自治スレッド。。。4

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 2002年、某月某日、某会社のトイレにて・ ・ ・ ・
同僚A「あー、面倒くさい。課長がさぁ、今日中に顧客のデータベースまとめろって。」
同僚B「マジ?災難だねー。つーかさ、今日どうすんの?ほら、○○商事との合コン。」
同僚A「うーん、ま、大丈夫だと思うけどさぁ」
 その時、トイレのドアが開き鬱ぼんが入ってきた。
同僚B「あ、いずみじゃん。2日前から休んでたでしょ、どうしたの?彼氏と旅行でも行ってたとか(笑
    今日合コンあるけど来る?」
同僚A「いずみは来ないっしょ(笑。だっていずみは彼氏とラブラブだもんね、会社が終わるとすぐ帰るし
    彼氏とでも会ってるんじゃないの?でしょ?毎日彼氏に会いにすぐ帰ってるんでしょ?」
鬱ぼん「・・・・・・・・・・自治だよ。。」
同僚A「え?何?ジチ?何それ」
鬱ぼん「・・・・・・・・・自治は自治だよ。。大事なことなんだよ。。」
 鬱ぼんは手を洗いながらそう言うと、足早にトイレから出て行った。
同僚A「・・・何なの一体??」
同僚B「さぁ?あの子さー、前から少し変だったじゃん。ついに壊れちゃったんじゃない(笑」
同僚A「ちょっとやめてよー!怖いじゃない」
同僚B「あはは、冗談だってば。それよりこの髪型どう?合コンがあるから張り切っちゃった!」
同僚A「いいんじゃない?てゆーかさぁ、昨日の月9見たぁ?あのドラマっていつも・・・・・・・・」
 同僚たちは鬱ぼんの変化に大して気にとめるでもなく、他愛のない話にあけくれるのであった・ ・ ・
 同日、職場・ ・ ・
課長「北村君、ちょっと来なさい。今日も遅刻じゃないか。何やってたんだ?最近たるんどるぞ!」
鬱ぼん「ほぇ?。。自治だよ。。」
課長「何?ジチ?何言ってるんだ!ワシが新入社員の頃はなぁ、毎朝6時に出社していつも・・・・」
鬱ぼん「その話は5回目れす。。コピペ荒らしは削除対象だょ。。」
課長「ちゃんと聞きなさい!たるんどるから遅刻なんかするんだ!」
鬱ぼん「さっきも聞いたよ。。マルチポストうざい。。」
課長「な、な、何だと!?マルチ??それより上司に向かってその口の聞き方は何だ!」
鬱ぼん「あぅあぅ。。粘着アンチうっとうしい。。」
課長「ムムム、そうだ。この報告書は何なんだ!こんな無茶苦茶な報告書を見るのは初めてだ!」
報告書
今回開発した電動耳掃除機は、、とってもお客さんに喜んでもらえてるよ。。
この商品はウチの主力商品になるのは間違いないっぽい。。
会社のメールにいろんな年齢層のヤシから喜びの声が届いてますた。。
@   @
( ´д`) <モウダメポ。。
                            担当者:鬱ぼん
課長「これは一体何なんだ!?まず、文章が無茶苦茶だ!それにこの句読点は変だぞ!」
鬱ぼん「変ぢゃないよ。。キャラだよ。。」
課長「何がキャラだ!ふざけるな!それに担当者のところの『鬱ぼん』てのは何だ!?」
鬱ぼん「コテハンだよ。。」
課長「なんだそりゃ?ちゃんと北村と書きなさいと何度も言っただろう・・」
鬱ぼん「個人情報を書き込むほど厨房じゃないもん。。それに『鬱ぼん』に愛着を持ってるし。。」
課長「一体どうしたっていうんだ・・・うーむ、しばらく・・・・・・・・・休職するか?」
鬱ぼん「あぅあぅ。。アク禁れすか。。はぅ〜。。」
課長「あ、あぁ、まぁ、なんだな。一回精神科医に診てもらいなさい。しばらく休養したほうがいい。
   うむ、そうだな。今日のところはもう退社しなさい。」
鬱ぼん「はぅ〜。。落ち。。」
 鬱ぼんはそう言うと、ふらふらと会社を出て行った。
 課長はしばらくその場に固まったままだったが、しばらくすると人事部に電話をかけ、
 新しく社員を募集するように伝えたのだった。
 課長にはなんとなく北村という社員がもう二度と出社してこないことがわかっていた。
 課長は見たのである。
 鬱ぼんが報告書を受け取るときに、服の袖が本棚に引っかかりめくれあがった瞬間
 真っ白な腕に真っ赤なインクで書き込まれた「自治」という大量の文字を・・・
 2時間後、自宅・ ・ ・
 鬱ぼんは帰宅するなり服を着替え、Tシャツと短パン姿になった。
 しかしその姿は『異様』そのものである。なぜなら彼女の両腕、両足ともに真っ赤なインクで大量に
 『自治』という文字が書き込まれているからである。
 彼女はPCの電源を入れ、モー板を覗いた。
 そこに映されているものは、いつものようにコピペ荒らしが連発するモー板であった。
鬱ぼん「はぅ〜。。ちょっと目を離している隙に。。うぅ。。」
 鬱ぼんはそう呟くと、顔を真っ赤にして削除依頼を行い始めたのである。
 それでも鬱ぼんは少し嬉しかった。もう会社なんか行かなくていい、これから思う存分自治が出来るからである。
 3日後、自宅・ ・ ・
 鬱ぼんは2日間寝ずに自治を行っていた。しかし、モー板の厨房はそんな彼女の努力も知らずに荒らし続けている。
 鬱ぼんもついに力尽き、PCをつけたまま寝てしまっていた。もはや彼女には時間の感覚などなかった。
 鬱ぼんは起きるなり即座にPCを見た。スクリーンセーバーが起動している。
 慌ててF5キーを押し、更新してみる。
鬱ぼん「あぅあぅ。。私が寝てる間に住民が実況しちゃったみたい、、うぅ。。」
 鬱ぼんは酷く落胆した。会社に行かずに1日中自治が出来る身になっても、モー板の厨房を駆除できなかったからだ。
鬱ぼん「うぅ。。寝たのがいけないんだ、、こんなんじゃ駄目。。寝ちゃ駄目。。」
 鬱ぼんはまた自治に勤しむ。それが同じことの繰り返しであっても彼女にとって何の苦痛もない。
 もはや、呼吸をするのと同じような感覚なのだった。
 7時間後、自宅・ ・ ・
 必死で自治を行う彼女にまたしても猛烈な睡魔が襲ってきた。彼女は3日で60時間以上もPCと向き合ってるのである。
 頭はフラフラする。眩暈がする。指が痛い・ ・ ・
 「寝たら駄目。。私がいないと厨房がまた荒らしちゃうもん。。」
 彼女は朦朧とする意識の中、側にあったカミソリで自分の足に書かれた『自治』という文字を強くなぞった。
 『グ ググ ザク ザク グググ       ポタッ ポタッ』
 血が溢れてくる。深さ1センチ程切り込んだだろうか。
鬱ぼん「うぅぅ。。ぐぐ。。少し、、少し、、眠気が覚めた、、かな。。」
 さらに自治にまい進する鬱ぼん。しかし睡魔がまた襲ってくる。
 右足、左足、右手、左手・・・睡魔に襲われる度に真っ赤なインクで書かれた『自治』という文字をカミソリで強く彫り込む。
 Tシャツも短パンもPCの画面もキーボードも、彼女の血飛沫で真っ赤に染まっている。
 床を見ると1uほど血溜りができていた。
鬱ぼん「・・・・・・・自治。。・・自治。。・・・」
 彼女の意識が白濁し始めた、ふわふわと宙に浮いてるような気さえする。
 何だかとても気持ちいい。ぼんやりと初めてモー板に来た日のことを思い出していた。
鬱ぼん「えへへ。。守らなきゃ。。自治しなきゃ。。ふふふ。。」
 ついに彼女は自分の体を支える力を失い、キーボードの上に突っ伏してしまった。
鬱ぼん「モー板の中に入りたいなぁ。。モー板の中に入って、、永遠に自治したいなぁ。。・・・・・・・・・」
 鬱ぼんは絶命した。顔には血がたくさん付着しているものの、仏のような笑みを浮かべたまま・・・
 1週間後、健太宅・ ・ ・
健太「かーちゃん、俺、部屋にいるから飯が出来たら呼んでよ」
 健太は母親にそう告げて部屋に篭るとPCの電源を入れ、モー板を覗いた。
健太「糞スレは昨日立てたから今日は無理だな。マジヲタでもからかって遊ぶか。」
 健太は適当なファンスレに目をつけると連続コピペで荒らし始めた。
健太「アーヒャッヒャヒャ〜こいつら怒ってやんの!これだからマジヲタ虐めはやめらんねぇぜ!」
 健太は嬉しそうに手動コピペを繰り返している。その時、かすかに声が聞こえたような気がした。
健太「ん?なんだ?」
 健太はスピーカーに目をやった、音はそこから聞こえてくるらしい。
謎の声「荒らしちゃ駄目だよ。。自治だよ、、自治は大事なんだよ。。」
 健太は少し驚いてモニターに目を移す。そこにはさっきまであったモー板ではなく
 真っ黒な背景にぽつんと女性が立っている映像が映し出されている。
健太「な、何だよ一体?!ん?画像か?いや、動いてるな・・・動画か?」
 画像の中の女性はゆっくりと近づいてくる。やがて画面のすぐ側まで来た。
 健太は女性が血まみれなのに気付いたが、健太は凍り付いているので動けない。
 血まみれの女性は血まみれの腕を振り上げると画面に向けて一気に伸ばした。
 「バーーーーーーーーーン!!!!」
 モニターから腕が飛び出してきた。
健太「ぐわぁぁあああああああああああああああああ!!!」
 腕はPCの前に座っていた健太の首を物凄い力で捕まえ、締め上げた。
 健太は必死で振りほどこうと、その腕を押さえるがビクともしない。
 よく見るとその腕は真っ赤に血塗れており、多数の『自治』という文字が彫り込まれている。
健太「う・・・ぐ・・・・・・・・うぅ・・・・・・・」

2時間後、健太部屋・ ・ ・
健太の母「健太ー、晩御飯できたよー。  健太ー、いるんでしょー。」
 返事はない。部屋には冷たくなり、硬直が始まった健太の死体が無残に転がっているだけなのであった。
鬱ぼんは死んでもその魂はモー板に残った。彼女が一番好きな場所、その場所を守るために。
彼女は幸せだった、24時間モー板を監視できる。24時間モー板とともにいれる。
鬱ぼんの魂は今日もモー板に書き込み続ける・ ・ ・ ・ ・ ・
                              〜終〜