>>184 「そうだったのか」
僕は新垣からすべてを聞いた。
聞いて、最近の新垣と亀井の行動を理解した。
新垣は僕の目を見て、真剣に話してくれた。話し終わった新垣は、またうつむいた。
亀井が僕を気に入ってくれているのは、うすうす感じていた。
昼休みに頬にキスされた時も、新垣の事を思いながらも、僕は抵抗しなかった。
「でも、フェアじゃ無いよね」
僕はそう言って、新垣の方をまた向いて、また続けた。
「亀井はさ、ずるいよ」
「ずるいかな?」
新垣は首をかしげた。僕は続けた。
「スポーツマンシップに反していると思う」
「うふぉ!」
僕の言葉に、新垣はおかしな声をあげて、反応した。驚いた僕は聞いた。
「うふぉって何だ?うふぉって」
「私も亀にそう言ったの。あははっ」
「えっ?」
新垣には笑顔が戻っていた。良かった──僕は心からそう思った。
安心した僕は、亀井の事を考えた。
──あの野郎──。
考えて、僕は新垣に聞いた。
「亀の家、知ってるか?」
「知ってるけど、何で?」
「亀に説教してやる!」
「え〜!」
僕は驚く新垣の手を引っ張って駅に向かった。