もうすぐプール開きで嫌だ・・・私胸小さいし><

このエントリーをはてなブックマークに追加
476 ◆acuAAs.52c
>>473

6月の朝、波に乗り、浜へを向かう二つのボディーボードと、その上の二つの黒いカタマリ。
波に濡れて黒光りするボディースーツと、夏前なのに既に黒い新垣と亀井は、
水中にサメがいたとすれば、サメからはアシカにしか見えなかったであろう。
ボン!キュッ!ボン!とはお世辞にも言えない新垣の亀井のボディラインは、
水中抵抗が少なく、まさにアシカ、むしろアシカだった。

浜に着いた新垣と亀井は全速力であの男子の方に向かった。
砂の上でもやはり亀井の足は速く、新垣の方は足がもつれて何度も転んだ。
こういう、娘が海でダッシュのシチュエーションの場合、胸を揺らすのが鉄則だが、
新垣と亀井の二人にはそんな事、無理だった。

先に男子のそばに着いた亀井が、その男子からジュースを奪い取って、
そのまま口に運ぶのを見て新垣は、私も私も、とせがんだ。
男子は新しいジュースをクーラーボックスから出そうとしたが、
新垣がそのジュースを飲み干すことの方が早かった。
ぷはっ!と息を吐く新垣が言った。
「これって、間接キス?」
亀井はその言葉でそれに気付いた後、前にその男子の頬にしたキスを思い出した。

あの時から、亀井の心は揺れていた。
それまで亀井には、好きな男の人なんていなかった。
気になる人は居たけれども、話しかけるとかそういった行動は、亀井にはできないでいた。
しかし、あの時、高校に入った頃、モンシロチョウを追いかけてて、
階段から転げ落ちようとしてた亀井が、あの男子に助けられた時。
その時、亀井の歴史が動いた。