1 :
名無し募集中。。。:
2 :
名無し募集中。。。:04/05/02 14:27
グッバイ夏男のワイルドアヤヤバージョンください
3 :
名無し募集中。。。:04/05/02 14:34
油断したら落としちゃった・・・_| ̄|○
4 :
名無し募集中。。。:04/05/02 14:38
ほねがいします
5 :
名無し募集中。。。:04/05/02 16:39
6 :
名無し募集中。。。:04/05/02 18:16
誰か過去ログうpしてくれませんか?
7 :
名無し募集中。。。:04/05/02 18:35
不細工矢口氏ね!
8 :
名無し募集中。。。:04/05/02 18:39
俺なら矢田亜希子が(・A・)イイ!!
9 :
名無し募集中。。。:04/05/02 19:13
麗奈
10 :
名無し募集中。。。:04/05/02 20:39
あぁ!バルさんの二部見逃したぁぁぁぁ!
209 :bal澱al :04/05/02 02:04
>>189 「遠き明日」〜第二部〜
決まった時間に眼が覚める。相変わらず、あの夢は続いている。
叫び声を上げる事は無くなったが、体が汗にまみれている。
消したくとも消せない記憶・・・そして過去の事実・・・・・
カーテンを開け、外を眺める。穏やかな天気。今日も、一日が始まる。
俺は思う。こうして毎日を過ごす資格が俺にあるのだろうか?
生きている価値などあるのだろうか?答えは見つかりはしない。自問自答の日々
は、塀の中でも何年も続けてきたことだ。
俺は、台所に行き、薬缶に湯を沸かす準備をした。
ちょうど湯が沸く頃に、れいなが隣の部屋から起きてきた。
「おはよう」俺は頷き返した。
れいなの朝も早い。二人でとる朝食。俺にしてみれば、不思議な感覚だ。
こんな朝を迎えるようになり、2週間が経っていた。
「まだ2週間・・・もう2週間・・・」呟いていた。
「ん?何て?」
「いや・・・」
「へんなの。独り言が癖になったみたいだね」れいなが笑う。
れいなの自然な笑顔。一瞬、昔のれいなの仏頂面を思い出した。何気ない事で、
多くの時間が過ぎたことを感じる。
朝食が終わると、れいなは慌しく出かけていく。
「今日も遅いと思うから、夕飯は先にすませてて。じゃあ、行って来るね!」
軽く手を振り、部屋を飛び出していく。
俺は、玄関前の通路から、れいなの姿が見えなくなるまで眺める。
煙草に火をつけ、考える。今日をどうやって過ごそうか。職安にでも行ってみるか。
リハビリ期間は終わりだ。自分に声をかけた。
210 :bal澱al :04/05/02 02:18
>>209 続き
1LDKのアパート。れいなの家。俺はあの日から、そこで暮らしている。
住み込みの仕事があれば一番いいのだが・・・
れいなは、それを聞いたら怒るだろう。俺を迎えるため、それまでの住み込み
から、わざわざ部屋を借りてくれていたのだ。
ちょっと奮発しちゃった。嬉しそうに笑ったれいな。
けれど、俺の中には、どうしてもれいなの気持ちを受けてはいけない、という
思いがあった。感謝もしている。現に、れいなが迎えてくれなければ、今頃は
宿無し・金無しの身だ。いきつくとこは想像がつく。
でも、同じ世界に生きるわけにはいかない・・・そんな気持ちと現状の狭間で、
俺はモヤモヤしたままだった。
俺は、軽く頭をふって、職安へとむかった。
れいなは開店の準備に追われながらも、心が躍っていた。この2週間、今までと
違い、何もかもが幸せに感じられた。
ずっと、あの7年前の事件から、この日だけを待ち続けて生きてきた。いつか、
何かが報われると信じて、負けるなよ、その言葉だけを胸にがむしゃらに進んだ。
美容室の住み込みとして働いてきた。
事件の関係者ということがばれて、追い出されたこともある。
暗い・無愛想・うざい・ガキ・生意気・・・・・ありとあらゆる嫌がらせも先輩達
からされたし、散々苛められもした。耐えることには慣れていた。
幼い頃の傷に比べたら、何とも思わなかった。それに・・・いつか○○が出所した
時に、成長した自分を見せたい。そして、いつかのお礼をしたい。その思いがあっ
たから、苛めなど苦にならなかった。
211 :bal澱al :04/05/02 02:29
>>210 続き
感謝の気持ちが憧れになり、れいなにとっての初めての恋になるのには、そう
時間はかからなかった。
その日の為に、時間をおしんで働き、勉強した。一日でも早く、仕事を身につけ、
少しでも稼げるようになりたかった。
ようやくその努力が実を結び始めていた。初めて感じる本当の幸せ。
自然と、心が躍る。
「頑張らないと・・・ね・・・」
れいなは自分に言い聞かせた。
職安には、多くの人が仕事を求めて来ていた。急に、不安感が襲ってきた。
この俺を受け入れてくれる会社や仕事場などあるのだろうか・・・・・
しばらくはリハビリ期間だと思ってのんびりしないと。大丈夫。○○一人く
らい、私が食べさせてあげるから、ね!体をこの社会に馴染ませないと・・・・・
そんなれいなの言葉が頭に浮かんだ。
「ヒモじゃねーか・・・元受刑者のヒモ男・・・か・・・」
俺は、掲示板を端から見ていくことにした。
どうしても確かめなくてはならないこともある。これは願いでもあり、俺に
とっては、しなくてはならないけじめだ。
彼女の笑顔が浮かぶ・・・あの日のままの姿。今はきっと、すっかり女になって
いるだろう。笑顔は取り戻しただろうか・・・・・
「・・・・・愛・・・・・」やはり独り言が癖になったようだった・・・・・
>>206 Nさん、どもです!新作期待してますよー!
第二部見逃した人のために載せさせて貰いますた
15 :
名無し募集中。。。:04/05/02 21:50
乙
ノノハヽo∈
从 ´ ヮ`)< 新スれいな
17 :
名無し募集中。。。:04/05/02 23:03
18 :
名無し募集中。。。:04/05/02 23:04
>>14 神!!ありがちょ→
>>16 キャさんは何派とかあるの? れいにゃ一筋?
20 :
bal澱al:04/05/03 00:20
>>1 乙です! >第二部が貼ってあってびっくりしましたよ。
>>20 勝手に貼ってスマソ
でもこの名作は見逃すとかなり痛いと思いますて・・・
>>21 さん、とんでもないです。僕は前スレ落ちたら見方分からないので、
おかげで続きが書きやすいです。変な意味で書いたわけではないので、
気を悪くされないでください。 言葉が足らず失礼しました。
そう言って貰えると嬉しいです
続き頑張って下さい
>>13 続き「遠き明日」〜第二部〜
職安に通う毎日。朝一番に行き、片っ端から仕事を探す。
目ぼしいものがあれば、業種は問わない。とにかく、次々と電話をしてみる。
情けないことに、この公衆電話代もれいなに貰ってる金から出している。
携帯電話は持ってない。かける知人もいないし、かかってくる用件も無い。
だから必要ない。
仕事は、思うように見つからない。不況。いつの間にか、それが当たり前に
なっているようだ。こんな時にも、過ぎてしまった時間を感じる。
「・・・分かりました。はい、どうもすみませんでした」
電話の向こうの担当者は、早く電話をきりたがっているようだった。
俺は、電話ボックスをあとにした。
空を見上げる。暑さが、体に、心に染みこんで来る。
れいなは、髪をカットしながら、ふと思った。そうだ、○○の髪もカットして
あげよう。鋏を動かす手も、自然とリズミカルになる。
この7年耐えてきたことを苦労とは思わない。ただ、○○と暮らせたら、して
みたいこと、やりたいこと、沢山あった。些細なことだ。
一緒に買い物に行きたい。二人で食事したい。街を歩きたい・・・・・
どんなことでもよかった。○○にも、自分にも、同じ世代が当たり前のように
しているであろう事が、この7年、いや、ずっと昔から欠けていると思う。
贅沢はしなくていい。平凡な事を、一度でいいからしてみたい。
そんな事を思っていた。
「お客様、シャンプー入ります!」声にも、ハリが出た。そして、笑顔も自然
と出ていた。
>>24 続き
「れいな、最近きれいになったんじゃない?誰かいい人できた?」
店長から、店じまいの作業をしていると、そう声をかけられた。
「そんなのじゃないですよ〜」
「ほんとにー?あやしいなぁ。ま、プライベートだから立ち入らないでおくか。
昔みたく、睨まれたら怖いしな」店長は笑う。
れいなも、照れくさくて笑った。
こんな風に、他の人と接せるようになるとは思いもしなかった。
冬の寒さに耐え続け、ひたすら春の日を待ち続けた小さな花の蕾。
幸せ、という名の花の蕾。それが、ようやく花を開きかけていた。
この花を、枯れさせたらいけない。もしもその花が枯れてしまったら、きっと
わたしは・・・・・れいなは、そんな事を感じた。
「じゃあ、私はお先に」店長が言う。
「あ、はい、お疲れ様でした!!」れいなはお辞儀した。
「れいな、来月から、サブチーフになってもらうから。よろしく頼むわよ。じゃ、
おつかれ!」店長は、軽く手を上げ、帰っていった。
ほうきを持ったまま、れいなはしばらく立っていた。自分が、サブチーフ・・・
嬉しさがじわじわとこみ上げてくる。何かが、確実に少しずつ報われている。
「やった・・・やったやった・・・」
今日は、ケーキでも買って帰ろう。○○と一緒に、お祝いしたい。
れいなの心が弾んだ。
幸せの花・・・・・れいなは何度も呟きながら、ほうきをかけ続けた。
26 :
bal澱al:04/05/03 01:51
>>26 続き
夏が終わろうとしている。猛烈な暑さが続いた日々も、最近では、秋の匂いが
漂うようになってきていた。
相変わらず、職安に通う日々が続いている。
何度か面接までいった所もあった。けれど・・・・・
空白の7年間は、あまりにも大きな壁だった。そして、中には、俺が受刑者だ
ったということが分かると、玄関先に塩を撒いた会社もあった。そうだ、あそ
この会社は、ほとんど採用が決まりかけてたんだっけ・・・・・
だんだんと、居場所がなくなっていく気がしていた。そして、相変わらずの夢
に起こされる毎日。心のどこかが、少しずつ崩れていく感じがした。
もともと、7年前のあの日に壊れてしまってはいるのに、それでもなお壊れる
感じがした。
今日も何も見つからず、俺は公園のベンチに座り、なんとなく煙草をふかしていた。
れいなは、サブチーフになり、今まで以上に忙しくなった。そして、張り切っていた。
何かに燃えている人の輝きを見た気がした。それは素敵な輝きで、眩しいくらいで、
俺は、そんなれいなを見るのが嬉しかった。
でも、同時に、俺だけが世界の誰からも、何処からも、ただ一人、置いていかれた
気になったりもした。
親父さん、源さん、バトゥ、そして愛。次々と顔が浮かんでは消えていく。
皆、どこかでこの夏の終わりを感じているのだろうか?孤独に怯えてはいないだろ
うか?居場所を見つけてるんだろうか?俺は、そんなことを思いながら、日が落ち
ても、ベンチを動くことができなかった。そして、初秋の風を感じたんだ。
>>23 さん、ありがとうございます!
27 :
名無し募集中。。。:04/05/03 02:30
更新乙です
続き期待してます
7年経ったみんながどうなってるのか興味深々です
続きも頑張って下さいです
なんでこんな事になったのだろうか?
まあ、傍から見たらうらやましいのかもしれないが・・・
平凡な生活にどっぷりつかっていた俺にとって
それはあまりに突然であまりに現実離れしすぎていた。
ある夏の夜のこと
ピンポーン
たく誰だよこんなあちぃときに
「はいどちら様ぁ?て姉貴!?」
「ただいま○○!」
「どしたの?こんな時間に帰ってくるなんて。忙しいんじゃねぇの?」
俺の姉貴はあの有名なモーニング娘。のマネージャ−をやってるんでね。
「まあな。ちょっと○○に言っとくことがあってな。」
「は!?何、言っとくことって?」
「んとな。ほら一応あいさつして。」
と誰かに手招きしてる様子。そして二つの影が・・
「「こんばんは。どうぞよろしくお願いします。」」
なんとドアの横から出てきたのはモーニング娘。の
『高橋愛』と『田中れいな』だった!
「へっっっっ!?」
やっべ。芸能人初めて見た------!!!!ヤバイヨヤバイヨ!あした自慢しよっと!
じゃなくて「よろしくお願いします」って!?
「ど、どういう、こ、こと?」
「一緒に暮らすことになったから。」
ますます意味ワカンネ。
「まぁ、だからね・・・・・・・・」
姉貴の説明によると、高橋さんと田中さんはこれまで一緒に住んでいたらしい。
でもいつからか、無言電話や気持ちの悪い内容の手紙に悩まされるようになり、
そこで事務所に相談した結果
[信用できる人に預ける]
という頭悪そうな結論に達したようである。
そして選ばれたのが彼女たちのマネージャーである俺の姉貴らしい。
「ふ〜ん。で、俺にも一緒に住めと。(そしてあんな事やこん・・・・)」
やっべ!妄想膨らみすぎ。抑えろ!抑えるんだ○○!
ここで顔に出したらこれからの生活に支障をきたしてしまう!
抑えるんだ!抑え・・
「いや。お前は出てけ。」
「へっっっっっ!?」
「だから、○○は一人暮らししてくれ。」
・・・表情、抑える必要なくなっちゃった・・・・
「部屋はもう決まってるから。結構いいとこだよ。近所だし困ることもないだろ。」
…そうでっか。
「「すいません!」」
うっわぁ。すっごい申し訳なさそうな顔してるよぉ。
「大丈夫。大丈夫。そろそろ一人暮らししてみたいなぁって思ってたとこだから。」
必死な笑顔。・・・かっこ悪っ・・・はぁ
ま、気を取り直して、
「で、いつ出てけばいいわけ?」
「明日。」
また急な・・・グスン
「てことで、荷物まとめとけよ。じゃな。」
「「失礼しました。」」
バタン
姉貴のヒール、グラグラしてたな。まいっか。
これから俺の新しい生活がはじまっていく・・・・・
てなこと書いてみたりして
駄文で申し訳ないです。
ほ
36 :
名無し募集中。。。:04/05/03 10:18
愛れなあげ
37 :
名無し募集中。。。:04/05/03 12:14
38 :
名無し募集中。。。:04/05/03 12:18
39 :
名無し募集中。。。:04/05/03 13:47
保
>バルバルさん、
>>33さん
乙です。つづき待ってます!
41 :
名無し募集中。。。:04/05/03 17:07
42 :
名無し募集中。。。:04/05/03 18:35
43 :
bal澱al:04/05/03 18:36
>>26 続き
バトゥが目の前にいる。元気だったか?夢だった両親への家のプレゼントは叶ったか?
「アナタノセイネ。ゼンブアナタガワルイ!ボクノユメヲカエシテヨ!カエセ!」
俺にバトゥが唾を吐きかけた。返す言葉も無い。
源さんは何も言わない。ただ、俺を一瞥しただけで、去っていった。
源さん!お願いだ、何でもいい、何か言ってくれよ!
源さんは、気だるそうに手を振り、振り返ることも無く去った。
親父さん・・・俺は言葉が出ない。親父さんは、お前がみなの人生を踏みにじった。
そう呟いただけだった。頭を、鈍器で殴られたような感じだった。
愛が俺を見ている。愛、俺は・・・・・
私の人生を返してよ!私達の暮らしを返してよ!!あんたなんか、生きてる価値も
無いわ。・・・・・あんたが死ねばよかったのに・・・・・
愛の憎悪に満ちた視線が俺を貫いた。俺は、言葉も出ず、どうすることもできず、
ひたすら罵声をあび続けていた。ショックで、体が動かない。
愛が言った。一生あなたを許さないから・・・・・冷え切った氷のように冷たい
口調。俺の心を砕いた。・・・・・何かが散った・・・・・
そして、冷たく、重く、どこまでも暗い漆黒の闇が、俺の全身を包み込んでいった。
俺は、ただひたすら、その闇の中に堕ちていった・・・・・
>>27-28 >>40 皆さんどうもです。とりあえず1レス分。あとでまた更新させて
もらいます。
>>33 さん、乙です!できたら続き、ぜひ書いて下さい。
ほ
47 :
名無し募集中。。。:04/05/03 22:40
>>43 続き
激しく体が揺さぶられる。闇に堕ちる感覚。愛の声が響き渡る・・・・・
「うわぁぁぁぁぁっ!!!」飛び起きていた。呼吸が荒い。
「○○!?○○!?」眼の前にはれいなの心配そうな顔。いつもの見慣れた部屋。
「・・・くそっ・・・あぁっ!くそっ!!・・・・・」
「大丈夫?随分ひどくうなされてたから、心配で・・・」
「あぁ・・・悪かったな、起こしちゃって・・・ちょっと、風呂で汗流してくる」
俺は、重い体を起こし、風呂場に向かった。
れいなは、風呂場に向かう○○の後姿を見つめた。
最近、以前よりもひどくうなされる事が多くなったように思う。心配だった。
○○がリビング、れいなは隣の部屋で寝ている。その自分の所にまで、声は
聞こえてくる。
それよりも、今、れいなの心の中に一つの不安が残った。
「・・・愛・・・愛・・・」確かに、○○はそう呟いていた。夢の中で、苦しそうに。
○○の昔の気持ちには気づいていたが、もう過去のものだと思いたかった。
忘れられないのだろうか・・・・・今でも本当は愛のことが・・・・・
れいなの心に一つの影が差し込んだ。そんな影を振り払いたかった。
仕事が見つかって落ち着いたら、きっと変わる。新しい生活が本当に始まる筈。
その時こそ、自分の事を振り向いてくれるのではないか?いや、振り向かせて
みせる。
「頑張らないと・・・負けたら幸せは逃げちゃうもんね・・・」
れいなは、ゆっくりとカーテンを開けた。まだ、夜はあけていない。
>>48 続き
れいなの久々の休日。俺は、以前から頼みごとをしていた。
源さんの家に案内してもらう。
れいなに、源さんの事を聞いたとき、随分会ってないが、家は知っていると言われた。
あの事件の後、源さんがれいなの事を何かと気遣い、助けてくれたのだと聞いた。
せめて一言、謝りたかった。
「たしかこの近くなんだけど・・・」
れいなの後ろをついていく。れいなは、きょろきょろと周囲を見回している。
「あ、あそこ!あのアパートがそう。引っ越してはいない筈なんだけど・・・」
木造のかなりくたびれた感じのアパート。
昔は外見には似合わない小洒落た所に暮らしていたのだが・・・・・
アパートは二階建てで、源の家は一階の一番奥。表札を確かめる。
確かに、源さんの名前のプレートだ。
「ノックするよ、いい?」俺は頷き返した。
少しすると、中から返事が聞こえた。間違いなく、源さんの声だ。
一瞬にして、緊張や不安や、様々な感情が押し寄せた。
そんな俺の手を、れいながそっと握ってきた。
「大丈夫だよ・・・しっかり」れいなが小声で呟いた。
ゆっくりとドアが開く。そして・・・・・
かなり老け込んだが、源さんが出てきた。俺を見て、驚きの表情を隠せないでいる。
でも、俺も源さんの姿を見て、驚きを隠せなかった。
れいなも呆然としている。
「○○・・・・・」源さんの声が、ようやく耳に聞こえてきた。
50 :
bal澱al:04/05/03 23:48
>>49 続き
「・・・げ、源・・・さん・・・・・」
言いたい事、言わなければならない言葉は沢山あった。でも、胸がつかえてしまい、
言葉が口から出てこなかった。
俺は、ただその場で深々と頭を下げることしかできなかった。
「○○・・・よく辛抱したな・・・・・せっかく来てくれたんだ、上がってけや」
源さんは、部屋の中に俺達をうながした。
玄関にある車椅子。そして、家の中を杖を使って歩く源さん。
8畳くらいのワンルーム。小さな台所。たまっている食器や弁当の空箱。
部屋に吊るされた洗濯物。
「源さん、俺は・・・・・」
「○○、よく来てくれたな、れいなも。ふたりとも、よく耐えた。辛かったろ。
よく耐えた・・・・・あぁ、何も言うな。いいんだよ、○○」
源さんの声は、とても静かで、そして、温かく聞こえた。
「一年前に、現場で事故にあってな。このザマだ。左足が全く動かなくなっちまった。
おかげで仕事もできなくてな。まあ、会社から保険やら何やら、頂くもんはしっかり
頂戴したけどな」源さんは煙草に火をつけながら、豪快に笑った。昔と何ら変わらない
笑顔と笑い方だった。
「○○・・・れいなを幸せにしてやれ。それが男のけじめってやつよ。まあ、俺が言っても
説得力はねえけどな。でもな、お前のいない間、れいなは・・・・・」
「源さん、もういいから。それより、そんなことになってるなら、なんで一言・・・」
「へへっ、情けなくて言えるか、こんなこと。俺はもう老いぼれてくだけだ。お前らは明日
がある。二人で、しっかり明日を掴め。人は誰だって幸せになる権利がある」
源さんの笑顔。動かない左足。言葉。部屋の風景。横に座るれいなの姿。
何故か、涙がこぼれそうになり、俺は、相槌をうちつつ、必死にこらえてたんだ。
>>44 さん、
>>46 さん、どうもです!
保全
52 :
名無し募集中。。。:04/05/04 01:37
>>48-50 乙です。正直前フリが冗長では?とも感じたのですが
じわじわと生きてきてますねぇ。やっぱスゴい・・
愛ちゃんが楽しみです
続き期待保全