2 :
クリスタル聖闘士 ◆1G/2get1p. :03/10/16 02:57
矢口生きれ!!
矢
死んだ
5 :
名無し募集中。。。:03/10/16 03:04
川VoV从 <だめだこりゃ
学園祭物、いってみよ〜!
「はぁ!?中止ぃ!?」
教師の説明の途中で美貴は声を張り上げた。
今日は学園祭の最後を締めくくる体育祭の日だ。
にもかかわらず、外は嵐のような天気。
俺たちは全員、延期になるものだと思っていたが…
「落ち着け、藤本。そうなる可能性もあるってことでな…」
「絶対嫌です、そんなの!」
教師の説明によると、今日中に3年の劇だけ行い、
体育祭の競技は中止となる可能性があるらしい。
つまり俺達2年は何もすることがないって事だ。
「せっかく今まで練習してきたのに、そんなのってないじゃないですか!」
こういうイベントが大好きな美貴は、人一倍抗議していた。
俺たちも、こういうイベントは嫌いじゃない。むしろ好きだ。
クラスのみんなは、教師に冷たい視線を投げかけた。
普段は協調性がまるでないのに、こういうときにはみんながまとまる。
俺はそんなこのクラスが大好きだ。
まあ、美貴が先頭に立たなければこんなに上手くはいかないのだろうが。
「ヴウン…、まあ、今から職員会議でどうなるか決定するから、
お前らおとなしくしとけよ!特に藤本、妙なことするんじゃないぞ!!」
美貴はその教師の言葉が聞こえないかのように、そっぽを向いていた。
「ねえ、今から校長のとこに行こうよ。」
中止騒動で覚めやらぬ教室で、美貴が話し掛けてきた。
「はぁ?何しにだよ?」
「何しにって…決まってんじゃん。直談判して、延期にしてもらうんだよ。」
教師から言われたばっかりだってのに…
まったく、こういう後先考えずに行動するところは昔から変わってない。
そして、俺はいつも美貴のブレーキ係だ。
「いいぜ。お前ひとりだと暴走しそうだしな。」
「さんきゅ!頼りにしてるよ。」
そりゃこっちのセリフだ。美貴さえ隣にいれば俺はなんだって出来る気がする。
美貴ならどんな無理なことでもやってくれそうな気がする。
頼りにしてるぜ、相棒。
そして俺たちは、校長室へと向かった。
山崎校長は、ひとりでのんきな顔をして柔らかそうないすに腰をおろしていた。
俺はこいつが大嫌いだ。一度も校長などと思ったことはない。
いかにも底が浅そうなしゃべり方、醜く太った体、むかつく顔。
いつも笑っているのだが、それは俺には汚い笑顔にしか見えなかった。
「こんにちはぁ〜!!」
いきなりでかい声で美貴が言った。
山崎は飛び上がった。いや、比喩でなく、本当に。
俺は笑いそうになるのを必死でこらえた。今年一番のヒット。
「な、何だね君たちは!?今は教室で待機のはずだろう?」
「2年D組、藤本です!」
「付き添いです。」
こいつに名前を覚えられるなんて絶対嫌だ。
「ほぉ〜、君があの藤本君かぁ、ま、噂は色々ときいとるよぉ…」
こいつが言うように美貴は何をするにも目立っていて、教師の評判もよろしくない。
それにしてもいやらしい声だ。おい山崎、お前のその目つきは教師の生徒に対するモンじゃない。犯罪に近いぞ。
美貴はそんな山崎の様子を全く意に介さず、凛として立っていた。
まあ、山崎がまじまじと見るのも仕方ない。美貴は話題性と同じく美貌もトップクラスだ。
大きな眼、すっきりと高い鼻、スタイルもいい。
それにしても顔ちいせえなぁ。…と思ったところで、いつのまにか美貴に見とれていた自分に気がついた。
あほか、俺は。これじゃ山崎と同類じゃねーか。
最近どうも美貴を女として意識することが多くなったな…
美貴の前ではいつも、「お前、もっと女らしくなれよ」なんていったりしてるのだが。
そして美貴のワンパンをくらう。お決まりのパターンだ。
キタ━(´・ω・`)━( ´・ω)━( ´・)━( )━(・´ )━(ω・´ )━(`・ω・´)━!!
このスレは優良スレです
だめだこりゃ
「それで、その藤本君が私に何の用かね?」
山崎が美貴を上から下まで舐めまわすように見ながら言った。
こいつ、ぶん殴ってやろうか。
「体育祭を中止にしないで下さい。」
美貴の声を聞いて俺は我に帰った。俺が冷静でなくなってどうする。
「ああ、その話かね。まあ、君たちの意見を出来るだけ取り入れるつもりだよ…」
山崎はようやく美貴から目を離し、いすにどかっと座った。
「じゃあ、延期になるんですよね!?」
美貴が期待いっぱい、といった様子で言った。
確かに、外は雨がやみそうにない。すべての日程を行うには延期しかないだろう。
「いいや、延期はしない。今日で出来る限りのことを行う。」
今までとはうってかわって、はっきりとした調子で山崎が言った。
こいつ、本物のアホか?そりゃ、ほとんど中止って意味じゃねーか。どこに俺らの意見を取り入れてんだよ。
「そんなの、中止のようなもんじゃないですか!そんなの嫌です!!」
「嫌って言われてもねぇ。」
「ぜっったいに嫌です!!!」
やばい、美貴がヒートアップしてきた。さて、助けてやっかな。冷静に、冷静に。
「何で延期しないんですか?延期してすべての競技をしたほうがみんな喜ぶと思いますけど。」
美貴が俺のほうを見た。そんなすがるような目をするなって。気合入るだろーが。
「延期すると色々大変だろぉ〜、来賓の方々にも予定は今日として伝えてあるわけだし…」
所詮はてめーらが面倒くさいだけだろうが!…だめだ、冷静、冷静。
「体育祭の主役は来賓の方々じゃなくて僕たちでしょう?極端な話、僕達だけでも体育祭を行うのは可能なはずです。」
「おまえなぁ、そんなことできるわけないだろ。お前らにはわからんだろうが色々とあるんだよ。」
「そんなのわかりません!!」
美貴が目に涙を浮かべながら叫んだ。冷静、れいせ…もう無理だ。
美貴の涙を見せられて冷静でいられるほど俺は大人じゃない。
「もし、これからの決定で俺達に後悔が残ったら、俺はお前を一生許さない。」
山崎も美貴も、俺のいきなりのこの言葉に一瞬あっけに取られていた。
「こ、校長に向かってお前とはなんだ!!」
黙れ山崎。
もうこれ以上ここにいる意味はない。
「美貴、こんな奴と話してても無駄だ。いくぞ。」
だが美貴は、涙目ではあるがしっかりした目つきで俺を見つめ、
「ううん、私、もうちょっとお願いしてみる。」
と言った。俺はその目を見て、ここの場は美貴に任せることにした。大丈夫、美貴は強い。
「そうか。」
おれはそういって、校長室を出た。
教室に帰るまでの間、俺はずっと考えていた。
何とか美貴の願いを叶えてやりたい。美貴を泣かせた山崎を許すわけにはいかない。
美貴のために、俺が出来ること。
10分後、校長室の前には黒山の人だかりが出来ていた。
全校の半分くらいは集まっていたと思う。
「校長〜!出てこいよ!」
「みんな延期を望んでんだよ!!」
「藤本、がんばれ〜!!」
――――教室に帰ってから、俺は校長室での山崎のむかつきぶりをみんなの前で話した。
「…そういうわけで、山崎の奴絶対延期はねーとかほざきやがった!
みんな、そんなの許せねーだろ!!?」
俺は自分でも意外なほどに熱くなっていた。美貴の熱がうつったのかもしれない。
すると、みんなから「そうだー!!」だの「校長さいてー!」だのという声が返ってきた。
「今校長室では美貴が頑張ってる。俺らも行こーじゃねーか!!!」
「おぉー!!」
あとは雪だるま式だ。みんな、体育祭に込める思いは同じなんだろう。――――
騒ぎを聞きつけて、会議中の寺田先生がやってきた。
山崎とは違って、結構話のわかる奴。生徒の人気も高い。
「おい、お前らどうしたんだ!」
「せんせー、延期にしてくれよ!ここにいるみんなそれを望んでんだよ!」
「おまえら、そんなに…分かった、他の先生達にお前らの気持ちを伝えよう。」
寺田先生は一旦会議室へと戻り、しばらくしてからやってきた。
「みんな聞けー!体育祭は、先生方、延期で全員一致だ!!」
みんなから歓声が上がった。
「もともと、延期派の方が強かったんだが、お前らのが駄目押しになったんだ。
…そういうことでよろしいですね〜?校長?」
校長室から、赤い顔をした山崎と、満面の笑みの美貴がでてきた。
「もう勝手にしろ!わしは知らん!」
それですむわけねーだろ。
さてと、仕返し開始。
「こうちょー、みんなに謝ったほうがいいんじゃないですかぁ?」
ボソッといってやった。
「そうだ!みんな延期はないとかいわれてスゲー心配したんだぞ!」
「土下座!土下座!」
どこからともなく土下座コールが始まった。みんなナイス。
「おいおい、お前らあんまり調子に乗るんじゃない!」
寺田先生はそういったが、顔が笑っている。どうも山崎は教師たちにも受けが悪いらしい。
全く、救いようがない。
山崎は最初は相手にしていなかったが、土下座コールが鳴り止まないのを見て、
ついに観念したかのように両膝を突き、頭を下げた。
みんなからひときわ大きい歓声が上がった。
山崎は顔をさらに赤くして校長室へと逃げ込んだ。いい気味だ。
美貴を泣かせた罪はこんなもんじゃ償えないが、まあ、美貴の笑顔に免じてこのくらいで許してやるか。
さて、その美貴はというと、人にもみくちゃにされていた。
まあ、ヒーローのようなものだ、その扱いは当然だろう。
みんなにちやほやされている美貴が少し遠く感じられたそのとき、ふと美貴と目が合った。
美貴は、にかっと笑って俺に向かって親指を上につきたてた。
俺も、美貴に向かって親指を上につきたてた。
二人の間に言葉は要らない。やっぱり、美貴と俺は相棒だ。
帰り道、俺と美貴はいつものように一緒に帰っていた。
「悪かったな、校長室にひとりにして。」
「いいよ、べつに。それに、絶対あんたなら何とかしてくれるって思ってたし。」
こいつ、こっぱずかしいようなことを真顔で言いやがって。
「それにしても、美貴がそんなに体育祭に情熱を持ってたとはなー。」
「なによ、あんたもじゃないの?」
「いや…」
「はぁ!?だってあんたあんなに頑張ってたじゃん。」
「俺は山崎が嫌いなだけだ。」
「…」
「なんか俺悪いこといったか?」
「いいよ、別に!」
美貴は、心なしか早足になった。しょうがない、俺もこっぱずかしいこと言ってやるか。
「美貴がそう望んでたんだろ?理由はそれで十分だ。」
「…」
「照れてんじゃねーよ。」
「照れてないわよ!!」
「分かった分かった、ムキになんなよ。」
俺達の家の前までやってきた。分かってると思うが同棲しているって意味じゃない。
「じゃあな」
「…ねえ、明日、朝8時に学校ね!」
「8時!?体育祭は9時からだろ?」
「練習すんのよ!」
練習?何のことだ?
「あんた、明日あたしと二人三脚に出るでしょうが!その練習!」
「えっ、そうなの?」
「知らなかったの?まったく…あたしは今日そのために頑張ったのに!」
「え?お前それってどういう…」
「じゃあね!明日、遅れたらぶっ飛ばすから!!」
そういって美貴は家に駆け込んだ。
俺との二人三脚のため?んなあほな。と思いつつ自然とほほが緩んだ。
こりゃ、明日は気合いいれねーと。
そして、体育祭本番、二人三脚の時間がやってきた。
「さ、がんばろ〜ね〜!…ってあんた、大丈夫?」
「あ、ああ…」
別に体調が悪いわけではないのだが…
美貴の太ももが俺の足にあたって…
「何へっぴり腰になってんのよ!ちゃんと走らないと承知しないからね!」
分かった、分かったから腕をそんなに引っ張るな…胸にあたる…
状態、さらに悪化。
だ、だめだこりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!
終わりです…遅くなってすいません。
読んでくださった方、ありがとうございました。
お前ら狼でまでやらなくてよくね?
24 :
名無し募集中。。。:03/10/16 08:27
hozen
25 :
名無し募集中。。。:03/10/16 08:32
お前の髪の毛みたいに体育祭が消えてなくなっては困るんだよ
>>23 この羊や狩的な空気を「だめだこりゃ」が見事に狼の空気と中和させているんだよ。
27 :
名無し募集中。。。:03/10/16 11:19
川VoV从 <山崎だめだこりゃ。
28 :
名無し募集中。。。:03/10/16 13:15
萌えスレ保全
29 :
名無し募集中。。。:03/10/16 15:45
とりあえず保管サイト必要だろ
ログとっといてまとめるだけで十分だと思うし
30 :
名無し募集中。。。:03/10/16 15:55
出番だよー
31 :
名無し募集中。。。:03/10/16 16:49
これから告白するのか。何とか逃げられないかな・・・。亜弥ちゃんの事だから
逃げても無駄だろうなー。
頭の中でもやもやとした想いが絡み合って、何が何だか分からなくなっていた
そんな美貴の気持ちを知らないあいつは元気良く手を挙げていた
俺 「ハイ!」
中澤先生「よし、○○。答えてみろ」
俺 「分かりません!!」
中澤先生「そのままそこで立っとれ」
クラス中に笑いが起きる。
また、あいつバカな事やってるよ。あーぁ、何であんなのが好きなのかな・・・
ってか気づいたら、また目で追ってるし。美貴、熱でもあんのかな
力なく、机の上に頭を預けて混沌としたまま、時間が過ぎてくのを待った
そして放課後
32 :
名無し募集中。。。:03/10/16 16:50
亜弥「美貴タン、美貴タン」
美貴「言わなきゃ・・・ダメ?」
亜弥「もう、何いってんの!!こういうのは勢いが肝心なんだよ?」
そんな事を話していると、あいつがやってきた
俺 「美貴、帰ろうぜ」
亜弥「どうぞ、どうぞ、持っててください」
亜弥ちゃんに軽く肩を押し出された。そして美貴に向かってウィンクをする
俺「・・・?」
美貴「い、行こうか」
帰り道、自分でも分かるぐらい不自然だった。笑ってても目が笑ってない。動きが堅い。
上手く言葉が出てこない。自分でも分かるんだから、外から見たら不審者じゃん!
そしてもう一人、後ろを歩く不審者
|電柱|。‘从 <あ〜もう〜。美貴タンしっかり!!
俺 「なんかさ、今日のお前怪しくない?」
美貴「怪しいってなんだよ(やっぱり?)」
気づくと人通りが少ない路地に入っていた。ここしかないと思ったけど
やっぱり怖いよ〜 でもここ過ぎたら家着いちゃうし よ、よし・・・
33 :
名無し募集中。。。:03/10/16 16:51
美貴「ね・・・ねぇ」
俺 「ん?」
美貴「ちょっと話があるの」
俺 「なんだよ、いきなり」
美貴「あのね、えっと・・・」
俺 「なんだよ?」
美貴「・・・多分・・・すき」
俺 「はぁ?」
美貴「いやだから美貴はあんたの事を・・・す・・・隙だらけだって言ってるの!」
あたしは何を言ってるの〜?
俺 「いや、ますます意味分かんないし(笑)」
美貴「あ〜今のはね、なし!なし!」
俺 「お前大丈夫か?(笑)」
大丈夫じゃないよ〜。お前のせいなんだよ。お前のぉ〜川ToT从
34 :
名無し募集中。。。:03/10/16 16:51
ナチ姉「あら、あんた達、今帰りかい?」
俺 「あっ、こんにちは。」
ばったりと路地で出会ったナチ姉と合流してしまった
もうダメじゃーん。「空気読んで」って。あっち行ってよ
3人になってしまい、もちろん告白の機会を失ってしまった
そして何事もなく家に到着。あいつはナチ姉にペコリと頭を下げると
俺 「じゃあな」
美貴「うん・・・バイバイ」
そのまま別れを告げた。そして一気に全身の力が抜けた
美貴の苦労は一体なんだったんだ。ナチ姉のバカバカバカバカバァーカァァァ
もうほんとにだめだこりゃぁぁぁぁぁ
一方、もう一人の不審者は
警察「キミ、何してるの?」
亜弥「恋のキューピットです」
警察「何を言ってるんだ?」
亜弥「いや、だから前の二人の・・・・居なくなってるし」
警察「ちょっと署まで来て貰おうか?」
亜弥「ちょい待って!ストップ。ストップ!あたしは恋のキューピットなんですよ?」
警察「言い訳は署で聞くから」
亜弥「美貴ターン 」
こっちもだめだこりゃだった。
35 :
名無し募集中。。。:03/10/16 16:53
コント風に仕上げてみたけど、どうですかね?
結構、実験なんですけど。やばい?
36 :
名無し募集中。。。:03/10/16 16:54
途中のAAは味があって良かったぞ。
俺は嫌いじゃない
いい腕持ってる作者も禁断の言葉のおかげであやや同様のオチになるわけだな
38 :
名無し募集中。。。:03/10/16 18:20
>>34 美貴視点の作家さんでつね。
美貴たんの告白いいよ〜いいよ〜。想いが通じる日が来るのかなw
最後のコント風なのは緊張感あるストーリーの後だからコミカルに受け入れられた。
だめだこりゃ。
>>40 乙。
ところで「・・・」に意味はあるの?
>>40 お疲れ様です。週末にでもゆっくり読み返してみます。
43 :
名無し募集中。。。:03/10/16 20:57
44 :
名無し募集中。。。:03/10/16 21:22
ずっこけシリーズをまた読んでしまったw
人間関係が上手いんだよなぁ。勉強になるな
46 :
名無し募集中。。。:03/10/17 00:01
清々しいある日の朝。
隣のクラスの石川さんが、軽くステップを踏みながら教室に入ってきた。
「おはようっ! ズッコ……!? ……ッ!!!」
石川さんが石化してしまった。
そりゃそうだ。校内でも評判の喧嘩バカふたりにガン飛ばされて、平静でいられるほうがおかしい。
俺は両者の斜め後ろ……つまり水戸黄門でいう黄門様の位置に座っているわけだから、
教室の前の出入り口から入って俺の席に到達するには、格さんと助さんの強靭な壁を越えてこなければならないのだった。
「石川さん、おはよ」
「オハヨー」
「う、うん、おはよう……ございます」
助さん格さん、もとい美貴スケとゴマキさんが、固まっている石川さんに挨拶した。
石川さんは体を強張らせたまま、引きつった笑みを浮かべながら挨拶を返す。最後は敬語だった。
……いや、なにもそこまで怖がらなくても。
「オッス、石川さん」
「おはよう。席替えしたんだね。なんか……うん、凄いね」
「ハハ。それより、なんかあった?」
「あ。うん、借りてたCD返そうと思って。はい、これ」
「おう、サンキュ」
「んぁ。なに、なんのCD? おとーさんちょっと見せて」
「……『おとーさん』?」
石川さんが奇怪そうな顔をして、割り込んできたゴマキさんを見た。
「クラプトンのベスト。今度12月に日本に来るんだぜ」
「ほぉほぉ。洋楽なんだ。あたしも聴いてみたい」
「じゃ、これ持ってけ。有名な曲ばっかりだから聴きやすいんじゃねーかな」
「ホント? アリガト〜おとーさん」
クラプトンのアルバムを胸に抱えて、ゴマキさんが満面の笑みを浮かべた。
猫みてーだな。俺の顔も自然に笑ってしまう。
「ところでどの曲がよかった? 石川さん」
「…………負けないわ」
「……え?」
「そろそろ教室に戻るね。また来るから…ばいばい」
どこか強ばった表情で、石川さんは帰っていった。
どうしたんだ一体。
「ホラ、オメーラがガン飛ばすから石川さん怯えて帰っちゃっただろ」
「うん。わかってやってたし。
ていうかあんまり親切にし過ぎると、石川さんが勘違いするから気を付けな」
「んぁ? どーゆうこと?」
ゴマキさんは、俺が石川さんに告られた経緯を知らない。
美貴スケは「ちょっとね」と言って会話を打ち切った。
石川さんとは友達程度なんだけどな。美貴スケのほうこそ男の遊び仲間多いじゃねーか。
石川さん、あの様子だともう来ないかもな…。
しかし次の日、俺の予想はあっさり裏切られた。
石川さんは颯爽と教室に現れると、まず俺の前にそびえ立つ双璧に手を振って挨拶をした。
「おはようっ! ミキティ! ごっちん!」
「ミキティ?」
「ごっちん?」
「今日も一日、頑張ろうねっ!」
「……どうしたの、石川さん?」
「おはようズッコケ君っ! 私、絶対負けないからっ!
イヤなところがあったら何でも教えて? ね? ねぇ?」
……一体石川さんの身になにが起きたんだろうか。
通常よりもだいぶはっちゃけてしまった石川さんがそこにいた。
両手を合わせて、身をよじらせている石川さんをしげしげと見つめて、美貴スケがぽつりと言った。
「キモイ」
だめだこりゃ…
51 :
wacc3s3.ezweb.ne.jp:03/10/17 01:20
ギモタア
↑キモイキターって書きこんだつもり。
携帯から書き込むとたまに変になるんだけど…なして?
なんだよギモタアって…。
ノノノハヽ
川VvV) <ギモタアかよっ!
/ U つ ビシッ
し'⌒∪
54 :
名無し募集中。。。:03/10/17 02:02
名スレだと思ってるが、ネタ切れてきたりしたら(´・ω・`)
55 :
名無し募集中。。。:03/10/17 03:36
川VvV从<だめだこりゃ保全
56 :
名無し募集中。。。:03/10/17 04:25
作家ガンガレ!!
ノノノハヽ
川VvV) <Huhhhhhhh!
/ U つ ビシッ
し'⌒∪
58 :
名無し募集中。。。:03/10/17 09:03
>36-38
評価ありがとん。悪くなかったみたいですね。
ふ〜
ノノノハヽ
川VvV) <保全カヨ!!
/ U つ ビシッ
し'⌒∪
俺はメガネを掛けている。
しかし、今日の体育の授業でバスケをしたのだが
顔面パスをもらい意識と共にメガネが粉々に砕け散った。
で、保健室で俺は目覚めた。
「おぉ○○、起きたか。えらい鈍いんやなぁ、自分。」
養護の中澤先生だ。
「ちょっとよそ見しまして…」
「なぁメガネ壊れてもうたで…どないするん?視力弱いやろ?」
そう、俺は近視の上に乱視でメガネが無いと生活できない…
「美人な中澤先生の顔もぼやけて見えません…」
お世辞を言ってみた
バシバシッ
肩を思いっきり叩かれた
「いややわ〜。ホントのこと言わんといて。で、どうする?帰ってもいいで?」
「いや…視界が悪いんで美貴と一緒に帰ります。」
「ん?美貴?藤本か?なんや二人付き合ってんか??」
「いや、おさな馴染みの腐れ縁です。」
「そうか、じゃああとで藤本に知らせとくわ。もうちょっと寝とき!」
ZZZ
夢の向こうで美貴が呼んでいる
「おーい!○○平気か?」
美貴が覗きこんできた。
「あちゃー。痛そうだなぁ…ぼけっとしてるからだぞ。よし帰るぞ。」
「おう。いつつ…」
「きぃつけて帰るんやで。藤本、○○よろしくな!」
「はーい。じゃさよなら中澤先生」
「ありがとうございました。失礼します。」
「きぃつてけてな。」
美貴と腕を組みながら家まで帰った。
「もうすぐ階段だぞ。」
「犬のうんちに注意!」
いつもより優しい美貴
…たまにはボールに当たるのも悪くないと思った…
だめだこりゃ
レス遅れましたが
>>40 乙です!
帰宅してこのスレを読むのが今一番の楽しみ・・・
63 :
名無し募集中。。。:03/10/17 18:57
川VoV从 <保全だこりゃ。
64 :
名無し募集中。。。:03/10/17 21:50
40は神
日の当たる場所にいた。
俺は授業をサボって屋上に寝転んでた。
空がとても青い。
内ポケットにいつも入れてあるトランジツタラジオ、
じゃなくてMDプレーヤーで音楽を聴いていた。
ヘッドホンから洩れる音が空にとけていく。
何か悩み事がある時、一人でボーっとしたい時はいつもこうしている。
とても気分がいい。
教室にいる時も家に帰ってからもいつもアイツが隣にいる。
決して悪い事じゃない。イヤじゃない。
幼なじみで小さい頃からずっと一緒だから気心も知れてる。
俺はアイツを、アイツは俺を知っている。
でも時々本気で鬱陶しくなる時がある。
うるさい。
静かにしろ。
アイツのキツい性格もガマンできなくなる事もある。
殴るな。
女の子らしくしろ。
そんな事を考えていた。
ボーっとしたくてここに来たのに結局アイツの事を考えてる。
ヘッドホンのせいで後ろから近づく足音に気づかなかった。
「おっ、サボり常習犯○○発見!」
アイツが来た。
>>65の続き
「やっぱりここだ」
美貴は俺から乱暴にヘッドホンを取り上げると嬉しそうに笑った。
「なんでわかったんだ?」
寝転んだままで俺は聞いた。
「あんたの考えてる事なんか全部お見通しよ。付き合い長いからね〜」
立ったまま腕組みしながら得意げに答える。
「ああ、そうかよ」
「なんかご機嫌ななめのようね。それともなんか悩み事?
わかった!恋の悩みだろ。そうかそうか。う〜ん青春だね。」
空を見上げながら一人で勝手に納得している。
こうして見てると十分すぎるほどかわいいんだけれど
コイツのきついくて自分勝手な性格はなんとかならんのか。
「んっ?」
俺はある事に気が付いた。
少し迷ったけれど思い切って口を開いた。
「美貴」
「ん?」
美貴が俺の顔を覗き込む。
「パンツ見えてるぞ」
バキッ!
イテテテ・・・、思いっきり顔面踏まれた。
だめだこりゃ!
(・∀・)イイ!!
>>65トランジツタラジオ→トランジスタラジオ
>>66コイツのきついくて→コイツのきつくて
誤字ゴメン、だめだこりゃ。
俺は病院のベットで目覚めた。
どれくらい寝たんだろうか?
とりあえず体は動くようだ。
俺はあの日、美貴と文化祭の準備で夜遅くまで学校に残っていた。
準備もようやくおわり、二人で家路についた。
帰りにコンビニにより、他愛ない話をしながら帰っていたのだが
事件はそのとき起きた。
大きな交差点に差しかかり渡り始めた時、信号が点滅し始めた。
「おい、美貴早く渡るぞ!」
「よし!向こうまで競争だ!」
横断歩道をちょうど半分まできたとき後方から
大型のトラックが猛スピードで左折してきた。
俺はとっさに美貴を前方に突き飛ばした。
そこから記憶が無い。
まわりには誰もいなかった。
とりあえず状況がわからないので病室から出てみた。
体は意外に軽かった。
ただ、頭が痛い。
しばらく歩くと、『藤本美貴様』と書かれたプレートがあった。
どうやら美貴も怪我をしてしまったらしい…
病室に入ると美貴は頭に包帯を巻き眠っているようだ。
隣で美貴のお母さんが手を握っている。
「美貴…」
お母さんは何日も看病していたのであろう。
疲れ切っている。
俺は静かに美貴の病室を後にした。
朝だろうか?
目覚めると俺は自分の家のベットに寝ていた。
寝ている間に運ばれてきたのかな?
やはり、ひどく頭が痛い。
家には誰もいないようだ。
静まりかえっている。
俺は美貴のお見舞いに行くことにした。
美貴の病室が騒がしい。
「美貴?お母さんよ!わからないの?」
「お・かあさん?わたしは?みき?」
無き崩れる美貴のお母さん。
記憶喪失?
俺は病室に入ることが出来なかった。
美貴を突き飛ばしたのは俺だ。
俺が美貴を…
どうやって帰りついたかわからないが家の前に立ち尽していた。
俺が美貴を…俺が美貴を…
「にゃー」
猫だ。美貴の飼い猫『キティ』だ。
足元でうずくまっている。
俺はキティを抱きかかえようとしゃがみ、手を伸ばした。
キティが俺の手をすり抜ける…いや、俺の手がキティをすり抜けた。
どういうことだ?
俺は死んだのか?
あの事故で?
死んだのか?
目の前が真っ白になった…
死んだのか…おれ…
幽霊になったらしい…
生きているときは信じてはいなかった。
幽霊、天国、地獄、神、悪魔…
俺は幽霊だ。
そのことを受入れたのは仏壇に俺の写真があったから…
俺は自分の部屋だった所で誰か帰ってくるのを待った。
夕方、妹の絵里が帰ってきた。
まっすぐ仏間に向かい、俺の遺詠に手を合わせ、線香に火をつけた。
「もう、三ヶ月だね…美貴さんね、今日、目覚めたんだよ…でも…」
絵里は涙ぐみ言葉をのんだ…
「き記憶がね…ないの。自分が誰かもわかんないんだって…」
きっと絵里は毎日俺に報告してたんだろうな…
ありがとな、絵里
ごめんな…絵里
>>69-73 あたらしい感じを思いついたので書いてみました。
反応よければ続きを書きたいと思います。
75 :
名無し募集中。。。 :03/10/18 00:34
なかなか面白そう
期待してます
このまま終わったら消化不良で死んでしまう
ぜひ続けてくれ
78 :
名無し募集中。。。:03/10/18 03:23
川VvV从<だめだこりゃ。
79 :
名無し募集中。。。:03/10/18 04:22
>>69-
>>73 なんか幽遊白書を思い出した
ぜひ続きを
イイヨイイヨー これは新しい展開だね
>>69−73
イイネ。ってかズッコケさんの人?
ノノノハヽ
川VvV) <保全かよ
/ U つ
し'⌒∪
83 :
名無し募集中。。。:03/10/18 12:44
おもろいね、意外と
確かに幽遊白書っぽいね
でも、今までになくイイ!!
86 :
名無し募集中。。。:03/10/18 16:36
ノノノハ
(( (\_ノノノハノハ〃ハ v)っ
⊂`ヽ川VvV)V)vV))ノノノハヽ
ヽ ⊂\ ⊂ ) _つ川VvV)<だめだこりゃ保全
(/( /∪∪ヽ)ヽ)ノ/ U つビシッ
∪ ̄(/ ̄\) ∪し'⌒∪
87 :
名無し募集中。。。:03/10/18 16:55
(・∀・)
翌日、俺は病院に向かった。
美貴の病室で美貴を見つめ一日を過ごした。
美貴の横に座り
美貴の視線の先を見た。
空を見ているようだ。
そっと、美貴の手に手を重ねた。
すると、俺の意識は美貴の意識とシンクロした。
美貴の意識の世界は闇だ。
遠くかなたに光が見える。
とても弱弱しい小さい光。
どれくらい進んだろうか?
光のもとにたどり着いた。
小さな家だ。
中に美貴が居る。
ドアにはカギが掛かっている。
ここから美貴を連れだせば記憶が戻る。
なんとなくそう思った。
ドアをノックした。
覗き窓から美貴が覗いた。
「何?」
「出てこいよ。」
「やだ。外暗いもん。」
「じゃあ入れてくれ。」
「やだ。」
「やだって…」
「美貴…このままでいいの。」
「いいわけないだろ。」
「ううん、いいの」
「お母さん心配してるぞ。」
「うん…知ってる。でも、いいの…このままで。」
「何わがまま言ってるんだよ。」
「やだ。」
「…」
「いいじゃん。」
「よくない。」
「…現実は辛すぎるよ。○○死んじゃったんでしょ?」
「そうみたいだ。」
「ここに居れば○○とあえるもん。」
「お母さんやお父さん、友達には会えないぞ。」
「いいの、声は聞こえるもん。」
「…」
「いいの、このままで。ほら、むこう見て。」
視線を後ろにやると、もう一軒家が建っていた。
「あそこにもう一人の私が住むんだよ。」
今、美貴の居る家より大きく立派だ。
「どういうことだ?」
「あたらしい私があそこに住むの。そううすればここから出なくていいの。」
「どうしても出たくないんだな。」
俺は少し頭に来た。
どうやっても美貴を連れだす。
刑事ドラマのように思い切りドアを蹴りとばした。
びくともしない。
「やめて!○○!やめて!」
「やめない!俺は美貴を連れていく。」
俺は何度も何度もドアを蹴った。
懇親の力をこめた一撃
光がもれドアが崩れた。
美貴は部屋の隅で耳をふさぎうずくまっていた。
「美貴行くぞ。」
首を振る美貴
「美貴、おまえは生きてくれ。俺は確かに死んだ。肉体はな。でも、俺は近くに居る。見えないかもしれないけどな。」
静かに首を横に振る
「なぁ美貴。心配ない。俺はいつも近くにいる。俺が今までに美貴に嘘ついた事あったか?」
「ない。」
「だろ。俺の自慢は『美貴には嘘ついたことはない』なんだぞ。」
「…うん」
美貴に手を差し伸べる。
美貴は俺の手を取り立ち上がった。
「行くぞ。」
「ホントにいつもそばにいるんだよね?」
「あぁ」
美貴は俺の手を強く握り返した。
ドアを出ると光が広がった。
俺は美貴のおでこにキスをした。
「よく、がんばったな。俺はいつも近くにいるからな。」
美貴は照れながらおでこをさすった。
「美貴がんばるよ。○○の分まで…」
「別に俺の分までがんばんていいぞ。」
光は一層強くなり。
俺は光に押しだされた。
「○○…!」
俺は現実に戻った。
美貴は目をパチクリして、近くにいたお母さんに
「ただいま。」
と言った。
おでこをさすりながら。
ノノノハヽ
川VvV) <とりあえず保全ナ
/ U つ
し'⌒∪
95 :
名無し募集中。。。:03/10/18 22:45
だめだこりゃ
ノノノハヽ
川VvV) <保全するよ!!
/ U つ
し'⌒∪
97 :
名無し募集中。。。:03/10/19 02:19
保全させていただきます
98 :
名無し募集中。。。:03/10/19 06:27
作家ガンガレ保全
99 :
名無し募集中。。。:03/10/19 07:59
hozen
お、おもしろい。
かなり続きが見たいです!
ラジオドラマ化されたら最高だろうなぁ。。。
保全
あぁ〜萌え氏に
前スレ読破してきた
職人に感謝
40氏に感謝
105 :
(・∀・)イイ!:03/10/19 15:05
ニタニタ
「ヤローー!! 待っとーと!!」
女の子の甲高い声に、俺は思わず振り返った。
人もまばらな駅のホームを、こちらに向かって疾走してくる男がいる。
その後ろに、叫びながら懸命に走ってるセーラー服姿の女の子。
……もしかしなくても。
泥棒とそれを追いかける中学生……の構図だな。これは。
猛突進してくる男を一旦避けて、俺は抜かれた瞬間に走り出し、後ろから体当たりを食らわせた。
前で構えてると避けられる可能性があるからな。もしくは正面から体当たりを食らう。
死角から襲い掛かるほうが俺に被害が無い。
「ぐごっ!」
くぐもった声を発して、男が俺の下敷きになって倒れこんだ。
40〜50くらいのオッサンだ。なにやってんだか。
俺はオッサンの首を地面に押し付け、腕を胸に抱き込んだ。
なんかこういう柔道の技があったような。まぁ、オッサンが動けなければいいだろう。
俺はため息をついて、息を切らせながら駆け込んでくる中学生に視線を向けた。
「こぉぉぉぉおのおおやぁぁぁろおおおおおおーーーーーーーーー!!!!」
……はぁ?
「アンタのせいで、あの男に逃げられたんだけんね!」
いや、おかしいだろそれ。明らかに突っ込んできたコイツが悪い。
俺は女の子の顔をまじまじと見た。
さっきは気がつかなかったが、いかにも不良やってそうな、気が強そうな顔をしている。
「俺が押さえ込んでたところに、お前が突っ込んできたんじゃねーか」
「誰も助けてなんてゆうとらんばい! 余計な真似しよって」
……とんがってるな、コイツ。
中学の頃の美貴スケみたいだ。
美貴スケ2号と呼んでやる。
「まぁ、鞄は無事だったからよかったじゃねーか」
鞄についた埃をポンポンと払って、美貴スケ2号に投げてやった。
ナニやら眉間に皺を寄せて、不機嫌そうな面をしている。
まったく…触れるもの全てが敵、っつー感じだな。マコとは真逆なタイプだ。
「………」
「………」
「………」
「な、なん!? なしてずっとそこに立っとーと!?」
「ん? なに慌ててんだ。別にお前に用があるわけじゃねーぞ。
人を待ってんだよ。勘違いすんな」
鞄をぎゅっと抱きしめた美貴スケ2号が、顔をカーーッと赤くした。
「ばりむかぁーーー!! きさん、ぼてくりこかすぞ!」
「ばりむか?」
何を言ってるか全くわからないが、威嚇されていることはよくわかる。
なんで怒ってんだよ。最近の中学生はキレやすいな…
「怒んなよ。そんなにカッカしてると血管切れるぞ。おら、ちゃんと周り見ろ」
ホームに滑り込んできた電車から、わっと人の波が溢れ出てきた。
人に押されてよろめく2号の腕をひっぱって、俺は人の奔流から少し離れた場所に移動した。
「そんなんだから鞄引っ手繰られるんだぞ」
「………」
悔しそうに唇を噛んで俯いている。
……とんがってるな。
俺がため息をつこうとしたその時、顔を上げた2号と目があった。
ああ。なんだよおい。
そんな、泣きそうな顔しやがって――
「ゴメンゴメン、おまたせ。待った?」
あ。1号だ。
「も〜中澤先生の補習キツイって! 最後のほう人生への愚痴になってるし!
……って、ん? なんかあったの?」
「……!」
「あっ、おい!」
美貴スケ1号の顔を見て、2号が逃げて行ってしまった。
なんなんだ一体。
「……なに? あの娘。知り合い?」
「……いや、違うけど」
2号の背中は、人ごみに紛れてもう見えない。
……なんだったんだろうな。
今にも泣きそうな顔してやがったけど。
うう。ああいう顔、どっかで見たことがあるんだよな……
「――ねぇ、聞いてる?」
「んぁ?」
「んぁって。真希じゃないんだから。しっかりしろ」
美貴スケに小突かれた。いかんな、最近俺まで天然ボケしてきたみたいだ。
そしてその後、美貴スケに引っ張られて店を回ってる間も、
俺はなんとなくアイツのことが気になって、頭から離れなかった。
だめだこりゃ。
110 :
名無し募集中。。。:03/10/19 19:04
新しい展開キター
113 :
名無し募集中。。。:03/10/19 19:58
う〜む田中を使おうと色々考えてるうちに先を越されてしまったw
石川さんは、飢えた男子共の憧れの的だ。
ルックス、仕草、そして最強なのはアニメ声!
ザ・女の子!
それが災いして一部の女子には不評だ。
いつだったか、地理の授業だったと思う。
冷害と答える所を「うじ虫」と答えた事があった。
男子には大ウケ!
その照れた表情が最高にかわいかった。
しかし、授業が終っての休み時間
美貴が松浦さんと話ながら
「梨華ちゃんってちょっとキモイよね。」
と、少し大きめの声で言った。
「美貴ちゃん声大きいよ!」
「だって、キモイんだもん。」
と話していた。
幸い、石川さんはその場には居なかったが
反石川派のグループの女子がその会話を聞いていた。
そのころから石川さんは少しずついじめられている。
反石川派は美貴が味方になったつもりらしい。
「キモイ」「きしょい」さらには、色黒な石川さんを「黒人」「土人」
など、ひどい言葉でいじめている。
最近はひどくなる一方だ。
あれだけ明るかった石川さんも萎縮して暗くなってきた。
男子の中には、そいつらに便乗していじめる奴まで出てくる始末だ…
「なぁ美貴、石川さんに対するイジメ止められないか?」
「はぁ?なんで美貴が?」
「もう見てられないよ。」
「美貴はイジメてないぞ!」
「知ってるよ!かばってやってくれって言ってるの。」
「なんで…」
「おまえの一言が引き金になってる。」
「…キモイって言った事か?」
「そうだよ。」
「でも」
「でもじゃない。やつらは美貴が味方になったと思ったんだよ。」
「味方だなんて!」
「美貴がイジメなんてしないって、俺が一番知ってるよ。男共は俺がなんとかするから。」
美貴は少し考え
「わかった。梨華ちゃんは任せろ!」
力強く答えた。
次の日、美貴と松浦さんと石川さんは三人でお昼を食べていた。
以来、イジメは徐々になくなっていった。
「なぁ○○、おまえ梨華ちゃんの事好きなんだろ?」
「ちげーよ」
俺は…
だめだこりゃ
118 :
名無し募集中。。。:03/10/19 20:31
>>40さんの作った前スレ読んできました。
189氏の暗めの作品(「ちょっと暗め」「ふるさとは」)がなかなか視点がいい。
ハッピーエンドじゃないのもかえって新鮮です。
「ふるさとは」の続編「学園祭」も、主人公は美貴帝の思いに対して、
なんとも思ってないまま終わるのかと思えば、最後の美貴帝の寂しい独白がいい感じ。
思わず、部屋の隅っこでひざを抱えて座って、
”A million miles away”を聴いて涙ぐむ美貴帝想像しますた。
ズッコケくんの方は、田中におねだり…を見てきたのかな
121 :
名無し募集中。。。:03/10/20 00:23
川VvV从<ニヤリ
保全だ保全だー
123 :
名無し募集中。。。:03/10/20 02:38
━┳ ━┳
124 :
名無し募集中。。。:03/10/20 03:48
だめだこりゃ保全
川VvV从<○○♪
106と107の間が抜けてる気がする。話がつながってない。
結果だけ見せてんだろ
主人公と二号の会話を見ればわかると思うんだけど
やっぱ結果だけ見せてんだと思うよ
まあなんにせよ、ズッコケ君シリーズの新展開に期待大
131 :
名無し募集中。。。:03/10/20 17:57
亜弥ちゃんと別れて2週間
なんか前より気がねなく話が出来る関係になっていた。
とある放課後、学校近くのマックで亜弥ちゃんとの密談
「○○君さぁ、美貴ちゃんに告白しないの?」
「ん〜…なんていっていいかわかんないんだよね…」
「好きなんでしょ?」
「うん、好きだけど…愛とか恋とかそんなんじゃないような…」
亜弥ちゃんは、ほっペをプクッと膨らませた。
「ぶー。だめーっ!ちゃんと告白しろ!」
「ぶーって…」
「美貴ちゃんだから諦めたんだぞ。」
そんなこと言われると、返す言葉がない…
「いいかい!?○○君。きみは、私が諦める程、美貴ちゃんの事好きなの!」
うぅっ…
なんか美貴がもう一人いるみたいだ…
「せっかく私が諦めたんだから、美貴ちゃんとくっついちゃいなさい!いい!?」
「…はい…」
「よし。今日は解散。」
ポテトのあまりを俺のトレーに入れて、亜弥ちゃんはバイトに向かった。
どううやら俺は美貴に告白しなければいけないらしい…
つづけ。
>>132-133 やっ!ちがう…そうじゃないの続きです。
二人を進展させたくなりました。
つづけーーーーーーーーー!!!!
136 :
名無し募集中。。。:03/10/20 21:59
帰宅保全、つづけ!
だめだこりゃ
137 :
名無し募集中。。。:03/10/20 22:06
>>134 あれだべ?ズッコケに影響されて書きたくなった?w
次の展開に期待〜
>>132-133続いてくれ〜
ここでズッコケシリーズを一つ。
日曜日の昼下がり、俺は美貴と松浦さんの三人で昼飯を作っていた。
昼飯と言ってもカップ焼きそばなんだけど。
「ねぇ亜弥ちゃん知ってる?カップ焼きそば作る時って
麺の下にキャベツを入れるとお湯捨てる時蓋にくっつかなくていいんだよ〜」
「へ〜、そうなんだ。美貴ちゃんそういう生活の知恵みたいなの
よく知ってるよね〜。いいお嫁さんになれるとおもうよ。」
松浦さんが何故か俺の方を見ながら嬉しそうに言う。
「そうかな?そうだといいな。」
美貴も何故か俺の方を見ながら嬉しそうに答える。
?よく分からないが微笑ましい光景だ。
そう確かに微笑ましい光景だ。
が、カップ焼きそば通の俺としては二人のやり方がガマンできずに
二人に向かって大声で叫んだ。
「違うんだな〜そんな事をしなくても
キャベツが蓋にくっつかない方法があるんだよ」
>>138続き
「え〜、どうするの?」
二人が同時に言う。
「まず、お湯をひたひたに入れてから麺の上に
キャベツを乗せると蓋にひっつかないんだよ」
「え〜それじゃキャベツがもどらないし、
お湯捨てる時傾くから蓋に付くんじゃないの?」
すかさず美貴がツッコミをいれてくる。
「まあ見てろって。おっ、そっちはもういいみたいだぞ」
「じゃいくよ〜。ほらキャベツ付いてないでしょ〜」
「本当だ〜。美貴ちゃんすごーい。」
得意げな美貴。妙に感心する松浦さん。
よーし俺もここで一発きめてやる。
「ほら、○○のもいいんじゃないの」
美貴がニヤニヤしながら煽ってくる。
「見てろよ〜絶対にキャベツ付いてないからな!」
二人は固唾を飲んで見守っている。
「おりゃぁ!」
俺は気合と共に蓋を開けた。
メチャメチャ付いてるじゃん・・・・・
だめだこりゃ・・・・
バレバレのオチでごめん
ずっこけ君カコイイ
142 :
名無し募集中。。。:03/10/20 23:04
ズッコケ君の招待はまっちゃんかw
作品書いたけど、一応明日うpしまっする
143 :
名無し募集中。。。:03/10/20 23:21
明日楽しみにまっとるよ〜
ズッコケシリーズといいつつミキスケじゃないのは・・・
むむう・・・やっぱり続き物は、頭に「美貴スケとズッコケ君シリーズそのOO」
みたいなタイトルをつけた方がいいのでは?そうすれば妙な縛り(必ず前の登場
人物だったり、出来事を盛り込まなければならないとか・・・)から開放されるし。
ダサイかねえ?
ズッコケ君てのは1人の職人さんのキャラであって
「だめだこりゃ」で締めるのはこのスレのルールみたいなもんだぞ
最近ちゃんとだめだこりゃで落としてるの少ないけど
やっぱ本物のズッコケ君の作者は何でもいいからトリップつけるべきだ
149 :
名無し募集中。。。:03/10/21 03:04
川VoV从 <だめだこりゃの精神は忘れずに。
テーマソングはルースターズ
151 :
名無し募集中。。。:03/10/21 03:08
まぁまぁ。あんまり言うなよ。作家さんの自由でいいじゃね〜か。
作家さん以外は与えられたエサで萌えればいいんだよ。だからここは良スレなんでは?
だめだこりゃ。
ノノノハヽ
川VvV) <保全かよ!
/ U つ ビシッ
し'⌒∪
153 :
名無し募集中。。。:03/10/21 11:19
だめだこりゃに難無くもってくのはむずかしいのよ。って作家が言ってた。
いいんだよ意味つながってなくても「だめだこりゃ」ついてりゃ
155 :
名無し募集中。。。:03/10/21 13:59
.
156 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:30
hoshu
157 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:45
ここはそこら辺にある普通の高校のいちクラス。
そんな平凡なクラスの昼休みの普通の会話
美貴「なぁ・・・もぐもぐ・・・お前まだ安倍先輩の事好きなの?」
俺 「口に物入れて喋らない!好きっていうか憧れだけど」
こいつは幼なじみの藤本美貴。目鼻が整ってて、顔が小さくかなり可愛い。
欠点は男っぽいってか親父臭い所かな。いくらルックス良くても
あいつとは幼なじみだから異性として意識した事はない
美貴「やめとけ、お前には釣りあわねーよ」
俺 「うるへー。余計なお世話だっつーの」
美貴「全く美貴の有り難い忠告を!!」
――――キンコ−ンカンコ−ン――――
美貴「じゃ、あたし教室戻るね」
俺 「おう」
そう言うと、美貴は弁当箱を持って足早に教室を出て行った。すると
美貴が教室を出て行くのを見計らったかのように山下が近づいてきた
こいつは同じ生き物とは思えないくらいのイケメンである。そして俺の友達でもある
158 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:46
山下「なぁ、藤本さん可愛いな」
俺 「何言ってんだよ。お前は後藤真希と付き合ってんだろ」
山下「別に狙おうなんて少ししか思ってねぇよ」
俺 「思ってんじゃん」
山下「てゆーかさ、何であんな可愛いのに彼氏作らないんだろうな?」
俺 「・・・さぁ?そういや何でだろうな」
山下「好きな人でもいるのかな?」
俺 「美貴が恋をね〜・・・、想像も出来ないや(笑)」
まぁ、言われてみると何で作らないんだなろうな。この時はそんな事を気にもとめずに
時間は流れていった。今日は金曜日。あしたは土曜日。そんな事を考えると
早く明日になって貰いたいもんだから、5、6時間目は時間を飛ばす為に爆睡した。
ゴス!イテ!!ゴスゴス!!なんだ、この教科書の角で殴られたような痛みは。
俺 「い・・・痛い・・・」
美貴「いつまで寝てんだよ。帰るぞ」
顔を上げると、呆れた表情をした美貴が上から覗き込んでいた
もう授業どころかHRと掃除も終わって、教室は寂しい景色になっていった
159 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:46
俺 「・・・あり?授業は?」
美貴「はぁ?寝ぼけてないで帰るぞ」
時間を飛ばし過ぎたらしい。美貴がいなかったら、いつまで寝てたのかな。
しかし角はないだろ、角は!!・・・まぁ学校の事務員に起こされるよりはマシか
机の中の教科書をカバンの中に投げ込み、そそくさと教室を後にした。
そして一階の下駄箱で上履きから靴に履き替えようとした時、一通の手紙が
ヒラヒラと宙を舞い、足元に落ちた。
なんだコレ?ラブレター?今時、下駄箱にラブレターはないでしょ!!
じゃ、じゃあ果たし状?それも時代錯誤か。ってかそんなキャラでもないな
名前を確認しようにも、表には名前が書いてないので恐る恐る手紙を開けた
―――今日の放課後、4時に屋上に来てください。大事なお話があります。
3年6組 安倍なつみ―――
・・・安倍?官房長官?晋三??・・・・なつみぃぃぃいいいいいいいいい!?
マ、マジで?あの安倍なつみさんですか!!
美貴「へぇー、こりゃ80へぇだな」
後ろから冷めたような美貴の声
160 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:48
俺 「どわっ!!何見てんねん!!」
美貴「いや、あまりに遅いから見にきたら固まってるし」
俺 「覗かなくても良いだろ」
美貴「てゆーかさ、もう4時過ぎてるよ?」
俺 「そうですか・・・っておい!!あ・・あぁぁ、ゴメンちょっと先帰ってて」
言葉を美貴に放ったのと同時に足は屋上に向かっていた。
自分でも驚くぐらいの速さで走っていた。自分の限界を破ったらしい。
美貴「最初からその速さで動けよなぁ!!・・・・ったく・・・・」
屋上に着くと、すでに安倍さんは暇そうに手すりに寄りかかって
空を眺めていた。息をハァハァ言わせながら、出て行くのも格好悪いので
出て行く前に息を整えた。息が整う一方で鼓動が強くなるのを感じた。
気持ちの整理をつけると、一歩前に飛び出した
161 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:48
俺 「あ、あのー・・・安倍なつみさん?」
安倍「へっ?あっ!あ〜、来てくれないかと思ったよ」
俺 「いやいや・・あの今まで・・・寝てたんですよ」
安倍さんは手を口の前に置いて、クスと笑った
安倍「ねぇ明日さ、暇かな?ご飯でも・・・食べに行かない?」
俺 「暇です!!絶対に行きます」
即答!考える余地もなく即答した。安倍さんと絡むと俺は動きが俊敏になるらしい
安倍「良かったぁ〜。じゃあ明日9時に駅前に来てね」
ポンと両手を合わせて、満面の笑みを俺に投げかけてきた。
なんか全身の骨を抜かれていく気分だ。
162 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:48
安倍「それとね、安倍さんじゃなくてなっちって呼んでね。」
俺 「・・・は、はい」
安倍「君の事は何て呼べば良いのか?」
俺 「え・・・クラスのみんなからはスケって呼ばれてますけど」
安倍「なにそれ〜?(笑)」
俺 「いや、いつも寝てばっかりいるから、寝ぼスケのスケを取ったみたい」
安倍「あはは。今日も寝てたもんね(笑)」
俺 「いやぁ〜申し訳ない」
安倍「じゃあ、スケさん!また明日ね」
そう言い、軽く手を横に振ると顔を隠すように下を見ながら、
小走りで屋上を安倍さん・・・なっちは出て行った。
夢か幻か。実はずっと寝てるんじゃないのか?いまだ現実を把握できないまま
屋上にボーと突っ立っていた。こりゃ・・・だめだこりゃああ
163 :
名無し募集中。。。:03/10/21 16:52
ああああああああああ脱字ぃぃぃいぃいいいいいいいい!!
安倍「君の事は何て呼べば良いのか?」
↓
安倍「君の事は何て呼べば良いのかな?」
最終チェックして、最後に台詞を付け足した所で脱字を犯すなんて・・・_| ̄|○
>>157-162 おちゅ!いいね。
萌えるね。
続き期待
誤字脱字はご愛嬌。たいして気にならんよ。
>>133 つづき。
食いきれないポテトを持ちかえりトボトボ考えながらあるいていた。
…どういう言葉で告白するんだ…
…ん〜
「おい。なに悩んでるんだ?」
「どう告白していいのかわか…おっ!美貴!」
うしろから、いきなり質問されて普通に答えてしまった。
「はぁ!?誰に告るんだ?」
「いやいや…」
「…○○、おまえまだ亜弥ちゃんの事、好きだろ。」
…そういうことにしておいたほうがいいのだろうか…
「…」
「今日も二人でマック行ってたろ?見たぞ。」
…みてたのか!?聞かれてはいないだろうな…
「見てたなら声かけろよ。」
「外から見かけただけだし。で、なんか亜弥ちゃん怒ってたろ。」
…ぶーのとこ見たのか?…
「あ、あぁ。ちょっとな。」
「○○さぁ、積極的になれないくせに少しシツコイんじゃないか?」
しつこい、しつこい、しつこい…
ショックだ…そんなふうに美貴にみられてたのか…
「お兄ちゃんおかえり。ん?元気ないね。」
絵里は心配そうに俺の顔を覗きこんだ。
「おう、ただいま。ポテト食うか?冷えちゃったけど。」
「うん。ありがと。じゃあ絵里、宿題するから。」
とてててっと階段を登っていった。
制服から着替えて、こたつに宿題をひろげ、ペンを持った。
…もうすぐ美貴が来る…
…告白しちまうか…
…改めて呼びだして、ムード作って告白するか…
…そもそも、美貴は俺の事をどう思ってるんだ?…
…美貴も俺のことす・好きだったりして…
ちょっとにやけた
「なに、にやけてんだ?キモイなぁ…」
いつのまにか美貴が向かい側に座っていた。
「キ・キモイいうな!まったく…」
「で、亜弥ちゃんにアタックするのか?力になるぞ!」
ダメだ、今は雰囲気じゃない。
「ちょっと待て。その話は置いといて、宿題終らせよう。今日の公民のレポートは難問だ。」
「そ、そうだな。あの先生は難しい宿題出しすぎだ…」
話をそらす事に成功した。
「お兄ちゃーん!宿題おしてぇー」
絵里が入ってきた。
「おっ美貴姉ちゃん。こんにちわ。」
「おっす!絵里ちゃん。美貴が見てあげるよ。」
「この数式の解き方なんだけど。」
「これはね…」
美貴が絵里に宿題を教えている。
俺は黙々とレポートに取り組んだ。
…今日は何も無く終れそうだ…
…明日、亜弥ちゃんに再度相談だ…
つづけ。
松浦の中の人も大変だな
169 :
名無し募集中。。。:03/10/21 22:06
ほしゅ
171 :
名無し募集中。。。:03/10/21 23:19
しゅっぽー
中庭のベンチでぼーっと美貴スケを待っていた。
なんと今日は、弁当を作ってきてくれたらしい。
何やら準備があるらしく、中庭で待ってろと言われて今に至る。
……なんだか最近、待たされることが多いな。
いい天気だった。早く来ねーと眠くなっちまうぞこりゃ。
…………………。
…………………。
……Zzz。
「お待たせ……って寝てるし」
……まどろみの中で、美貴スケの気配を感じた。
「なんか…プッ、バカ面して寝ちゃってさぁ。アホめアホめ」
ツンツン、と突付かれてる気がする。
軽く顔をしかめたら、愉快そうに笑う美貴スケの声が聞こえた。
……ああ。ますます意識が遠くなってきた……ぞ……
「藤本さん」
「……紺野?」
美貴スケとは違う気配が生まれた。
「珍しいじゃん。最近見なかったね」
「はい。最近は勉学に励んでおりまして、藤本さんにはご無沙汰しておりました」
やけに丁寧な口調だ。それに声が細い。
「それに、藤本さんはこの頃、こちらの件が割り込むことを好まれていないように思いましたので」
「なにそれ。どういうこと?」
「最近はだいぶそちらの方にご執心のご様子なので」
「ブッ……そんなことないよ。ないよ。ないよ? なんで? そう見える?」
「はい」
「即答かよ。……で? あたしのところに来たってことは、なんかあったってことでしょ?」
「はい。実は近頃、東のあたりが騒がしくなってきています」
「へぇ?」
「この一週間ほどの間に、引っ手繰りや万引き、集団暴行などの犯罪行為が多発しています。
警察沙汰になっていない件まで含めると、かなりの数に上るのではないかと」
「フーン。……東っていうと上前高校のあたり?」
「そうです。実行犯は主に近隣の中高生ですが、扇動しているのは上前高校の『アップフロント』のメンバーのようですね」
「フーン……」
「現時点では当校の生徒に被害は出ておりませんが、今後はわかりません。
叩くなら早めのうちが上策だと思います」
「生徒会は?」
「様子見を決め込んでいるようです。おそらく、風紀委員会が動くのを待っているのではないでしょうか」
「ひどいなぁ」
「どうされますか。動くなら準備は出来ていますが」
美貴スケがはぁー、とため息をついた。
「あたしってさぁ、もともとこういうの苦手なんだよね。生徒会長にムリヤリ委員長にさせられたって感じだしさ。
こういう仕事は紺野のほうが向いてる」
「失礼ですが、私もそう思います。が、藤本さんにはリーダーとしての器があります」
「あたしはソロのほうが向いてると思うけど」
「生徒会長の人選は絶妙だと思いますよ。鬼の平蔵が火付盗賊改方の長官に就任したようなものですから」
「褒めてないよそれ。ねぇ、褒めてないよ」
「どうされますか?」
「……うーん。紺野はどう思う?」
「早めに叩くべきです。当校の生徒に被害が出るのは目に見えていますから」
「うーん……」
「…………」
「……まだ様子見、かな」
「……わかりました。そのように委員には伝えておきます」
「一応、街中を見回るように伝えておいて。遊んでる合間とかで構わないからって」
「はい」
「それと、各クラスで担任教師から注意を出してもらうように、教師連に連絡」
「わかりました。では失礼します」
ふっと気配が消えた。
「はぁ、めんどくさ。
…………。
ムカつくなぁ。平和そうに寝やがってコイツ。
いつまで寝てんだコラ! 起きろぉーーーー!!!」
キーンコーンカーンコーン。5限終了。
帰る準備でざわめく教室に、中澤先生の声が響き渡った。
「はーいみんな注意して聞けーー!
知ってる人もおるかもわからんけど、最近この周辺で万引きや引っ手繰りが増えています。
帰り道には十分注意して帰宅してなー!」
引っ手繰りって、そういえば昨日見かけたばっかりだな。
俺は美貴スケ2号の顔を思い出した。
気が強そうな顔して、その通りとんがってたアイツ。
その割に鞄を引っ手繰られたりして、どこか抜けている。
だいぶ訛ってたな。一体どこから来たんだか。
美貴スケは松浦亜弥と遊んで帰ると言って、さっさと教室を出て行ってしまった。
ま、たまにはひとりでブラブラ帰るか。
駅の改札を出たところで、見覚えのあるセーラー服姿を発見した。
柱を背にして、キョロキョロと改札の人混みを見渡している。
人でも探してんのか?
俺は横から近づいて、ポンと肩を叩いた。
「よ。元気だったか」
「……ッ!!!!!」
大きく目を見開いて、ざざっ!と2号が後ずさりした。リアクション激しいな。
「誰か探してんのか?」
「あああああんたには関係なかろーもん!!」
「……そっか。んじゃ声かけて悪かったな」
「あ、ちょ、ちょっと待ちんしゃい!!」
むんずと学生服の裾を掴まれた。なんなんだよ。
「なんだよ?」
「あ、あんなぁ」
「おう」
「あ……、あんた、その、そう! ふ、藤本美貴と知り合いなん?」
「ああ。知り合いっつーかなんつーか……お前美貴スケのこと知ってるんだ?」
「当然! 藤本美貴ゆーたらちかっぱ有名やけんね。こっち来たばっかのあたしでも知っとるばい」
へぇ。アイツ有名人だったのか。
昨日2号が逃げたのは、もしかして美貴スケに驚いたからなのか。
「なんでも、藤本美貴が一声かければ1000人のダチが集まるちゅう話やったね」
……そりゃすげぇな。握手付きとかじゃなくてか。
「あんた藤本美貴と知り合いなら、最近藤本美貴にオトコが出来たっちゅうのは知っとーと?」
2号が興味津々とばかりに聞いてきた。
知ってるも何も、そりゃ俺のことだ。
「なんでもそのオトコは高校でも有名な間抜け男で、『ズッコケ』とかいう蔑称で呼ばれてるっちゅう話やね」
「……ほう」
「なしてそげなオトコを藤本美貴が選んだのか、みんな不思議がっとったよ」
……こりゃ、『ズッコケ』の名称、もとい蔑称が県下に広がるのも時間の問題かもな。
安っぽい電子音が鳴った。
「あ。ポケベルが」
2号が慌てて鞄の中身をあさり始めた。
ポケベルって。まだ生き残ってたのか。
「呼ばれた。もう行かなきゃいかん」
「そっか。じゃあ、元気でな。また会えるかわかんねーけど」
俺がそう言うと2号ははっとして、何かを考えるように目を泳がせた。
そして意を決したように俺を見上げると、小さな声で、投げ捨てるように言った。
「……た、田中れいな」
んん?
「……ああ、お前の名前か。れいなっていうんだ」
「うん」
2号が小さく頷いた。
「あんたの名前、聞いてもよか?」
ああ。俺は…
――なんでもそのオトコは高校でも有名な間抜け男で、『ズッコケ』とかいう蔑称で呼ばれてるっちゅう話やね。
「………オガワマコト」
……すまん、マコ。名前借りる。
にーちゃんは中学生からまでズッコケズッコケ言われたくないんでMAX。
「あんな、マコト。昨日はその、……………ありがとな」
「ああ……えぇっ?」
驚いた俺が2号の顔を見る前に、2号は俺に背を向けて、人ごみのなかに飛び込んでいってしまった。
そしてくるりと振り返ると、
「昨日は言えんかったけん、ごめんなーーーーー!!!」
ニカッと人懐っこい笑顔を浮かべて、手を振ってきた。
……なんだアイツ。
とんがってるかと思えば、泣きそうな顔しやがるし。
無愛想だと思えば、人懐っこく笑いやがる。
今どきの中学生って、全然わかんねー。
「また引っ手繰られねーように気をつけろよ!」
2号は大きく頷くと、今度こそ俺に背を向けて、人ごみの中に消えていった。
俺は苦笑いしながらも、なんとなく愉快な気分になるのを抑えることができなかった。
だめだこりゃ。
とりあえずトリップ使うことにしますた。
長くてスマソ
乙です。
>>182 本家っちゅうのもなんか変な気がするが
一応シリーズ書いてるモンです
185 :
名無し募集中。。。:03/10/22 01:17
コンコンキター
186 :
名無し募集中。。。:03/10/22 01:24
ズッコケ気が多すぎ
いちご100%並ですな
188 :
名無し募集中。。。:03/10/22 01:37
>>184 ついでにどれがあなたが書いたものか教えてほしい
";ヾ*;;@;ヾ;;"/"*;";^"i";ヾ
ヾ*;";"i";*;ヾ;"i";*;ヾ;"i"
|i;;ii ;iiメソ"i";*;;,*
|l!|| ll|リ/i;^*
l;l!ll |l|
|:l||| |l| ノノハヽ
|;l!l| ||l ( ´Д`)<はぁー 美貴様・・
|ill|| ll|. / \
l|il|l l!| | | | |
|::l|| !!|,,,,,,,,,,,,,| | | |,,,,,,,,,,,
ノ;;i!! !!ヽ"⊂_/\ ヽ \゛> ,,
,,, \ / ̄) ̄)
,, 丶 ノ、ノ
191 :
(ノ´・∀・`)ノよっ ◆qjwVYP8F1Q :03/10/22 02:36
192 :
名無し募集中。。。:03/10/22 05:13
川VoV从 <保全だこりゃ
193 :
名無し募集中。。。:03/10/22 08:56
( ´ Д `)<おとーさん♪
194 :
名無し募集中。。。:03/10/22 14:17
ホゼム
195 :
名無し募集中。。。:03/10/22 17:50
川VvV从<保全するよ
196 :
名無し募集中。。。:03/10/22 18:41
( ´ Д `)<揚げ
>>181 美貴スケ・ズッコケシリーズ、大好きです
トリップをつけてもらえるのは嬉しい。どうもありがとう
198 :
名無し募集中。。。:03/10/22 19:45
ノノノハヽ
川VvV) だめだこりゃ
/ U J
し'⌒∪
199 :
名無し募集中。。。:03/10/22 20:14
(;´Д`)
風邪ひいた。
だめだこりゃ。
つづけ。
「最近どうも、騒がしいわね」
ダーヤスが苦い顔をしてコーヒーを啜った。
俺はゴマキさんが作ってきてくれたクッキーを口に放り込んだ。
甘酸っぱい味が広がる。真ん中にジャムがついていた。うまいな。
「つい昨日も近くの中学生が暴力沙汰で補導されたっていうし。
もうそろそろ風紀委員会が動き出してもいい頃だろうね」
「はぁ。つか、うちの学校に風紀委員会なんかありましたっけ」
「はぁ? あんた何年この高校の生徒やってるんだっていう」
ダーヤスが呆れた顔をして俺の顔をマジマジと見た。
自分が保健委員だってのも知らなかったからな…俺は。
「風紀委員会は治安部隊みたいなもんよ。
校内の抗争とか他校とうちの生徒とのイザコザを監視して、仲裁に入ったり、場合によっては制裁を加える。
生徒会の番犬みたいなところね」
なんかすげーな。なんだそれ。
「まぁもっとも、構成メンバーによってちゃんと機能する年としない年があるけどね。
今年度の風紀委員会は例年に比べると、かなり徹底的にやってるわね。特に対外的に。
相当の数のグループが潰されたと思うわよ」
「詳しいッスね」
「まぁね。だってあたし、元風紀委員長だもん」
マジか。初耳だ。ダーヤスは卒業生だったのか。
「まぁ、風紀委員長っていっても座ってただけだけどね。
『圭ちゃんは座って生徒を睨んでるだけでいい』とか言われてさ。
喧嘩が強かったわけでもないし、専ら問題児たちの人生相談を受けてたわね」
ああ。それが長じて、職業にしてしまったのかこの人は。
「今年度は生徒会が強いから、他の委員会もだいぶ活発に活動しているわね。
……でも、今回の件に関しては風紀委員会の動きが鈍いわね。
最近藤本どうしてる?」
はぁ? 風紀委員会と美貴スケと、なんの関係があるんだ。
「アイツは最近ずっと松浦さんと遊んで帰ってますよ」
今日はなんだか、松浦亜弥にズルズルと引っ張っていかれてたな。
珍妙なことに、アイツは松浦亜弥に弱い。ゴマキさんも懐いてるし、あの三人組のまとめ役はどうやら松浦亜弥のようだった。
「そういえば後藤も遊んで帰る〜なんていって、嬉しそうに帰っていったなぁ」
「美貴スケたちと遊んでるんじゃないですかね」
「ありゃま。ズッコケ君は置いてけぼりくらってるんだ」
ダーヤスが笑った。ご明察。
寂しくなんかないよ…
世間話を済ませて保健室から出ると、もう外はだいぶ暗くなっていた。
時計を見ると17時を過ぎたあたり。最近は日が落ちるのが早いな。
ほとんどの教室は既に電気が落ちていて、校舎内は薄暗かった。
そのせいもあり、窓から入ってくる灰色の明かりを頼りにして薄暗い階段を登ろうとした俺は、ちょうど上から降りてきた人物とぶつかってしまった。
「きゃっ!」
「……っと、スイマセン」
ぶつかったと言っても、相手が俺の胸につんのめって来ただけで、大した被害はない。
が、相手が抱えていたプリントが、ぶつかった拍子にバラバラと廊下に散乱した。
マジか。こういう展開って、狙わない限りありえねーと思ってた。
「すいません、ありがとうございます」
一緒にプリントを拾って、ぶつかった相手に返してやった。
相手は丁寧にお辞儀をしてくれた。声が細いな。
俺は軽く会釈すると、そのまま階段を登ろうとした。
「待ってください。ズッコケ先輩ですよね」
……誰だよ。
「2年5組の紺野あさ美と申します。藤本さんにはよくして頂いています」
紺野あさ美がお辞儀した。黒いソックスに眼鏡を掛けていて、いかにも優秀な生徒という雰囲気を漂わせている。
こんな模範生みたいな娘と、美貴スケは知り合いなのか? アイツの人脈もよくわからねーな。
「先輩とは体育祭のとき、同じ青組でした。覚えていらっしゃらないですか?」
そういえば見たことがあるような、ないような。
確かに、2年5組はうちのクラスと組み分けが同じだった。じゃあ、いたんだろうな。
「だいぶ遅くまで学校に残っていらっしゃるんですね。
最近は物騒ですから、ご帰宅の際には充分注意してください」
「ああ、紺野さんもな」
ケーサツみてーなことを言う。もしかして紺野さんは、ダーヤスの言ってた風紀委員なのかもな。
駅の改札を出たところで、またもや見覚えのあるセーラー服姿を発見した。
柱を背にして、……なんだか様子がおかしいな。
俺は歩み寄って、2号に声を掛けた。
「どうした? 元気なさそうだな」
「マコト! …あたし、鞄引っ手繰られた」
マジでか。確かに2号がいつも肩にかけていた、黒い鞄がない。
「追いかけなかったのか?」
「追いかたよ! やけどあたし、足遅いけんね……逃げられた」
2号が悔しそうに唇を噛んだ。
あれほど気をつけろと言ったのに。コイツ、やっぱりどこか抜けてるな。
「先輩。奇遇ですね」
細い声が聞こえて俺は振り返った。
紺野あさ美だ。俺と同じような時刻に学校を出たんだろうか。
「どうかしたんですか?」
「……ああ、実はコイツ、鞄を引っ手繰られたんだ」
「はぁ。それは」
紺野あさ美はわずかに目を見開いた。さして驚いてもいなさそうだ。
まぁ、最近は頻繁にそういうことが起こってるからな。
「引っ手繰り犯はどんな人でしたか?」
「うーん…中学か高校か。黒っぽい服着た男やった」
「いつ頃の話ですか?」
「ついさっき。30分くらい前」
ふむふむ、と紺野あさ美が頷いた。
「引っ手繰り犯というのは、引っ手繰ったものをすぐに売るなり、使ってしまう傾向があります。
犯人が中高生なら、だいたいの行き先は見当がつきますよ。
いくつかありますが、ここからなら東町のゲームセンターが有力です」
「ああ、そこならよく知っとー。知り合いもおるし」
2号が頷いた。
「もしかしたらそこに犯人がいるかもしれません」
「はらわたん煮えくりかえるごたぁ。見つけたらぼてくりこかしちゃる!」
「じゃあ、一応ケーサツに届出してから、そのゲーセンに行ってみるか?」
「ん。……え? あんた、一緒に行ってくれるん?」
どーせ暇だしな。
東町のゲーセンは、このあたりでもかなり規模の大きいゲームセンターだ。
ビリヤードやカラオケ、ボーリング場のほか、簡単な飲食店もある。
当然のごとく、不良の溜まり場として有名だった。
学校ではこのゲーセンには近づかないようにと、耳にたこができるくらい、何度も警告が出ていた。
「なんだ? 見かけねーツラだな。どこのモンだテメー」
すたすたと先を行く2号の後に続いて、ゲーセンの自動ドアをくぐると、
体格のいい丸刈りの兄ちゃんが早速ガンつけてきた。
「興味本位で来ると怪我するぜ」
忠告してくれたのか。意外に親切だな。
「あたしの知り合いばい。今日、山崎さんはおると?」
「ああ、お前は確か…山崎さんの」
2号は少しムッとして男を睨んだ。
「奥のビリヤードのフロアにいるぜ。でも今、お楽しみ中だから立ち入り禁止だ」
2号の顔が険しくなった。
ヤマザキってのは誰だろうか。まぁ、話を聞いてる限り、どっかのグループの首領っぽいな。
……2号とヤマザキはちょっとなんかありそうな雰囲気だ。
「よかよ。通してくれん?」
「駄目だ。俺が山崎さんに怒られる」
「れいなが無理矢理入ったことにしとー。緊急事態なんやもん」
「……ちょっと待っていろ」
丸坊主が奥へ入っていった。意外に親切だな。
「山崎さんは上前高校の『アップフロント』の幹部で、ここらへん一帯の番長ばい。
上京してきよーたあたしに、ちかっぱ優しくしてくれてな。
ここのゲーセンは山崎さんの根城やけん、犯人を見つけるのに協力してくれると思う」
2号が説明してくれた。
なんだ。そんな知り合いがいるなら、俺がついてくる必要はなかったな。
丸坊主に通された場所は、ビリヤード台が並ぶ薄暗いフロアだった。
体格のいい男たちが壁に立ち並ぶ中、金髪で浅黒い華奢な男が、ビリヤード台に座って俺たちを出迎えた。
「れいなじゃねーか。俺に会いたくなって来たのか?
そういえば最近可愛がってやってなかったな」
コイツがヤマザキか。
シャツのボタンをいくつか外していて、胸元を大きくはだけていた。
ヤマザキに寄り添うように、金髪のムッチムチな女が立っていた。胸でけーな。美貴スケがないだけか。
……お楽しみだったわけか。
「……そいつは誰だ?」
「あんな、あたし鞄引っ手繰られて。犯人がこのゲーセンにおるかもしれんて、
山崎さんの力を借りよーと」
「そいつ、神狼高校の生徒じゃねーか?」
2号を遮ぎるように大きな声を出して、ヤマザキが俺を指差した。
そして煙草に火をつけると、前髪を掻き揚げて、おかしそうに笑った。
「それも、その顔見たことがあるぞ。オメー神狼の藤本美貴のコレだろ。
確かズッコケとか呼ばれてる……カカッ!」
周りに控えている男たちが迎合したようにせせら笑う。
……もしかしなくても、なんかヤベーとこに来たのかな。俺。
「違う、コイツはズッコケやなか。マコト…」
「こりゃ俺はツイてるぜ。神狼とやりあう大義名分ができたな」
ヤマザキが男たちに視線を送ると、数人が頷いて俺の腕を押さえ込んだ。
……おい。なんかヤベー雰囲気だぞ。
「れいな、こっちにこい」
2号はヤマザキと俺の顔とを見比べた。
困惑の色が顔にちらついている。
「れいな!」
再度の呼びかけに背中を押されて、2号はヤマザキのもとへと駆け寄った。
ヤマザキは満足げな笑みを頬に浮かべ、2号の肩に腕をまわした。
「そうだ。可愛いヤツだな」
「あん人は、確かに神狼高校の人やけど、ええ人ばい。早く帰したって」
「そりゃ無理だぜ。アイツはこれから一役買ってもらわねーとな」
「なっ!? あっ……ちょ、やっ!」
「いーだろ。アイツに見せ付けてやろーぜ」
後ろから羽交い絞めにして、ヤマザキは2号の胸元と、腿のあたりをまさぐり始めた。
おいおい、マジか?
「カカッ! ヒュー。ズッコケのヤツ、すっげぇー目だぜ。ホラ、見てみろよれいな」
「う、うぅっ!」
2号と目が合う。
……ああ。その顔は見たことがある。初めて会った日にも見た。
親とはぐれたガキみてーな。
泣き出したいのを懸命に、ずっと我慢している顔だ。
今までずっと引っかかっていた。その顔。
俺は再び自覚した。2号が気になって仕方が無かった理由。
……やっぱり。中学の頃のアイツに似てるんだ。
俺が今からやろうとしていることは、2号にとって余計なお世話なのかもしれない。
だけど美貴スケがこんな顔をするときは、俺が支えてやらねーといけないときだった。
今、そんな顔をしているヤツが目の前にいる。
だとすれば、俺が取るべき行動は1つしかなかった。
俺は抑えられていた腕を振り払って束縛から逃れ、鞄を投げ捨てた。
「ヒュー! やんのか? カカッ!」
喧嘩にはもちろん自信がない。
美貴スケやゴマキさんと違う。俺は善良な生徒だからな。
「カカッ! オメーももの好きだな。こんなガキに必死になりやがって。惚れでもしたのか?
コイツはガキのくせにイー体してんぜ。俺のお下がりでよけりゃいくらでもや」
ベラベラとうるせーよ。
フラフラと寄ってきたヤマザキの左頬を、俺は渾身の力を込めて殴り飛ばした。
……いってぇー。拳が死ぬ。
「ップゥーヒャッヒャッヒャ! 殴ったな? やったな? やっちまったなお前!
こぉれで神狼に喧嘩売る理由が出来たぜぇ。ヒャヒャッ!」
殴られたヤマザキは、口から血を垂れ流しながら、狂ったように歓喜しやがった。
……やべ。俺としたことが。感情のまま、殴っちまったよ。
「ヒャッヒャッヒャ! 藤本美貴はどんな顔すんだろーな。
テメーの男が、俺のオンナに手ぇ出してきたって知ったらよ?」
ヤマザキが腹を抱えて笑いながら、俺の肩に腕を置いて、ポンポンと背中を叩いた。
「モーいいよ。ご苦労さん。おめーの役目は終わったぜ。
さっさと寝むちゃってチョーダイ♥」
「な……」
「……カカッ!」
腹が痛い。一気に冷えて、一気に熱くなり、そして再び寒くなった。
あまりの激痛に感覚が麻痺していく。なんだなんだ。何が起きたんだ?
俺から離れたヤマザキの手に、赤く染まった鋭い光がきらめいた。
……マジでか。
やべぇー……俺、今回ばかりはやべーかも。
2号の叫び声が遠くで聴こえた。
美貴スケ……
だめだこりゃ。
215 :
名無し募集中。。。:03/10/22 21:42
sageでやれよカス
216 :
名無し募集中。。。:03/10/22 21:44
すっごいねw
217 :
名無し募集中。。。:03/10/22 21:44
>>215 てめーはすっこんでろ 良作にケチつけるな
へんなのくるからsageだこりゃ
か、か、かなり続きが気になりますな・・・
>>215 ノノノハヽ
川VvV)<まずお前がsageろ
/ U つ
し'⌒∪
アホが来るからsage進でマターリいこうぜ
いいじゃん
ズッコケ死ぬな
石川さんはお肉推奨委員会所属です
↓お肉スキスキのAA
ノノノハヽ
川VvV)<お肉スキスキ♪
/ U つ
し'⌒∪
ノノノハヽ
川VvV)
/ U つ
し'⌒∪
228 :
名無し募集中。。。:03/10/22 23:33
ふう、書き終わった。明日、チェックしてうpします。
ズッコケさんお疲れ。イイヨー
やべーじゃねーか…
どーなるんだ…
なんかスレと趣旨と違ってきてないか?
そう思うならネタ書いてよ
232 :
名無し募集中。。。:03/10/23 02:36
だめだこりゃ
なんか今回のズッコケはシティーハンターみたいだな
期待して続きを待とう
隣の奥さんスレとこのスレの続きが気になって仕方ない香具師
ノ
235 :
名無し募集中。。。:03/10/23 03:58
>>233 そういえば前ミキティハンターってスレあったな。
すぐ落ちたけど
237 :
名無し募集中。。。:03/10/23 10:20
damedakorya
238 :
名無し募集中。。。:03/10/23 15:36
age
>>162つづき
ブーーブーーブーーブーーブーー
なっちにデートに誘われたその日の夜のことだ。
ベッドの上で明日の事を考えて高揚していると机の上の携帯が俺を現実に引き戻した
手を伸ばして携帯を取り、画面を見てみると掛けて来たのは美貴だった。
わざわざ起こしに来てくれたのに、ほったらかしにして帰ったもんだから
文句でも言いに来たのかな。まぁ、俺が悪いな
俺 「もしもし」
美貴「こんばんわ」
俺 「えー・・・こんばんわ」
いつもと違った丁寧な感じの美貴の声に何か違和感を覚えた
文句を言われると想像して電話を受けた俺にとっては虚をつかれた感じだ
美貴「いや、どうしてるのかなと思って」
俺 「え?あぁ、ただベッドの上でボーっとしてたけど」
美貴「ふーん」
俺 「えっとさ、今日悪かったな。せっかく起こしてもらったのに、一人で帰らせちゃって」
美貴「・・・うん、その事なんだけどさ」
美貴は一回、息をはくと本題を切り出してきた
美貴「あの後、・・・どうだった?」
俺 「あの後って?」
美貴「ホラ、美貴と別れて屋上へ行った後!うまくいった?」
電話を掛けて来た理由はその事か。
俺 「あー明日、ご飯食べに行かないか?って言われた」
美貴「うっそぉ〜・・・マジで?OKしたの?」
俺 「断る理由なんかないし」
美貴「ふ〜ん。そっか・・・。上手くいくといいね」
冷やかされるかなと思ったけど、意外な答え。
俺 「うん・・・」
美貴「じゃあね」
俺 「え?・・・あぁ、じゃあ」
プツ・・・。何か最後、冷たいなぁ
聞くだけ聞いたら、さっさと切りやがったし。
電話を切った後も最後の美貴の態度が気になっていた。最初から最後まで美貴らしくなかった。
ただでさえ、興奮して眠れないのにもう一つ余計な物が乗っかったせいで、結局深夜まで寝れなかった
俺 「うわっやべぇ!!8時50分って」
朝、起きると目覚ましをセットしたにもかかわらず、目覚し時計のアラーム音を
掻い潜り、50分の寝坊。さすが俺!スケの異名を持つだけの事はあるな。
じゃなくて遅刻だぁぁああああ〜。
駅までダッシュ!なんか俺、走ってばっかだ。
俺 「はぁ、はぁ、・・・ゴメン・・・」
安倍「遅刻〜。20分も遅れてるよ?」
俺 「はぁ、はぁ・・・寝坊した・・・」
手を膝に突いて中腰の体勢で息を切らしてる姿はすっげー格好わりーだろうな
安倍「さすがスケさんだね(笑)」
俺 「メンゴ!!」
安倍「ん〜許しちゃう♪じゃあ行こっか!」
俺 「あのさ・・・」
安倍「なに?」
俺 「なっちって恥ずかしいから、なつみで良いかな?」
安倍「えへへ。そっちだとなっちが照れちゃうな。」
笑ってる顔やしぐさの一つ一つがすっごく可愛く見えた。
しかも許し方が女の子らしくて凄い可愛い
美貴なら絶対、殴ってくるな。・・・・昨日の美貴、どうしたんだろ
電車に乗り込むと、土曜の朝9時過ぎ。人がほとんど乗っておらず貸しきり状態
カップルならここでイチャついても良い様な場面だが、むしろイチャつくどころか
会話すらままならない。それから20分ぐらい揺られて目的地に到着した。
街に出ると買い物。二人で洋服見たり、買い食いしたりした。
大きな通りに沿って歩いていると、小さな段差が目の前に現れた。なつみは話している事に
気を取られていたのか、段差に気づかず
安倍「きゃっ」
足を取られた。俺は思わず手を出してなつみの肩を掴むとグッとこっちに引き寄せた。
それが抱き寄せるような感じになってしまった。引き寄せすぎた・・・
安倍「あ、ありがと・・」
俺 「大丈夫?」
安倍「うん」
畠から見ればこれは道のど真ん中で抱き合っている状態。恥ずかしくなってすぐにお互い離れた。
まぁそんな事してるうちにいつの間にか電車の中で感じたような距離は消えていた。
ただ消えなかった事がある
安倍「ねぇ、コレ可愛くない?」
俺 「・・・えっ!?あぁ、良いと思うよ」
安倍「聞いてる?」
俺 「聞いてるよ。うん」
それは昨日の美貴との会話である。離れ際の「じゃあね」の一言。何か寂しそうだったというか・・・
とにかく美貴の声が不協和音のように頭の中で鳴り響き、離れなかった
何でこんなに美貴の事を考えてるんだ?せっかくなつみとデートしてるのに。
この時の俺はなつみの様子が少しづつ変わって来ている事になんか全然気づいてなかった
昼を過ぎても街の中をぶらぶらと歩き回った。どのくらい経っただろうか?
気づくと太陽は夕焼けへと色を変えていた。そして沈んでいく。時間も遅くなって来たので
二人は電車に乗って帰り、地元に着く頃には辺りは薄暗くなっていた。
なつみを家まで送る帰り道。会話は少なめ。疲れたのかなぐらいしか思っていなかった
家の玄関先に着くとさっきまで普通に歩いていたなっちは突然顔を下に向けて、立ち止まった
雰囲気が一変する。なつみは何か決心したかのように話し出した
安倍「・・・やっぱり、このままじゃすっきりしないよ」
唐突ななつみの発言に理解出来ぬまま呆然と立ち尽くす。
安倍「今日さ、なっちの事見てた?」
俺 「え・・・?」
今にも泣きそうなぐらいの真剣な顔。
安倍「ほんとはさ、誰か違う人の事考えてなかった?」
ずっと美貴の事で頭の中がモヤモヤしていたのを見抜かれていたらしい
今日の俺は朝からずっと良い所なしだな。他の人が見たら最低って言うな。きっと・・・
俺 「ごめん・・・・」
安倍「何か謝られてばっかだね。」
俺 「・・・」
世界が凍りついたのではないかと思うほどの静寂(しずけ)さが辺りを包み込む。
なつみはドアをゆっくりと開け、チラリとこちらを見ると気持ちを押し殺したような声で
安倍「・・・・また、学校でね」
と言い、ドアを静かに閉めた。俺に残されたのは一人では解けそうもない
複雑に絡み合った想いだけだった。今日の俺はだめだこりゃ
乙
2階のオレの部屋へ急な階段を登るミキ 続いてオレ
ミニの制服からはパンツが丸見えだ
「ピンク」
無言のバックキックがオレの顔面に
当然オレはもんどり打って階下へ
どうやら骨折したらしい左腕を抱えて一言
「だめだこりゃ」
「カカッ……河川敷にでも捨てて、救急車呼んでやれ」
「はっ」
「マ…マコト! マコト! マコトッッ!!」
「うるせッ!」
バシッ。ヤマザキが、俺にすがり付いてわめいていた2号……れいなの頬を拳で薙ぎ払った。
ヤマザキの手についていた俺の血が、れいなの頬に擦りついて、赤く線を引いた。
「テメーは俺の女だろがッ! 俺だけ見てりゃイーんだよ…わかったか?」
「うっ、くぅぅッ……」
殴られた頬を押さえて、ギロッ、とれいながヤマザキを睨んだ。
ヤマザキは煙草を取り出して、それを口に咥える。金髪の女が火をつけに寄ってきた。
シュッ。紫煙が立ち昇り、よどんだ空気が静かに動いた。
「なんだその目は……カカッ」
「……山崎さん、あんた……誰ね!?」
「あーん?」
「あんたは、あんたはそげな人やなか! 優しい人やったばい!
なんでなん……なんでこげなひどいことを」
「俺は別に優しかねーよ。優しかったら今頃こんなとこにいねー」
ケラケラとヤマザキが笑った。
「テメーもグレてりゃわかんだろ。優しさが欲しいなら、俺のとこへ来るのはお門違いだぜ…
牛丼屋でねぎソバを頼むよーなモンだ。カカッ」
ヤマザキが唾を吐き捨てた。
血が混じって赤く濁ったそれは、床にペチャリと張り付いた。
「俺がオメーにやれんのは、力の支配と統制だけだぜ。あとは…カカッ、快楽かナ?
あの神狼を今年度中に落として、俺の地位を不動にしてやる。
そしたら上前の…いや、県下を締める大部分は俺のモンだ。やり放題できるぜぇ」
興奮してきたようだ。ヤマザキがノってきた。
「神狼高校は美女揃いって聞いてるしな。今から楽しみだぜぇ。
……ヒャッヒャッヒャ、そうだ。藤本美貴。まずはアイツを落としてやるか。
テメーの男が俺の女に手ぇ出してきたって言ったらどんな顔するかナァ?
きっと目ぇひんむいて、ガタガタと震えて泣き叫ぶに決まってるぜぇ!!」
バタン!
「や、山崎さん! ヤバイ、にっ、逃げ……!」
丸坊主の男が自分の足にからまって、グシャッと床に倒れた。
どことなくボロボロだ。
フロアの空気がサッと緊張を帯びるのと同時に、
扉にふたつの影が立ちふさがった。
「うちのバカが世話になってるって聞いたんだけど――」
フロアがざわめいた。
薄暗いフロアから見ると、扉のあたりは廊下の電気で逆光になっていて、顔がよく見えない。
だがその中で、美貴スケの瞳がキラッと鋭く輝いた。
「返してもらえる?」
「おとーさんにひどいことしたら、許さないんだかんね!」
……いや、もうされてるんだけどな。
ほんの少しの間に、フロアにいた体格のいい男たちは、もう誰ひとりとして立ってはいなかった。
仲良く揃って床で泡を吹いて眠っている。
ザッ。美貴スケが一歩踏み込んだだけで、ヤマザキはガタガタと震え上がった。
「ヒッ、ヒィヤハアアァアアァァァァァ!!!
ちょ、ちょっと待ってくれ! な? コイツが、コイツが先に俺を殴ってきたんだぜぇ?
見ろよ、見てくれよこの痣。くちっ、口も切れてる! どうみたって俺が被害者じゃねーか!
だからよ、そう怒るな、怒るんじゃねーよ!!!」
ヤマザキの声が上ずった。ぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返している。
この後コイツに訪れるほんの少し先の未来のことを思うと、なんとなく哀れに感じられた。
「テメーの男が俺の女に手ぇ出しやがったんだぞ!
オメーは神狼の風紀委員長だろーが! 被害者に制裁下すのは規則違反……ッ」
「うっせーハゲ」
「……ッッ!!!」
男の絶叫が響いて、床に倒れる影の山がひとつ増えた。
泣いているれいなとゴマキさんを前にして、美貴スケはひとつため息をつくと、大声で一喝した。
「泣くな!」
「ひゃぁッ!」
「んぁぁ〜〜み、美貴ぃ!! ど、どどぉしよぉぉ。おとーさんが、おとーさんがッ!!」
「バカ。落ち着きな。あんたの馬鹿力で揺らしたら余計に出血するから」
「ヒック、ふっ、ふぇぇ〜〜! お、おとーさん! おとーさぁぁぁぁんん!!!
死んじゃやぁだぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
「真希!」
物騒なことを叫んだゴマキさんを、美貴スケがゴツンと一発殴った。
「紺野、救急車は?」
「既に呼びました。じき来ると思います」
「ホラ、真希。救急車来るから。助かるから。いい加減落ち着きな」
「うえぇ……ひっく……ふっ、ふぁぁ〜…グスッ…………ふぁぁああ〜!!」
「まだ泣くのかよ!」
ビシッ、と美貴スケがゴマキさんにツッコミを入れた。
この期に及んでも、このふたりのボケとツッコミは成立しているようだ。
「アンタも大丈夫?」
美貴スケがれいなに声を掛けた。
れいなは俺の血が付いた頬を押さえたまま、ペタリと座り込んで、呆然と床を見つめている。
「……山崎さんは優しい人やったんよ。こげな……こげなことする人やなか……」
「……」
「だって……だってあたし、山崎さんを好いとったと。よか人やったもん。
両親が死んでばあちゃんの家に越してきたあたしに、『偉いな』ってゆってくれたもん。
確かに怖い時もあったけど、よか人やったよ!」
美貴スケが制服のジャケットを脱いで、衣服の乱れたれいなに掛けてやった。
「泣いて済むなら泣きな」
「……っ……うぅ…」
「でも、泣いても現実は変わったりしないよ」
「ふ、藤本…さん……ふぇっ…」
嗚咽を漏らすれいなの頭を撫でてから、美貴スケは俺のもとにかがんだ。
美貴スケに頬を撫でられると、ふわりと香水の香りが俺を包んだ。
「バカ。…喧嘩、弱いくせに」
……優しい匂いだ。
今度こそ俺の意識は遠のいて、暗い深淵に落ち込んでいった。
「歴史は常に勝者のものです。
いたいけな中学生を助けようとした男子生徒が不良グループの幹部に刺され、
その恋人である風紀委員長がその場に乗り込み、敵討ちを果たした。
……ステキなドラマじゃないですか?」
脚本・演出:紺野あさ美 ってとこか。
刺される役なんて嫌過ぎるぞ。
紺野は静かに語り始めた。
「アップフロントの幹部で、急進的に勢力を伸ばしていた山崎は、まだ2年生でした。
当校とアップフロントとの対立が本格化するのは、山崎が3年になる来年度でしょう。
ですが、その頃には今の3年生……生徒会長も藤本さんも当然卒業されているわけですから、
来年度の当校の戦力は今年度を大きく下回ると予想されます。
……ということは、今山崎をつぶしておかなければ、残っている私たちが大変なんです」
軽く息をついて、紺野は続けた。
「なんとしてでも今年度中に山崎を叩いておきたかった。
でも藤本さんは近頃、委員会の業務に無気力でしたから、動かすのは至難の業でした。
……となると、藤本さんを本気にさせる手段はひとつしかなかったのです」
紺野が俺をまっすぐ見据えた。
「そう、ズッコケ先輩。あなたを被害者にすることです」
おいおい。
「ちょうど風紀委員会のネットワークに、山崎と親しい女子中学生が先輩と接触したという情報が入ってきました。
そこで私は先輩に近づき、委員のメンバーに田中さんの鞄を引っ手繰らせて、
東町のゲームセンターに行くように誘導したのです。
そこに山崎がいるという情報が入っていましたから」
なんだ。あの日、階段でぶつかったのはやっぱりヤラセだったのか。
「山崎は山崎で、当校と争いを起こすきっかけを探していたようですね。
正面からぶつかっては、風紀委員会が制裁措置に出ることは明白なわけですから。
どうしても喧嘩を吹っかけられたという形にして、委員会を無力化したかったんでしょう。
当校側に非がある場合は、委員会は仲裁にしか入れませんからね」
俺に殴られて狂喜してたもんな、ヤマザキ。
「田中さんと先輩を目の当たりにして、山崎は即座にこれを利用しようと考えました。
そしてその後は、先輩の知ってる通りです」
紺野が放ったおいしい餌に、ヤマザキがまんまと食いついたということか。
ただ、食いついた餌がミキティホークの餌でもあったので、ヤマザキはあっさり食われてしまったと。
全ては紺野の計算どおりだったってわけか。
「ただ、山崎が先輩を刺したことは予想の範囲外でした。
これは私の浅慮の結果です。申し訳ありませんでした」
「ま、お前さんが即座に救急車呼んでくれたから、なんとか生きてるけどな」
俺とれいなをゲーセンに向かわせてから、紺野はすぐさまふたりを呼び出し、後を追わせたらしい。
ふたりはゲーセンに乗り込むなり、出入り口にいた丸坊主の兄ちゃんを皮切りに、
立ちふさがった男どもを次々と殴り倒し、蹴り倒し。
鬼神のごとく戦って、ついにはヤマザキまでもをあっさりと落としてしまった。
かくして、アップフロントの急進的勢力であるヤマザキグループは壊滅。
近頃騒がれていた引っ手繰りや暴行事件もぱったりと止んで、
このあたりに再び平和が訪れた。
……どうでもいいけど。
美貴スケとゴマキさん、強すぎ。
「……あ。先輩、生徒会長がお見えです」
生徒会長?
って誰だよと俺が紺野に尋ねる前に、病室の扉を景気良くバターンと空けて、
生徒会長がムチャクチャ場違いな元気パワーを振りまきながら入ってきた。
「イエーイ! めっちゃホスピタール! なんつって。
ひゃは! ズッコケ君、元気ですかー!
お見舞いに来ましたよーーーー!」
……松浦亜弥だった。
「いやいやいや、今回はズッコケ君。ご苦労様でやんす。
お陰様で、最近このあたりを騒がしていた元凶もとっちめられましたし、
神狼高校の生徒会長としてこの松浦、ズッコケ君に感謝する次第であります」
ピシッと姿勢を正して、松浦亜弥が頭を下げた。
この人のテンションには、どうも俺はついていけない。
美貴スケが従順になってしまう理由も分かる気がする。
「今回の件では、風紀委員長のミキたんがかなり乗り気じゃなくてですねぇ。
何度も生徒会で諮問会議を開いて、制裁措置を取るように勧告したんですけどね。
ミキたんは暴力は振るいたくないとか可愛いこと言っちゃいまして、なかなか動いてくれなかったんですよぉ。
まぁそんなこんなで、紺ちゃんが色々仕込んで、こういう結果になったわけです」
ああ、もしかして。
てっきり遊んでるんだと思ってたけど、美貴スケと松浦亜弥はここ数日、
このことで放課後いなくなっていたのか。
そういや、あの日の美貴スケは嫌そうな顔をして、松浦亜弥に引き摺らるように連れて行かれていたな。
「それにしても、アイツはなんでそんなウダウダしてたんだ」
済んだことを穿り返す気はねーけど、アイツにしちゃ珍しいくらいに思い切りが悪い。
「ん〜〜。それは多分、純情な乙女心ってやつですかねぇ」
松浦亜弥がうんうんと自分で頷きながら、不可解なことを言った。
なんだそりゃ。
「さて、そろそろみんな来たかな〜?」
廊下がガヤガヤと騒がしくなった。ここは病院だというのに。
松浦亜弥がドアを開けようとしてノブに手を伸ばしたのと、扉が勢いよくあいたのは同時だった。
バッターン!
「いーーーーち、にーーーー、さーーーーーーん、マコォォォォォォォォオオッ!
ねぇねぇマコっちゃん、あれ知ってる? あれ。
なに? あれって。知らない知らない。
あんた知らないんだ。遅れてるわねぇ。最近母さんにね、ヒゲが生えるの。
………更年期障害ッ!
…………ハイ。ひとりひとりを大切にするまちづくり、新潟県からこんにちわ!
フレッシュ、フレッシュ、フレーーーっシュ! 小川ま」
……パタン。
松浦亜弥が無言で扉を閉めた。
いや、アンタが入ってきたときも似たようなツッコミを入れたかったけどな。
「おとーさん、クッキー作ってきたよぉ。沢山作ったから、いっぱい食べてねぇ」
「ズッコケ君っ、あたし、チーズケーキ作って来たのっ! よかったら食べて!」
「に〜ちゃ〜ん。でへ。マコは羊羹作ってきますたよぉ〜。その名もカボチャ羊羹」
ぎゃあぎゃあぎゃあ。あぁうるさい。
ベットに備え付けられている茶托に、バスケットから溢れんばかりのクッキーと、
真ん中にカメルーンの旗が立ったチーズケーキと、
黄土色をした妖しげな羊羹が並べられた。
俺を殺す気か。心労で。
ある意味、ヤマザキよりも性質が悪い。
「マコト…やなか、ズッコケ。その……怪我の具合はどうなん?」
れいながおずおずと聞いてきた。
口元に張られたバンドエイドが痛々しい。ヤマザキに殴られたときに、口を切ったらしかった。
コイツは俺が刺されたことに責任を感じているらしく、すっかり元気を失ってしまった。
……そんな姿が見たくて、俺はヤマザキを殴ったわけじゃねーよな?
「心配すんなバーカ。それよりオメーはもっと元気出せ」
「……美貴姉がよくしてくれるよ。みんな優しいし」
「そっか。美貴スケ、コイツをよろしくな」
「ん。」
美貴スケが笑ってコクリと頷いた。
よろしくなっていうのもなんか変な感じだが、背負い込んだのは俺だしな。
美貴スケはアレで結構面倒見がいいから、れいなに悪いことにはならないだろう。
「そろそろ検診の時間です」
「はい。それじゃみんな、迷惑がかからないうちに退出ぅーー!」
松浦亜弥の号令で、民族大移動が始まった。
ぎゃあぎゃあぎゃあ。あぁ。少しは黙ってられんのかい。
その時になって、ずっと黙っていた美貴スケが、すっと俺に近づくと、
小さなカードを差し出してきた。
「ハイ。これ」
「なんだよ?」
「いいから。じゃ、また来るわ」
ばいばいと手を振る美貴スケの背中を見送り、ドアが閉じるのを待ってから、
俺はカードを捲った。
『 早く元気になってね。
美貴より 』
……………ハ。
筆不精にもほどがあるぞ。
………やべぇ、顔が緩んできた。
看護婦のオネエサマに変な顔で見られちまう。引き締め、引き締め…
「あら、嬉しそうですね。で、誰が彼女さんなのかナ?」
担当医の絢香先生が、艶やかな微笑を浮かべながら聞いてきた。
……見られてんじゃん。
だめだこりゃ。
終わり。
長くてスマソ
>>248-263 乙。
俺は贅沢いいます。
なんかたんない、なんかたんない。
なんかたんないんすよ。
贅沢言ってごめんなさい。
>>248-263 すごいですよね、ほんと。
これだけ長いの書ける構成力とか。
シリーズとしてしっかり成り立ってて、次が楽しみです。
267 :
名無し募集中。。。:03/10/23 23:21
作家さん乙でつ。全部拝見してるなり。
たまには単純な主人公と美貴のふたりだけの萌え萌えなお話もキボンヌ!!!と言ってみる。。
だめだこりゃ。
作家ガンガレ
269 :
名無し募集中。。。:03/10/23 23:41
ズッコケシリーズ、毎度良いですな
>>265 ノノノハヽ
川VvV) <なんかじゃわかんねぇって
/ U つ ビシッ
し'⌒∪
いかったよ
272 :
名無し募集中。。。:03/10/24 00:09
ずっこけシリーズいいね〜!大好きです
シリアスに終始しないとこが◎
しかも良い意味であざとくいれてくる小ネタが
ヲタ心をくすぐる
274 :
名無し募集中。。。:03/10/24 01:45
あげ
275 :
(ノ´・∀・`)ノよっ ◆qjwVYP8F1Q :03/10/24 02:29
もうこのスレなしじゃ生きられない身体になってしまったよ
ですな。
ここらで失恋ネタきぼん という無理なお願いsage
ズッコケ作者さんはなんとなくボブの影響を受けてる気がする
278 :
名無し募集中。。。:03/10/24 03:32
だめだこりゃ待ち
279 :
募集中。。。:03/10/24 09:03
乙かれ age
280 :
名無し募集中。。。:03/10/24 09:25
固定になってたままだった
保全
282 :
名無し募集中。。。:03/10/24 17:57
あげ
だれもレスしてないようだけど、
>>247このスレの原点に返る短編、イイヨー
作者さん、次も期待してます
284 :
名無し募集中。。。:03/10/24 19:58
うへぇーかいてたら疲れた、ズッコケさんもよく書けるな
もう俺は疲れたぞw ひとまず明日、続きかこっと
285 :
名無し募集中。。。:03/10/24 23:38
あげ
286 :
名無し募集中。。。:03/10/25 00:58
だめだこりゃ保全
「○○、今日晩ご飯美貴の家でだからね」
「えっ、なんで?」
「これだから○○は・・・」
「あーっ、思い出した旅行だ」
「そう、毎年恒例の○○のおじさんとおばさんと美貴の親とで行く旅行」
「そう言えば、母さんが朝そんなこと言ってたな」
「ということで、今日は美貴が美味しいご飯作るから」
「おう、わかった、ってなんか恋人みたいだな」
「恋人みたいじゃなくて恋人でしょ」
「うん、いや、えっ?」
だめだこりゃ
288 :
名無し募集中。。。:03/10/25 01:04
原点回帰ですね。乙です。
藤本本人よりこのスレの藤本の方が好きになってきたw
「おい、○○起きてるか?」
ZZZzzz・・・
「寝てるか…」
ZZZzzz・・・
「美貴な、恋してるんだ。」
ZZZzzz・・・
「○○、気付いてね。」
ZZZzzz・・・
チュ…
「オヤスミ、○○」
だめだこりゃ
主題歌はロマ浮かかな?ベタでスマソ
幼なじみは?
294 :
名無し募集中。。。:03/10/25 03:40
295 :
名無し募集中。。。:03/10/25 08:14
age歩
296 :
名無し募集中。。。:03/10/25 10:34
緊急ほぜん
>>267 誕生日のプレゼント何がいい?と聞いたら、こんな回答が返ってきた。
「リングが欲しい」
リング。……リングね。
なんかスッゲーハズカシー気がするけど、まぁ、コイツが欲しいっていうんなら……な。
しかしリングか……高けーのリクエストされたらどうしよう。
放出できるとしてもせいぜい諭吉さん1人…いや、2人……
出血大サービスで3人くらいだ。
そんなことを言ったら、シルバーリングでいいんだよと美貴スケにツッコまれた。
「ねぇ、ていうか相談なんだけど。別に高いやつじゃなくていいから、
ペアリングにしよ?」
「………やだ」
「なんでよ。なんでよなんでよなんでよ。いーじゃん。
ペアだよ? おそろいだよ? 『永遠』って感じジャン」
「そんなハズカシーことしてられっか。
それに指にジャラジャラつけてるのってなんだかな。邪魔くさくて俺は好きじゃねー」
「別に指につけなくてもいいよ。あたしがチェーン買ってあげるから。
ペンダントにすればオシャレだし、つけててもそれほど邪魔になんないでしょ?」
……まぁ、それならなんとかな。
「シンプルなやつにするからさぁー。ねぇ、ペアリングにしよーよぉー」
実にわざとらしーく美貴スケがねだってきた。
……笑ってやがる。
わかってんだぞ。『あたしフザけてやってるよ』って態度を装わないと、
恥ずかしすぎてお前自身やってられねぇんだろ。
「ホラ、こんな感じ。いーじゃーん! アンタもつけてみなよ」
買ってきて早々、美貴スケがリングにチェーンを通して渡してくれた。
受け取った俺は、首の後ろで留め金を……
……留められない。
「あー、ホラ貸してみな。やってあげる」
美貴スケが俺の後ろに回って留めてくれた。
「アハハ。いーじゃん。おそろいおそろい」
「よかったな」
「なにぃ? 嬉しくないの?」
「……オメーの喜んでる顔見て、嬉しくならねーわけねーだろ」
「…………」
ムッとしていた美貴スケの顔がニヘリと緩んだ。
「バカ」
だめだこりゃ。
300 :
(ノ´・∀・`)ノよっ ◆qjwVYP8F1Q :03/10/25 11:24
ハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
mikisuke
301 :
名無し募集中。。。:03/10/25 11:27
アマー
「おーい○○、風邪平気か?」
「お"う」
「…ひどい声だな。熱はあるか?」
おでこをくっつける美貴
「あちゃー。熱高いな。今氷枕作ってくるな!」
そりゃあんな近くに美貴の顔がくれば…
だめだこりゃ
303 :
名無し募集中。。。:03/10/25 12:03
あの時 同じ花を見て
美しいといった二人の心と心が
今はもうかよわない
あの素晴らしい愛をもう一度
あの素晴らしい愛をもう一度
だめだこりゃ
305 :
名無し募集中。。。:03/10/25 12:36
>>244続き
安倍「あたしも大好きよ」
俺 「俺も大好きだよ」
山下「俺「俺もう我慢できないよ!!」すると安倍は・・・あぁぁぁああ」
俺 「何してんの?」
山下「ん?この前のお前となっちのデートの様子を想像中」
前から薄々思っていたんだけど、こいつ、やっぱ馬鹿なのかな
山下「んで、この前はどうだったのよ?」
俺は土曜日にあった事を全て山下に話した。デートの最中にずっと美貴の事が
頭を離れなかった事、最後になつみにそれを見抜かれた事
俺 「てゆーか何で、デートあった事知ってるの?」
山下「フフフ、俺はこの学校全員の女の子と知り合いだからな」
山下は自慢げに不敵な笑みを浮かべて言った
ってか、これって自慢になるのか?
俺 「そんなんだから後藤さんにフラれるんだよ」
山下「俺は一人の女性だけじゃ満足出来ないんだよ」
おいおい・・・
306 :
名無し募集中。。。:03/10/25 12:38
俺 「でさ、さっきの話した事だけど、・・・どう思う?」
山下「簡単じゃん。お前、藤本さんの事好きなんだろ」
すました顔をして、ずばっと切り込んできた。
自分の中で唯一、認めなかった場所だ。だって美貴だぞ?
山下「お前多分気づいてないんだよ。自分の気持ち。」
と言うと俺の胸を軽くポンと叩いた。こいつにとっては
単純、明快な問題みたいだな。好きなんかなぁ・・・
俺が考えても、認めづらい部分をあっさり切ってきた。こいつすげーかも
山下「好きと憧れは違うって事だな」
俺 「ふ〜む・・・経験豊富なだけあって、さす・・・」
山下「待て!電話だ!! あ♪絵理ちゃ〜ん♪♪」
今の評価はなしにしよう・・・。こいつはただのプレイボーイだな。
それから授業が終わると屋上に行って、物思いにふけった。
山下には教えてもらったひとつの道。美貴の事が好きか・・・。
まぁ、美貴の事を好きかどうかは別にして、なつみを傷つけたのは疑いようもない事実だ
きっとハッキリさせなきゃいけないと思う。俺自身で・・・
ところで俺自身がこんなに悩んでいようがいまいが、学校には関係ない。
秋と言ったらスポーツ!!何気に明日は球技大会らしい。
翌日、雨の中朝早くから本気でクラス同士がぶつかる球技大会。種目は野球らしい
野球でもすれば、少しは気持ちが晴れるかな。小さい頃から中学生になるまで
リトルリーグに入っていた。おかげで野球だけは得意。不思議と気合が入る
うちのクラスは意外と強かった。一回戦、2回戦、準決勝を難なく勝ち進み決勝
相手も決勝に残っているチームだけあって、かなり強い。一進一退の攻防が続いた
気づくと9回裏1点を追う場面でなんと1アウト満塁。バッター・・・俺かよ
3番を打ってる俺の成績は4打数3安打2打点。
もちろん観客の期待が一気に俺に集まる
俺 「ここで打たなきゃ男じゃねぇ」
自然とバットを持つ手に力が入る。簡単に2ストライクに追い込まれるも
粘り粘って8球目。「ボール」相手も遊び球がなくなった。この瞬間を待っていた
ファーボールを恐れたピッチャーがど真ん中に投げた。渾身の力を込めて打ちにいく
ズル
思いっきり踏み込んだ次の瞬間雨でぬかるんでいた足元に滑って
絶好球を空振り。期待は一気にため息と変わる。思わず地面にバットを投げつけた
俺 「くそっ!!」
美貴「惜しかったな」
グランドの外から美貴が声をかけてきた
俺 「慰めなんかイラネェ。どーせ俺は男じゃないんだ!!」
美貴「はぁ?何言ってんだよ?」
俺って何でこう勝負弱いのかな。ふつーに凹むぞ。と次の瞬間、
次のバッターが出てくると俺にはなかった黄色い声援が飛んだ
4番 吉澤(♂)。こいつはうちのクラスの人気者だ。そしてスポーツ万能。
今日も4打数4安打2打点だし。そして試合を決めたのはこいつだった。
外野の頭を遥かに越えるフェンス直撃のサヨナラ。もううちのクラスはお祭騒ぎ。
ワーワー言ってる横で他人事のようにそれを見ていた
美貴「何、しぼんでんだよ?」
俺 「そりゃ・・・しぼむよ」
美貴「格好良かったじゃん。2打席目の同点のヒットとか」
あれ??俺今、褒められた?美貴に?珍しい事があるもんだな。
美貴と話していると横から今日の英雄、吉澤がこっちにやってきた
吉澤「美貴見てたかぁ〜?俺のサヨナラ」
美貴「うん、見てたよ。」
吉澤「はっはー俺に惚れると火傷するぜ!!ってそちらはスケことブンブン丸じゃないですか?」
うわっ!スゲーむかつく。調子乗ってるなぁ・・・。
俺 「そろそろ俺も退団しようかと思ってるよ」
吉澤「ハハ、その方が良いぞ。」
と言い残すと、また女の子の元に戻っていった
フワフワした奴だなぁ
俺 「・・・美貴、吉澤と友達だったの?」
美貴「入学した当初からね。係りが一緒だった所で仲良くなったの」
知らなかった。てゆーか美貴と吉澤ってあんまりイメージ合わないな
美貴「でも、あいつ、嫌味とかいう奴じゃないんだけどな」
吉澤にからかわれてイライラしてたら疲れた。もうさっさと帰るか!!
俺はその場を立ち上がると荷物を片付けはじめ、帰る準備を始めた
美貴「あれ?帰るの?」
俺 「もう試合終わったし。」
美貴「でも、ホラあんたのクラス優勝したから、先生がジュースおごってくれるってさ」
俺 「・・・そんな気分じゃないな」
荷物をもって、みんなが騒いでいるのも目もくれず、学校を後にした
家に着いてもブルーな気持ちは消えず、ベッドに崩れ落ちるとボーっと天井を眺めていた
球技大会の疲れもあったのだろう。そのまま眠ってしまった。
コンコン。コンコン
俺を眠りから覚ましたのは、窓の外にいた美貴だった
鍵を開けて、呆れたように窓をあけた
俺 「お前、小学生じゃないんだからさ」
美貴「良いじゃん。別に。ってかさあんたのクラス打ち上げあるみたいだけど来る?」
面倒くさいな。それに行ってもどーせ吉澤に嫌味を言われるだけだろうし
俺 「行かない。・・・ん?お前行くの?違うクラスなのに」
美貴「吉澤がさ、来いって。じゃあ行っちゃえみたいな(笑)」
俺 「じゃあ、俺の分まで楽しんで来て」
美貴「もう来ればいいのに。じゃあ、行ってくる」
そう言うと、美貴は自分の家に戻って、すぐに家を出た。
美貴が家出て行ってから、30分ぐらいして俺の携帯がなった
山下からだ
俺 「あ〜もしもし」
山下「元気ぃ〜?」
俺 「ボチボチかな」
山下「なんだよ〜。テンション低いね!そんな時はパーと飲みに行きませんか?」
俺 「クラスで打ち上げるから、それに行けば良いじゃん」
山下「・・・ん?何それ?そんな話聞いた事ないよ」
は?どういう事だ?確かに美貴は打ち上げがあるって言って出掛けたぞ。
山下がハブられた?それは考えにくいな。・・・打ち上げなんて元々ないんじゃないか?
じゃあ美貴は嘘をついたのか?いや・・・美貴はわざわざ俺を誘ってきたし。
騙されてる?誰に?・・・吉澤!?
俺 「なぁ、吉澤について知ってる事ってある?」
山下「あ!!そうそう。言おうと思ってたんだよ。あいつね、藤本さん狙ってるみたいよ」
今日は初めて聞く事が多い日だな
山下「お前とライバルになるんじゃない?」
俺 「貴重な情報、どうもありがと」
山下「いやいや〜。んで話し戻すけど、飲みに・・・・切りやがった」
美貴が吉澤と二人きりでいると思うと居ても立ってもいられなくなった。
くそ、どこに行くのか聞いとけば良かった。闇雲に公園やカラオケを探しまわる
もうずっと走りっぱなしだ。見つかる訳がないか。
走りつかれて思わず電柱に寄りかかる。息を吸うのと吐くので精一杯の状態だ
こんな時に山下の言ってた事を思い出した・・・やっぱ俺好きなんじゃん。
好きな子の為じゃなきゃ、こんなに必死になんねぇよな
安倍「あれ、スケさん?」
俺 「へぇ?あ・・・」
顔を上げると、少し驚いたような顔をしたなつみがそこに立っていた
安倍「どうしたの?なんか・・・大丈夫?」
俺 「あぁ・・・ちょっとね」
こんな状況の中だけど自分の気持ちを見つけた。なつみにはそれを伝えなきゃいけない。
俺はすっげー失礼だったからな
俺 「ごめん!!」
いきなり俺の言葉になつみはキョトンとした顔で俺を見る
俺 「俺・・・他に好きな子いるみたいだ。それなのに・・・」
安倍「んーん。いいよ」
なつみは軽く顔を横に振る。そして言葉を続ける
安倍「うん、頑張ってね。応援してるよ。後悔しちゃダメだぞ」
この人、見た目すごい可愛い感じだけど中身は俺なんかより全然大人だな
俺 「お、おう! じゃ、じゃあ俺急いでるから」
安倍「うん、・・・バイバイ」
再び俺は美貴を探し始めた。
美貴「ねぇ、何で誰もいないの?」
あるカラオケの一室。吉澤と美貴は二人きりでいた
みんな来ると思って、待っていた美貴が来ない事に吉澤に疑問を投げかける
吉澤「誰もこないよ」
美貴「はぁ?どういう事?」
吉澤「そういう事」
美貴「ふ〜ん、美貴騙して二人きりの状態を作ったって事?」
吉澤「いくら二人きりで飯とか誘っても来てくれないからな」
吉澤がゆっくりと席を立ち上がり美貴の元に近づく
吉澤「俺の彼女になんないか?」
美貴「タイプじゃないなぁ」
困ったように美貴は顔を横に向ける。
吉澤は今にもキスしそうなぐらい美貴との距離をせめる
吉澤「ふ〜ん・・・そんなにスケの事が良いのか?俺のほうが全然モテるぞ」
美貴「あんたより全然マシだよ」
この美貴の言葉に吉澤の態度が豹変する
美貴の手をぐいっとつかみ、美貴をソファーの上に押し倒す
吉澤「力づくで襲っても良いんだぞ?」
美貴「女の美貴の力じゃ逃げられそうにないね」
そう言うと、美貴は吉澤の目をキリっと睨み付け言葉を続ける
美貴「いくら美貴をここで犯しても、あんたは美貴の気持ちを手に入れることは出来ないよ」
吉澤「・・・」
この言葉に観念したのだろう・・・。握り締めていた美貴の手を離すと
吉澤は無言でカラオケボックスから出て行ってしまった
一方、そんなやりとりがあったなんて事を知らず、美貴の行方が分からず
途方にくれた俺は美貴の家のまでずっと美貴の帰りを待っていた
何時間待っただろう。人気はまったくなくなり、辺りの家の灯りは消え、
闇を照らし出すのは電灯だけになっていた。
そんな時、向こうからコツコツといった足音が聞こえてきた。美貴だ
美貴「何やってんだよ、その所で」
俺 「美貴?美貴!大丈夫だったか?」
美貴「ふ〜ん、美貴の事そんなに心配してたんだ」
ニヤニヤと笑って美貴が俺の顔を覗き込む。
俺 「めっちゃ心配した・・・」
美貴は俺をちょっとからかった後、真面目な顔をして俺との距離を取ろうとする
美貴「でも・・・ホラ、あんたには安倍先輩がいるんだから、美貴の事考えてる暇なんてないでしょ」
俺 「上手く行かなかったよ」
俺の発言に驚いたように美貴が聞き返す
美貴「うそ!?なんで?あんたなんかドジやったの?」
俺 「おまえのせいだよ」
美貴「はぁ?美貴のせい?」
俺 「俺の気持ち中にお前がいた」
美貴「・・・どういう事?」
俺 「いいか?よく聞けよ」
美貴「うん・・・」
俺 「美貴の事が好きだぁぁぁああああああああああああああああ」
し〜ん・・・・あれ?マズった?え・・・ちょっと・・・
うぉ、この空気に押し潰されて死にそうだ・・・
美貴「プ・・・あはははは」
美貴の笑い声が静寂を破る
美貴「もったいないなぁ。安倍先輩みたいな良い人は、そうそう居ないよ」
俺 「そ、そうだけど。これが俺の答えだし」
美貴「美貴がOKするとも限らないのに」
俺 「え・・・・、だ、だめ?」
そう言うと、少し照れたように笑って俺のほおを指で突付いた。
美貴「秘密だよ」
俺 「ちょ・・・え・・何だよ、それ?」
美貴「バイバイ〜」
バタン!!美貴は家の中に入ってしまった。てゆーか返事は?
秘密ってなんだよ!!どうしよ・・・これはどういう事だ?
お助けカード山下ぁぁああああああああ〜
美貴「・・・あんな大声で言われたら照れるじゃん」
だめだこりゃあああああああああああああああああああああああああああ
萌えシンジャウヨ。
サイコウ。
322 :
名無し募集中。。。:03/10/25 16:04
hozen
保
324 :
名無し募集中。。。:03/10/25 19:35
ズッコケイイヨーイイヨー保全
保全
326 :
名無し募集中。。。:03/10/25 22:43
age保全
>>327 スバリなヤツ書いてあったりするんですが
藤本の心理描写が少ないんでお蔵入り状態。
>>328 うー、読みたい・・・
でも作家さんの意思に任せますわ
機会があったり、気が変わったりしたら待ってます
川*VvV)<…好きなの
ただいま〜・・・ん?」
学校から帰ると台所から妙にいいにおいがしてくる。
「わ〜どうしたんだこれ、今日の晩飯スゲー豪華じゃん。親父の奴出世でもしたのか?」
食卓には普段はありえない豪華な、と言うか俺の好きなおかずが並んでいた。
「何言ってんの。今日はあんたの誕生日でしょ。」
お袋が呆れた声で答える。
「あぁ、そう言えばそうだったな。・・・モグモグ、これ美味いな。」
「こらこら、つまみ食いなんかしてないで早く着替えてきなさい。」
「着替えてきなさい。」
「おう!・・・・・ってなんでお前がここにいるんだよっ!」
台所から美貴が顔を出す。
「いや〜おばさんにどうしてもって頼まれちゃってね。こうして助っ人に来てる訳よ。
ほら、邪魔だから早く部屋に行って。」
美貴が力まかせに俺の背中を押す。
「わかったわかった。せいぜいがんばってくれよ、助っ人さん。」
「はいはい。」
美貴に無理やり促されて俺は部屋に向かった。
>>332続き
「美貴ちゃんが手伝ってくれて本当に助かるわ〜。
このまま家にお嫁に来てくれればもっといいんだけど。」
「やだ〜、おばさん冗談はやめてよ〜。」
美貴とお袋の嬉しそうな会話が聞こえてくる。
なんなんだろう。変な空気だ。
「ん?」
部屋に入ると机の上に何か置いてあるのに気が付いた。
それは一枚のカードととても綺麗にリボンがかけられた小さな箱だった。
〜誕生日おめでとう
美貴より〜
その日の晩飯の味は覚えていない。
だめだこりゃ・・・・。
電車の宙吊り広告で藤本美貴が笑っていた。
アイツは、俺の彼女だった頃より可愛くなった。ゲーノージンの顔になった。
……変わっちまった。美貴スケは。
信じられんね。ガキの頃から見慣れてたはずのアイツが、他人に見える。
「……くんは、ミキティが好きなの?」
「はっ?」
「ミキティが好きなの? さっきから広告ずっと見てるから」
しまった。ぼーっとアイツの広告を凝視しちまってた。
「いや、そういうわけじゃねぇッス」
「そうなの? 可愛いくて結構好きよ、ミキティ」
センパイからしたらベッカム格好いいよね、みたいなノリなんだろうけど。
俺には苦い愛想笑いしかできない。
「センパイのほうが美人じゃないスか。『ミキティ』より」
「キャー。ウフフ。ありがと」
センパイはニッコリと笑った。
お世辞でも何でもなく、センパイは美人だった。スタイルも良い。おまけにバイリンガル。
大学のサークル内でもあこがれの的だ。
「今日はもう帰るだけ?」
「ハイ。夕飯買って帰ります」
「そうなんだ。私もゴハンまだなんだけど」
センパイが伺うような上目遣いになった。
「誘ってもいいかな?」
自宅に帰った頃には23時を回っていた。
ふと携帯を眺めると、メールが5通。着信履歴3件。
マナーモードにしてて気がつかなかった。
着信は全部同じ。見慣れた番号からだった。
俺は一瞬躊躇して、それからゆっくりと通話ボタンを押した。
『……もしもし』
「よ。遅くにゴメンな。寝てたか?」
『ううん。大丈夫。まだ起きてた』
不思議な感覚だ。
声はずっと変わらない。
でも、電話の向こうのアイツは……俺の知らない、『藤本美貴』だった。
『最近、忙しいの? 電話してくんないじゃん』
「……いや、お前が忙しそうだしさ。俺からかけたら悪いんじゃねぇかって」
『……全然、そんなことないのに』
お互い、言葉が少ない。
俺たちは今、どういう関係なんだろう。
アイツが上京してデビューしてから、世界の様相は一変してしまった。
藤本美貴はあらゆる人の日常に氾濫し、
俺の知っているアイツは、世間という奔流に巻き込まれて泡のごとくかき消えていった。
もはや、俺がどんなに泣いて叫んでも、アイツを取り戻すことはできない。
『ねぇ、最近どんな曲聞いてる?』
弾まない会話に、アイツも息苦しさを感じているのか。
苦しいネタ振りをしてきた。
「そうだな…」
俺はセンパイが貸してくれたアルバムを手に取った。
「最近はクラシック聴いてる」
『はぁ? クラシックって……ヴェートーヴェンとか、バッハとか?』
「そうだな。ヴィヴァルディとか、スメタナとか。
有名どころしか聴いてねーけど」
『フーン……』
興味なさそうな美貴スケの声。
結局会話も弾まないまま、電話を切った。
ひとつわかったことは。
アイツも俺も、もうそろそろ限界だってことだ。
俺は首に掛かっているシルバーリングを握り締めた。
……こんなに苦しい気持ちになると知っていれば。
幼なじみのまま、
アイツの彼氏になんかならなきゃよかったんだ。
「センパイは彼氏いるんですか」
「なんでそんなこと聞くの?」
「え、いや……センパイ美人だから。彼氏が羨ましいなと」
センパイはびっくりした顔で俺を見て、俺の首に手を伸ばしてきた。
触れるか触れないかのあたりを漂った後、センパイは、
「恋人になってみる気、ある?」
そう言って、返答を待つまでもなく、首に手を回して俺の唇をふさいだ。
『で、その収録でさ…………ねぇ、聞いてる?』
「ん? いや、スマン。聞いてるよ」
『謝ってんじゃん。聴いてなかったでしょ』
「…………」
『…………』
「……わりぃ、俺明日早いから。もう切るわ」
『えっ、そっか。じゃあ、おや』
ピッ……
オヤスミも言わずに俺は通話を切った。
……もうどーでもいい。考えるの、疲れた。
変わっていく。なにもかもが。
俺をひとりだけ取り残して、アイツも、俺を取り巻く環境も、全てが物凄いスピードで変わっていく。
俺はもう、アイツのことを考えるのをやめた。
それまでずっと離さずにいたシルバーリングのネックレスは、机の上に無造作に放置されるようになった。
ただ、たまに思い出したように、不自然に切られたアイツの声が蘇ってきては、
重く苦い罪悪感を俺に抱かせた。
そんな毎日が延々と続いた。
ある日、大学から帰ると、郵便受けに手紙が入っていた。
封筒の中に何か堅いものが入っているらしく、四角く膨らんでいる。
裏を見た。
――美貴より。
心臓が跳ね上がった。
慌てて封を開けた。中に入っていたのは、MDカセットと、小さなカードが1枚。
自分でもおかしいと思うくらいに手を震えさせながら、俺はそのカードをめくった。
『
好きだよ
』
…………。
筆無精にも程があるだろ。
俺はやけにうるさい心臓の鼓動を誤魔化すために、MDの電源を入れた。
静かなイントロが始まり、美貴スケの歌声が聞こえてくる。
その曲を聴いて、何年かぶりに俺は泣いた。
カードに書かれたアイツの字が、涙で歪んで映った。
――好きだよ。
『俺、藤本美貴が好きだ』
『うん、もう知ってる』
『お前は?』
『……、好きだよ』
遠い夏の終わりの夜。
暗闇を照らす街灯が、ぼんやりとアイツの姿を浮かび上がらせていた。
アイツはまっすぐと俺を見つめて、
迷いのない晴れやかな瞳で、
囁くように、俺にそう言った。
――好きだよ。
『ハイ。これ』
『なんだよ?』
『いいから。じゃ、また来るわ』
病院で受け取った、1枚のカード。
ほんの一言に集約されたアイツの気持ち。
筆不精にもほどがあるぞ。
苦笑いしながらも、嬉しくて仕方が無かった俺がいた。
好きだよ。
……ああ、そうだったか。
アイツは変わってなんか、いなかった。
移り変わっていく環境に流されて、変わってしまったのは俺のほうだった。
思い通りにならない世間に捻くれて、アイツを悲しませてたのは俺だった。
……アイツの言葉を信じていなかったのは、俺だった。
ああ。バカだな俺。
ゴメンな……美貴スケ。
その後しばらくして、藤本美貴のファーストアルバムが発売された。
俺はそれで、あの曲のタイトルを知った。
――『銀色の永遠』。
俺は首にかかったリングを握り締めた。
……つんくの思惑通りじゃねーか。
だめだこりゃ。
確かに美貴帝の心情はそんなに色濃く描かれてる訳じゃないけど
これはこれで凄く良かったよ。イイヨーイイヨー
むしろ美貴帝の心情を描くのは難しくない?設定上ね
>>344 毎度おつかれさま
イイヨイイヨー
文才あるよね
347 :
名無し募集中。。。:03/10/26 02:07
ズッコケさん乙
348 :
名無し募集中。。。:03/10/26 02:48
>>344 泣けたよーマジで・゚・(ノД`)・゚・。
美貴の心理描写はあえてこれで良いとも思う
読者にのその心情を想像させるってのも全然アリでしょ
こんな秀作を埋没させなくてヨカタ リクして正解だね
今以上、よりこの曲を好きになりそうですわ
350 :
名無し募集中。。。:03/10/26 04:43
川VoV从 <お前らベタ褒めだな 実際に萌え萌え
だめだこりゃ
>344
乙
ヨカタよ
マジで泣きました。乙です。
シリーズずっと読んでるから思い出、自分も共有してる感じになるんだよね。
353 :
(ノ´・∀・`)ノよっ ◆qjwVYP8F1Q :03/10/26 08:54
10時間にわたるレポートの末やっとやすらぎが来ましたよ
mikisuke保全
美貴帝にマジ惚れ
355 :
名無し募集中。。。:03/10/26 12:30
美貴様とれいなのコンビみてこのスレ思い出した
もうとっくにあたしの中では彼の事なんて終わっていた。
終焉した一つの愛のカタチでもあったのだろう。
美貴「・・・・もしもし」
赤西「美貴?」
美貴「うん、そーだよ」
私の元彼。付き合った当初、彼とは永遠に続くような気がした。
運命とさえ思った。そんな甘く、優しい幻想は無残にも打ち砕かれた
赤西「俺たち、やり直せないかな」
美貴「・・・・」
赤西「俺、気付いたんだ!お前が一番大事だって事。」
美貴「無理だよ・・・」
赤西「大丈夫だって。俺は前よりもっと優しくするよ」
嘘ばっか。付き合ってた頃だって、知らない女の子とデートに行ったり
好きだとか口で甘い事いって、次の日には違う女の子と遊びに行く。そして私を騙し続けた。
彼は愛より壊す事を選んだ。
美貴「いつも、そうやって美貴を騙すんだよね」
赤西「違うって!なんで信じてくれないんだよ」
美貴「・・・もうね、信じられないの。あんたの事」
自然と目から涙が零れ落ちた。悔し涙かな・・・
赤西「美貴・・・」
美貴「それにもう好きな人だっているし」
赤西「・・・え?」
美貴「・・・バイバイ」
赤西「えっ?ちょっ、美<ブツッ>プー プー プー」
格好悪いな。あんな奴の事で泣くなんて。出会わなきゃ良かったんだよね・・・
この涙は強がりなんかじゃない。過去のあたしの気持ちが流れてるだけ。
でももう泣かないで良いみたい。
ガチャ
俺 「うぉ、ビックリしたぁ」
美貴「えへへ。来ちゃった」
俺 「窓から入るのはよせって」
美貴「良いじゃん、別に〜」
後ろからギュッっと抱きしめた。そして彼の背中に顔をうずめる。
俺 「だぁ〜。こんな暑い日にくっつくなって」
美貴「もう文句ばっかだなぁ」
俺 「文句と言えば、お前胸が成長してな・・イテテ」
あたしはムスッとした表情をして、頬を思いっきりつまんだ。
美貴「何か言ったかな?」
俺 「いへ、言っへまへぇん(いえ、言ってません)」
あたしの涙はこいつが止めてくれた。どうしようもない時、一緒にいるだけで自然に笑えた
自信を持って言える。こいつはあたしにとっての大切な人。
そしてさよなら淡い思い出
超短編でした。
良かったです
乙
読み終わってすぐ大切を聴いてしまった
最近、剣客商売にはまっている。
そんな読書の秋
美貴が暇そうにコタツに入っている。
「○○〜、話し相手になってくれよ〜」
「今、大二郎と三冬がお互いを意識し始めてイイ感じなんだよ。そこに1巻あるから美貴も読めば?」
本をパラパラめくって
「なんだよ…つまんないなぁ…帰る」
「帰ってもどうせ一人だろ?居ればイイじゃん。」
「居ても○○が相手してくんないじゃん」
「帰っても一人だろ。」
「相手してくんないじゃん」
「相手してんじゃん。」
「…意地悪だな…」
しおりをはさみ本を閉じて置いた
「はい、話し相手なりますよ。」
「いやいやっぽいなぁ…」
「だって相手しないと美貴帰っちゃうだろ?」
「…いいよ、本読んでろよ。帰んないからさ」
美貴はうつむき顔を赤くしてそう言った
だめだこりゃ
364 :
名無し募集中。。。:03/10/26 18:10
豆腐に細かく刻んだ葱と、鰹節をのせる。
香りつけに、柚子の皮を卸してそえた。
それに醤油をたらし、冷酒とともに口の中へ放り込んだ。
美貴「うまい……」
のである。
俺 「オヤジかよ」
だめだこりゃミニ保全
>>364 君とは友達になれそうだ。
そばがきを肴に酒でも飲まないか?
366くん、364は363を受けて、剣客商売ネタで保全したんだよ。
368 :
名無し募集中。。。:03/10/26 20:19
ノノノノノノノノノハノノノノハ
川川 川V 川Vv川VvVノノノノハ
(つ(つ/ つ/ ニ/ 二つ川VvV) <上げ保全
| | .| / ( ヽノ ノヽ/ U つビシッ
∪∪とノ(/ ̄ ∪ヽし'⌒∪
ho
371 :
名無し募集中。。。:03/10/26 23:22
age
>>293 このスレ読んでると、いつも頭の中で「幼なじみ」(ボーイフレンドのC/W)
が流れている。 知らない人がいたら、ぜひ聞いてみなされ。
すんごい遅レスでご免
あとでじっくり読ませていただきまするー。。。
作家ガンガレ
保全はしっかりと
375 :
名無し募集中。。。:03/10/27 02:17
あげるべき
376 :
(ノ´・∀・`)ノよっ ◆qjwVYP8F1Q :03/10/27 03:00
mikisuke保全
377 :
名無し募集中。。。:03/10/27 04:00
378 :
名無し募集中。。。:03/10/27 08:50
川VvV从<鬼平犯科帳
俺と美貴の小さい時の話
俺達の家の近くには大きな図書館がある。
図書館に行くには大きな歩道橋を渡らなくてはいけない。
形は普通の歩道橋とは少し違う。
階段の下の方が扇型に広がっている。
シンデレラの話に出てくるお城の階段のイメージだ。
その歩道橋の話。
俺達はよく図書館に行っていた。
目的は二つ、絵本を読むのと、シンデレラごっこをするため。
美貴の目的は後者だけだったかもしれない。
歩道橋もといお城の階段をかけ降りるシンデレラ
「まって!おじょうさん」
「いいえ、わたしはもうかえらなければいけません」
たたたたっ!
どてっ!
転ぶシンデレラ。
脱げるセーラームーンの靴
図書館に走り去るシンデレラ
靴を拾う王子様
「このくつはもしかしてあのおじょうさんの?」
図書館で待っているシンデレラは上着を脱ぎ、汚い格好風(下着姿)にしていた。
王子は貧乏そうな娘に声をかけた
「そこのひと、このくつをはいてください。」
「えっ!?は、はい。」
ぴったりなセーラームーンの靴
「もしかして、あなたがこのあいだのおじょうさんですか?」
「は、はいそうです。」
「あぁ、やっとみつけた。ぼくとけっこんしてください。」
「はい。おうじさまよろこんで。」
シンデレラを抱きしめ、頬にキスをする王子。
照れるシンデレラ。
照れる王子。
そんなことを図書館に来て思いだした。
美貴にプロポーズするなら図書館だな…
だめだこりゃ。
相手の名前と最後の2行以外は実話だったりする。
保
sageで保守になるの?
落ちる落ちないはスレの番号(600番目)とかに関係なく
最終書き込み時間次第
メール欄にageとかいれなくてもあがるから
sageときゃ荒らされる心配が少ないってこと
388 :
はーとふる魔王:03/10/27 19:10
「こら!跪いて挨拶せぬか!」
父に思い切り地面に押さえつけられた私は、何がなんだかわからぬままただ平伏していた。
藩主 「そうかしこまらずともよい、楽にいたせ。ほう、父親に似て勇壮な顔立ちをしておるのう」
父 「不肖の息子ではございますが、この者の身命を賭して姫様をお守り致す所存にございます」
藩主 「うむ。頼りにしておるぞ」
美貴姫「頼りにしておるぞ」
これが私と美貴姫様との出会いだった。
歳は私の三つ下、絢爛な着飾りとは対照的なあどけない横顔が妙に神々しかった。
時に私は八歳。
八歳の年端も行かぬ童に、身命を賭して姫を護れとは、つくづく武家というものは仰々しいものだ。
389 :
はーとふる魔王:03/10/27 19:35
時は流れ、私が元服を迎える日がきた。
その日から私は美貴姫直属の親衛隊として仕えることとなった。
剣の修行は姫のため、私の血も肉も姫のためにあるのだ。
「謙信(私)はなぜ私を護ってくれるのじゃ?」
「は。美貴姫様を御守りすることが我が使命でありますゆえ」
「使命、使命か・・・。謙信に会うてからかれこれ
何年になりますか?」
「七年になります」
「幼きころから私のために尽くしてくれているお前には
感謝している」
「勿体無きお言葉にございます」
いつからであろうか、私は臣下の分を忘れ、
姫をお慕いするようになっていた。
叶わぬ恋と知りながら御側に仕える苦しさは言葉にしがたい。
390 :
はーとふる魔王:03/10/27 19:45
元服から一年も経ったころ、姫に婚礼の話が舞い込んできた。
姫も13歳。戦国の世では嫁に行くには十分な御歳だ。
いつものように庭園での散策に付き添っていた私は、姫に思わぬ相談を受けた。
「私の婚礼の話は聞いておるか?」
「はい。父より、伝え聞いておりますが」
「謙信はこの婚礼をどう思う?」
「私め如きが口を挟むことではありませぬ」
「よい、お前の意見を聞かせてみよ」
「おそれながら、政略結婚は戦国の常。
御館様も苦渋の決断であったと思われまする」
「そんなことを聞きたいのではない!お前が私と婚礼を
どう思っているか聞きたいのじゃ」
391 :
名無し募集中。。。:03/10/27 21:29
age
狼なのに何故かこのスレは荒れずにのほほんとやってるな。
ま、イイことだ
>>388-390 是非、続きが読みたいです!
ちょっと、マジレスしてもいいですか?
上杉謙信は、実のお姉さん好きだったっていう説があって、実らぬ恋をずっと心にしまっていたこそ、生涯独身だったみたいです
↑あくまでも、説なのでネタとして聞いてください
失礼しました!
395 :
名無し募集中。。。:03/10/27 23:34
保全age
保全おやすミキティ
このスレに
>>364のようなレスがあると、
たまらなく
「(・∀・)イイ!!」
のである。
池波保全
mikisuke保全
399 :
名無し募集中。。。:03/10/28 03:38
川VoV从 <だめだこりゃ。
>>396 C⌒ヽ
⊂二二⊃∩
川VvV)/<おやすミキティ!
ノ_|__:__'/
. ∪|__|__|
.(.__)__)
(・∀・)カワイイ!!
C⌒ヽ
⊂二二⊃
川*VvV)
ノ_|__:__'/
. ∪|__|__|
.(.__)__)
保
ほ
「ほ?」
「ほ!」
「ほほほ」
「おほほほほ」
「ほほぉ」
ほ
ほほほhhhhhh
408 :
はーとふる魔王:03/10/28 17:53
390の続きです。
「僭越ながら、他国との血縁関係は戦国の世では
不可欠なものにございます。御国のためにも
良い縁談かと思われます」
「謙信は止めてはくれぬのだな・・・」
寂しそうな美貴姫様の横顔は今でも鮮明に覚えている。
美貴姫様は私に何を望まれたのだろうか。
結局、美貴姫様は反対を押し切り縁談をお断りになった。
そのときの私はまだ、美貴姫様の本当の気持ちを知る由もなかった。
俺は人の心の声が聞こえる。
聞きたくもないが、聞こえる。
【コンダクター】
感受能力者
と、言われるらしい。なんかの本で読んだ。
その能力のせいで俺はいわゆる【暗い奴】だった。
そりゃ、人の本心が聞こえるんだ。人間不信にもなるだろ?
唯一の救いは家族の【声】は聞こえない事。
同じ血がバリアみたいに働いているのかもしれない。
詳しい理由はよくわかんないけどな。
この能力の有効範囲は半径約10m
これは小学生の時、校庭で測った。
耳をヘッドホンで塞ぐと【声】は聞こえない。
イヤホンじゃだめだ。ヘッドホンじゃなきゃ。
これは高校に入って発見した。
これを発見以来俺は、DJのような感じでずっとヘッドホンを首に掛けていた。
お昼休みは学校の屋上でヘッドホンを付け、エミネムを聞きながら弁当。
これが俺のスタイル。
なんて、格好良く言ってみる。
トントン
誰かが肩を叩く。
自慢じゃないが俺には友達なんてものはいない。
訳は言わなくてもわかるよな?
トントン
こんな俺の肩を叩く奴は、俺にケンカ売る野郎か、もう一人。
隣に住むおさな馴染み。
≪藤本美貴≫
ボリュームを下げ振り向く
「なに?」
「○○、中澤先生が呼んでたよ。」
「おう。悪いな」
「またケンカしたんでしょ?」
「俺はケンカは売らないぞ。」
「そんな、カッコしてればイヤでも目立つじゃん。」
そんなカッコとは制服ズボンに真っ赤なパーカー
首にはヘッドホン。そして大音量のB系の音楽
頭はツンツンに立っているときたもんだ。
しかも、高校デビューだからなおさらタチが悪い。
でも、ケンカは負けない。
小さい頃から空手を少々、黒帯まで。
しかも相手の出方が全部わかるから負ける訳が無い。
「ほら、早く行きな!」
美貴に急かされ、渋々職員室に向かった。
美貴は俺の能力を知っている。
だから、俺は美貴には絶対嘘はつかない。
そうじゃなきゃフェアじゃない。
「失礼します。」
「おう、○○来たな!」
『はぁ、なんでこんな奴が学年トップの成績なんやろうか…』
いつもこんな感じだ。
教師も所詮こんなもんだ。
「中澤先生、用はなんですか?」
「またケンカしたやろ?」
『はよ、学校辞めない?』
他の先公もこんな感じだ…
「したくてしてる訳じゃないです。売られるんです。」
「しっとる。何回も聞いた。」
『そんな格好しとるからや!このボケ!』
「はい…以後気をつけます。」
「えらい素直やな?」
『ふん、張り合い無いわ…』
「はい、反省してます。」
「もう、ええよ。もうすぐ5時間目や。いきぃ。」
『次はB組の授業やな。』
「はい。失礼します。」
中澤先生はまだ良い方だ。
職員室を出ると美貴が待っていた。
『ほら、怒られた。』
そう言うと美貴は教室に戻って行った。
ヘッドホンをかぶり俺も教室に戻った。
>>409-413 もしも俺が超能力者でミキティが隣のおさな馴染みだったら(仮)
ってタイトルでお願いします。
一応続く予定です。
おもしろいです。更新待ってます。
設定は面白かったよ
でもまだ山が来てないのでこれからだね
417 :
名無し募集中。。。:03/10/28 22:30
あげだめだこりゃ
>>409-
>>413 面白い!!!続き楽しみーー
亜弥「昨日ぉ、アボガドのサラダ作ったんだぁ。美貴たんにも今度食べさせてあげるね
お肌にもいいんだよぉ〜」
俺「へー、亜弥ちゃん自分で料理とかするんだ」
亜弥「まぁ、そうですねぇ、結構作りますよぉ」
俺「いいなぁ料理のできる女の子って」(チラリと美貴を見る)
美貴「・・・」
俺「ね、ね、俺にも何か作ってよ」
亜弥「ぇえ〜、何がいいですかぁ?」
美貴「・・・くっだらない」
俺・亜弥「へ?」
美貴「くっだらないって言ってるの。料理とか」
俺「なんだよお前。できないからってスネてんじゃねーよ」
美貴「できるよ」
俺「ぁん?」
美貴「できるっつってんの。普通じゃん料理できるなんて」
俺「じゃあさ、得意料理なんだよ?言ってみ?」
美貴「・・・・おにぎり」
だめだこりゃあ
420 :
名無し募集中。。。:03/10/29 01:12
ほくほくカボチャシラネーヨあげ
421 :
名無し募集中。。。:03/10/29 01:14
422 :
名無し募集中。。。:03/10/29 02:46
.-、
(,,■)
ノノ_,ハ,_ヽヽ
川VvV ) n
 ̄ \ ( E)
>>419 イイヨ〜
フ /ヽ ヽ_//
だめだこりゃ。
423 :
名無し募集中。。。:03/10/29 04:04
保全
424 :
名無し募集中。。。:03/10/29 04:53
川VvV从<ニヤリ
ほぜ
かんせこ
>>413の続き
俺が教室に戻ると一瞬空気が凍る
スタスタと自分の席に座り
ヘッドホンを取る。
『○○と目を合わさないように…』
『松浦のパンツ何色だ?』
『バイトめんどい』
いろんな【声】いや、【雑音】が聞こえる。
上辺だけでみんな生きている。
いかん、ネガティブになってきた。
『○○、今日カラオケ行くよ』
美貴が【声】を掛けてきた。
美貴に【声】を掛けられると【雑音】が遠退く。
『あんま怖い顔するなよ。みんなビビルだろうが…』
俺は静かにうなずいた。
『よし、わかれば良い!』
美貴もある意味能力者かもしれない。
俺の能力を一時的に低下させる。
いや、俺が美貴を思うと能力が低下する。かもしれない。
そういう意味ではパートナーとしては最適だ。
英語のアヤカ先生が入ってきた。
この先生は帰国子女で頭の中は英語だらけ。
英語を日本語に変換している。
ちなみに俺は英語はわからん。
えっ?学年トップだろ?って?
それは【声】のおかげ。
テスト中はみんなテストに集中する。
【声】はテストの答えばかり。
多数決で答えを決められるんだから、そりゃ点数も良くなる。
まぁ、全部が全部じゃないけどな。
『○○!ぼーっとするな!』
美貴の【声】で我に戻った。
授業も終盤、アヤカ先生は課題を出していた。
チャイムと同時に授業が終る。
先生は俺をチラッと見て
『はぁ…』
ため息をついた。
で、俺の能力範囲を越えた。
『アヤカ押し倒したい。』
『なんで、あの先生はエロいんだ…』
『イヤな女』
『松浦のパンツ』
【雑音】が聞こえてきたのでヘッドホンをかぶり、一人の世界になる。
ho
がんがれ
432 :
名無し募集中。。。:03/10/29 16:29
川VoV从 <だめだこゃ保全
面白い!早く続き読みたい
川VvV从<・・・
435 :
名無し募集中。。。:03/10/30 00:03
age保全
436 :
名無し募集中。。。:03/10/30 01:39
作家さんガンガレ保全
437 :
名無し募集中。。。:03/10/30 03:22
川VoV从
438 :
名無し募集中。。。:03/10/30 04:28
だめだこりゃ保全
439 :
名無し募集中。。。:03/10/30 05:35
始発あげ
続きまだぁ〜?
441 :
名無し募集中。。。:03/10/30 10:00
>>429の続き
放課後、美貴とカラオケに向かっている
「『何歌おうかな〜』」
美貴は基本的に裏表が少ない。
俺に隠し事出来ない事を知ってるからじゃない、そういうやつなんだ。
「○○は何歌う?」
『SMAP歌え』
「じゃ、SMAPで」
「『あははっ!【声】聞いたでしょ?』」
カラオケBOX
ここも俺の能力を抑え込む
同じ部屋にいる人の【声】は聞こえるけどな。
藤本美貴…俺を一番理解してくれる他人。
こいつとはいつまで一緒にいられるんだろう。
最近の俺の悩み。
愛とか恋とかそういうものじゃない。
美貴を≪信頼≫できる喜び。
普通の人にはわからないだろうな…
「『おい!そんな顔して、つまんないのか?』」
「ちょっと考え事だ。気にせず歌え。美貴の歌好きだ。」
「うん」
『すき。好き。…聞くな!』
器用な奴だ。
一時間歌って俺達は帰った。
カラオケの帰り道、美貴が話し掛けてきた。
『あのカップルなに考えてんの?』
にやにやしてる美貴。
『このあとホテル行くか…生でしたいなぁ』
『こいつ今日口臭いな…』
『おあっ!めっちゃかわいいぞ!あの娘。足細いなぁ』
『こいつ絶対あの子みてる。』
て、感じ。
たまに美貴は面白がってこういうのをやらせる。
「『へぇー。男ってみんなそんなんなのか?』○○はどうだ?」
『おまえは違うよな…』
「俺は人が嫌いだ。上辺だけの人間なんて付き合ってて楽しいわけが無い。」
しまった…美貴は俺がこういう事言うの嫌うんだ…
『ばか』
スタスタと先に歩いて行ってしまった
>>443 晒してしまった!
まだつづくよ。いいよね?
モチロンヨ
446 :
名無し募集中。。。:03/10/30 12:24
早く読みたいよ
次カモーンな
448 :
名無し募集中。。。:03/10/30 14:03
続きに期待age
ho
450 :
名無し募集中。。。:03/10/30 17:32
まぁ〜だぁ〜
>>443 の続き
美貴は俺を人の輪に入れようとさせる。
中2の頃こんなことがあった。
「『○○さぁ、もうちょっとクラスのみんなと仲良く出来ない?』」
「無理。」
「『無理って…その力せいってのはわかるけどさ…表面上だけでもさ!』」
「俺はその表面上と本心の違いで他の奴らは信用できないの!」
「『でも、このままでいいわけないでしょ?』」
「どうせ美貴には俺の悩みはわかんないよ。」
一瞬の静寂
そのあと、今まで聞いたことの無いような【声】、いやあれは【感情】かもしれない。
深く冷たい悲しみと真ん中で消えまいとする強い炎。
表現するならそんな感じ。
で、美貴が口を開いた。
『「わかんないよ。どうせ美貴にはわかんないよ!○○が心開いてくれないんだもん。わかるはずないじゃん!」わかりたいよ…』
そういうと、美貴は部屋を出ていった。
次の日も何も無かったように振る舞う美貴。
【声】は動揺の限りをつくし、心はかなり右往左往していたようだったけど。
そんなことがあって、俺は【取りつく島の無い奴】から【暗い奴】に変わった。
美貴はそんな変化でも満足していた。
454 :
名無し募集中。。。:03/10/30 22:08
川VoV从 <ネギマ保全
455 :
名無し募集中。。。:03/10/30 22:12
食わずキライの美貴様可愛すぎ
456 :
名無し募集中。。。:03/10/30 23:01
生ガキとネギマ焼き鳥のタイムリーネタ降臨を期待
457 :
名無し募集中。。。:03/10/30 23:07
ダメダコリャ
458 :
名無し募集中。。。:03/10/31 00:49
保全、だめだこりゃ
ほぜんいってみよー
460 :
名無し募集中。。。:03/10/31 03:41
作家さんガンガレガンガレ保全
461 :
名無し募集中。。。:03/10/31 04:34
川VoV从
ま〜だぁ〜?と催促w
463 :
名無し募集中。。。:03/10/31 11:20
ほ
464 :
名無し募集中。。。:03/10/31 11:29
みき「もしもし 美貴だけど 今日暇?」
おれ「なに どうした?」
美貴「あのね 美貴クッキー作ろうと思ってるの」
おれ「マジ?んで」
465 :
名無し募集中。。。:03/10/31 12:56
だめだこりゃ
>>452 の続き
家に着くと俺は台所に行き冷蔵庫を開ける
冷やしてあったエビアンを取り部屋に戻る。
先に帰った美貴は自分の部屋に居るみたいだ。
【声】が聞こえてくる。
『なんだよ、あいつ。すぐそっちの方向に話もってくよ…ん?もう帰ってきてるかな?』
と、美貴は自分の部屋のカーテンを開けた。
俺は窓辺で美貴の部屋を見ながら水を飲んでいた。
「『なんだよ。帰ってたのか。声、聞いてたろ?』」
「悪かったよ。美貴には感謝してるんだ。こんな俺を見捨てないでくれてさ。」
「『はぁ…なんだよ。見捨てるとか見捨てないとか。そういう事いってんじゃないだろ…』」
「違うのか?」
ちょっとおどけて見せた。
「『まっいいよ。○○らしいや。他のみんなにも、そんな○○見せられたらいいのにな。』」
それは無理だろう…
俺の能力を知ったら気味悪がって誰も近づかなくなる。
って、言うと美貴が悲しむのでここは黙秘。
「『アヤカ先生の課題やろうよ。』」
「どんな課題だっけ?」
「『また、ぼーっとしてるから…日本の昔話を訳すの!桃太郎とか、金太郎とか。』」
「じゃあ絵本いるじゃん。帰りに図書館よってくりゃよかったのに」
「『そっか…すっかり忘れてた。』」
「人のこと言えないな。美貴も。」
「『そうだな。』」
とりあえず課題は明日やる事になった。
ほ
471 :
名無し募集中。。。:03/10/31 20:43
いやー、まじでおもしろいなぁ。
mikisuke保全
>>467 ノ続き
俺は授業終了後のアヤカ先生のため息が気にかかった。
へ?俺が…他人を…
「なぁ、美貴。今日のアヤカ先生の授業の時、ちゃんと授業受けてたよな?」
「『はぁ?何が言いたいの?』」
「アヤカ先生さぁ、授業終ったあと。俺をチラッとみて、ため息ついたんだよ。心の中で」
「『なに?○○!他の人に興味持った?』」
美貴はすごい喜び様だ。
と同時に。
『アヤカ先生か…』
よわい【声】だった。
「『気になるんなら、アヤカ先生の声きいてみたら?』」
「そうだな。明日でもちょっと聞いてみるか。」
「『なぁ、なんでそんなに気になるんだ?その、好きなのか?アヤカ先生の事…』」
「なんでだろうな?ちょっと気になっただけだ。」
『「そうか」そうならいいけど…』
うん、なんとなくわかってる。
「変なこと聞いていいか?」
「『変な事?あんま変な事だと困るな…○○には隠せないじゃん。』」
「なんか隠してんの?」
『「そりゃぁー」○わーわーわー聞くなー』
「ははっ!器用な奴だな。」
美貴は慌てて俺にヘッドホンをかぶせて部屋を出ていった。
俺はそのまま寝転がってヘッドホンから流れてくる音を聞いていた。
476 :
名無し募集中。。。:03/10/31 22:09
ベッツ
ベッツ?
478 :
名無し募集中。。。:03/10/31 22:27
ヤクルトスワローズの外国人選手
この主人公ってゆうゆう白書に出てるよな
なんちゃら勇介だっけ
そろそろ美貴スケ・ズッコケシリーズの新作期待保全
482 :
名無し募集中。。。:03/11/01 02:37
だめだこりゃ
483 :
名無し募集中。。。:03/11/01 03:55
ho
484 :
名無し募集中。。。:03/11/01 04:56
ze
ノノハヽヽ
川VдV)<保全
487 :
名無し募集中。。。:03/11/01 13:27
ヒャ
>>475 ほんと面白い。
その辺の漫画や小説やドラマは
すぐにつまらなくなって最後まで我慢して
見れない俺が一文字一文字しっかり読んでる。
次もめっちゃ楽しみです。
頑張ってください。
ノノノハヽ
川VvV) <・・・?!
/ U つビシッ
し'⌒∪
>>488 ありがとう。
そう行ってくれると非常にうれしいです。
一瞬でも縦読みを考えてゴメンなさい。
では本日の分を。
>>475 のつづき
お気づきの方もいるかもしれないが、俺はまだ恋愛というものをしたことが無い。
恋ってなんだ?愛ってなんだ?って感じだ。
愛だ恋だ言う前に人を信用しなければならないからな…
美貴にも彼氏(?)が居た時期があったが、どうも長続きしないようだった。
あまり詮索したくなかったのでなるべくふれないようにしていた。
俺にとっての美貴はおさな馴染みであって異性と言う感じではない。
それはきっと、俺自信が人との関わりを避けてきた結果だと思う。
いい年頃の男女が、一緒に長い時間過ごせば、恋愛に発展してもおかしくは無いはずだ。
マンガを見ながらそんなことを思った。
そんな俺が美貴以外の人に初めて関心を持った。
自分の事ながら驚きだ。
俺同様に美貴にも驚きだったようだ。
英語教師のアヤカ先生。
帰国子女のバイリンガル
男子生徒にはいろんな意味でウケは抜群!
女子生徒にも好感が持たれている。
俺が興味をもった理由
今日の英語の授業の最後の場面
----------------------------
チャイムと同時に授業が終る。
先生は俺をチラッと見て
『はぁ…』
ため息をついた。
で、俺の能力範囲を越えた。
----------------------------
今思うと、ため息の後に何かを言おうとしてたのだ。
今までの俺なら気にも止めない事だが、何かが違った。
【何か】はよくわからないのだが…
明日は【何か】を確かめる。
人に対する好奇心。
たまにはいいかもな。
ヘッドホンを取ると美貴の【声】が聞こえてきそうなのでそのまま眠ることにした。
皿の上に並べられたそれをひとつ手に取り、箸で丁寧に串から外していく。
特製のタレで味付けをしながら丹念に焼かれたそれは、
食欲をそそる香ばしい香りを漂わせていた。
待ちかねたようにそれを口に投げ込んで、よく冷えた麦酒を煽った。
噛み締めた旨みと麦酒の苦さが混ざり合いながら、静かに食道を下っていく。
美貴「うまい……」
のである。
俺 「ねぎも食えよ」
だめだこりゃ。
サルベージ
496 :
名無し募集中。。。:03/11/01 21:12
だめだこりゃ
497 :
wacc1s4.ezweb.ne.jp:03/11/01 21:16
ネギネタキター。
-ノハヽヽ{}@{}ё{}―三三三
(VvV;川 ふっ、あぶないところダタ
/ U ∪
し'⌒∪
焼き鳥屋にて。
美貴「おっちゃ〜ん、ここネギマ一人前ね!」
俺「おめーネギ喰えねーくせにネギマたのむなっつの。」
美貴「い〜じゃん、そのためにあんたと来てんでしょ?」
俺「ハイハイ、どうせ俺はネギ喰い要員ですよ…」
美貴「わかればよろしい。」
俺「てかねぎ無したのめって。」
美貴「だーめ、あんたは一生私のネギを食べてもらうから。」
俺「えっ…?」
美貴「あっ、おっちゃんこっちこっち〜!」
だめだこりゃ。
>>500 いいね〜、長編も好きだけど1レス短編シリーズも好き。
>>500 いいね〜
そろそろズッコケ君が欲しいのは俺だけ?
ミキティのネギを一生食べてみたい
今日、私は生牡蠣を食べた。
生牡蠣を食べると、私はいつもあの人を思い出す。
ずっと傍にいたあの人を。
私がずっと小さいときから隣に住んでいたお兄さん。
歳は、私より7つほど上だった。私の家は共働きだったから、
学校が終わるとすぐにお兄さんの家に行っていた。
体が弱く、ほとんど家にいたお兄さんは、
私が来るといつも満面の笑みで迎えてくれた。
私は、お兄さんの微笑みが大好きだった。
私は、中学生になっても高校生になっても
ずっとお兄さんの家に通っていた。
おそらく、家族よりも長い時間を共有していただろう。
小さいころは何も考えずにお兄さんの家へ通っていたが、
私は大きくなるにつれてお兄さんの体の具合を気にしだした。
お兄さんはいつも変わらず笑顔で迎えてくれたが、
いつも家にいるところを見るとかなり悪いのだろう。
そんなことを考えると、いつもは素直に受け止めていた
お兄さんの笑顔が無理をしているように見えてきた。
もしかしたら私の訪問はお兄さんにとって迷惑なのかもしれない。
「ねえ、お兄さん、私がいると迷惑なんじゃない?」
わたしは、何回か似たような質問をしたが、返ってくる言葉は同じだった。
「いいや。美貴ちゃんの元気な姿を見ていると僕も元気になるような気がするんだ。」
そういって、お兄さんはいつものようににっこりと笑った。
そんなある日、お兄さんの家に行くといつもは見慣れぬものがテーブルの上にあった。
「お兄さん、あれはなに?」
「ああ、あれは生牡蠣だよ。親戚から贈られて聞いたんだけど、
すごくおいしかったから美貴ちゃんにも食べさせてあげようと思ってね。」
私は困ってしまった。というのも、私は生ものは苦手なのだ。
生で食べられるのはレバーくらいで、魚などは全く食べられない。
牡蠣も、フライで食べたことはあるのだが生は食べたことが無かった。
すると、お兄さんはそんな私の様子に気付いたのか、
「ああ、いいんだよ。美貴ちゃんは生ものはあまり好きじゃないしね。」
そういって少し寂しそうな顔をして、生牡蠣を冷蔵庫へと入れようとした。
「・・・っざけんなよ!」
受話器の向こうで美貴が声を荒げた。
「約束してたじゃんかよ・・・なんでだよ・・・」
「・・・ごめん」
俺はただ謝るしかなかった。
話は1年前に遡る。
俺と美貴は滝川ニ中の同級生だった。だが、卒業を境に別々の進路を歩むことになる。
俺が進路を告げたときのあいつの顔は、忘れようったって忘れられない。
『○○、結局さ、どこの高校受けることにしたんだ?
公立?私立? 美貴も行ける位のレベルにしてくれよぉ』
美貴は、どう背伸びしたって俺とどんぐりの成績のくせに、おどけて見せてきた。
別に皮肉屋ってわけじゃないんだが、俺と話すときはいつもこういうノリだ。
だから、俺もいつものノリでちょっと突っぱねるように答えた。
『△△学園』
『え? そんな学校道内にあったっけ?』
『ねぇよ』
みるみるうちに美貴の表情が曇る。
「待って。私、食べてみる。」
私は咄嗟にそういった。お兄さんの悲しげな顔を見るのは耐えられなかった。
「いいのかい?無理しなくていいんだよ。」
お兄さんは嬉しいような困ったような顔をしてそういったが、
私はお兄さんの持っていた生牡蠣を手にとり、
殻をむいて一気に口の中へと入れた。
すると、それはとても甘く、私の口の中でとろっと溶けていった。
「…おいしい。」
今まで私の様子を不安げに見つめていたお兄さんは、
私のその言葉を聞いていつもの笑顔に戻った。
「よかった。美貴ちゃんに喜んでもらえて。」
私は、生牡蠣の美味しさよりもそのお兄さんの微笑みに幸せを感じた。
その日から、私の好きな食べ物に生牡蠣が加わった。
微妙に話が混ざってますね
そのお兄さんは、3年前に死んでしまった。
医者の話によると、ここまで持ったのが奇跡だったらしい。
私は最近、仕事も増え色々と忙しくなってきた。
そんな忙しさのなかで、お兄さんのことを忘れそうになる時もある。
そんなとき、私は生牡蠣を食べる。
私が美味しそうに食べるのを見て、お兄さんは天国で笑っていてくれるのだろうか。
そんなことを考えながら。
>>512 乙です。チョット泣ける話もイイですね。
>>512 すまん、邪魔するつもりはなかったんだ・・・すまん
>>514 いえいえ、こちらこそ。
続き楽しみにしてます。
ちょっと遅いけど学園祭物…
「ねえ、○○君、ちょっといい?」
同じクラスの松浦さんが話し掛けてきた。
そんなに親しい間柄ってわけでもない。
だからなのか、松浦さんの俺に対する態度はとてもぎこちなかった。
「ああ。何か用?」
松浦さんはめっさかわいい。なんと言うか、オーラが違うのだ。
いったい何の用だろう。
俺は滅多にない事に内心ドキドキしていた。
「あの…ね?他のクラスとかはもう学園祭の準備とか始めてるじゃない?」
確かに今は学園祭シーズンだ。3年生は模擬店などをするため、他のクラスは準備で慌ただしい。
しかし、わがクラスはというと、まだ何も決まっていない。
全く、誰が責任者か知らないが早くすること決めろっての。
「うちのクラスはどうするの?○○君、責任者だよね?」
「へっ??」
俺はかなり間の抜けた声を出した。
「7月の終わり頃に決めたじゃない。その反応は、忘れてたなぁ〜??」
「い、いや…そんなことは決して…」
そうだった、責任者は俺だった。すっかり忘れてた。
確か、ノリで立候補しちまったんだよなー…
とか思っていると、ふとあることを思い出した。
「あっ、そういえば副責任者もいたよな、だれだっけ?」
そう、副責任者という役割があるのだ。そいつすら何もやってないとはどういうこった。
「副は…藤本さんよ。」
松浦さんはそういって、一番後ろの窓側の席ですっかりご就寝中の美貴を見ながら言った。
「あ〜、そういえば…」
美貴は自分からそういうことをやりたがるやつじゃない。
なぜ副責任者になったのかというと、理由は簡単。余り物だ。
役割決めのときに最後まで残ったのが副責任者で、(俺が嫌われてるわけじゃない、決して)
そのときいつものようにすやすやと寝ていた美貴が勝手に決まったというわけだ。
だから、あいつはいまだに自分が副責任者だということを知らないのかもしれない。
「藤本さんとで色々と大変だと思うけど、頑張ってね!」
「ああ。」
返事をしてから、俺は松浦さんのセリフに違和感を感じた。
藤本さんとで色々と大変?…まあいいや。
学園祭か。ま、美貴と二人ならなんかいい案が浮かぶだろ。
俺は寝ている美貴に話し掛けに行った。
「おーい、美貴、起きろー!ったく、いつもいつも寝やがって。お前はこち亀の日暮さんか!!」
「……うるさいなぁ…、何の用?」
美貴が顔を上げていった。目が少し赤い。あきらかに寝すぎだ。
「おい、お前ほっぺたに教科書の跡ついてるぞ」
「え!?」
美貴はバッとほほを手で隠した。
「なーに照れてんだよ、か〜わい〜☆」
「バカ!それで何の用よ、あんたが学校で話し掛けてくるなんて珍しいじゃない。」
「ああ、そういえばそうだな…」
美貴が言うように、俺は高校に入ってからは校内ではあまり美貴と話さないようにしている。
そうするようにしたきっかけは、高1のある日美貴とたまたま恋愛の話をした時のこんな会話だ。
「ねえ、ところであんたって好きな人とかいるの?」
「へっ?何だよ突然?」
「いいから。いるの、いないの?」
「う〜んそうだなぁ…今は特にいねーかな。」
「そっかぁ…」
「そういうお前はどうなんだよ?」
「えっ…」
「何いきなり固まってんだよ。人に聞いといて。」
「いやぁ、いる…かな?」
「へー、あのお前がなぁ。じゃ、あんまり学校とかで話さないほうがいいな。」
「…何でよ?」
「その好きな奴に俺とお前が誤解されたら大変だろ?」
「えっ!?ち、ちょっと待ってよ、私は…」
「ん?」
「…なんでもない。」
とまあこんな感じ。
523 :
名無し募集中。。。:03/11/02 03:08
>>522 いいよ〜いいよ〜 美貴のかなわぬ恋心萌え萌え
誰が美貴の告白を成功させてあげて下さい
だめだこりゃ
「いや、ただお前と話したかっただけだ。」
「えっ…」
「とか言ってみたり」
「あんたねぇ〜!!」
美貴が耳まで真っ赤に染めて言った。そんなに怒んなくても。
「いや、お前副責任者じゃん?俺責任者だから、馬車馬のように働いてもらうんでヨロシク。」
「はぁ?何よそれ。初耳なんだけど。」
「お前が役割決めのときに寝てるからだろうが。」
「ふ〜ん、まあいいや。で、何するかは決まったの?」
「いいえ、とんと。」
「どうすんのよ!学園祭まであと二週間しかないのよ!?」
「おっ、お前が学園祭の日を知ってんなんて、こりゃ明日はカエルが降るな。」
「バカ!二週間でどうやって準備するのよ!」
「正確に言うと3年の模擬店は2日目だから、一週間と六日だな」
「もっとやばいじゃない!」
「まあ、まあ。とりあえず今日の帰り道にでも何するか決めようぜ。」
「学校から家まで5分しかかかんないでしょ〜が!」
「お前、今日ツッコミさえてんなぁ〜。」
「そ、そう?ツッコミキティ☆って、なにやらすのよ!」
「まあ、その気になれば俺かお前んちで話せばいいじゃね?隣なんだし。」
「えっ!?」
一瞬美貴が固まった。なんだよ、こいつ嫌なのか?
確かに最近は美貴の部屋に上がったことはねーけど。
「なんだよ、嫌なのか?」
「そういうわけじゃないけど…」
「じゃあ決まりな。おまえんちで。」
「なんでそうなるのよ?」
「俺が部屋を片付けるのがめんどいからだ。」
「もう!」
「じゃ、そういうことで、一緒に帰るから、勝手に一人でかえんなよ〜。」
「はいはい。」
俺は美貴との軽い漫才を終え、自分の席へと戻ってきた。
すると、隣の松浦さんが興味津々、といった感じで俺に話し掛けてきた。
そういえば隣の席だったなぁ〜
「ねえねえ、藤本さんと話できるなんてすごいねぇ〜。」
「へ?そう?」
「すごいよ〜、あんなに楽しそうにしてる藤本さんはじめて見たもん。」
どうもさっきの美貴のツッコミ乱舞は傍から見ていると楽しそうらしい。
確かに俺は美貴をいじって楽しいけど。
「ああ、でもあいつ俺といる時は大体あんな感じだぜ。」
「へぇ〜、そうなんだぁ〜…ねえ、○○くんって、藤本さんと付き合ってるの?」
「へっ!?」
「だって、あんなに仲良さそうに喋ってるんだもん。」
あっちゃ〜、だめじゃん、俺。美貴、すまん。
まさかあんなもんで誤解されるとは…
まあ、松浦さんがちょっと短絡的すぎるからかもしれないが。
「違う違う、幼なじみ。腐れ縁って奴ですよ。」
「あっ、そうなんだ。よかったぁ〜」
松浦さんが少し安心したようにいった。
まてよ、安心した?もしかして、松浦さんって俺の事好きなのかも…
んで、俺に彼女がいなくて安心〜みたいな?
こりゃあ、とんだラッキーですよ!
「ねえ、○○君、私のこと藤本さんに紹介してくれない?」
「はい?」
妄想が膨らみ鼻息の荒くなっている俺の様子をよそに、松浦さんが意味不明なことを頼んできた。
いくら美貴が学校で浮いてるからって、クラスメートの名前すらしらんなんて事は無いだろ…
「松浦さんのこともう知ってると思うけど…」
「ああ、そうじゃなくて。私、藤本さんと仲良くなりたいなぁ〜って前から思ってたの。」
「ああ、そういうことか。」
珍しい人もいるもんだ。いや、美貴は確かにかわいいとこもあるしいい奴だが、
それは俺が美貴のことをよく知ってるからだ。
知らない奴なら、まず近づきたいと思わないだろ。いっつも不機嫌そうな顔をして、
近づく者みな敵みたいなオーラを絶え間なく出してる奴なんかに。
まあ、美貴の場合それが普通の顔であって本当は不機嫌でもなんでもないわけだが。
というか、これは願っても無いチャンス!美貴には悪いが、
松浦さんと仲良くなるためにダシとして使わせてもらおう。
「そんなのお安い御用ですよ!美貴と俺は一心同体のようなものですから!」
「そ、そう?じゃあよろしくね。」
そこで始業のチャイムが鳴り、授業が始まった。
さて、安請け合いしたもののどうしようか。
あんまし松浦さんって美貴の得意なタイプじゃなさそうだしな…
と待てよ、そうだ!一緒に学園祭の準備をすればいいんじゃん☆
学園祭の雰囲気も手伝って自然と仲良くなっていくだろ。
中途半端ですけど眠いんで逝ってきます…
明日また書きます。
だ〜めだこりゃ。
>>529 面白いですー。続き期待してますよー。
おやすみなさい。
531 :
名無し募集中。。。:03/11/02 04:45
川VvV从<保全するよ
「んぁ〜〜、数式とかわかんないよぉ」
ゴマキさんが諸手を挙げてお手上げのポーズをとった。
「これは暗記しかねーな。問題と解法のパターンを覚えちまえばなんとかなる」
「おとーさん数学得意?」
「得意ってほどでもねーけど」
人並みには。少なくともゴマキさんよりかは得意かもしんない。
俺が入院している間にも、学校行事はずんずんと進められていく。もう中間試験の時期だ。
2学期になって俄然やる気が出てきてしまったゴマキさんは、
学校が終わるとそのまま病院へやってきて、課題をやっていくのがここ最近の習慣になっていた。
俺も暇だし、ゴマキさんが来てくれるのは単純に嬉しいんだが。
フニャフニャと笑っているゴマキさんの顔を見ていると、
下等生物を見るような目をしたアイツの顔が、どうしても浮かんできてしまう……。
「おとーさんはさぁ、進路どうするの? 大学?」
「んー、そーだな。大学進学したいと思ってるけど。
……つーかよくよく考えるとこの時期入院て痛いな。2ヶ月近く授業出れねーし」
「んぁ〜そっか……勉強遅れちゃうねぇ…」
ゴマキさんはむぅ、と腕を組んで考え込んだ。
まぁ、どうせ暇なんだから、大学受験用のテキスト買って来て独学でやってりゃいいんだけどな。
「わかった。じゃあ、あたしが全部の授業のノート取ってきて見せたげる。
そしたらおとーさん、おいてけぼりにならないよぉ」
名案とばかりにゴマキさんが目を輝かせてそんなことを言ってきた。
つってもな。ゴマキさんいつも寝てるし。
だいぶ強力な睡魔を飼っていらっしゃるようだから、それは難しいんじゃないだろうか。
……とはいえ。そんなの無理だろとゴマキさんに言うのは、ちょっと惨い気がする。
「……そうか。んじゃ頼んだぜ」
「はいよぉ。じゃあ明日からやってくるねぇ」
ガッツポーズを取ってフニャフニャとゴマキさんが笑った。
……うん、頼んでよかった、かな。
次の日から、ゴマキさんはその日の授業のノートを隈なく取って、俺に見せてくれるようになった。
ゴマキさんのノートはたまにミミズがよじったような字の部分があったが、きちんと色分けがしてあって綺麗にまとめられている。
しかも、日に日にノートのまとめ方がうまくなっていく。
もうちょっと説明を付けてくれだとか、授業の最後にまとめを書いてくれだとか、
俺が少しわがままな注文をつけると、ゴマキさんは素直にやってきてくれた。
……そっか。妙に生真面目だったよな。ゴマキさんは。
「最近、真希が授業中ヤバいくらいに生き生きしてる」
美貴スケの報告を聞いて、俺は苦笑いした。
「アンタにノート見せるんだ〜って、すっごいやる気だよ?
この間なんて、中澤先生がひいてたし。あまりに食い入るように見つめてくるから」
「偉いじゃねーか。おめーもゴマキさんを見習って、遊んでねーでちゃんと勉強しろよ」
「してるって」
美貴スケが軽く俺を小突いた。
「……うちの親、最近……どうしてる?」
「もうだいぶ落ち着いてたよ。さすがに最初の頃はすごい慌てぶりだったけど。
まぁ、息子が刺されて病院送りになったら驚くよねそりゃ」
まぁな。俺自身が驚いてたし。
入院した当初、母親が特に取り乱しちまって、一時パニック状態になったことがあった。
あんときは俺もかなり余裕がない状態だったし、心配している暇もなかったんだが、
美貴スケが色々フォローしてくれたらしかった。
……頼りになるよな。コイツって。さすが風紀委員会の委員長。
「なんかまた迷惑かけるかもしれねーけど、俺が退院するまで、うちのバカ親……よろしくな」
「はいよ。……まぁ、さ。あたしにとってもさ、おばさんは…うん。親、みたいなもんだし。
……うん、いやほら。ずーっと昔から知ってるじゃん? ね。親みたいだよね、うん」
「ああ、そうだな」
「ニヤニヤすんなっつーの! キモイよ」
ペシ、と美貴スケに頭をはたかれた。
ニヤニヤさせることを言うなっつーの。
「まぁ、さ。早く元気になってよ」
「おめーがキスしてもいいっていうなら早く元気になってやる」
「はぁぁー!?」
ゴツ、と美貴スケに頭を殴られた。
いや、痛いから。マジで。
「ちょっと待って。え? キスで元気になるんだ?」
「なるよーな気がする」
「アリエネー。おかしいでしょそれ」
「さあな? やってみないとわかんねーし」
「…………」
唇をV字に引き結んで、照れ笑いを押さえ込んだ美貴スケが、すすっと俺の横に近づいてきた。
そして、ベットに手をついて身を乗り出し……
物凄い至近距離で止まって、堪え切れなくなってむふふと笑った。
俺はつられて笑って、美貴スケを抱き寄せようと手を伸ばした。
ところへ。
「ズッコケおる〜? れいなが来たとよ〜〜!」
タイミング良過ぎ。
じとっとした4つの目を受け止めて、れいながビクッと後じさりした。
「な、なん?」
「田中、アンタ後で校庭10周。階段ダッシュ50本な。全部競歩で」
「み、美貴姉はスパルタやね。そうでなくちゃ強くなれんけんね!
ッッしゃー! 燃えたッ! 燃えてきたッ! れいな燃えてきたばぁぁああーーーーーーーい!」
れいなの背後に炎が燃えている。俺には見える…気がする。
れいなはすっかり美貴スケの舎弟だな。
高校は神狼高校にするとか言ってるし、数年後の風紀委員長はコイツかもしれない。
「ほい、これお見舞いの品。うまいけん、たくさん呑んでなー」
ドン、と豪快にお見舞いの品が茶托に置かれた。
……呑む、とは?
そのラベルに貼られている『鬼』の字、は?
「で、それは一体なにかな?」
「鬼殺し」
「成人いねーよこの中に」
「……………あ。」
「気づくのおせーよ!」
全く。知らないうちに、良いコンビになってんのな。
「おとーさん、点数上がったよぉ」
中間試験が終わって、テストも返却されたらしい。
ゴマキさんがニコニコしながら答案用紙を見せてくれた。
……お。数学、50点満点で32点。
「平均が35点だから、まぁまぁでしょ? 前は1桁だったからねぇ」
「そりゃすげぇ進歩じゃねーか。よく頑張ったな、ゴマキさん」
「うん。頑張った頑張った」
ゴマキさんがエヘンと胸を張った。……美貴スケよりあるな、やっぱ。
「なんかぁ、ノート取ろうと思って頑張って授業聞いてたら、意外に面白くてさぁ。
世界史と英語が好き」
「そっか。よかったじゃねーか」
俺もノートのお陰で、なんとなく授業の内容に追いついていけてるし。
ゴマキさんに感謝しねーとな。
「俺も助かってるよ。ありがとなゴマキさん」
「んははぁ。いいよぉそんな。かしこまらなくっても」
フニャフニャしながらゴマキさんが手を振った。
「退院したらお礼をしねーとな」
「おれい?」
「ああ。なにがいい? なんか欲しいものある? ゴマキさんは」
「ん〜〜〜………」
首をひねってゴマキさんは考え込んでしまった。
な、なんだ。なんか高いものでも要求されるんのか?
ゴマキさんは思いついた、というようにぱっと表情を輝かせると、
「デート、1回」
くふっと笑って言った。
………………………………ぐ。
瞬間的に、下等生物を見るような目をした美貴スケの顔が思い浮かんできた。
どっかで見たことがあるんだよ……その目。うん。三月とかによく。
なんの目だっけ……ああ、そう。
――鬼、だ。
鬼殺しって、効くのかなぁ……ハハ。
だめだこりゃ。
早起きして得したな今日は
いきなり作品がたくさん来たね 余は満足じゃw
ズッコケ君キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!
>>532-539 おつ〜次回作も期待してまっせ
543 :
名無し募集中。。。:03/11/02 14:24
age保全
〃ノノハヽヽ
||G|*´ Д `)<んぁ…
新作期待hoge
546 :
名無し募集中。。。:03/11/02 21:33
>>532-539 ズッコケ君乙です。
漏れも次作大期待してまつ!!
それから、前スレの189氏の復活はまだか?
落とさぬ気迫それが一番だいじ
548 :
名無し募集中。。。:03/11/02 23:54
ズッコケ君来てたのか、乙
毎回いいね
549 :
218-228-158-165.eonet.ne.jp:03/11/03 00:02
>>493 かるく紅が差した頬をうつむけ、こちらをちらと見やると、
美貴「いや、ネギは…」
言い差し箸を置くと、傍らに侍る馴染みの小女が笑みを含み
飯をよそいつつ、いった
松浦「美貴さんはネギが駄目なんですよう、〇〇先生」
俺 「はて、駄目とは…?」
松浦「なんだかとっても草っぽいんですって」
このことである。
ますます顔を朱に染め、神妙に杯を重ねる美貴であった。
だめだこりゃ
やっちゃった…
>>519-
>>528の続き
そして俺も松浦さんと深い関係に…ぐへぐへ
「お〜い、○○、顔が放送コードぎりぎりやで。」
俺は中澤先生の言葉ではっと元の世界へと戻った。
と同時に、教室のいたる所からクスクスといった笑い声が聞こえてきた。
もしや…あぁ!松浦さんまで笑っているじゃないか。
美貴は…寝てるだろ、どうせ。とりあえず馬鹿にされる心配は無いが…。
「まったく、いくら私が美人やからって惚れ惚れとしとったらアカンで〜」
「いや、目はいいほうなんで…」
「ん?なんかいうたか?」
「いえ…」
「じゃ、説明の続きいくで〜」
そういうと中澤先生は授業に戻った。
「ねえねえ、○○君何考えてたの?」
少ししてから、松浦さんがひそひそ声ではなしかけてきた。
「いや、ただぼ〜っとしてただけで…」
「それにしてはすごい顔だったよ〜??」
「そ、そんなにすごかった…?」
「うん、かなり…」
松浦さんは言いながら俺の顔を思い出したのか、くすくすと笑っていた。
うがあぁぁぁぁー、大失態じゃん!!
いやいや落ち着け、ウケたんだ、むしろ喜ばしい事じゃないか…
とまあこんなことを考えているうちに授業は終わり、放課後となった。
俺はいつものように寝ている美貴を起こしにいった。
「おい、美貴帰るぞ。」
「…おう、変態じゃん。」
「うっ…何でお前が知ってんだよ!!」
「いや〜、ちょ〜ど起きてたんだよねぇ〜」
美貴がニヤニヤしながら言った。
「そんな時ばっか起きてんじゃね〜よ!」
「くっくっくっ。あんたいったい何考えてたわけ?」
「どーでもいいだろ!ほら、さっさと帰るぞ。」
「気になるなぁ〜…」
「いいから!!」
と、美貴が俺の後ろで隠れている人物に気が付いた。
「ねえ、それ、誰?」
するとその人物は待ってましたといわんばかりに飛び出してきた。
「はいっどぉもぉ〜、まつ〜らあやでぇ〜す☆」
いきなりのハイテンションな登場に美貴は固まった。
そして美貴は俺の服を引っ張って顔を近づけた。
「ね、ねぇ…。あれは何?素なの?」
「あ、ああ…俺もあんな人だとは知らなかった…」
するとそんな様子を見ていた松浦さんが俺ら二人の間に入り込んで来た。
「な〜に二人で内緒話してるんですかぁ〜?」
「い、いやべつに…」
「そ、それでその松浦さんは何の用なの…」
心なしか美貴の喋りにいつものような勢いが感じられなかった。
まあ、こんなテンションでこられたら調子狂うわな…
「えっとですねぇ〜、まつ〜らはぁ〜、ぜひ!美貴ちゃんのお友達になりたいのであります!!」
「勝手に美貴ちゃんになってるし…」
「駄目ですかぁ〜???」
そういうと松浦さんは上目遣いで俺の顔を覗き込んできた。…かわいい…。
「俺からも頼むよ、美貴!ほれ、このと〜り!!」
俺は両手を合わせて美貴に懇願した。すると、松浦さんが嬉しそうな顔で俺を見た。
よっしゃ、ポイントアップ!!
「ち、ちょっとまってよ、何であんたが??」
「な、いいだろ?悪い子でもないし!」
「美貴たんはまつ〜らのこと嫌いなんですかぁ〜…?」
松浦さんが泣きそうな声で言った。つ〜か、呼び方がいつのまにか美貴たんになってるよ。
「い、いや、別に嫌いとかじゃ…」
美貴があわてて言った。こいつがこんなにおろおろするなんてめずらしいな。
「じゃあ、まつ〜らとお友達になってくれるんですかあ〜!?」
松浦さんがパッと顔を輝かせていった。よくもまぁこんなにころころと表情が変わるなぁ。
美貴とはまるで正反対だ。
「い、いいよ…」
「きゃ〜、やったぁ〜!!!」
そう叫んだかと思うと松浦さんはいきなり美貴に抱きついた。
「ちょっとぉ〜!」
俺はそんな二人を、
(ちきしょう…美貴と変わりてえぇ〜!!)
とか思いながら見つめていた。すると、ふと美貴と目が合った。
(あんた、よりにもよってこんな大変な子を紹介してんじゃないわよ!!)
美貴はそんな感じの目だったが、まんざらでもなさそうだった。
何で分かるのかって?俺には美貴の声が…じゃなくて、年季のおかげですよ。
「さて、そんなわけで松浦さんも今日一緒に帰るから。」
「えっ!?」
「そうですよぉ〜、美貴たん☆私達はもうマブダチなんだからぁ〜」
「いや…ちょっと待って…。だって今日は話し合いを…」
「ああ、そのことなら松浦さんにも協力してもらうことにしたから。」
「…」
「よろしくね、美貴たん!」
するといきなり美貴は立ち上がって教室を出て行こうとした。
「お、おい、美貴、まてよっ…!」
「…楽しみにしてたのに…。」
「へっ?なんだって?」
「もういい!!」
そういって美貴は教室のドアを乱暴に閉めた。
「まってぇ〜、美貴た〜ん!」
松浦さんが美貴の跡を追いかけて教室を飛び出した。
俺はただそんな二人の様子をボーっと見ていた。
…つ〜か、あいつなんであんなに怒ってんだ?
>>558 最後にだめだこりゃ。追加でw
超能力の作者の人、勝手にネタにしてしまってすいません…
561 :
名無し募集中。。。:03/11/03 01:30
mikisuke保全
563 :
名無し募集中。。。:03/11/03 03:02
作家の皆さん いいよ〜いいよ〜いいよ〜
だめだこりゃ。
564 :
名無し募集中。。。:03/11/03 04:23
━┳ ━┳
このスレの中でネタがリンクする。
いい!
ほんと良スレ!
>>492 の続き
放課後、俺は職員室に行った
「『なんや?○○呼んでへんよ?』」
中澤先生は俺を見つけてビックリしていた。
「アヤカ先生に用事がありまして…」
「アヤカ先生なら図書室行ったで」
『なんやろか?』
「ありがとうございます。」
図書室か、まぁちょっと質問して【声】聞けばいいか。
この高校の図書室はインターネットが出来るようになっている。
はたして、アヤカ先生はパソコンの前に居た。
アヤカ先生は何やら英語のサイトを見ているので【声】も英語だ。
俺には訳せない…
「アヤカ先生質問いいですか?」
「『オー!いいよ。びっくりした。』」
適当に課題の事を質問した。
【声】を聞く限り昨日の事は俺の気のせいだったようだ。
「ありがとうございました。」
『どういたしまして。』
「じゃ、失礼します。」
俺はアヤカ先生にお礼をいいその場を立ち去ろうとした。
『ホントにそんな質問だけ?』
ん?
『ホントにそれだけでいいの?』
まあ、こういうことはよくあることだ。
『よくあること?』
えっ?
俺は驚き振りかえった。
アヤカ先生はじっと俺を見ている。
『やっぱり…同じ能力者ね。』
「えっ?まさか?」
まさか?そんな…
「『動揺してるみたいね。無理も無いわ。私もビックリだもの。』」
えっ?
俺は真っ白になった。
同じ能力を持った人に出会えるなんて。
今まで思ってもなかったことだ。
「『このあと、暇?少し場所変えて話しましょう。』」
俺には断る理由は無かった。
その必要も無いし。
むしろ話を聞きたい。
「は、はい。」
「『じゃあ私の家で、私は先に行ってるから』」
と言うとメモを俺に手渡してくれた。
住所と電話番号が書いてあった。
「は、はい。」
アヤカ先生を目で追いながら、しばらく呆然としていた。
定期保守
572 :
名無し募集中。。。:03/11/03 11:52
川VvV从
良ネタカマ〜ン
575 :
名無し募集中。。。:03/11/03 16:21
レッズ優勝!!
昼下がりの優しい木漏れ日が、ゆらゆらと揺れた。
「……ん? 花が変わってるな」
起きぬけの間違い探しだ。
昼寝から醒めた俺は、花瓶に活けられていた花が変わったことに気が付いた。
最近、こういうことが多い。俺が寝ているうちに誰か来て、花を変えていくようだ。
「先ほど学校のお友達が来ていましたよ。可愛い女の子」
……美貴スケか?
俺が寝てたからそのまま帰っていったのか。
「ちょくちょく見かける娘でしたよ。大人しい感じの。
あなたが寝てる場合が多いみたいで、いつもすぐに帰っちゃうわね」
大人しい感じ……か。一体、誰だろ。
俺は親しい(と思っている)高校の女の知り合いを思い浮かべた。
美貴スケ、ゴマキさん、石川さん……石川さんか?
しかし石川さんにそれとなく聞いても、違うよと否定されてしまった。
その後もそんなことが幾度か続いて、
結局その娘の正体は判明しないまま、俺は病院を退院した。
「生徒会選挙?」
そういえばそんな時期だ。
「はい。マニフェスト作りに励んでいるところです」
「マニ…」
「マニフェストです。生徒会選挙に向けての声明文みたいなものです」
おだやかな昼休み、風紀委員会の委員会室。
俺は副委員長席でせっせとマニフェスト作りに励んでいる紺野と雑談をしていた。
ソファーに座る俺の隣りでは、美貴スケが頭をこちらに預けて気持ちよさそうに昼寝をしている。
つーか何故、こんな高級そうなソファーがこんなことにあるんだか。
「紺野さんは生徒会に立候補するんだ?」
「はい。現2年生で、委員会の副委員長を務めている生徒は、自動的に立候補者としてエントリーされるんです」
ああ、そういえばそんな制度があったな。
「委員会の数っていくつだっけか。確か…9、いや10?」
「全部で11の委員会です」
環境・安全委員会、清掃委員会、保健委員会、図書委員会、風紀委員会、放送委員会、
新聞委員会、学級委員会、文化祭実行委員会、体育祭実行委員会、応援委員会。
と紺野が数え上げた。
「委員会に限らず、部活動やサークル等で役職についている生徒も自動的に立候補者になります」
「ずいぶん沢山出るんだな。でも紺野さんなら楽勝だろ?」
「……確かに最有力候補と噂されているようですが、実際はそう簡単な話でもありません。
先の上前高校の件で怪我人を出してしまいましたから。風紀委員会に対する風当たりは厳しいのが現状です」
紺野が怪我人であるところの俺を見つめて言った。
「生徒会選挙はエグイよ」
いつから起きていたんだか、美貴スケが眠そうな目で伸びをした。
「怪我しないようにね。あたしも風紀委員会もできる範囲で応援するからさ」
「心強いです。よろしくお願いします」
「……? なんだよ怪我って」
「……アンタってさ、学校の行事とかにホント疎いよね」
美貴スケが呆れた視線を向けてくる。
まぁ、自分が保健委員だってことも、美貴スケが風紀委員長だってことも、
松浦亜弥が生徒会長だってことも知らなかったけど。
「生徒会長になると、予算だの生徒規則だの学校行事だの、なんでも思い通りに出来ちゃうからね。
狙ってる人結構いるんだよ」
「へぇ」
「だから、怪我しないようにね」
「はぁ?」
「1対1の決闘は風紀委員会規則で認められていますからね」
紺野が頷いた。
……どういうこと?
キーンコーンカーンコーン。昼休み終了。
俺と美貴スケは3年の教室があるオンボロ棟、紺野は2年の教室がある新棟へ向かうべく、
委員会室を出て、廊下の角を曲がった。
そこで突然、俺たち3人は柔道着姿の男に行く手を阻まれた。
「風紀委員会副委員長、2年5組の紺野あさ美殿とお見受けします」
丸坊主の巨漢がそこにいた。
……なんなんだ一体?
尋ねられた紺野が、小さく「はい」と頷くと、
「柔道部所属1年3組、大西。勝負!」
言うか早いか、身の丈190センチはあるだろう巨漢が、
156センチの紺野の奥襟を取りに物凄い速さで掴みかかった。
あまりの唐突さに、俺は最初唖然として、そしてすぐに我に返った。
慌てて止めに入ろうと足を踏み出した俺の学生服を、美貴スケが引っ張った。
「邪魔しちゃ駄目でしょ」
邪魔って……言ってもな。
どう見たって、柔道部員に暴行を受けているか弱い女子生徒にしか見えないだろ。
「はっ!」
鋭く短い気合に、視線を紺野に戻す。
……俺の目に飛び込んできたのは。
真っ白なパ……いや。
小柄な紺野が、自分の倍はあるだろう大男を投げ飛ばす衝撃的映像だった。
「お疲れー紺野。強いね」
「さすがに1年生には負けられません」
美貴スケがパチパチと手を叩き、紺野は服の乱れを整えた。
紺野ってガリ勉少女っつーイメージがあったんだが。
伊達に風紀委員会の副委員長やってるわけじゃないんだな。
しかし……一体なんだってまた、柔道部の1年なんかに戦いを挑まれてるんだ?
「噂をすれば影ってやつ?」
「そのようですね。1年生を送り込んでくるあたり、小手調べといったところでしょうが」
「……おい。まさか」
「やっとわかった?」
美貴スケが怪我しないでねと言った理由。
そうか。つまり。
生徒会選挙の有力候補者である紺野は、他の立候補者から狙われてるってことか。
マジかよ。
「大変だな……身が持たねぇだろ」
「いえ。今回のような正々堂々とした決闘はそれほど問題ではありません。
一番厄介なのは流言の流布や覆面集団からの闇討ちです」
なんか危険な言葉が飛び出してきたな。
「そういうのは出来るだけ風紀委員会でカバーするよ」
「申し訳ありませんが、よろしくお願いします」
紺野は礼儀正しくぺこりと頭を下げた。
新棟に向かう紺野と別れて、俺と美貴スケは並んで教室への廊下を歩いた。
たまに梯子を担いだ生徒とすれ違う。今月は地震対策月間だとかで、
環境・安全委員会(略して環安)が校内の危険な箇所を点検して回っているらしい。
松浦亜弥が生徒会長になってから、委員会がだいぶ活発に活動しているって誰かが言ってたな。
「なぁ、生徒会長ってそんなにスゲーなりたいもんなのか?」
「さぁ? 人によってはなりたいんじゃん? あたしはそうは思わないけど」
美貴スケが興味なさげに言った。風紀委員会も嫌々やってそうだしな。
でもコイツの不幸なところは、自然に人に慕われちまうところだ。
本人は否定するだろうが、人を動かしたり、逆に面倒を見たりする仕事は、コイツに向いていると思う。
「……そういや、紺野さんがあんなに強えーとは知らなかったぜ」
「ええ? そうなんだ。結構有名だよ。空手部のエースだし」
「ほほう」
「しかも成績学年トップなんだよ。すごくね? ありえなくね?
教師連からの評判もいいし、普通に行けば来年の生徒会長は紺野だろうね」
へぇ。凄いんだな紺野って。
「あたしらの学年でいえば、和田君の女版って感じ」
「わだくん?」
「首席の和田君。空手部主将で、環安委員長の和田君」
ああ、いたね。そういえばそんな文武両道のイケメン君が。
教室の扉をガラガラと開けると、待ち構えていたようにゴマキさんが駆け寄ってきた。
「んぁ〜〜おとーさん、美貴ぃ〜大変だよぉ」
ゴマキさんは珍しく慌てながら、一枚のチラシを差し出してきた。
なんだ? 俺はそれを受け取って、美貴スケと一緒に覗き込んだ。
神狼高校緊急スクープ!
【風○委員会のキケンな三角関係】
歴代最強と謂れの高い、神狼高校の秩序と平和を守る我らが風○委員会。
そんな風○委員会の、驚くべき実態をスクープしたゾ!
今回スクープするのは、体育祭で一躍有名(有迷?)になったアノ人(18)を巡る、
風○委員会委員長(17)と副委員長(17)との対立だ。
先の上○高校との抗争時に、風○委員会の不手際によってアノ人が負傷したことは
校内でも有名な話。その事件の裏には、副委員長がアノ人を誘惑したという驚愕すべき
事実があった!
委員長の恋人に横恋慕する形になっていた副委員長は、アノ人の気を引くために、
委員長への嫌がらせを込めて抗争に巻き込むことを画策。
巻き込まれたアノ人は全治2ヶ月の大怪我を負ったというワケ。
委員長と副委員長の関係はその後悪化し、現在は完全に絶縁状態という噂。
もうすぐ生徒会選挙、このままでは風○委員会からの立候補者である副委員長の落選も
現実味を帯びてきた!?
なんじゃこりゃ。
ご丁寧に写真までついている。目張りされているが、それはどう見ても俺と美貴スケと紺野。
……だった。
長々と書かれているが、つまり俺と美貴スケと紺野が三角関係だと言いたいようだ。
俺は思わず風○委員会委員長(17)と顔を見合わせた。
「……おい、まさかこれ」
「だね。油断してた。今回の生徒会選挙、反紺野派が相当いるみたいね」
「なんか、校門の近くの掲示板に貼られてて。人が集まってるから何だろと思ったらこれでさ。
びっくりしたよぉ。紺野っておとーさんのこと好きだったの?」
「いや、ありえないから」
美貴スケが即否定した。
「藤本先輩」
教室のドアの向こうに小柄な男子生徒が立っていて、美貴スケを呼んだ。
美貴スケが無言で近づくと、男子生徒は耳打ちをして、ハガキの束みたいなものを差し出した。
美貴スケの表情が軽く変わった。
「……放課後、全員に委員会室に集合するように召集かけといてくれる?」
男子生徒は頷くと、ペコリと頭を下げて素早く去っていった。
「紺野からの連絡。このデマチラシ、真希が見た掲示板の他に、
校内の主要な掲示スペースに貼られたみたい。全部風紀委員が回収したって」
「なんだぁ、デマだったんだ」
ゴマキさんが安心したようにフニャっと笑った。いや、信じたのはお前さんだけだと思うぞ。
いつもならそこで美貴スケのツッコミが入るところだが、
ツッコミ担当はさっきから難しい顔をして考え込んでいる。
「他にも何かあったのか?」
「……」
美貴スケが無言でハガキの束を俺に渡した。
それを裏返して見た俺の目に、体操服姿の紺野が飛び込んできた。
ええ? ……ああ、写真。写真だ。
そのほかにも、学食でうどんを食う紺野、本屋で本を選んでいる紺野、
図書室で勉強している紺野、花屋で花を買う紺野……と、紺野紺野で紺野尽くしだ。
「……なんだよ、これ?」
「トーサツ写真」
「は?」
「昼休みに校内にバラ撒かれてたのを、委員会の子が回収してくれたんだって」
トーサツ写真。トーサツ……盗撮?
マジでか。ここまでやんのか、うちの生徒会選挙は。
「……亜弥ちゃんの時も凄かったけど。今回はかなりシンドイかもね」
美貴スケが不機嫌そうな顔でつぶやいた。
退院早々、これまたとんでもない騒動が起きそうだな……お。
俺は写真をめくっていた手を止めた。
フェンス越しに青い空をバックにして、紺野が誰かに向かって微笑んでいる。
……なんつーか……これは。
すげー。
可愛い。
「なに真剣に見てんだよ」
ポカリと軽く小突かれて、写真の束を取られてしまった。
知らなかった。紺野ってあんな風に笑うんだな。
紺野はいつも落ち着いていて、表情の変化に乏しかったから、笑った顔を見たのは初めてのような気がした。
……そういうこともあり。
その後、5限の授業が始まっても、
俺の思考の片隅には、紺野の笑顔がしばらく残っていた。
だめだこりゃ。
乙
スンマソン、多分今までで一番長い話になると思われ
作者読者の皆さんに質問
どんな小説(本)読んでます?
保全用の話題として。
otyu
>>589 お疲れ〜。
続編期待してるよ〜・
>>591 最近はItとよばれた子かな。
児童虐待の最近売れまくってる本。あれはいいよ。自分の悩みが小さなものに思える。
>>593 イキロ
まあIt〜はモヲタには説明いらないな。
江国香織のきらきらひかる。
全体に漂うすごく優しくて愛が溢れている感じに感動した。
いいなぁ〜、生徒会のある学校は。
>>591 えっと・・・評論文とか・・・w
メディア論、「もの」と「ことば」の在り方とか文化論とか・・・
2ちゃんねらーはウソツキだと2ちゃんねらーが言った。
そのまま取れば、2ちゃんねらーはウソツキという事になる
しかしウソツキだと言ったのは2ちゃんねらーなので
その発言自体が嘘になる。つまり2ちゃんねらーは正直物になる
しかしそうなると、最初の発言と矛盾が生じる
つまり言葉の世界では存在する事が現実では存在しないのである。
なんて感じの文章 「もの」と「ことば」より
たまに空気読まないで理屈っぽい書き込みしてる奴いるけどお前がそうか
どこの話だよw
柄谷行人
603 :
名無し募集中。。。:03/11/04 00:12
だめだこりゃ、保全
604 :
名無し募集中。。。:03/11/04 00:59
>>589 ワンピースも話のたびに長くなってるから安心汁!
607 :
名無し募集中。。。:03/11/04 03:42
だめだこりゃ保全深夜部隊
608 :
名無し募集中。。。:03/11/04 06:21
おはよう保全
609 :
名無し募集中。。。:03/11/04 11:29
age damedakorya
ほぜむ
ほぜん
降臨待ち
613 :
名無し募集中。。。:03/11/04 21:04
あげほぜ
定期保守
615 :
p1176-ipad29sizuokaden.shizuoka.ocn.ne.jp:03/11/04 23:12
hozen
616 :
名無し募集中。。。:03/11/04 23:25
保全、だめだこりゃ
( ´ Д `)<保全するぽ〜
619 :
名無し募集中。。。:03/11/05 01:40
川o・-・)<保全させていただきます
( ^▽^)<保全するって言ったじゃん!
川VvV)<どんなこともシネーヨ
622 :
名無し募集中。。。:03/11/05 03:56
だめだこりゃ保全深夜部隊
从 ‘,_っ´) <保全してくれていいよ
624 :
名無し募集中。。。:03/11/05 07:21
从‘ 。‘ 从<ズバッと保全
ほ
>>569の続き
「『おい、○○!なにぼーっとしてるんだ?帰るぞ!』」
美貴に声を掛けられ我に戻った。
『「なぁ、アヤカ先生の声聞いたか?」』
「おっゴメン。ちょっと先に帰っててくれ。アヤカ先生ん家行ってくる。」
「『えっ!?』」
「じゃーな」
『「お、おい!ど、どういうこと?」アヤカ先生の家ってどういうこと…』
美貴を残し俺は急いだ。
どうやら俺は30分程ぼーっとしていたみたいだ。
メモを頼りについた先はオートロックのマンション。
アヤカ先生の部屋番号を押した
「はい?」
「○○ですけど。」
自動ドアが開き
「どうぞ」
なんか無機質なやり取りだ。
エレベータで上に登るとアヤカ先生が待っていた。
「『ずいぶん遅かったね。』」
「ちょっとぼーっとしちゃいまして。」
そんな会話をしながら部屋に入った。
初めて美貴以外の女の人の部屋に入った。
美貴の部屋とは大違い。
なんか、イイ匂いがする。
「『あんまりいろいろ見ないでね。』」
「すいません。」
「『ふふっ。適当に座って。紅茶でいいかな?』」
「あっはい。」
こんな会話は初めてだ。
アヤカ先生が紅茶をいれてくれた。
で、本題に入った。
>>626-627 続きでした。
なんか最近忙しくて。
あんまり求められてないかもしれないけど、いちおう。
629 :
名無し募集中。。。:03/11/05 10:48
>>628 求めてますよ!!
忙しいのに大変ですね。でも、続きを楽しみにしてます
めっちゃ楽しみにしてるんで
ちょっとずつでもいいんで続けてほしいです。
( ^▽^)<うれしみ
>>628 乙です。
毎回楽しみにしてまつ(・∀・)
これからもよろ(;´Д`)
ho
636 :
名無し募集中。。。:03/11/05 21:41
激しく保全
>>558の続きです。更新スピードが申し訳ない…
その日、俺は家に帰ってから今日の美貴を思い出していた。
あいつは確かに結構気難しいところはあるが、
今までに筋の通らないキレかたをした事など一度も無かったはずなのに…
やっぱりなんか理由があるだろうな。
あ〜!、気になって勉強も手につかん!!って別にいつものことか。
いや、このままじゃ気になりすぎて寝れないかもしれん…
しょうがない、ちょっくら会って理由でも聞いてみますか。
一分後、俺は美貴の家の玄関の前にいた。
おばさんはちょうど夕飯の準備をしているらしく、
けだるそうに美貴が扉を開けた。
「てへっ、きちゃった☆」
「…」
バッターン!!
美貴は眉一つ動かさずに扉を閉めた。
「そうそう、せぇるすまんには厳しめに行かないとね…っておい!!」
「いや、ウチは変態お断りなんで。」
「わかった、わかったからとりあえず中に入れてくれ。」
「…」
返事が無い。もう10分間くらい玄関の前で立ち尽くしている。
こうなりゃピンポンラッシュでもしてやろうかと思っているといきなり扉が開いた。
「しょうがないわね…用が済んだら早く帰ってよ。」
「おお、美貴様!私は信じておりましたぞ!!…ってあれ?」
「なによ?」
「おまえさっきと服変わってない?」
そう、さっきまでは普段着だったはずなのだが…
「気のせいでしょ!上がるなら早く上がりなさいよ。」
まるで今から夜遊びにでも繰り出そうかという格好で美貴がいった。
「そうだっけ?まあいいや。おじゃましまーす。」
そういって俺は美貴の家に上がった。つーかほんとにヒサブリだな。
最後に来たのが何時だっけな?中学の卒業式のあと位か。
「あら、○○君じゃない、久し振りねぇ〜。」
台所にいるおばさんが振り返って挨拶してきた。
「こんばんは、おばさん。今日もお美しいですね。」
「あら、いやだわぁ〜、ほんとの事言わないで☆」
「ははは…」
美貴があきれたような目で俺たちのやり取りを見ていた。
「あれ、今日おじさんは?」
「…しらねえよ。またどっかで飲んでんじゃね〜の?」
美貴が氷のように冷たい声で言った。
そっか、仲悪かったんだっけな。
そして俺たちは美貴の部屋に入った。
久々に入る美貴の部屋。造りは変わっていないはずなのに
まるで昔の部屋とは違う印象を受けた。なんと言うか、おしゃれな感じ。
「へー、やっぱ女の子だな。」
「やっぱって何よ、やっぱって。」
「まあまあ。」
「あんまじろじろ見ないでよね。」
「お前未だにキティちゃん好きなんだな」
「だからみてんじゃね〜っつの!」
そして二人とも床に直接座った。
「それで、少しは決まったの?」
「…なにが?」
「なにがって、学園祭のことよ。その話で来たんでしょ?」
「やばっ!」
「!?、な、何よ突然?」
「忘れてた…」
「はぁ?それじゃあんたはいったい何のためにウチに来たのよ?」
「いやぁ、お前今日怒ってただろ。気になってな。」
「…そのためにわざわざ?」
まあ、わざわざってほどの距離じゃないがな。
「おう、このままじゃ夜も満足に眠れんと思ってな」
「ふ〜ん、つ〜か学園祭のこと忘れてんじゃないわよ!」
口では怒っているが笑いながら美貴が言った。
「じゃあ早速学園祭のことを考えるか。」
「そうね。」
とそこで、俺は松浦さんが放課後美貴の後を追っていったことを思い出した。
「あ、そうだ、お前今日松浦さんと一緒に帰ったのか??」
「え…う、うん、いちおう…」
「悪い子じゃないだろ?」
「そうね、一緒にいるとついついペースに乗せられちゃうし…」
「ほー、そりゃあよかった。」
「うん、今まで色々と相談できる友達とかいなかったから、よかったかも。」
美貴の顔は本当にうれしそうだった。
う〜ん、俺っていいことしてるなぁ。動機は不純だけど。
しかし、学園祭のほうはどうも上手くいかず、
結局何も決まらないうちにその日は終わった。
とりあえず今日はここまで。
ちなみに
>>637の一番上、遅くてが抜けてますw
遅くても必ず完結させるんでどうか長い目で…
乙です。
ヽ(`Д´)ノウワァァァン
プッ
だいこんしまってドコ?
647 :
diranta024-ap.srijayawardenepurakotte.or.sr:03/11/05 23:47
>>639 「ミキティ」の語源が「キティ」だってこと忘れてたーyo.
せかしたら負担になるかなと思って控えてるだけですんで
更新楽しみにしてますよぉ
650 :
名無し募集中。。。:03/11/06 01:50
保、だめだこりゃ
mikisuke保全
652 :
名無し募集中。。。:03/11/06 03:55
だめだこりゃ保全深夜部隊
だめだこりゃ保全早朝部隊
654 :
名無し募集中。。。:03/11/06 07:56
国生さゆりが幼馴染みの旦那と離婚。何故かこのスレを思い出しカキコ
ほ
657 :
名無し募集中。。。:03/11/06 16:25
保
( ^▽^)<保全するよ♪
659 :
名無し募集中。。。:03/11/06 20:32
ぽ
660 :
名無し募集中。。。:03/11/06 21:20
ぜ
このスレに初レス!
今連載されている
ずっこけ君、超能力、松浦が出てくるやつ、
3つとも面白い!
期待してます!
デマチラシと盗撮写真がバラ撒かれた、その日の放課後。
俺は保健室で、風紀委員会の会議が終わるのをボーっと待っていた。
目の前では、ゴマキさんがダーヤスに弁当のレシピを指導している。
ダーヤスが連日コンビニ弁当であることを、ゴマキさんが見かねて1週間分の献立を考えてきたらしい。
「ひじきは鉄分が多くて体に良いんだよぉ。野菜と一緒に摂るともっといいんだってさぁ。
けーちゃんは肌が荒れやすいんだから、鉄分とビタミンC取らなきゃダメだよ」
「う〜ん、まさか後藤に栄養指導されるとは思わなかったわ」
ダーヤスがフヘヘと苦笑いした。
ゴマキさんは料理もうまいし、良いお嫁さんになりそうだ。
「ズッコケ君はどう? 体の調子は」
「まぁまぁッスね。それよりも勉強がだいぶ遅れちまってて。巻き返すのに必死ですよ。
入院中に後藤さんにノート見せてもらったお陰で、多少はついていけてますけど」
「へぇ。後藤は最近、真面目に学校来て勉強してるよね。偉い偉い」
「んははぁ」
ダーヤスにいい子いい子されて、ゴマキさんがくすぐったそうに笑った。
「失礼しまーす。環境・安全委員会です。暖房器具の点検でーす」
「おーどうぞー。ご苦労さん」
『環安』と書かれた腕章をつけた2人組の女子が、保健室の扉をガラガラと開けて入ってきた。
そうか。もうそろそろストーブを焚く季節だな。
「遅くまで大変ね」
「はぁ、さ来週から暖房器具の利用期間になるんで。委員会で点検して回ってるんです」
「環安の委員長は和田君か。地震対策月間とか、だいぶ活発に活動してるよね」
「和田さんは凄いですよ。みんなに人気で。ね?」
わだくん。最近よく名前を耳にするな。
「それじゃ、大丈夫みたいなんで失礼しまーす」
「はい、ありがとね。もう暗いから、帰る時は気をつけて帰りなさいよー」
はーいと返事を返して、2人組は保健室の扉を閉めて出ていった。
ダーヤスの言う通り、もうとっくに日は落ちて、外は真っ暗だった。
「会議、まだ終わらないのかなぁ?」
ゴマキさんがぽつりと言った。
気がつけば、18時半を回っている。ちょっくら様子を見てくるか。
風紀委員会の委員室のドアをノックして開けると、一斉に視線が集まった。
「まだ終わんねーのか?」
「ああ、もう終わったトコ。雑談してた」
部屋には美貴スケと紺野、それに数名ほどしか残っていなかった。
総勢で30人近くいるはずだから、ほとんど帰っていったんだろう。
じゃあ帰ろうぜと言いかけたところで、俺が入ってきたドアがコンコンとノックされた。
「失礼します。紺野くんはいるかい?」
ドアが開いて、短髪のイケメン君が入ってきた。
見かけたことがあるな。確か……
「あ……和田先輩? どうしてここに」
そうだ。例の首席の和田君だ。
和田君はすっと紺野に近づくと、精悍な表情を崩して柔らかく微笑んだ。
「チラシと写真の話を聞いたんだ。君が心配になって……紺野くん、大丈夫かい?」
「はい。この程度のことは予想の範囲内です」
「全くひどいことをするやつらもいるものだ。空手部のみんなも心配していたよ」
「そうですか…ご心配をお掛けしてすみません」
紺野がペコリと頭を下げた。
そういえば和田君は空手部の部長だったな。もう引退しているはずだが。
……空手部には和田君と紺野、ふたりも学年首席がいるのか。すげーな。
「藤本くん。空手部の部員も風紀委員会で使って欲しい。みんな紺野くんを守りたいと言っている」
「そんな、先輩。空手部のみんなに申し訳ないです」
「いや、いいんだよ。みんな、君が辛い目に遭っているのを黙って見ていられないんだ。
君にはいつも笑顔でいて欲しいから」
なんだかスッゲーハズカシー言葉がバンバン出てきて、耳から脳味噌が流れ出そうだ。
しかし言われたほうの紺野は、少しだけ困った顔をして、はにかみながら笑顔を浮かべた。
――あ。
あの写真と同じ笑顔だ。
途中から入ってきた俺と和田君のために、紺野が現在までの出来事をまとめてくれた。
これまでに起きた出来事とは――
紺野と柔道部部員との決闘。
デマチラシの掲示。
盗撮写真のバラ撒き。
この三つだ。
「まずチラシに関してですが、校門近くの掲示板と、校舎内の掲示スペースに貼られていました。
貼り出された場所はどこも人目に触れやすい場所です。特に校門付近の掲示板は登校時に多くの生徒の目に触れます。
しかし、今朝の登校時に話題になりませんでした。
つまり、貼られた時間帯は1限〜4限の間だと推定されます。4限の可能性が一番高いですね」
紺野が壁に貼られた校内地図を棒で指しながら説明した。
「そして次に、バラ撒かれた写真についてです。……どれも私が写っています」
「……紺野くん」
「大丈夫です、和田先輩」
心配げな視線を送った和田君に、紺野が軽く微笑んだ。
冷静を装ってはいるが、普通に考えてショックを受けないなんてことはない…よな。
「写真がバラ撒かれた場所は2ヶ所です。ひとつは旧棟と新棟の間にある中庭。そして2年の昇降口です。
どちらも昼休みの時間帯に発見されました。
こちらはチラシよりも目立ちますから、撒かれていればすぐに発見されるはずです。
3限と4限の間の休憩時間では目撃証言がないことから、バラ撒かれたのは昼休みの前の、
4限目の授業中だろうと考えています」
ふむ、なるほどな。
「チラシと写真は、貼られた時間帯とバラ撒かれた時間帯がほぼ同じです。
憶測の域を超えませんが、実行者は同じ人物、あるいはグループの可能性も考えられます」
「さしあたっては柔道部だけか? 素性がわかってんのは」
「そうですね。柔道部は部長が真面目でしっかりした方ですから、
おそらく今後も決闘形式で牽制してくると思います。
問題は動機ですが、柔道部は昨年の冬季大会での成績が芳しくなかった理由から、
松浦生徒会長に今年度の部活動予算を大幅に削られたという経緯があります。
おそらくはその絡みで、生徒会選挙に野心があるのではないでしょうか」
紺野がファイルを見ながら言った。
部内から生徒会長を輩出すれば、予算なんて思いのままだ。
「動機に確証が取れ次第、柔道部と交渉して和睦を申し入れようと思います」
「それがいいね。今後、柔道部以外の相手もしなきゃならなくなるかもしれない。
多少のリスクは覚悟で早いうちに味方に引き入れてしまったほうがいい」
和田君の言葉に紺野が頷いた。
「それで、風紀委員会の今後の方針は?」
「決闘は風紀委員会規則で認めてるいるけど、問題はチラシと盗撮写真。
これは特定生徒への中傷行為ってことで規則違反だから、選挙管理委員会と相談して、
風紀委員会で取り締まる予定だよ」
選挙管理委員会はつまり現生徒会のことだ。
和田君はうむ、と大きく頷いた。
「状況はだいたい把握した。それで藤本くん、空手部はどうすればいい?」
「そうだなー……チラシと写真に関してはこちらの仕事だから……。紺野の護衛とか。お願いしよっかな」
「ああ、お安い御用だ。では、空手部は紺野くんの身辺警護を引き受けよう」
「先輩……いいんですか?」
「うん。とはいえ、紺野くんには護衛なんていらないかもしれないね」
「いえ……そんなことはない、です。心強いです」
あの冷静沈着な紺野が、恥ずかしそうにうつむいてしまった。
うーん。マジ惚れてるじゃん。
……で、俺は?
「アンタは大人しくしてな。怪我人なんだから。また入院されても困るし」
まぁ確かに、紺野は強いし、それに和田君というナイトがついているんだから、
喧嘩の弱い俺なんかが関わっていったところで邪魔になるだけだと思う。
美貴スケも忙しくなるようだし……つまんねーな。
しかたね。しばらくはゴマキさんやダーヤスとのんびり過ごすか。
「でもだからって、真希と必要以上にじゃれあわないよーに!」
……ハイ。
「どう思う?」
「新聞委員会の瀬戸君」
「やっぱあそこなの? てか亜弥ちゃん、近い近い。近いよー……近いって!」
「んんん〜〜、美貴たんいい匂いがするー」
「もぉ〜わかったからちょっと! 今真面目な話してんだよぉ!」
「ふひひ。だってさ、美貴たん聞いて。さっきまで生徒会と教師連の会議だったわけさ。
そこでさぁ、女はあたしひとりでさぁ。男ばっかで汗臭いったら暑苦しいったら。
まね、男臭いのもキライじゃないよ? なんかこう、『兄貴ぃ!』『おう、兄弟!』みたいな感じでさ。
でもね、さーすがに一週間ぶっ続けで同じ空気の中にいると、さすがのあたしも耐えられないさ。
いやマジで。マジヤバイッス!」
「わーかったから、人の膝に乗ったりするのやめようよ。…で、やっぱ瀬戸の仕業?」
「ていうかそれしかないっしょ。瀬戸君はなんていうか、ある意味熱い人だからー…
定期発行の新聞以外に、趣味でああいう世間批判みたいなこと書くんだわさ」
「批判じゃなくてゴシップじゃん、あんなの。…盗撮写真も瀬戸?」
「そんな気がするけど。新聞委員会の人ならカメラ持ち歩いてても変じゃないでしょ?」
「うーん。もうちょっと、確実に瀬戸っていう根拠は?」
「美貴たんさ、もうちょっと頭使いなさい。頭」
「なに?」
「だからぁ、チラシも写真も貼られたりしたのは4限の授業中が一番濃厚なんでしょ?
授業中に貼ってたら授業に出れないわけでしょ?
じゃあ、新聞委員会の生徒が4限の授業にちゃんと出てたか調べれば、自ずと分かるでしょ?」
「……亜弥ちゃん、頭いい」
「でしょぉ〜? あたしも前からそう思ってたんだぁ。やだぁもお〜、やーっぱ松浦って、かーわーいーすーぎー!」
「ハイハイ」
「なーんつって、紺野ちゃんに調べて欲しいって頼まれたんだけどね」
「おい」
「で、笑っちゃうよ。瀬戸君と寺田君がキレーに4限の授業サボってるの」
「……新聞委員会の委員長と副委員長じゃん」
「そ。ビンゴなわけよ」
「なんていうか……分かりやすすぎじゃん?」
「本人たちもそれほど身を隠そうとはしてないんじゃない?
スポーツ新聞が堂々とアイドルのスキャンダル載っけるのと同じ感じで」
「フーン…」
「てゆか、踏み込むの?」
「……ウン。目障りだからね」
「あらら。珍しく美貴たんやる気なのね。でも、あたしは反対しとく」
「え? なんで?」
「あのくらいのゴシップ記事なんて誰が見たってデマだって分かるんだから。
むしろ放っておいたほうが、紺野ちゃんへの同情が集まると思うよ?
それに、紺野ちゃんへの攻撃を風紀委員会がムキになって取り締まると、逆に身内贔屓みたいな印象が強くならないかねぇ?」
「でもやりすぎだよ。紺野は大丈夫って言ってるけどさ。そんなわけないじゃん。
……あの子、頑張りすぎちゃってるんだよね。見ててなんか……辛いよ。
これ以上、あの子が無理して平気な顔してるの、見てらんない」
放課後になった。
教室にはもう既に誰もいない。ゴマキさんは家の手伝いがあるとかで帰ってしまった。
大人しくしてろっていう美貴スケのご命令だし、俺も帰るとするか。
帰り支度を済ませてから、俺は教室のドアをガラガラと開けた。
「…………」
廊下の掲示スペースに立っていた女生徒がハッと振り返って、俺と目があった。
視線を外そうとした矢先、女生徒の表情の変化があまりに不自然だったので、俺は再び視線を戻した。
……なんでそんな、ビックリした顔してんだ?
「イ、イヤァァァァァァッァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
突然、その女生徒は実に響きのいい悲鳴を上げて逃げ出した。
………は?
なんの心当たりも無く逃げられると、さすがの俺も頭にくる。
女生徒の足はかなり速い部類に属すようで、もう既に背中が小粒くらいの大きさに見えたが、
俺は走りにだけは自信がある。
というわけで、追った。
「スイマセン! スイマセン! スイマセンッ!!!」
俺に腕を掴まれてようやく止まったランナーは、廊下に崩れ落ちるといきなり謝りまくってきた。
事情がよく飲み込めない。なんなんだよ、一体。
「何がスイマセンなんだよ?」
「チ、チラシッ! い、委員会の先輩に命令されてッ……
ノルマがあって、わ、ワタスは他の人の分も頼まれてて!
さ、30枚! 貼ってこなきゃいけなくてッ……」
チラシ?
女生徒の片方の手には、確かにチラシのような束が握られてる。
そこには『風○委員会の内情暴露第2弾!』という字が躍っていた。
それでようやく飲み込めた。
ああ。掲示スペースでこれを貼ろうとしてたのか。この娘は。
「委員会って言ったな? どこ委員会?」
「し、新聞委員会」
デマチラシの犯人グループ、発覚。
新聞委員会て。あんまり意外性がないな。そのまんまじゃねーか。
「ま、まさかズッコケさんがまだ教室に残っているとは思わなくてッ……」
そもそも、風紀委員会の委員長がいるクラスの目の前に貼ろうとするんだから、
よっぽどの怖いもの知らずか、超天然のどっちかだな。
どうでもいいけど、俺のことを気安くあだ名で呼ぶやつが多すぎる気がする。
さてどうすっか。かわいそうだけど、風紀委員会に引き渡すのが一番いいのかな。
多分この子は誰かに命令されてやってただけのようだから、たいしたお咎めも受けないだろう。
風紀委員会の委員室には、見たことのある男子生徒が留守番をしていた。
「委員長と大半の委員は新聞委員会に踏み込みましたよ。
チラシの犯人が新聞委員会の委員長と副委員長だと目星がついたんで」
「あぁ〜〜、バレてしもうた」
女生徒が頭を抱えた。
「そちらの方は?」
「ああ、新聞委員。教室の前でチラシを貼ろうとしたところに出会って、あやしかったんで捕まえてみた」
「それはお手柄ッスね先輩。犯人が新聞委員会だという動かぬ証拠になりますよ。委員長に知らせたほうがいいかも」
「アイツはどこにいるんだ?」
「新聞委員会の委員室です。この棟の1階ですね」
「寺田! 第二弾の出来映えはどうだ? ん? かなりイケてるだろ?」
「……最近の瀬戸さんはかなりキてるやないですか。
ズッコケの子を身ごもった藤本の腹を紺野が尺八で殴ったくだりでは肩が震えましたよ」
「さすがに妊婦に手を上げるような人間に投票はせんだろうな。
フッフッフ、生徒会の犬である風紀委員会の狐と狸が、苦悩して呻き、悶え、泣き叫び、
もうだめぽと天を仰ぐ……人の権利が権力に勝つ瞬間だ! 全身が震えるような快感!
素晴らしい、素晴らしいぞぉぉぉ!!!」
「失礼しまーす。出前のお届けに参りましたー。風紀委員会でーす」
「何の間違いだ! 出前なんか頼んでおらんぞ!」
「えー? おかしいですねぇ〜、確かに新聞委員会様のはずなんですけど〜〜
ってオラァァァァァアアアアアアアアア!!! 皆殺しだオメーーーラァァァ!」
「き、貴様っ、藤本美貴ーーーーー!?」
「つまんねーコントさせんじゃねーぞ! テメーらが捏造記事バラ撒いたことはもう明白なんだッ!
小指の爪で顔蜂の巣にして奥歯ガタガタ震えさせてやるから、大人しく制裁受けろやッ!」
「生徒会の犬がッ! 貴様には人の権利を尊重する気持ちがないのかッ!!!
我々がみな持っている言論の自由を奪う気かーーーッ!!!」
「……つーかアンタ、『言論の自由』って言いたいだけでしょ」
「……っ!!」
「あたし、難しいことキライだから。
人間の権利とか尊厳とかいう抽象的な話にはついていけないし。
もっと具体的な話にブレークダウンしてもらわないと困りますぅ♥」
「ブレ……」
「事実を捏造して紺野を悲しませることがあんたの権利だっていうなら、そんな権利は奪うよ」
「チッ……て、寺田! あとは任せた!!」
「はぁ」
「瀬戸死すともぉぉぉぉぉぉおお、自由は死なぁぁぁぁああああん!! さらばだ!」
ガチャッ… バタン!
「……追わなくてええんか?」
「この周囲は風紀委員会で固めてるから。逃げてもどうせ同じだよ」
「さーすが、歴代最強とか言われてるだけはあるなぁ? 藤本美貴」
「フン。それでアンタはどうするの? 逃げる? それとも…」
「んーまぁ逃げてもええんやけど。瀬戸さんに任されたし。
それになにより、あんたとヤりたいからな。乳がないのが玉に瑕やけど」
「……数回程度死ね」
「美貴スケ!」
俺が新聞委員会の委員室の前に立ったときは、寺田と美貴スケが対峙しているところだった。
名を呼ぶと、美貴スケは驚いてこちらを見た。そして途端に苦い顔でバカと言った。
「早く帰れっていったじゃん」
帰ろうとしたんだけどな。
「あのぅ、寺田先輩……スイマセン……わ、ワタス捕まってしまいました…」
「あー、えーっと? ああ、2年の高橋やないか。そかそか、そらしゃーないな。
もう瀬戸さんも逃げたしな。どっちみち風紀委員会に潰される運命やったんや」
「アンタも降伏するなら今のうちだよ」
「降伏したらまぁ痛い目には遭わないんやろうけど」
寺田は低く笑いながら、壁に立てかけられていた妙に長細い茶色の巾着を手に取った。
そしてそこから物騒なものをスラリと抜き放って、俺たちの度肝を抜いた。
「……かたなぁ!?」
微妙な弧を描くそれは、まさしく刀。日本刀だ。
寺田は正眼に構えると、軽く一、二度空を裂いた。
おいおい。ヤバくねーか。
さすがの美貴スケも唖然としている。
「木刀なら経験あるけど、真剣振り回す人見るの初めてだわ」
「真剣やないで。真剣なんて持ってたら警察に捕まってまうがな。
刃を落としてあるレプリカやけど、斬られればそれなりに痛い目にあう。ほれ、あんたも抜け」
投げつけられた日本刀を、美貴スケがよろめきながら両手と胸で受け取った。
そして柄をぎゅっと握ると、鞘からゆっくりと、静かに抜き取った。
あらわになった刃が夕日に照らされて、オレンジ色に光った。
「おも……」
「あんたとは一回マジでやりあってみたいと思っとったんや。
卒業する前にチャンスが巡ってきて、こんな嬉しいことはないで」
「フン」
不敵に鼻で笑って、美貴スケは刀を肩に背負った。
対して、寺田の構えは八相。
紺のブレザーにチェックのスカート、そして日本刀という美貴スケの姿は、実に奇妙で、
そして妙に凛々しかった。
「あー、決闘は名乗り上げるって決まりやったっけ?
新聞委員会所属、3年6組寺田。……元剣道部」
「藤本美貴」
名乗るのが面倒とばかりに、美貴スケは短くそれだけ言った。
「勝負は……相手が参ったというまで。審判はズッコケ君な」
「おい、美貴スケ」
マジでやる気なのか?
漫画じゃねーんだぞ。いくら刃が落としてあるとはいえ…
思いっきり叩きつけられれば内出血どころの話じゃねーぞ。下手したら皮膚が破れて、骨が折れる。
だっつーのに、アイツは俺の顔を見て、ニヘッと笑いやがった。
「そこで待ってて。一緒に帰るから」
……ふざけんじゃねーぞ。
アイツの身になんかあったら、俺は……
「わかってると思うが、手出しは許されへんからな。
ズッコケ君が飛び込んできた時点で藤本の負けや」
クソッ…見てることしかできねーのかよ!
だめだこりゃぁぁあ!!
乙
あと2〜3回で終わる予定。長くてスイマセンスイマセン
684 :
名無し募集中。。。:03/11/07 00:08
ズッコケ君、ひさぶりだな、イイヨイイヨー
この和田君のモデルは毅? 短髪のイケメンだと 薫でもないし真一郎でもないし一浩は髪が無いし
伊崎右典
マッテマシタ!!ヽ(゚∀゚)ノ
今回も楽しめた
次も期待!もっと読みたい(・∀・)
688 :
名無し募集中。。。:03/11/07 04:23
川VvV从<ニヤリ
(・∀・)イイ!続きに期待します
>一浩は髪が無いし
猫ファソハケーソ( ・∀)人(∀・ )ナカマ〜
693 :
名無し募集中。。。:03/11/07 19:00
保全
Mステ見るべ
695 :
名無し募集中。。。:03/11/07 19:52
保全
696 :
名無し募集中。。。:03/11/07 21:19
hozen
だめだこりゃ、保全
698 :
名無し募集中。。。:03/11/07 23:58
浮上
ドアを叩く音がする。美貴だな。俺はドアを開けた。
「おい〇〇、買い物行くぞ。」
美貴のその格好を見たとき俺は驚かされた。
(言ったら間違いなく殴られる、でも言わなかったら美貴が・・・)
「おい美貴」
「ん、何?」
「お前ズボンのチャック全開だぞ」
「なっ・・・」
後の展開は言うまでもない。
「痛ってーな、人が親切に教えてやったのに」
「〇〇だからこれだけで許すんだよ・・・」「え?何?」
「何でもないよこの変態!」
美貴の顔はまだ赤かった。それにしても痛い。これじゃ買い物より病院が先だな。
ダメだこりゃ
ほぜむ
保全でもしておくか
704 :
名無し募集中。。。:03/11/08 04:04
>>699 タイムリーネタもイイ!! だめだこりゃ保全深夜部隊
705 :
名無し募集中。。。:03/11/08 07:22
保全
706 :
名無し募集中。。。:03/11/08 10:00
hozen
美貴スケも寺田も、じりじりと睨み合いながら相手の出方を伺っていた。
俺の隣に立つ高橋とかいう女生徒は、緊張した様子でそのふたりを凝視している。
美貴スケには剣道はおろか、他の正統派格闘技を習った経験なんてない。
剣道部員の寺田にとって、素人の美貴スケを負かすことなど、赤子の首をひねるよりも簡単なはずだ。
「きぇぇい!」
寺田が気合を発し、後脚をバネにして大きく踏み込んだ。
中段から鋭く振り下ろされたそれを美貴スケは刀で弾き、その弾みを利用して後ろに跳ねた。
寺田は間髪いれずにさらに踏み込み、横へ薙ぎ払う。
美貴スケはそれを逆へ避けてやり過ごす。
そこへ薙ぎ払った刀を脇を締めて素早く下段に引き寄せ、舐めるように寺田が斬り上げた。
そこで初めて、ギンッと刀と刀が交じり合った。
「なかなか身軽やな」
「……」
押し合いを嫌って飛び退った美貴スケを見て、寺田が低く笑った。
美貴スケは無言のまま、少しだけ顔をしかめて、刀の柄を握り直した。
「手ぇしびれたやろ? そんな細腕じゃ結構クるやろな」
……圧倒的に美貴スケの不利だ。
中段に構え直した寺田は、美貴スケを視界の中央に納めて、その全てを飲み込むかのように目を見開いた。
そして突進する。
猪突猛進とばかりに迫ってきた刃を、美貴スケは避けずに正面から受け止めた。
金属音が教室に響く。
押し合いになれば美貴スケが負ける。
「くっ!!」
「むぅっ!」
横に裁いて逃げ、わずかに空いた寺田の脇へ白刃を打ち込む。
それを刀で防いで、寺田はそのまま力強く美貴スケの刀を払った。
美貴スケの体が、払われた刀に釣られて前のめりによろめいた。
パワーの問題だ。
寺田はここぞとばかりに得物を振り上げ、上段から美貴スケの体へ叩き落した。
それを美貴スケが、難しい体勢で下段で迎え撃って刀をはじく。
はじいた反動で、寺田の刀は浮き上がり、美貴スケの刀は大きく退いた。
そこで隙ができた。
寺田ははじかれた刀を大上段まで引き上げ、がら空きになった美貴スケの脳天へと一気に振り下ろした。
俺の隣で、高橋が小さく悲鳴を上げた。
前髪が数本はらはらと落ち、寺田の刀は美貴スケの額に赤い線をひいた。
「……ギリギリやったな」
寺田は大きく息をついて低く笑うと、刀を引いた。
「もうちょっとで頭割るところやった」
「美…」
俺が踏み込もうと思ったその瞬間。
美貴スケの体が爆ぜた。
美貴スケは疾風となって寺田に詰め寄り、スピードを乗せた右ストレートを寺田の左頬にお見舞いすると、
寺田はもんどり打って倒れこんだ。
倒れた寺田の胸倉を掴んで持ち上げ、刀を床に突き刺し、一気に寺田の首元へ――まるで紙断ち器の刃のように、
落とし込んだ。
「………ッ!!」
寺田は驚愕で顔を硬直させたまま、首元でピタリと止まった刃と、美貴スケの顔を見比べた。
呼吸を乱して無言のまま、美貴スケの皿のような眼が寺田を見下ろしていた。
「……ま、参った」
美貴スケが寺田の胸倉を放した。
首元を押さえて、寺田は大きく息を吐き出した。
「あそこで勝負ありやろ」
「剣道の試合ならそうかもね」
額の滲んだ血を振り払って、美貴スケが言った。
「でも、これは喧嘩だから」
「……確かに。あんたの『参った』を聞かずに刀を引いたのは俺のほうやな。
今まで部活動の各方面で実力のあった人らが、アンタに片っ端から負けてた。
俺はおかしいと思っとったんやけど…そういうことか。喧嘩と試合は違う…」
最後まで勝利に噛り付いたほうが勝つ。
寺田は参ったというように笑った。
「あんた、強えぇ女やな。惚れそうや」
「アリガトってだけ言っとく」
「委員長!」
その時になって、風紀委員会の腕章をつけた男子生徒が数名どやどやとやってきた。
「新聞委員会の瀬戸委員長ほか、委員28名身柄を拘束しました」
「み、みんな捕まってしまったんか」
高橋が目を見開いて驚いた。
「みんなお疲れ様。亜弥ちゃんに引き渡せば後はやってくれるから。
生徒会室にみんな連れてちゃって。そこの寺田も」
「了解です」
「委員長、額にお怪我が…」
「ああ、たいしたことないから平気。じゃ、あたしはもう帰るから後よろしく」
「「「お疲れ様でした!」」」
風紀委員会の委員が全員綺麗に頭を下げた。
美貴スケって番長みてーだな。ある意味番長だが。
その番長は、俺の前にすっとやってきて、笑顔を浮かべて見上げてきた。
「美貴スケ…」
「帰ろ」
腕を持って行かれて、美貴スケと俺は新聞委員会の委員室を出た。
しばらく歩いたところで、俺は異変に気がついて立ち止まった。
「やべぇ」
「なに?」
「手…」
握りすぎてて、手が固まっちまってた。
拳が拳骨になったまま、開かない…
「バカ! 握りすぎだよ。心配しすぎ」
「無茶言うな」
アハハと美貴スケが笑い、俺の手を両手で包むと、丁寧にほぐしてくれた。
俺の手は長らく血が通わなかったせいで、真っ白になっていた。
やべ。感覚がないくらい、物凄い痺れてる…。
「こんなにしちゃってさぁ。バカだね」
「……うるせ」
「でも…アリガト。心配かけてゴメン」
「……」
俺の右手をすっと口元まで持ち上げて、
美貴スケは俺の手の甲に、軽く口付けをした。
そしていたずらっぽい視線を送ってきて、にっと笑う。
……感覚ねーのに。
右手の甲が、やけに熱い気がした。
「おおー、ヤってる! ヤってる!」
ダーヤスが言うと卑猥な感じがするのはなんでだろう。
美貴スケが新聞委員会を襲撃した翌日の昼休み。俺とゴマキさんとダーヤスは、
それぞれ昼飯を持ってオンボロ棟の屋上に来ていた。
フェンスに張り付いたダーヤスの足下では、紺野がサッカー部とバスケ部の連合チームを相手に乱闘を繰り広げている。
その喧騒のなかには、紺野のナイト役を仰せつかった和田君と、空手部員らしき姿も見えた。
「お? 和田君じゃない。そっか、空手部は部活絡みで紺野陣営なんだ」
「なんか、みんな楽しそうだよねぇ? 生き生きしてない?」
「うちの生徒会選挙は、委員会や部活動対抗の戦略合戦みたいな面もあるからね。
運動部系は毎年特に燃えてるよね。無駄に」
部活に所属していない俺は全く知らなかったな。
「去年は面白かったよ。松浦は別に有力候補ってわけでもなかったんだけど、
松浦に挑んできたやつらを全部藤本が潰して、その結果生徒会長になっちゃったんだよね」
「へぇ」
「去年の最有力候補は和田君だったのよ。結局松浦に選挙で負けちゃったけどね」
その松浦亜弥と美貴スケは、昼休みに新聞委員会の瀬戸と寺田を尋問するとかで、
昼休み早々教室を出て行ってしまった。
生徒会室にはお説教部屋とかいう、妖しげな道具が揃った薄暗い部屋があると聞いたが……
どうなんだろうな。
「あ」
ヤキソバパンにパクつきながら、空手部チームとサッカー・バスケ連合チームの喧騒をぼーっと見ていたら、
紺野の背後からバスケットボールを投げつけた不届き者がいた。
紺野からは死角になって見えない。
が、紺野と向かい合う位置にいた和田君からは、バッチリ見えていた。
はずなんだが。
和田君はすっと視線を外し、近くにいたサッカー部員の頬を張って、その勢いで地面に倒した。
そうして、投げつけられたバスケットボールは紺野の頭にクリーンヒットし、
投げつけた不届き者は近くの空手部員に殴り倒された。
おかしいな。和田君、見えてなかったんだろうか。
まぁ、一瞬のことだから、叫ぶくらいしか出来そうもないが。
そんなことをぼんやりと考えながら、昼休みは過ぎていった。
放課後、たまたま紺野に会った。
「よぉ」
「ズッコケ先輩。こんにちは」
紺野が丁寧に頭を下げた。
「昼休みに屋上から見てたぜ。頑張ってたな」
「あ……はい。サッカー部とバスケ部が団体戦を申し込んできまして」
「新聞委員会を潰しても、まだまだ大変なんだな」
「はい。でも明日にはマニフェストが公示されますし、多少は沈静化するのではないかと考えています」
「そうなのか?」
「はい。言いにくいのですが、私を標的にしているのは、松浦先輩を恨んでいる部活動が大半なんです。
柔道部はその筆頭でしたね。
松浦先輩と風紀委員会の関係が親密なために、風紀委員会からの立候補者である私が
現生徒会路線を引き継ぐのではないかと危惧してのことだと思います」
人に言わせると、現生徒会は松浦亜弥を最上位に置いた帝政型の生徒会だったらしい。
文句があるヤツは美貴スケ……風紀委員会が制裁を加える。
成績がよくない部活動の予算は徹底的に削り、浮いた資金は体育祭や文化祭に投入した。
おかげで校内の2大行事は過去最大の盛り上がりをみせたのだが、
部活動に所属している一部の人間からは恨まれる結果になったわけだ。
紺野は空手部所属だし、部活動の人間の気持ちが多少分かってるんだろうな。
「ま、じゃあ、騒がしい日々ももうすぐ終わるってことか」
「そうですね」
紺野が微笑んだ。
新聞委員会も潰したし、憂いが無くなったせいだろうか。
初めて俺に向けられたな。その笑顔。
後ろのほうで紺野の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「これからクラスのみんなとカラオケに行くんです」
「そっかそっか。引き止めて悪かったな」
「いいえ。では、失礼します」
「ああ。気をつけてな」
「はい。先輩も」
紺野は再び丁寧に頭を下げて、友達たちの待つ場所へ小走りに駆けていった。
……めちゃくちゃ冷静だけど、紺野も普通の女の子なんだよな。
じゃあ、俺もそろそろ帰るか。
教室に帰ってから、俺は帰り支度をした。
もう教室には誰もいない。遠くの校庭からグランドを走る部活の掛け声が聞こえてきていた。
なんでもない放課後の風景に、なんとなく平和な空気を感じながら、廊下へ出た。
そこで俺はビクっと立ち止まった。
見てはいけないものを見た気がした。
廊下になにか、落ちている。
――まさか。
まさか違うだろと思い込もうとしても、近づくにつれてそれとしか考えられなくなっていった。
廊下に落ちていたのは。
……写真。写真だ。
俺はそのひとつを拾い上げた。
紺野が写っていた。
終わってない。
ちっとも終わっていない。
……まだ終わらねーのか。この生徒会の抗争は…
さっきの紺野の笑顔が、ふっと頭によぎって消えていった。
だめだこりゃ。
ズッコケシリーズキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
719 :
名無し募集中。。。:03/11/08 12:42
この後がかなり楽しみです。頑張ってください。
otu
これからの和田の行動が気になるな
723 :
名無し募集中。。。:03/11/08 18:34
川VoV从 <保全
保全
保全代わりに短編
がちゃっ
美貴「ごめ〜ん、お風呂貸して!」
俺「は?どうしたんだよ?」
美貴「ウチの風呂壊れちゃって…」
俺「いいけど俺の後な。一番風呂最高。」
美貴「え〜?あたしも一番がいい!」
俺「ぜいたく言うな。」
美貴「う〜…じゃあ、一緒にはいろっか。」
俺「えっ…」
美貴「ギャグだよ。この変態!」
俺「お前が先に言ったんだろ!俺も別にお前と入りたくないわ!」
美貴「あはは、じゃ、お先に〜。」
俺「こら、まて!」
とかいいつつその日のお湯にはなぜか長く浸かってしまう俺。
だめだこりゃ。
美貴湯(;´Д`)ハァハァ
このスレにいると改めて思う
ののたんは奇跡
と
びっくりまろん!
>>640の続き。
次の日。
学校はいつもと変わらず平凡だった。ある一点を除いては。
「みきた〜ん、一緒におトイレいこ!」
「あ〜、あたしそういうの苦手なんだよね…」
「うぅ、みきたんひどい…」
「あ〜、分かった、一緒に行くから泣くなって!」
「ほんと?みきた〜ん☆」
「あ、あんた嘘泣きだったね!?」
「えへへ〜。」
「あんたねぇ、泣かすよ?」
「ご、ごめんなさい…」
「分かればよろしい。」
また、昼休みには
「ね〜え?みきたん。一緒におべんと食べよ?」
「うん、いいよ。」
とまあ、こんな風に松浦さんと美貴はいつも一緒にいるようになっていた。
周りの奴らはこの異様なカップリングに驚いているようだ。
まあ無理も無い。よくもまあこんなにいきなり仲良くなったもんだ。
相性がよかったんかな?
あとは、いつもより授業中に松浦さんの視線を感じたような気がした。
うーん、これはひょっとするとマジで惚れられてるんかな?
ここはやっぱ学園祭の企画を一緒に考えてきっかけを作らねば!
つーことで松浦さんを引き連れて美貴のところへ頼みに行くことにした。
昨日は怒ってたけど、まあ大丈夫だろ。二人はかなり仲良くなったようだし。
「なあ美貴。学園祭のことなんだけどさ、やっぱ松浦さんにも一緒に考えてもらったほうがいいと思うんだよ。」
「いいでしょ?みきたん☆」
「いいんじゃない、人数多いほうが楽しそうだし。」
「やったぁ〜☆」
「はいはい、分かったから抱きつかない。」
…あっけない。昨日の怒りはいったいなんだったんだ?
女ってやつぁ分かんないねえ。ああ、あの日だったんかな?
「おい、お前今変なこと考えてたろ?」
「え〜、ほんと?○○君。」
「いいえ、世界平和について考察しておりましたが何か?」
「うそつけ」
「おまえ、超能力者か?いや、もしかして俺がサトラレ?」
「お前のその考えが顔に出やすいのはある意味サトラレ級だな。」
「やっぱり変なこと考えてたんだぁ〜、○○君のエッチ!」
「うっ、…そんなことより学園祭のことを考えようぜ!」
「しかたない、時間が無いから今日はこのくらいで勘弁してやるよ。」
美貴と松浦さんが俺をニヤニヤしながら見ている。
やばい、この2TOP最強かも…
その日の話し合いは面白いように上手くいった。
何せ三人とも全くタイプの違う人間なのだ、
俺には考えつかないような意見が次々と出てくる。
「やっぱ俺は飢えた男子高校生を大漁にゲットするためにキャバクラがいいと思うぞ。」
「あんたねぇ〜、自分の欲望入りすぎ。そんなにキャバ嬢が好きなら自分でなりな。」
「あはは、いいねぇ〜☆でもあたしは美貴たんに接待されたいなぁ〜。」
「あんたら、自分のことばっか考えすぎ。第一、ホストじゃあるまいし何で女の接待しなきゃいけないのよ。」
「…」
「ちょっとあんた、いきなり黙り込んでどうしたのよ?」
「それだ!」
『はぁ?』
美貴と松浦さんがきれいにハモった。
「それだよ!」
「だから、どれよ?」
「男がキャバ嬢して、女がホストすんだよ!」
「それじゃただの色物じゃない!」
「わかってね〜な、女のスーツ姿ってのは結構萌えるんだよ。」
「萌えるぅ〜??」
「それに、女だって男の普段見られないような姿を見れて嬉しいはずだ。」
「そうかなぁ〜?」
「なんか無理矢理な気もするけど…まあ、楽しそうだしいいんじゃない?」
「美貴たんのホストも見たいし☆」
「つーことで、俺らの模擬店は【クラブ禁断】に決定!」
「そのネーミング以外、異議なし!」
「あたしもぉ〜!」
つーことで、俺たちの模擬店の内容が決まった。
「いや〜、それにしても一気に決まったなぁ。これぞまさに【三人寄れば文殊の知恵】って奴だな。」
『サンニンヨレバモンジュノチエ?』
美貴と松浦さんがまた見事にハモった。
そして、二人とも数分間考えた後、いきなり喋りだした。
「わかった、三人一緒にいたら呪われちゃうって事ねぇ〜…呪の血ってこわいよぉ〜」
「あやちゃん違うって。三人いたらもんじゃ焼きにレバー入れるように何がなんだかわからなくなるってことよ。」
「なんもわかっとらんやないかぁ〜!!」
とっつこんだものの、俺はそんな二人のやり取りに思わずキュンとなってしまった。
だめだこりゃ。
736 :
名無し募集中。。。:03/11/09 01:51
ことミックネタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
乙です!続きに期待します
おもろかた
乙れす
738 :
名無し募集中。。。:03/11/09 01:53
藤本チーズの臭いがするらしいぞ
変な臭い
においかいだ時にはいなかったんだから、違うだろ
740 :
名無し募集中。。。:03/11/09 05:00
だめだこりゃ保全早朝部隊
選挙の日だが外食する金が無いよ保全
川VvV从<ハロモニは録画で外出するわ
ミキティと後藤と石川がカラオケしてますた
745 :
名無し募集中。。。:03/11/09 16:08
選挙保全
746 :
名無し募集中。。。:03/11/09 16:46
hozen
選挙スレが怖いので保全
何気にテレパシー(リーディング?)の彼が気になる
749 :
名無し募集中。。。:03/11/09 18:45
>>748 アクセス規制にかかってうPできません…
最後まで書いたのに…
うぷぷぷ!!
751 :
名無し募集中。。。:03/11/09 19:03
752 :
名無し募集中。。。:03/11/09 20:24
川VvV从
753 :
名無し募集中。。。:03/11/09 21:04
hozen
754 :
名無し募集中。。。:03/11/09 21:55
ho
俺は紺野の写真を見つめたまま、しばらく呆然と廊下に立ち尽くしていた。
足元には無数の写真が散乱している。
新聞委員会は潰したはずだ。
しかし、再び盗撮写真のバラ撒きが起きた。
……ということはつまり。
犯人は……別にいるっていうことなのか。
その時、何かがポタリ、と俺の頬をぬらした。
――水?
天井を見上げる。廊下を照らす長方形の蛍光灯が丁度真上にあった。
さらにその上では、天井に張り付くようにいくつかの管が通っている。
視線を下げて廊下をよく見てみると、写真が散らばっている付近でもところどころ濡れていた。
……管から水でも漏れてんのか? オンボロ棟だからしかたねーか。
今度、環安委員長の和田君に言っておこう。
とにもかくにも、風紀委員会に知らせねーと。
「まさか……ね。盗撮も瀬戸の仕業だと思ってたのに」
美貴スケが眉をひそめて耳を掻いた。額には四角いガーゼが貼られている。
美貴スケの話によれば、瀬戸と寺田は尋問を受けて、デマチラシの件についてははっきりと認めたらしい。
しかし、盗撮写真に関しては全く知らないと否定したそうだ。
盗撮の犯人は新聞委員会ではない?
だとしたら、一体……誰だ?
「とにかく整理しないとね。えーっと……何から?」
「まず場所だな。俺が見つけたのは、俺らの教室がある3階の、階段側の廊下」
「同じように生徒に発見されて、連絡をもらって回収したのが1階の廊下。
その後で風紀委員会が校内を見回って見つけたのが、旧棟の2階にある美術室」
「全部で3ヶ所か」
「どれも旧棟だね」
前回は中庭と新棟の昇降口だった。
「写真の内容は? 全部紺野さんなのか?」
「紺野だよ」
写真の束を渡された。発見場所ごとに束ねられて、輪ゴムでくくられている。
俺はその中のひとつの輪ゴムを外し、写真を見ていった。
登校中の紺野、ウサギに餌をやっている紺野、空手の胴着姿の紺野…延々と紺野の日常風景が写っている。
他の束も似たようなものだった。
「トイレ写真とか着替え写真が出てこない分、多少はマシかもしれねーけど。
それにしても気味が悪いな」
「そんな写真がバラ撒かれたら、盗撮犯ブッ殺すよ」
美貴スケが半笑いで言った。こえ。
それにしてもよくこんな……ん?
俺は1枚の写真に手を止めた。
……花屋で花を買っている紺野が写っている。
前回バラ撒かれた時にもあったな。花屋の写真。
写真を探して、前回のものと今回のものの2つを並べてみた。
髪型が違うから、別の日に撮られたものだろうな。
紺野は花好きなんだろうか。花屋によく行くみたいだな。
俺は全部の写真を見終わってから、むぅと腕を組んだ。
「全部きっかり20枚ずつバラ撒かれてるな」
「え? ……あ、ホントだ」
それに、重複している写真がひとつもない。全て違う写真だ。
前回に2ヶ所、今回で3ヶ所。つまり、総計で100枚。これは半端じゃねーぞ。
「次は……バラ撒かれた時間を考えてみる?」
「ああ、それなんだけどな。俺が教室に帰ってきたときには、写真はバラ撒かれてなかったんだ。
それから帰る支度をして、次に教室を出たときにはこれがあった」
「……え? え? じゃあ、アンタが教室に入って、出てくるまでの間に誰かがバラ撒いたってこと?」
「そうなるな」
ほんの4、5分の間に。
「まわりに人は?」
「いなかった。他の教室にも人の気配は無かったぜ。
他の場所は、どっちも放課後としか考えられねーな。それも、ほとんどの生徒が出払った時間帯だ」
美貴スケは眉を寄せて頬を膨らませ、プフゥーと吐き出した。
「なんでバラ撒いているところを目撃してる人間がいないのかな?
美術室はわかるとしても、廊下なんて人がよく通るのに」
確かに…今まで目撃者はいない。
誰にも見られないで写真をバラ撒くことなんて、そんなこと、可能なんだろうか。
翌日の朝、美貴スケはいつになく早い時間に登校していった。
HR前に風紀委員会で盗撮写真の対策会議を開くんだそうだ。
というわけで置いてけぼりを食らった俺は、
いつも通り早くもなく遅くもない時間に校門をくぐった。
昇降口で上履きに履き替えたところで、梯子を担いだ和田君に出会った。
和田君は委員会の活動中のようで、『環安』の腕章をつけた生徒を数名引き連れていた。
「オッス」
「やぁ、おはよう。君は……藤本くんの」
俺の名前は覚えられていないらしいな。まぁ、いっか。
「朝からすごいもん担いでるな」
「ああ。今は地震対策月間なんだ。
危険な場所がないか、委員会で校内を点検して回っているんだよ」
風紀委員会がケーサツなら、環境・安全委員会は消防隊とかレスキュー隊みたいなイメージだな。
防災訓練もこの委員会の管轄だった気がする。
……あ、そういえば。
「旧棟3階の、階段近くの天井の管から水が滴ってたぜ」
「……本当かい? それは職員の方と相談しないといけないな」
和田君は顎を撫でて、それから思いついたように声を潜めて言った。
「そういえば……また紺野くんの写真がバラ撒かれたらしいね。今朝藤本くんに聞いたよ」
「ああ…」
「全く、ひどいことをする人もいるものだね。紺野くんが心配だ」
和田君は凛々しい眉をひそめた。
和田君も紺野のこと、結構気になってるみたいだな。
そして三度目の写真のバラ撒きは、学校が始まって早々に起きた。
今度は、1限が終了した休みの時間に発見された。
……ということはつまり、バラ撒かれたのは、1限の授業中ということだ。
場所は、1年生の教室がある新棟の2階の廊下。
「1限に授業サボってた人を調べてみるしかないか」
報告を受けた美貴スケは、風紀委員会の生徒にそう指示を出した。
相当イライラが溜まってきたようだ。
美貴スケはその後、授業中もずっと眉間にシワを寄せて、腕を組んで考え事をしていた。
放課後、紺野に会った。
「よぉ」
「ズッコケ先輩。こんにちは」
昨日もこんなんだったな。
違うのは、昨日はあんなにのんびりした雰囲気だったのに、今日は一転して重苦しい雰囲気であることだ。
「写真。……大丈夫か?」
「あ……はい。あまり気にしていません。逆に同情票が集まるのではないかと思っています」
したたかだな。そう装ってるだけかもしれねーけど。
「ところで、和田先輩を見かけませんでしたか?」
「和田君? いや、見てねーな。なんかあったのか?」
「いえ、あの。昨日、和田先輩にハンカチをお借りしたんです。
それをお返ししたいのですが、これから選挙放送の収録で、すぐに行かなくてはいけないんです」
「そっか。なら俺が渡しておこうか?」
「……え。いいんですか?」
どうせ暇だしな。
「多分、和田先輩は環安委員会の活動で校内を巡回していると思います。
それが終わったら、たいてい空手部の午後練に顔を出されるので、
空手部の部室に置いておいて頂ければ、和田先輩もすぐ分かると思います」
「わかった。空手部の部室な」
紺野から、ハンカチの入った袋を受け取った。
受け取ったものの、俺ははたと困った。
空手部の部室ってどこだったっけか。
確かオンボロ棟3階の、階段を挟んだ向こう側一帯が部活部屋だった気がする。
行ってみると、部屋のひとつに「空手部」と書かれたプレートが貼られていた。
プレートはところどころ欠けていた。だいぶ古びてるな。まぁオンボロ棟だから仕方ねーか。
一応ノックしてみたが、人が居そうな気配は感じられない。
鍵は……掛かってないな。俺はガラガラと扉を開けた。
「ちわーっす…」
部屋の中は薄暗かった。
いくつかのロッカーとダンボール、そして雑巾やらモップやらが散乱している。
窓からは新棟の屋上が見えた。
……なんだかあまり使われてるように見えないな。
が、その中に異質なものを発見した。冷蔵庫だ。
すげー。なんで冷蔵庫なんてあるんだ。
空手部はだいぶ成績が良いらしいから、部の予算が余ってるのかね。
俺は興味の赴くまま、冷凍庫付きのこじんまりした冷蔵庫を開けてみた。
……なんにも入ってねぇな。
上の冷凍室を開けてみた。
氷だけか。つまんねーな。
さて…どうすっかな。どうもここ、人が使っているようには思えないが……
……あ。
そういえば、新棟の地下に武道場が出来たんだっけか。
それにあわせて、空手部の部室もそっちのほうに移ったのかもしれない。こっちは多分、移転前の旧部室だな。
しょうがね、新棟のほうへ行くか。
冷蔵庫の前から立ち上がると、ふと1つの机に目が留まった。
入り口からはロッカーに隠れて見えなかったんだな。
大きな机で、電気スタンドのほか、国語辞典やら漢字字典やら英語の辞書が立てて置いてあった。
他にも有名大学の赤本や、大学入試用のテキストが綺麗にまとめて置かれている。
誰かここで勉強でもしてんのか?
というか、多分和田君だろうな。
人が来ないから、集中して勉強するにはいいのかもしれない。俺には耐えられないが。
机の中央にはノートが開いて置かれていた。
近くにシャーペンも転がっていた。もしかしたら、和田君がさっきまで居たんだろうか。
………?
開きっぱなしになっていたノートの影から、なにかが顔を出していた。
なんだろう。
俺は自然に興味が沸いて、それをノートの影から引きずり出した。
「…………あ?」
俺は目をみはった。
……ありえねぇ。
ありえねぇ。
ありえねぇぞ。
なんでこれが、ここにあるんだ!
俺が手に取ったそれは、はがき大のサイズの写真だった。
そしてそこでは、
フェンス越しに青い空をバックにして、紺野が誰かに向かって微笑んでいた。
俺が紺野の笑顔を初めてみたあの写真と、全く同じものだった。
空手部の旧部室を出て、俺は足早にそこを去った。
……俺にはある仮定が浮かんでいた。
これまでの和田君の行動と、和田君のポジション。
空手部の旧部室にあったもの。
そしてあの写真。
これらをよく思い返してみると、そうとしか考えられない。
しかしこれは、だいぶ大胆過ぎる考えだった。
だから俺は、紺野に相談することを躊躇した。
……でも。
他ならぬ被害者であり、和田君のことを慕っている紺野だからこそ。
話してみるべきだと思った。
「そんな…ありえません」
紺野が首を振った。
「でも、説明がつくだろ。
新聞委員会を潰しても、未だに写真がバラ撒かれている理由。
この写真が空手部の昔の部室にあった理由。
……人の目に触れずに、写真をバラ撒くことができる理由」
「和田先輩はそんな……そんな人ではないです」
真摯な目で俺をまっすぐ見上げて、紺野が否定した。
……気持ちはわかるけど…な。
「そう思うなら、説明してみてくれ。一体、写真をバラ撒いてる犯人は誰なんだ?
そしてそいつは、誰にも見られずに――
いや、誰にも怪しまれずに、一体どうやって写真をバラ撒いたっていうんだ?」
紺野は口をつぐんでうつむいてしまった。
俺は続けた。
「もし、俺の説が間違っていると思うのなら。むしろ俺に協力して欲しい。
和田君に直接聞いてみれば、俺が間違ってるってことになるかもしれない。だから……」
「わかりました」
うつむいていた紺野が顔を上げた。
「先輩に協力します」
「……サンキュ。紺野さん」
「でも……私は信じられません。和田先輩は、心・技・体を全て揃えた、とても立派な方です」
そう言い切る紺野の瞳は揺れていて、どこかすがるような必死さが見え隠れした。
「あの人は、私の目標なんです」
……俺は胸がチクリと痛んだ。
多分、俺の考えは当たっていると思う。
でもそれを問い質して、認めさせることは、果たして正しいことなのだろうか。
……紺野にとって、プラスになることなのだろうか。
色々なことを考えすぎて、頭が混乱してきた。
茫漠とした思考の中で、ただひとつ確かなことは。
美貴スケの眉間にこれ以上、シワを増やすわけにはいかねーという、
俺のバカっぽい使命感だった。
だめだこりゃ。
768 :
名無し募集中。。。:03/11/09 22:45
作者さんお疲れさまです。面白い展開になってきました。
短い間隔で乙です
しかしズッコケはホントに気が多いな
保全
ってか最近このスレ過疎化してないか?
771 :
名無し募集中。。。:03/11/10 00:30
ズッコケ来てた、乙
>>770 いや、落とさないだけでも立派だと思うよ・・・
自分が保全してるスレ落ち捲くってます。・゚・(ノД`)・゚・。
なんか2時間程度でdat落ちするらしい
保全ののたんは奇跡
775 :
名無し募集中。。。:03/11/10 01:35
短編ショート書く作家さんが減ったからじゃないかな
>>770
ショート書いてくり
ぶっちゃけ長編読んでるヤシどのくらいいる?
ズッコケとか長くない?
ノ
てか、このスレがあまりにもズッコケマンセーだから新しい人は書きにくいと思う。
まあ俺もズッコケ大好きだけどなw
>>770 ちゃんと読んでるよ
ただミキティマターリスレにハマッてたのは事実w
ごめんなさい
なんだいっぱい人いるじゃんw
おれは超能力が一番好きだ。
次短編。
長編はそれぞれ味があって(・∀・)イイ!!
「萌え」でいったら短編だな。
藤本視点のやつ好きでしたね
短編も好きだよ
全部好きだよ
みんなそれぞれの面白さがある
_| ̄|○
とにかくここは、かなりの良スレってことだ。
それでいいじゃないか・・・作品もとても魅力的だ。
俺はこのスレが続いていくことを願うぞ・・・紺野さんかわいいな。
職人さんたちガンガレ
792 :
名無し募集中。。。:03/11/10 10:40
浮上させておくか
793 :
名無し募集中。。。:03/11/10 11:14
ho
出かけ保全
保全
期待保全
797 :
名無し募集中。。。:03/11/10 15:56
hozem
最近、ズッコケシリーズは事件モノが多いみたいですね。
たまには最近でいうところの『指輪編』みたいな読んでるこっちが顔真っ赤になるようなシリーズも見たいですね。
ゴマキさんとのお礼デートもまだだし。
でもその前に紺野の事件だな。あ〜続きが気になる!
あと今週のハロモニの新コーナーを見て、真っ先にこのスレ思い出しました。
あれで3人の制服が揃ってたら美貴スケ・ゴマキさん・石川さんのとある風景って感じがしたのに・・・。ほじぇん
799 :
名無し募集中。。。:03/11/10 17:17
ほぜん
シグマリオン3&@FreeDでmopera使ってる作者だがmoperaは永久規制になるっぽい…
別のプロバイダ探そう…
超能力は完結と新しく猫物も作ったのに…
短編ならまだしも長編は携帯からじゃどうすることもできん…
愚痴でごめんね…
moperaってoperaベースのヲタ専用ブラウザかと思った
雨の朝
今日はいつもより1本早い電車で学校に来た。
教室から昇降口が見える。
傘の花が咲いている。
その中をかき分けて通りぬける人影一つ。
あたしのおさな馴染みの○○。
なんであいつは傘さしてないんだ?
どうせオヒトヨシのあいつの事だ。
『困ってた人に傘あげたー』
とか、言うんだろうな。
しょうがない…帰りは一緒に帰るか。
雨…止むなよ。
なんで美貴は先に行っちゃったんだ?
ったく…
あれ?あの人どうしたんだ?
いいんですよ。どうせすぐ電車乗るんで。使ってください。
駅から学校まで近いんで。ホントいいんで使ってください。
あっ!電車来るんで、じゃあ。
よし、学校までダッシュだ!
短編でした。
イイヨイイヨー
>>802-
>>803 いいねー
職人さんのもいいけど
たまにはこうゆう短編もいいねー
そいえば前スレの187氏はまだいるんですか?
文化祭のとかかなり感動したんですけど、もっと書いて欲しいです
808 :
名無し募集中。。。:03/11/10 21:25
hozen
川VvV从<良スレ保全するのだ!
「○○、おなかすいたー」
「・・・」
「おなかすいたー、おなかすいたー」
「・・・」
「おなかすいた、おなかすいた、おなかすいたー」
「あー、もう、わかったから、で、何が食べたいんだ?」
「焼肉!」
「また焼肉かよ、昨日も食べたじゃん」
「焼肉、焼肉!」
「本当に焼肉好きだな美貴は」
「○○の方が好きだけどね」
「えっ、俺は別にそこまで焼肉好きじゃないぞ」
「・・・そういう意味じゃないから」
「ほかにどんな意味があるんだ?」
「ばか・・・」
だめだこりゃ
812 :
名無し募集中。。。:03/11/11 00:23
814 :
名無し募集中。。。:03/11/11 02:24
おやすミキティ
816 :
名無し募集中。。。:03/11/11 04:35
だめだこりゃ保全深夜部隊
保 全 !
818 :
名無し募集中。。。:03/11/11 07:55
だめだこりゃ
819 :
名無し募集中。。。:03/11/11 09:31
保全
「おい○○、今日ウチで晩飯食べていかないか?」
突然の誘いに驚いて戸惑っていると美貴が続けた。
「今日はお前の家の両親戻らないんだろ?実はうちの親も今週から旅行に行ってるんだ」
「ああ、そういやそうだった。一人で飯食うのもなんだし・・・って誰が作るんだよ?まさかお前が?」
「まさかって何?大丈夫、なち姉が帰ってきてるから」
「まじか?なつみさん帰ってるのか?」
なつみさんとは美貴のお姉さんである。しかもすげーかわいい。美貴もまあまあだがなつみさんと比べると・・・
「ちょっとあんた、何考えてるの?」
「ん?い、いや何でもない何でもない(こいつ人の心読んでるんじゃねーの?)」
「あとね、愛が友達連れてくるみたい。松浦亜弥って子でウチにはしょっちゅう来てるの」
「ふーん、ん?ちょっと待て、もしかして男って・・・」
「ああ、そうだね、アンタだけだよ」
「マジか?(でもこれはめっちゃラッキーだ!)」
「・・・おい、大丈夫か?顔が危ないぞ」
すでに顔が緩みっぱなしの俺、だめだこりゃ。
そしてお楽しみの時がやってきた。
「こんにちはー」
「あっ、○○君じゃない!久しぶりー。ねえなっちのこと覚えてる?覚えてる?」
「当たり前じゃないですかー(やっべえ、すっげーかわいい)」
なつみさんの容姿と行動は年上というイメージを払拭させる。
そうこうしていると愛ちゃんが帰ってきた。
「ただいまー。今日は亜弥ちゃんも一緒やよ〜。」
「どおも〜、松浦亜弥でぇ〜す」
元気そうな子だ。それにしてもなぜ愛ちゃんだけこの一家の中で訛っているのか、未だに謎である。
「あ、そうそう○○、あといとこの梨華ちゃんと絵里ちゃんも来てるよ。それからなち姉の友達の矢口さんって人も来るみたい」
(おいおい、俺ってもしかしてかなりラッキーボーイ?)
などと考えていると二つの足音がしてきた。
「美貴ちゃんのお友達の○○君?美貴ちゃんのいとこで石川梨華って言います」
「美貴さんのいとこで亀井絵里って言います」
おいおい、こりゃまたかわいい子が二人も・・・俺、正気でいられるのか?
夕食は何事も無く平和に・・・過ごせるはずがない。石川さんが問題発言をしてしまった。
「ねえ○○君って彼女とかいるの?」
「いや、いないけど」
「そっかぁ、じゃあお友達になりましょ。実は私も彼氏とかいないの」
ご飯を食べていた美貴の手が止まった。
「石川さん、やめといた方がいいですよ。実は美貴姉ちゃ・・・」
「愛!」
美貴が愛ちゃんを睨み、両手でテーブルを叩きつける。
「ご、ごめんなさい」
愛ちゃんが謝っている、何なんだよ一体。
石川さんは状況を理解したらしく俺に話しかけた。
「負けないわ。○○君、悪いとこがあったら教えて、ね?ね?」
俺が石川さんに惑わされていると美貴が呟いた。
「バカ」
「え?」
「うるせーバカ、もう知らない!」
そう言って美貴は二階に上がっていった。俺何か悪いことしたか?その時の俺にはさっぱり分からなかった。
俺がすべてを理解できたのは次の日、美貴と一緒に帰った時だった。
だめだこりゃ
824 :
名無し募集中。。。:03/11/11 13:37
登場人物とその設定が思いついたので勢いで書いたらしめくくり方が分からなくなってしまいました。
設定としては主人公(個人的には一人っ子という設定です)
幼なじみ・美貴
美貴の姉・なつみ
美貴の妹・愛
美貴のいとこ・石川梨華、亀井絵里
なつみの友達・矢口
愛の友達・松浦亜弥
と、こんなとこです。
続きも一応考え中ですが、PCが当分使えそうにない状況にあるので厳しいと思います。
身勝手だとは思いますが続きを書いてくれる人がいたら大歓迎です。