エッチの予告をしておいて、禁欲を要求するなんて、まじありえない。
あれから頭の中は石川さんでいっぱい。
家でも塾でも学校でも、勉強が手につかない。
下半身は常にスタンバイOKだ。竿の根元の奥が
ムズムズして、ことあるごとに勃起する。
初めてとは言っても、あまり下手でも石川さんに悪いので、
インターネットでエッチの技術を勉強する。
姉ちゃんにばれないように、こっそりと。
ネットのエッチな文章を読んでもオナニーできないなんて辛すぎる。
石川さんを抱きしめて、胸を揉んで、あそこの穴に指を入れて、
クリトリスも刺激する・・・そんな計画を立てる度に最大勃起だ。
学校で勃起することも多くなっていた。ばれないようにするのに気を遣う。
自転車も乗りにくい。
まだ禁欲三日目。あと木曜、金曜、土曜と、三日も我慢しなければいけない。
あああ、正直、こっそりオナっても分からないしな。
どうせ三日で精子も満タンになるし、夢精でもしたら逆にいけないし。
俺は、ズボンを下ろし、トランクスも脱いだ。
頭の中は石川さんの胸やあそこのことでいっぱい。
下半身は脈を打ちながら先を天に向けている。
すぐにでもいってしまいそうだ。
俺は、亀頭に右手を添えた。
そのとき、携帯の着メロが鳴った。
誰だよ、こんなときに。オナニーを邪魔されるのって、けっこう腹が立つ。
着信:石川梨華
えっ、石川さん?
俺は、チンコも仕舞わずにあわてて電話に出た。
「ちゃーお、○○クン、元気にしてるー?」
「い、石川さん、こん、こんにちわ。なんですか?」
「なんですかって、梨華から電話かかってきたの、嬉しくないのー?」
いや、それは嬉しいけど、タイミングが・・・
「いやー、あのね。日曜日のことなんだけど、○○クンは大丈夫?
梨華は、それまでにはね、大丈夫そうだから・・・」
「あ、それはもう。でも・・・」
「でも、なーに?」
「あ、あの、俺は大丈夫なんですけど・・・俺の・・・」
「うふふっ、俺のなにが、どうしたの?」
石川さんはぜんぶお見通しなのに、意地悪で黙ってるみたい。
言いかけたものの、俺のチンコが大丈夫じゃないなんて言えないし。
「あ、あの、やっぱりいいです。日曜日、楽しみにしてます」
「えーっ、言いかけたんなら言ってよー、気になるじゃん」
いまさら言えない。
「でも、大したことじゃないんで」
大したことだけどさぁ・・・
「うふふ、じゃあ、こんど会ったとき聞かせて。
でさ、そろそろ禁欲、辛くない?」
うぅぅ、それが問題なんだよー。でも、俺にだって意地がある。
「つ、辛くないって言えばウソになりますけど、
石川さんのためなら、ぜんぜん平気っすよ」
「良かった。梨華ね、特技があってね。エッチしたら、
相手のオトコノコが、前に いつ射精したのか、
なんとなくわかっちゃうの。すごい?」
な、なんだってー?
「だからね、わかる?変なこと考えちゃだめよ、うふふ」
「は、はい。大丈夫ですよ」
うふふって、なんか、完全に手玉に取られてる予感。
「じゃー、がんばってね。ぐっちゃー」
「さ、さようなら」
はぁぁ、タイミングが良いというか悪いというか。
なんか監視されてるみたいなピンポイント攻撃だな。
監視?
ひょっとして、姉・・・ちゃん?
俺は慌てて下着とズボンを穿いて部屋を静かに飛び出す。
廊下に姉ちゃんの姿はない。
でも、隣の部屋から壁にコップを当てて聞いてるのかもしれない。
俺は姉ちゃんの部屋のドアをそっと開けた。
鍵はかかっていない。姉ちゃん・・・・
姉ちゃんは部屋の中にいた。
部屋の入り口からベッドに向かって、靴下が右、左と脱ぎ捨ててある。
そして、ベッドの上には、制服のままうつ伏せに倒れこんだ姉ちゃん。
ぐっすりと眠り込んでいる。
そういえば、昨日の夜、姉ちゃん帰ってくるの遅かったな。
バイト終わるの9時ごろのはずなのに、帰ってきたのは1時過ぎ。
たいがい、バイト先の男とヤってたんだろう。ろくでもない姉貴だぜ。
でも、べつに耳を壁に押し当ててる感じでもないし、
コップがベッドの上に転がってることもないことからして、
姉ちゃんがスパイ活動をしているのではなさそうだ。
じゃあ、たまたまだったのかな、さっきの電話。
でも、姉ちゃんの寝顔・・・こんなにじっくり見るのは久しぶりだ。
客観的に見るとカワイイのかもしれない。
あれ?あれあれ?
なんか俺のチンコが勃起してきたみたい・・・なんで姉ちゃんの寝顔で
反応するんだよ!
ほんと、見境がなくなってきている。日曜日まで、持たないかもしれない。
おれは姉ちゃんの寝顔を見ながら、不安な気持ちでいっぱいになった。
やっと土曜の朝がやってきた。
なんとかオナニーしないでがんばってるけど、もう、我慢するだけで
精一杯。それ以外のことは何にもできない。
昨日の夜はなかなか寝られなかったけど、ついに、我慢しつかれて
寝たって感じだ。朝立ちもありえないくらいの直立だ。
俺はベッドから起き上がり、歯を磨くために眠たい歩みをドアのほうへ向けた。
完全勃起してるけど、姉ちゃんはどうせまだ寝てるだろうし
別に気にすることはない。俺はテントを前に突き出して部屋のドアを開けた。
「あ、○○おはよー」
って、姉貴いるじゃん!
「姉ちゃん、なんで起きてんだよ」
「だって、朝からFMに劇団ひとりが出るんだもん」
劇団ひとりのためにわざわざ早起きする女子高生って微妙すぎ。
俺は、そんなことを考えつつも、冷静に、朝立ちに気づかれないように、
ちょっとだけ前かがみになった。でも、それが逆効果だったようで、
勘のいい姉ちゃんは、すぐに気づいてしまった。
「あーっ、○○、朝立ちしてんじゃん!」
「仕方ねえだろ、男なんだからさ」
「でも、なんかすげーでけー」
「普通だよ。普通これくらいだって」
「普通かどうか、おいらが調べてやる」
そう言うと、姉ちゃんは俺の下着のなかに右手を突っ込んできた。
「な、何すんだよ」
「朝立ちにしては硬てー、ほれほれほれほれほれ」
姉ちゃんは、余っていた皮を一瞬で剥くと、小指の先と親指の付け根で
亀頭のえらの部分を5回くらい強く揉んだ。
すぐに手を離してくれたら良かったんだけど、姉ちゃんはそのまま
勃起したチンコを掴み続けた。快感を押し殺す苦悩の表情の俺を、
姉ちゃんは意地悪な笑顔で見上げてくる。
何も知らない姉ちゃんは、朝立ちした俺をからかうくらいのつもりで
チンコを掴んで揉んだんだろうけど、それが、今の俺にとって最後の一撃と
なってしまった。俺は、大きく息を吸い込んだ。
そして、その息が気管のなかを外に向かって逆流し始めるのと時を同じくして、
俺の熱い精液は、堰を切ったように姉ちゃんの掌へと迸った。
どくっ、どくっ、びゅるびゅるっ、どぴゅ、どくどくっ
どく どく どぴゅ
ぴく ぴく ぴく
俺は、生温くて粘性の高い液体が太ももを伝って流れているのを感じた。
確かに快感は桁外れだった。でも、冷静に考えて、
実の姉貴に、立ったまま、朝の廊下で手コキでイかされたなんて、
これはいったい、どう対処していいのかわからない。
精液がふくらはぎを滑り降り、くるぶしを避けるようにして踵のほうへと
流れた。そして、まもなく床に達した。
姉ちゃんも、あっけにとられている。中途半端な、引き攣った笑みを浮かべて、
そろそろと下着から手を引き抜く。
姉ちゃんの小さな右手にベッタリと、クリーム色に濁った精液が付着していた。
姉ちゃんは、精液まみれの自分の掌を無言で見つめた。
そして、やけくそのように、最大限の笑顔を作って俺に向かって言った。
「○○!この早漏ヤロー!!!!!」
家中に響き渡る大きな声。一瞬遅れて、キッチンから皿の割れる音がする。
「姉ちゃん、声が大きいよ・・・」
「○、○○が早えーからいけないんじゃーん」
姉ちゃんは掌に絡みついた精液を、俺のTシャツの胸の辺りに
こすり付けて拭いながら、今度は小声で言った。
「○○、オナニーちゃんとしろよ。勉強忙しくても、抜くもん抜いとかないと、
健康に悪いんだから・・・。」
姉ちゃんは、掌を俺のTシャツの肩の辺りで拭きながら、
あきれた様な口調でつづけた。
「おいら、手、洗ってくるから。床拭いて、さっさと着替えなっ」
俺は、階段を駆け下りて行く姉ちゃんを呆然と見送った。
10秒くらいそのままつっ立っていたが、粘性がなくなって脚をたらたらと
勢いを増して垂れてくる精液に我を取り戻し、急いで部屋に戻って
ティッシュの箱をひっつかむと、廊下へと取って返した。
手早くフローリングの床を拭き、またすばやく部屋に戻って、
足の裏を紙で拭き、短パンを脱いで、精液で前がドロドロになった
トランクスも、精液がこぼれないように注意して脱いだ。
脱いだトランクスで、太ももやふくらはぎの内側に垂れた精液を拭いた。
このトランクスをどうしようか。
いまから洗面所で洗うと、姉ちゃんがさっき大声で叫んだことだし、
親父とお袋にバレバレだ。でも、このまま置いておくと部屋がくさい。
でも、仕方がない。精液まみれのトランクスと、精液を拭いたティッシュとを
コンビニの袋につっこみ、かたく口を縛って、ゴミ箱の下にしのばせた。
あ、Tシャツも精液が付いてたんだっけ。これもどうにかしないと。
これは・・・ううむ、これもとりあえず袋詰めにして隠すしかない。
俺はTシャツを脱いで別のコンビニ袋に入れて、それを押入れの中に隠した。
しかし、まだ万全ではない。
体から精液の匂いがしたら、学校でなんて冷やかされるかわからない。
シャワーを浴びないと。すこし寒いけれども仕方がない。
おれは、新しいトランクスと制服を持って、ノーパンのまま短パンを穿いて、
風呂場へと階段を下りて行く。姉ちゃんが上がってくる。
すれ違いざま、ぼそっと姉ちゃんが言う。
「早漏っ」
当分からかわれそうだ。
朝の食卓。
親父が新聞を広げている。土曜日だから弁当を作らなくてよいお袋は、
スーパーの折り込み広告を3枚並べて、赤ペンで広告に印をつけている。
親父とお袋は、おれがシャワーを浴びている間に朝食を食べ終わっていた。
それとは対照的に、俺の隣には、まだ手付かずの椀が並んでいる。
早起きしても、時間ギリギリになる姉ちゃん。何してるのだろう。
俺はというと、朝からあんなことをされたのもあって、いまひとつ、
食事が美味しく感じられない。ご飯を噛む音が頭蓋に響く。
夏はたまに朝からシャワーを浴びるから、親父とお袋はなんとも思ってないみたい。
それはよかったのだけど、石川さんへは、どうやって言い訳しようか。
正直に全部話そうか。でも、姉ちゃんに射精させられたなんて、
俺の口からは恥ずかしくて言えない。石川さんだって、流石に引くだろう。
かといって、黙っててバレた場合、確実にオナニーしたと思われる。
そんなことでエッチしてもらえなくなったら、死んでも死に切れない。
でも、じゃあ、どうする?どうしよう?
「○○、おかわりはいいの?」
「ああ、今日はいらない」
お袋にも素っ気無い返事になってしまう。
ドダドダドダドダ!
階段を駆け下りる音。やっと姉ちゃんが現れた。
髪の毛を気にしながら、席に着く。
姉ちゃんはいつもどおりの食欲で、牛肉の大和煮をご飯の上に山盛りにした。
姉ちゃんが一口めを口に運ぼうとしたそのとき、朝は無口な親父が珍しく、
新聞紙の向こう側から発言した。
「真里」
無口な人が口を開くと場が凍る。
「な、なによ、パパ」
「あの、なんだ、あれだ。一応女の子なんだから、言葉には、気をつけなさい」
姉ちゃんの顔が赤くなった。
「わ、わかってるわよ」
お袋も何か言おうとしている。朝からお説教だと俺も姉ちゃんも思った。しかし。
「真里、だめよ。早漏なんて言っちゃ。パパも気にしてるんだから」
俺は口に含んでいた味噌汁を噴き出しそうになった。
噴き出さないように無理に飲み込んだので、気管に入ってむせ込んだ。
「会社行って来る」
「あなた、きょうは土曜日ですよ」
「じゃあ競馬だ」
「ドーピングで中止ってさっきニュースで」
「どこでもいいだろう。出てくる!」
ほんと、うちの女性はデリカシーがない。
俺は親父のあとを追うようにして食堂を立ち去り、無言で玄関を出た。
親父が庭のすみで草をむしっている。その背中が、どことなく寂しげだった。