1 :
名無し募集中。。。:
2 :
名無し募集中。。。:04/04/21 22:17
5分放置
3 :
名無し募集中。。。:04/04/21 22:17
高橋と田中が同棲しているのか
4 :
名無し募集中。。。:04/04/21 22:18
奇
形
もう落とすなよ
寄
生
7 :
bal〆bal:04/04/21 23:15
続き書くか!と思いきや・・・落ちてた・・・
8 :
名無し募集中。。。:04/04/21 23:15
不細工矢口氏ね!
10 :
bal〆bal:04/04/21 23:42
さっき書き忘れた・・
>>1 スレ立て乙です!&新スレおめでとう!
11 :
名無し募集中。。。:04/04/22 00:41
やよ
12 :
名無し募集中。。。:04/04/22 02:44
ホッホホホホホ〜ホゼンだよ〜♪
>前スレ続き「遠き明日」
電気を消した真っ暗なままの部屋。
れいなは、部屋の隅に、壁にもたれて座っていた。
カーテンを閉めていても、外の花火の明かりが、少しだけ部屋に差し込む。
膝を抱えて、ジッと闇を見つめる。
しばらくすると、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
○○に体に触れられた時、とっさに叫んでしまった。
悪気はなかったが、反射的にそうしてしまった。謝らなくては。そう思った。
でも、どんな時も、本心とは別の言葉が口から出てしまう。
周りから見れば、ただの嫌な女にしか見えないだろう。
自分自身が一番それは分かっている。けれど・・・・・
あの日の出来事が、れいなの心を苦しめ、そして心を閉ざさせる。
今でも、はっきりと隅々まで覚えている。
忘れたいのに、日を追うごとに心に深く刻まれていく気がした。
「・・・お母さん・・・・・」
顔も覚えていないし、今何処にいるのか、生死さえ知らない母。
そんな母を想像して、その中で、料理をしたり、何処かへ出かけたり、そんな
空想の時間だけが、今のれいなを支えていた。
自分はこの先どうなるのだろう?何の為に生まれてきたのか?誰にも必要とさ
れる事など、多分この先無いのだろう・・・そんな事を思った。
「お母さん・・・・・」もう一度小さく呟いた。暗闇に答えは無かった。
ただ、涙がこぼれただけだった・・・・・
>>13 続き
花火の片づけを終え、源さんもバトゥも家路についた。
親父さんはすっかり酔って寝てしまっていた。
「風邪引くよ、お父さん」そう言いつつ、愛は毛布をかけている。
「楽しかったねー。きれいだったな、あの打ち上げの花火」
「ああ、そうだな」
「次は、海に行ったとき、またしようね!」
愛は楽しそうに微笑んでいる。
「もっとでっかいやつ、次はそれやろう」
「うん」
そこで、なんとなく会話が切れた。どこか気まずさと、恥ずかしさがあった。
愛も、どこか手持ち無沙汰な感じで、落ち着きがない。
「あ・・・俺さ・・・」
「ん?」
「いや、れいな!そう、れいなにちょっと謝ってくるわ。なんか、怒らせちゃった
みたいだったし。まあ、よく分かんないんだけどさ」
「・・・うん・・・あんまり気にしないほうがいいよ」
「あぁ・・・」
もっと、何かこういう時じゃないとできない話ってやつがあった気がする。
何かいいたげな愛をリビングに残し、俺は2階のれいなの部屋へと向かった。
15 :
bal〆bal:04/04/22 03:49
>>14 続き
ドアのノックの音で、れいなは我に返った。
寝たふりをしていようか。一瞬、そう思ったのだが、
「おーい、俺、○○。ちょっとだけいいかな?」
その声が聞こえ、慌てて涙を拭き、部屋の明かりをつけた。謝るには、ちょうど
良いタイミングかもしれない。自分からは、わざわざ行きずらかった。
ドアを開ける。
「あ、起こしちゃったか?ごめんな。あのさ・・・ちょっと話いいかな?」
れいなは頷き、部屋のベッドに座った。
「悪いな。ちょっと入らせてもらうな」
○○は、ドアのすぐ側に座り、部屋の中を眺めた。
「なんだ、さすが女の子だな。綺麗な部屋だな〜」
「・・・あの・・・用事は?・・・」
「あ、そうだ。悪い。いやさ、さっき怒らせちゃったみたいだったから、謝ろう
と思ってさ。別に、やらしいつもりで触ったわけじゃなくてさ。その、つい」
れいなにも、それはよく分かっていた。ただ・・・・・
「あの・・・私・・・ごめんなさい。大声だしたりして・・・」
「いや、全然。俺がびっくりさせちゃったから。・・あぁ、あんまいるのも悪い
から、もう帰るわ。ほんと、ごめんな」
れいなは、何か他に言わなくては、そう思ったが、何を言えばいいのか分からな
かった。
>>15 続き
「じゃあ、おやすみな」
○○はそう言うと、部屋から出ようとした。
「・・・・・あ・・・」
「ん?どした?」
れいなは、言葉が出ない。ふと思った。この人になら、自分の苦しみを話せる
かもしれない。受け止めてもらえるかもしれない。
いつも、他愛無い会話た、かけてくれる言葉の中に、優しさがあるのを感じて
いたからだ。
「れいな・・・・・あのさ、うまく言えないけど、もし何か辛いこととかさ、
悩んでるんだったら、一人で抱え込むなよな」
照れくさそうに、○○が笑っている。れいなは、その照れ笑いを見つめる。
「まあ、俺なんかには相談なんかしたくもないだろうけどさ。親父さんでも、
愛なんか歳も近いんだし。とにかくあれだよ、こうして一緒に暮らしてるの
も何かの縁だろ。いつでも気軽に声かけろよな」
○○は軽く片手をあげて去っていった。
れいなは、しばらくそのまま廊下を眺めていた。
人から、そんな優しい言葉をかけてもらったのは、いつが最後だったか。
勿論、親父さんにはとてもよくしてもらっている。でも、○○は全くの他人。
それなのに・・・・・人を信じなくなっているれいなの心。
○○の言葉が、頭の中を駆け巡っていた・・・・・
部屋の中に戻り、れいなはベッドの上で膝を抱えた。
閉ざした心の暗闇に、ほんの少し、明かりが差し込んだ瞬間だった。
17 :
名無し募集中。。。:04/04/22 08:11
ho
19 :
名無し募集中。。。:04/04/22 11:11
また落ちるぞ
21 :
名無し募集中。。。:04/04/22 14:11
22 :
名無し募集中。。。:04/04/22 14:32
_l ̄l○ 花火ミノガシテル…
>>1 復活乙です!油断してました…不死鳥のごとく甦る愛れなスレですね
〉バルバルさん
さっそく乙です!楽しく読まさせてもらってます
24 :
名無し募集中。。。:04/04/22 17:11
ほずん
26 :
名無し募集中。。。:04/04/22 20:42
そういえばカズンっていたなぁホゼム
27 :
名無し募集中。。。:04/04/22 21:48
28 :
名無し募集中。。。:04/04/22 22:43
29 :
名無し募集中。。。:04/04/22 22:43
おちるるるるrrrrr
カズンって従姉妹って意味だよな
愛れなみたいな従姉妹が欲しいな
>>16 続き「遠き明日」
愛は一人部屋で眠れぬ夜を過ごしていた。
今までは、もっと素直に、自然に○○と接することができた。
なのに、いつからか、どこかぎこちない自分に気がついていた。
もっと沢山話をしたり、もっと側にいたい。けれど、最近は○○の方も、
どこか自分と距離をおいている感じがしていた。
ため息が出た。
私の事、どんな存在に思ってるんだろう・・・・・
自分のこの気持ちは何なのか・・・・・
愛のもやもやした眠れぬ夜は続いた。
恒例の海旅行まで、もうすぐとなっていた。
皆、仕事にもよりいっそうの気合が入っていた。
俺は、あの花火の日以来、ほんの少しずつかもしれないが、れいなと話を
するようになっていた。
どうってことはない、ありきたりの会話だったが、少しずつれいなが変わ
ろうとしているのだ。それが大事だって思った。
源さんも、調子が狂ったようだが、時折、仕事をみてやったりもしている
ようだ。今までなら、ほっとけよ、の一言で半日潰れる騒ぎだったのだ。
夏と共に、何か良い流れが始まった気がしてたんだ。でも、そんなのは俺
の思い込みでしかなく、この日かかった一本の電話が、全ての終わりの始
まりだった。この時は、そんなこと夢にも思わなかった・・・・・
>>31 続き
その電話は、ちょうど昼飯の時にかかってきたんだ。
たまたま電話の側にいたバトゥがとったのだが、
「○○サン、チョットカワッテヨ。コノヒト、ナニカオコッテルヨ」
「誰?」
バトゥは首をかしげる。なんとなく、嫌な感じはしていた。
「お電話変わりました」
「社長さんは?」人をなめたような口ぶり。
「朝から外出しておりますが」
すぐさま舌打ちが聞こえ、
「帰ったら言っとけ。期日は過ぎてるぞってな!」
「あの、すいませ・・・・・」
切れていた。
最近、親父さんは朝から留守にすることが多くなった。戻るのも、たいてい
が深夜だ。どこか疲れた表情で、やつれた感じがしていた。
俺は、源さんの問いかけにもあいまいに答え、この事は親父さんにだけ話す
べきだって思った。
嫌な感じは、作業に戻ってからも消えることが無かった。
その日、親父さんは戻らず、次の日の夕方戻ってきた。
電話は、あの後はかかってこなかったが、不安だけが俺の中で増していた。
33 :
bal〆bal:04/04/23 00:43
>>32 続き
親父さんに電話の件を伝えると、そうか、とだけ呟き、再び親父さんは
何処かへ出かけてしまった。
夕食後、俺は部屋でラジオに耳を傾けながら、窓際で煙草を喫っていた。
ベッドと、小さなテレビと小さな机。そしてラジオ。この部屋にあるのは
そんなくらいだ。テレビもラジオも、自分で直して使えるようにした。
ガキの頃から住み慣れた部屋。お袋がいた頃の匂いは、今も染み付いてい
るって思ってる・・・・・
ノックがあり、愛が入ってきた。
「ごめんなさい、休んでるとこ。あの・・・」
「気にするなよ。どうした?」俺は、座るよううながした。
愛は座りながら、
「最近、お父さんの様子がおかしいし。それにね、黙ってたけど、家の方の
電話にも、変な電話がかかってくるの」
「なんて?」
「泥棒・・・とか、金返せ・・・とか」
愛の表情が曇り、その眼に何かが溢れてくる。
「気にするなよ、ただの性質の悪い悪戯だろ。親父さんも、忙しいんだよ。
この時期は稼ぎ時だしな」
話しながら、俺自身がひどく狼狽していることに気づいた。
愛が、すがるような眼を向けてくる。涙が溢れ出した・・・・・
俺は・・・彼女の微笑を守る為なら、何もかも犠牲にできるだろう。
愛には、いつも微笑んでいてほしい。この時、俺は、はっきりそう
思ったんだ。
>>23 さん、どもです!
一気読み&ホゼン。
やっぱいいなぁ。がんばれバルさん!
ho
37 :
名無し募集中。。。:04/04/23 08:10
38 :
名無し募集中。。。:04/04/23 09:10
39 :
名無し募集中。。。:04/04/23 10:10
40 :
名無し募集中。。。:04/04/23 11:10
41 :
名無し募集中。。。:04/04/23 12:10
42 :
名無し募集中。。。:04/04/23 13:10
43 :
名無し募集中。。。:04/04/23 14:10
44 :
名無し募集中。。。:04/04/23 15:10
>>33 続き
心配して涙する愛を部屋にかえし、俺は外を眺めながら、まとまらない考え
を、考え続けた。
「くそっ・・・」
呟くだけ空しくなるが、口をついて出ていた。
ベッドに大の字に横たわる。天井の染み。胸騒ぎはおさまりそうになかった。
翌日から、電話はエスカレートしていった。作業場、事務所、そして家。
ひっきりなしにかかってくる。親父さんに相談しようにも、姿がない。
怯える愛を学校まで送り届け、とにかく仕事をするしかなかった。
嫌な考えや推測だけが頭を支配していく。
源さんも、普段のおしゃべりが全く影を潜めている。
夕方、親父さんが戻ってきた。俺は事情を話し、親父さんの答えを待った。
「すまない・・・・・もう少しだけ耐えてくれ・・・」
それだけだった。会話が続かない。
「そんなに、苦しいんですか?」
源さんが口を開いた。親父さんは、答える代わりに、力なく笑った。
俺は、何も気づかなかった己を恥じた。情けなかった。こんな時に、俺にで
きる事は何も無い。どれだけ親父さんや、ここに救われたことか・・・・・
それなのに、あまりに俺は無力だった・・・・・
>>45 続き
「○○、れいな連れて、あそこの部品届けて来い」
「でも」
「いいから。とにかく行って来い。仕事は仕事だ」
「はい・・・」
源さんに言われ、俺はれいなを車に乗せ、工場を出た。
ここから先は、大人の話し合いということか・・・・・確かに、俺やれいな
がいても、何かできるわけではない。けれど・・・
車内に沈黙が流れる。こんな時、気の効く男なら、何か音楽でもかけるもの
なんだろうか。俺はとてもじゃないが、そんな気分じゃない。
「あの・・・」
「ん?どうした?」
「あ、ご・・・ごめん・・・」
苛立っていたせいか、口調が荒かったようだ。
「いや、悪い。どうした?気にせず言ってくれよ」
「あのさ、○○はずっとあそこで育ったの?」
「ああ、そうだよ。あー、源さんか?ったく、相変わらずお喋りだな」
別に隠すつもりも無いが、わざわざ話すことでもないって思ってた。
俺の母親は、まだほんのガキだった俺を連れ、住み込みで親父さんの工場
で働いていた。その母親が亡くなって、天涯孤独となった俺を、親父さんは
実の子のように育ててくれた。だから愛とも兄妹のように育った。
親父さんは高校にも行かせてくれようとしたが、俺は一日も早く働きたかった。
義理とか恩とかじゃないけど、少しでも早く働いて、親父さんを助けたかったし、
そうする事が一番だって思った。
47 :
名無し募集中。。。:04/04/23 16:00
保全
48 :
bal〆bal:04/04/23 16:23
>>46 続き
「・・・てなわけだ。ドラマみたく、そう素敵なストーリーとはいかないな。
残念だったか?」俺は煙草を咥えた。
「ごめん・・・」
「別に謝ることないって。俺は惨めだって思ったりしてないし、恥ずかしい
とも思っちゃいないし。な」
「・・うん・・」
「それより、れいなこそ寂しいんじゃないか?親父さんや、お袋さんに会いた
いんじゃないか?こんなとこに一人住み込みでさ」
れいなが足元を見ている。まずいこと言ったか?一瞬、焦った。
「わたし・・・親いないから・・・親戚中転々としてて・・・それで・・・」
れいなは必死に何かを伝えようとしていた。
「何処でも邪魔者で・・・いい子にしなくちゃって・・・でも、私がいつも
悪くて・・・ここはみんなが優しくて・・・でも、わたしはいつも反抗ばか
りで・・・ほんとは、そんなことしたくないのに・・・でも・・・」
源さんの言葉が頭に甦った。れいなは、傷を抱えている。きっと、俺なんかに
は想像もつかない毎日だったのだろう。たった一人で、周囲と戦いながら、れ
いなはれいななりに必死に生きてきたのだ。
「・・・わたしは・・・」
「もういいから、な。うまく言えないけどさ、ここにはお前を邪魔者扱いする
奴はいないし、ここがれいなの家だ。少しずつ、笑っていけるようにしなよ。
そうすりゃさ、幸せな明日ってのが、むこうの方からこっちに来るさ」
れいなが俺を見つめていた。ほんの少し、れいなの微笑みを見た気がした。
でも、れいなの本当の傷を、俺はまだ知らなかったんだ・・・・・
>>35 さん、ありがとうございます! >Nさん、どもです!ネタは浮かんで
じわじわいきますw きましたか?
50 :
名無し募集中。。。:04/04/23 17:26
51 :
名無し募集中。。。:04/04/23 18:27
52 :
名無し募集中。。。:04/04/23 20:27
53 :
名無し募集中。。。:04/04/23 21:28
54 :
名無し募集中。。。:04/04/23 22:29
55 :
名無し募集中。。。:04/04/23 23:29
↑はっ!自動ホゼン装置かっ!
バルバルさん乙です。いい感じですよー
58 :
名無し募集中。。。:04/04/24 00:49
田中ヲタうざい
60 :
名無し募集中。。。:04/04/24 01:46
ホゼン
61 :
名無し募集中。。。:04/04/24 02:47
ノノノノo∈
川川从 )ホジェンタイ
(⊃⊂ ) γ⌒ヽ、
| ,つ☆ Y⌒ 目
∪´
グッドモーニング保全
64 :
名無し募集中。。。:04/04/24 10:14
65 :
名無し募集中。。。:04/04/24 11:32
保全でっす
ほ
また落ちるぞ
69 :
名無し募集中。。。:04/04/24 18:17
今晩乗り切れるだろうか…
71 :
名無し募集中。。。:04/04/24 20:11
72 :
名無し募集中。。。:04/04/24 21:11
73 :
名無し募集中。。。:04/04/24 22:11
74 :
名無し募集中。。。:04/04/24 23:11
75 :
名無し募集中。。。:04/04/25 00:11
76 :
名無し募集中。。。:04/04/25 00:50
ホゼン
77 :
名無し募集中。。。:04/04/25 02:23
おやすみ保守あげ
ほごん
ho
80 :
名無し募集中。。。:04/04/25 12:00
81 :
名無し募集中。。。:04/04/25 13:00
82 :
名無し募集中。。。:04/04/25 14:31
ho
83 :
名無し募集中。。。:04/04/25 15:32
84 :
名無し募集中。。。:04/04/25 16:32
85 :
名無し募集中。。。:04/04/25 17:32
86 :
名無し募集中。。。 :04/04/25 18:20
ノノハヽo∈
从 ´ ヮ`)<誰かネタ書いてくれたい!!
87 :
名無し募集中。。。:04/04/25 18:49
从*・ 。.・)ノ<さゆを主役にするべきなの
88 :
名無し募集中。。。:04/04/25 19:04
この調子だと時間の問題で落ちるな
89 :
名無し募集中。。。:04/04/25 20:05
待てば海路の日和ありですかな
91 :
bal〆bal:04/04/25 21:12
ようやく仕事がひとつ終わったー&age
>>57 さん、どうもです!
92 :
名無し募集中。。。:04/04/25 21:16
多少ブサイクでも、一緒に居てホントにつまんなそうな高橋よりは田中の方がいい
二人ゴトの愛ちゃんの事かぁぁぁぁぁ
94 :
名無し募集中。。。:04/04/25 22:56
95 :
名無し募集中。。。:04/04/25 23:57
96 :
名無し募集中。。。:04/04/26 00:42
ほ
>>48 続き「遠き明日」
配達を終え、工場に戻ったのは、かなり遅くなってからだった。
俺達が戻るのと、源さんが帰ろうとしているのが、同時だった。
源さんは、俺の肩を軽く叩くと、何も言わず帰っていった。
エスカレートしていく嫌がらせ。工場のシャッターには、夜中のうちに
罵詈雑言が書かれた張り紙が多々あった。そして、ぶちまけられたペンキ。
夜中もやまない電話。そして・・・
愛が登校拒否をおこした。学校の前に立っているガラの悪い男達。誰彼かま
わず、愛の家は借りた金を返さないと吹き込む。昨日まで親しくしていたク
ラスメイトが、突然避けるようになる・・・・・
「行きたくない・・・お腹が痛いから今日は休ませて・・・」
ドアの向こうから、愛のか細い声が聞こえた。俺は、それ以上何かを聞く事
ができなかった。
れいながちょうど通りかかった。
「なあ、ちょうど良かった。愛の様子、見てくれないか?ほら、俺が中に入
るのもなんだし」
「・・・嫌・・・関係ないし・・・」そう言うと、さっさと下に降りてしま
った。どうにもならねーな・・・思わず呟いた。
出勤してきたバトゥが顔を腫らしていた。聞くと、途中、知らない男達に殴
られたようだ。今までの暮らしが確実に、音をたてて崩れ始めていた。その
音を、確かに俺は聞いていた。
>>97 続き
「れいな!ちょっとバトゥの顔みてやれや!」源さんの声が響く。
「薬箱はそこの棚にあるから!」俺はそう言うと、源さんにうながされ、事務所
の方に行った。
「○○よ、どうやらにっちもさっちもいかねぇみたいだ」
「どれくらいの借金なの?」
源さんが指を一本立てた。
「一千万!?」気が遠くなりそうだった。
「いや・・・」
「えっ!?」
「一億・・・ちょっと欠けるくらいみてえだ」
「ばかな!?」
どうやら、親戚の甥の保証人になっていたようだ。そして、その甥は借金だけ残し
て失踪。よくある話に聞こえるが、いざとなると現実感が湧かない。
親父さんは連日、あちこち金策に走り回っているらしい。
しかし、この状況を考えると、まともな筋の借金ではないようだ。
部屋に篭っている愛の事が頭に浮かんだ。昨日、泣きながら帰宅して、話を聞くの
に一苦労だった。愛は、すっかり怯えていた。
「とりあえずよ、今できるのは、きっちり納品することだけだ。俺達には、どうし
ようもねえ額だ」力無く源さんが笑った。
99 :
名無し募集中。。。:04/04/26 00:57
100 :
bal〆bal:04/04/26 01:04
>>98 続き
作業場に戻ると、バトゥが自分で顔にガーゼを貼っていた。
「あれ、なんで自分でやってんの?れいなは?」
バトゥが作業場の隅を指差した。
れいなが、小さくうずくまっていた。
「ボクハナニモシテナイネ。レイナサン、イキナリオビエタヨ。ダカラ、ボク、ジブンデヤッタヨ」
れいなの側に行き、声をかけた。
「おい、どうしたんだ?」
「・・・・・・・・」
「えっ?」
「・・・ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・」
ガタガタと震え、ただひたすら繰り返している。
「おい、しっかりしろ!どうした!?」
れいなの体を揺さぶり、声をかけた。少しして、れいなが我に返ったようだった。
「大丈夫か?しっかりしろよ」
「・・・・・あ・・・うぅ・・・」
いきなり、れいなが泣き崩れた。
「お、おい・・・」
「一人にして・・・お願いだから、ほっといて!」
そう言うと、れいなは走って作業場を出て行った。
源さんとバトゥも呆然としている。
一つ歯車が狂うと、意外と人生なんて脆いもので、あっさりと全てが狂い始める
ものなのかもしれない。・・・この短い間に、舌打ちが多くなった気がした。
101 :
名無し募集中。。。:04/04/26 01:05
ほぜん
102 :
名無し募集中。。。:04/04/26 01:32
ノノノノo∈
川川从 )ホジェンタイ
(⊃⊂ ) γ⌒ヽ、
| ,つ☆ Y⌒ 目
∪´
103 :
bal〆bal:04/04/26 01:37
>>100 続き
愛は頭から布団を被り、ベッドの中で体を小さくしていた。
この短い間に、自分の生活がすっかり変わってしまった事を思い返していた。
今までは、特別裕福というわけではないが、不自由なく楽しい毎日を過ごして
いた。母親はいないけど、優しい父に、兄のような○○。今では、兄に対する
感情以上に、何か別の感情を抱いていた。
源さんも大好きだった。バトゥも。れいなは、自分を嫌っているようだったが、
いつか仲良くなれると思っていたし、そうしたかった。
全てが、あの日の電話から変わり始めていた。
疲れきった父の姿。恐ろしい電話。そして学校にまで来た恐ろしい人たち。
昨日まで楽しく話をしていた友人達も、あっという間に自分を避けるように
なった。クラスの中でも、学校の中でも、自分はそこにいないようになって
しまった。
メールを送れば、すぐに返してくれた友人達。愛の携帯は、音の鳴らないた
だの機械になってしまった。
寂しさと、怖さと、様々な感情が一気に愛を襲った。
いくら流しても、涙が枯れることはなかった。
自分は一体どうなってしまうのだろう・・・・・考えるほどに、頭の中に浮
かぶイメージは悪くなっていくばかりだった。
「お父さん・・・・・○○さん・・・・・」
嗚咽が口から漏れた。愛は、よりいっそう体を小さく丸めた。
部屋には、愛の嗚咽だけが聞こえていた。
バルバルさん、乙でする。
動き始めましたね。これからどうなるのか全く読めませんw
つづき期待してます
ho
106 :
名無し募集中。。。:04/04/26 07:23
107 :
名無し募集中。。。:04/04/26 10:23
保守
ほでん
110 :
名無し募集中。。。:04/04/26 18:03
111 :
名無し募集中。。。:04/04/26 19:04
112 :
名無し募集中。。。:04/04/26 20:04
113 :
名無し募集中。。。:04/04/26 21:04
ほげん
仕事忙しくて新ネタうpできない…
116 :
名無し募集中。。。:04/04/27 00:17
ho
117 :
名無し募集中。。。:04/04/27 00:47
GW前はどこも忙しいよage
ほっほほほほ〜明日も仕事だよ〜♪
>>103 続き
れいなは、工場から少し離れた土手に来ていた。
昔から、独りにはなれていた。公園・神社の境内・裏山。場所は違えど、よく
こうして時間が過ぎるのを待っていた。
だから、幼い頃から空想の中では本当の自分を出せる気がしていた。
源さんに言われ、飛び出したれいなを探していた。行けるとこなど、たかがし
れてるだろう。しばらくあちこちを歩き回ると、土手にたたずむれいなを見つ
けた。どこか、寂しげな後姿だった。
「よう」そう言って隣に腰を下ろすと、いたずらを見つかった子供のような表
情をれいなが浮かべた。
しばらく、何も言わず黙っていた。煙草の煙の行方を眼で追う。
夏の空は、今工場で起きてる事など忘れそうなほどに、澄んだ青空だった。
「・・・勝手に飛び出して・・・ごめんなさい・・・」
「気にすんな」俺は土手に横になった。陽の光が心地よい。
それっきり、れいなは再び黙ってしまった。
突然怒り出したり、時には驚くほど素直だったり・・・感情の起伏が激しい
とは思う。ただ、どんな時も、消しようのない暗さ、みたいなものがある気
がしていた。何か理由があるのか・・・・・
「あのさ、今、工場は大変な時さ。考えたくもないけど、明日には潰れちま
うかもしれない。どうすっかな?俺なんか、ガキの頃からあそこで暮らして
んのにさ。行き場所なんてないしな」なんとなく、口をついて出ていた。
膝を抱えて座るれいなは、黙って俺の話を聞いていた。
>>119 続き
俺自身、実はどうしようもなく不安だった。もし工場が無くなったら?もし、
親父さんや愛とこれっきりになってしまったら?悪いほうばかり考えてしまう。
愛の前では、こんな事言えたもんじゃない。
れいなの姿を見ていたら、なんとなく口に出していた。どこかに、聞いてもら
えるかも・・・という気持ちがあったのかもしれない。情けない話だが・・・
「私も・・・もう行くとこないよ」
れいながボソボソと喋り始めた。
「もう、親戚のとこに帰るのは死んでも嫌・・・最悪の時は、また住み込みで
働けるとこ探す・・・絶対、親戚のとこには帰らない・・・一人で生きてく」
こんな歳の娘が、かたくなにそう決意するには、何か相当なものがあるのだろう。
「そうか・・・そうだな。最後まで頑張るか!な。明日を信じて!ってやつか。な
んかの映画の台詞だったかなー・・・」
俺はそう言って起き上がった。
「愛ともさ、仲良くしてやってくれよ。こんな時だからこそ、力合わせてさ」
「・・・嫌いなのよ、ああいう奴。甘ったれて育って・・・悪い人なんかいません、
みたいに振舞って、それに・・・私の事、可愛そうな子って感じで接してきて。親父
さんには感謝してるけど、あいつには、余計なお世話!」
「あのなぁ・・・」苦笑した。
「好きなんでしょ?あいつのこと。だから、そういうこと言うんでしょ?」
「れいな、お前なぁ・・・愛は妹と同じなんだよ。ただ、歳も近いんだし、同じ家で
暮らしてんだから、仲良くしたらいいなーってさ」れいなの表情が怖い・・・
121 :
bal〆bal:04/04/27 03:43
>>120 続き
「ま、まあさ、とにかくあれだ。一度ゆっくり話してみろよ、な」
何を焦っているんだ俺は・・・呂律がまわっていない。
「行こうぜ、な」
この時も、特に意識したわけでなく、なんとなくれいなの肩を軽く叩いた。
よく、友達同士がふざけあったりする、あの感覚と同じようなもんだった。
「さ、触らないで!・・・ゆ、許してよ!」
れいながひどく取り乱し始めた。やっちまった!と思ったが、同時に、何故
なんだ?と思ったし、どこか腹立たしくも思った。
れいなは座り込み、身を縮めている。
「悪かった。そんな変なつもりじゃないんだよ」
れいなは、ぶつぶつと何か言っている。ごめんなさい、そう言っているようだ。
「あのさ、どうしちゃったんだよ!?そんなに俺が不愉快か!?言ってくれよ」
答えは無い。れいなにあたってもしかたないのに、何故か声が荒くなった。
「先に帰るから。勝手にしてくれ」ここしばらくの苛々が、こんな形で出てしま
った。すぐに自分自身に腹が立ってきた。
「・・・○○・・・ごめんなさい・・・」
れいなの涙声が背中から聞こえた。振り返る。れいながこっちを見ている。泣い
ていた。思わず、うろたえてしまった。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」何度も繰り返すれいな。
「あの、俺・・・悪かった。れいなにあたっちまった。ホントにすまない。情け
ないよ・・・・・悪かった」
れいなの側に戻り、もう一度謝った。そして、しばらくの無言の間の後、れいな
が口を開いた。俺は、その時の事を、今もはっきり覚えている。
>>104 さん、ありがとございます!もうちょっとで、あれこれ種が撒き終わる
感じです。
>GWなんか嫌いだ!w 勿論仕事だー・・・
ほっほほほほ〜って、なんか好き、それw
リアルタイム更新来たー
良い感じですよ
124 :
名無し募集中。。。:04/04/27 07:41
125 :
名無し募集中。。。:04/04/27 09:13
126 :
名無し募集中。。。:04/04/27 12:13
128 :
名無し募集中。。。:04/04/27 15:28
129 :
名無し募集中。。。:04/04/27 18:28
130 :
名無し募集中。。。:04/04/27 19:28
131 :
名無し募集中。。。:04/04/27 20:28
132 :
名無し募集中。。。:04/04/27 21:28
>>121 続き
すすり泣くれいなと、工場に戻る道を歩いていた。
すっかり陽も暮れて、夕焼けの空が広がっていた。
そんな美しい夕焼けの空とは反対に、俺の心の中はすっかりドス黒くなってし
まっていた。
やり場の無い怒りや、腹立たしさや、悔しさや・・・・・
俺でさえこんな気分になるというのに、当のれいなが今までどんな思いで、そ
れらを抱えて生きてきたのかを思うと、余計に胸を切り裂かれる感じだった。
向こう側から、大学生くらいの男と、女子高生のカップルが腕を組み、ベタベタ
と寄り添いながら歩いてくる。
俺とれいなも、学校というやつに通ってれば、ちょうどそんなくらいか。
女子高生のほうが、すすり泣くれいなを見て、彼氏の方に何かを小声で呟き、二
人で、大きな声をあげて笑った。
まるで自分達は勝ち組。俺達は負け組みというような、見下した嫌な笑いだった。
すれ違ってしばらくしてから、猛烈に怒りがこみ上げてきた。
俺や、れいなが、何に負けたというのだろうか・・・俺達は、人生の階段を踏み外
したとでもいうのか・・・・・
ただ、自分なりの幸せを探して、必死に生きてきただけだ。
追いかけようかと思い、一瞬立ち止まると、れいなが無言で俺の手を握ってきた。
信じられなかったが、その小さな手は、しっかりと俺の手を握っていた。
俺は、その手を、れいなのその気持ちを強く握り返した。
夕焼けの下、再び歩き始めた。そこに言葉は無かった・・・・・
>>133 続き
れいなは、幼くして親戚の家に預けられた。両親は、れいなを残して東京に
働きに出たが、いつしか行方知れずとなっていた。
必ず帰ってくるから、良い子にしてて・・・そう言って微笑んだ親の言葉を
ひたすら信じていた。
けれど、その約束は、いつしか果たされないものだと、誰に言われるでもな
く、理解した。
無駄口を叩かず、言われたことは何でもこなし、ひたすら自分を押し殺して
良い子でいた。親戚の家の中の厄介者であるのは、幼いれいなにも感じられた。
親戚の家も、裕福な家ではなかった。むしろ、貧しい家だった。それに、子供
が4人もいた。
余計なもんおしつけやがって、あのバカ夫婦が・・・叔父の口癖だった。
悲劇は、12歳の時に起きた。
酒乱気味の叔父は、その日も昼から家で一人酒に溺れていた。れいなは、たま
たま風邪をこじらせ、学校を休んで家で寝ていた。
甦る悪夢の記憶・・・・・静かに開くドア。酒臭い叔父の息が顔にかかる。
こうでもしてもらわねえと、おめーは他には何も役にたたねえからな。
のしかかる叔父の重さ。恐怖。塞がれる唇。声も出なかった。吐きそうだった。
抵抗するれいなの頬を打つ平手。叔父の手がパジャマを引き裂いた・・・・・
そして、経験したことの無い痛みが、体を貫いた・・・・・
また可愛がってやるからな・・・その言葉だけがれいなの耳に残った。
地獄が始まった・・・・・
>>134 続き
叔父は、頻繁にれいなを求めた。拒むと、ひどく殴られた。
叔母も気づいたようだったが、救いの手は差し伸べられなかった。
そんな一年が過ぎ、叔父の家の家計のさらなる圧迫と共に、れいなは別の
親戚の家に引き渡された。
それまでのことなど、何も無かったかのように。
あの悪夢以来、れいなは心を閉ざした。そうしないと、自分は生きていけない
気がした。
よほどのことがないかぎり、自分から誰かに話しかける事もしなかった。
そんなれいなを、どの親戚もうとましがった。
だから、すぐに別の家に渡される。その繰り返しだった。
どうでもよかった。働ける歳になりさえすれば・・・それだけを思い生きた。
いつからか、感情をコントロールできなくなった。でも、そんな事も、もう
どうでもよかった。
そして、義務教育が終わり、今の親父さんの所に引き取られることになった。
この事を話したのは、○○が初めてだった。
そして、れいなは、自分の為に泣いてくれた人をはじめて見た。信じられなかった。
同時に、味わったことの無い感情が、心の奥底から湧き上がるのを感じていた。
もういいよ、もう大丈夫だ。そう言って抱きしめられた時、これで自分の人生にも
少しは救いというものがあるという事を知った。男に触れられる恐怖感は、何故か
湧かなかった。安らぎが、そこには確かにあった。その安らぎに、つかの間、れい
なは身を任せた。
136 :
bal〆bal:04/04/27 22:12
>>123 >>127 さん、どうもです! 話の種まきは、ほぼ終了です。そろそろ
芽が出ます・・・出したい・・・出るかな?w
137 :
名無し募集中。。。:04/04/27 23:12
がんばれバルさん!
すげえおもしろいぞぉぉぉぉ!
139 :
名無し募集中。。。:04/04/28 00:55
その辺の小説よりおもしろいな
続きがんがって!
141 :
名無し募集中。。。:04/04/28 01:05
まじで、すんげぇおもしろい!!
バルさんがんばって!!
>>135 続き「遠き明日」
愛の頭の中に、電話のベル、友人達の冷たい視線、父の疲れきった姿。それら
が絶え間無しに浮かんでは消え、また浮かんでいった。
「助けて・・・」
言ってはみたものの、どこにも答えなんて無かった。
友人達が自分を指差して笑っている。その笑い声がどんどん大きくなる。
「やめて・・・お願いだからやめて・・・」
自分を取り囲み、友人達は、さらに大きな声で笑い続ける。
「・・・やめてー!!!・・・」
自分の叫び声で、愛は目を覚ました。
汗で全身が濡れている。呼吸が荒い。また涙が流れてくる。
どうしてこんなことになってしまったのか・・・このままでは気が狂いそうだ。
今までの、平凡でも幸せだった暮らしに戻りたい。
誰にも怯えることなく、堂々と生きていられる生活に戻りたい。
心の底からそう思った。
「・・・・・怖いよ・・・」
愛は再び頭から布団を被った。もう、眠りは訪れてくれそうになかった。
眠りの中にだけ、今は安らぎがあると思いたかった。
朝日が、愛の部屋の窓から差し込んできた。
俺は、一睡もできなかった。れいなの事、今の工場の事。頭がパンクしそうだ。
カーテンを開けると、すっかり夏の朝が始まっていた。
窓を開ける。熱気が、一気に部屋の中に立ち込める。
隣の部屋にいる愛も、れいなも、そして親父さんも、この朝日を見ているだろうか?
今、何を思っているのだろう・・・・・
この夏が始まって、一番の暑さとなりそうだ。
そして、崩壊の日が始まったんだ・・・・・うだるような暑い夏の日。
澄んだ空が何故か不愉快で、俺は空を睨みつけた。
崩壊の日・・・・・そう、もうすぐ全てが終わろうとしていた。
>>142 続き
その日は、朝から皆がくたびれきっていた。朝食の席に会話は無い。
親父さんが席を立つ時、××さんのとこに、昼までに納品しといてくれ。
そう言ったのが唯一の会話だった。
愛は、すっかり笑うこともなくなり、自分の殻に閉じこもっていた。そんな
愛を見るのが、たまらなく辛かった。どんな時も明るく元気な愛だったのに。
れいなは、いつもと変わりは無い感じだが、どこか少し吹っ切れた感じがした。
部屋を出たときに出くわしたら、おはよう、そう小さな声をかけてきた。
嬉しかった。そんな事がたまらなく嬉しかった。
だが、重く暗い空気が、この家を包んでいた。
俺は、始業時間になり、源さん達に挨拶をすますと、車に部品を積み込み、
納品に向かおうとした。
運転席のドアを開けようとした時、全身を嫌な感覚が貫いた。
「どうした?○○」源さんが聞いてくる。
「いや・・・なんでもないよ・・・」
何かは分からないし、分かるはずもない。でも、その感覚は、とても嫌なもの
だったし、正直なとこ、恐ろしかった。
ゆっくりと大きく深呼吸した。
作業場に座っている愛を見た。部屋に一人でいるのが怖いというのだ。
愛も俺を見ていた。
何故か、この時、愛がずっと遠くにいる気がした。どこか違う世界に俺自身が
放り出された気がした。
そんな思いを振り払いたくて、俺は車に飛び乗った。
144 :
bal〆bal:04/04/28 02:09
>>143 続き
納品に向かう車中も、納品の確認作業に立ち会っている時も、ずっと嫌な
感覚は付きまとっていた。
そして、見るもの全て、納品先の人と話している時も、俺だけが違う世界
にいる気がして、たまらなく不安だった。
こんな感覚、今まで経験したことが無い。
全てが遠く、そして白く感じた。
俺はどうなってしまったんだろう・・・・・
納品を終え、コンビニの駐車場に車を停め、買ってきた缶コーヒーを飲み
ながら、煙草に火をつけた。指が震えていた。
眼を閉じる。今俺がこんな状態では、親父さんも、愛も、何も守ることも
できないし、何の役にも立たない。
とりえなんか無いけど、俺にだって守りたい物や、守りたい大切な人がいる。
失いたくない。強く思った。
大切な人を失うくらいなら、俺自身が壊れるほうがいい。昔読んだハードボイ
ルド小説の台詞みたいだ。普通なら笑っちまうけど、この時の俺は、本気でそ
う思ってたんだ。
眼を開けて、エンジンをかける。
車を発進させる時、不意に、母の顔が浮かんだ。その顔は悲しげで、でも、俺
は身近に感じることができた。そして、愛の顔を思い浮かべた。
けれど愛は、悲しいほどに遠かったんだ・・・・・
>>140-141 >N 皆さん、ありがとうございますです!頑張って書いていきます!
145 :
名無し募集中。。。:04/04/28 07:48
146 :
名無し募集中。。。:04/04/28 10:48
147 :
名無し募集中。。。:04/04/28 13:10
ほ
ほずぬ
150 :
名無し募集中。。。:04/04/28 19:14
151 :
名無し募集中。。。:04/04/28 20:43
152 :
名無し募集中。。。:04/04/28 21:43
保全
あのエロ小説キボン
154 :
名無し募集中。。。:04/04/28 22:58
155 :
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156 :
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ho
ぜ
158 :
名無し募集中。。。:04/04/29 04:04
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川*’ー’)<ん。
161 :
名無し募集中。。。:04/04/29 11:42
162 :
名無し募集中。。。:04/04/29 13:42
163 :
名無し募集中。。。:04/04/29 14:46
164 :
名無し募集中。。。:04/04/29 16:46
ほ
166 :
名無し募集中。。。:04/04/29 20:04
ほ
167 :
名無し募集中。。。:04/04/29 21:10
168 :
名無し募集中。。。:04/04/29 22:13
169 :
名無し募集中。。。:04/04/29 23:13
170 :
名無し募集中。。。:04/04/30 00:13
171 :
名無し募集中。。。:04/04/30 01:29
172 :
名無し募集中。。。:04/04/30 01:39
ぜ
173 :
名無し募集中。。。:04/04/30 03:05
Ze
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ほ
176 :
名無し募集中。。。:04/04/30 11:37
177 :
名無し募集中。。。:04/04/30 13:38
178 :
名無し募集中。。。:04/04/30 15:38
179 :
名無し募集中。。。:04/04/30 17:38
182 :
名無し募集中。。。:04/04/30 21:02
バルバルさんがんばって
183 :
名無し募集中。。。:04/04/30 22:02
ひょじぇむ&GW終わったら書きます。
>>144 続き
工場の前に、見たことも無い車が横付けされていた。
その車の雰囲気から、嫌な予感が強まった。俺は、急いで工場の中に入った。
眼に飛び込んできた光景。鼻血を出して倒れている源さんと、その横にいる
バトゥ。そして、隅に立っているれいな。そして・・・・・
俺と同じくらいの若い男に頭を踏みつけられている、土下座をした親父さん。
その側には、年輩の男と、少し若い男。
親父さんはただ、勘弁してください・・・そう繰り返している。
愛の姿を眼で探した・・・・・事務所と作業場の合間の所で、呆然と親父さん
の姿を眺めている。
俺は、一番見たくなかったものを見てしまった気がした。親父さんは、俺の父
であり、仕事の師であり、恩人だった。いつもどっしりしていて、俺はいつも
心の中で親父さんに何かしら頼ってきた。
その人のそんな姿は見たくなかった・・・しかたないといっても、あまりに惨
めだった。
若造が、親父さんの頭に唾を吐きかけた。
「保証したもんは、返すのが人の道理でしょ・・・ねえ」
年輩の男が、下卑た笑いを浮かべながら言う。
「もう少し・・・もう少しだけ・・・」親父さんが床に頭をついたまま言う。
若造の蹴りが親父さんの背中に入る。
「お父さん!!」愛が駆け寄った。
「こんな娘さんがいるなら、どうです?親孝行させたら。意味は分かりますよね?」
男達がいやらしく笑う。
>>185 続き
「さて、どうするか決めてもらいますよ、今日は」
若造が、年輩の咥えた煙草に火をつける。
「この娘さんなら、いろいろ使い道はありますよ。ね、借金もチャラにして、
娘さんの稼ぎでもう一旗あげたらどうです?」
「てめえら!」源さんが掴みかかろうとしたが、若造ともう一人に軽くいなされた。
れいなと視線が合った。俺は、どうしたらいいのか分からなかった。情けないこと
に、足も震えていた。でも・・・状況は痛いくらいに理解してた。あいつらの言う
意味も分かってた。現実感てやつが湧かなかった。
「・・・わたし・・・お父さんの為なら、何でもしますから。もう、誰も苛めない
で下さい。お願いします」
愛が立ち上がって言った。
「ほーう、これは感心な娘さんだ。なら話は早い」
「愛!!貴様ら、娘はまだ高校生だ!」
「今はね、若い娘さんに需要があるんですよ。だから我々も供給する。まあ、これ
で解決ですから、めでたいじゃないですか。良い娘さんをお持ちで」
男の笑い声が耳を突き刺す。心を突き刺す。
愛が、真っ青な顔をしている。そして遠い・・・見慣れた作業場が遠い。空気が重い。
心の中、そして俺自身の何かが壊れる音を聞いた。確かに聞いた。
れいなと再び眼が合った。頑張れよ、負けるなよ。呟いた、心の中で。愛と眼が合った。
幸せになれよ・・・好きだった・・・ホントに好きだった・・・心で呟いた。
俺の手は、あまりにも自然に、近くにあったスパナを握っていた。
>>186 続き
床を蹴った。自然と声が出た。何もかもがスローモーションに見えた。
年輩の男の顔が引きつる。誰かの叫び声が聞こえた。源さんか、親父さんか。
手に、強烈な感触があった。顔に、生暖かいものが飛んできた。
ゆっくりと崩れる男。赤すぎる血。
何もかもが遠くなった。昨日も、明日も、今という時間も、すべてが遠くに
いってしまった。
白い空気に包まれた・・・・・・・
俺は飛び起きた。またいつもの夢だ・・・体中が汗にまみれている。
朝日を感じた。外は晴れているようだ。この何年もの間、ほとんどの朝をこの
夢で目覚めてきた。俺は両手を見る。・・・人を殺めたこの手を・・・・・
あの時、俺の固まった手からスパナをとってくれたのは、れいなだった。
誰も何も言わなかった。俺も何も言えなかった。あまり、その後は覚えていない。
両手にかけられた手錠の冷たさと、パトカーが走り出したとき、愛が追いかけて
来てくれたのは覚えてる。そうだ、途中で転んだんだ。怪我はしなかったろうか?
みんなどうしているだろうか?今では、すっかり住む世界、生きる世界が違ってし
まった。俺の明日は、どこか遠くにいってしまった・・・でも、後悔はない。
あるのは、愛の笑顔が戻ったかどうか、その心配と、反省だけだ。
看守に、番号を呼ばれた。俺は返事をして立ち上がった。
>>187 続き
風が心地よい。空は澄んでいる。俺は、おもいっきり空気を吸ってみた。
「○○、二度と戻ってくるなよ、いいな。しっかり生きていけ」
名前を呼ばれたのは、何年ぶりだろうか・・・・・最後に呼ばれたのはいつだ
ったか。俺は、深々と頭を下げた。
門が開き、俺は一歩を踏み出した。塀の中の世界から、外の世界へ出た。
一度だけ、刑務所を振り返った。色々な思いがありすぎて、整理できそうにな
かった。
ゆっくりと歩き始めた。行く場所も無いし、待っている人もいない。孤独には
すっかり慣れた。そう思わなくては、やっていけない・・・・・
しばらく歩くと、向こうに、一人の女性が立っていた。誰かを待っているのだ
ろう。今日は、あと二人出所者がいる。
俺は足早に通り過ぎようとした。
「○○・・・・・」
何か言われた気がしたが、気にしなかった。
「・・・○○!!・・・」
自分の名前を呼ばれた気がした。立ち止まり、振り返ってみる。
・・・・・れいな・・・・・あの時はまだガキだったが、すっかり女になっていた。
でも、まぎれもなくれいなだった。
「・・・どうして・・・」
れいなが、俺の胸に飛び込んできた。
「ずっと・・・ずっと待ってたよ・・・この日を・・・待ってた・・・」
>>188 続き
「ばかな!?」俺はれいなを引き離した。
「いいか、俺とはもう関わるな。あの頃には戻れないんだ。生きる世界が違うん
だよ、もう・・・お前はお前の幸せを探せ。二度と会うわけにはいかない」
俺は歩き出した。
れいなが後ろから抱き付いてきた。
「一緒に背負って生きていこうよ・・・あの時だって自分ひとりで背負ってさ。
私にだって、○○の背負ってるものを分けてくれたっていいじゃない!そんなに
私の事が嫌い?」
「・・・・・」何か言いたかったが、言葉がでなかった。
「昔、土手で話したの覚えてる?あの時、私のために泣いてくれたよね?今度は、
私が○○の苦しさを受け止めてあげるから・・・・・ずっとこの日の為に、私負け
ないで生きてきたよ・・・言ったでしょ?負けるなって・・・」
人の温もりを感じたのは、ずっと昔の気がした。人から自分の為に泣いてもらった
のは、初めての気がした。俺は力が抜け、その場にしゃがみこんだ。
俺の頭を、れいなが優しく抱きかかえた。
「もう独りじゃないよ・・・ずっと私がいる・・・」
何故か、涙が流れた。そんなもの流す資格も無いのに、とまらなかった。
何もかもが遠かったのに、今、れいなだけが近く感じることができた。
俺はしばらく、れいなの温もりに浸った。
あの狂った夏から、7年の月日が過ぎていた。明日は遠いけど、生きれる、生きて
いける・・・そんなことを思ったんだ。
〜第一部 終〜
190 :
bal〆bal:04/05/01 00:59
とりあえず、第一部がこれで終了です。ありがとうございました。
>>182 さん、どうもです!
フーン
なんか、涙が止まらないっす…メチャメチャ感動しました。
193 :
名無し募集中。。。:04/05/01 02:03
乙です
このラストは予想できなかった
195 :
名無し募集中。。。:04/05/01 04:59
バルさん、乙です。
まじで最高です。
第一部ってことはこれから続くのかな・・・?
すごく良かったです。感動をサンクス!
感動しました
頑張ってください
198 :
名無し募集中。。。:04/05/01 13:24
愛ちゃんが気になる
続き頑張って下さい
愛れな
200 :
名無し募集中。。。:
200