>>305 その後の新垣の亀井の恋のバトルは激しさを極めた。
昼ごはんも3人で食べるようになった。
新垣は料理で亀井に負けじと、母親に習うようになった。
新垣の母親もそれを見て、この娘も恋するようになったか、と思った。
新垣とその男子がショップに行こうもんなら、亀井がそれに付いて行った。
賑やかに『娘。』談義をする2人を尻目に、亀井はひとり疎外感を味わっていた。
ぶらぶらとショップ内をしてた亀井は、ふいに立ち止まり、ひとつの写真を凝視した。
「どうした?」
店員と談笑する新垣を置いてきた男子が、じっとする亀井にそう聞いた。
「この人、あんばいって言うの?」
「あべだよ、安倍。気になるの?」
男子は少し笑った。
「うん。何かエリ、誘われてるみたいな感じ」
「そうか。──よし、僕がエリにプレゼントしてあげよう」
そう言う男子に、エリは首と両手を振った。
「いいよいいよ!そんな事しなくていいから」
「いやいや、これは招待状だよ。(『娘。』ワールドへのね)
亀へのプレゼントだから。」
「──ありがと。」
男子からの始めてのプレゼントだと気付き、亀井はうれしくそれを受け取った。
「うへへ」
その日の夜、亀井は写真を見つめ、昼間のあの男子の言葉を思い出し、笑った。