処女喪失!田中れいな一夏の初体験 九日目

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289翼が無くても
「れいなね、小さい頃、翼が欲しかったと」
唐突に、れいなは話し始めた。
「翼?」
「うん。鳥みたいに空を飛べるように」
「ちょっとでもお父さんに近くに行けるようにか?」
「うん、それもあるけど・・・・」
れいなは小さく喉を鳴らして、
「ママを見つけるため」
「お母さんを?」
「うん。だってほら、空から探したほうが見つけやすいでしょ?やけん翼が欲しくて」
れいなはほんの少し笑った。
空を飛びたいっていう子供っぽい夢のなかに、なんて寂しい理由があるんだろう。
俺はれいなの笑顔を見て、悲しくなった。
それは同情ではなくて、同調だ。
家族を恋しく思う気持ちが俺には痛いほど良く分かる。
れいなは俺の妹になりえないし、俺はれいなの父親になることは出来ない。
でも、俺は出来る限りれいなの傍にいてやりたいし、れいなに傍にいて欲しい。
俺はれいなをそっと抱きしめた。
最初は驚いていたれいなだったけど、すぐに抱き返してきた。
夏の暑い夜だったけど、れいなの体温はすごく心地よかった。
「お母さん、見つかるといいな」
抱いたまま、そう言った。
「・・・・うん」
れいなは小さくうなずいた。
れいなの吐く息が耳にくすぐったかった。