>>24 作者が仕事場で勤務シフトの勘違いに気付き、失意のまま家に辿りついた頃、
新垣と亀井は校庭の隅でお弁当を食べていた。
そこは小さな丘の上にあり、屋外プールから体育館、校舎までが一望できた。
二人は数本の広葉樹が作る木陰の下にあるベンチに座り、
いつもの様におかずを交換しながら談笑していた。
「亀ちゃん家の唐揚げおいしいよね」
「でしょ?お母さんに習ったの」
「え?亀ちゃんが作ったの?」
「そうよ、うまいでしょ?」
無い胸を張ってそういう亀井に、新垣は呆れるように言い放った。
「うまいよ、お母さんがね」
「そんなぁ」
ボケボケの亀井に新垣がツッコむ。いつもと同じ昼休みを二人は過ごした。
>>71 昼休みの校庭は、昨夜の影響かサッカーをする男子達で埋め尽くされていた。
男子って単純──新垣はそう思った。
ふいに亀井がまだ濁った水の張るプールの方を見て新垣に言った。
「あの話聞いた?」
「何を?」
「こないだのテストの結果でさ、罰ゲームがあるっていう」
「聞いた聞いた。プール開きの前に、プールの掃除すんでしょ?」
「テスト結果、自信ある?」
「ヲイヲイ、何て事を聞くの、亀ちゃん。いつも学年最下位争いしてる中じゃないの」
「そうだよね」
そう言って、二人はまたうつむき、ため息を吐いた。
その日の帰りの会で、テストの結果が発表された。結果はもちろん当選だった。
こうして二人の明日、土曜日午前中のスケジュールは埋まった。
>>72 そして土曜日の午前11時30分。
新垣と亀井は30cmだけ水かさを残したプールの中にいた。
どうせ濡れてしまうからと、スクール水着の上にジャージを着て袖と裾をまくり、
緑色のコケのついた(元は水色の)底床をプラスチックブラシでゴシゴシしていた。
罰ゲームを受けるはずのテスト成績ワースト5の内、3人の男子は、
監視の先生が職員室に戻るを確認して、既にバックれていた。
成績は悪かったが、先生の言う事はちゃんと聞いていた新垣と亀井は、
ブーブー文句を垂れ合いながらも掃除を続けていた。
炎天下、ムシムシしたプールの中、気温計の針は35度を指している。
新垣と亀井の衣服は、既に汗とプールの水とでびしょ濡れだった。
「もーやだ!」
亀井はそう言ってブラシを放り投げてしまった。
「ちゃんとやんなきゃだよ」
新垣は掃除を続けながら亀井を諭した。
亀井は少しムッとした表情を浮かべた後、掃除用のホースを握り、蛇口を捻った。
>>73 「ちょっ、亀!やめっ!」
亀井の握ったホースから吹き出す冷たい水のシャワーが新垣に降り注いだ。
「あはははっ!」
新垣の言葉も聞かず、亀井は笑ったままシャワーをかけ続ける。
「やったなーこら亀!」
そう言って新垣は足元の水を亀井に掛け返した。
キャッキャキャッキャ良いながらプールの中で水をかけあう新垣と亀井の姿を、
遠くの教室の窓から男子が眺めていた。──何やってんだ、あいつら。
水を掛け合いながら距離を詰めあった二人は、両手で押し合いこを始めた。
まず片手ずつを絡ませあい、次にもう片方の手を絡ませあって押し合う。
新垣は足の速さでは亀井に負けるが、腕っぷしの強さでは自信があった。
グイグイと亀井を押してゆく新垣に、亀井は──ヤバイ、負けるかも──という顔をした。
とっさに亀井は両手を離し、新垣の後に回り込んだ。
動揺する新垣の後から脇の下に手を回し、胸を揉んだ。
「もみもみ、あれっ?無い」
「お、お前モナー」
新垣はそう言いながらも、膝をガタガタと震わしていた。
>>74 「じゃあ、こっちも」
亀井は新垣のズボンに手を入れ、スクール水着の上から下っ腹をさすった。
「ちょっ」
新垣は顔を真っ赤にしながら抵抗しようとしたが、体に力が入らなかった。
ガクガクと体を震わす新垣に亀井は聞いた。
「もしかして、処女なの?」
「なっ!亀!そんな事!くぁああああwsぜdrftgyふじこgwt」
「動揺しちゃってぇ。──私は、処女だよ」
「えっ?」
「これだけ一緒にいたら分かるでしょ?」
そうだった。新垣と亀井は幼なじみでいつも一緒にいた。
遊ぶ時も、勉強する時も。学校もずっと一緒で、高校も同じ所を選んだ。
亀井にとって新垣は親友だった。それは、当然新垣にも言えた。
これだけそばに入れば、お互い彼氏がいない事なんて明白だった。
「さっ!掃除しよっ!早く終わらそ!」
亀井はそう言って、横壁にブラシをかけ始めた。
「途中やめたのは、亀ちゃんの方だよ」
新垣は、いつもの様にまた突っ込んだが、亀井はもう聞いて無かった。
76 :
名無し募集中。。。:2005/06/17(金) 15:45:58 0
>>75 「もう行かなきゃ」
新垣はそう言って亀井と昼下がりの正門前で別れた。
プールの掃除は時間がちょっとおして、13時過ぎまでかかってやっと終わった。
二人でやってこの時間なんて凄いなお前ら──と職員室でサボっていた監視の先生に二人は褒められた。
いつもは一緒に帰る新垣と亀井だったが、新垣にはたまに大事な用事で早く帰る事があった。
今日も18時30分からそれがあると言って、急いで家に帰って支度しないといけないから、とダッシュで亀井を後にした。
亀井は新垣の走るフォームを見て、──乱れている──と思った。
足がとびっきり速く、陸上部からの誘いもだいぶ受けたという亀井は帰宅部だった。
なぜかというと、新垣も帰宅部だったからだ。亀井は新垣と一緒に学校から帰りたかった。
幼なじみの新垣を亀井は、一般とは違った意味で好いていた。
『俺も、もう行かなきゃ』
床に寝転がってPCのキーボードを叩く作者は、夜勤の仕事に遅刻しそうになっていた。
明日の昼までこのスレが残っていれば、続きをまた書こうかな──
作者はそう思いながら、 冷蔵庫の中からコーヒーBOSSを取り出しポケットに入れ、アパートの部屋を出た。
ノートPCのファンの音が消えた部屋を、夕方の静寂が包み込んだ。