5分後…カオリさんが再びやって来て、ケーキと紅茶を置く。
「はい、これランチセットのデザート、皆味はどうだった。」
「凄く美味しかったですよ。また来ます、ね山本君。」
「そうだね…ここに来ればカオリさんの料理を食べれるからね。」
「あの…ご馳走様です、美味しかったです。」
「ありがとう。そうだ、真里ちゃんとなつみちゃん。」
「はい?」
2人は同時に顔を上げ、カオリさんを見つめる。
「君達はカズ君の友達でしょ?だったらカオリにとってあなた達は妹も同然。
だから敬語は良いよ。その方が親近感わくでしょ?」
「わかりまし…うん、分かったよ。」
「…そうだね。」
2人の返事を聞き、クスクスと笑うカオリさん。
僕達はカオリさんのケーキをフォークで切り、口に運んだ。
非常に滑らかな甘さが口の中に広がる、身体がとろけそうなほど美味だ。
こんなのがタダ…僕はちょっとカオリさんに気兼ねしてしまった。同時に先程の言葉が胸に引っ掛かる。
「カオリさん、さっきはごめん、馬鹿なんて言っちゃって。」
「いいよ、気にしてないから。昔から時々ムキになる事あるよね、ホラあの時も…アレは嬉しかったな。
あ…他にお客さん来たみたい。カオリ行くね。」
カオリさんは店の入口に向かっていった。
同時に矢口さんと安倍さんが僕を問い質す。
「ねぇ、あの時って何?」
「話すと長くなるけど…」
「聞きたい、聞きたい。どうせならカオリさんとの出会いも…ねぇ、なっち。」
「うん、興味あるね。」
安倍さん、今日はやけに積極的だな。矢口さんの影響か?
僕は当時を回顧しながら口を開く。
「そうだね…あれは…」