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名無し募集中。。。:
がちゃ。
「おにーちゃん、帰ってたんだ」
急に開いた部屋の扉から顔を覗かせたのは妹の佐紀だった。
「あ、映画見るの?佐紀も一緒に見るー」
「佐紀、ちょ、ちょっと待てって」
床に転がっていたシタヤのDVDケースを見つけて部屋に入ってきた佐紀は、そのケースを
拾ってから這ってテレビの前へと移動すると俺の制止も聞かずDVDをセットしていた。
「昔はよくこうやって映画見たねー」
そう言って昔のように俺の前へと座り込む佐紀。
帰ってきた時に姿が見えなかったのはシャワーを浴びていたのだろう。エアコンの風になびく
まだ少し濡れた佐紀の髪から甘い花の香りがした。
「お前が見たいって言ったんだからな・・・」
ワンピースからのぞく佐紀の白い肌や濡れた髪が張りつくうなじに魅入られた俺は、言い訳
じみた言葉を口にして、再生を止めようとリモコンに伸ばした手を止めていた。