすぐに連絡してくれと言って足早に帰っていった。
この日は帰りのキスは何故か無かった。
家に着くとどっと疲労感が出る。
もう横になりたかったので、すぐにパジャマに着替えて横になったその瞬間。
!
パンツから熱いものが出た感覚があった。
急いでトイレに駆け込むと、それはポチャンと音を立ててトイレの中に沈んでいった。
――――――――――――――それは肉片の一部だった。
私はただただその肉片を見て、呆然と立っていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それから数日後、体調は優れないことを理由に学校を休み登校したのは水曜日から。
その間1回だけ子宮から出血があったものの、あとは問題無いみたいだったので普通に登校した。
「おはよー。絵里。」
後ろを振り向くとれいながいる。
「体調どう?夏風邪長引くから気をつけた方がいいよ。」
何も知らず気を使ってくれるれいなにちょっとだけ罪悪感を感じた。
その後は普通に授業を受け、友達としゃべりながら下校した。
若干体の重さはあるものの、たいして影響はないのでこのままだったら週末前には部活に顔出せるかなと思った。
そういえば今日は彼からの連絡が無いことに気付く。
どうしたんだろうと思い、鞄の中のポケベルを捜してみるけどポケベルが無いことに気付く。
もしかして家に置いてきたのかな・・・。
でも落とした可能性もある。
それをただ確かめたくて急いでまずは帰宅した。
「あった!」
予想通り私のポケベルは卓上にあった。
その瞬間ホッとしたのだが、画面を見るとメッセージが入っていることに気づく。彼からだ。
さっそくメッセージを確認してみる。
「わかれよう、エリ。・・・ゴメンね。」
その瞬間私自身の何かが音を立てて崩れさっていくのを感じた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
亀井の話がそこで止まってしまった。
そこが元彼との思い出の最後の部分だったのだろう。
しばらく亀井は無言のままだったが、もう自分としては今更何故彼氏と別れたのかとか、その先を聞く必要はもう無かった。
「少し休もうか。明日の事だってあるんだし。」
自分にはこれくらいのことしか言えなかった。
「うん・・・ゴメンね、なんか湿っぽくなっちゃって。」
そう言うとまた普段の亀井にちょっとだけ戻ったような素振りを見せた。
自分と亀井はとりあえず荷物を持って部室というか視聴覚室に向かった。
今は深夜の3時。
ちょっと仮眠をとれば3時間くらいは寝ていられる。
あとはお互い家帰ってまた明日の準備とかをしなくちゃいけないことを考えると、ちょっとだけ面倒な感じがした。
でもここにいること自体には後悔はしていない。
自分と亀井は校舎に忍び込み、視聴覚室の鍵を空けた。
いつもは喧騒とした雰囲気なのに、無人状態でここまで静寂だとやや無気味すら感じる。
電気をつけるのはヤバイので、そのまま床に寝そべるしかなかった。
それにしてもひとつだけ気がかりなことがある。
何故に亀井は自分の“秘密”を急に自分なんかに話そうとしたのだろうか。
ただ単にポケベル→タバコの流れでちょっとした自分の秘密を話そうとするのならまだ判るけど、
堕胎をしてしまったことに対しては、それこそ本当に秘密にしなければならないような内容じゃないか。
すべては月が亀井に囁いたからか―――――――――――――――――――――
「人が昔から月を見て心を動かされるのは、月の囁きが聞こえるからである」
あのとき月の光を見て自分が消し去った新垣との過去を思い出したように、
亀井もまたあの景色を見て心動かされる何かを思い出したのだろう。
だけど亀井とひとつだけ違うところは・・・新垣との出来事はとても亀井には話せる内容じゃないということだ。
(不公平だよな・・・)
そう考えながら鞄を枕にして横になった瞬間、亀井が隣に座ってきた。
「隣・・・いいかな?」
そう言うと亀井もまた鞄を枕にして、自分の隣で横になる。
感覚で言えばその距離はお互いがひとつのベットで一緒になる距離と何ら変わりは無かった。
亀井の顔がすぐ手に届く位置いる。
「ねえ、ビックリしたでしょ?」
「え?」
「私がこんな経験してただなんて。」
「正直・・・な。」
「なあ、今でもそいつのことは好きなのか?」
「・・・・・どうなんだろうね、でも未練はもう無いよ。」
「ひとつだけ聞いてもいいかな。」
「何?」
「どうしてこのことをオレに言おうと・・・・・。」
「・・・・・あまり秘密を作るのって好きじゃないんだよね。」
「秘密を?」
「うん・・・。今はまだアンタと部長しかこのことは話してはいないけど、いずれは里沙ちゃんとか、
れいなとかさゆにも打ち明けるんだろうな・・・・・勿論自分の両親とかにも。機会があればだけどね。」
「・・・・・。」
「秘密ってなんか自分自身のしこりみたいなもんジャン。しこりがいつまでも自分の中に残ってたら悪いでしょ?」
「・・・・・そうか。オレにはそんな亀井の強さは持ち合わせていないな。」
「何かね、今にして思えばだけど、堕胎して親に必死でその事を隠しながら、さらに彼氏と別れた直後に
部活に専念するなんて超辛かったよ、正直精神的にとてもじゃないけどついていけなかった。
毎日家で泣いてたんだよね。妙に誰にも打ち明けられないというのもあって、出来ることと言えば毎日のように
部屋でずっと泣いてばかりいた。
・・・・・だけどね今こうして自分が無事に生きている事、いろいろあったけどまた普通に生活していける事に対して
そっとやちょっとの壁だったら乗り越えられるかなって。根拠は無いけどそう思えるようになった。」
その時自分はハッとした。
あの時バス停までの帰り道の途中で亀井が言ってたことってここからきているんだなと。
確かに亀井が経験してしまったことって、並大抵の苦しみではない。
だからこそその言葉に重みがある。
だけどたった17年間しか生きてきてはいないけど、今こうしてお互いが無事障害なく生きていられた分、
何かしらの壁を越えてきているわけである。
勿論自分と亀井の壁の高さは全く違う。
でも日常的に生活してきた自分にとってはこの事実に知る由もなかった。
亀井自身がこういった経験をしてしまったから言えることだろうけど、それでも自分自身が経験して来たことにたいしては
少しも後悔していない亀井の強さがそこにあった。
「強いな・・・亀井は。」
「・・・ううん、そんなことないって。やっぱり頼っちゃうところはみんなに頼っちゃうもん。」
自分は意を決した。
「なあ、亀井。」
「何?」
「自分も今心の中にしまっている秘密を話そうかと思う。」
「・・・・・いいよ。」
「実は・・・・・。」
そして、自分は新垣とのあの時の秘密の出来事をすべて亀井に話した。
夜がゆっくりと明けていく・・・・・。
気がついたら自分と亀井は寄り添うようようにして寝ていた。
何かがホッとした瞬間、お互い急に睡魔に襲われるようにして寝落ちしてしまったのだろう。
亀井は最後まで自分の話を聞いてくれた。まるで子供の話を聞く母親のように。
亀井はたった一言だけ
「でも、里沙ちゃんは嬉しかったんだと思うよ。たった少しの時間でも好きな人と一緒になれたんだから。」
でも、ひとつだけまだ伝えきれていない部分がある。
それは・・・・・自分が亀井絵里を好きだという事実。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
公演当日開演前。
最終リハも終了し、楽屋も慌しい雰囲気となった。
あれから自分と亀井は自宅に戻り、サッとシャワーを浴びた程度ですぐに現地へと向かった。
正直睡眠をとった時間なんて1時間くらいだけど、それでも疲労感はお互いに全く無く、自分に至っては
何かが吹っ切れた感すらある。
そしてメイクも終了し衣装に着替える途中、後輩が慌てて自分のとこに駆け込んできた。
「あの、亀井先輩が見当たらないんですけど、知りませんか?」
「え、さっき自分の衣装の整理してなかったか?」
「そうだと思うんですけど、いつのまにか衣装に着替えたままどっか行っちゃったみたいで・・・。」
「トイレは?」
「いなかったみたいです。」
「ちょっと捜してくる。」
―――――――――ったく何処行ったんだ、こんな肝心なときに。
急いで衣装に着替えて自分は亀井を捜しに行った。
とりあえず見当もつかなかったが、可能性としては搬入口か、それとも裏口にあるロビーか・・・。
まさか衣装をきたまま正面口のロビーにはいないだろうと思い、そこから捜してみる。
すると予想通りというか、あっさり亀井の姿がそこにあった。
こんなところで何油売ってんだと言ってやろうかと思ったが・・・ふと亀井の隣におない年くらいの男性がいて
亀井と話をしていることに気付く。
正直話しかけづらい雰囲気もあったが、本番も近いのでそのまま亀井を呼ぶ事にする。
「おい、亀井!」
亀井自身も状況を分かっていたせいか、その男にさっと会釈だけするとこっちに戻ってきた。
亀井は申し訳なく
「ゴメンね、ちょっと急に会う人が出来ちゃって・・・・・。」
「もう本番も近いんだからそこあたりは自覚しとけよ。・・・・・ところで。」
「何?」
「今の人が・・・・・元彼?」
「分かってた、やっぱり?」
2人の雰囲気と言うよりは、自分の勘に近い。
「本番観に来てくれたんだ。」
「うん。その分は今でも大事に思われてるんだろうな。」
「え?」
「何でもない、それより本番・・・・・悔いの残らないように頑張ろうね!」
「・・・ああ!」
自分と亀井はそのままステージに向かった。
高校3年最後の夏が幕を開けた―――――――――――――――――――
――――5年後。
「違う。もう1回。」
「え?」
「え?じゃないよ、これじゃ会話として成り立ってないだろ。相手の台詞聞いてる?
言葉と言葉の受け答えがしっかりしてないと、ただの朗読だよ、そんなの。」
「・・・すいません。」
「台詞覚えるのでいっぱいいっぱいだろ。
覚えるだけだったら誰にも出来るよ。しゃべるのも誰にだって出来るよ。
それを踏まえた上で感情入れていくのが一番難しいんだから、もうちょっと台詞頭に叩き込んで。」
「はい・・・。」
「・・・・・なんて同じような事自分も昔言われてたんだけどね。」
「はい?」
「いや、何でもない。もう時間だし今日の練習はここまでにしよう。次までは台詞完璧にな、以上!」
今自分は大学4年生。
現在所属している演劇サークルの夏の公演に向けて稽古の真っ最中だ。
自分は4年生だというのに就職活動せず、相変わらず芝居浸りの毎日を送っている。
卒業したら今後も演劇を続け、劇団に所属して役者活動する。
周囲の同級生はそんな自分を鼻で笑っていたけど、それでも打ち込めるものがあるなら自分はそっちに進みたい。
食えるかどうかは保証出来ないけどね、でもそんなことは別にかまわない。
ただ、まさか高校のときに始めた演劇がここまで自分の人生を左右するとは思っても見なかった。
「先輩、よかったら今日これからみんなで飯食いに行きません?」
「あ、悪いな、今日はどうしても外せない予定があるんだ。」
「え、これからですか?」
「ああ、だからまた今度誘ってくれよ、んじゃお先に。」
そう言って自分は足早に部室を去った。
今日は本当に自分にとって大事な予定がある。
いつもだったらみんなで飯食ったり、個人練習に入るんだけど・・・本当に今日だけは。
自分は早まる気持ちを抑えきれず最寄駅からずっと小走りで目的地に向かう。
途中何回か鞄の中から葉書を取り出し、そこに手書きで書かれている地図を頼りにひたすら動いた。
ここかな――――――――
小高い丘の上に位置するとある大学病院。
おそらくここが目的地だ。
少し坂道を上がった正面入り口に総合案内所がある。
時間も無いので受付の人に直で聞いて病室まで向かうことにしよう。
「すいません、703号室はどこにありますか?」
入り口に入るや否や自分は単刀直入に受付の人に聞いてみた。
「あの恐れ入りますが、どちらの病棟の703号室になりますか?」
「え・・・どの病棟って・・・。」
困った。考えてみれば広い大学病院だから無理も無い。
「あの・・・多分産婦人科関連のだと思うのですが・・・。」
「ちなみにお見舞いでございますか?」
「はい、そうです。」
「でしたらその方のお名前を・・・。」
最初にそう言えば良かったw
自分は名前を伝えるとようやくその病室の場所を教えてもらった。
ここからはそう遠くない。
ダッシュで行きたい気持ちを抑え、ひたすら早歩きでエレベーターまで移動する。
7回だ。ここにアイツがいる。
エレベーターのドアが開くと目の前に703号室と書かれた病室が見える。
自分は躊躇すること無く病室のドアをノックし、中に入った。
だけどいざ入るとなると驚くほど静かになってしまう自分がいた。
これが病室の空気と言うか雰囲気と言うか、とにかく静かに迷惑にならないように心掛ける。
ここの病室の患者は3人。
パッと見るとそれぞれのベットの先にショーケースみたいな物が置いてある。
そのショーケースは中を見るまでも無く、どういう物かが理解出来た。
一番手前にあるショーケースを見ると、小さいベットの中でスヤスヤ寝ている赤ちゃんがいる。
この子かな――――――――――――――
チラ見してみたけどちょっと似ていない・・・。
そうこうしているうちに自分が次のベットの先に目をやると、今日会うべき人と思わず目が合ってしまった。
「あ。」
「あ。」
その人物こそ高校時代の同級生――――――亀井絵里である。
バーボン引っ掛かっても再掲乙です!
前スレ再掲完了&100げとー
まとめサイトがないのと新規読者開拓の意味も込め連載中の「真夜中の校舎」貼ってみました
作者さんクライマックスになってるようですがあとちょっと期待してます
(ノ▽^)アチャーミー
104 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 20:56:00 0
乙カレー
乙です
106 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 22:59:56 O
とっても乙です
107 :
名無し募集中。。。:2005/08/02(火) 23:42:27 0
鬱です
ho
ze
n
ho
ho
ze
nn
ho
117 :
名無し募集中。。。:2005/08/03(水) 14:10:23 O
なんか伸びてるな
119 :
名無し募集中。。。:2005/08/03(水) 16:18:01 O
また俺かよ
ワクテカ
ho
ze
ti
ma
ri
ka
127 :
名無し募集中。。。:2005/08/04(木) 00:00:27 0
,.、,、,..,、、.,、,、、..,_ /i
;'`;、、:、. .:、:, :,.: ::`゙:.:゙:`''':,'.´ -‐i
'、;: ...: ,:. :.、.∩.. .:: _;.;;.∩‐'゙  ̄  ̄
`"゙' ''`゙ //゙`´´ | |
//☆ノハヽ | |
| |ノノ*^ー^)// <エビフライぶつけちゃうぞ
\ |
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/ /
128 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 01:05:53 0
「来てくれたんだ。」
「来たよ。」
「場所判った?」
「地図書き込んでくれたのはいいけど、この手書きじゃなあ・・・。」
正直亀井が葉書に書いてくれた病院までの地図は解りづらかったw
「あ、無事その葉書届いたんだ。」
「ああ。」
「驚いたでしょ。」
「最初は、ね・・・。」
その葉書にはこう記されてある。
差出人―――絵里(旧姓:亀井)
・・・・・そしてその裏には白いウェディングドレスをまとった亀井が映っている。
彼女は結婚していた。
129 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 01:06:47 0
彼女は高校卒業後演劇の専門学校へ通い、卒業後は某大手の劇団の研究生としてレッスンをしながら端役ながらも舞台に上がってた。
しかし、今年の4月に寿退団することになった。
相手は同じ研究生の同期の人らしい。
言い方は悪いかもしれないが、この状況で結婚し寿退団したということは、いわゆる“出来ちゃった婚”である。
今後は女優から主婦として生きる道を彼女は選んだ。
そして、彼女の目の前には実の子供がスヤスヤと寝ている。
「いつ生まれたの。」
「もう1週間はたつかな。」
「名前は?」
「実は今日決まったばかりなんだ。」
「え、マジで?」
「―――楓、女の子なんだよ。」
「楓か・・・・・いい名前だね。」
「まだまだ残暑は続くけど、やっぱもうすぐ10月だしね。秋をイメージする可愛い名前と言ったら“楓”になったんだ。」
「そっか・・・・・。」
女の子と聞いてどことなく亀井に似ているような気もしてきた。
「それにしても・・・。」
「何?」
「5年ぶりだよね、実に。」
「ああ。」
130 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 01:07:21 0
卒業してからの5年間は亀井と会う機会は無かった。
お互いの生活のこともあったが、何より高校3年のあの公演以来、亀井とは距離を置いていた。
いや・・・・・距離を置いたと言うよりは、自分の中の亀井を何処か遠くに遠ざけてしまった。
どうすることも出来なかった自分自身にあの頃は耐えきれなかった――――――――――――――
むしろ亀井がこうして結婚して子供でも産んでいなければ会うことは無かったであろう。
その後はそれぞれの思い出話に華を咲かせた。
高校時代の部活の思い出、自分の大学生活、亀井の研究生時代の苦労話・・・
5年間という空白を埋めるのには時間がいくらあっても足りなかった。
そして話は亀井の出産の話へ移った。
「そういえばさ・・・・・いつか言ったよね、真夜中校舎に忍び込んでさ・・・。」
忘れるはずが無い。あの時の記憶だけは。
ちょっとだけ亀井が無言になる。
131 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 02:01:00 0
前スレからの再掲、本当にありがとうございます。
この後――――――ついにラストを迎えますので、最後まで宜しくお願いします。
おつんつん
この夏の最高傑作がついに・・・。
セツナス
134 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 03:16:30 0
「本当はね、妊娠したのがわかったとき酷く落ち込んだ。落ち込んだどころじゃないかもね。
ああ、私はまた同じ過ちを繰り返しちゃったのかなって。またこれで秘密がひとつ増えたなって。」
「・・・・・。」
「今の旦那には高校時代私が堕胎したということは前もって言ってあった。
そしたらこう言ってくれたんだ。」
――――――――もう、これ以上秘密を持つ必要はないから。あとはお前が決めればいいから。
「その一言で出産を決意したんだ。勿論私だけじゃなく、おなか中の子のことも考えた上でね。」
「そうか・・・。」
そして、亀井はニコッと笑った後、
「確かにそう考えるまでに色んなこともあったし、・・・・・何より夢を諦めてしまうのが一番辛かったかも。
でもね・・・・・。」
亀井はベットから這い上がり、我が子の寝顔をそっと覗き込んだ。
「この子のことを見ているとすべて幸せになれる気分がしてくるんだよね。
本当に生んでよかったよ。」
135 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 03:17:04 0
その一言と亀井の笑顔を見て、長い間自分の中にあった胸のつかえがようやく取れた気がした。
「秘密ってさあ。」
「何?」
「言ってしまえば楽になれるけど、最初の一言がなかなか言えないもんだよね。だけど・・・・・。」
「だけど?」
「本当に自分が心から大切にしている人って、何故か心置きなく言えちゃうんだよね。」
え?―――――――――――――
「・・・・・。」
「どうしたの?」
「いや、別に。それだったら・・・・・。」
「何?」
「仮に浮気しちゃったとしても言える?」
「・・・・・言っちゃうかもしれないなあ、バカ正直に。ゴメンナサイ、私浮気しちゃってます!みたいな。」
ちょうどその時担当らしき看護婦さんがドアをノックして入ってきた。
「あ、申し訳ございません、そろそろ院内の面会時間が終了となりますので・・・・・。」
136 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 03:17:43 0
そろそろ時間か。
それでも会えて良かった。
「んじゃ、そろそろおいとまするわ。」
「また時間作って会おうよ。今度はあの時のメンバーみんな呼びたいよね。部長とか、里沙ちゃんとか・・・。」
「そうだな、みんなで・・・・・また会いたいな。」
「それとさ、お金貯まったらちゃんとした式挙げるからさ、その時また呼ぶからね。」
「ああ、わかった。あ、最後に渡す物があったんだ。」
「何?」
そう言うと自分は鞄の中からMDとMDプレイヤーを取り出す。
「何これ?」
「ちょっとだけ聴いてみてよ、特にラストの曲。」
「わかった。」
ヘッドホンを亀井に渡した後、自分はどうしても聴かせたかった曲があった。
イントロが流れる。
―――――――――――――――――
137 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 03:18:42 0
「これって・・・・・。」
「思い出した?」
「確か高校最後の大会で公演した芝居のエンディングテーマだよね。」
「うん。」
「確かこの曲って・・・・・。」
「PRETTY MAIDS『PLEASE DON'T LEAVE ME』っていう曲なんだけどね、他にも高校んときの芝居で音響で使った曲が
いっぱい入ってるから、たまにはこうして昔の自分を思い出すのもいいんじゃないかな。」
「ありがと、ついでだから今日は物思いにふけてみるよ。」
「わかった。んじゃ、そろそろ時間だし帰るとするよ。」
「あ、ちょっと待って。」
まだ病み上がりのような状態にも関わらず、彼女はドアの方まで自分をおくってくれた。
「じゃあな、また今度。」
「うん、また連絡するね。」
そうして自分はドアを閉め、その場を後にした。
病院が広いせいか、それとも自分しかもういなかったせいもあるのか、妙にドアを閉めたときの音のエコーが長く感じた。
さようなら、自分の中の亀井絵里。
138 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 03:19:23 0
結局最後まで好きだとは言えなかった。
勿論こんな状況では言える筈も無いのだが、それでも自分の中にある本当の秘密は最後の最後まで大切な人には伝えられなかった。
だけどそれも悪くはないかな、そう思える自分がそこにいた。
ただ最後に予想だにしなかった亀井の一言が自分の脳裏を横切った。
「秘密ってさあ。本当に自分が心から大切にしている人って、何故か心置きなく言えちゃうんだよね。」
あの時好きだと言えばよかったかな・・・・・でもそんな野暮な事は考えないようにした。
――――――――――とその時
「やっぱり最後まで言えなかったんだね。」
え?この声は・・・・・
自分の耳を疑うような感じで後ろを振り向いた。
するとその先には・・・・・
「よ、久しぶり!」
新垣が立っていた――――――――――――それも当時のあのままの姿で
更新乙です
毎度毎度乙です〜
えりりんまたかよ…とか、主人公とはやはり何もなかったのかとか、
ガキさんまさか…とか感想が溢れて来ますね〜
プリティメイズとはなかなか乙だな
これノンフィクションだよね?
保全しちゃうもん
ねー?
\ヽ //
☆ノハヽ 〃ノハヾヽ
ノノ*^ー^) (・ 。.・*从
> 新垣が立っていた――――――――――――それも当時のあのままの姿で
(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
乙です
ガキさん・・・いやっ・・・
黙ってラストまで待ちます
146 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 10:33:45 0
新垣の髪は濡れていた。
濡れていたのは髪だけではない。
制服から靴下まで、頭のてっぺんからつま先までびしょ濡れていた。
そう、まるであの時の夜と同じように・・・・・。
「に、新垣・・・どうしてお前がここに・・・・・。」
「辛くないの?」
「好きな人に思いを伝えられないままって。」
「え?」
「思い出して、私が最後にキミに告白した時のこと。」
「・・・・・。」
「キミが亀井ちゃんを好きなのは最初っから知ってたよ。でも、好きだったからどうしてもこの思い伝えたかったの。」
「あ、あああ・・・・・。」
「そして、ほんの瞬きするかの僅かな時間だったけど、キミと私は確かにあの瞬間恋に落ちた。」
!!!!!
6年前のあの夕立の日
自分は橋桁の下で確かに新垣を抱いた。
147 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 10:34:25 0
新垣にとって初めての相手が自分であり、自分にとって初めての相手が新垣だった。
そしてお互いあの夕立の中で激しく愛し合った。
自分にとってはたった1回の過ちでも、新垣にとってはそれを恋としてとらえていた。
「あの時は凄く嬉しかった。」
「・・・・・。」
「初めての相手がキミでよかったよ。やっぱり好きだと思う人に抱かれて後悔は無いから。」
結局自分だけだった。
最後の最後まで秘密としてあの頃に残したままなのは・・・・・。
「もう・・・・・いいじゃないか。」
「何?」
「あれから俺達は高校を卒業して5年くらいになる。もう終わったことじゃないか、なのになぜそこまでオレにまとわりつく?」
「私は別にそういう気持ちは無いわよ。ただそれに固執しているのは誰でもないあなた自身。」
「何だって?」
「違うの?」
気がつけば体に冷たいものを感じる。
自分は雨が降っていた事も気付かず、その場にうずくまってた。
148 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 10:35:23 0
「オレは・・・オレはどうしたらいい?」
「・・・・・。」
「今更彼女に思いを伝えたところで何になる?相手は夫もいれば子供もいる。そこで自分の気持ちを伝えたところで・・・。」
「そんなこと考える必要は無い。」
「じゃあ、新垣は一体何が言いたいんだよ!」
「キミ自身が過去を一番否定しようとしている。思いを伝えることも大事だよ。でもね・・・・・。」
「・・・・・。」
「亀井ちゃんと恋をしたこと。これを一番大切にしてほしいかな。」
「・・・・・。」
「辛かったよね、今までずっと耐えてきたところもあったよね。
でもすべてを含めて一番大切なのは恋を成就したことじゃなくて、恋をしたことなんだよね。」
「新垣・・・・・。」
新垣を見上げたら、そっと新垣が優しく抱いてきた。
「また次に恋をする機会があったら応援するよ。だけど絶対に投げ出さないでね、後悔するだけだから。」
「ありがとう・・・・・。」
確かに新垣の言う通りだ。
自分は亀井への好きな気持ちを放棄してしまった。
そしてその過去を消してくれるようなきっかけすらあればそれでいいとすら思ってしまった。
亀井は確かに自分にとってかけがえの無い存在だった。
だけど・・・・・彼女との思い出を捨て去ろうとしてたのは他でもない自分自身だった。
しばらくして新垣が自分のもとをそっと離れた。
その瞬間、目を開いたら新垣はそこにはいなかった。
「新垣・・・・・。」
そのまま自分は雨に打たれるようにしてその場に立ち尽くした。
149 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 10:36:02 0
届いた知らせに
宛てる声も無くて
歪んだ望みに
重い扉開けて
剥がれた昨日 嘘
羞悪絶えぬ思い
窓に映る姿見つめた
汚れた顔見つめた
突き裂く雨に打たれ
少しは気も和ぐ
冷たく暗く辛く
無力な我を濡らせ
教えて 何処行く途切れた喜びを
教えて 激しい通りすがりの雨
――――――――――――新垣が亡くなったという知らせを受けたのは、それから間もない頃だった。
150 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 10:36:52 0
皮肉にも亀井と言っていたことがすぐに実現してしまった。
葬儀には当時の部活でともに活動した仲間が全員揃った。
亀井も出産直後にも関わらず葬儀に参加した。
新垣は1浪の末、美大に合格し、教員になるために教育実習を受けたばかりだった。
聞いた話によると最後に新垣に会ったのは他でもない彼女の母親だそうだが、
「おやすみ」と最後に一言残して、翌朝まるで悪夢のように我が子が静かに眠り続けていたという。
最後に新垣を見るとそれは本当に彼女の寝顔を見るようで、そのままいつ起き出しても不思議じゃなかった。
傍らにいた亀井がふと自分に話し掛けてきた。
「何か里沙ちゃん、凄く安らかな顔してたね。」
それは本当にその通りで、まるで自分の人生に悔いも無く、全うした印象が新垣から感じとれた。
・・・・・さようなら。そして、ありがとう。
自分と亀井はその場を後にした。
151 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 10:38:35 0
葬儀の後自分と部長と亀井と一服していたその頃、新垣の母親が話があると言って自分たち3人は別の場所に移動した。
話によると渡す物があるということで、それは生前新垣が最後に書き残した絵画らしかった。
白い布に包まれたキャンバスを渡され、ゆっくりとその布をとってみる。
するとその絵には・・・・・
あの頃の自分たちが何も変わらないままそこにいた。
そこには自分がいた。
亀井も新垣も部長も・・・みんなあの時のままだった。
ふと自分はキャンバスの裏を見てみる。
その裏には作成日付と新垣のサイン、そしてその絵のタイトルが記入されてあった。
作成は本当につい最近らしく、これが新垣にとっての遺作かもしれない。
タイトルは「一生の思い出」
自分たちはその絵を見てただひたすら泣くだけしか出来なかった。
あの酷く暑かった夏の日の思い出。
今はその絵画だけが静かに語りかけてくる。
【真夜中の校舎】
――完――
152 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 10:46:14 0
【真夜中の校舎】
これで終了致しました。
最後まで読んで下さって本当にありがとうございます。
またレスをしてくれた方々、保全してくれた方々、応援してくれた方々に本当に感謝しております。
また深夜にあとがきさせていただきますので、宜しくお願いします。
とりあえず乙でした
職場ながら目が真っ赤です
素晴らしい作品をありがとうございました
ゴルァ作者氏!
昼間に感動の大作を書くなぁ!!!
会社で泣いちまっただじゃないか!!!
作者氏、お疲れ&ありがとう!
155 :
名無し募集中。。。:2005/08/04(木) 12:38:13 O
156 :
名無し募集中。。。:2005/08/04(木) 12:51:31 0
俺も学校で泣きそうになった
作者さんありがとう!
まったく泣かなかったけど読みごたえがあって面白かった
泣いた〜とかいうレスを見ると狼もまだ捨てたもんじゃないなと思った
っていう俺の方がピュア野郎かな?
作者さん乙でした
前に たまには狼でこんなのもいいと書いたものです
本当によかった
書いてくれてありがとう
今日も暑いな 目から汗が出てらぁ
作者さん乙ありがとう
作者さん乙でした。
前スレの終わり頃に下らないことを聞いた者です。
まさか話に出てくるとは思わなくて……本当にすみませんでした。
そしてありがとうございました。
この作品に出会えて本当によかった。
作者さんお疲れさまでした
自分に目が向いていない相手に
気持ちを伝えなかった「キミ」と
気持ちを伝えた「新垣」
結果は傷ついたり凹んだりって同じだろうけど、どっちがいいんだろうな…
同じ傷つくなら俺は気持ちを伝える
後悔はしたくないからね
俺は伝えない可能性が高いな
伝えて気まずくなるリスクを犯すよりは現状維持を選択するかも…
俺なら気持ちが萎えても空気読めなくてもプールの段階で伝えてたな
伝えはするが実は好きだったみたいな言い方で
別に付き合わないな
166 :
名無し募集中。。。:2005/08/04(木) 17:41:23 O
とりあえず好きになったら俺はストレートに言う
戦績はもちろん全敗だが人付合い苦手だからこれでいいのだと思ってるよ
相手に自分よりよい野郎が現れてくれるならそれにこしたことはない
独男板みたいだw
168 :
名無し募集中。。。:2005/08/04(木) 19:02:54 O
作者さん乙
感動した!!
鳥肌が立ったよ。
169 :
名無し募集中。。。:2005/08/04(木) 19:36:23 0
プリティメイズか・・・
作者さんお疲れ様。良かったよ。
オレはこの後、新垣があの晩現れたことを含めて話し
亀井に想いを伝えたんじゃないかと想像してみる
そうあって欲しい・・・
171 :
名無し募集中。。。:2005/08/04(木) 20:07:37 O
フューチャワーッ!
ho
読ませてもらいました。
いい意味で重い内容だったので、感想を書けませんが
作者さん、お疲れ様でした。
ze
175 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 23:13:41 0
こんばんは、作者です。
こんなにたくさんの熱い感想本当にありがとうございます。
自分自身書き始めた当初はここまでレスをもらえるとは思ってもみませんでしたし、
また毎日ここを覗くのが楽しみで仕方がありませんでした。
書いて本当に良かったと思います。
それではちょっとだけあとがきさせて頂きます。
キタ━━━ノノ*^ー^)━━━!!!!
177 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 23:21:59 0
冒頭で書き込んだ実体験をもとに・・・と書いてますが、最終的に脚色部分ばかりになってしまいましたw
でも実際の話として自分が高校時代に活動した内容はそのまま書き込んでおります。
凄く楽しい部活でしたし、その反面厳しかったりで泣いてばかりもいました。
夜忍び込んだというのも実体験です。
ただし忍び込んだと言うよりはこっそり残ってしまったのが本当の話です。
プールは忍び込みました。しかも顧問の先生と一緒にw
しかも誰かがプールの備品を壊した際に、真っ先に先生が「ずらかるぞ!」
と言って逃げたのが今となっては笑い話です。
あの頃は本当に部活ばかりの毎日でしたが青春してました。
178 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 23:30:56 0
ちなみに今回登場しているのはえりりんとガキさんですが、
このえりりんこそ自分が実際に好きになった人です。
昔自分が芝居やっていた頃に、同じ研究生として好きになった人がいました。
今思うと本当に仲良かったなと思います。
食事や飲み、クラブやカラオケ・・・お互いよく誘い合いしてました。
ある日飲んでて終電が無くなり、彼女の家に泊まりました。
そこで本当なら告白するか、あわよくば抱いて・・・(ry
でも、そこでふとしたことから彼女の元彼から電話が入り、
その流れでそのまま彼女が「元彼の子供を堕ろしちゃったんだよね」
という話を聞きました。
そのときの自分の心境、相手側の心境共に物語に描かれている内容とここは一致します。
ハッキリ言ってしまえば、そういった思い話を聞いてしまったために告白どころか
同じ布団で寝ているのにも何も出来なかったのです。
そんな自分の臆病な一面によって、何も出来ないままただただ時間だけが過ぎていきました。
179 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 23:38:11 0
一方ガキさんは完全なオリジナルキャラです。
物語を書いた当初は登場する事すら考えていませんでした。
ですがこのスレの流れを考えてやっぱ登場しなくちゃいけないだろうなと思い、
最初は主人公とのエピソード的な意味合いで登場させただけです。
ですが書き込んでいる途中にどんどん自分はこの新垣というキャラに感情移入してしまいます。
やがてそれは主人公に無い部分を埋めてくれるキャラとして定着しましたが、
最後にあの当時のままでガキさんが登場したのは、ほんのちょっとした思い付きでした。
だから最後あたりに「ここからラストいきます」と書き込んでおきながら
妙に長くなってしまったのはそのためです。
あくまでも物語として考えるのであれば、最後はガキさんが主人公に無い部分を
痛切なまでに語りかけることによって完成させたほうが良いかなと考えました。
ですので即興的に書き込んだラストですが、自分的には一番の出来になってしまいました。
自分で言うのもなんですがw
おまいさんは役者よりもライターの方が向いてるかもしらん
もっとも脚本家は役者より悲惨なイメージあるけども
三宅裕二みたく脚本書ける役者になってくださいよ
181 :
【真夜中の校舎】:2005/08/04(木) 23:46:24 0
そして亀井のモデルとなった女の子ですが、現在は結婚しており1児の母です。
大学病院(だったと思う)の産婦人科にお見舞いに行ったエピソードとかはそのままですし
何故か新婦側の紹介で式に参加した事もあります。
こうして幸せな家庭を築いておりますが、それでも最後の最後まで「好きだった」
という一言は言えておりません。
そのときのエピソードがこの物語の原点です。
言えなかったのか・・・乙、作者さん
183 :
【真夜中の校舎】:2005/08/05(金) 00:01:33 0
それでは最後になりますが、今回のこの物語はまとめサイトが無いので
自分のブログにでも保存しておきます。
もしどっかで見かけたとしても、ここには貼らないで下さいねw
また音楽のことで反応してくれた方が多数いらっしゃいましたが、
PRETTY MAIDS『PLEASE DON'T LEAVE ME』は実際自分が高校時代にやった芝居の
エンディングテーマで、もともとはカバー曲らしいですね。
また、新垣が雨の中消えてしまった後の誌みたいな箇所は
BRAHMAN『FAR FROM...』の歌詞を抜粋しました。
あの曲を聴きながら物語を作りましたので、もしこの2曲をお持ちでしたら
曲を聴きながらそのシーンを思い浮かべてみるのも乙かもしれませんw
最後に物語りは終わっても、出来るだけレスします。
>>180 自分は自主映画も撮っていますが、みんなから役者より監督がいいよとはよく言われますw
それでは今まで読んで下さった方、保全して下さった方、感想してくれた方、
またこの物語を書き込むきっかけとなった前作品の作者さんとこのスレに感謝致します
本当にありがとうございました。
>>183 んあーそのうちまとめサイト作ってみるさー
185 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 00:15:18 0
作者乙!
面白かったです
186 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 00:22:08 0
作者さん乙
夜中に蒸し暑い部屋で電気消して読むのが楽しかったよ
すばらしいラストでした
187 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 00:50:56 0
とりあえずガキさんが架空の人物でホッとした
乙でした
ガキさんの使い方は「SOMEDAY」っぽいなとちょっと思ったんだけど・・・w
作者さん。感動をありがとう。
がきさん。素敵。もちろん絵里も。
作者さんせつねーよ
BRAHMAN聴くんですね
作者さん、こんなに素晴らしい作品に出会わせてくれて
ありがとうございます。
今日最初から一気に読ませていただきました。
私には3人の様に何かに没頭して後々懐かしめる様な思い出がありません。
でも、今日この作品を読んで今からでも数年後
あの時大変だつたな〜って思える様にがんばってみたいと思いました。
本当にありがとうございました。
192 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 05:14:12 0
状況説明が多過ぎたのがちと残念かなぁ
全部をベタベタに書くのでは無く
他の表現方法で状況を想像させる様な描写を心がけるといいね
すればもっと簡潔で読みやすいものになる
ノノ*^ー^) <ぉぁょぅ>(´D` 从
素晴らしい作品に出会えて良かったです
次の作者さん募集中。。。
195 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 09:03:11 0
感動しました。
俺にはこんな青春時代なかったなぁ……orz
俺も男子校だったからなあ
男子校でも隣りの女子校の生徒とうまいことやってたやつは多数存在した
大変乙でした
ありがとう
199 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 11:45:53 O
とても乙でした
200 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 12:22:30 O
よか作品だった
201 :
07001110479570_ag:2005/08/05(金) 14:12:53 O
作者さん乙んつん
202 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 14:49:56 0
作者様乙です
名作がまた1本終わってしまった・・・
>>197 そりゃそうだけどこんな風に部活に女がいないからさ
次の方どうぞ
かもんな
206 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 18:31:08 0
せきが止まらないんですけど…
(´・ω・`)しらぬがな
ションナ!
209 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 19:45:38 0
210 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 19:47:13 0
次の作者待ち保全
211 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 19:58:03 O
作者殿
小説家めざすべし
これって前スレから続いてたりする?
213 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 20:07:06 O
まだまだ続くよプールの季節
ho
かめかめ
216 :
名無し募集中。。。:2005/08/05(金) 22:06:08 0
良い作品でした。作者さんありがとう。
ただ新垣さんが最期亡くなるのがちょっと
展開としては強引だったかなぁって気持ちも。
作中で病弱だって表現があったりしたらまだすんなり入れたんだけどね。
ほ
やべえ落ちるとこだった
ze
n
ノノ*^ー^) <ぉぁょぅ>(´D` 从
ほ
朝だ
夏だ
>225
いいものだ。
▼ハヽヽ▼
/|\ノノ*^ー^)<えりえり♪
⌒⌒''(U 亀 )
▼〜し'~し'
ho
ze
230 :
名無し募集中。。。:2005/08/06(土) 14:44:06 O
亀井じゃ、亀井絵里の仕業じゃ!
ノノ*^ー^) <ほじぇん>(´D` 从
232 :
名無し募集中。。。:2005/08/06(土) 18:06:29 O
亀井絵里の頭
小説期待保守
作者募集中。。。
235 :
235:2005/08/06(土) 22:08:12 0
朝のホームルームが始まる前、俺はいつも机に突っ伏している。
眠いからだ。
クラスメートで幼馴染のさゆみに言わせれば、朝なのに眠いなんてありえないそうだ。
馬鹿な奴だ。朝だから眠いんだろう?
絶対にゴールデンでやらないようなB級映画がやってたら見たくなると言う気持ちも、あいつには分からないらしい。
この間やってた「エビレスラー」をビデオにとって見せてやったら、10分で寝やがった。
俺はホームルームの最中はずっと突っ伏している。
重要な連絡事項があれば、後からさゆみが教えてくれるから気にしない。
担任の声が、今日も頭の中で2時の方向でぼんやりと響いていた。
236 :
235:2005/08/06(土) 22:09:04 0
…だが、今日は違う。
「今日からお世話になります、亀井絵里です!! よろしくお願いします!!」
その声に、クラスの男子全員の歓声が上がった、そして女子どものやや憧憬を含んだ溜息も。
数ヶ月ぶりにホームルーム中に顔を上げた。
教壇には大きく「亀井絵里」の文字。
だが…なんだ、最後のハートマークは。
その文字の前では、うちの制服に身を包んだ一人の女子生徒。
半そでのブラウス、鮮やかな色のベスト、チェックのスカート、紺色のリボン、何もかも見慣れているのに、一つだけ違うのはその中身。
黒くてまっすぐな髪、上がった口角、すうっと細くそして妖しい光を湛えた瞳。
彼女は教室中の歓声を満足げにニヤニヤしながら見回す。
「じゃあ亀井さんは、彼、あのさっきまで寝てたあいつの横の席で」
憧憬やら羨望やらが詰まったクラス中の視線が、一斉に俺に集まる。
誰も自分を見ていないその一瞬の隙をついて、彼女は俺にウインクをした。
237 :
235:2005/08/06(土) 22:09:56 0
「屋上への階段の踊り場で、にやつく君を見て」
238 :
235:2005/08/06(土) 22:10:44 0
―――
「なんであそこでウインクなんだ?」
「いいじゃん、ね? なにはともあれよろしく!」
そして何故か俺の横には、転校生が座ってる。
あれだ、絶対に今後は、
カワイめの転校生→席は俺の隣→仲がよくなる俺たち→クラス中で付き合ってるのかもと噂に→
馬鹿な女子どもの突っ込みに「こんな奴好きなわけ無いじゃん」と暴言を吐く俺。ちょっと冷戦状態に→
帰り道で偶然迷子の子どもの世話をしている姿を発見。優しさに気付く→告白
うはwwwwこれなんてエロゲ?
って感じの展開に…なるわけはないのだが。
「ねえ?聞いてる?」
「聞いてるよ。よろしく」
「うん!」
彼女の微笑みが、脳内で勝手にエンディングテーマ『二人だけの明日へ』(作詞・作曲/俺)を流している自分の心にちょっと響いた。
239 :
235:2005/08/06(土) 22:11:39 0
―――
「んーと、ここが生物室。えっと…理科は何選択?」
「ん? 生物」
「じゃあ授業はここ」
「りょーかーい」
昼休み、担任の命令により、転校生を連れて学校中を案内する。
廊下ですれ違う生徒たちは決まって俺たちに振り返った。
そしてそれが俺に向けられたものではないことくらい分かっている。
それくらいの、つまり一緒にいることが誇らしいくらいの美少女と歩けることはいいのだが、非常に不満だ。
俺としては、昼休みは弁当を5分で食べた後、残りの55分は寝ることにしているのだが。
しかし「お前の内申点がどの程度か考えてみよう」と笑顔でいわれた日にはたまらない。
一応言っておくが、成績が悪いわけじゃない。無気力なだけだ。
その横で、彼女はニヤニヤとさっきと同じ笑みを浮かべていた。
「ねえ、君も理科は生物?」
「そうだけど」
「そっか…よかったぁ」
240 :
235:2005/08/06(土) 22:12:31 0
何がいいのか分からないが、またさっきのニヤニヤで笑う。
生物室に背を向けたとき、後ろで彼女がポンと手を叩いた。
振り返った俺に、相変わらず両の掌を胸の前で揃えたまま、彼女は思い切ったように言葉を紡ぐ。
「あのさ…さっきから結構悩んでたんだけどさ、君のこと何て呼べばいい?」
「は? 別に呼び捨てでいいよ」
「んーと、だから、苗字か名前かとかあるじゃん」
「どっちでも」
「もう」
「そっちは?」
「ん? 絵里でいいよ」
「いや…流石にそれは…苗字でいい?」
「はーい」
241 :
235:2005/08/06(土) 22:13:22 0
―――
一通り校内を案内し終わった俺は、亀井を連れて最後の場所に向かう。
俺の斜め下で、亀井はにやにやしながら、くっつくかくっつかないかの微妙な距離を保っていた。
時々風に揺れる髪から、女特有のいい匂いがする。
それに俺が動揺しているのに気付かないのか、いや、もう見透かしているのか、平然と今の距離を維持している。
「最後はどこ?」
「ん? 屋上」
「え? 先生、屋上には入れません、って言ってたよ?」
「入れないよ、他の学生は」
丘の上にあるうちの高校からは町を一望できる。
だが、一番見晴らしがいいはずの屋上の入り口は南京錠で鍵がかかっている。
なんでも俺がこの高校に入る前の年の秋、3年生が飛び降り自殺をしたらしい。
まったくもって迷惑な話だ。
自殺したい奴なんか、例えこの屋上に入れないとしても、別の場所で別の方法で死ぬだろうに。
242 :
235:2005/08/06(土) 22:13:52 0
4階から更に上へと向かう階段は薄暗くて、どこか空気がひんやりとしていた。
「あ、涼しい」
亀井の呟きが斜め後ろで聴こえる。
俺はそのまま突き当たりのドアへ行くと、南京錠が取り付けられているちょうつがいを静かに抜いた。
ネジがふらふらと揺れて、漆喰をぽろぽろと床に落とす。
「あ…いけないんだ」
「俺が壊したわけじゃないから。いいんじゃね?」
「あんたがやったんじゃないの?」
「うん」
1年生の夏…だから丁度一年前、偶然このちょうつがいに手を掛けたとき、簡単に外れることを知った。
鍵というものは、実際にかかっていることよりも、「かかっている」って思わせる方が効果が大きいような気がする。
事実、俺以外の人間が屋上にいるのを見たことは無い。
この鍵のことを知って以来、授業をサボったり昼に寝るときは、大抵ここに来ている。
誰にも邪魔されないのが実に心地よい。
ドアを開いて、亀井を先に空の下に出したら、歓声が聞こえた。
243 :
235:2005/08/06(土) 22:14:22 0
「あーーーーー!! すっごい綺麗!!!」
薄く青色を延ばしたような空の下、びっしりと並ぶ家と所々の緑。
はるか向こうの方には、キラキラと真夏の海が光っていて。
フェンスの間際まで走って「ガシャ!」って音をさせるほど強くしがみついて、亀井は目を細めた。
「おい、あんまり外から見えるような位置に立つなよ。先生にばれる」
俺の言葉を殆ど無視して、亀井は景色に夢中になっていた。
ひらひらとミニスカートが風に舞って、白い太股がちらりと見える。
なんか…スカートの下まで見えそうだ。
転入初日に同じクラスの男子にパンツを見られたとあっては、うかばれないだろう。
早々に近付く…と、急にこっちに振り返った。
揺れた髪が俺の鼻のあたりをくすぐって、生意気な目がほんの20センチほど先で笑っている。
244 :
235:2005/08/06(土) 22:15:00 0
「いいとこ教えてくれるじゃん…ありがと」
「いや」
変に緊張して、言葉がその一音節しか出てこない。
「他の友達にもここ教えてるの?」
「いいや、俺しか知らない」
「ふーん、じゃ、二人だけの秘密だ」
はっきり言って、俺だけの秘密でもよかった。
でも「二人だけの秘密」って言葉を聞いた瞬間、そんな気持ちはとうに吹っ飛んだ。
なんで亀井にこの場所を教えようと思ったのか。
『場の流れ』と言えばそれまでなんだけど…
「帰ろ? 午後の授業、始まるんじゃない?」
「ああ」
俺が返事をした刹那、予鈴の鐘が時計台の方で響く。
俺の前を横切って出口へ向かう途中、亀井は拳を突き出して俺の胸の辺りをポンと叩いた。
245 :
235:2005/08/06(土) 22:15:30 0
「ありがとね」
今、分かった。
なんで亀井にここを教える気になったか。
会ってからまだ4時間も経っていないのに、なんでか。
俺は、こいつとこの景色を見たかったんだ。
そしてこれからも、見たいんだ。
胸の辺りの妙な騒擾を感じながら、なんとなく答えが見つかったことに満足していた。
亀井はドアから出る前、もう一度、まるで名残惜しいみたいに振り向くと何秒間も景色に見入っていた。
246 :
235:2005/08/06(土) 22:16:13 0
―――翌日
「キャーーーーーーー!!!!!!!!」
教室中で女子の絶叫が咲く中、俺の耳元では亀井の叫び声が炸裂する。
生物教師が満面の笑みで抱えてきたタライには、白いマウスがいっぱいに入っている。
無色透明のタライは、ぎゅうぎゅうにマウスが入っているのが一目瞭然。
男の俺が見ても、正直気持ち悪い。
「おーい、お前ら。叫ぶのはいいから二人で一匹ずつだ。持っていけ」
実験器具か薬品を配るときみたいに平然と言い放つ生物教師。
横では亀井が青ざめた顔をしている。
転校二日目からこれは……キツイよなぁ。
今日解剖だって亀井に言い忘れてた、すまん。
「とりあえず取って来るわ。昨日解剖あるって言えばよかったなぁ…
亀井の分のハサミも借りてくるから」
「いいよ…私は見てるだけでいい」
「そーいうわけにいかんだろ」
生物教師曰く、一人一回はハサミを入れること、だそうだ。
247 :
235:2005/08/06(土) 22:16:42 0
台の上に仰向けに乗せられた、体長10センチくらいのラット。
亀井は右手にハサミを持って、左手で何故か俺のワイシャツの袖をつかむ。
「全員準備いいか? まずは気管から見ていくから、喉元を切開しろ。
切り方は、ピンセットで皮をつまんで、そこだけ切るのがコツだぞ」
一生活かされないようなコツを伝授する生物教師。
「どうする? それだけやれば、あと全部俺やるけど。
何にもやらないと後で言われるかもしんないよ?」
「じゃあ……それだけ」
顔をそむけながらだけど、とりあえずピンセットとハサミを持って切開開始。
それでも意外とちゃんと切れて、ピンク色の肉が見えた。
248 :
235:2005/08/06(土) 22:17:19 0
「はい、もういいよね。もう交代ね」
「へいへい」
ハサミとピンセットを台の上に放り出して、俺の背中に隠れる。
腕の辺りに髪がさらさらと当たって、くすぐったい。
喉の部分からピンクのモノが露出しているラットはグロいけど、亀井よりは耐性はある。
「ねえ、あのさ」
「なに? あ、これ気管と食道」
ちょきちょきとラットの喉を切開して、気管と食道を確かめる。
亀井はずっと俺の背中でワイシャツにしがみついて、肩越しにラットを見ている。
一瞥しただけで気管と食道を確認すると、またサッと背中に隠れる。
「ゴメン、ホントは私ももっとやらなきゃいけないのに」
「いいよ別に。苦手なのにやらせるのもアレだろ?」
「うん…ゴメン」
「いいよ、分業だ分業」
「分業…そうだね」
少しだけ亀井の声が明るくなる。
そして亀井のしがみつき方がちょっと弱まったのが、何故か名残惜しかった。
249 :
235:2005/08/06(土) 22:17:55 0
「知ってる? ネズミって、危険なことを予知できるんだよ」
ハサミが腸に差し掛かったころ、ポツリと亀井が漏らす。
流石に雑談のネタがなくなってきたからって、どういう話題だそれは。
「例えば、船に棲みついてたネズミが、その船が沈みそうになると船から逃げ出したり」
「ホントかぁ?」
「ホントだよ」
俺の中のムーディーズが限りなく低い格付けしか示さないような信憑性だ。
亀井はまるで自分の世界に入ってるみたいに生物室の隅の方を見つめている。
なんか…こっちを見られてるときより、妙に艶っぽい気が…
「人間にも…あるかもしんないよ、そういうの」
亀井が最後に漏らした言葉が、消毒と麻酔の匂いの混じった部屋を通り過ぎる。
その言葉は全く気にならなかった…そのときは。
250 :
235:2005/08/06(土) 22:19:36 0
とりあえず続きます。ちょっと毛色が違うモノになると思いますけれど
また後日
『もしも高校で亀井と同級生だったら』とかいうスレ(うるおぼえ)の小説だな。
続き読みたかったのに落ちちゃったので、もう1度見れてよかったよ。
なんかキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ノノ*^ー^) <いいよいいよ。待ってたよー
せつなポップ
乙〜
ヤター職人さんきてたー
h
寝るか
o
z
ほ
し
の
267 :
名無し募集中。。。:2005/08/07(日) 12:11:29 O
プールで泳ぐ亀井絵里のふとももに釘付け
空気嫁
ほ
270 :
235:2005/08/07(日) 15:20:32 0
―――
亀井が転校してきてから2週間…
にぎやかな奴だ。
いっつも朝一で教室にいて、入ってくるみんなとハイテンションで話してる。
担任が「亀井が入ってから、遅刻減ったんじゃないか?」と真顔で言っていた。
恐らく…いや、確かにそれは当たっている。
俺?
俺は基本的には前と変わらない。
ちゃんと来る日もあれば、遅刻もする。
男子の中には亀井と話すためだけに早めに教室へ来る奴もいる。
運動部の奴に聞いたら、朝練をサボるのも増えたそうな。
でも、朝教室に入って亀井を取り囲んで男子が目をギラギラさせているのを見ると、なんか嫌な気分になる。
いや、それ自体は別にいいんだが…自分もその輪の中に入ることっていうのが、なんかこう。
だから俺は、いつも通りに遅刻すれすれの時間に来る。
話だったら、授業中二人でいくらでもできるし。
それに……
271 :
235:2005/08/07(日) 15:21:53 0
―――
「またここにいたぁ〜」
「ん…そーいうお前も来てんじゃねーか。誰にも見られてないよな?」
「うん」
満足げに頷く姿。
昼休み、別々に友人たちと飯を食った後、屋上で話すことが多いからだ。
「やっぱ屋上は涼しいねぇ…ここまで上がってくるのに、汗かいちゃったよ」
亀井は持っていた下敷きを顔に向けてパタパタと仰ぐ。
おでこに張り付いていた黒い前髪が、重たそうに揺れる。
下のほうから蝉の声がまるで沸き上がるように聴こえている。
俺はベンチに寝転んだまま、足元の方に腰掛けた彼女をぼんやりと眺めた
ちなみにお昼時はちゃんと日陰にくるように、給水塔の影にベンチを移すのがポイント。
272 :
235:2005/08/07(日) 15:22:35 0
「こっからの景色っていつ見ても綺麗だねぇ…」
「お前さ」
「ん?」
「女同士とかでくっついてなくて大丈夫なの?」
亀井のパタパタが止まる。
背筋をしゃんと伸ばしたまま、フェンスの向こうをじっと見つめる。
下敷きを両手で包み持ったまま顎の間に挟んで、拗ねたように口を尖らす。
「うーん、女同士ってめんどいじゃん」
「めんどいからこそ、ぞんざいにしておくとめんどいことになんじゃね?」
「でもお昼は女の子同士で食べてるよ?」
「知ってる。道重とかと一緒だろ?」
「そうそう」
したり顔でうんうん頷く。
さゆみと亀井はどういうわけか馬が合うらしい。
とは言っても、べったりしているわけではなく、こう、どこか距離を置いている感じ。
273 :
235:2005/08/07(日) 15:23:19 0
「私は最小限、その辺はやってるつもりだけどなぁ…」
「そう? 加減は俺にはわかんねーからさ、変なこと言って悪い」
「いいよ。女の子同士でいるよりも楽しい時間があれば、そっち優先したいもん」
パタパタを再開。
今度は俺の方に向けて下敷きを仰ぐ。
ベキュポキュと不可思議な音を立てて、ピンクの下敷きが揺れる。
生暖かい風が顔の上を撫でていく。
亀井の言葉が何を指しているのか、それくらい分かる。
一緒にいることが楽しい…って。
ドキドキする。
俺の視線に気付いたのか、亀井は仰ぎながらちょっと顔を傾けた。
274 :
235:2005/08/07(日) 15:24:00 0
「俺も楽しいから、いいんだけどな」
「そっか…よかった」
「なんでだよ?」
「今までこの時間って一人だったんでしょ? 邪魔しちゃってるかなぁって…」
「それはない」
断じてそれは無い。
こう言ってしまうとなんだけど、まるでこいつが転入してきてから、学校に来るのが楽しくてたまらない。
そしてその中でも、この屋上の1時間。
これが最高に面白い。
雨で屋上に入れない日なんか、テンションが下がるくらいだ。
「えへへ。よかった」
ベロを出して笑うのが、ちょっと幼く見える。
275 :
235:2005/08/07(日) 15:24:44 0
「ねえ、あのさ。この学校の昔の生徒が見れるような本ってあるかな?」
不意の問いかけに思わず身を起こす。
5秒前とは打って変わって真剣眼差しを向けられていた。
ちょっと俯いて下から見上げるような視線。
「は? なんだ、そーいうの興味あったのか? そんなことやってる部活あったぞ…」
「いや、研究とかはしたくないんだけど、単純に興味」
「うーん、何年前の見たいのか知らないけど、クラスごとの集合写真でよければ、
図書館に学校の要綱がとってあんじゃね?」
「そっか…ありがと。あーあ、次は日本史かぁ…」
「嫌いだっけ?」
「この暑い中やる学問じゃないよ。冬炬燵に入りながらなら覚えられるのに」
「なんのこっちゃ」
俺の突っ込みにケラケラと笑う亀井は、またもとの亀井だった。
俺は予鈴の鐘を右耳で聞きながら、瞼の上の辺りに溜まった汗を指で飛ばした。
276 :
235:2005/08/07(日) 15:26:27 0
―――
「なんかさぁ…絵里と仲いいよね」
「はぁ? そうか?」
朝、偶然会ったさゆみと肩を並べる。
俺のあげた素っ頓狂な声に、死ぬほど満足げに頷いた。
一応言っておくが、毎日こいつと一緒に登校しているわけではない。
これがエロゲーとかその類なら、大抵俺を起こしに毎朝来たりするのだが、生憎そんなことはない。
さゆみは遅刻して教室の後ろから匍匐全身で席に向かう俺を見つけて、
「先生! 今来た人がいます!!」とか申告するような女だ。
まあ、多分おれがこいつの立場でも同じ事をするので、それがむかつくことはない。
277 :
235:2005/08/07(日) 15:26:57 0
「だってさぁ、席隣同士だし」
「席が隣になったのは担任の策略だろ」
「えー、結構いい感じだよ」
「はぁ、そうですか」
「知ってんだよ? 絵里がご飯の後どこ行ってるかくらい」
「む…そうか」
「秘密にしといてあげるよ…ただし、今度奢ってよ」
「へいへい」
「まあ、私よりかわいくはないからいいんだけどね」
おいおい、ボソッと凄いこと言うなよ。
「えーと、さゆみさん。もしも亀井がさゆみさんより可愛かったら、どうなるんですか?」
「え? そんなの決まってるよ」
斜め下を向いていた顔を上げて微笑む。
無邪気に笑ったまま、さゆみは目を三日月みたいな形に鋭く変えた。
278 :
235:2005/08/07(日) 15:29:03 0
「ふふ…どうしよっかなぁ…」
母さん…
僕の幼馴染は、ダークサイドに心を囚われてしまっているようです。
登校途中に何故かシャドーボクシングをする幼馴染を、げんなりと見つめる。
279 :
235:2005/08/07(日) 15:29:39 0
−5分後
「でもさ」
俺の祈りが通じたのか、さゆみがやっとダークサイドから戻ってきた。
いつものとおり、自信に満ち溢れた目で真っ直ぐに坂の上に見える学校を見つめる。
「絵里が学校に来る姿、誰も見たことが無いんだよね」
「そういやぁ、あいついつも学校一番乗りだな」
「あと帰りも」
そう言えば…通学路であいつと会ったことが無い。
方向が違うから…いや、あいつがどこに住んでるかそもそも知らないな。
「一度くらい、絵里の家とか行ってみたいなぁ」
「お前あつかましくね?」
「だってさ、もっと仲良くなりたいじゃない?」
それがお前よりかわいい女でもか? という言葉は喉の奥に仕舞い込んだ。
そして自然と「かわいい」って言葉が頭に浮かんだ自分に、正直びっくりする。
亀井は…かわいいよな、うん。
280 :
235:2005/08/07(日) 15:30:22 0
―――
「平家の政権を倒すために、まずは以仁王の令旨に呼応して源頼政が…」
日本史の時間、亀井は授業開始後10分で陥落していた。
うちの高校は寝ていてもあまりうるさく言われないからいいんだが、これはどうよ?
「鹿ケ谷の事件、これは首謀者の名前をちゃんと覚えてください、まずは西光…」
確かに…日本史のじじいの声が子守唄に聞こえてくるんだけどな。
窓の外で蝉がうるさいくらいに鳴いている。
冷房が生ぬるくしか効かなくて、うっすらと汗が滲む。
亀井を見ると、白い頬を上に向けてちょっとだけ口をあけていた。
額には汗が光っている。
「俊寛…この人は後に鬼界島に流刑になりました。次に藤原成親……」
281 :
235:2005/08/07(日) 15:31:00 0
亀井は…カワイイと思う。
そして、さっぱりしていて、いつも屋上で一緒にいて。
この2週間ちょっとの間に、こいつと過ごす時間が段々多くなってきている。
今、学校で一番楽しい時間はいつかって言われたら、いや、学校だけじゃなく、俺の生活全てで、何がって言われたら。
間違いなく、俺は昼休みの屋上と答えるだろう。
「多田行綱の密告で陰謀は失敗に終わります。これによって、後白河法皇は幽閉され…」
話すのは本当に取り留めのないことだけれど。
好きな音楽、日本史のつまらなさ、2時間目のバスケのシュート、女友達、
している腕時計、昨日のテレビのマジック、写真うつり、携帯の料金…
282 :
235:2005/08/07(日) 15:31:35 0
本当はもうちょっと聞きたいこともある。
でも、今が楽しすぎて踏み込めない。
踏み込んだら気まずくなって、終わりそうな気がする。
屋上のドアが開く音が聞こえなくなりそうな気がするから。
相変わらず日本史資料集の如意輪観音像のページを枕にして、亀井はこっちに顔を向けて寝ている。
かすかにだけど、寝息が聞こえる。
黒い髪が頬の上から机の角へと流れている。
「そして、ここが重要ですよ? この直後に、清盛は福原に遷都してるんですね」
ホントは聞いてみたい。
……亀井、今、彼氏いるのかな?
283 :
235:2005/08/07(日) 15:32:09 0
一応ここまで。
もうちょっとで本題。
自殺した生徒って・・・・・???
更新乙です
更新きてたー
夏らしい作品ですな。
ワクテカ
空気読めよ
ほ
291 :
名無し募集中。。。:2005/08/07(日) 21:49:13 0
作者エロゲ好きなのかwwww
292 :
名無し募集中。。。:2005/08/07(日) 22:12:25 O
235作者乙
新しい物語りに期待保全
ほ
同じく保全
ho
ze
n
ほ
ぜ
ん
.∋8ノハヽ8∈
川‘〜‘)||/ヽ パッ!
ノ つつ. ● )
⊂、 ノ \ノ
し'
302 :
名無し募集中。。。:2005/08/08(月) 10:53:48 0
ho
mo
304 :
名無し募集中。。。:2005/08/08(月) 14:22:52 0
sa
pi (・e・ )=3
ё
n
酢
d
汁
( `_´)ん?
ho
ze
n
ho
ぜ
( ・e・)<ん?
ほ
319 :
名無し募集中。。。:2005/08/09(火) 05:01:32 0
早朝あげ
ノノ*^ー^)<保全!
ノノ*^ー^) <おはようございます
はいおはよう
そんな暇人じゃないんだろ
それもそうだな
ほ
し
328 :
名無し募集中。。。:2005/08/09(火) 17:37:29 O
い
329 :
名無し募集中。。。:2005/08/09(火) 17:53:51 0
川o・-・)<も♪
m
( ・e・ )
332 :
235:2005/08/09(火) 19:58:27 0
――――
「ん? 知らないよ」
部活帰り、昇降口で偶然さゆみと一緒になった。
吹奏楽部の大会前の俺が夜8時に帰るのは分かるんだが、エコロジー研究会のさゆみもこの時間というのがどうも納得できない。
エコロジー研究会、略してエコ研。
環境のことを考えつつ、何故か植物を育てている。園芸部との違いが俺には分からない。
とりあえず、「熱っちい地球を冷ます」とかいうのが目的らしい。
だが俺はさゆみの部屋の冷房が効きまくっていることを知っている。
人もまばらな夜の帰り道。
街灯の光の中でさゆみの白い肌がぼんやりと浮かぶ。
空の上の方で夜間飛行の青と赤の点滅が見える。
「知らんよなぁ…」
「絵里ちゃんの彼氏でしょ? 知らないよ。ってか、知らなかったの?」
「知らんよ」
「とっくにそういう話してると思ってたんだけどなぁ…」
途中ちょっと寄り道をして奢ってやったクレープをぱくつきながら、さゆみは首をかしげる。
夜8時にクレープを食い、更に家に帰って飯を食う。
女というのは恐ろしい。
333 :
235:2005/08/09(火) 19:59:55 0
「なになに? 気になんの?」
悪戯っぽく笑って、肩で俺をこずく。
く…この女…
でもまあ、意地張ってもしょうがないよなぁ。
「しょーがねーじゃん。気になるんだから」
「そっかぁ…」
「そう」
「ふーん」
何が面白いのか、さゆみはそのままずっとくすくすと笑っていた。
公園をショートカットして、ちょっと街灯が少なめの住宅街。
さゆみの家の前でちょっと立ち止まる。
ここからもうちょっと行けば俺の家。
「道重」と書かれた表札。
自転車が止まってるってことは、兄ちゃんも帰ってきてるっぽいな。
「あのさ、絵里ちゃんに彼氏いるか…」
「?」
「聞いてあげよっか?」
「マジで?」
334 :
235:2005/08/09(火) 20:00:52 0
意外だった。
どちらかといえばボーっとしてて、頼りないと思っていたのに。
そしてもう一方で、こんなことを幼馴染に頼る自分が情けない。
でもそんな気持ちもほんの一瞬。
「ウソだよ。そんなの自分で聞きなよ。
自分で聞かなきゃ意味がないよ。聞いたからって今の関係が壊れるわけないじゃん。
彼氏いるの? とか好きな人いるの? とか。
もしもいたとしても、聞いたからって彼氏候補から外れるわけないじゃん」
「そうだけどさ。難しいんだよ」
言うは易く、行うは難し。
自分の表情が冴えないものになっているのが鏡がなくても分かる。
人差し指を唇の前に縦に当てて、さゆみはちょっと考え込む。
「あのさ、そんなこと聞きたいのって、やっぱり絵里ちゃんのこと…好きなの?」
「ん……多分…そうかも」
隠していたってしょうがないもんな。
でも今、こうやって言った瞬間、今まで心の中でもやもやとしかなかった気持ちが、一気に確定したような感覚。
335 :
235:2005/08/09(火) 20:01:28 0
さゆみはニコッと笑う。
そして門扉をくぐって、玄関のドアまで小走りで駆けて振り向いた。
「ほらね? 簡単でしょ? 好きな人がいるのかなんて聞くのなんて」
「いや、お前…対象がそもそも…」
「分かってないね」
「なにが?」
「それじゃ、がんばんなよ。だいじょーぶ、うさちゃんピースもついてる」
俺の言葉を掻き消すように、そう言っていつものあの妙なポーズ。
「ばーか」
でも俺の返事にさゆみはふっと笑う。
どこかその笑い方がいつもとはちょっと違うのが、なんとなく分かった。
17年間見てるから分かる、微妙な違い。
「それじゃ、またね」
「おう」
さゆみの家に背を向けて歩き出す。
俺は…亀井のことが好きだ。
そう言っただけで、もう、感情がそれだけでいっぱいになってきていた。
聞いてみよう、今のさゆみみたいにさらっと。そうすれば大丈夫だ。
相変わらず星はよく見えないけれど、満月がぼんやりと光っていた。
頷くと、家までの道を走った。
336 :
235:2005/08/09(火) 20:02:37 0
短くてすまんね。
>>284 特に気にしてないので。
こんなにいいストーリーに横槍入れるようで大変恐縮ですが・・・さゆみんは16才では
さゆみん・・・
さゆは可愛いから何歳でもいいと思うの
亀井と同じ学年という設定だから17歳でいいと思うの
更新乙なの
セツナス
更新乙〜
さゆみんセツナイよ…
さゆ・゚・(つД`)・゚・
関係ないけど
えりりん二冊目おめ
プールどころかグァムだなんて
さゆ・・・。
ho
ze
350 :
名無し募集中。。。:2005/08/10(水) 07:32:04 O
n
更新乙なの
ノノ*^ー^)<ほ
ho
ze
355 :
名無し募集中。。。:2005/08/10(水) 15:41:00 0
n
ho
ma
ki
mi
360 :
235:2005/08/10(水) 22:06:42 0
すまんが、今日明日は更新できませんよ。
リアルで書くならリアルな年齢であわせるが、そういう話でもないので特に年齢は考慮していないです。
ってか年齢考えると学校舞台の話が一気に制限加わって書きにくくなる。
書きたいように書いたらいい
雑音は気にするな
363 :
名無し募集中。。。:2005/08/10(水) 23:49:39 O
ho
前スレの終りごろからマジ仕事忙しくて読む暇なかった
今週末から盆休みだからまとめて読もうと思ってる
おまえら保全頼む
ノノ*^ー^) <おやすみ前に一保全
ノノ*^ー^) <寝ちゃダメですよ?
ノノ*^ー^) <寝てませんよ?
ノノ*^ー^)<おやすみですよ?
asage
ノノ*^ー^) <おはようございます。あさげ?
( ・e・)<保全とやらをしてみるのだ
372 :
名無し募集中。。。:2005/08/11(木) 08:55:10 0
||c|*・e・|| <電池切れちゃうヨ!
(; -e-)
374 :
名無し募集中。。。:2005/08/11(木) 12:24:42 O
ほ
ぜ
ノノ*^ー^)<保全ですよ?
ho
ma
ki
mi
ki
ほ
リd*^ー^)<保全
ほ
ま
m
o
ho
ほ
( ・e・)<なにげに保全なのだ
ze
393 :
名無し募集中。。。:2005/08/12(金) 14:23:16 O
ほ
ze
ン
ho
このスレの8割は保全でできています
ぜ
んぁ
ぽ
( ・e・)<ふぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ze
ほっしゅ
寝るか
ほ
せ
かめ
い
ちん
ちゃぽー
ho
mo
sa
りさちゃん
えりちゃん
保全ですよ?
感じちゃう
えりちゃんと
りさちゃん
ふたりは
恋人
が
ちょ〜ん
むかしむかし、ある浜辺に亀がいました。
「誰か、誰かいませんか?」
亀はひっくり返っていて自分では起き上がれない状態でした。
そこへひとりの漁師が通りかかりました。
亀は首を向けながら頼みました。
「あの、助けてもらえませんか?」
「何してんの?亀ちゃん」
「起きれなくなっちゃったんですよ」
「あっそ」
そう言って漁師はその場を立ち去ろうとしました。
亀は食い下がりました。
「ちょちょちょっと待ったぁ!」
漁師は振り返って言いました。
「何?これからハロショ行かなきゃなんだけど」
「助けてくだちゃい」
「ちゃいって何よ、亀ちゃん」
「助けてくれたら竜宮城に案内したげますよ?」
亀は悪代官に賄賂を贈る越後屋の様な満面の笑顔で言いました。
「興味無いから」
漁師はあっさり答えると『愛の種』を口ずさみながら去って行きました。
「しょんなぁぁぁ」
亀の声は弱々しく、波の音にかき消されてしまいました。
遠くからは亀を見つけた悪ガキどもが今まさに駆け寄って来ていました。
めでたしめでたし。
ワロタw
何この短文w
漁師はガキさんでイイのかな?
それだと「亀ちゃん」って呼ぶのがしっくりいく
( ・e・)<何してんお?亀ちゃん
オモシロスwww
かかか
めめめ
ノノ*^ー^) <おっはよぅございまーす
434 :
名無し募集中。。。:2005/08/14(日) 07:33:30 0
( ・e・)<何で起きてんの?起こしてんのに
ho
( ・e・)<ちんぽしまう〜
ほ
438 :
名無し募集中。。。:2005/08/14(日) 12:07:37 O
ほ
ほ
ze
む
ノノ*^ー^) <エリは・・・
ho
zu
n
ノノ*^ー^) <ナンデ・・・
ho
ze
n
ほ
ze
ノノ*^ー^) <おはようございます。ヨロチク〜(>▽<)♥
りさのおうち
りさのおちち
ho
ze
n
ro
ri
えりりんキャワス
ho