キーンコーンカーンコーン♪
森永「じゃあ、きょうの授業を終わります。日直ー」
岡田「起立、礼」
森永「はいごくろうさま。未提出のひとは月曜に持ってきなさいよ」
・・・
真里「あーあ」(机に突っ伏している)
石川「どうしたのよ、真里、ため息なんかついちゃって」
真里「だって、月曜までにレポート書かなきゃいけないし」
岡田「てか、うちらは昨日、必死こいてやったんやから」
三好「自業自得ってこと」
美貴「おはよー」
石川「おはー。美貴のクラス、次なに?」
美貴「英語。ってわけで辞書貸して」
石川「あ、いいけど。はい」
美貴「ありがと。帰るまでに返すから。てか、なんか真里、元気なくない?」
真里「朝から最悪」
岡田「しゃーないやん。顔あげーや。なんか、おもろいこととか、ないん?」
真里「おもろいこと、おもろいこと、なにかあるかなー」
三好「完全にだれてる・・・」
真里「(急に顔を上げて)あ、おもろいこと、あった!」
岡田「急になんやねん?」
真里「唯、ちょっと匂い嗅いで!」(右手の掌を差し出す)
岡田「え、なになに?うーん、べつにこれと言って…?真里の匂いやけど」
真里「江梨香ぁ?」
三好「(匂いをかいで)しいていえば、大和煮みたいな……」
真里「いや、そっちじゃなくって」
美貴「私もいい?」
真里「あん」
美貴「うーん、くんくん。あ、わかったー。ある意味、真里の匂いかも」
真里「たぶん正解、っておい」
石川「私も……えーと、梨華もわかっちゃった。でも誰の?」
岡田・三好「誰って?」
美貴「もう、あんたたちだって処女じゃないんだから、分かれよ」
石川「えーと、あれよ、白いやつ」
三好「もう一度かがせて?……あー、なるほどね」
岡田「うちだけ?わからんの。(指先の、爪の間の匂いを嗅ぐ)あ、わかった、精子や」
真里「あたりー!」
美貴「誰の?てか、朝から?」
真里「あのねー、朝から、弟に精液引っ掛けられちゃったんだよ、きゃはは」
三好「えっ、弟クンって…」
岡田「いやん、変態やん」
真里「いやー、半分くらいおいらが悪くってさー」
美貴「何かしたんでしょ?○○クンに」
真里「あいつがさ、ありえないくらいに朝立ちしてたの。もうビンビンに。
だから、からかってやろうと思って、2・3回チンコ揉んだら、
なんか、ものすごい勢いで射精したの、きゃはは。ありえなくない?」
岡田「うわー」
三好「でも2・3回って、それって、早くない?」
真里「でしょ?で、量もすごかったの。濃かったし」
美貴「確かに濃い匂いだった」
真里「もう、なんかね、朝立ちからあんなすぐに発射するって」
岡田「ありえへん。なんぼ真里が上手でも」
真里「なんか、超気持ちよさそうだったし」
美貴「え、どんなどんな?」
真里「立ったまま、あ、あ、あっとか声出して、口半開きのままイって、
もう、チンコだって、すっごい勢いでビクビクしてたんだもん」
三好「溜まってたのかなあ」
岡田「でも、普通中学生のオトコノコって、毎日抜いとーやん」
真里「どうなだろ。中学生とはいえ、あれは相当溜めてたな」
美貴「なんか、目標決めて溜めてたとか?禁欲ってやつ?」
三好「オトコノコ、そんなことすることあるって、聞いたことある」
岡田「溜めたほうが気持ちええんかなあ」
真里「溜まってるほうが、立ったときの大きさ、でっかくなるし」
美貴「あ、そうだ○○クン、真里に自分の大きいモノ見せたかったんじゃない?」
真里「ええぇーっ?」
三好「だとしたら、いよいよ変態よね。お姉さんに大きくなったアソコを見せに来るって」
岡田「しかも、発射寸前の。もうピクピク来とったくらいの」
真里「どうだろ。あいつのアレは、この前の、精液採取のときに見たしなー、
なにも朝から・・・」
美貴「で、どっちにしろ、変態姉ちゃんに揉まれて出しちゃった」
真里「手にベッタリだった」
岡田「え、でも服の上から揉んだんやろ?」
真里「ううん、直接揉んだから、直接ベチョ」
岡田「あんたもやっぱし変態や」
三好「変態きょうだい」
美貴「で、お味のほうは?」
真里「味?」
美貴「どうせ舐めたんでしょ?」
真里「そんなこと……ちょっと舐めました、きゃはは!」
岡田「倒錯や」
真里「いや、濃かった。弟のじゃなかったら、ベロベロ舐めたいくらい濃かった」
三好「倒錯や」
岡田「倒錯や」
美貴「倒錯や」
真里「美貴には言われたくない。M女に」
美貴「まあ、確かに美貴も倒錯だけどね」
真里「あ、で、あれ?梨華ちゃん、梨華ちゃん?」
石川「え、えーと、はい」
真里「乗り悪いぜ」
石川「あ、えーと、えー、倒錯です」
岡田「遅いわ」
石川「ごめん、考えごとしてた」
真里「おいらが折角、恥ずかしい話、暴露してやったのにぃ」
美貴「本人、恥ずかしがってなかったけどね」
キーンコーンカーンコーン♪
美貴「たいへん、美貴、教室戻るわ」
三好「じゃーねー」
真里「うちら、次、なんだっけ?」
岡田「簿記」
真里「ぼっき」
三好「この会話も毎週聞いてる気がする……」
大変なことになってしまった。
石川さんに射精しない約束をして、がまんにがまんを重ねていたのに、
あと一日というところで、よりにもよって、姉ちゃんに邪魔されるなんて。
姉ちゃんの手で射精させられたこと自体も屈辱的だけど、
それより、石川さんが機嫌を悪くして、させてくれなくなったらどうしよう。
おのれ、姉貴め。一生恨んでやる。
俺は、部室でカスタードまんを少しかじったまま、物思いにふけって、
気づいたときには、すっかりカスタードが冷えて固まってしまっていた。
きょう一日、ずっとこんな感じで、勃起を我慢してるときは、ハイになるような
緊張感があるなかで、ほかの事に手がつかなかったけど、今はまったく
逆の理由で、つまり、なにか体のなかから空気が抜けたような感じで、
勉強にも友人との会話にも上の空という状態だった。
放課後、ちょっとだけ麦畑の草抜きをした。ひとつひとつ草を抜いていく単純作業に
集中していると、悩みごとを少し忘れられるような気がした。
親父が、今朝、ひたすら草を引いていたのを思い出した。
カスタードまんだけでは、喉が詰まる。ジュースでも買いに行こうと、
自販機のある面談室へと足を向けた。
部室を出てまもなく、携帯が震えだした。
まわりに先生がいないのを確認して、携帯を開く。
着信:石川梨華
え?あ、どうしよう。でも、無視するわけにもいかない。
俺は、着信を保留にして、園芸倉庫へと駈け込んだ。
「きゃあっ」
「わっ」
「どえっ?」
園芸倉庫を勢いよく開けたとたん、中から高い叫び声と低い驚きの声が飛び出した。
暗い倉庫の中に、園芸部の同級生の岡村と・・・横にいるのは・・・
二年生の・・・たしか図書委員の・・・ツグナガだっけ?
畳んだ寒冷遮のうえに仰向けに横たわったツグナガ(字が難しいので分からないのだ)の
セーラー服が乱れている。靴はきれいに揃えて脇に脱いで置いてあって、
紺のハイソックスは、右足だけに穿いていた。左足のは・・・岡村の右手に。
あ、あ、あぁ、そういうことなんだ。ははは。
「矢口、違うんや」
違うって、別に悪いことしてるわけじゃないじゃん。
「桃子、あ、こいつとは、あの、とにかく、黙っといて。頼む矢口」
あーん。こういうときは、男が試されるんだよな。
俺は、ちょっと舘ひろしにでもなった気分で、こう言った。
「決まってるだろ。俺は見なかったから。悪かったな。がんばれよ」
ちょっと、自己陶酔しながら倉庫の鉄の扉を閉めた。
あー、岡村もやるときゃやるんだな。
しかも相手は、図書室のアイドル、ツグナガちゃんだもんな。
俺もがんばらないと。俺も、石川さん・・・・あ!保留したままだ!!
携帯を確認する。
すでに、切れていた。
あー、岡村のやつめー。最悪、最悪、さいあくー。
そのとき、また携帯が震えた。
着信:石川梨華
今度はすぐに取って、園芸倉庫の・・・裏へ回った。