39 :
名無し募集中。。。:
道重さゆみはナルシストである。
今日も鏡に向かってこう言う。
「よし!喪服のさゆもかわいい!」
何者かに惨殺された久住の葬儀に出かけた道重は、斎場に付いてハッとした。
珍しくスカートを履いた喪服の吉澤のあまりの美しさに、道重は目を奪われた。
周りのメンバーが泣き崩れる中、道重は気丈に振舞う吉澤から目を離せなかった。
しばらくして視線に気付いた吉澤が道重に話しかけた。
「重さん、気を落とさないでね、教育係だったけど」
「はい」
そう答える道重だったが、心では吉澤のこうしてたまに見せる美貌に嫉妬していた。
だから道重は、葬儀の後、ひとり残って祭壇に手を合わせる吉澤の背中を包丁で刺した。
倒れた吉澤の漆黒の喪服から、真っ赤な血が染み出し床に広がった。
道重を見上げ、絶命した吉澤を見降ろし、道重はこう言った。
「次期リーダーは私に任せてください」
40 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 11:24:05 0
道重さゆみはナルシストである。
最近ボディーガードが数人付いてお嬢様気分の道重は何かと機嫌が良かった。
ただひとつ、新リーダーが高橋に決まった事を除いては。
だから道重は、高橋が就任会見後、廊下をすれ違う際に包丁で刺した。
何が起こったか気付いていない高橋は振り返って、道重がぶつかってきた事への
文句を言おうとして、自分の腹を見て呟いた。
「なんじゃこら」
そして高橋は床に倒れた。
周りのスタッフも何が起きたかわからず、高橋に集中した。
その隙にケータリング前にて、紺野、小川を刺した。
次に楽屋でまゆげを整える新垣を刺した。
道重は急いで物陰に隠れ、包丁を硬く握ったまま、何度も何度も呟いた。
「あと少し、あと少し、あと少し………」
41 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 11:58:18 0
道重さゆみはナルシストである。
何事も完璧でなければ気がすまないタイプ。
既にひとつの楽屋に隔離された残りの娘。のリーダーは藤本に決まった。
しかし活動休止状態で、新メンバーを募集するような状態では無かった。
隔離されたのもこれ以上死者を出さない為の事務所の苦肉の策だった。
「これからどうしよっか?」
ジュースを飲みながらみんなにそう呟く藤本を、道重は睨んでいた。
何で私がリーダーじゃ無いの?と。胸は私の方があるはずよ!と思いながら。
だから道重は、亀井がトイレに行っている間に、藤本をシャワー室に誘い、包丁で刺した。
「何でよ?………」
濡れた床に倒れ、虫の声でそう呟いた藤本は、道重の答えを聞く事は無かった。
とりあえず一息ついた道重の背後から、いきなり亀井が足音も立てず歩み寄ってきた。
道重の横をすり抜け、藤本の胸に刺さった包丁を右手で掴み、グルッと回して亀井は言った。
「ツメが甘いんだよね、さゆは」
ポカンとする道重をよそに亀井は包丁を抜きながら続けた。
「吉澤さんの時もさ、ちゃんと脈みた?みてないでしょ。
小春ちゃんの時も、刺して抜いただけじゃ致命傷にはなんないよ?
あと、五期のみんなもだよ」
包丁の腹を手で叩きながらやけに冷静に話す亀井に、道重は初めて恐怖を感じた。
震える道重を見て、亀井がニコッと微笑んで手を差し出して言った。
「今までありがとね。もうこれで私が一番だから」
さっき藤本を刺した包丁が道重の腹に刺さっていた。
42 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 11:59:09 0
床に倒れこんだ道重は息も絶え絶えになりながら亀井を見つめた。
亀井はそんな道重を見て、また微笑んで言った。
「何よ」
「………うふふ」
道重はいきなり微笑んだ。亀井は道重を見て慌てて言った。
「何よ!?」
「うふふ」
道重はまだ微笑んでいる。
すると亀井が床にヒザを付いて、口を両手で覆った。
「グフッ!」
亀井はいきなり吐血した。
「うふふ」
道重はまだ笑っている。亀井は四つん這いになりながら道重を睨んで言った。
「さゆ、あんた、さっきのジュースに、毒を……」
すべてをいい終わる前に亀井は力尽き、床に倒れた。
それを見た道重は仰向けになって天井を見つめて言った。
「これで、私が一番かわいい」
道重の瞳が閉じる事は、もう無かった。
43 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 12:00:27 0
一方その頃、田中は一人寂しく楽屋でなかよしを読んでいた。
−完−