1 :
名無し募集中。。。:
どっちがおっぱい大きい?
2 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:08:59 0
れいにゃ
3 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:08:59 0
僅差で寺田
4 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:09:38 0
またドザと汚川の不細工雑魚メンツートップ叩きスレかよ
5 :
亀淵:2005/07/19(火) 11:09:53 0
これはいい勝負だ
6 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:09:58 0
乳重
7 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:10:56 0
8 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:11:10 0
れいにゃどこー
9 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:12:13 O
これはいい戦いですぞ
10 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:12:54 0
☆ノハヽ
ノノ*^ー^)<寄せて上げると、あら巨乳
( つ・)・)O
oノハヽo
从*・ 。.・)<寄せなくっても、あら巨乳
∪ ・)・)
11 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:13:13 0
またオラヲタか
12 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:13:20 0
田中ヲタって一日引きこもって亀井か道重のスレが立つのを
スレ更新しながらひたすら待って、立ったらいち早く「れいなは?」とか
「れいな・・・」とか「またはぶられいなか」と書くのが生き甲斐
13 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:14:17 0
从ヽ´,_っ`)<ごめんなさい
14 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:14:31 0
れいにゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
15 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:15:06 0
ノノハヽo∈
从*´ ヮ`)<寄せて上げると、あら巨乳
( つ・)・)O
ノノノハヽ
川VvV)<寄せなくっても、あら巨乳
∪ ・)・)
16 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:15:17 0
乳は道重
ふとももは亀井
顔は田中
17 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:15:35 0
18 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:20:03 0
れいにゃは寄せる肉すら無いじゃんよ
19 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 11:22:14 0
田中ヲタって一日引きこもって亀井か道重のスレが立つのを
スレ更新しながらひたすら待って、立ったらいち早く「れいなは?」とか
「れいな・・・」とか「またはぶられいなか」と書くのが生き甲斐
20 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 15:42:54 0
みきてぃ
21 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 15:50:30 0
道重の乳を大きくしたのが亀井
22 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 16:10:20 0
23 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 19:07:18 0
道重の乳って別にでかくないのに過大評価されってね?
24 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 19:09:34 0
単純に大きいのは亀井だろう
形は道重かもしれない
25 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 19:35:59 0
さゆ愛してるよ
26 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 20:46:34 0
さゆは乳りんの大きさを気にしている。
えりぱいは大きさはともかく形は完成しているからな。
うちひしがれたさゆぱいを「ボランティアだぞ」と言いながら吸ってあげたい。
27 :
名無し募集中。。。:2005/07/19(火) 20:54:09 0
亀井よりは道重の方が大きいよ
konosuremorata
で、さゆえり小説
「絵里、絵里」
石川梨華が絵里を呼んだ。夜の散歩から帰ってきたばかりの絵里は不機嫌極まりない。明日は大切な日だ。
石川梨華もえらく不機嫌そうにタバコをふかしていた。
「明日は王女の誕生日パーティー」
「…」
「そこで裏切り者を始末しなさい」
石川梨華は徐に絵里の鼻先に紙面を突き出した。
「27人。パーティーが終わってから一晩で27人」
「…」
「いけるわね?」
絵里は無言でリストを受け取った。
「本当に、馬鹿ばっかり。27人もよ?これも全部、あの王女のせい。見せ掛けばっかり華やかで、中には狡猾な毒蛇を飼ってる」
梨華は、誰に聞かせるともなく、吐き捨てるように言った。
「裏切り者はパーティーの次の日、王室の庇護の下に船に乗って海に逃げる。 27人全員。だから明日じゅうに、全部始末しないといけない」
ぐしぐしと、乱暴にたばこに火を揉み消すと、新たにまた火を点ける。憎しみが燃える。
絵里はつぃと唇を突き出し、もうよそ事を考えていた。
「この仕事をあなた一人に任せるのは、何もあなたを信用しているからじゃないのよ」
イヌに餌をあげただろうか。
「アナタが一番ましっていうだけ。他が本当に無能だから」
今日は月が青かったっけ。
「腕なら間違いなくあんたが一番なんだし。でもあんただって」
はやく明日にならないかなぁ―――
梨華はまだ一人でぶつぶつと言っていたが絵里はもう飽き飽きして、眠りについた。明日はめでたい日だ。王女様が生まれて、16年目の日。闇の中の小さな、反政府組織の隠れ家の一つにも、その日を待ち望んでいた人がいるのだ。
誕生パーティー。
それは華やかなものだった。巨大な空間。厳ついシャンデリアが何百と吊り下がったホールに、一人じゃあ1年かかったって食べきれないご馳走が並んでいる。
物凄い人、人、人。各界の著名人なんかが軒並み出席している。この中の何人が、この日を、この見栄えに劣らないほど望んでいただろうか。
ただの日が、ただの人がたまたま生まれたという意味を無理やり与えられて、そして国中がお祭り騒ぎを始める。なんて奇妙なことだろう。
誕生パーティー。
それでもだ。王女の誕生を、心から喜び生きがいにしている者が信じられないくらい、多くいるのだ。
王女がこれほどまでに美しくなければ、少しは変わったかもしれない。もっと形式ばって、粛々として理性的な誕生日パーティーになったかもしれない。
これほど人々の狂気を煽ることも、憎しみや殺意や血を降らしめることもなかったかもしれない。
表向き、財界の名士である梨華も、このパーティーに当然のように参列する。ただ彼女は、この会場に少なからず渦巻いている憎悪を、最も多く吐き出している一人だ。
梨華の付き人という名目で来た絵里に、今日ターゲットになる人物を一人一人確認させる。絵里は興味なさげに、辺りを見ているだけ。
やがて司会者の挨拶が入り、王女が登場した。会場が暗くなり、王女にスポットライトが浴びせられる。会場にいた何千もの人が溜息を漏らす。その美しさに。
このパーティーのもようは全国にテレビ中継されているとか。いったい全国でどれだけの人が息を飲んだろう。
王女の煌びやかな、桜色のドレスには、何百ものダイヤが鏤められている。胸には燃えるようなルビーのブローチ。
しかしそんな衣装も、王女の美しさを引き立てる道具でしかない。何にも増して美しいのはその人だと、この瞬間に立ち会った殆どの人が思ったろう。
その漆黒の瞳。透き通るような白い肌と滑らかなライン。少し上気した頬の間に、秀でた鼻梁。艶やかな黒髪。
王女が登場してから会場の雰囲気は変わった。しかし梨華と絵里は相変わらずだった。梨華は王女の姿なんて見るのも嫌だという風だし、絵里も興味なさそうにしている。いくつかのセレモニーの間も二人はずっとそうして時を費やした。
セレモニーの終了後、歓談の時間が設けられる。しかし王女と口をきけるのは、大量の出席者の中でも本当にごく一部だ。梨華は迷わず王女の前へ歩み出た。
「おめでとうございます。王女様」
梨華が満面の笑顔で言う。不器用な人だなぁ、と絵里は思った。梨華の、わざとらしいまでの笑顔の中には剥き出しの敵意が浮かんでいた。ありありと憎悪の念が見てとれて、本来美しいはずの梨華の笑顔が醜かった。
「ありがとう。石川さん。また、お世話になるわ。宜しくね」
王女が梨華に返す。梨華の敵意を読み取っていた彼女の返事は、しかし穏やかなものだ。その表情も、他と相対するときとなんら変わらない、美しい肌理の細かい笑顔。
「王女様に更なる幸のあらんことを」
梨華が呪詛のように呟く。王女はまたニコリと笑って頷いた。
それから王女の視線が絵里を捕らえる。彼女の表情が一瞬、すべての格式を取り払ったかのように無邪気に華やいだ。ほんの一瞬のことで、誰も見ていなかったが。絵里だけはその表情を見逃していない。それで充分だった。
絵里は少しだけすまなそうな顔をした。
(ごめん、さゆ。今晩、ちょっと遅れるかもしれない)
王女はそれを読み取る。残念そうな、不安そうな顔を覗かせた。それもほんの一瞬。それきり、梨華と絵里と王女さゆみの間にやり取りがなされることはなかった。
パーティーがそろそろお開きになろうかという時には王女はもう奥に下がっていた。出席者たちは陽気に喋り続ける。梨華は、この数時間後には絵里に殺されるであろう、元仲間の一人と談笑していた。絵里は綺麗な会場の中で一箇所だけについた壁の染みが気になっていた。
パーティーが終わった。
「いきなさい」
梨華が絵里の肩を押した。言われなくても、いきます。絵里は目だけで梨華に抗議した。
お祭り騒ぎの後には何かしら、浮ついた気分が残る。男は明日の出奔にも一廉の希望を抱いていた。連合組織への裏切りがばれているとは、露ほども思っていなかった。夜の道を、男を乗せた車はひた走る。
「やはり、王女さまはお美しいなぁ」
陽気に運転手に話しかける。運転手も息をまいて同意する。そんな風にして、たわいもなく、すべてが上手くいく。そんな予感がしていた矢先だった。
車が急停車し、男は前につんのめった。
「何してるんだ!!」
運転手に怒鳴りつける。
「人が…」
運転手がフロントガラスの前を指して恐る恐る言う。
男がそれに従って前を見た、その瞬間、その顔は凍りついた。走行中だった自動車の前にどうどうと立つ、その小柄な、少女の顔を男は幽かに見知っていた。
連合組織の中でも最強と謳われた暗殺者。亀井絵里。
彼女が今、自分の前に立っているということはつまり組織に自分の裏切りが既にばれているということ。そして、自分の命が、もう無いということだ。
絵里は無表情で車に近づいた。
「轢け」
男が運転手に言う。
運転手は驚いたが、只ならない雰囲気に動?しアクセルに力を込めた。その瞬間、既に少女の姿は視界には無かった。
運転手が狐につままれたように、車を発進させる。バックミラー越しに主人を見て、運転手の顔は固まった。
車の屋根から真っ直ぐ、刀が突き出している。それが、主人の頭頂から垂直に突き刺さり、男は既に事切れていた。
その刃が抜かれ、男の身体が前倒しになる姿をバックミラー越しに見た運転手は、訳もわからない悲鳴を上げ車を走らせた。
既に絵里はいなかった。
とりあえず半勃起ホゼム
36 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 01:02:11 0
シボン
37 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 02:09:36 O
ほ
38 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 02:44:29 0
ん
39 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 07:38:49 0
こ
40 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 07:45:25 0
ぽ
41 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 09:37:54 0
ち
42 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 13:23:24 O
ん
/ ̄ ̄`ヽ_
/ ヽ
/ “● |
| ・ /⌒)
| “● ○ / し'ヽ
\/⌒ヽ_ノ (⌒ヽ
( ヽノ ̄)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
オマエら喰うの
44 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 16:07:13 0
/~X /ヾへ ノ\,へヘー-_
/彡0/ミ \ ミ ノミ/彡/00 ミ
/ 0=|彡ミ ) 丿 0=| \
/ミ |=| ` |=| 彡
|=| イイキモチ |=|
|=| |=|
.|=| ノノハヽ |=|
_____|=|\ノノ*´ー`)7______/|=|___
= - = |=| ̄ ヽxヽつ▽つ /-|=| - = -
- - |=| - - \x`x~x~x / - |=|- = - =
 ̄ ̄ ̄ ..|=| ̄ ̄  ̄  ̄ ̄  ̄ ̄.|=| ̄ ̄ ̄ ̄
/::: ヽ ::::: ::: ::: /::...\:: :::
絵里は次々と仕事をこなしていった。
夜の闇に紛れて。しくじったことなど、一度も無かった。
それは、絵里がこうして生きていることが証明している。
21人目のターゲット。
その前に、絵里は対峙していた。
「絵里」
「れいな…」
ターゲットは、まだ年端もいかない、調度絵里と同じくらいの少女だった。
れいなと呼ばれた彼女は、絵里と同じ密偵であり、かつて絵里のパートナーとして
数々の仕事を共に成功させた。
「なんとなく、絵里がくるんじゃないかって、おもっとったよ。
パーティー会場で絵里を見たとき、なんとなく」
「…」
「派手にやってきたみたいやね。血の匂いがプンプンする」
絵里は変わらず口元に微笑を湛えて、れいなの顔を見ていた。
れいなの顔は、どこかしら清々しくもある。
「れいな、ごめんね。あんまり話してる時間はないの」
「昔はとろい絵里のせいでいろいろと大変だったけど、成長したね」
「…」
「今じゃ、最強のアサシン、か」
「…」
「ねぇ、絵里。石川さんは私たちを『裏切り者』って呼んだ?でもね。殆どの組織が、もう石川さんを見限ってるよ。王女の手が廻ってね。 ただ、アンタが怖くて誰も表立って行動はできないだけ。絵里、石川さんについてたって、得なんて無いよ。あの人には才能がない。
その点で、王女の方が遥かに賢い。私たちと一緒に来ない?絵里が来れば、みんな歓迎する…」
「れいな。時間が無いの。早く剣をとって」
れいなは大きく溜息を吐いた。
「絵里って昔からそうっちゃ…。何考えてるのかわからん…」
絵里が血塗られた刀を翳す。
今日だけで20人の血を吸った刀。絵里の人生をそのまま表したような、血みどろの刀。
れいなも刀を構える。彼女は絵里の先輩格で、謂わば先生に当たる。そして、もっとも良き友でもあった。
れいなは友達だった―――
絵里は、動かなくなったれいなを見ながら呟いた。
友達だった。ただ、絵里には「友達」がいったいなんなのか、よくわからなかった。
れいなの胸からまだ温かい血がどくどくと流れている。頼りなく、夜の街の路地裏に、黒い血は染み入っていった。絵里は、れいなの胸に口をつけ、彼女の血を啜った。締め付けられるような気がした。それが友達ということなのだ。
あと6人。
絵里は再び、夜の闇の中に消えた。
47 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 21:24:26 0
ヲタ論争スレかと思ってた
48 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 22:34:20 O
チッチッチッさゆえりスレれすよ
49 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 23:06:37 0
ho
50 :
名無し募集中。。。:2005/07/20(水) 23:20:42 0
ロッキちゃいこー
51 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 00:48:51 0
ze
52 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 01:02:28 0
さゆえりれいなでメイド喫茶やれよ
53 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 02:10:00 0
ほ
54 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 05:03:34 0
z
e
56 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 09:17:17 0
キャットファイトですか?
57 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 13:07:25 0
なにげにヤバス
ほ
さゆみはホテルの一室でじっと待っていた。
ベッドに腰掛けて、何をするわけでもなく、じっと待っていた。彼女の誕生日は十二時の鐘と共に終わった。それでも彼女は待っていた。1時、2時、3時。時間はのんびりと、確実に経っていく。
一日の疲れを早く癒さなければならない。なのに彼女は、寝ようとしなかった。昨日は誕生日だったけれど、今日はそれよりも大切な日だ。それは、彼女の仕事の面で。だから少しでも休まなければならないのに。
3時の合図から、1200以上の秒針の音を聞いたとき、静かにさゆみの部屋の戸がノックされた。ほんのわずかな音。しかし神経を研ぎ澄ましていたさゆみは直ぐに聞き取った。
「絵里?」
部屋の奥のベッドの上から呟かれたさゆみの声は、普通ならドアの向こうまで聴こえるはずがない。しかし、返事があった。
「うん…」
くぐもった、押し殺した声。
さゆみは、やっとでその声を聞き取ると、嬉しさにニヤけそうになるのを必死で抑えながら、冷厳な調子で言った。
「待って、今開けるわ」
それから、枕元にあったリモコン式の鍵で、ドアを開けた。
恐る恐る、絵里が扉を開けて入ってきた。
「遅い」
絵里は、バツが悪そうに頭を垂れている。
「ごめん…」
さゆみは尚もベッドの上から見下ろすように絵里を見ている。
「もう眠いの」
「ごめん…」
「明日も早いの」
「ごめんね?さゆ」
絵里が頭をあげてさゆみを見た。おねだりでもするみたいに、小首を傾げてみせる。その姿を見て、さゆみもつと黙ってしまった。
絵里には今日も仕事があった。それは彼女が部屋に入ってきたときに鼻を突いた血のにおいで、充分わかっていた。そして、その仕事の中身も、さゆみには大方の予想がついていた。
それでも絵里が来てくれたことが、さゆみには堪らなく嬉しいのだから。
怒ったふりをしている自分が、随分子供っぽく思える。もう殆ど、さゆみの目は笑っているのだ。
暫くお互いに黙っていると、どちらからともなく、表情が崩れてきた。
飯事はお終い。時間がないのだから。さゆみが、優しい調子で手招きする。絵里はひょこひょこと従って、さゆみの脇まできた。
「絵里…血がいっぱいついてる」
「あ、うん」
「シャワーくらい浴びてくればよかったの」
「でも、それだともっと遅くなっちゃったよ?」
そうね、と呟いてさゆみが笑う。
それから絵里の手を引いて、ベッドの上にあげた。自然絵里の身体が引き寄せられて、抱き合うような格好になる。それがどうにも照れくさくて、絵里は下のほうばかり見ている。
「絵里―、プレゼントは?」
さゆみが絵里の耳元に口を寄せて言う。また絵里がバツの悪そうな表情で俯いた。
「その、急に仕事はいっちゃって…それで」
それを聞いたさゆみが頬を膨らます。
「なんだぁ、楽しみにしてたのに」
「ごめんね…」
「うそうそ。始めっから期待なんかしてないよ」
さゆみがクスクス笑いながら言うのに、今度は絵里が旋毛を曲げる。しかしすぐに
「絵里が今日来てくれただけで嬉しいの。それだけで、最高のプレゼント」
と切り替えされては照れ臭いやら何やらで、やっぱり顔があげられない。
「あと何時間一緒にいられる?」
絵里が尋ねる。
「そうね、六時半には起こしにくるから…2時間かな」
「そっか」
ベッドの背にもたせかかったさゆみの胸に顔を埋める絵里。秒針の打つのが随分早く思えてしまう。さゆみにしても同じで、だから絵里の背中に回した手には自然、力が入る。
「どんな仕事してきたの?」
「……」
「誰を殺したの?」
絵里がより強くさゆみの胸に顔を押し付けた。いつになく、甘えただなとさゆみはぼんやりと考える。暫くして絵里がぽつりと呟いた。
「友達」
さゆみの目がほんの一瞬だけ見開かれる。しかし二人しかいないこの部屋で、その表情を見た人はいなかった。穏やかな調子を崩さないように、さゆみが言う。
「そっか…友達…。それって、れいな?」
「うん」
胸に顔を埋めたまま、くぐもった声で言う。
さゆみの歯がこすれる。ギリリと、ほんの微かな音が静かな部屋に響く。耳のいい絵里にはその音がはっきり聴こえたけれど、聴こえないふりをした。
さゆみは今のやりとりだけで、ほとんどの事情がわかった。自分が手を引いて石川梨華を裏切るように仕向けた、明日船に乗って逃げる予定だった27人の組織幹部達。そのすべてが、今日死体となって見つかるだろう。自分の苦労は全て水の泡になったのだ。
しかもその中には絵里の只一人の「友達」でありさゆみの友達でもあったれいなも含まれているのだ。
「今日、意外と暇になったかも。いや、逆に忙しいかな」
船はもう出せないだろう。
れいなが、船出を楽しみにしていたのを思い出す。海を超えて知らない世界を見てみたいと無邪気にはしゃいでいた。
海外だってどこも似たようなものなの、そう言ったさゆみにれいなは憤ってみせた。彼女の言った「知らない世界」は、今思えば「人殺しの自分のことを誰も知る人がいない世界」だったような気がする。
「27人、全員?」
なおも尋ねるさゆみに、絵里は不機嫌な声を出す。
「もう、そんな話やめようよ」
「そうだね、ごめん」
このことはさゆみの中である程度まで予想できたことだった。謂わば一つの賭けだったのだ。
さゆみの国。さゆみの専制に対する反政府組織との地下闘争は、王女である彼女の優位の裡に進んでいた。活動家の多くは戦意を失っていた。
巨大な組織は今や形骸化し、連合同士の繋がりも随分薄くなった。石川梨華を筆頭とする強硬派グループを除いて。
そこも撲滅までにはそれほどの時間は掛からないはずだったが、絵里の存在が、彼らの一つの生命線となって今に繋がっていた。
その人間離れした能力と冷徹さと。狙われたものは最早命は無いと思って間違いはない。組織の人間は誰も表立って梨華に歯向かえない。梨華の傍らに常に絵里がいるからだ。
それでも、さゆみは試してみたのだ。絵里の唯一の「友達」れいなを利用して。
或いは彼女が、絵里と石川梨華を切り離してくれるかもしれない。そうすればあとは簡単に運ぶ。絵里のいない石川梨華なんて虫けらのようなものなのだ。
しかし結果絵里はあっさりとれいなを殺した。さゆみには解らなかった。絵里にどうしてそこまで石川梨華に義理立てする理由があるのか。
27人の死はまた裏切りへの抑止効果となるだろう。戦局は、大幅に引き戻されたといわなければならない。
さゆみはそっと手を伸ばし、ベッドの脇にある鏡台の引き出しを開けた。絵里は相変わらずさゆみの胸の中でじっとしている。
今、ここで終止符を打てば全ては終わるだろうか。亀井絵里の死が地下に報じられればものの一月で、組織を一掃できるのではないか。他にてこずる要素がなくは無いが、絵里の存在は大きすぎる。
さゆみは鏡台の引き出しからナイフを取り出し、そっと絵里の背中に宛がった。
更新来てたー
れいにゃ氏んじゃってるけどw
この後ベッドでさゆえりが・・・ハァハァ
書き込む間に更新来てたーw
でもなんか様子が変だよさゆ王女
67 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 18:05:46 O
えりりんウラヤマシス
ちょっと見ない間におもしろいことになってる!
69 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 19:01:49 0
これから読む
70 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 20:00:43 0
ho
71 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 20:15:28 O
・エロ系グラビア雑誌
道重:載った
亀井:載らない
・おっぱいの形
道重:寄せなくても谷間が出きる
亀井:寄せないと谷間が出来ない
よってエロ勝負は道重の勝ち
72 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 21:04:41 0
ze
73 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 21:04:43 0
74 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 21:43:14 0
ほ
〃ハヾ ハヾ ミ、
ノノノ *^)(.・ *从ヾ
と ノ ヽ つ
(_)) ((_)
75 :
名無し募集中。。。:2005/07/21(木) 22:55:53 0
76 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 00:55:23 0
エロエロ
77 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 02:02:31 0
ho
78 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 02:57:27 O
ze
n
80 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 05:17:17 0
ho
81 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 06:47:51 0
ぜ
82 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 06:48:48 0
ん
83 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 06:59:44 0
着衣&水着の画像欲しいなと
絵里の背中が静かに上下している。微動だにしない。
さゆみは同じ体勢でじっとしていた。おかしい。絵里が自分の殺気に気付かないわけはないのだ。ましてや首筋の直ぐ後ろにナイフ。最強といわれた彼女は敵に後ろを取られたことなど一度もない。
「…絵里、寝たの?」
さゆみが尋ねる。自分の心臓が早鐘のように打っているのがわかる。それだけで、絵里に猜疑心を起こさせるのには充分なはずだ。
「いいや」
絵里は相変わらず、くぐもった声で答えた。
さゆみの鼓動が、尚も早まる。
今は刀を持っていないとはいえ、彼女がその気になれば、ナイフを落とし、逆に自分を殺すくらいのことは造作ないはずだった。
「さゆ」
絵里がすっと頭をあげた。鼻の先数センチに突然絵里の顔が現れ、ドキリと心臓が踊る。
「私、さゆにだったらいいよ?」
「え?」
「さゆにだったら殺されてもいい」
「……」
さゆみは静かに腕を下ろし、ナイフを鏡台の上に投げ出した。
どこまでも、絵里の考えていることがわからなかった。ただ、間近にある彼女の姿が、たまらなく愛おしくなるばかり。さゆみは再び自由になった両手で、もう一度絵里を強く抱きすくめた。
「絵里…どうして石川梨華のところにいるの…?」
さゆみの目は深い。たいていの人ならば一目で、その人の感情や性質を見抜いてしまう。何者も見透かしてしまう漆黒のレンズ。それでも絵里だけはわからない。
絵里の両目はさゆみのそれも軽く飲み込んでしまうほどの、底知れない闇を孕んでいるのだ。
絵里は応えない。ただじっとさゆみの目を見返している。
「ね、もし石川梨華が、私を殺せっていったら私も殺すの?」
一つ一つ言葉を確かめるようにしてさゆみが言った。
「それはないよ」
絵里がすぐに返す。
「絶対にさゆは殺さない」
「どうして…?」
困惑した表情を浮かべるさゆみに対して、絵里の表情はごく穏やかだった。
絵里がもぞもぞと這い上がってきて、逆にさゆみを抱きすくめると、そのままベッドのシーツの中にさゆみを押さえ込んだ。それから内緒話でもするみたいにさゆみの耳に口を当てて囁く。
「さゆが一番大切だから。一緒にいたいから」
さゆみは耳に感じたその響きの心地よさに、半ば身体の自由を奪われて、憑かれたように強く絵里の身体を抱きしめた。
すべてにおいて不可思議だった。自分にとって大きな障害である絵里。政治家として、一国の主として、取るに足らない存在であるべき一人の少女。華やかな自分とは似ても似つかない、血塗られた少女に今抱きすくめられている。
この腕を放したくないと強く思う。何を考えているのかわからない、自分にとって最も危険な存在かもしれない絵里の腕の中にいることに多大な安心感と安らぎを感じる。
いっそ、このまま全てのしがらみを捨てて、永遠に二人だけの世界に住んでいたい―――
「外が明るくなってきちゃったね」
絵里がいうのを聞いて、やっとさゆみもそれに気付いた。
時間は確実に経っていた。もう随分と明るい。日が出始める頃までには絵里は既にこの場所を出ている必要があった。
「絵里…」
「んー?」
「私もね…私も絵里と一緒に居たいの」
絵里の表情が嬉しそうに緩む。
「うん」
それから二人は暫くの時間を、何をするでもなく抱き合って過ごした。それは二人にとって何にも替えがたい、幸せの時間。
「あ、もういかなきゃ」
「絵里…」
「ね、さゆ。次いつ会えるかな?」
「…わかんない。絵里のせいで、予定が随分狂うだろうから」
さゆみが冗談めかして言うと、絵里がぽてっと頬を膨らませた。それも直ぐに笑顔に戻る。
その表情はどこか名残惜しんでいるのだけれど。
それから起き上がって、ベッドを降りる。外は明るく、空は晴れていて清清しい朝の様相をしている。
「長居しちゃったみたい」
絵里が笑う。もう臣下やホテルの従業員は起き出して忙しなく働いている時分だろう。
ここから見つからずに抜け出すことは、絵里にしか出来ない芸当だ。いくらさゆみが事前に人払いをしていたとはいえ。
「見つからないでね」
さゆみが言う。絵里が頷く。
本当はもっと永くいたい。ずっと居たいのだけれど。
「あ、絵里ちょっと」
そういってさゆみが絵里を手招きする。何かと絵里がさゆみに近寄る。側まで来ると、もっと近づくようにと手真似で指示した。絵里がさゆみに顔を寄せる。
その絵里の唇に、さゆみがさっと自分の唇を被せた。
ほんの一瞬。触れ合った感触は柔らかく、甘く。
一瞬わけがわからない顔をする絵里。その後に、耳まで、真っ赤になってしまう。そんな絵里を見てさゆみはクスクスと笑うと
「またね」
と告げた。
絵里は真っ赤な顔のままコクリと頷くと、いそいそと部屋を出て行った。
絵里の居なくなった扉を暫く眺めていたさゆみの額には幸せの余韻が広がっている。しかしそれも数分、そうしていると薄れだし、そして消えた。
少女としてのさゆみが、王女としての彼女に変わる。
さゆみは静かに考えた。
今回の27人の死は、抵抗組織とのことにも影響があるが、それ以上に政治上での問題が大きい。死んだメンバーの中には財界の大物も含まれていたのだ。経済や国際関係の上でも予期せぬ波及が現れかねない。
自分が仕向けたこととはいえ、拙いことになった。人選の誤りがあったことも否めないが、それ以上に、石川梨華、そして絵里のことを甘く見ていたきらいがある。
どちらにせよ、絵里は自分にとって最も危険な存在――
やがて臣下の一人が慌てた様子でさゆみを起こしにきた。
さゆみは落ち着いている。彼が慌てている理由を知っているからだ。
諜報部には既に入っている情報だが、まだ新聞には載っていない。世の中の人は、何が起こったのかも知らず、王女の誕生日パーティーの余韻に浸っているのだ。
船を出す予定を全て取り消したさゆみは、公式なルートでその情報が入るまでの間を通常の政務を行うことで過ごした。その間、この事態が引き起こしうるあらゆる状況に対する対応をシュミレーションしていたことは言うまでもない。
「やってくれますね、石川梨華も。陛下、このあと、どうなさいます?」
さゆみが最も信頼を寄せる腹心である紺野あさ美も、既にことの事情を大方で把握していた。そして次なる行動を模索している。彼女はいわば王宮付きの密偵で、さゆみの殊遇を受けて闇の仕事を一手に引き受けている。
地下組織との抗争も彼女の双肩に預けられ、彼女の功績によって優位に立ったとさえいえる。あさ美は今回の事態を受け、どこか浮き浮きしていた。血が騒ぐのだろう。彼女も種類は違うとはいえ、絵里と同じように人の道からは外れていた。
もっともそれは女王であるさゆみにも言えることかもしれないが。
「あまり楽観視はできないわ。マスコミには出来るだけ口封じして。世間を煽るような報道は一切やめさせること。それと、紺野、できるだけ急いで『亀井絵里』を殺して」
さゆみは厳然と言い放った。
乙
面白くなってきた
ho
91 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 14:14:51 O
さゆだめえええええええええ
ワクワクテカテカ
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
さゆみ王女に暗殺者絵里ハァハァ
95 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 18:25:32 0
ho
ze
97 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 20:47:03 O
n
引き込まれるねぇ
99 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 22:00:56 0
ho
100 :
名無し募集中。。。:2005/07/22(金) 23:27:53 O
ノノ*^ー^)人(・ 。.・*从
101 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 00:03:22 0
ze
102 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 00:11:00 0
ノノ*^ー^)ん?
103 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 01:16:53 O
続きまだかな…
104 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 01:47:38 O
こーゆう天才的に面白い小説見る度に思うんだけど 何で作家さんは職業として本物の作家になって本を書かないのだろう
105 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 02:08:18 0
絶賛するのはいいけど程度考えろよ
逆に萎えかねんぞ
106 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 03:43:53 0
ほ
107 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 04:51:02 O
いやマジで
誰にでも書けるとは思わない
よく晴れていた。
日に日に日差しはその強さを増していく。もう梅雨もすっかり明けた。後は迫り来る夏を待つばかり。
絵里は一人、繁華街を歩いていた。その顔にはいつの笑みが浮かんでいる。
件の27人殺害の事件は世間では同時多発通り魔事件として報道され、世を震撼させた。被害者同士の繋がりや、全員が王女の誕生パーティーの出席者であることなどは一切報じられなかった。
ただその圧倒的な事件性、しかも被害者の中に幾人か、人々によく知られた人が混ざっていたことが大きな衝撃となって世間を走った。テレビや新聞では連日連夜そのことが報道された。しかしその内容はいつもどこか偏っていた。
梨華はあの日、随分と上機嫌だった。珍しく絵里に労いの言葉すらかけた。
彼女は既に普通ではなかった。活動を興した当初の燃えるような正義感、王政の廃止に向けた情熱はどこかに消えていた。ただ裏切り者の死を悦び、それを充てに酒を飲んでは笑っていた。絵里の目から見ても、すでに梨華は壊れていた。
しかし絵里にとってはそんなことはどうでもいい。もともと石川梨華という人間にさしたる興味があるわけではなかったのだ。
そんなことよりも今こうしている時が大事だった。
さゆみの誕生日の夜に渡せなかったプレゼント。それを買いに街までやってきた。
さゆみへのプレゼント選びには本当に難儀する。絵里ではとても手がでないような高価なものもさゆみは簡単に手に入いれることができる。何といっても、王女なのだ。
絵里はさゆみの誕生日の何日も前からずっと考えていたのだが、結局決められず、直前まで引き伸ばしてしまった結果渡すことができなかった。
今日はきちんと見つけて、次に会うときに渡そうと心に決めてきたのだ。お日様も後押ししてくれている。
いろんなお店に入っては、あれでもなしこれでもなしと悩み続ける絵里の姿を見て、誰が先日の大量殺人事件の犯人だなどと思うだろうか。
絵里は邪気なく、一心にプレゼント選びを続けた。
少し路地に入ったところに小洒落た店を見つけた。
とりあえず中に入ってみると、店内に処狭しと並べられた人形、縫いぐるみ。それにいろいろの調度品がある。アクセサリーなんかも置いてある。店に響くラジオが流行りの歌をながしていた。
「あ、可愛い」
思わず小物を手にとって見ていると、奥から初老の店主らしき人が出てきて
「いらっしゃい」と愛想よく笑った。
「こんなのあげたらさゆ喜んでくれるかな…」
可愛らしいモノが並んでいる。
普段メディアに開かれるときのさゆみはいつも澄ました笑みを浮かべている。王女さまの気品とでも言おうか。しかし実際はまだ齢16。普通の女の子らしく、可愛らしいものに目がないのだ。それを知っているのは絵里だけなのだけれど。
「プレゼントかい?」
「そぅです」
「これなんかどうだい?幸せを呼ぶ人形だよ」
そういって店主が示したのは、木彫りの、奇妙な顔をした人形だった。なんというか、可愛くない。
「うー…」
あまり反応のよくない絵里に、おやダメかい、ととぼけた調子でいう。
そこでふと、絵里の視界に一体の縫いぐるみが映った。
一抱えもある灰色のイヌの縫いぐるみ。
「さゆに似てる…」
円らな目が真っ黒で、どこか遠くを見ているように見える。整った目鼻立ち。
(そういえばさゆってばイヌに似てるかも)
絵里のイヌのイメージといえば飼い犬のアルであり、その子は飼い主の自分が言うのもなんだけれどあまり可愛くなかったので、今まで思いもしなかった。だけどそういえばさゆみはどこかしらイヌっぽい。
見れば見るほどそのイヌがさゆみに見えてきて、絵里の目はその縫い包みに釘付けになった。
オススメ商品を一蹴されて旋毛を曲げていた店主も、そんな絵里を見ると商魂逞しく能書きを垂れる。
「おぉ、そっちに目つけたかい。なかなかどうして、目が高いじゃないか。そりゃあうちのカミさんの手縫いでね。世界に一つしかないってなもんさ」
それを聞いて絵里は嬉しくなった。
世界に一人しかいないさゆにみに似た、世界に一つしかない縫い包み。何となく、凄く素敵なことのように思えた。
「おいくら?」
「うん、6780円」
「ふぇ…」
高い。少なくとも絵里にとっては目が出るほどの大金だ。
しかしどうしても、これがいい気がする。そのまま絵里は10分ほど悩んで、そして買った。念のためにおろしておいた貯金をはたいて一括払い。
「毎度ありぃ」
店主がニコニコ笑ってその縫いぐるみにリボンをかけた。
店内のラジオがいつの間にかニュースに変わっていた。今時分、ニュースで放送する内容は決まって件の殺人事件の話題。それまで陽気だった店内が瞬間暗い影に包まれる。
「しかし物騒な世の中になったもんだね。嬢ちゃんも気をつけなよ」
店主が品を受け渡し際絵里に言った。絵里は曖昧に頷いた。
大きな縫いぐるみを抱えて来た道を戻る。
これを渡したらさゆみはどんな顔をするだろうか。似てるといったら怒るだろうか。そんなことを考えながら歩くと、弥が上にも気分は弾む。
駄菓子屋の店先にさゆみのブロマイドが下がっている。さゆみは、つまりそういう存在なのだ。王女であり、一種のアイドルでもある。ただそこに映っているどのさゆみも、清楚なドレスを着てすました顔をしていた。
今手の中にある縫いぐるみと、絵里の良く知る無邪気なさゆみの表情と、ブロマイドの中のさゆみとのギャップが可笑しくて絵里は一人笑った。
町外れまできて、電車に乗って戻ろうかとも思ったけれど、少し歩きたい気がして歩くことにした。繁華街を過ぎるととたんに人通りは減り、静かな通りになる。それが何とはなし、好きなのだ。
カンカンと照り付けていた太陽の光はいつしか弱まっていた。日はもう直ぐにも西の空に沈みそうで、赤いおぼろげな光を放っている。
ふと、違和感を覚えた。
妙な気配がする。殺気だ。前方に一人、後方に二人。既にすぐそこまで来ている。絵里ははたと立ち止まった。視界に一人の男が入る。
「本当にこいつが亀井絵里か?」
男は絵里に姿を確認されたことがわかると、その殺気を抑えようともせずに近づいてきた。
「間違いないはずだ」
背後からも男の声がする。振り返らなくてもわかるが、もう一人いるはずだ。三人ともギラギラとした殺意を放っている。
辺りには人影が無い。気が付けば道はうら寂しい細い通りで、車も通りそうになかった。絵里は大きな縫いぐるみを抱えたまま前方の男を見据えた。
「しかし、イメージと随分違うな。縫いぐるみとは…」
「ああ、噂はやっぱり噂だったみたいだな。100メートル先から狙撃したスナイパーが返り討ちにされただとか…。今俺たちがここまで近づくまで全く気付かなかったんだからな」
男達は言いながらじりじりと距離を詰める。
「でも仕事は仕事だ。悪く思うなよ」
いうや否や、一斉に三人が絵里に飛び掛った。
一瞬の虚が生まれる。三人の男が刃を突き出したとき、その切っ先にあったのは縫いぐるみだけだった。絵里を見失って一挙にパニックに陥る。数瞬。やっと一人が冷静さを取り戻した時には、既に一人の首は掻き切られていた。
血しぶきが舞うなか、二人の視界に再び絵里が現れる。
相変わらず絵里には、口元に浮かべられた静かな笑み以外に表情はない。
「なるほどな…」
体勢を立て直した男が呟く。
「丸腰というわけじゃなかったのか。それにしても、コイツはすげぇ…噂以上だ…」
また二人、じりじりと距離を詰める。今度は二人が波状に刃を突き出す。一人目の剣をかわした絵里は、そのまま後ろの男に向かった。返り討ちにしようと剣を振り上げた時、既に絵里の短刀は二人目の男の心臓を貫いていた。再び血しぶきが上がる。
最後の男は、既に自分が生きて帰れるなどとは思っていなかった。
ただ殺し屋としてのプライドが、絵里に刀を向かわせた。
果たして、この男もあっけなく倒れた。背後から一突き。それは彼の短くない人生の中で想像したどの最期よりも不名誉なものだったろう。無念を抱いたまま、この男も静かに事切れた。
辺りは再び静かになった。
日はその八分方を地平に隠し、青紫色の靄のような心許ない光だけを空に投げかけている。
遠くから夕轟きが聴こえた。寂かに、風が吹く。
絵里は男達の仏には目もくれず、ただ綿が溢れ、それが血によってどす黒く染め上げられている縫いぐるみを見ていた。
さゆみにそっくりだと思ったその縫いぐるみは、ちょうど頭を割られ夥しい血を流して息絶えた一個の死骸に見える。
けれどその顔に残された両目だけが、何時までも凛とした光を放っていた。
(こんな縫いぐるみ渡したら、さすがのさゆでも怒るかな…)
自嘲気味にそんなことを考え笑うと、何故だか寂しくなった。
短刀を鞄の中に仕舞い、その縫いぐるみを抱えて歩き出す。夏になりきらない夜の風はまだ少し、冷たかった。
114 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 09:23:01 0
カワイソス
乙です
面白く思います
116 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 12:29:30 0
世界観がわからん(’。’;) けど乙
ホス
セツナス
119 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 15:38:36 O
続きまだかな…
ホス
保
全
123 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 20:48:42 0
ho
世界の中心で保全と叫ぶ
125 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 22:12:15 0
カイワソウナケツナマ
126 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 22:49:14 O
地震で止まった山手線の中で帰宅を叫ぶ
127 :
名無し募集中。。。:2005/07/23(土) 23:59:26 0
あげ
128 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 00:01:49 0
ぱん
続きマダーチンチン
130 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 00:59:09 0
ho
ZE
132 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 02:44:15 0
n
133 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 05:54:45 0
殺し屋め・・・
135 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 09:11:06 O
136 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 10:24:07 0
ho
ze
n
139 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 15:30:01 0
ze
ほ
ぜ
142 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 17:47:43 0
このスレこんなことになってたのか
143 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 19:01:09 0
うむ
144 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 19:12:25 0
小説は最後の部分しか読んでいないけど
忍者武芸帳みたいなもんか
145 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 20:50:50 0
ほ
146 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 21:51:20 O
ほ
147 :
名無し募集中。。。:2005/07/24(日) 22:56:14 0
ho
149 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 01:20:45 0
面白いね
続き待ってる
「そう、失敗したの」
部下の報告を受けたさゆみは、静かにそう呟いた。
先日下した命令の結果、向かわせた三人の殺し屋は三人とも返り討ちにあって血の海に沈んだ。そのことを聞いたさゆみの内には、自分でも気付かない、微かな安堵があった。絵里はまだ生きている。
傍らで一緒に聞いた紺野が溜息を漏らしながら言う。
「だから言ったじゃないですか。無理だって。亀井絵里は普通じゃないんですよ」
「じゃあアナタが行く?」
さゆみが冷めた声で言った。
「私でも、無理です」
「怖いの?」
さゆみの鋭い視線を軽く受け流しながら紺野が言う。
「陛下が行けと仰るならいきますよ。ただ、無駄です。それだけです」
さゆみは暗鬱な表情を浮かべて物思いに耽った。
事件の波紋は至る所に広がっていた。国民の治安に対する不安が徐々に膨れ上がっている。報道管制を敷いているからこそ尚更。治安の不安は生活の不安。政府への不満に直結する。
まだ圧倒的な支持率を誇っているとはいえ、それはかなり危険なことだった。
国民は犯人の逮捕をもとめる。しかし、実行犯として絵里を捕まえることは出来ないのだ。見掛けは可愛らしい少女の絵里。
もし絵里が犯人として面に出れば「あんな女の子に一晩で27人を殺すことなんて出来るわけはない。警察の出鱈目だ」と、そんな風に国民が思うことは殆ど疑われない。
市民とはそんなものだ。そしてその感情が、より一層の政府への不信感に繋がりかねないのだ。
それに絵里を拘束すること自体、先の殺し屋のことを思い合わせても不可能に近かった。それこそ、軍隊でも出動させない限り。
経済にも多大な波紋が及んだ。事件翌日の外国為替市場では通過の急落が起こり、軽いパニックの状態に陥った。それは一事的なものではあったが、国民の不安と同調するように、持ち直した後もじわじわと後退を続けている。
これきりということは無いのだ。
石川梨華がいて、絵里がいる限り、第二、第三の事件が起こる可能性は至る所にある。それは何にも増して経済へのダメージを増やすことになるだろう。
延いては国家体制にまで影響が及ぶこともあり得ないとはいえない。彼らの狙いは正にそれなのだから。
なんとしても、絵里を暗殺し、「次」の発生を防がねばならない。
絵里以外の誰かを犯人に仕立て上げて、一先ず国民感情を抑えてみてはどうだろうか。ふとそんな事が浮かんで、直ぐに打ち消す。そんなことをすれば一挙に、自分の立場は失墜しかねない。リスクが大きすぎる。
そんな馬鹿げた考えが一瞬でも浮かんだ自分は、疲れているのだろうか。
慌ててはいけない。まだそれほど大きなうねりが来ているわけではないのだから。冷静に考えれば、まだ状況は、遥かに自分に有利に運んでいるといえる。何しろ国民は熱狂的にさゆみを支持している。近隣諸国とも比較的友好な関係を保っている。
しかし、何かしら得体の知れない不安が、いつもさゆみの脳裏にあった。小さな棘に命を奪われるのではないかという漠然とした不安。
そして何より、自分の中で、絵里の存在が多きすぎることへの不安。
「何にしても、反政府組織は勢いづくでしょうね。そして石川梨華の影響力はますます強まる。たった一人、亀井絵里という存在のために。彼女をまず第一に暗殺する考えは間違ってはいないでしょうが…」
「……」
「一度こちらに寝返った連中がまた舞い戻る可能性があります。それに、テロの警戒も必要になってくるでしょう。陛下、お言葉ですが、何故あの27人をわざわざ矢面に立たせ、殺させたのですか?」
紺野の言葉に、さゆみの心臓はどきりと脈打った。
まさか、それが絵里を試すためだったなどとは、口が裂けても言えない。結果今の事態を招いたことは全てにおいて、自分の判断ミスに起因しているのだ。もちろん連中が死んだことによる利益は、こまごまとした部分ではあった。それを加味して27人を選んだのだ。
しかし、それ以上の揺動が起こった。
質問に答えないさゆみに何を察したか、紺野は仕切り直すように口を開いた。
「一人だけ」
「…?」
「一人だけ、亀井絵里を始末できる可能性のある人がいます。その人で無理なら、多分この国には亀井絵里に勝てる者はいないでしょう」
「誰?」
「名前は後藤真希といいます。先日殺された、地下では亀井に続いてNO.2と言われていた…田中れいなの姉です」
「れいなの…?」
さゆみの脳裏に一瞬、れいなの顔が過ぎる。
「ただ我々に協力するかどうかはわかりません。今はどこの組織にも所属していないはずで、仕事もしていないらしいので」
「いいわ。会ってみたい。連れてきて」
「わかりました」
154 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 03:48:37 0
乙
更新早くてうれしいな
155 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 04:17:11 0
ここまで読んだ
156 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 05:08:05 0
乙〜
早起きしたら更新来てた〜
>>作家さん
世界観がよく分かってないんですが
この作品のタイトルって何ですかね?
さゆえり小説って書いてあるし・・・
世界観くらい各々脳内補完すればいいかと思うけどね
159 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 10:43:48 O
保全
ごっちんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ほほほほほ
162 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 15:48:33 O
ほほほほほ
オモシロス
ほ
165 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 18:31:02 0
ze
166 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 18:41:48 0
a
mi
168 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 21:04:29 0
OJO
ほ
ze
171 :
名無し募集中。。。:2005/07/25(月) 23:56:02 0
n
172 :
名無し募集中。。。:2005/07/26(火) 01:02:35 0
姫
173 :
名無し募集中。。。:2005/07/26(火) 02:28:18 0
ka
絵里は一人血みどろのまま家に帰った。家と言っても梨華が地下活動を行うために使う鉄筋の古い建物。絵里には決まった家などない。ともかく、その門戸を潜った。かび臭いにおいがする。
「お帰りなさい…亀井さん!?どうしたんですか、その血…」
出迎えた少女、久住小春は絵里の血塗られた姿を見て吃驚して叫んだ。
絵里はそんな小春に、少し照れくさそうに笑って見せた。この少女、小春のことを絵里は梨華と違って、好きだった。
身寄りの無い体で最近梨華に拾われた小春。梨華はゆくゆくはこの娘に、第二の絵里となれるよう訓練を施す気でいる。しかし彼女の目は疑うことを知らず、純粋だった。
梨華のすることを正しいことと信じ、梨華を慕い、絵里を慕っている。彼女は勤勉で、独学ながら教養もあった。王政の廃止という梨華の本来の目的は、諸外国を辿ってみても、歴史の必然であると思われる。彼女はそれを一心に信じていた。
絵里の目にも、小春の姿を見ている限りにはそれが正しく思えた。
「大丈夫。ちょっと転んだだけだよ」
「全然大丈夫じゃないですよ!そんな血だらけで…」
小春が絵里の身体に触れようとする。それを慌てて制した。絵里の身体には傷なんて一つもない。それを小春に知られることが、嫌だった。
「大丈夫だから。何ともないって。それより石川さんは?」
「石川さんは会合に出かけられました…。本当に大丈夫ですか…?」
小春は頑なに制する絵里をまだ心配そうに見つめている。
そんな小春の姿に絵里は少しだけ微笑みかける。さゆみと、今はもういない、れいな以外で絵里が心から笑うのは小春の前だけだった。もっとも、いつも口元に貼り付けている無機質な笑みとの違いに小春自身は気付いていないけれど。
「大丈夫大丈夫。そっか、石川さんは居ないの」
絵里はそれを確認すると、鞄に無理やりねじ込んでおいた縫いぐるみの残骸を取り出した。
最早一見しては一体何なのかわからない。ただの布と綿の塊に見える。しかもそれが黒い染みによって汚れているのだ。小春はそれを見て神妙な顔をした。
「何ですか?それ…」
「ん、ちょっとね。どうしよっかな、これ…」
小さく潰されたそれを広げてみると、歪な全貌が見えてくる。
「あ、縫いぐるみ…」
小春が思わず呟いた。
頭と胸から綿の飛び出した縫いぐるみは、何ともグロテスクな格好をしている。
「そう。最初は可愛かったんだけどね…アルのオモチャにでもしようかな」
小春はそんな絵里の独り言をじっと聞いてから言った。
「あの、あたし縫いましょうか?」
「ふぇ?」
「あたし…結構得意なんですよ、こうみえて」
絵里は申し出に驚いて小春の顔をじっと見た。胸を張りながら少し照れている小春の姿がなんとも言えず可愛らしいと思った。手の中の縫いぐるみと小春の顔を見比べる。彼女は既にやる気まんまんという風をしている。
「じゃ、お願いしようかな。私じゃぶきっちょだからとても」
「はい、任せてください!」
小春が満面の笑顔で言う。絵里は手の中のいびつな縫いぐるみを差し出した。
「じゃ、亀井さんはお風呂に入ってきて下さいね。どろどろですから。その間にご飯の準備しておきますね。これは、明日までには縫い上げます」
勇んでいう小春が可笑しくて、絵里は微笑みながら彼女に従った。梨華には財界人としての表の顔があるため、大きな家を持っている。この基地は、事実上小春の家だった。
彼女は何も知らない。実際梨華の活動に何か与しているというわけではなく、この家での梨華や絵里の身の回りの世話をして暮らしているだけだった。彼女自身は、早く活動に加わりたいと切望しているのだけれど。
勿論絵里が殺し屋、しかも最強の殺し屋であることなど、知る由も無い。
そのままでいて欲しい。時々、そう思うことがあった。絵里は小春がれいなに似ていると思うことがあった。れいなは、一級の殺し屋として冷徹に仕事をこなすくせに、普段ひどく感情的だったり、涙もろいところがあった。
「殺し屋のくせに」色んな夢を抱いていて、それをいつも絵里や、さゆみに話し聞かせていたものだ。絵里は、そんな不思議なれいなが好きだった。
しかしれいなを、この手で殺した。
何となく、予感がする。いつか小春も、自らの手で殺さなければならないという。それとも彼女が自分以上の使い手に育って、逆に自分が彼女に殺されるか…
小春に、殺し屋になって欲しくない。しかし、梨華によって彼女の未来へのレールは既に敷かれていた。
湯船に漬かりながら、絵里はぼんやりと考えた。
いつも絵里の考えには纏まりがない。それに矛盾撞着が至る所にあるのだが、それでも絵里はよく考え事をする。漠然とした未来のことや、過去のこと。眠るように穏やかだったれいなの死に顔。さゆみの笑顔。
自分は明日死ぬかもしれない。どうして自分が今まで生きてきたのか解らない。過去に何百という人と、命のやり取りをした。しかし自分は一度も殺されず、相手は全て死んだ。
幼い頃の、殆ど無い思い出の中に、絵本の記憶があった。
正義の味方が、悪を打ち負かすという絵本を、沢山読んでいた気がする。どれでも、必ず正義の味方が勝った。悪人の勝利など、ありえない。しかし絵里は生きている。自分の中に迸るような闇を、悪を感じるのに。
自分は明日死ぬかもしれない。それは正しいことなのかもしれない。
風呂場の壁にひび割れた鏡があった。
映しこまれた自らの顔には、未だ少し、血がこびりついている。
じっと自分の顔を見ていると、絵里にしては難しい考えが、だんだん湯気の中に溶けていった。そこに残った思いは、実に単純明快で、そして絵里とってもっとも確信できること。
(さゆに会いたいなぁ…)
少し上せ加減で、髪を拭きながら浴室を出ると、小春が、足のぐらつくテーブルの上に美味しそうなシチューを乗せているところだった。
ほ
kita----
キタ━━(゚∀゚)━━!!