川=‘ゝ‘=|| 『愛国発〜幸福行き』 (^▽^ )V
2?
∋oノ/_、ヽo∈
∬∬ ,_ノ`∬y━・~~~ ウフフ
ほ
〜8ノハヽ8〜 ☆ノハヽヽ
( ^▽^) 川=‘ゝ‘=|| 新スレおめでとうございま〜す♪
>>1さん乙女♪
|∪ ̄ ̄| ( O┬O
◎――◎-◎-ヽJ┴◎
ほ
8 :
名無し募集中。。。:04/01/21 00:03
も
ほ
ぜ
ん
落ちちゃうよ・・・
ほ
ぜ
ん
保全
保守
☆ノノハヽ 〜8ノハヽ8〜
= 川=‘ゝ‘=|| = ( ^▽^) ちょっと通りますね♪
= ⊂ ⊃ = ⊂ ⊃
= (_)(_) = (_)(_)
 ̄◎ ̄◎ ̄  ̄◎ ̄◎ ̄
ほ
ぜ
ん
hzn
保
守
ほ
ぜ
ほぜんだけで50逝きそうなヨカ-ン
とりあえず保
全
hozen
ほ
ぜ
ん
保
35 :
名無し募集中。。。:04/01/23 18:58
広尾線スレですか
ほ
ぜ
☆ノハヽヽ
川=‘ゝ‘=|| ちょっと通りますね♪
三 |∪ ̄ ̄ ̄|
◎―――◎
保全
ほ
ぜ
ん
す
る
の
だ
保
田
圭
ほっ
と
こ
安倍卒業祭の為、今夜は警戒保全体勢
緊急保全
ほ
ほ
横アリより緊急保全
☆ノハヽヽ
川=‘ゝ‘=||
三 ( O┬O
.◎-ヽJ┴◎
ほ
ほ
質問なんですけど、「俺」の実家はどこなんですかね
姉が泊まる=実家から遠い
でも話の感じでは私立の普通科で別に頭のいい学校でもないので
わざわざ遠くから通うような学校じゃないような気がするんですけど
文句しか言えないでスマソ。
復活保全
☆ノハヽヽ
川=‘ゝ‘=|| <城島♪
( O┬O
.◎-ヽJ┴◎
ほ
ぜ
66 :
名無し募集中。。。:04/01/27 00:50
ココナッツ保全
ほ
ぜ
69 :
名無し募集中。。。:04/01/27 13:37
広尾線復活キボンヌ
ほ
ぜ
ん
保
広尾駅から数分のところに八角親方(元横綱北勝海)の実家がある
ほ
ぜ
ん
てすと
どうもご無沙汰しております、作者の一人です
近々更新するつもりなのでよろしくお願いします
ほ
ぜ
ん
保
健
体
育
ほっ
90 :
名無し募集中。。。:04/01/30 01:55
ほ
し
の
ま
た
96 :
名無し募集中。。。:04/01/30 20:12
さ
ぶ
ろ
↓100ゲットおめ
ほ
っ
か
い
ど
う
し
ゃ
ら
り
ほ
そ
とうとう保全で100越したな・・・
うむ
ほ
か
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
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ほ
ほ
ほ
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ほ
ほ
136 :
名無し募集中。。。:04/02/02 14:16
そんな事より1よ、ちょいと聞いてくれよ。スレとあんま関係ないけどさ。
昨日、広尾線行ったんです。広尾線。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。
で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、「惜別、広尾線」、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、赤字ローカル線の廃止如きで普段来てない広尾線に来てんじゃねーよ、ボケが。
広尾線だよ、広尾線。
なんか親子連れとかもいるし。一家4人で広尾線か。おめでてーな。
よーしパパ最終列車の車掌さんにサイン頼んじゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、「愛国から幸福へ」の記念乗車券やるからその席空けろと。
赤字ローカル線ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
ボックス席の向かいに座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと座れたかと思ったら、隣の奴が、広尾線万歳!、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、広尾線万歳!なんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、広尾線万歳!、だ。
お前は本当に万歳をしたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、広尾線万歳!って言いたいだけちゃうんかと。
赤字ローカル線通の俺から言わせてもらえば今、赤字ローカル線通の間での最新流行はやっぱり、
車内で精算、これだね。
乗り越しで東京まで。これが通の頼み方。
車内乗り越し精算で東京までってのは増収にかなり貢献できる。そん代わりお金が多めにかかる。これ。
で、お釣はいらないよ。これ最強。
しかしこれを頼むと次から車掌にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、有人駅で硬券の入場券でも買ってなさいってこった。
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続きこないな・・・
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作者どこいった??
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すみません、
>>80で書くって言ったきり全然音沙汰無くて・・・ちょっと色々と忙しかったもので
必ず書きますんで、もうちょっと待って下さい
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いったんあげますよー
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200
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ho
ホ
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209 :
名無し募集中。。。:04/02/07 23:44
テスト
210 :
名無し募集中。。。:04/02/08 00:04
緊急保全
211 :
名無し募集中。。。:04/02/08 00:14
保守
212 :
名無し募集中。。。:04/02/08 00:34
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223 :
名無し募集中。。。:04/02/08 18:57
無駄スレage
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もうやっぱ狼での継続は考えた方がいいな。
羊に移すなりした方がいい。
それに全然続き来ないし、テンション落ちちゃったよ。
ハロプロ(里)にそのまま書いたほうがいいのでjは?
とりあえず保全
大変お待たせしました、それでは続きを書きたいと思います。
なお、今までの分は里田祭りさんのサイトに有りますので、その続きからです。
それと、大変待たせてしまって申し訳無いので、今回の更新を機に少し執筆のやり方を変えたいと思います。
それは何かというと、更新の締め切りを設定しようかなと。
で、今回の更新が終わった後、次回の更新は火曜日の夜(深夜)ぐらいにしようかなと思ってます。
もし、その締め切りを過ぎちゃったら、羊に移転するなりして場所を移そうかなと。
とにかく、ダラダラお待たせてしまうのも何なので、少し自分にハードルを課した方が良いかなと思いました。
という事で、とりあえず今回の更新をしたいと思います。
目が覚めると、亜依の笑顔がそこに有った。
「おはよう、まい姉さん」
「・・・おはよう」
亜依の笑顔はとても元気そうだ。
まいは、まだ完全には覚め切らぬ目でそれを見ると、自分でも笑顔を作った。
「あいぼん、もう起きてたの?」
「うん、昨日は早く寝たし、何か早く目が覚めちゃって」
「そう・・・」
まいは体を起こそうとしたが、そうすると自分の体に無理を強いる事になりそうだと思い直し、まだ横になっていた。
「ねえ、昨日は色々話せて楽しかったね!」
「うん、そうだね・・・」
「また今日からもよろしくね!」
続く
亜依の屈託の無い笑顔を見ると、まいも自然と笑顔になっていた。
「うん、よろしくね」
「ところでさ、昨日の話だけど・・・」
亜依は、昨夜ひとしきり話していた自分の好きな漫画の話をまた始めた。
まいは、時々相槌を打ったりしながらも、亜依の話に耳を傾けた。
正直言って、まいのよく知らない内容の話だったが、聞いているだけでも充分楽しい気持ちになるのが不思議だった。
「あいぼんの話って栄養剤みたい・・・」
まいは何となくそんな事を思っていた。
「おはよう」
するとそこへ、朝の検診の為に石川が入って来た。
「あらあら、まいちゃんの事起こしちゃったの?」
石川は、まいのベッドの側で話し込む亜依の姿を見て、軽く亜依の事を叱った。
「違うよ、まい姉さんは自分で起きたんだよ」
亜依は、ちょっと口をとがらせた。
続く
「ほんとに?でも、まいちゃんを朝からあんまりお喋りに付き合わせちゃダメよ。体に障るかもしれないんだから」
「だって・・・」
亜依は、なおも不満そうに反論しようとしたが、
「あー、いいっていいって。アタシも楽しかったんだから」
と、まいが取りなした。
「そう?ならいいけど・・・」
「梨華ちゃんって、お母さんみたいだね」
まいがいたずらっぽく言うと、亜依もケラケラと笑い出したので、石川も苦笑いするしかなかった。
「・・・ところで梨華ちゃん、今日は外は雪降ってるの?」
「え?」
「何か曇ってない?最近、天気悪いよね・・・」
まいはそう言ってため息をついたが、石川と亜依は何とも言えないといった表情で顔を見合わせた。
窓の外には、雲一つ無い晴れ渡る空が広がっていたのである。
続く
※現在、まいと亜依が居る病室(特別病棟)に窓が有るのかどうかちょっと考えましたが、一応そういう設定にしました。
もし何かおかしかったら後で修正します。
「まい姉さん・・・」
亜依が何か言いかけようとするのを、石川は慌てて遮った。
亜依は、なおも何か言いたそうにしていたが、石川が何やら必死に目配せするのを見るとそのまま口をつぐんだ。
「まいちゃん、それじゃあ検温するからね」
「うん・・・」
まいは、そんな二人の様子を別に気に止めるでもなく、いつも通りに石川の検診に黙って従っていた。
「後で大事な話が有る」
検診を終えた石川は亜依にコッソリと耳打ちをすると、そのまま病室を後にした。
「ねえあいぼん、さっきの話の続き聞かせてよ」
「う、うん・・・」
亜依は、まいの只事ではない様子を察したのか、少し複雑な表情を浮かべていたが、まいの為に笑顔を作ると、また話し始めた。
続く
その日の昼、まいは静かな寝息を立てて眠りに落ちていた。
体力の落ちていたまいは、そうやって昼間も睡眠を取る事が珍しくなくなっていた。
その様子を見計らって、石川が再び病室に入って来た。
「ねえ、ちょっと一緒に来てくれるかな?」
石川はそう言うと、亜依を病室から連れ出した。
まだ手術の影響でスムーズに歩く事が出来ない亜依の為に、石川は亜依の体をしっかりと支えてた。
そして、亜依をそのまま廊下の隅の方へと導いた。
「梨華ちゃん、話って・・・」
亜依は、不安そうな表情を浮かべ、石川に訊ねた。
「うん、話っていうのはね、まいちゃんの事なの」
「やっぱり・・・ねえ、もしかしてまい姉さん、目が・・・」
「うん、まいちゃん、病気の影響でね・・・視力がどんどん低下してるみたいなの」
続く
「そんな・・・」
石川の言葉を聞くと、亜依は思わずよろけそうになった。
「まい姉さん、そんなに重い病気なの・・・?」
亜依は恐る恐る石川に問いかけると、石川は黙って肯いた。
そして、まいが冒されている病気について亜依に話して聞かせた。
「私、知らなかった・・・まい姉さんがそんなに重い病気だったなんて・・・」
亜依はそう呟くと、俯いてしまった。
「ねえ、亜依ちゃん・・・いや、あいぼん」
石川はそう言って、亜依の両肩を掴んだ。
「まいちゃんね、今本当に大変なの。だから、元気付けてやって欲しいの・・・貴方も病気なのに、こんな事を頼んじゃうのは辛いんだけど・・・まいちゃん、あいぼんに沢山元気を貰ってるから。ね、お願い出来る?」
石川はなおも俯く亜依に対し、そう語りかけた。
「梨華ちゃん・・・」
「何?」
「まい姉さんの目は・・・目は治るの?」
続く
「それは・・・」
「まさか、このまま目が見えなくなっちゃうとか・・・」
亜依は見る見る内に目に涙を一杯に浮かべていた。
「そんな事はないって!今度、検査が有るんだけど・・・きっと大丈夫だから!」
根拠は無かったが、石川は亜依を安心させるために、少し強い口調で言った。
「本当?」
「うん、大丈夫だから・・・ねえ、これからまいちゃんの為に少し力を貸してくれる?まいちゃんの力になってあげて」
石川に言われ、亜依は少し考えていたが
「わかった。私、少しでもまい姉さんの力になれるように頑張るから」
と、決意のようなものを表情に浮かべて言った。
「有り難う・・・ごめんね、あいぼんには辛い話をしちゃったけど・・・」
「ううん、いいの。言ってくれて有り難う。だって私、まい姉さんの事、支えてあげなきゃいけないんだから!」
亜依はそこまで言ってくれたのである。
石川は、まだ年端もいかない亜依に酷な話をしてしまった事、亜依に無理を頼んでしまった事で自分を責めたが、亜依の健気な様子に心を打たれていた。
続く
(※一応言っておくと、ここから「俺」の視点に場面転換です)
「姉ちゃん、その・・・一緒にまいに会いに行ってくれないかな?」
俺は、姉の絢香に思い切ってそう切り出した。
姉が俺の部屋に訪ねて来てから暫く考えていた事だったが、ようやくその決心が付いたのだった。
「うん、いいよ」
姉は俺の誘いを至って気軽な調子で承諾した。
「でさ、いつが空いてる?姉ちゃんの暇な日にでも・・・」
「いつでもいいよ。てか、いつでも暇だし」
姉はそう言うと、アハハと笑ってみせた。
「そうか・・・じゃあさ、明日とか。いいかな?」
「わかった。早い方がいいもんね」
「ただ、俺も最近会ってないから・・・ちょっと会いにくいんだよね。それに、面会の許可も取らなきゃいけないし・・・」
「何をウジウジ言ってんの。アンタ、男でしょ!それよりアンタ、その彼女に私の事をちゃんと紹介しなさいよ」
姉はそう言うと、俺の頭を少し小突いた。
姉は、俺を元気付けようとしてわざとそういう言い方をしているのが俺には解ったが、姉のそんな心遣いが俺には嬉しかった。
こうして俺は、姉を伴って久しぶりにまいの病室を訪れる事にした。
続く
とりあえず、今回はここまでです。
先程予告した通り、この続きは火曜の夜までに更新したいと思います。
読んでくれてどうも有り難うございます。
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昼保全
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緊急保全
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>>234-243 乙です♪
(⌒⌒⌒⌒)
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川=‘ゝ‘=|| ◎c■~
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265 :
名無し募集中。。。:04/02/10 15:52
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川=‘ゝ‘=||<移転記念保全
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移転記念カキコ
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☆ノノハヽ
= 川=‘ゝ‘=||
= ⊂ ⊃
= (_)(_)
 ̄◎ ̄◎ ̄
何じゃこのスレ数は・・・
作者ですけど、何か1300スレ越えてるという異常事態なので・・・
書きたいんだけど、どうしようかな
とりあえず圧縮来るまで静観しますわ
ほ
279 :
名無し募集中。。。:04/02/11 00:35
上げるか
カプスレ?
>>281 そう?
でも、書いてもこのスレ朝になったら落ちてそうでさ・・・
>>282 もしあれだったら、俺保存しとくし。
次スレにコピペしてもいいじゃん。
>>283 わかった、そういう事なら一応書いておこうかな
じゃあ行きますよ
>>242続き
その日の夜、俺は久しぶりに石川と電話で話す事にした。
「・・・もしもし?」
「あ、俺、俺だけどさ・・・」
「ああ・・・どうも久しぶり」
久しぶりに聞く石川の声は少し疲れているように思われた。
「あの、元気?」
「うん、元気だよ」
受話器の向こうの石川の声に少し笑いが含まれていた。
俺も、他にもっと気の利いた事が言えないものかと思い、思わず自分で笑ってしまっていた。
「それで、早速頼みたい事が有るんだけど、明日まいに会わせてくれない?」
続く
>>285続き
俺のその問いかけに対し、石川は少しの間何も答えなかったのが意外だった。
「え?ダメなの?」
「・・・ううん、ダメって事はないけど、でも・・・」
「でも、何だよ?」
「うん、まあ別に何がどうってわけじゃないんだけど」
石川の、妙に奥歯に物の挟まったような言い方が俺には少し引っかかり、不安な気持ちがかき立てられた。
「まいに、また何か有った?教えてよ」
石川は、またそこで黙ってしまったのである。
おかしい・・・やはり、まいの体に何か良からぬ事が有ったのだろう。
俺はそう直感した。
「わかった。やっぱ、明日行くのはマズイみたいだな。また今度にするよ」
「ちょ、ちょっと待って!」
続く
>>286続き
俺が諦めて電話を切ろうとすると、石川はそう言って俺を慌てて引き留めた。
「あのね、やっぱり明日は是非貴方に来て欲しいの。話しておきたい事も有るし・・・」
「そうか、じゃあ行く事にするよ・・・明日はよろしく」
石川の「話しておきたい事が有る」という言葉は少し引っかかったが、まいとの面会の許可が下り、俺はひとまず安堵した。
「うん、それじゃあ待ってるから・・・それじゃあお休みなさい」
「あ、ちょっと待って!」
石川に電話を切られそうになると、今度は俺がそう言って石川を引き留めた。
勿論、それには理由が有って・・・
「あのさ、言い忘れてたんだけど、ちょっと今ここで話しておきたい事が」
「え?何?」
「うん、ちょっと俺の姉貴と替わるから、話してくれないかな?」
続く
>>287続き
「お姉さん!?・・・お姉さんが居るの?」
石川は素っ頓狂な声を上げた。
無理も無い、今の今まで石川には姉の事は一言も言っていなかったのだから・・・しかし、俺は「あれ?言ってなかったっけ?」
などと一応とぼけてみせた。
受話器の向こうの石川の驚いた顔が目に浮かぶようだ・・・俺も思わず笑みがこぼれた。
「聞いてないよー、初耳だよ!もう、そういう事は早く言ってよね・・・」
「悪い悪い。それじゃあ、今姉貴と替わるから」
俺はそう言うと、側で聞き耳を立てていた姉に電話を渡した。
「もしもし、石川さん?初めまして、姉の絢香です。弟がいつもお世話になっております」
「あ、ど、どうも初めまして・・・こちらこそいつも彼にはお世話に・・・」
いきなり、全く未知の人間だった俺の姉と電話を替わられたので、石川もかなり焦っているようだ(この時、石川は思わず正座をしてしまったのだと、後で聞かされた)。
「本当にごめんなさいね、ビックリさせちゃって・・・弟はそういう所が気が利かないんだから」
姉のその言葉に「余計なお世話だ」と思ったが、一応黙っておいた。
続く
>>288続き
「いえ・・・」
「それでね、明日は私も一緒に行きたいんだけど・・・いいかな?」
「あ、はい、それはもう全然・・・是非いらして下さい」
姉にそう言われては、石川も「嫌です」とは言えまい。
こうして、俺は姉と共にまいの見舞いに訪れる事となった。
「それじゃあ、明日はよろしくお願いしますね・・・あ、それじゃあまた弟に替わります」
姉はそう言うと、再び俺に受話器を渡した。
「もしもし?いきなりでゴメンな。それじゃ、また明日病院で・・・」
「ええ、それじゃお休みなさい・・・」
俺は石川との電話を終えると、フーッと息をついた。
「大事な話って・・・何かしらね?」
「え?」
「ほら、アンタと話してた時に言ってたじゃない、『大事な話が有る』って」
「ああ・・・」
姉にそう言われて、改めて先程の石川の言葉が心に引っかかるのだった。
まいの身に何かが有ったのか、それとも・・・
「ま、明日行けばわかる事だよ」
俺はそう言って肩をすくめた。
「それもそうね」
姉もそう言うと、それ以上は深くは追及しない様子であった。
続く
>>289続き
「それじゃあ、そろそろ寝ようか・・・」
ふと時計を見ると、間もなく夜中の12時を回ろうかという時間になっていた。
「うん、そうね・・・」
姉は、何事かを考える仕草をしていたが、俺はさして気に止めなかった。
そして、布団を敷いて寝る準備をしていたのだが・・・
「ね、ちょっとアンタ?」
「何だよ?」
姉に不意に声をかけられたので、姉の方を見ると、姉は何やら意味有りげな表情を浮かべていた。
「今の子・・・石川さんについて、ちょっと詳しい話が聞きたいんだけどな」
「え?」
確かに、姉にはまだ石川については簡単に話した程度であり、その人となりについては詳しく話していたわけではなかったのである。
「ねえ、石川さんってどんな子?」
「どんな子って言われても・・・一言じゃ言えないよ。それに、まいにとっては無くてはならない人だから」
「それはわかるんだけど、アンタはどう思ってるのかって事よ」
姉は、何故だか石川の事が気に掛かっている様子で、俺に石川についての話を聞きたがっていた。
「うん、わかった、明日また詳しく話すからさ、もう俺寝るから。お休み!」
俺は面倒臭さを装って、さっさと布団を引っ被ってしまった。
石川の事を話したくないというよりも、姉に上手く説明する自信が無かったのかもしれない。
そんな俺の様子を見て、姉ももう何も聞いてはこなかった。
続く
>>290続き
(一応言っておくと、ここでまた場面転換。今度は石川の視点です)
「彼に、お姉さんが居たなんてねえ・・・」
彼の新たな事実を知り、石川はいささか当惑していた。
今、自分は本当に彼のお姉さんと話をしていたのだろうか・・・何だか、狐につままれたような気分である。
しかし、それは紛れもなく事実であり・・・ふと自分の手を見てみると、じっとりと汗ばんでいるのがわかった。
「こんなに緊張してたのか・・・」
石川は思わず苦笑いをした。
昔から、割と人見知りをする方であったが、こんなにあがったのは随分久しぶりのような気がする・・・一体、いつ以来であろうか?
「そっか、まいちゃんや彼と初めて会った時もこんな感じだったっけ・・・」
「石川、こちらが今日から入院する里田まいさん。しっかりお世話してもらわな困るで」
中澤先生にそう紹介された入院患者は、とても綺麗な女の子だった。
女の子といっても、石川とはほぼ同世代ぐらいであろうか・・・石川も思わず
「綺麗・・・」
と言ってしまいそうになったほどである。
「研修を兼ねて今日から担当になる石川梨華です。どうぞよろしくお願いします」
石川はそう言って緊張気味に頭を下げた。
「あ、どうもー。よろしく!アタシ、入院とか初めてだからちょっと緊張してるんですけど・・・迷惑かけるかもしれないんだけど、その時はゴメンなさい!」
石川の予想に反して、その子はとても快活にハキハキと答えていた。
そう、綺麗な外見とは裏腹の典型的な体育会系・・・石川もそれにはちょっと驚かされていた。
続く
>>291続き
「いえ、こちらこそまだまだ未熟なもので、色々とご迷惑をかけるかもしれませんが・・・あの、さ、里田さん、どうかよろしく」
石川は、なおも緊張気味に挨拶をしていたが、その子はそんな石川の様子をニコニコしながら眺めていた。
そして、その子は石川の付けていた名札をチラッと見やると
「石川・・・さん、アタシの事、まいって呼んでいいよ。多分・・・アタシと年齢同じぐらいですよね?」
と、ざっくばらんに話しかけてくるのだった。
「ええ、そうですね・・・それじゃあ、まいちゃん、私の事も梨華って呼んでね」
石川は、すっかりまい主導のペースに乗せられていたが、それでもどうにか緊張が解れていくのを感じていた。
「うん、じゃあ・・・梨華ちゃん、改めてよろしくお願いします」
まいはそう言うと、石川に握手を求めて来た。
変わった子だわ・・・石川は、まいの手を握り返しつつ、そんな事を思っていた。
「イヤだ、私ったら緊張しちゃって・・・手に汗かいてるね」
石川がそう言うと、まいは明るい笑い声を上げた。
続く
>>292続き
するとそこへ、慌ただしい足音が聞こえて来た。
「まい!大丈夫か!?」
そう言って部屋で駆け込んで来たのは、これまた石川やまいと同世代と思しき高校生であった。
「うん、大丈夫だから・・・心配かけてゴメンね」
「心配したぜ・・・急に倒れたっていうから。本当に大丈夫なのか?」
「ううん、本当に大丈夫だから・・・倒れたアタシが一番ビックリしてるよ」
至って元気そうなまいの様子を見て、その高校生もひとまずは安心した様子だった。
「あ、どうも、僕はその・・・この子の同級生なんですけど・・・部活の時に倒れたっていうもんだから、急いで駆け付けたんです。で、その・・・まいの状態はどうなんですか?」
まいの同級生と名乗った彼は、挨拶もそこそこにまいの容態を訊ねて来た。
「うん、まあ詳しく診察してみなわからんけど・・・恐らく、軽い肺炎やと思うわ」
中澤先生にそう言われると、彼はホッと胸を撫で下ろしていた。
「そうですか・・・まい、大会も近いんだから、あんまり無理すんなよ」
「うん、わかってるって」
彼はそこで初めて石川に気付いた様子で、石川の方向へチラリと視線を向けた。
「あ、あのね、その人は石川梨華ちゃん。アタシの担当の看護学生さんなの」
まいにそう紹介されると、石川はまた慌ててペコリと頭を下げた。
彼も、それに応えて軽く会釈をした。
続く
>>293続き
「それじゃあ、また後で伺いますので・・・石川、ちょっと一緒に来てや」
中澤先生にそう言われたので、石川は病室を後にした。
今入って来た彼は、「まいの同級生」とだけ名乗ったが、果たしてそれだけだろうか・・・。
真っ先に病室に駆け付けて来たのだし、きっとそれだけではないのではないか・・・石川は何となくそう思ったが、その時は初対面の人間と二人も会った緊張からか、それ以上深くは考えなかったのである。
「石川、さっきの子の病状についてなんやけどな・・・」
中澤先生は、先程の病室から少し離れた廊下まで石川を誘うと、少し声を落として話し始めた。
「さっきは軽い肺炎って言うたけど・・・あれは本当の病名じゃないんや」
「え!?・・・どういう事ですか?」
「まだ精密検査を行ったわけやないし、何とも言えんけど・・・恐らく、もっと難しい病気やと思う」
「・・・というと?」
「再生不良性貧血・・・という病気の疑いが有る・・・とすると、これは本当に難病やし・・・大変な事になると思う」
中澤先生は淡々と話していたが、その表情は沈痛そのものである
「そんな・・・」
石川は、思わずその場によろけそうになった。
まさか、あんなに元気そうな子が・・・。
続く
>>293続き
病気が、自分が思っていたよりも重いものだと知らされるのは辛いものだ・・・石川はその時それを痛感したのだった。
だから、まいに本当の病名を知られる事になった時も、まいの事を姉のように慕う亜依にまいの本当の病名を知らせた時も、石川にはその辛さが痛いほどわかっていた。
「先生、何でそれをもっと早く・・・」
「石川はすぐ顔に出るからな・・・だから、ちょっと黙っておこうと思ってな、それは謝る。とにかく、これからは色々と大変やで・・・しっかり頼むわ」
「・・・はい、わかりました」
石川は、その日その瞬間より、今日までまいの病気の治癒という重い使命を課せられる事になった。
その後、まいの待つ病室へ再び戻った時、笑顔を作るのにとても難儀した事を石川は今でも思い出せるのだった。
「全ては、あの日から始まったのね・・・」
まいと彼との出会いの日・・・その事を思い描いている内、石川はいつの間にか眠りに落ちて行った。
お姉さんってどんな人なんだろう・・・その事に思いを馳せた時には、石川はもう深い眠りの中にあった。
続く
というわけで、とりあえず今回はここまでです。
何か場面的にはあんまり進んでないので、明日も続きを書けたら書きたいと思います。
読んでくれてどうも有り難うございました。
それと、
>>295は
>>294の続きですね。(何か間違ってレス番が付いてるので)
( ^▽^)<あさ!
ほ
>>285-296 乙です♪
☆ノハヽヽ
川=‘ゝ‘=|| <ちょっと通りますね♪
( O┬O
.◎-ヽJ┴◎
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ほ
ほ
ほ
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ほ
ぜ
圧縮回おめ!
ほ
ほ
おー、圧縮乗り切ったか
良かった良かった
ほ
ほ
>>296 乙です。
今晩も楽しみに待っています。
できれば毎日更新を期待
ほ
>>316 まぁまぁ、もう2人の作者でやってるわけだから
これ以上プレッシャーはかけるのよそうよ。
じゃあ、行きます
>>295続き
期末テストも近いという事もあり、学校の様子もどことなく落ち着かない。
皆、テストの事で頭が一杯のようだが、俺はまいの病気の事が気に掛かっていた。
「本当にテストってかったるいよね・・・もうすぐ受験も有るしさあ・・・嫌になっちゃうよね」
ため息まじりに俺に話しかけてきたのは藤本である。
「受験か・・・」
姉にも話した事なのだが、俺は大学受験はせず、一年浪人する事を決めていた。
とはいえ、この事は姉以外には誰にも言っていなかった。
「ねえ、何処を受けるとか決めた?」
「え?うん、まあ・・・」
「ウチは親がうるさいからね、そこそこ良い大学受からないとさ、何言われるかわからないよ」
「そうか・・・」
藤本も受験の事で追い込まれているようだが、俺はそんな藤本の問いかけにも曖昧に返事をするばかりであった。
続く
>>319続き
「そういう藤本さんは何処を受験するか決めたの?」
「うん、一応はね。地元の大学も受けるけど、もしかしたら東京の大学も受けるかも」
「へー、そうなんだ・・・金持ちなんだな」
「うーん・・・まあ親の見栄も有るんだろうけどね。でも、東京の学校にもちょっと行ってみたいっていうのもあるんだよね」
そうだったのか・・・確かに、藤本の性格からすると、そういう気持ちを持つのも不思議な事ではないように思われた。
「まあ、北海道に止まるような藤本美貴じゃないしな」
俺がそう言ってそうからかったが、藤本は「そういう事じゃないから」と言って軽くかわしていた。
「でもさ、大学行ったって別にこれがしたいっていう目標が有るわけじゃないんだよね・・・何の為に行くのかなって考える事が有るよ」
藤本のその言葉に、俺は先日姉と交わした会話を思い起こした。
「医者になりたい、医学部を受ける」
そうは言ってみたものの、果たしてそれが本当に自分の進みたい道なのか、まいの為にと思った事なのか、自分でもわからないでいた。
続く
>>320続き
「あーあ、今日も学校終わったら塾行かなきゃ・・・」
そう言って藤本はまたため息をつた。
「そうか、塾行ってるんだよな」
「うん、そうだよ・・・って、アンタ塾とか行ってないでしょ?受験大丈夫なの?」
藤本は不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込んだが、俺は「まあ何とかなるよ」とだけ答えておいた。
「本当は受験しない」などと答えたら、藤本は腰を抜かすかもしれない・・・俺は、少し冷や汗をかいた。
「ふーん、まあいいけどね・・・ところで、最近まいちゃんに会ってないんだけど・・・どうなの?」
「え?うん・・・実は最近俺も全然会いに行ってなくて・・・今日、久しぶりに行ってみようかと思ってるんだ」
「そう・・・まいちゃん、大丈夫なのかな・・・」
まいの話になると、藤本も少し寂しそうだ。
まいの容態が悪化してからは、俺は勿論の事、藤本も他の友達もまいには会いに行く事は無くなっていた。
「まいちゃんの事、忘れた事は無いんだけど・・・でも、こうやって時は流れて行くんだよね。
みんな受験とかで大変だし。何か、寂しいよね」
藤本は少ししんみりとした口調で言った。
続く
>>321続き
そう、藤本の言う通りで、時間は無情にも過ぎ去って行くものである。
皆、自分の事で精一杯・・・それは仕方無いにしても、この学校にまいという存在が有った事が段々と薄れて行くような気がして、俺もやりきれない思いを抱えていた。
「それじゃあ、まいちゃんに会ったらよろしく言っておいてね」
藤本は最後にそう言うと、俺に背を向けて立ち去ろうとした。
しかし、二、三歩行きかけてクルリと振り返ると、ニヤッと笑い、こう付け加えた。
「そうそう、あの石川梨華ちゃんにもよろしく言っておいてね」
学校が終わり、俺は姉と待ち合わせをして、いよいよ病院へと向かった。
「何か緊張するな・・・どんな子なのか」
「姉ちゃん、あんまり変な事言うなよな」
「失礼ね、何なのよ変な事って・・・大丈夫、私は黙って見てるだけだから」
「どうだかな・・・」
俺と姉は病院へ向かう途中、そんな他愛のない会話をしていたが、俺もまいに久しぶりに会うという事もあって少し緊張していた。
続く
>>322続き
病院の建物が見えてきた時は、俺の緊張は更に高まっていた。
まいに会うのが恐いような・・・少し妙な気分であった。
「ここなの?彼女が入院してるのって」
「そうだよ」
「ふーん、やっぱり結構立派な病院に入院してるんだね」
姉は、興味津々といった感じで病院の外観を眺めていた。
そして、通い慣れた病院への道を進み、正面玄関の前へ着くと、俺は少し深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「じゃあ、行こうか」
俺は姉を促し、久しぶりに病院の中へと足を踏み入れた。
待合室には、以前と変わらず沢山の人が椅子に腰掛けたりして時間を過ごしていた。
俺は受付に行くと、まいとの面会で訪れた旨を伝えた。
「今、石川がこちらに来ますので少しお待ち下さい」
受付の看護婦にそう言われ、俺と姉は石川がこの場に来るまで少し待つ事になった。
俺は、姉と隣合わせにして待合室の椅子へ座り、石川がやって来るのを待った。
続く
>>323続く
「昨日、アンタが電話で話してた子が来るのね」
「そうだよ」
「ねえ、どんな子なの、石川さんって」
「会えばわかるって。もうじき来るんだから・・・」
昨晩から、姉はやけに石川に興味を持っている様子だった。
正直言って、俺にはそれが少し煩わしかったが、やはり石川がどんな子なのか気になるのも当然だとも思った。
石川はすぐにやって来るのかと思っていたが、意に反して石川はなかなか姿を現さなかった。
何か忙しいのだろうか・・・石川が来るまでの間がやけに長く感じられた。
その間、待合室に有るテレビの画面を見ていたりしたが、何を流しているのかもサッパリ頭に入ってはこない。
姉は姉で、相変わらず俺に対して石川の事を何とか聞き出そうとしているのだが、俺はそれを適当にはぐらかしていた。
そして、かれこれ20分ぐらいは経っていただろうか・・・石川がようやく待合室にやって来るのが見えた。
続く
>>324続き
「どうもお待たせしました」
石川は、少し小走りになってやって来たので、息を切らせていた。
俺と姉は、石川が来たのを見ると、ほぼ同時ぐらいに椅子から立ち上がった。
「すみません、ちょっと色々と研修とかが有ったもので・・・」
石川はそこで少し息を整えると、姉の方へと視線を向けた。
「初めまして、石川梨華です。よろしくお願いします」
石川はそう言うと、姉に向かって頭を下げた。
「初めまして、この子の姉の絢香と申します・・・昨日は電話ではどうも失礼しました」
「いえ、こちらこそ・・・」
石川と姉が挨拶を交わし終わると、俺は石川に「オッス」と声をかけた。
石川は、俺の方を見ると少し笑顔を見せ「どうも」とだけ短く答えた。
「それじゃあ、早速これからまいちゃんの所へご案内しますので・・・」
石川はそう言うと、俺と姉を先導してまいの居る特別病棟へと歩を進めた。
「可愛い子ね」
特別病棟へと向かう途中、姉は石川に聞こえないように俺にそっと耳打ちした。
「まあね」
俺もそのように小声で答えた。
続く
>>325続き
そして、特別病棟が近付いてきた頃、俺はずっと気になっていた事を石川に訊ねた。
「あのさ、昨日言ってた『大事な話が有る』っていう事なんだけど・・・何なの?」
石川はそこで立ち止まると、俺と姉の方を振り向いた。
その表情は真剣そのものだった。
石川の表情を見て、俺も姉も何も言えず、固唾を飲んでその言葉を待った。
「そう、これから話す事はとても大事な事だから・・・お姉さんも、よく聞いておいて下さい」
「ええ、わかったわ」
石川の言葉に、姉も表情を固くし、肯いた。
「実は・・・まいちゃん、病気の影響で、目に異常が有るみたいなんです・・・日を追うごとに視力も低下しているみたいで、今度詳しい検査をする事になっています」
「何だって!?」
俺は、予期せぬ言葉に思わず声を上げてしまった。
ある程度、何か良からぬ事であろうと覚悟はしていたが、まさかそんな事態になっていたとは・・・石川の言葉はショックだった。
それは、姉も同じようであった。
「でも、まいちゃんはその事にまだ気付いていないみたいで・・・視界が少し暗く見えたりするのは、自分の目に異常が有るせいだとはまだわかってないんです」
石川は、なおも話し続けた。
「だから・・・今日これからお会いしても、その辺を踏まえて頂きたいというか・・・お願い出来ますか?」
石川にそう言われたものの、俺も姉も何と言って良いものか、しばらく何も言葉を発せないでいた。
続く
>>326続き
「・・・それで、目はどれぐらい悪いの?」
やっとの思いで、俺は石川にそう訊ねた。
「うん、今すぐ失明の危機にあるとかそういうわけじゃないんだけど・・・でも、さっきも言った通り、視界が少し暗いというか、部屋が少し暗く見えるみたいなの」
「じゃあ、もしこれ以上悪化したりしたら・・・」
「そうね、今度は段々と物がぼやけて見えたりしてするかもしれない。そうすると、まいちゃんも気付くと思うけど、そしたら今度はまいちゃんの精神状態が心配になってくるわ。だから、そうなる前にも精密検査が必要ってわけ」
そういう事だったのか・・・まいは、暫く会わない間にも更に厳しい状況に追い込まれていたのか。
俺は胸が塞がるような思いだったが、それと同時に、何も出来ない自分に苛立ちを覚えた。
「そうだったの・・・それじゃあ、彼女の事を支えてやる人が必要だわ。勿論、石川さんが支えになってあげてるんだろうけど・・・」
それまで黙っていた姉が口を開き、そう言ったのだが、石川はそれに答えて少し意外な言葉を発した。
「いえ、その点なら大丈夫・・・言い忘れてましたけど、今のまいちゃんには仲間が居るので」
「仲間?」
一体、どういう事なのだろうか。
まいに仲間が・・・それはどういう事なのだろうか。
「そうです、心強い仲間が・・・会えばわかると思いますよ」
それまで厳しい表情だった石川も、少し表情を崩し、顔に微笑みを浮かべているのが見えた。
続く
>>327続き
「それじゃあ、行きましょう・・・先程の話、くれぐれもお願いしますね」
石川は最後にそう念を押すと、俺と姉を引き連れ、再び特別病棟へと向かった。
そして、特別病棟の前まで来ると「ちょっとここで待ってて下さい」と言い残して、先に中へと入って行った。
「・・・ビックリしたね」
姉は、ポツリと言葉を漏らした。
「彼女、大変なんだね・・・どうしてこんな目に遭うのか・・・辛いよね」
姉も目は、心なしか涙ぐんでいるように見えた。
俺も姉の言葉に答えようとしたが、何か喋ると涙が出てきそうなので、何も言わないでおいた。
特別病棟の中に入ると、石川はまいが横たわるベッドの方へと向かった。
見れば、今日もまた亜依がまいの側へとピッタリ寄り添い、何事か楽しそうにお喋りに興じていた。
「まいちゃん、ちょっといい?今ね、彼がお見舞いに来てるの」
「あ、そうなの!?何か久しぶりだからちょっと緊張しちゃうね」
「彼も緊張してるみたいよ」
「そっか・・・」
まいと石川のやりとりを聞いていた亜依が、まいに対して勢い込んで聞いた。
「彼って・・・もしかして、まい姉さんの彼氏なの!?・・・ねえねえ、どんな人?」
まいは、亜依の勢いに押され、ちょっと苦笑いしていた。
「彼氏というか・・・まあ、彼氏、みたいなもんかな、うん」
「え?彼氏じゃないの?」
「いや、まあ彼氏といえば彼氏で・・・」
まいの返事に、亜依は少し不思議そうな顔をした。
「ま、とにかくアタシにとって大切な人よ」
まいのその言葉を聞くと、亜依は「ヒューヒュー」などと、少し大袈裟にまいの事をからかった。
続く
>>328続き
「それじゃあ、今ここに連れてくるから、ちょっと待っててね」
まいと亜依のやりとりを、石川もまた苦笑いしながら見ていたが、そう告げると再び病室を出ようとした。
しかし、ハッとして歩を止めると、再びまいの方に振り向いた。
「そうそう、大事な話を忘れてたわ・・・今日ね、彼と一緒に、彼のお姉さんも来てるの」
「え?お姉さん!?」
まいは、心底ビックリしたような声を上げた。
「彼って・・・お姉さん居たっけ?知らなかったよ・・・」
「私もビックリしたよ。だって、私も昨日聞いたんだもん」
「もー、何なのよ、そういう事は早く言ってよね・・・何で急にお姉さんを連れてくるかなあ・・・」
まいは、彼に姉が居る、しかもその姉が来ているという事を聞いて慌てふためいていた。
石川は、そんなまいの様子を見てクスッと笑った。
「それじゃあ、今ここの二人を連れてくるね」
石川はそう言うと、病室を出て行った。
「全く、ホントにビックリしたよ・・・3年付き合ってて知らなかったわ」
まいはそう言って苦笑いした。
「でも、どんな人なのか楽しみ!まい姉さんの彼氏も、そのお姉さんも・・・」
当惑するまいを尻目に、亜依は一人はしゃいでいた。
続く
>>329訂正
石川の台詞「今ここの二人を連れてくるね」→「今ここに二人を連れてくるね」
>>329続き
「さあ、まいちゃんが待ってますので、どうぞ」
特別病棟から出てきた石川に案内され、俺と姉は病室の中へと入って行った。
緊張と、先程の石川の話のせいもあってか、俺も姉も表情が固い。
それでも、まいに会う時は笑顔で会ってやらなきゃな・・・俺はそんな事を考えていた。
そして、病室に入ると、まいの姿が目に入った。
こうしてまいに会うのは数日振りの事だったが、その時よりもまた少し痩せたような気がする・・・俺はちょっと胸が痛んだ。
そして、まいの傍らには、中学生ぐらいの女の子の姿が有った。
その子は、こちらの方を穴が空くほどじっと見つめていたので、俺は少し照れ臭かった。
「まい、久しぶり・・・」
「うん、久しぶりだね」
まいのベッドの側に行くと、俺とまいはまずそのような言葉を交わした。
「あ、あのね、こちらは俺の姉貴で・・・」
俺は、一緒に居た姉をまいに紹介した。
「初めまして、姉の絢香です。弟が色々とお世話になってます」
「あ、どうもこちらこそ・・・里田まいです。よろしくお願いします」
まいは挨拶しようとしてベッドから体を起こそうとしたが、側に居る石川に支えられた。
「まい、今まで言ってなかったんだけどさ、俺に姉貴が居るって・・・」
「もー、ビックリしたよ・・・アタシ、今さっき梨華ちゃんに聞いたんだから」
まいはそう言って俺をちょっと睨んだが、その顔は笑っていた。
続く
>>330続き
「それじゃあ、アタシも友達を紹介するね。この子はね、アタシと同じ病室に居る加護亜依ちゃん」
「初めまして、加護亜依です。よろしくお願いします!」
先程から、俺と姉の事を興味深げにジロジロと眺めていたその加護亜依という子は、ニッコリ笑うとそう元気に挨拶した。
「どうも、初めまして・・・俺は、まいの・・・」
「彼氏なんですよね?さっき聞きましたよ」
亜依はそう言うと、まいの肩をパシッと軽く叩いた。
「まい姉さん、こんなに素敵な彼氏が居るなんて・・・もっと早く言ってくれればいいのに」
彼氏か、まあ確かに間違いではないのだが・・・俺もまいも石川も、そして事情を知る姉も、皆一様に苦笑いを浮かべた。
しかし、俺はその亜依という子には初めて会った気がしなかった。
前に何処かで会った気がするのだが・・・。
「そうか、思い出したよ!俺、君の事はこの病院で前に見た事が有ったんだよね・・・それで、さっきからどうも引っかかってた」
そう、以前まいの見舞いに訪れた時に、この亜依という子を見かけていたのを俺は思い出したのだった。
「そうなんですか?じゃあ・・・初めましてではないんだね」
亜依はそう言って笑った。
とにかく、亜依は元気な子だった。
石川が言っていたまいの心強い仲間とは、この子の事だったのか・・・俺も姉も、合点がいった。
「でも、こうやって会えて良かったです。まい姉さんの彼氏にも、そのお姉さんにも」
「ええ、私も会えて良かったわ、亜依ちゃん」
姉も、亜依の事は気に入っている様子が伺えた。
続く
>>331続き
まいは、そんな俺達のやりとりをニコニコしながら眺めていた。
「それから、まいさん・・・貴方にも会えて良かったわ。ごめんなさいね、いきなり押し掛けちゃって」
「いえ、こちらこそ・・・わざわざ来て頂いて有り難うございました」
姉もまいも、緊張が解れて、少しずつではあるが打ち解けていっているように見え、俺はホッと胸を撫で下ろした。
「そういえば、そろそろ期末だよね。どう、調子は?それと、受験勉強は頑張ってるのかな?」
まいは、そう言って今俺が最も話題にして欲しくない事を聞いてきた。
「ん?うん、まあボチボチ・・・」
などと、先程の藤本の時のように曖昧にはぐらかした。
「頑張ってよね、応援してるからさ」
まいはそう言ってくれたが、その言葉が今の俺にとっては辛かった。
姉もそんな俺を察してか、ちょっと複雑そうな表情を浮かべていた。
「そうそう、藤本がまいによろしくって言ってたよ。会いたがってたけど、あいつも勉強が忙しいみたいでね」
「そっか・・・美貴ちゃんとも最近会ってないな・・・テニス部のみんなも元気にしてるのかな」
藤本の話を出すと、まいも心持ち寂しそうな表情を浮かべた。
今のまいにとって、学校生活、そして部活に明け暮れていた日々は遠い昔の事のように感じられているのだろうか・・・俺は、そんな事を思い浮かべ、感慨に耽っていた。
「まい姉さん、どうしたの!?」
亜依のその言葉にハッとしてまいの方を見ると、まいは辛そうに顔をしかめ、目をキュッと閉じて、それに指を押し当てているのが見えた。
続く
>>332続き
「まいちゃん、どうしたの?大丈夫?」
石川が、慌ててまいの顔を覗き込むようにして、まいに体の調子を訊ねた。
「まい、大丈夫か!?」
俺もビックリして、まいの側へと駆け寄った。
亜依は、なおも辛そうにしているまいの様子を見て、ただオロオロするばかりだった。
姉も、苦しむまいの事を見て顔を青ざめさせていた。
病室に、一気に緊迫した空気が流れた。
「うん、大丈夫・・・ちょっと目眩がしただけだから・・・何か、急に目が疲れちゃって・・・」
まいは、それだけ言うと、目を閉じたままフーッと息を吐いた。
「ゴメンね、何か疲れちゃったから・・・ちょっと休んでいい?」
まいは、辛そうに小さな声でそう言った。
「わかった、まい、無理しなくていいぞ。ゆっくり休めよ」
「ゴメンね、せっかく来てくれたのに・・・」
「いいから、まいは自分の体の事だけ考えていればいいんだよ。俺らの事は気にするな」
「有り難う・・・」
まいはそう言うと、石川に支えられながら、またゆっくりとベッドに横たわった。
石川は、慣れた手つきでまいの脈などを見たりしていた。
「それじゃあ、そろそろ俺達は帰るから・・・まい、今日はゆっくり休んでな」
「うん、有り難う・・・」
俺は石川の方を見て「頼んだぞ」という風に肯くと、石川もそれに応えるようにして俺の方に肯いた。
「じゃあ、また・・・亜依ちゃん、またな」
「亜依ちゃん、また来るわね。今日は会えて良かった」
「うん、私も今日は会えて良かった。また来てね」
亜依は、先程とは打って変わって、まいの事を心配してとても険しい表情を浮かべていたが、それでも俺と姉が挨拶すると、何とか笑顔を作ってみせた。
続く
>>333続き
病院を後にして家に帰る途中、俺と姉は殆ど言葉も交わさず、足取りも重かった。
「大変だね、彼女」
「うん・・・」
俺と姉は、それだけ言うのがやっとだった。
やはり、まいは大変難しい病気と闘っているのだ・・・改めて俺はその事を再認識した。
せめて、何とかまいの事を励ましてやらないと・・・俺はまたその事ばかりを考えていた。
もうすぐ、クリスマス。
何か、まいにプレゼントをしてやれないものだろうか。
その時、俺の中にある考えがハッキリと浮かんだのだった。
続く
とりあえず、今回の分はここまでです。
読んで頂き、有り難うございました。
次回の更新はいつなのか具体的には言えませんが、遅くても週末ぐらいまでには更新したいと思っています。
>>335 乙です。
リアルタイム更新見てました。
>>336 どうも有り難うございます!
なかなかノンビリとした更新ペースなのでご迷惑をかけたかと思いますが、読んでくれてどうも有り難うございます
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保全
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作者乙
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347 :
名無し募集中。。。:04/02/13 02:26
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保全
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371 :
名無し募集中。。。:04/02/15 02:18
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週末だけど更新はなしでつか?
>>378 いや、今夜書きますよ
もうちょっと待っててね
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それじゃあ行きます。
>>334続き
俺がまいの病室を訊ねてから数日、いよいよ期末テストも目前となった為、俺はその準備に忙殺されていた。
まいの事、自分の将来の事が気に掛かり、今一つ勉強に身が入らなかったが、俺はそれを言い訳にしたくはなかった。
とにかく、今は勉強に集中しようと思っていた。
姉も、そんな俺の事を気遣ってか、必要以上には話しかけたりはしてこなかった。
ただ、俺の為に色々と世話を焼いてくれるのは有り難く、その好意が心に沁みた。
「いよいよ明日か・・・」
期末テストを翌日に控え、いよいよ最後の追い込みといったところである。
俺は勉強を一休みし、少し体を手を伸ばしたりして体をほぐした。
「お疲れ様」
そんな頃合いを見計らって、姉が俺の為にコーヒーを持って来てくれていた。
続く
>>384続き
「有り難う」
姉の入れてくれた苦いコーヒーを飲むと、俺は一息ついた。
「どう、勉強は順調なの?」
「うん、まあね・・・でも、明日は苦手な数学が有るんだよな・・・」
「そう、頑張ってね。そうだ、ラーメンか何か作ろうか?」
「うーん・・・いいや、もうちょっとやったらもう寝るし」
時計を見れば、もう12時を回っていた。
ちなみに言っておけば、俺は一夜漬けなどはあまりしないタイプだった(やっても無駄というのもあったが)。
「わかったわ。じゃあ私は先に寝てるから。悪いけど、それ飲んだら片づけといてね」
「ああ、わかったよ」
「それじゃあ、お休み・・・」
姉はそう言って立ち去ろうとしたが、ふと俺の机の上にある写真立てに目を止めた。
写真立ては二つ有り、一つは元気だった頃のまいと二人で撮った写真だった。
そして、もう一つは・・・
「何これ?」
姉は、それをひょいと手に取った。
続く
>>385続き
「あ、それは・・・」
「これ・・・石川さんはわかるけど・・・後の人は誰?」
俺は、ちょっとため息をつくと、その写真を姉から自分の手に取った。
「これはね、ちょっと話せば長いんだけど・・・とにかく、ある場所で撮った記念写真だよ」
「ある場所?記念写真?何かよくわかんないけど・・・女の子が沢山居るわね。そして、何か派手な男の人が一人・・・」
姉は、その写真を興味深げに眺めていた。
そして、石川の隣に写っている女の子を指さした。
「ねえねえ、この・・・ちょっと気の強そうな子は誰?」
「ああ・・・そいつは俺の同級生の藤本だよ。まいの部活の友達でもあるんだ」
「ふーん・・・で、この子達は?」
次に、姉は石川、藤本とは別に二人並んで写っている女の子二人を指し示した。
「それは、りんねとあさみっていうんだ」
続く
>>386続き
「りんねとあさみか・・・で、アンタの隣に写ってるこの派手な男の人は?」
「その人は、つんくだよ、つんく。・・・姉ちゃん、つんくって知らないの?あと、カントリー娘。も・・・」
「さあ・・・それって有名人なの?」
姉はそう言って首を傾げた。
どうやら、姉は本気で知らないらしい。
ハワイ暮らしが長かったため、日本の芸能事情にはすっかり疎くなっているようだ。
「で、この女の人は?」
「つんくのマネージャーの安倍さんだよ」
そう、これは例のオーディションの際に撮った記念写真であった。
オーディションの後に、このような記念写真を撮ったのだが、オーディションの後という事もあってか、皆ちょっと疲れたような中途半端な笑顔で写っていた。
「・・・姉ちゃん、何も知らないんだな」
「だってしょうがないじゃん。外国に行ってたんだから・・・知ってるわけないでしょ」
俺が少し呆れたように言うと、姉はちょっと口を尖らせた。
「ま、確かにそうだな」
「ねえ、この人達っていうのは今流行ってるの?」
「まあね。っていうか、まいがこのカントリー娘。のファンでね・・・」
俺は、まいがカントリー娘。のファンだった事や、このオーディションに至る経緯を姉に話して聞かせた。
続く
>>387続き
「へえ、そうだったんだ・・・何か凄いわね・・・」
俺が話し終わると、姉はすっかり感心していた。
「アンタ、いつの間にか芸能人と知り合いになってたのね」
「うん、まあ・・・とにかく、まいの為にカントリーと石川さんが歌う事になってるんだよ」
「ふーん・・・でもねえ、本当に歌ってくれたりするの?だって向こうも忙しいんでしょ、色々と・・・」
姉は、まだ半信半疑といった様子である。
確かに突拍子も無い話なので、もしこの写真も無いままに話していたとしたら、果たして姉も信じていたかどうか・・・。
「具体的にいつかは決まってないけど・・・でも、間違い無く歌ってくれる事になってるんだよ。それに、俺にちょっと考えが有ってね」
そう言うと、俺は引き出しを開け、ある物を取り出した。
「それ、安倍さんから貰った名刺・・・明日、学校から帰って来たら電話してみようと思ってるんだ」
そう言って俺は、つんくのマネージャーの安倍から貰った名刺を姉に見せた。
続く
>>388続き
「ふーん、何か凄い事になってるのね・・・で、考えっていうのは?」
「また改めて話すよ・・・って、もうこんな時間かよ!」
ついつい話し込んでしまい、あれから1時間近くは経ってしまっていた。
「あらゴメンね、色々と話させちゃって・・・それじゃあ、頑張ってね。まずはテストをしっかりとね」
姉はそう言うと、そそくさと別室に引き上げて行った。
姉が行ってしまうと、俺は改めて開きかけの数学の教科書に視線を落としたが、すぐにパタンとそれを閉じた。
「寝るか・・・」
俺はそう呟くと、今夜の勉強を切り上げ床に就く事にした。
そして、布団に入ろうとしたその時、枕元に置いてあった自分の携帯電話をふと見ると、2通の着信メールが有るのが見えた。
「テスト頑張ってね」「テスト頑張ろうね!」
2通とも、短い文章だったがほぼ同じ内容のものであり、前者は石川からの、後者は藤本からのメールであった。
「そっちも頑張れよ」
俺も短く返事を打つと、そのまま布団に入った。
続く
>>389続き
(一応言っておくと、視点が変わって場面転換しております)
「素っ気ない返事だね」
藤本は彼からの携帯の返信メールを見ると苦笑いした。
もうちょっと何か言い方が有るだろう・・・そう思ったが、いかにも彼らしい。
「さて、もうひと頑張りすっか!」
藤本はそう言うと、再び机に向かい、勉強を始めた。
あまりはかどってはいない為、一夜漬けでもしてやろうというつもりであった。
「そっちも頑張れ、か・・・」
石川は、彼からのメールの返事を見るとちょっと笑みを浮かべた。
石川は今夜は夜勤で病院に居たが、こうして携帯でちょっとでも返事が来るのを見るのは嬉しい気持ちがしていた。
彼とその姉が見舞いに来て以来数日、まいはまた少し元気を無くしているように見える。
同室の亜依が色々とまいを元気付けようとはしてくれているのだが、まいはウンウンと返事はしているものの、自分からはあまり亜依に話しかけてはいないようだ。
石川が病室を訊ねる度、亜依は不安そうな表情を石川に見せていた。
「梨華ちゃん、助けて・・・」
亜依の目が石川にそう訴えかけているように見え、石川はとても辛い思いをしていた。
続く
>>390続き
この日のまいも、何か考え事をする事が多かったようだ。
石川が時折病室を訪れても、ボーッとして天井を見ながら何か物思いに耽っているように見えた。
その目には何が映っているのだろうか・・・そして、何よりもそのまいの目は今はどんな状態なのか・・・。
まい自身が何も語らない為、石川には何も解らなかった。
この日の消灯時間の前、この日最後の検診に訪れた時もまた、まいは何も話はしなかった。
亜依は、そんなまいの様子を悲しげな表情をして見つめるばかりである。
「何とか元気付けてやらなきゃ・・・」
石川の中に、焦りにも似た気持ちが芽生えてきていた。
「石川、まいちゃんの検査な・・・遅くとも25日までにはする事にあったから」
中澤先生に、まいの検査の日取りについて聞いたのはこの日の昼間だった。
「わかりました」
「石川、まいちゃんはどんな様子なんや?」
「それが・・・何か、最近元気無いみたいなんです」
「そうか・・・もしかしたら、何か目の異常にも気付いてきてるのかもしれんな・・・」
中澤先生はそう言ってため息をついた。
続く
>>391続き
「先生、まいちゃんの目は・・・大丈夫なんでしょうか?」
「わからん。とにかく、検査してみない事にはな」
中澤先生は、腕組みをすると難しい表情でそう答えた。
石川は、昼間の中澤先生とのやりとりや、まいのここ最近の様子を思い浮かべると、深いため息をついた。
「どうしたの?ため息なんかついて・・・」
石川と同じくこの日の当直だった保田主任は、石川の様子を見かねてそう話しかけてきた。
「いえ、まいちゃんの事が気になって」
「そう・・・とにかく、貴方までそんなに気に病んだらダメよ」
「はい、すみません・・・」
石川はそう言って頭を下げた。
一体、まいはどうなってしまうのだろうか?
これ以上、辛い目に遭って欲しくはない・・・体の調子は仕方無いにしても、せめて精神的にも落ち込んでいるのだけは何とかしてやらないといけない。
石川はそう思っていた。
続く
というわけで、ちょっと半端なんですけど今回はここまでです。
明日も書けたら書きたいと思ってますが、ちょっとまだ未定です。
今回も読んで頂いてどうも有り難うございます。
作者乙。
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鉄ヲタが混じっているな
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400
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410 :
名無し募集中。。。:04/02/17 13:57
広尾線保存
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保守
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421 :
名無し募集中。。。:04/02/18 13:55
第二の北海道スレ
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保守
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作者ですが、明日更新したいと思います。
お待たせしてどうもすみません。
ほ
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緊急保全
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では行きます。
>>392続き
期末テスト一日目。
初っ端から俺の苦手の数学からのスタート。
それなりに勉強したとはいえ、やはり苦手教科だけあって苦戦してしまった。
それでも何とか答案用紙を埋めたが、終了間際になって名前を書き忘れていたのに気が付き、慌てて名前欄に記入したりした。
やはり、他の事が気にかかっているせいだろうか・・・。
そして2時間目の国語のテストを終え、初日の分は終了した。
「ねえ、どうだった?」
テスト終了後、藤本が俺に声をかけてきた。
見れば、藤本は少し目を充血させているように見え、少しお疲れ気味のようだ。
「うーん、まあまあかな」
「アンタの『まあまあ』はよくわかんないからね」
藤本はそう言って苦笑いした。
「それより、何か眠そうじゃん」
「うん、結構遅くまで勉強したから・・・あんまり寝てないんだ」
「ふーん、まだまだ明日からも試験は続くし、あんま無理すんなよ」
「わかってるって。帰ったら少し寝るよ」
藤本はそう言うと欠伸を噛み殺した。
続く
>>444続き
「一夜漬けはあんまり体に良くないから・・・」
俺がボソッと声をかけると、藤本はジロリと俺を見て
「うるさいなー、美貴もそんな事はわかってるって!」
と言った。
声が少し尖っているのを聞くと、どうやら少々ご機嫌斜めと見える。
「まあ、自分のペースってもんが有るしな・・・じゃ、俺帰るから」
今日の藤本にはあまり関わらない方が良いと思い、俺はそそくさとその場を退散したのだった。
学校からの帰り道の途中、俺は自分の財布に入れておいた安倍なつみの名刺を取り出してみてみた。
そこには、安倍のものと思われる携帯電話の番号も記してあった。
ある事を思い立ち、安倍に電話しようとは思っていたのだが、いつ電話しようか少しためらっていた。
しかし、家に帰って姉に電話の内容を聞かれるのも少し嫌だと思い、俺はその場で安倍に電話をかけてみる事にした。
続く
>>445続き
俺は、自分の携帯を取り出し、名刺に書かれている番号へとかけてみた。
呼び出し音が数回鳴り相手に繋がったが、それは留守番電話だった。
「やはりなかなか捕まらないか・・・」
そう思った俺は、ちょっと咳払いをして電話をかけた用件を告げようとした。
「えーと、実はお話したい事が有るんですが・・・」
そう言いかけた途端、出し抜けに聞き覚えのある安倍の声が聞こえてきた。
「もしもし?ごめんなさい、ちょっと今手が離せなかったもので・・・」
俺はビックリして、一瞬何を言おうとしたのか忘れてしまいそうになるほどだった。
「あ、安倍さんですか?あの、ちょっとお話したい事が有ってお電話したんですが・・・今、お話出来ますか?」
俺は少し慌てながらも、安倍に対してそのように告げた。
「ええ、大丈夫よ。で、何かしら?」
「実はですね、つんくさんに頼んで欲しい事が有るんですよ」
「・・・と言うと?」
「カントリー娘。のライブの件についてです」
続く
>>446続き
「ああ、その節はどうも・・・つんくさん、あのオーディションはとっても楽しかったっておっしゃってたわ。貴方にも改めてお礼を言いたいと・・・」
「いや、それはいいんですけど・・・あの、カントリーと石川さんのライブの日取りって決まってますか?」
「いえ、それはまだ具体的には・・・つんくさんも『予定より早める』とはおっしゃってたけど」
俺はそこで少し息をつくと、こう切り出した。
「あの、そのライブ、クリスマスの日にやってもらえませんか?まいへのクリスマスプレゼントっていう事で。ダメですか?」
俺が一気にそう言うと、少しばかり沈黙が有った。
「・・・そうねー、私の一存では何とも言えないんだけど・・・」
安倍の声に少し戸惑いのようなものが感じられた。
無理もない、いきなりの頼みだったので、安倍も驚いているのだろう。
「何とかよろしくお願いします!僕のワガママっていうはわかってるんですけど・・・何とかまいの為にも、クリスマスに歌って欲しいんです」
俺は、顔の見えない安倍に向かって思わず頭を下げてしまっていた。
続く
>>447続き
「・・・わかったわ。つんくさんに伝えておきますね」
俺の勝手な願いだったが、安倍はそう言って承諾してくれたのだった。
「本当ですか!?どうも有り難うございます!」
俺はそう言って、再び頭を下げた。
「では、折り返しこちらからご連絡したいんだけど・・・貴方、今夜は電話出られる?」
「ええ、大丈夫・・・です」
「それじゃあ、今夜またご連絡しますね」
「よろしくお願いします!」
「・・・全く、アンタには負けたわ。若いっていいわね」
安倍はそう言って電話を切ったが、ちょっと苦笑いしているようだった。
「若い」とはいっても、当の安倍も俺とそんなに歳は変わらないように見えたが・・・それはともかくとして、何とか目的を果たした俺はひとまず安堵していた。
「ただいま・・・」
「お帰りなさい。どうだった?テストは・・・」
「うん、まあまあだよ」
帰宅した俺は、姉に対しても先程の藤本への受け答えと似たような事を言った。
「そう。とにかくお疲れ様・・・アンタ、本当に疲れた顔してるわね。大丈夫?」
姉は、俺の顔を見てそう言ったが、俺が疲れているのはテストのせいばかりでもなかった。
先程の安倍との電話で、すっかり神経を磨り減らしたような気がしていた。
何故こんなに疲れてしまうのだろうか・・・
「俺、あの人の事は苦手なのかな」
そう思うと、少し笑えてきた。
続く
>>448続き
「うん、大丈夫だよ。それより姉ちゃん、何か無い?ちょっと腹減った」
「はいはい。今ラーメン作ってあげるからね」
またラーメンかよ・・・俺はそう思ったが、そんな事はどうでも良かった。
それよりも、今夜かかってくるという俺への電話に思いを馳せていた。
俺は、気が付けばまた無意識に安倍の名刺を眺めているのだった。
「あの人って歳いくつなんだろう・・・」
俺は、何となく姉の方を見た。
安倍は年齢不詳気味だが、恐らくは姉と同じぐらいであろうと思われた。
姉がラーメンを作っている間、俺は自分の部屋に行くと、机に置いてある写真立てを手に取ってみた。
まいの為に、クリスマスライブを・・・そうは言ったものの、果たして実現出来るのだろうか?
俺の思い付きにより、先方には色々と迷惑をかける事になるかもしれないが、とにかくまいを元気付ける方法はこれしか思い浮かばなかったのである。
「ラーメン出来たよー」
姉の声が聞こえると、俺は写真立てをまた机に戻した。
写真の中の安倍は、何だか不敵な笑顔を浮かべているように見える。
俺は少し舌打ちすると、姉の待つ方へと戻った。
続く
すみません、短いんですけど今日はここまでです。
恐らく、明日もまた書くと思いますので・・・。
というわけで今日も読んで頂き、有り難うございました。
作者乙
ほ
ほ
ほ
ぜ
ん
保守
ひ
ご
の
保守
どうも、作者ですが・・・
もう一人の作者さん、見てらっしゃったら打ち合わせスレの方を覗いて頂けますかね?
よろしくお願いします。
それと、書きたい事は頭の中に有るんですけど、今日の所はちょっとお休みします。
ごめんなさい。
ほ
ぜ
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ブレーメン保全
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ぜ
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473 :
名無し募集中。。。:04/02/22 04:12
tesuto
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険
料
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乱歩Rスレ乱立保全
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500
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深夜保全
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∋▼ノハ▼∈
/|\( ´ Д`)/|\ んぁ
⌒⌒ノ つ つ ~ ⌒
←/ ____|
(/ (/
広尾線
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513 :
名無し募集中。。。:04/02/25 12:45
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ぜ
ん
緊急保全
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作者ですが、長らくお待たせしてすみません。
明日は必ず書きます。延期はしません(病気にでもならない限り)ので、お待ち下さい。
ほ
ほ
530 :
名無し募集中。。。:04/02/26 13:04
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川=‘ゝ‘=||<坊西♪
保守
ほ
「さて、そろそろ続きを書くか・・・」
私は、パソコンを立ち上げた。
しかし、それと同時に猛烈な眠気が私を襲った。
「眠い・・・」
とても小説を書くどころではない。
これでは、小説中のまいのようにフラフラになってしまう・・・私は、今夜は続きを書く事を諦める事にした。
「まいが・・・石川が・・・」
私は、頭の中で練られたストーリーを反芻しつつ、いつの間にか眠りに落ちていた。
「早く続きを書けよ」
何処からか、まいや石川の声が聞こえてくる・・・私は悪夢の霧の中に居た。
↑下らない雑文でお茶を濁してスマソ。
今夜はちょっと無理っぽいのでお休みします。
でも「今日中」っていう約束通り、本日中には更新する予定なのでよろしく。
Mステの時間辺りには書けると思います。
ほ
ほ
昼保全
ほ
ほ
ほ
ほ
ほ
保守
Mステ保全
>>540 お疲れ様です
続きいつまでも待ちますので頑張ってくださいね
ほ
川=‘ゝ‘=||<鶴岡♪
お待たせしました、では行きます。
>>449続き
まいの検診を終え一息ついている所で、携帯電話の着信音が聞こえてきた。
「誰だろう・・・」
石川は、少し訝しげに携帯を取り出した。
見れば、登録していない番号からの電話のようだ。
しかし、何処かで見覚えの有るような番号でもあった。
「はい、もしもし・・・」
石川は少し不審に思いながらも、電話に出てみた。
「もしもし、こんにちは。つんくさんのマネージャーの安倍なつみですが・・・」
電話口からは、聞き覚えのある安倍の声が聞こえてきた。
「ああ!ハイ、どうもお久しぶりです・・・」
思いもよらない人物からの電話に、石川は少し狼狽した。
「その節はどうも・・・ところで石川さん、今ちょっと大丈夫かしら?」
「え?あ、はい、少しなら大丈夫ですが・・・」
「そう、良かった・・・実はね、ちょっとお話しておきたい話が有って電話したの」
「はい、何でしょうか・・・」
石川は少し緊張した様子で、安倍の話に耳を傾けた。
テストの疲れからか、いつの間にか寝入ってしまっていたらしい。
その事に気が付いたのは、俺の枕元においてあった携帯電話が鳴った時であった。
「うーん・・・」
その音に起こされた俺は、まだボーッとしている頭を懸命に働かせようとした。
「誰だよ、うるせーな・・・」
俺はブツブツと独り言を呟いたが、それと同時にある事を思い出していた。
「そうだ、安倍さんからの電話・・・」
その事に意識が及ぶと、俺は慌てて電話を取った。
「もしもし・・・」
続く
>>555続き
「よお、久しぶりやな」
すると、聞こえてきたのは安倍の声ではなく、あの男の妙に明るい声だった。
俺は一遍で目の覚める思いがした。
「あ、どうも・・・つんくさん、お久しぶりです」
「何や、寝とったんか。ちょっと声が変やな」
「え?はい、あの・・・ちょっとテスト勉強をしていたもので」
「ふーん、そうか・・・学生さんは大変やなあ」
相変わらず、つんくは掴み所の無いような話し方をしていた。
「あの、さっき安倍さんにお電話したんですが・・・実は、ちょっとお願いしたい事が有りまして・・・」
「おー、その事についてはさっき安倍から聞いたで。そうか、クリスマスライブな・・・」
どうやら、安倍はつんくに話してくれたらしい。
俺は少し安心した。
しかし、それと同時に、つんくがこの頼みを聞いてくれるものかどうか不安でもあった。
「あの・・・まいの為にやって欲しいんですけど・・・ダメですか?」
俺は、恐る恐るつんくにお伺いを立てた。
続く
>>556続き
すると、案に相違してつんくの笑いを含んだ声が聞こえてきたので、俺は少し驚いた。
「いやいや・・・実はなー、俺と同じような事を考えとったんやなあと思って、ちょっとビックリしたわ」
「というと・・・」
「いや、オーディションの時にもちょっと言うたけどな・・・ライブは出来るだけ早めにやりたいって思っとったわけや。出来れば年内に、と・・・そこで色々考えとったんやけど、そこで君からの電話が有ったと。まあ、こういうわけなんやけどな」
「そうだったんですか。じゃあ、引き受けてくれるんですね!」
俺は、つんくのペースに巻き込まれながらも、少し興奮気味にそう訊ねた。
「勿論!クリスマスライブとは良いアイディアやな。俺の中でも案は固まったわ。ま、後は大船に乗ったつもりでな。俺に任せときぃや」
つんくは力強くそう言ってみせた。
「あ、有り難うございます!」
俺は、顔を紅潮させ、電話の向こうにいるつんくに向かって頭を下げた。
「いや、礼なら安倍に言ってくれ。安倍がな、熱心に言うとったで。『彼のお願い、聞いてやって欲しい。私も、何とか彼の力になりたい』ってな。ま、安倍にあそこまで言われたら断るわけにもいかんやろ?」
つんくは少し冗談っぽく言ったが、俺はハッとする思いだった。
そうだったのか、安倍がそこまで言ってくれたとは・・・。
続く
>>557続き
「それでな、石川さんにも伝えておいてくれたらしいわ。石川さんも最初はちょっとビックリしてたみたいやけど・・・クリスマスライブの件、OKしてくれたらしいで」
「そうだったんですか・・・安倍さんには何てお礼を言って良いか・・・」
俺は思わずそう言ったが、つんくは「それ、安倍に言ったら喜ぶと思うわ」と、少しからかい気味に言った。
俺は、先程まで安倍に抱いていた自らの感情を少し恥じ入った。
どうやら、俺は安倍の事を誤解していたようだ・・・本当は熱い人なんだな。
俺は、言葉には尽くし難い感謝の気持ちを安倍に抱いていた。
「ま、そういうわけやから・・・そうそう、この件について早く石川さんとも話しておいてな」
「はい、わかりました」
「それじゃあ、また・・・何か有ったら気軽に連絡してくれな」
つんくは最後にそう言うと電話を切った。
何から何まで、夢か幻だったのではないか・・・俺は、電話を切った後も暫くそんな気がしたが、ともかくこの計画が動き出したのは確かなようだ。
「それにしても、不思議な人だよ・・・」
俺は、机の上の写真立ての中の安倍の顔を何となく見つめていた。
続く
>>558続き
石川は、安倍からの電話を終えた後も暫くドキドキしていた。
それは、ちょっと意外な内容だったせいもあるが・・・
「石川さん、まいちゃんの為にも、このクリスマスライブを是非成功させましょう!」
安倍は、前に会った時とは少し印象が違い、熱っぽい口調で石川に語りかけた。
「まいの為に、クリスマスライブをやる」という内容もさる事ながら、安倍の語り口調にも驚いていた。
まいの為にライブをするというのは既に決まっていた事ではあったのだが、それがこんなに早くやって来るとは・・・。
正直、石川はまだ心の準備は出来ていなかったが、安倍の口説きに押された事と、ここ最近のまいの元気の無い様子に思いが及ぶと
「はい、やります」
と、二つ返事で引き受けてしまったのである。
よくよく考えてみれば無鉄砲な事かもしれないが、それよりも何か昂揚した気分にあるのも確かだった。
「とにかく、まいちゃんの為にも頑張らないとね」
胸のドキドキが少し収まると、石川はそんな風に呟いていた。
続く
>>559続き
つんくとの電話を終えた俺は、暫くして後に石川に電話をかけてみた。
「もしもし・・・」
「あ、石川さん、俺だけどさ・・・ライブの事なんだけど」
「うん、聞いたよ・・・何か凄い事になってるのね」
石川は少し苦笑いしていた。
「うん、まあ元はと言えば俺の思い付きだし・・・石川さんにも迷惑かけると思うけど・・・」
「ううん、いいの。それに、私もそろそろ何かしたいなって思ってたところだから」
「え?どういう事?」
「うん、実はね・・・最近のまいちゃん、元気が無くて困ってるの」
石川は少し声を落とすと、まいが最近すっかり元気を無くし、どこか上の空の状態である事を俺に話してきかせた。
どうやら、先日俺と姉が訪ねて行った日以来、ずっとそんな調子らしい。
「そうか・・・何とか元気づけてやらなきゃな」
「うん、その為にも何とかライブ成功させなきゃね・・・でも、一体どうやってライブやるのかな。何か聞いてる?」
石川にそう言われて改めて気が付いたが、思えば具体的な事は何一つ決まっていなかった。
つんくに任せる他は無いのだが、一体どんなライブになるのか・・・。
「まあ、何とかなるよ」
俺も、甚だ無責任な返答をする以外になかった。
続く
というわけで、半端なんですけど今回はここまでです。
また近い内に続きを書きますので、少々お待ち下さい。
今回も読んで頂きどうも有り難うございました。
更新乙
作者乙!
ほ
ほ
566 :
名無し募集中。。。:04/02/28 11:52
C⌒ヽ
⊂二二⊃
(*´ Д `) ♪ごとぅの「ご」の字は
((ノ G /))
(( ( _ |
∪ U
C⌒ヽ
⊂二二⊃
(´ Д `*) ♪どうやって書くの?
((ヽ G ())
| _ ) ))
U U
C⌒ヽ
⊂二二⊃
( )
((ノ /)) ♪あ、こうやってこうやって
(( (O_.|
∪ U
C⌒ヽ
⊂二二⊃
( ) ♪こうやって書くの
((ヽ ())
| _O) ))
U U
ノノノハヽ
(*´ Д `) <ごとぉのしぇしーなダンスはどうてん君には刺激が強すぎるかもよ? ヌハー
ほ
ほ
ほ
ほ
ラディンタイ━━━━||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||━━━━ホ!!保全
おとめコンで石川はナース役をやっている
>>555-561 ☆ノノハヽ
川=‘ゝ‘=|| ◎(■~ 乙です♪
( ⊃ ̄ ̄
(_)_)
ほ
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深夜保全
ほ
ほ
ほ
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ほ
ほ
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591 :
名無し募集中。。。:
ほ