>>342 その週の土曜日、いとこに兄ちゃんから電話でサーフィンの誘いを受けた。
明日の朝は、いつもの場所にいい波が来るらしい。
僕は新垣と亀井も行くかなって思って、海にさそった。両方OKと言った。
お互いにもう一方もさそってるって伝え忘れた様な気がしたが、
まあいいだろうと思って、ほっといた。
いとこの兄ちゃん家は家族全員サーフィンが好きだ。
今僕が使っている道具一式もその兄ちゃんのお下がりがほとんどだ。
サーフィンもその兄ちゃんとおじさんに僕は習った。
僕の第ニの趣味がサーフィンだった。
そして日曜日、家の前まで来た、いとこの兄ちゃんのワゴンの助手席には、
女の人が乗っていた。
「おはようございます」
僕はあいさつをした。
「おはよー。──この子が?」
「そう、俺のいとこ」
いとこの兄ちゃんは、僕の事を女の人に紹介した。
「私、藤本美貴といいます。こいつの隣に住んでる幼なじみで──」
「俺の彼女だ」
藤本さんの声をさえぎって、兄ちゃんが言った。
うれし恥ずかしそうな表情を浮かべ、藤本さんは体を座席で丸めた。
車のうしろに荷物を積み込み、亀井と新垣を拾いに行った。