>>77 第15章『美貴』
1/20
「そう、やっぱりあなたが殺したの…」
わたしたちは泡をいっぱいに浮かべたバスタブに胸まで浸かっている
藤本さんはあのままで良いって言ってたけど、
わたしは自分のおしっこが混ざったお風呂に浸かるのはさすがに抵抗があった
一度お湯を全部抜いてから溜め直す
身体が冷えるので、バスタブの中に二人で座ったままお湯を張った
いま、やっと胸のところまでお湯がきたところだ
その間に、わたしは全てを語った
初めて人を殺したときのこと
電車の中で貧血を起こしてオナニーを覚えたこと
藤本さんの後をつけて忍び込んだこと
そして、マネージャーを殺したこと
「ごめんなさい」わたしは謝った
「謝ることないわよ。あんな女、死んで当然のことしてたんだし」
藤本さんはあからさまな嫌悪感を顔に出した
「ま、美貴も人のこと言えないけどね」両手を広げて苦笑する
「いったい、何があったんですか?」わたしは訊ねた
「そうね、教えてあげてもいいわ」
藤本さんは遠い目をした
>>304 2/20
〜 美貴 〜
最初、何が起こったか判らなかった
キスをしようとした時、道重に首筋を噛み付かれたような気がした
噛まれた所から全身に電流が流れたみたいな衝撃が走る
次の瞬間、私はエクスタシーに達した
目の前が真っ暗になった
チカチカと星が飛んでいる
貧血?
全身の力が抜け床に倒れる
こんなに凄いのは初めて…
私はそのまま気を失ってしまった
次に気がついたのは真夜中だと思う
部屋の電気が消え真っ暗だった
身体が痛い
私は片足を縛られて逆さに吊され、口にはボールギャグを噛まされていて声が出せない
まあ、これがなくても声を出す力はなかった
道重がやったのかな?
なんでこんな酷いことするんだろう?
私は朦朧とした頭で考える
>>305 3/20
…ああ、私道重のこと殺そうとしたんだっけ
やっぱりキレると歯止めが効かなくなる自分の性格を直さないといけないと思った
でも今更後悔しても遅いかな
道重が私を捨てたのなら、助けに戻ってなんて来ないはず
事務所は私と連絡が付かなくなってどれくらいで家に様子を見に来るだろう
それまで生きていられれればいいんだけど…
血が足りなくて身体は凍えるように寒いのに、
頭は血が溜まって燃えるように熱く激しい頭痛がする
手足の感覚は既になかった
それなのにオマンコとお尻の穴が裂けるように痛い
実際裂けているのかもしれない
いったい何本入れてくれたんだ、道重のやつ
頭痛がさらに激しくなった
鼓動と同期をとるように頭を激しく打つ
私は考えることすら出来なくなって
また気を失った
>>306 4/20
・・・・・
身体が床に降ろされて意識が醒めた
だけど激しい頭痛は残り、目は霞み何も見えず、耳鳴りが酷くてよく聞こえない
ここはどこ?
私は誰?
記憶が混乱している
手足が痺れてきて感覚が戻ると、お風呂に連れていかれた
考えるのも億劫だったので、言われたとおりに動く
お風呂の中は苺の匂いでいっばいだった
血が身体を巡る
身体が温まった
そして新たな疑問が生じる
あなたは誰?
身体を洗うついでにオマンコの毛を剃られてしまう
ツルツルになっちゃって恥ずかしかったけど綺麗と言われたので悪い気はしない
この人、私の胸も綺麗だと強調する
なぜか哀しい気分になった
でも彼女があまりにも必死なので、私は微笑んで見せた
ところでこの人、誰だっけなぁ
まだ意識が混濁していて、まともに考えることができなかった
>>307 5/20
頭を洗ってくれるという
洗い場に出て床に座り頭を彼女の膝の上に乗せた
顔にお湯がかからないように丁寧に頭をすすいでから、シャンプーをしてくれる
暖かいお湯と彼女の指が頭痛を和らげてくれる
とても気持ちよかった
そして彼女の一言が聞こえた
「お姉ちゃん」
とても小さい声だったけど、私の耳に、私の意識にはっきりと届いた
その声は忘れられなかった
なんだ、さゆだったんだ
さゆ。大切なわたしの妹
「なぁに?さゆ」私は返事をする
でもさゆは応えてくれなかった
膝が震えている
顔に水滴があたる。大きな粒がいくつもいくつも
さゆ、泣いているの?
どうして泣いているの?
泣かないで…
私は慰めようとしたけど、声が出なかった
その後、私はタクシーに乗せられて病院へ連れていかれた
なんでも私はレイプされたらしい
私はそのまま入院することになった
>>308 6/20
入院して一週間、身体は順調に回復した
自分の名前も思い出した
モーニング娘。のことも思い出した
自分が裏の世界で何をしているかも覚えていた
ただあの日の夜、自分に何が起こったのか
それだけが思い出せなかった
警察の事情聴取があった
刑事の質問には「わからない」と答えた
事務所もイメージダウンを怖れて告訴はしないと言ってる
まあ、それは構わない
犯人も捕まっていないのに告訴したって面倒なだけだ
でも1つだけ残念なことがある
メンバーの誰からもお見舞いが来ない
せめて6期の子たちは来てくれてもいいと思うんだけど
男に強姦された女の顔なんて見られないのかな
身の回りの世話と必要な物の用意は矢口さんがしてくれた
例の一件で嫌われてると思ったのにすごく優しかった
ただ、事あるごとに事件の事を聞き出そうとする
「なんでもいいから思い出したら教えてね」
そう言い残して部屋を出て行った
なぜそこまで知りたがるんだろう
>>309 7/20
ほどなくして私は尿意を覚えトイレに立つ
しかし病室のドアに鍵が掛かっていて開かなかった
私はドアを叩いたり、大声を出して誰かを呼んでみたが返事はない
ナースコールをしても全く反応がなかった
私はとうとう我慢できずに、その場にうずくまってオシッコを漏らしてしまう
それと同時に矢口さんが入って来た
「やだ、ミキティ。オモラシ〜?」わたしの姿を見て矢口さんが笑う
「ドアの外にいたのね?」私は問い詰めるが知らんぷりだった
「なによぉ、ミキティがオモラシしたのを、おいらのせいにしないでよねぇ〜
普段から変態なことばかりしてるから、おしっこの穴もガバガバなんじゃないのぉ〜?」
矢口さんが嫌らしい笑みを漏らす
私カッとなって右手を振り上げたとき、お腹に強い痛みと痙攣が起こった
私はオシッコで濡れた床に崩れ落ちる
「なっ!?」 私は矢口さんを見上げた
「スタンガンって結構効くんだ
一番弱くしてるからたいした事ないと思ったんだけど
おいら腕力弱いからミキティ相手に素手じゃ敵わないし、
これくらい用意しておかないとね」
手にしていたスタンガンをバチバチ言わせてほくそ笑む
私は矢口さんを睨んだ
>>310 8/20
「ミキティにお客よ。話があるんだって、どうぞ〜」そう言って廊下に首をだす
「ちょっと、こんな格好で? やめてよ」
私は慌てたが、矢口さんは構わず人を招き入れた
わたしは濡れたパジャマのまま、ベッドにもぐりこむ
入ってきたのは黒尽くめの男
わたしの良く知っている奴だった
「あいつが殺されたのは知っているな?」
「あいつ?」男は挨拶も抜きで話を始める
「お前んとこの女マネージャだ、お前が襲われたのと同じ日に殺された」
私は驚いて矢口さんの方を見る
矢口さんが男の後ろで頭を縦に振った
「知りません。そんな話誰も…」
私の返事を聞き終わらないうちに男は話しを続ける
「ほう、警察の事情聴取でも訊かれなかったか?
まぁいい、警察はどう思ってるか知らんが、
俺たちはお前を襲ったのと同じ奴の仕業だと思っている
襲った相手の心当たりがあれば聞かせて欲しい」
>>311 9/20
私は首を横に振った
「あの女が死んだところでこっちは痛くも痒くもないが、
パーティのことが公になったら困るお偉いさんもいる
一応手は打ってあるが、ほっとく訳にもいくまい。
それに、やられっぱなしじゃ事務所のメンツにかかわる」
事務所といっても、芸能事務所でないことは確かだ
さすがに私もこの人たちに逆らったりはできない
私は矢口さんの様子をこっそり伺う
矢口さんとはビデオに撮るため寝たことはあったが、
パーティーや男のとの関係について話したことはなかった
こんな話を矢口さんのいる前でするなんて…
私は矢口さんの方をちらちら見ながら気まずそうにしていると男が言った
「気にしなくていい、ちゃんと紹介しておこう
今度からこのチビがあの女の代わりに全部を仕切るからそのつもりでいてくれ」
私は驚いて開いた口が塞がらなかった
「チビってゆーなっ!」矢口さんが食って掛かる
怖いもの知らずだ
「話はそれだけだ。じゃ何か思い出したら連絡してくれ」
そういうと、男はドアに向かって歩き出した
>>312 10/20
「あのっ! 死因は? 手がかりとかないんですか? その、凶器とか証拠とか…」
私は訊ねた
「ん? ああ、吸血鬼だ」男は苦笑しながら言うとそのまま帰ってしまった
「吸血鬼?」わたしは眉間をしかめる
「マネージャー、身体から血が一滴も無くなっていたの」
矢口さんが代わりに答える
その時、私はあの日の夜道重に首筋を噛まれたことを思い出した
まさか道重が吸血鬼?
そんなバカな
私はその考えを頭から払拭する
「そんなことよりっ! 矢口さんっ!
何考えてるんですか、あの男たちの仲間に入るなんてっ!」
私は怒鳴った。
マジでヤバイ
「ミキティだって仲間なんでしょ? 問題ないわよ」
ケロッとして言い返してくる
全然違う。大問題だ
>>313 11/20
「違う、私はあの女に命令されてやってただけ
私が… 私が女しか愛せないことをあいつに知られて、バラされたくなければ手伝えって…
確かに女の子とやれるのは嬉しかったし、お金も貰ってたけど…
でも、好きでやってた訳じゃ…」
自分で自分に言い訳をしていた
「おいらもね、こんなことやるつもりはなかったのよ
でも引き受けてくれたら秋の番組改編でレギュラー一本くれるってゆーしさ、それに…」
「それに?」
「ミキティにも借りを返さないとね」
矢口さんが真剣な顔をしている
手には注射器を持っていた
「なにをする気!?」
私はベッドの中で壁側に逃げる
「あなたは女しか愛せないのかも知れないけど、おいらは女なんて好きじゃないのよ
無理やり犯されてビデオに撮られたのに、黙って許すわけないでしょ
こういう機会をまってたの」
手元にあった枕を投げた
手に触れるすべてのものを投げつける
>>314 12/20
私は隙を見て、ドアに向かって駆け出した
しかし、逃げることはできなかった
背中にから全身に向かって電気が流れる
身体が痙攣して、床に倒れた
さっきの衝撃とは比べ物にならない
身体が動かなかった
「大人しくしてないと、痛い目に遭うわよ」
矢口さんが頭上から見下ろしている
言い返したかったけど、声が出なかった
「あの男たちはミキティがグルじゃないかって疑ってる
本当のことをミキティから聞き出して欲しいって、おいら頼まれたのよ
なにやっても良いって言われてるけど、おいら一人じゃなんの力もないし、
あいつらの仲間になればなんでも揃えてくれるからね
ほらベッドに戻って!」
私はお腹を蹴飛ばされた
震える手足を必死に動かしてベッドによじ登る
「ここはVIP専用の病室なの
警備は厳重だし騒いでも音は外に洩れない
今夜からここでパーティーやるから親父たちのお相手頑張って、ミキティ」
私は身震いした
男どもにさわられる?
全身に鳥肌が立った
>>315 13/20
「これはもういらないから捨てるね」
そう言ってはさみを取り出し、パジャマを切り裂く
「オシッコで濡れたショーツはオヤジたちに売れるかな?」
ショーツを脱がされて、私は全裸になった
矢口さんは私の腕を取ると注射器を構える
私は腕を引っ込めようと力を入れた
「おいら素人なんだから、暴れるとどこに刺さるか判らないよ」
私はそっちの方が怖くなって、動けなくなる
「安心して毒じゃないから」
そう言われて素直によろこべるほどお人好しじゃない
「自白剤と催淫剤を混ぜたものよ。たぶん死なないわ」
針が右腕の血管に刺さる
注射器の中身がどんどん減っていった
私は自分がどうなってしまうのか不安になる
身体が熱くなってきた
意識が紗が掛かったようにぼやけてくる
>>316 14/20
矢口さんの声がエコーをかけたように頭に響く
「お腹を綺麗にしておかないとね」大きな注射器で何回も浣腸された
矢口さんは棚をゴソゴソと探していたが「オムツ持って来るから我慢するのよ」
と言い残して部屋を出て行く
そんな無理言わないで
私は浣腸液と一緒にウンチをベッドにぶちまける
汚いとか臭いといった感覚はなくなっていた
すっごく気持ち良い
オマンコから大量の愛液が垂れているのが判る
矢口さんが戻ってきた時、さんざん文句を言われたが気にしない
文句を言うくらいなら、最初から用意しておきなさいよ
朦朧としててもツッコミだけは欠かさない
シーツを交換するともう一度浣腸をされて、アナルに栓をされた
オマンコが疼く
お腹が痛い
身体か熱い
助けて…
「誰にやられてたの?」矢口さんが訊いてきた
「重さんだよぉ〜、だから栓を取ってぇ〜、お腹痛ぁい〜」
私はうなされる様に答える
>>317 15/20
「重さんは助けてくれたんでしょ。犯人を教えて」
私は唸るばかりで声にならなかった
矢口さんは、オマンコに大きなバイブを突っ込んだ
そしてそのままオムツをあてると、手足を手錠でベッドの柱に固定する
「ちゃんと喋るまで、そのままだからね」
そう言って出て行ってしまった
「誰でもいいから、抜いてぇ〜、ウンチさせて〜」
私は身体を揺らすが、誰も返事をしてくれなかった
>>318 16/20
パーティーとは名ばかりで内容はほとんど拷問と言っても良かった
縄で縛られ、鞭で叩かれ、蝋燭や煙草の火を押し付けられる
何人もの男を同時に相手させられた
前後の穴にペニスを入れられ、口で咥えさせられた
余った男は胸を責める
最後はいつも気を失っていた
昼間は自白剤を、夜になると催淫剤を打たれる
オムツの中、オマンコとアナルには常にバイブが入っていて動いていた
足に鎖が繋がっていて逃げられない
既に逃げようとする気力もないが
そのうち時間の感覚もなくなっていた
私は壁を見つめ半日を過ごす
残りの半日は男たちに嬲られて過ごす
矢口さんが来て、お腹が膨らむまで浣腸をされるとパーティの始まり
私はこの状態が永遠に続くものと思っていた
あの日までは
>>319 17/20
すでに私の身体から薬が抜けることはなくなった
常に意識は朦朧として、無気力になる
とうとう幻覚を見るようになってしまったと、その時は思った
道重の声が聞こえる
枕元に道重が立っていた
唇を重ねてくる
わたしは嬉しくなって舌を絡ませた
柔らかい
幻覚でも、やっぱり女の子の方がいいわ
そう思った瞬間、幻覚は消え代わりに矢口さんが立っていた
矢口さんは、オムツとバイブレーターを取る
私は矢口さんが来たせいで、幻覚が消えたと思って怒りを表す
矢口さんは気にした様子もなく、再び注射と浣腸をしていなくなった
私は眠りに落ちる
>>320 18/20
私は久しぶりに夢を見た
真っ暗な場所に私は立っている
足元も見えない闇の世界だ
突然、目の前に道重が現れた
お互い全裸で向かい合っている
灯りがどこにもないのに二人の身体は真っ白に輝いていた
道重は何か喋っているようだったが、なにも聞こえなかった
ただ凄く淋しそうな顔をしている
「そんな顔をしないで」慰めたつもりだったが、自分の声も聞こえなかった
ゆっくりと道重が近づいてくる
わたしは抱きとめようと、両腕を開いて迎えた
二人が抱き合った瞬間、道重の身体が溶けるように私の身体と重なっていく
二人の身体が完全に重なると、身体の輝きが増し周りを照らし始めた
輝きは少しずつ広がり、やがて闇の全てが真っ白な光で包まれた
また私1人になってしまったが、身体には力が漲っていた
どこかで道重が楽しそうに遊んでいる声が聞こえた
私も一緒に遊びたい
そう思って白い闇の中を探し回る
子供の時、遊びに行く兄においていかれたことを思い出す
「わたしも一緒に連れてって!」そう叫びながら兄の背中を追いかけた
でも兄は私を振り切るように駆け出す
小さくなっていく兄の背中を、私は泣きながら見つめていた
そのときの不安がいまでも堪らない
>>321 19/20
「さゆ、どこにいるの?」
わたしは必死で道重の気配を探った
突然、道重の気配が変わる
歓びから驚きへ
快楽から恐怖へ
死への怖れ
助けを求める叫びが私の耳に届いた
>>322 20/20
「さゆっ!」
わたしは寝ていた身体を起こす
そこは病室の中だった
ベッドの周りでは半裸の男たちがうろたえている
わたしは縛られている縄を引き千切ると床に下り立った
身体を見ると、ずっと残っていた傷が綺麗になくなっている
男が私の身体をベッドに押し戻そうとするので平手で打った
男は勢いよく倒れる
その音に皆が一瞬呆気にとられる
もう一人の男が殴りかかってきたので、私は壁まで蹴飛ばしてやった
床に倒れた男の金玉を踏んづけたら泡を吹いて失神した
ドアに手をかけたが鍵が掛かって開かなかった
私はドアを蹴破る
廊下には怯えたような目をした矢口さんが私を見ていた
私は矢口さんに一瞥をくれると、非常口に向かって走る
扉を開けると、外は嵐だった
私は屋上に上がり周りを見渡す
あった
私は屋上からジャンプした
目指すはレインボーブリッジ
そこにさゆがいる
さゆが助けを求めている
待っててね、今お姉ちゃんが助けに行くから