【小説】リア消だったら誰に告ってた 第17章【キッズ】

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820ウィードクラウン
>>819
「なんなんだ?」
「さあ…」
俺達は走り去る女の子の背中をずっと眺めていた。
「ん…」
その背中を見ていると、何かが体の中で、びくんっと"跳ねた"ような気がした。
俺の体の中にある得体の知れない何かが寝返りをうった、という表現が近いかもしれない。
ともかく、そういう奇妙な感覚があった。
「何だ?」
それきりである。
"跳ねた"ような感覚はその一度だけだった。
「え? 何が?」
友理奈が不思議そうな顔をして俺を見る。
「いや、なんか…まあいいや、なんでもない」
「ふぅん…」
ふいに、俺たちが佇んでいるその道路に、さぁっと爽やかな風が吹いた。
じめじめとしているこの季節にはありがたい風だった。
「はぁ、熱いねぇ…」
友理奈が呟いた。
俺はそれで首をかしげてしまった。
こんなに気持ちいい風が吹いているのだから、
『涼しいねぇ』というところではないのだろうか?

― 光太郎は、さきほどの少女の事と併せて少しだけ疑問に思ったが
今はとにかく、アイスコーヒーでなんとか保った気力が切れる前にと
この時はあまり気にせずに、友理奈とともに帰路に着いたのであった。