>>276 一方その頃、亀井はバイトを終え、既に家に辿り着いていた。
「今日も疲れた」
風呂上りの亀井は、お気に入りの赤のチェックのパジャマを着て、ストレッチをしていた。
亀井は昼休みの事を思い出しては、ニヤニヤしていた。
バイト中も亀井は、思い出しては突然ニヤニヤして、周りの人を気持ち悪がらせていた。
原因は、亀井が今日の昼休みに問題の男子を押し倒し、キスをした為だった。
バランスを崩して、頬へのチューだったけど、亀井には満足だった。
亀井は自分の唇に触れては、あの男子の肌の感触を思い出すのだった。
「明日は、あいつともっと仲良くなれるかな?」
亀井は天井を見つめ、ひとりごとを言った。
「うへへへ」
亀井はひとりで笑った。
しばらくゴロゴロした後、亀井は直ぐに寝る準備をした。
亀井のバイトは、とても体力のいるバイトだった。
バイトのある日は、亀井にとって午後8時頃は、もうお眠の時間だった。
暑いので窓を少しだけ開け、電気を消し、布団に入った。
薄いカーテンからは、ぼんやりと月の明りが滲んで、部屋の中は薄明るくなっていた。
たまたま家からは家族が出払っていて、静かな夜だった。
亀井には寝る前に必ずやる事があった。
枕の下から何かを取り出し、亀井はスイッチを入れた。
それは振動した。