>>176 500円。雅は呟いた。
500円あればどれだけお菓子が買えるだろう?
小学生低学年の月収に相当する金額を
たかがトイレットペーパーのために出せと桃子は言っているのだ。
人の弱みにつけこんで。なんて卑劣な奴なんだ。
よく考えればその倍の千円があればベリの握手券を買えるし。
いや違う。CDを買うんであって握手券はオマケだ。
走馬灯のように雅の頭に様々な思いが駆け巡る。
死ぬのか?いや死なない。うんこを漏らしてしまうだけだ。
「どうするの?雅ちゃん」
桃子はニコニコと笑顔で言う。この外道め。
雅は仕方なく財布からなけなしの千円を出した。
「雅ちゃんありがとう。2個お買い上げですね」
「1個でいいから。2個もいらないよ」
「だって桃子お釣りなんて持って無いもん」
困ったような顔で笑った。
さっき乗客からベリの写真集をダシに金を騙し取って
お金なら充分持っているくせに。