>>392 「「ねぇ」」
僕の両隣に座り込んだ後、新垣と亀井は、僕の前で視線を一度合わせ、
次に僕の方を向いて、同時にそう言った。
「どうした?」
僕は首を両方に振りながら二人に聞いた。すると、新垣が話し始めた。
「あのさ、あんたはさ、私と亀、どっちが好き?」
「えっ?」
いきなりそう言われて僕は驚いた。
今まで、その言葉だけは二人から聞いていなかった。
むしろ僕は、聞かれるのを恐れていた。
僕はじっと見つめる新垣と亀井の顔を順に見た後、そのまま砂の上に寝転び、空を見て考え込んだ。
僕は流れる雲を目で追いかけながらぼんやりと考えた末、
一旦瞳を閉じて最初に浮かんだ顔の名前を言おうと思った。
ここで発した僕の言葉でこれからの3人の関係が変わる、そう覚悟した。
眼下にこちらを見つめる新垣と亀井を見ながら、ゆっくりと瞳を閉じる。
──浮かんだ。僕は決めた。
すっくと起き上がり、新垣と亀井を前にして、ついに言った。
「僕は──」
新垣と亀井は固唾を呑んで僕の発言を待った。