【鬼畜】モーニング奴隷島

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1朝の放送
さてと奴隷生活もあとわずかです。
最後の力ふりしぼって、モーニング奴隷島での生活を
乗りきるよう。

働かんかい〜〜〜!!オラオラ!!
2名無し募集中。。。:2001/04/27(金) 00:41
1は田中真紀子。
3たけし:2001/04/27(金) 00:43
ぶすはしねっつ−の!
4安倍なつみ:2001/04/27(金) 00:44
ここに流されてから、10キロも痩せただヨ…。
5飯田圭織:2001/04/27(金) 00:46
もうすぐ東京に帰れるんだ、みんな頑張ろう。
6矢口真里:2001/04/27(金) 00:48
朝は不味いこっぺパンとスープだけ、
そして農作業、、もう限界。
7石川梨華:2001/04/27(金) 00:51
矢口さんはまだ良いですよう。
私なんて誰よりも早く起きて乳搾りさせられて、馬糞のかしたり
もうイヤです。
8保田圭:2001/04/27(金) 00:53
あんたら農作業でごたごた言ってんじゃないわよ!
うちらは石切よ、石切!ダイナマイト使ってんのよ!
1日に一人は必ず死ぬの!、次は私の番かも知れないのに!
9加護亜衣:2001/04/27(金) 00:58
そうそうお墓にお花を供えなきゃ。

中澤さん、安らかに眠ってください…
10吉澤ひとみ:2001/04/27(金) 01:01
中澤さんは、監守に立てついて、独房入れられたり
その後は、最も危険な作業をさせられて…
巨大な岩が落下、体を潰されて…
11保田圭:2001/04/27(金) 01:04
それ以上言わないで!
私が岩を吊り上げるロープの結びを甘くしたのが
裕ちゃんが死んじゃった原因なんだから!私のせいなのよ。
ああ、今でもあの瞬間が目に焼きついている…(ワナワナ
12石川梨華:2001/04/27(金) 01:09
あれはまだこの島に送られて、3ヶ月たったぐらいでした。
りんねさんと牛の餌やりをしていたら、
中澤さんが亡くなったとの知らせが届いて
でも保田さん
もしかして、わざとやったんじゃないんですか?
13安倍なつみ:2001/04/27(金) 01:14
今日は日差しが強いね、さっきから頭がクラクラする。
こんな時は、東京でのあの輝いていた日々を思い出して…
がんばって、農作業するべさ。
14りんね:2001/04/27(金) 02:50
梨華ちゃん、りんねの名前出してくれてありがとう。
りんねは農作業なんていつもやってたから、
別にいつもと変わらない日々だったなあ…。
15飯田圭織:2001/04/27(金) 02:52
なっち、この大根、根をはってて抜けないよ〜
手伝って!
16安倍なつみ:2001/04/27(金) 02:54
やだなあ、圭織〜なっちも疲れてるんだよ〜
よっこいしょ!ありゃ〜ホント重いよこれ。
17飯田圭織:2001/04/27(金) 02:55
後藤のせいだ!アイツの仕業だよ。
18安倍なつみ:2001/04/27(金) 02:55
圭織止めようよ、ごっちんの話は…
19加護亜衣:2001/04/27(金) 02:58
後藤さんは、今も東京でお仕事をしているのです。
えっ?なんでわたしたちだけ、島流しにあったのって?
理由聞きたいですか?
20石川梨華:2001/04/27(金) 03:04
それは数年前にさかのぼります。
私達モーニング娘は後藤真希さんのソロ転向による脱退により、
いろんな力を失っていました。
そして、CDも売れなくなり、解散を余儀なくされていたとき。
中澤さんの復帰でもう一度巻き返しを図ろうとしていました。
しかし、結局同じでした。
その時、私達の元にやってきたのがこのお話でした。
21保田圭:2001/04/27(金) 03:08
そうアメリカの番組「サバイバー」の日本版。
昔の電波少年のやらせ無しバージョン。

人気番組「サバイバー」内で島に送られ、奴隷的生活を強いられる
という企画が私達の元に…
22矢口真里:2001/04/27(金) 03:13
企画の内容はこうでした。
私達が無人島に送られ、自給自足の生活をし。
1年以内にピラミッドを建設するという企画。
私達はやろうかどうか悩み、話し合いました。
23安倍なつみ:2001/04/27(金) 03:18
そのとき裕ちゃんが言ったの、
「なんで後藤だけあんなに売れてんねんと、
あんたら悔しくないんか!」と
私達は「サバイバー」が人気番組であることは知っていたし
これに出れば再び、返り咲けると。
それに全てを賭けるという決断をしたんです。
24吉澤ひとみ:2001/04/27(金) 03:21
そしたら本当にやらせ無しだった(笑
中澤さん、死んじゃったし…
25加護亜衣:2001/04/27(金) 03:26
奴隷は他にもいるんです。
石切場は危険だから作業はサバイバーに応募した
素人さんがやってくれるの。
素人さんて娘のファンだった人たち。
でも石切場でしか作業させられてなくて、保田さんとよっすぃーしか
その人たちと顔合わせていないの。
26吉澤ひとみ:2001/04/27(金) 03:32
奴隷は飯田さんのファンとか色々。あんなの危なくて
みんなには会わせられない。
がんばってやるのは良いんだけど、1日一人ずつ死んじゃうから
次から次へと来る。
中澤さんが死んで石切場にはもう一人こっちに回されて
あさみが来た。
だから、保田さん、あさみ、吉澤の3人で危険な石切場を担当しているの。
27保田圭:2001/04/27(金) 03:40
さあ、ピラミッド完成まであとわずかよ〜
頑張るの!
28辻希美:2001/04/27(金) 04:24
仕事はきつく、食事は徐々に減らされていき・・・
私たちは生き残るため、次第に本性をむきだしにするようになっていったのです。
食料の奪い合い、盗み、暴力・・・
友情の欠片もないのです。

最近、亜依ちゃんが体調を崩しています。
もちろん、だからといって仕事を休むことは許されません。
今日の作業で、二度亜依ちゃんは倒れました。
看守気取りのスタッフたちは、情け容赦なく鉄の棒で亜依ちゃんを
殴りつけました。
最初に倒れた時、ののはうっかり亜依ちゃんを庇ってしまいました。
スタッフに逆らった罰として、鞭でさんざん打たれました。
・・・二度目に倒れた亜依ちゃんを、ののは見捨ててしまったのです。
きっと神様は、こんなののをお助けにはならないでしょう。

いつか娘のみんなで見た夕陽を、ののの傷だらけの頬や手は覚えていました。
とても不思議でした。なんだか初めて・・・生まれてはじめての瞬間みたいだったのです。
あのあたたかさ、あのまぶしさ・・・
その時、ふと思ったのです。
きっと、別の世界があるって・・・
変な気持ちだった。急に体が軽くなって、走り出したいような気持ちになって。
とうとう心を病んでしまったのでしょうか?
倒れる直前、亜依ちゃんが言いかけた言葉が気になります。
「のの、あんたはちっともおかしくないで。それはきっと・・・」
29加護亜依:2001/04/27(金) 04:29
のの、あんたはきっと・・・
きっと、本当の未来を見ているんや。
きっとね、赤ちゃんのように・・・
赤ちゃんは生まれたばかりで、真っ白やんか
なんにも染まっちゃいない。
ソロ、独立、ヒットチャート、印税、人気・・・
ゴチャゴチャと手前勝手なもん、何も身につけちゃおらへんもんな。
のの、あんたの見た別の世界こそ・・・
ほんとうの
30奴隷島スタッフ部屋:2001/04/27(金) 04:46
土屋P「転属願いが却下されたそうだな?」
菊地P「僕はこの仕事に向いていない」
土屋P「そうかもな。弱気なやつめ」
菊地P「ソロデビューできなかった娘たちを、僕たちが劣等人間と決めつける権利があるのか?」
土屋P「あるとも! 俺たちは敏腕プロデューサーだからだ!」
菊地P「なぜ敏腕だと分かるんだッ?」
土屋P「きさま一流業界人としての誇りを持たんのか? 業界人としての商業文化を勉強し直せ!」
菊地P「それだよ・・・業界、業界、業界。商業主義、そういう意識が良くないと思わないのか?」
土屋P「何が悪い? お前だって業界のトップ近くにいる。おまえはテレビ人をやめるわけにはいかんだろう?」
菊地P「・・・・・・」
土屋P「きくちよ、会社という会社がノルマを掲げているじゃないか。誇らしげにな」
菊地P「・・・・・・」
土屋P「業界人としての自覚がなければ身を滅ぼすぞ。非道はウチだけの専売特許ではないということだ」
菊地P「それは・・・」
土屋P「ただ我々の方が、ブタ娘たちより優秀であり、ブタ娘たちは我々に従う運命にあるということだけさ」
菊地P「僕が言いたいのは」(席を蹴って飛び出すきくち)
31安倍なつみ:2001/04/27(金) 04:47
友情の欠片も無いなんてそんなこと無い。
少なくとも私だけは…、
今もベッドに眠っている加護を見守っている…。
「奈良の大仏さんや…わらっとる…」
そんな寝言を加護の口から聞いた…
そう、、なっち負けない、あの日に帰りたいじゃない、
そう、もう一度立ちあがるの。
なっちはもう一度光り輝くの!
32奴隷部屋(通称・ブタ小屋):2001/04/27(金) 05:04
ガタついたベッドが並んでいる。毛布一枚、与えられてはいない。
まさに強制収容所を思わせる光景。
加護が苦しんでいる。矢口と辻が傍らについている。

矢口「ひどい熱だよ・・・」
希美「あいぼん、しっかりするのです!」(冷やした手拭いを加護の額にのせる)
加護「う、うちも、どうやらアカンみたいやな・・・」(虚ろな目でうわごとのように言う)

希美「うっ・・・」(柱に頭を擦り付け、涙を流す)

加護「のの、さっき言いかけたことやけど」(辻の背中に向かって言う)

加護「あんたはね、きっと」(口元に耳を寄せてきた辻に、ここまで言いかける)
33松浦亜弥:2001/04/27(金) 05:04
今まで耐え忍んできた。
そう、おとなしく振るまっていたのもこの時を待っていたから。
サバイバーに勝利者は一人で十分、
全員生き残れば又同じことの繰り返し
わたしだけが生き残ればいいの。
だからやるつもり、ピラミッド完成予定日の夜
ダイナマイトでそれを爆破、それが合図よ。
いい?それからは殺し合いが始まるの、、、
私一人生き残り栄光も歓声も全てを独占するのよ。
「ドキドキLOVEメール」以来の第二弾シングルを出すの!
34深夜・スタッフ小屋の外:2001/04/27(金) 05:13

安倍たちに見送られ、表に飛び出した辻は物陰に身をひそめている。

希美「バカだね、のの。あの人だってスタッフなのに・・・。お願い、きくちさん。外に出てきて・・・」

小屋のドアが開き、見回りのため菊地が外に出てくる。思わず身を乗り出す辻。
ギョッとした表情で、懐中電灯の光を辻の方に向ける。

菊地「誰だっ?」
希美「きくちさん・・・」
菊地「き、君か! ひどくあわてて、どうしたんだ?」
希美「亜依ちゃんがひどい熱なのです! 薬を下さい!」
菊地「・・・。・・・。分かった! すぐ戻る、監視のスタッフに見つからないように!」

菊地はスタッフ小屋に駆け込んでいく。その場で不安げに見守る辻。
35スタッフ小屋の中:2001/04/27(金) 05:21
部屋中を引っかきまわし、抗生物質やワクチン、解熱剤を集めるきくち。
全てを箱に入れ、ドアの方に向かう。そこへ土屋が入ってきくる。

土屋P「きくち、ブタ娘に薬をやろうってのか? 反逆罪だぞ!」
菊地P「構うものか!」
土屋P「・・・親友として、貴様が編成会議にかけられるのは耐えられん!」

土屋、拳銃をきくちに向けて発砲。心臓を撃ち抜かれて絶命する敏腕きくち。

土屋P「せめてもの情けだ。業界人として死なせてやる・・・」

土屋、窓の外でたたずむ辻の姿を発見。ニヤリと笑う。
辻の背後に迫るADの影。辻の小さな背中に鉄パイプを振り下ろす。
倒れ込んだ辻を殴打し、怒鳴りつけるAD。

AD「このクソガキ、こんな時間に何してやがるッ!」
希美「・・・・・・」
AD「落ちぶれタレントが、ADさまをなめたらどうなるか思い知らせてやる!」

痛めつけられ、奴隷小屋に放り込まれる辻。矢口が泣いている。

安倍「加護、息してないべさ!」(唇を震わせる安倍)
希美「うわああああああああっ!」(加護の亡骸にすがりついて泣く辻)

回想シーン。娘たち皆で見ている夕陽。無邪気に笑う加護の顔。
加護の声「のの? あんたの見た別の世界こそ、ほんとうの」(夕陽のビジョン、徐々にアップ)
37ホテルのスイートルーム:2001/04/27(金) 05:58
後藤「あはははは、また死んだよ」(後藤、笑い転げながらテレビを消す)

ドアが開き、みすぼらしい身なりをした女(市井)が入ってくる。

後藤「はぁ、ひどい有り様だな。強情を張らなければ素晴らしい暮らしが約束されていたものを」
市井「この企画、お前が提出したそうだな?」
後藤「知ってたんだ? さすがはイチイさん」
市井「お前たち一流業界人の行為は、決して許されないことだ! 決して・・・」
後藤「はぁ、そんなこと言いに来たの? 違うよね?」
市井「後藤、お前は秩序のある芸能界のため、などと嘯いていたが、お前の正体はとどのつまり」
後藤「あんたは少し感情的になりすぎている」
市井「ふん」
後藤「他の業界人みたく、富や名声欲ばかりの連中はいざ知らず、私は嘘偽りなく芸能界の調和を願っているだけだ」
市井「力ずくの調和をな・・・」
後藤「あんたはまだ信じてるの? あのハロプロメンバーたちを。いくらスタイリストが用意した衣装や、
   濃いメイクで表面ばかり繕っても、食べ物が未消化のままドロドロと塊になっているように、野心や恨み、
   妬み、憎悪が内面では渦巻いている」
市井「くっ・・・」
後藤「卑しく、粗暴で、田舎者で、原始人のままじゃん。メディアがどれだけ進歩しようと、
   あいも変わらず野蛮な奴らが、この芸能界を牛耳っている。そういう世界に進歩なんてない!」
市井「お前がそんなこと言えた立場か!」
38ホテルのスイートルーム2:2001/04/27(金) 06:14
後藤「はぁ、コワイコワイ。この業界は複雑だ。一糸乱れずとはいかない。私だって
   自分では納得できない行動を取らなきゃいけないことも分かってほしい」
市井「・・・・・・」
後藤「話を戻そうね。人間は詩や音楽を発明し、メディアを完成させた。しかし、
   芸能界に真の発展はやってこない。むしろ妨げになっているくらいだ」
市井「・・・・・・」
後藤「売れっ子と売れっ子はぶつかり合い、鈴木あみの例をみるまでもなく、
   一つの事務所は二つに分かれて、もう何年も裁判で争っている。同じ芸能界の
   発展を求めてこの有り様じゃん」
市井「・・・・・・」
後藤「なぜなら視聴者を含めて人間は公平に客観的に判断することなんて、とうてい
   かなわない具合になってるからよ。人間は流行っていう衣を、意識しようがしまいが、
   無理やりに着せられている哀れな生き物なのよ。ある家で生まれ、ある町で育ち、ある国で
   働き、ある人に出会い、ある名曲を聴き・・・いつもある条件の中で生きている。
   いうなればこの芸能界は、無数の偏見がせめぎあっている海原なの。渦巻き、逆巻き、
   波は激しさを増しこそすれ、静まることはないでしょうね」
市井「・・・・・・」(ただうな垂れる市井)
39ホテルのスイートルーム3:2001/04/27(金) 06:36
後藤「甘っちょろい方法で芸能界の頂点に立てるわけがないのよ。実現可能な方法は
   ただ一つ。有無を言わせない巨大な力だけが、統一と調和を生み、それを維持
   することができるの。・・・イチイさんなら、分かると思ってたけど」
市井「百歩譲ってお前が信念と理想に燃えて、芸能界の頂点を目指しているとしよう。
   ・・・お前は昔の仲間たちが奴隷島でバタバタ死んでいっても構わないというのかッ?」
後藤「もちろん」
市井「・・・もし目的が正しければ、手段を正当化できるっていうのか! それこそ客観的に
   判断できない、神でもない人間のお前なんかが、勝手に力の方法を正論だと
   言ってるだけじゃないか!」
後藤「神でもない人間が勝手に物差しを作っているのは、法律だって同じじゃん。裁判所では
   人間が人間を裁いてる。議会はどう? 政争で過半数を取って、少数意見を切り捨てる
   数の暴力に過ぎないわよ」
市井「後藤、お前変わったよ。モー出世欲に取り憑かれた亡霊になったんだね」
後藤「力づくと言って非難してるけど、賢いあんたは気付いてるでしょう? 視聴者は決して
   それを嫌っていないということを。だから土屋みたいな人間が、いつまでももてはやされて
   いることだって・・・」
市井「さよなら、ゴッチン」(泣きながら外に飛び出していく市井)

後藤「はぁ・・・視聴者はホノボノより、より強い刺激を求めているのよ。現実に足りない力をそれで
   代用している弱い存在なの。昔の私が弱者を支配するより、強者・・・市井さんにつくことを
   望んだように、視聴者も本物を受け入れるより、作られた商品を好む。
   良心、希望、感動・・・視聴者は、生まれついて備わっていた自由な心を、今の時代、
   みんなすすんで放棄してしまっているの。私は・・・そんな彼らがとても好きだわ」
40保全:2001/04/27(金) 20:21
保全
41後藤真希のモノローグ:2001/04/28(土) 00:43
 不安と混乱ばかりのこの世界で生き続けるというのは厄介なものね。
絶え間なく突き付けられる問いに、何が善で何が悪かを、自由な心で自ら選ばなければ
ならないということは、とても重荷だもの。
 しかも、生まれた時には何も染まっていないで真っ白だった心は、次々にある条件という
衣を着せられていくんだから。(馬鹿女の辻希美は、今でも自由な心の欠片を持ってるみたいだけどね)
 この芸能界はますます複雑になっているし、いくつもの売り出し方が生まれ、夥しいヒット曲が
生まれ、いくつものプロダクションやレコード会社が手招きをする。
 その一つ一つを、自由な心で選ぶというのは、とてつもないエネルギーがいるわ。
 そんな自由だったら、いっそ誰かに預けてしまった方が楽なのよ。
 自ら問い、自ら悩み、自ら決断を下す自由よりも、ある権威に従ってしまった方が楽なのよ。
 人はパンのみでも生きられてしまうものなの。またパンを与えてくれる者が正義だと思わなければ
生きていけないものでもある。
 たとえ反抗を試みても、この複雑で迷路だらけの業界を相手にしては、自分の非力を思い知らされる
ことになるだけ・・・。
42後藤真希のモノローグ2:2001/04/28(土) 00:58
 13歳の頃、私はやっとの思いで、仲間らしき者たちが集まっている「モーニング娘。」という場所を見つけ、
嬉々として飛び込んだわ。
 でも・・・やっぱり消化不良の魂を抱えた、不完全な人間たちばかりだった。安倍なつみ、中澤裕子、
矢口真里・・・見ると聞くでは大違い。市井さん以外はみんな、ひどいものだった。
 安倍さんたちをなじったところで、彼女たちと私とでは、本来少しの違いもないのだから、鏡の中の自分を
責めることになってしまう。
 次第に私は疲れ、あきらめ、娘から離れるよりも、娘の中に自分の存在を埋没させている方が、
ずっと安心できることに気付いたわ。
 無気力とか、ポーカーフェイスとか、いろいろ言われたけど、人間は何かの奴隷でいることの方が、
どんなにほっとするかもしれないもの。
 「モーニング娘。」・・・過去の臆病な私のよりどころだったもの! そんなものは、いま絶対に破壊
してしまわなければならないのよ!
 この移ろいやすい芸能界で、視聴者が求める唯一絶対の存在は、この後藤真希ひとりでいいの!
 私は、皆が自分を支える確かなものになりたいと思う!
43吉澤ひとみ:2001/04/28(土) 07:45
 有刺鉄線と絶望に取り囲まれた奴隷小屋。
 ここに悪臭を放つ、疲れ果てた肉の塊が詰め込まれている。
 与えられるのは、一日にひとかけらのパンと、水のようなスープ。
 夜毎、深い溜め息が壁板に染み込んでいく。
 一日がとても長く、一週間はすばやく過ぎていく。
 加護が死んでから、もうどれくらい経つんだろう?

 いま私の心を惑わすのは、この生き地獄へ面会に来たユウキの言葉。

 「姉が命令すれば、あなただけはいつでもここから出られます!
  ・・・吉澤さん! 他のメンバーにどうして、そこまで付き合おうとするんですか?
  理由はどうあれ、助かるチャンスを見捨てるようなことだけは!」
44保全:2001/04/28(土) 16:25
極悪後藤・・・
45名無し募集中。。。:2001/04/28(土) 19:09
tudukikake--
yomitaizo--
46街の片隅で・・・:2001/04/28(土) 23:49
真昼の商店街。群衆がハーフの女(ミカ)を取り囲み、囃したてている。

愚民A「こいつ元ハロプロのミカだぜ!」
愚民B「どうして奴隷島に収容されてねえんだ?」
愚民C「臭えな、プンプン臭うだぴょん!」
愚民D「やっちまえ!」(一斉にミカへ暴行を加え始める群衆)

ミカ 「うう・・・」
愚民A「なんだ、その目つきは!」
愚民B「三流芸能人が生意気なんだよ!」
愚民C「きっと何か盗もうと、この街をうろついてやがったんだ!」
愚民D「売れないタレントだからなあ!」
愚民A「殺っちまえ!」
群衆 「アヒャハハハハハハハハ!」(ミカへの暴行はエスカレート)

路地裏で様子をうかがう奴隷島解放同盟のメンバー二人(市井と前田)。今にも飛び出そうとする前田、それを制する市井。

市井「前田さん、やめろ。多勢に無勢だ!」
前田「あいつら、よってたかって卑怯すぎるのよ!」
市井「流行の尻馬に乗って弱い者いじめする連中だ。どこにでもいる馬鹿だよ。
   やつらは、自分が時代に乗った健全な市民であることを見せびらかしたいんだ。
   生まれてこのかた、自分だけは真っ当に生きていると思い込んでる愚か者だよ」

ミカへの暴行は続いている。

愚民A「色白の泥棒ネズミめ!」
ミカ 「わ、私は人間です! ネズミなんかじゃない!」
愚民B「笑わせるな!」(ミカの腹に拳を入れる)
群衆 「アヒャハハハハ!」
47街の片隅で・・・2:2001/04/28(土) 23:51
ついに切れた前田、群衆に突撃をかける。

前田 「この卑怯者ども〜!」(愚民Aを殴り倒す)
愚民B「なんだ、この女?」
愚民C「邪魔する気か?」
愚民D「きっとこいつもハロプロ残党に違いない!」
群衆 「そいつも殺せ! 殺せ! 殺せ!」(反撃を受け、たちまち傷だらけになる前田)

市井の顔色が変わる。怒りの形相で乱闘に加わる。

市井 「いい加減にしろ!」(群衆を次々にKOしていく)
愚民B「なんだお前は、ゴルァ!」(背後から市井の頭部をビール瓶で殴る)
市井 「ウッ・・・ま、前田さん。ミカを連れて逃げて!」(愚民をひきつけて叫ぶ)
前田 「分かった!」(ミカを連れて走り去る前田)
市井 「皆さん、ご機嫌よう!」(それを見てニヤリと笑い、市井は路地裏に消える)
群衆 「待て! ギャー?」(後を追う群衆、転がってきたドラム缶に足を取られて全員将棋倒し)

市井は前田、ミカと合流。三人は走りながら雑踏に姿を消す。
48石切り場:2001/04/29(日) 00:24
 奴隷島で最も過酷な石切り場。保田と辻が作業している。
 監視係は生き残るため、土屋に心と体を売り渡した松浦。鞭を持ち、ニヤニヤしている。

松浦「お前たち、これをスタッフ小屋まで届けてこい」(重そうな木箱の詰まったリヤカーを指差す)
保田「・・・分かったよ」
松浦「なんだその返事は! はい、わかりましたと言え!」(鞭で保田と辻を打ちすえる)
辻 「はい、分かりましたなのです」(涙ぐみながら言う辻)
松浦「ケケケ、よし。保田は?」
保田「は、はい、わかりました・・・」(屈辱に震える保田)
松浦「よーし、それでいいぞ。保田先輩、ケケケ!」(ニヤリと笑う松浦)

 ヨタヨタと二人がかりで重たい荷物を運ぶ保田、辻。どうにか届け終わり、
 帰り道にさしかかる。
49帰り道で・・・:2001/04/29(日) 00:43
保田「・・・辻」
辻 「保田さん、どうして泣いてるんですか?」
保田「聞いても笑わないでよ」
辻 「もちろんなのです」
保田「あんたはまだ若いわ。私ね・・・あんたみたいに気持ちの優しい子を見ていると、
   こんなところで一生を終わらせてしまうのが悔しくてたまらないのよ。
   もしも山崎が、こんな企画を受けなければ、あんたにはきっと薔薇色の生活が
   待っていたに違いないわ。あんたなら・・・」
辻 「ケフン? や、保田さんだって!」
保田「ふふ・・・私は駄目よ。芸能人としてはルックスに少しハンデがあるもん。
   人間、生まれつき平等ではないってことよ」
辻 「保田さんはすごく可愛いのです! 特にインターネットでの人気は・・・」
保田「お世辞でもありがとう、辻」
辻 「違うのです・・・」
保田「あ、ごめんね。ひねくれてるよね、私って。つくづく自分が嫌になるよ。
   でも芸能界ではね、あんたのようにきれいな心を持った人間は滅多にいない
   からさ。ついね・・・」
辻 「ののは・・ののは、ちっともきれいじゃありません。本当は生意気だし、
   意外と計算高いところだってあるし・・・」
保田「いいえ・・・あんたは自分を見つめることができるわ。少なくとも見ようとしているわ。
   私には分かるのよ・・・」
辻 「ケフン?」
50保田圭:2001/04/29(日) 00:58
 辻、芸能界にいるのは、たいてい自分を見るどころか隠そうとする人間ばかりだよ。
 朝から晩まで自分を装うことに必死だわよ。
 例えば試写会や音楽祭。宝石やらファッション、芸能界での地位・・・そんなもの
でゴテゴテと飾りつけた連中が次から次へと登場しては、いかに自分が他人より秀でて
いるかを、見せびらかしたくて動き回っている。
 そんな連中が、私の十人並みの顔を見て、同情してくれるのは、自分がほっと安心
できるからなんだよ。自分より劣った人気アイドルが、なんとここにいたってね。
 なんていう羞恥心のなさだろう。私が別にどうでもいいと思っていたって、連中の
視線が嫌でもこの顔に突き刺さってくるんだよ。
 私は・・・私は・・・ この奴隷島に監禁されてから、やっと誰とも対等になれた
なんて思ったんだ。あさましいよね、辻?
 飾り付けを持たない人間は、必死こいて手に入れようとして、持っている連中は、
もっと華美なものを求めてさまよっている。
 仲間を蹴落とし、押し合いへし合い、あんな売れっ子時代が、はたして本当に幸せ
だったなんて言い切れるかしらね?
 私は今の境遇を嘆いているくせに、あの輝かしい時代を憎悪していたりするのよ。
 辻、あんたはきっと違うと思う。あんたや死んだ加護には・・・きっと本当の未来が
見えていたんじゃないかって思うんだ。
51奴隷島の港:2001/04/29(日) 07:58
 また新たな奴隷が送還されてきた。その面々を見て残酷に笑う土屋。
 怯えきった奴隷たちの中で唯一、生きた目をした女(福田)がいることに気付いた土屋。
 鞭で福田を打ち据すえ、高笑いをする。それでも福田の目は死なない。

土屋「なんだ、そのふてぶてしい態度は!」
福田「・・・・・・」
土屋「貴様、ここが何処か分かってないようだな?」
福田「・・・・・・」
土屋「ブタ娘め! 貴様は奴隷だぞ、人間じゃねえんだ!」
福田「・・・言いたいことはそれだけか?」(ニヤリと笑う)
土屋「ヌッ? な、な、何もかも引っぺがしてやる! 自分がブタだということを
   とことん分からせてやるからな! 福田明日香、貴様は最も過酷な石切り場行きだ!
   アヒャハハハハハ!」(ユデダコみたいな顔で笑い続ける)
52保全:2001/04/29(日) 14:16
保全
53かぎょちゃん:2001/04/29(日) 14:21
@   @
(〃´д`) <?…あれれ?ばしょまちがえた…。
54安倍なつみ:2001/04/30(月) 00:19
 働けなくなった者は容赦なく「あぼーん」されていく。鮫が泳ぎ回る海中へ、
手足を縛られて投げ込まれるの。
 ここで淘汰されて生き残る可能性がどれだけ僅かなのかを、まだなっちは
よく分かっていなかった。
 今日、あさみちゃんが「選抜」されてしまった。あさみちゃんは、なっちより
若くて体力もあったのに、すっかり衰弱していた。もうあの笑顔は見られない。
 それなのになっちは・・・あの時、スタッフに連行されていくあさみちゃんを見ても
涙が出てこなかった。またハロプロの仲間が死んだのに、殺されたのに・・・。
 毎日、何人かが「あぼーん」されていく。確かに環境の浄化かもしれないよね。
だって今のなっちたちは、疲れ切ったボロボロの肉塊なんだもん。
 ボロボロに擦り切れたなっちたちの心。ここに連れてこられたばかりの頃は、しばらく
ショックが続く。鬼畜なスタッフたちに怒りを覚えずにはいられない。でもね・・・やがて、
全てが当たり前の眺めになっていくの。
 無感覚に無関心・・・目の前で何が起ころうと、ぼんやりしているだけの目。それはもう
黒い二つのシミに過ぎないのかもしれない。
 でも・・・なっちはまだ頑張れる。きっと皆で生き残って、また光り輝くあの場所に立つ
んだから!
55奴隷島解放同盟アジト:2001/04/30(月) 01:06
 静まり返った室内。ただひとり副隊長の女(石黒)がデスクに向かっている。
 人の気配を感じた石黒、顔を上げる。いつの間にか黒装束の女(信田)が立っている。

信田「副隊長、明日香が奴隷島に潜入成功致しました」(低い声で言う)
石黒「分かったわ。ご苦労様」(微笑む石黒)
信田「ハッ」(一礼し、跳び上がって屋根裏に姿を消す)

 そして黒電話のベルが鳴る。受話器を取る石黒。

石黒「紗耶香、どうしたの?」(相手の声にしばし耳を傾ける石黒)

石黒「・・・うん分かった。それだけ言うなら、ミカも私たちの仲間に入れてあげて。
   あ、みっちりトレーニングさせてね。そうそう、コンサートのレッスンの百倍
   くらいハードに」(電話を切った石黒、微笑んだ後、再び書類に目を落とす)

石黒が読んでいる書類をアップ。タイトルに「救出計画書」と書かれている。
56奴隷小屋の外:2001/04/30(月) 01:46
 夜になってようやくピラミッド建設から解放される。虚ろな目をした
 集団の中に痩せ細った女(石川)がいる。遠くの方から石川の姿を見て、
 比較的元気そうな女(りんね)が走り寄って来る。

りんね「梨華ちゃん!」
石川 「あ・・・」(もう声が出ない様子で、りんねを見つめる)
りんね「わたし、スタッフ小屋の清掃係にしてもらったんだ。掃除機かけて、
    スタッフの衣類を洗濯するだけなの」
石川 「よかったですね・・・」(力なく愛想笑いする)
りんね「石運びは辛いでしょ? ね、梨華ちゃん。あんたも清掃係にしてくれるよう
    土屋さんに頼んであげる!」
石川 「・・・・・・」
りんね「梨華ちゃん可愛いもん。絶対OKに決まってる」(石川を安心させるよう優しく笑う)
石川 「そ、それだけは嫌!」(首を振る石川)
りんね「・・・相手が人間だと思うからいけないの。スタッフなんて・・・あいつらなんて、
    ただのケダモノだと思えば気が楽よ。どうせわたしたちは奴隷なの。・・・そうよ、毎晩
    ちょっとだけ、あのケダモノたちの相手をすればいいの! うっ・・・」
   (りんね、声を詰まらせ落涙する)
石川 「・・・・・・」
りんね「梨華ちゃん、生き残らなきゃ! あさみの分まで、わたしたちが生きなきゃ!」
石川 「!」(走り去る石川)
りんね「ねえ、気が変わったら、いつでも言って!」(石川の後ろ姿に叫ぶりんね)
57本当の黒幕:2001/04/30(月) 02:20
 かつて私がUFAに送り込んだ金髪の少女は実に気高く、そして美しく成長してくれた。
 彼女が土屋に提出した「奴隷島サバイバープラン」こそ、まさにその証左といえるだろう。
 後藤真希・・・君は芸能界に秩序を与え、真紅の花を咲かせようとする深紅の薔薇だ。
 私は君がその高貴さを失うことなく、咲き誇ることができる丘を創りたいと思っている。
 そのためには、どれほど多くのクズ芸能人どもが血を流そうといっこうに構わない。

 私はいつも薔薇を見ていたいのだ。
 薔薇には夏がある。激しさがある。優美がある。そして・・・調和があるのだ。
 誰も犯してはならない純粋が秘められているのだ!

 芸能界は雑多だ。いま我々が再建を試みなければ、業界人はやがて奈落の底に落ちるだろう。
 機会の平等・・・オーディション。実にくだらない。そんなもので選ばれた、たとえば
蒲公英のような雑草どもが、芸能界に頽廃をもたらすのだ。
 美しき薔薇には、雑草どもを駆逐する義務がある。
 私はLOVE論などに書かれていた、君にもすごい魅力が秘められている・・・などという
くだらん小市民的欺瞞に満ちた考え方が大嫌いだ。
 深紅の薔薇は凡俗の群れの中になど存在しない。そう私は確信している。
 雑草どもは駆逐するに限る。働けるうちは奴隷として残飯ぐらいは与えよう。
 あの雑草どもが、飢えや疲れで死んでいくか、生き残れるか、その全存在に問うのだ。
 モーニング娘。よ、私は貴様らを人間とは思わないが、蛆という生き物としてなら
存在を認めよう。

 【鬼畜】奴隷島・・・これこそ私と後藤真希が明確化した、本来あるべき芸能界そのものなのだ!
 港周辺の建物は黒焦げ。土屋配下のスタッフたちの死体が転がっている。
 隊長の稲葉をはじめ、奴隷島解放同盟のメンバーたち(石黒、市井、ミカ、前田、平家、その他)
 が続々と奪い取った軍艦に乗り込んでいく。テラスにミカと平家が立っている。

ミカ「ミカ、人を殺してしまった・・・ああ、神様!」(天に向かって嘆き、祈るミカ)
平家「・・・・・・」(ミカに寄り添う平家)
ミカ「平家さん、敵を殺した時、どんな気持ちがしましたか?」
平家「もう考えたらあかん、ミカ。それより干し鮑食べへんか? 腹が減っては
   いくさはできんっていうやろ?」(干し鮑をかじる平家)
ミカ「ミカ、あの死に顔を忘れられません。みるみる顔から血の気がなくなって、
   真っ白になって・・・」(自分の両手を睨みつけるミカ)
平家「あんたが殺ったのは土屋の手下なんだ。あいつらはもっと多くのハロプロ
   メンバーや、熱心なファンを殺戮してるやないか」(干し鮑を捨てる平家)
ミカ「でも・・・」
平家「目の前で死んでいく人間を見るのはショックやったやろうな。もちろん分かるで。
   けどな、奴隷島の仲間を助け出すためには慣れなアカンのや」
ミカ「慣れる・・・? 慣れるなんてできません。慣れるなんて!」
平家「いやでも仕方のないことや。あんただって十分承知して、解放軍に志願したんやろ?」
ミカ「はい・・・」(涙ぐむミカ)
平家「うちが初めて敵を殺った時は、やっぱり泣いたで。何日も寝られへんかった」
  (ミカの涙を拭ってやる平家)
平家「そこへいくと市井ちゃんなんかは、肝の座った女戦士や。あの子はモー娘。を
   脱退してから、周囲の様々な侮蔑と戦いながら、たった一人でシンガーソング
   ライターの勉強を続けてきた強い女や。きっとハロプロに安住してたウチらには
   想像もつかない困難を乗り越えてきたに違いないで」
ミカ「・・・・・・」
平家「人間、嫌でもやらなきゃならんことがある。誰かのために・・・。きっとあの子は、
   それを身にしみて分かってるんや」

 ここで幹部の平家を石黒が呼ぶ声がする。船室に向かって歩き出す平家。

平家「・・・ミカ。今のその気持ち、大事にせえや。本当はな、こんな馬鹿げた
   ことに慣れたらあかんのや!」(足を止めて言い、廊下を曲がる平家)
60奴隷島・束の間の休憩時間:2001/04/30(月) 07:30
 配給の乾パンとスープを受け取った飯田と矢口、力なく石の上に座る。
 矢口の視線の先に、配給そっちのけでスタッフ小屋の様子を偵察している
 不審な少女(福田)が映る。

矢口「ちょっとアンタ。早いところ配給受けないと、飢え死にしちゃうよ!」
飯田「食べてもひもじいのは変わらないけどさ」

 振り返った福田の顔を見た飯田と矢口は驚きの表情になる。

飯田「な、なんで? こんな幻覚を見るなんて、とうとう圭織、本物の電波女に
   なっちゃったのかしら?」
矢口「明日香、どうしてここに!?」(福田に走り寄って抱き合う矢口)
飯田「ああ、良かった。本物だったのか・・・」(やはりずれている飯田)

 三人は並んで座り、乾パンを食べている。

福田「ねえ、その顔の傷・・・」(飯田の頬の太い傷を指差す福田)
矢口「カオリはね、作業でミスした辻の身代わりになって、顔を鉄の鞭で殴られたの」
福田「・・・畜生!」(搾り出すように言う)
飯田「あはは・・・もういいんだよ。過ぎたことだし、もう生きて芸能界復帰なんて
   できるわけないんだもん」(平然と笑う)
61奴隷島・束の間の休憩時間2:2001/04/30(月) 07:52
矢口「どうして引退したはずのアンタが、こんなところへやって来たの?」
飯田「そうだよ。きつい労働と深い絶望しかない、この奴隷島へなんでまた・・・」
福田「・・・二人には本当のことを話しておくね。もうすぐ彩ちゃんと紗耶香が
   中心になって、ここの皆を解放するために、部隊を引き連れて乗り込んでくるのよ。
   私はその先兵として、予めこの島の防衛システムを破壊しておくためやって来たってわけ」
飯田「それ本当なの?」(疑わしそうな飯田)
矢口「きゃはははは、それじゃ皆、助かるんだね?」(大声を出す矢口)
福田「声が大きいよ、ADに聞かれたらどうすんの?」
矢口「きゃははは、ごめーん」
福田「もう行くね。破壊工作ができる自由な時間は今しかないから」(立ち上がる福田)
矢口「矢口も手伝うぴょん!」
飯田「圭織だって!」(福田についていく飯田と矢口)
福田「でかいし金髪だし、あんたたち目立つから嫌だけど・・・ま、いいや。ちょっと、
   これを見て」(監視の目を盗んで、ポケットから図面を出す福田)

 三人はバラバラに散らばった。手には福田が隠れて持ち込んだ小型の工具が握られている。
62保全:2001/04/30(月) 14:48
保全
63海戦の末に・・・:2001/05/01(火) 00:11
 奴隷島解放同盟の軍艦は、海上を巡航していた警備艇を激戦の末、全部撃沈する。
 同盟軍の被害も大きく、砲台では平家が戦死している。
 生き残りで協力して艦内の火事を消したが、地獄のような光景が広がっている。

前田「まるで地獄絵図ね・・・」(放心したように言う)
ミカ「アハハハ・・・当然よ。当然の報いなんだわ。だってミカたち、人を殺したんですもの。
   人殺しなんだから地獄に落ちて当然なのよ!」(平家の亡骸を抱いたまま泣き叫ぶ)

 ムッとした表情の稲葉がやって来て、ミカの胸倉をつかまえる。

ミカ「人殺しだ! 人殺しなんだー!」
稲葉「黙りなさい。誰も殺したくて殺したんじゃないの!」
ミカ「嘘よ嘘、嘘! 仲間を殺されて憎いから殺してやりたかったんだ! 殺したい
   から殺したんだ!」
稲葉「そうよ。それで何が悪いの? 仲間の敵討ちのために戦う。仲間を助け出すために
   悪い奴らと戦う。それで何が悪いの! いくらアンタが信じてる神様に祈ったって、
   百万年待っても、皆を助け出すことなんて出来ないわよ!」(ミカを張り倒す)
ミカ「ううっ!」(うずくまるミカ)
稲葉「だけど・・・だけど楽しんで人殺しなんかしてないわよ! 私が土屋たちを殺したい
   と思うのは、何としても助け出したい仲間がいるからよ! 私には仲間のためには、
   自分の命を投げ出す覚悟がある!」
ミカ「分からないよ・・・ミカには、そんなふうに仲間のためだなんて、大声で胸を張って
   言うことなんて出来ないんだよ! 人殺しなんだー!」
稲葉「この腰抜け!」(ミカを蹴飛ばす)
64海戦の末に・・・2:2001/05/01(火) 00:33
稲葉「なんで芸能界に入ったの? なんで解放軍に加わったの? 結局、この芸能界は
   食うか食われるかなんだよ。私は大阪でバッタモンの三流アイドル扱いされながら、
   ずっと歯を食いしばって頑張ってきた。いろいろ汚い謀略を巡らすことだってあった。
   弱肉強食、謀略とかいうと眉を潜める連中がいるけど、それはミカ・・・あんた
   みたいに、いつだって泣き寝入りばかりしている臆病なやつなのよ。
   ねえ、ミカ・・・この芸能界は、私たちが生まれるずっと前から、今の仕組みが
   出来上がってるのよ。泣き喚いても、駄々をこねても、どうにもならないことが
   山ほどあるのよ。どうにもならないなら、現実を認めて芸能界で生き残る方法を
   いろいろ試さなくちゃいけないの。・・・とにかく敵はぶっつぶさなくちゃいけないの!
   みんな、そうして苦労しているのよ。特に歳を取った元アイドルなんてね、みじめなものよ」
ミカ「・・・・・・」
稲葉「理屈どおりにいかないのが、今の芸能界なのよ。そういうことを奥歯で噛み締めて、
   一人前の芸能人になっていくのよ」
ミカ「一人前って・・・何?」
稲葉「メソメソしない大人になることよ」
ミカ「ただ現実を受け入れることが、一人前になることなんですか?」
稲葉「そうよ。その反対はジャリタレとか、歳がいってれば負け犬って言うの!
   現実は否も応もない。立ち向かわなけりゃ腰抜けなの! ミカ、あんたは
   腰抜けになりたいわけ?」
ミカ「わ、分かりません・・・」
稲葉「・・・向こうに行って」(ミカにそっぽを向いて、平家の亡骸を見つめる稲葉)
65海戦の末に・・・3:2001/05/01(火) 00:58
 涙が止まらないミカを、船室まで送り届ける市井。
 立ち去ろうとする市井を、ベッドの上から呼び止めるミカ。

ミカ「待って、市井さん!」
市井「なんだ?」(振り返って足を止める市井)
ミカ「どうして・・・どうして市井さんは、そんなに強いんですか? あなたは嵐が来ても
   びくともしない大地にしっかりと根ざしている巨木のような人に見えます。あなたから
   見たら、泣き虫のミカなんて・・・」
市井「そんなことはないよ」
ミカ「下手な慰めはよしてください。あなたはどんな困難でも、自分ひとりで切り開いて
   いける人じゃないですか」
市井「あんまり私を買いかぶらないで。・・・私はロクに学校も出ていない、融通のきかない
   ただの古い女だ。さっきのあんたたちの言い合いで、いま私の心はグラグラ揺れている
   んだから。・・・どんな理由をつけても、私たちが人を殺しているのは事実だもの」
ミカ「市井さんが動揺してるだなんて・・・そんなまさか!」
市井「・・・・・・」
ミカ「市井さん。ミカが商店街でリンチされている時のこと覚えてますか? あのとき、
   あなたは圧倒的な力で群衆を叩きのめし、頭脳プレーで難局を乗り越えることができました。
   ミカも・・・そういう力と頭の良さが欲しい! 考えの正しい者が、知恵と力を持てれば、
   きっと馬鹿げた連中を芸能界から追放することができると思うんです!」
市井「それは違う! 絶対に違う!」
ミカ「・・・・・・」(市井の迫力に黙ってしまうミカ)
66市井紗耶香のモノローグ:2001/05/01(火) 01:23
 ミカ、たとえ相手を小手先の知恵と力で屈服させることができても、心から納得
させることなんてできないんだよ。それは新たな憎しみの種を撒くだけだ。後藤真希が
理想とする「高尚な」支配者と、実態は何ら変わるところがない。
 私にできる助言は「何を見ても信じろ」ということかな。
 いい? 信じなくなるということは、全てを放り出すということなの。世の中も
人間も、何もかも・・・。
 なにより自分自身を投げ出すっていうことなんだ。
 大体、大人がよく口にする「信じられない・・・」なんて言い草は、世の中や他人に
やたらと依存したがる気持ちがある証拠なんだ。
 信じるっていうことは、まず自分自身を信じるっていうことなんだ。途中で諦めたり、
投げ出さないっていうことだ。
 まず自分を信じろ。そのためには、信じられる自分になることだ。なるための努力を
惜しんじゃいけない。そうしないと何も始まらないんだ。
 幸いにミカ・・・あんたは、まだ何も投げ出してはいない。ぶっ倒れて起き上がれなくなんて
なっちゃいない。
 いい? 知恵や力で抑えつけるのは、所詮その場しのぎでしかないんだ。虚しいものなんだ。
 もし自分に殴られた奴が、屈服でなく納得してくれたことがあったとしたら、それは
力に対してなんかじゃない。それは絶対に違う。
 拳骨を見舞った自分の中にある何かが、相手を納得させているんだ。そいつが本当の意味での
力ってことなんだ。
 ・・・偉そうなことばかり言ってるけど、この私だって今の現実とやらを飲み込み
かけている。やむなくだろうがなんだろうが、現実を認め始めてしまっているんだ。
 ミカ、あんたは稲葉に食ってかかっていった。それはまだ何事も放り出していない
証拠だと思う。いまもあんたは必死で現実と格闘しているんだよ。
 「世界中でたった一人だろうと、ノーならノーと言い続けろ。本当のアーティストになれ!」
67保全:2001/05/01(火) 20:10
市井と後藤のどっちが正しいこと言ってるんだろう・・・
68深夜の爆発:2001/05/02(水) 06:38
 深夜のスタッフ小屋。土屋は自分の部屋のベッドで熟睡している。
 そこへ突然の大きな爆発音。土屋は跳ね起きる。拳銃を探してあたふたとする。
 土屋のもとへ慌てた様子のADが駆け込んでくる。

AD「大変です! 稲葉貴子を中心とするハロプロの生き残りたちが、大挙して攻め込んで
   来ました!」
土屋「馬鹿な! 警戒システムはどうした? なぜこの島に近付くことができたんだ?」
AD「何者かによって全て破壊されていました!」
土屋「おのれ・・・」(ユデダコのように顔を紅潮させる)

 モニターに映し出された島の様子を見る土屋。特に市井の活躍がめざましい。
 手下のスタッフたちは次々に殺されていく。ハロプロメンバーはよく訓練されている。

土屋「アヒャハハハ、三流タレントどもが! 皆殺しにしてやる!」
  (機関銃を棚から取り出して無気味に笑う)
69奴隷小屋からの脱出:2001/05/02(水) 06:55
 爆発音と銃声にざわめく奴隷小屋の中。安倍は不安そうに膝を抱えている。
 石川は震えている。吉澤は石川を抱き締めている。保田は目をつぶって何か考えている。
 辻は飯田にしがみついている。飯田と矢口はニヤニヤしながら、福田の方を見ている。
 立ち上がる福田。みんなの視線が福田に集まる。

福田「心配することないよ、みんな。あれは紗耶香たち解放軍が、鬼畜な奴らをぶっ殺しに
   来たんだ。今まで黙ってたけど、私はみんなを安全な場所まで誘導するために、
   ここへ派遣されていたんだよ」
安倍「福ちゃん・・・」
福田「行こう、みんな。ついてきて!」(福田の先導で小屋の出口に向かう一同)

 ドアが開いて番組のスタッフたちが行く手に立ちふさがる。

AD「このブタ娘ども、どこへ行く気だ? このブタ小屋からは一歩も出さんぞ!」
福田「うぜえな、このハゲ!」(隠し持っていた拳銃で、スタッフたちを射殺する)

 スタッフの死体を踏み越えて、小屋の外に出る一同。あちこちで解放軍のメンバーと
 土屋の手下たちが激闘を繰り広げている。怯える安倍と、ライフルを持った石黒の目が合う。
 微笑む石黒に、にっこり笑いかける安倍。石黒は戦いの中に消えていく。

福田「さあ、みんな。こっちだよ!」(一同を連れて、迂回しながら軍艦の方へ向かう)
70戦火の中で・・・:2001/05/02(水) 07:12
 襲い掛かってくるスタッフたちを、悲しそうに射殺していくミカ。
 疲れ切って大きな石にもたれかかったミカの後ろに、機関銃を持った土屋が忍び寄ってくる。

土屋「醜い白ブタめ・・・死ね! アヒャハハハハ!」(引き金を引く土屋)

 機関銃から夥しい弾丸が発射されると同時に、市井がミカの後ろに飛び出してくる。

市井「うっ・・・クッ・・・」(弾丸に全身を撃ち抜かれる市井)

 土屋に気付いたミカは、横に転がり、泣きながら拳銃を土屋めがけて発射する。

ミカ「うわあああああああっ!」
土屋「あわびゅっ!」(額を撃ち抜かれて絶命する土屋)

 泣き喚きながら市井を抱き起こすミカ。市井の顔にはすでに生気がない。

ミカ「い、市井さん! ごめんなさい・・・ミカのせいで、ごめんなさいっ!」
市井「き・・・気にするな。私が自分の意志で、あんたを・・・助けたんじゃないか・・・。
   自分を責めるな・・・」(息も絶え絶えに言う)
ミカ「市井さん、死なないで! 目をはっきり開けて! うわあああ!」
市井「世界中でたった一人だろうと、ノーならノーと言い続けろ、ミカ。ほんとうの・・・」
  (ミカの腕の中で息絶える市井。その目蓋を閉じさせるミカ)

ミカ「・・・・・・」(立ち上がったミカは、力強く戦いの中に身を投じていく)
 大爆発して消し飛んだ奴隷島をバックに、解放同盟の軍艦は港を目指して航行している。
 甲板では稲葉を松浦が称えている。それを保田が冷たい視線で見つめている。
 飯田と辻は久し振りにじゃれあっている。福田と安倍と矢口の三人はお喋りに興じている。
 石黒と石川は初対面の挨拶のあと、タンポポ談義に花を咲かせている。吉澤はダメ出し
 されてばかりの石川を面白そうに眺めている。前田はこっそりボイストレーニングに励んでいる。
 ミカはぼんやりと海上を見つめ、涙を流している。

市井の声「みんなは、もう運命の厳しい真実を知らされても挫けることはないだろう。
     厳しい現実というのも人間であり、ひたむきに生きている者の心にとっては、
     実り豊なものになると、私は信じている。
     私の旅は中途で終わった。しかし、皆が強く、これから未来を歩き続けてくれる
     と思えば、それも潔く受け入れることができる。
     さようなら、みんな・・・」
72黒幕たちの末路:2001/05/02(水) 07:44
 テレビの特番で土屋たちが全滅し、モー娘。のメンバーたちが救出されたことを
 知った後藤は、ユウキと共にヘリコプターで屋敷から脱出する。

後藤「雑草の生命力をなめていたようね。アハハハハ!」(赤い薔薇を片手に笑い続ける)
勇希「・・・・・・」(後藤の頬を流れ落ちる一筋の涙を見て、首を傾げる)

 本当の黒幕の部屋。逃げ仕度をする黒幕の前に、黒装束の女(信田)が現れる。
 ゆっくりと殺意のこもった目をした信田が、黒幕に迫っていく。後ずさりする黒幕。

黒幕「ま、待て。い、命だけは助けてくれ・・・ほら、金ならある。な、なんなら
   美しき黒薔薇であるお前を、ソロデビューさせてやってもいいぞ?」
  (札束をちらつかせながら命乞いする黒幕)
信田「死ね・・・」(黒幕の頭を両手でつかみ、首の骨をへし折る信田)

 札束を握り締めたまま絶命した黒幕を残し、信田はジャンプして屋根裏に消える。
73モーニング娘。:2001/05/02(水) 07:58
 つんくさん・・・

 「どこにだって ある花だけど 世界中に夢を運ぶわ
  どこにだって 咲く花みたく たとえ悲しくたって 大丈夫
  信じ合い支え合って 希望に変えていくわ
  たんぽぽの様に 強く

  どこにだって ある花だけど 風が吹いても負けないのよ
  どこにだって 咲く花みたく 強い雨が降っても 大丈夫
  ちょっぴり「弱気」だって あるかもしれないけど
  たんぽぽの様に 光れ」

 そうおっしゃいましたね・・・
 やっと分かりました、つんくさん・・・
 八株の雑草・・・生き残った私たちは、もって生まれたこの葉っぱで、
太陽の光をいっぱいに浴びようと思います。
 何も恐れることなく触れてみましょう。目を開きます。耳をすまします。
かぎます。味わってみましょう。
 自由でありつづける限り、何も恐れることはありません。
 たんぽぽのように強く、この大地に咲きつづけるでしょう・・・
74保全:2001/05/02(水) 19:07
保全AGE
75後半の担当者:2001/05/02(水) 23:22
この物語はフィクションです。
作中に登場した人物、団体は実在のものとは一切関係ありません。

最後の方はあまり鬼畜じゃなかったかな・・・。
 この天と地の闇の間に、人間どもは歩む。ヲタヲタと・・・
 自由を叫びはするが、内心では自由を恐れ、おおらかにして愚鈍な連中。
 弱く、儚く、かわいい者たちよ。目覚めるな。
 いま、目覚めれば闇の中で、途方に暮れるしかない。
 確かに今回、私は負けた。
 しかし再び、私に出会った者たちが、夜の闇に新しい光を織り成し、力の虹を作るでしょう。
 力の虹は今度こそ、深紅の薔薇が咲き誇る丘にかかるでしょう。
 弱く、儚く、かわいい者たちよ。お前たちはそこに安堵を見出すのよ。
 自由を叫びはするが、内心では自由を恐れる者たちよ・・・!
77名無し募集中。。。:2001/05/04(金) 02:30
いちごまの直接対決を期待してたが。
78名無し募集中。。。:2001/05/04(金) 11:04
保全
79名無し募集中。。。:2001/05/04(金) 11:49
感動を狙ったのかネタだったのか・・・?
80空を見上げて・・・:2001/05/05(土) 01:28
 北海道の草原に寝転ぶ飯田と辻。青空に白い雲が浮かんでいる。

飯田「綺麗な空だね、辻」
辻 「ごくん・・・雲が綿菓子みたいなのです。食べたいのです」
飯田「アハハ、辻〜! いいねえ」
辻 「てへてへ、食いしん坊とか言って馬鹿にしないのですか?」
飯田「しないよ。辻、あんたには雲が綿菓子に見えた。素晴らしいことなんだよ」
辻 「ご、ごめんなさい。ののにはよく分からないのです」
飯田「あの雲は綿菓子じゃない。だけど綿菓子なの」
辻 「・・・・・・?」
飯田「綿菓子に見ているのは、辻のまなざしなんだよ」
辻 「まなざし?」
飯田「うん」(にっこり笑って辻を抱き締める飯田)
81飯田圭織のモノローグ:2001/05/05(土) 02:02
 辻、よく芸能界では「大化け」って言葉を使うよね。
 それまで地味だった子が、自分のポジションを見つけて、大ブレイクしちゃう
現象のことだね。
 芸能人が・・・事務所の計画にはなかった新しい魅力を自分で開花させて、
そのまま発展させていくケースがあるよね。つまり今までの自分とは違う面の
素質やルックスの変化が、ハプニング的に起きちゃうこと。
 じゃなければ、芸能界の掟にしたがって自然淘汰されていくタイプ。これは
ファンの間の流行や嗜好の変化に対応して、激しい生存競争を勝ち抜いた者だけが、
大きく成長できるということ。要するに弱肉強食だね。
 どっちも売れてる芸能人を分析すると必ずこういう記事を書くライターがいるけど、つまり
それまで冴えなかった子がブレイクしたのは、その子自身の中に変化をもたらすものが
あったという説と、あくまで外からの刺激によるという説に分けられることになるんじゃない。
 そのどっちが正しいとか、能率が良いとか、そんなことは圭織には分からないけど、
ふと思ったんだよ。
 力と運命・・・人間は過去へも未来へも行ける。
 記憶、思い出・・・。理想、憧れ・・・。
 それが人間の力だよ。才能だよ。圭織や辻、なっちや圭ちゃんにもあるんだ。
 人間はこの現実の中を生きながら、頭の中で先へ進んだり、過去へ戻ったり
できるということなんだ。
 百万光年先の宇宙のことだって思い浮かべることができるということなんだよ。
 こういうこと言うと、また空想家とか電波女とか叩かれそうだけど・・・構わないわ。
 だって空想できるのは、生き物の中で人間だけなんだもん。
 いま圭織が空想しているのは、圭織の子供が地球人の子供ではなくなるってこと。
 もしかしたらもしかすると思うんだ。大ブレイクが本当に進化することにつながるとしたら・・・?
 そう・・・宇宙人に見るのは、圭織たちやファンのまなざしなんだよね。
82通りすがり:2001/05/05(土) 02:25
>>81
最後はやっぱり電波入ってるけど、読んでてちょっと感動しちゃった。
羊のモーニングマスク以来かな。

>芸能人が・・・事務所の計画にはなかった新しい魅力を自分で開花させて、
>そのまま発展させていくケース
これって辻のこと?厳密には菊地pの眼力があってのことだろうけど、
掲示板で事務所から感謝されたって言ってたからこのケースなんだろうと思う。
>ファンの間の流行や嗜好の変化に対応して、激しい生存競争を勝ち抜いた者だけが、
>大きく成長できるということ。
無理があるが、矢口がそうなのだろう。
83保全:2001/05/05(土) 17:32
保全AGE
 矢口、石川、吉澤、辻を中心に、新メンバーを加えてモーニング娘。が再結成
されたというニュースが日本中をかけめぐる。
 顔に傷を負った飯田は北海道に帰り、安倍は心優しい亭主と結婚。保田はソロデビュー
に向けてレッスンを開始。

 一方、海外に留学(逃亡)していた後藤真希も再び活動を再開している。スタジオ
にこもって、自ら作詞作曲をしている。

後藤「世の人間たちは弱点だらけね。限りなき欲望、野心、恨み、不平不満、
   羨望・・・世間を見渡せば、それらで渦巻いている・・・。
   人間とは、隣家の食卓と自宅の食卓を見比べて不愉快になり、他人の
   着ている服と自分の服を比べて気分を壊し・・・隣家の桜が一日早く
   咲いたと言って暗い気持ちになるの。
   老いぼれつんく♂の楽曲は、音楽的に優れているとか評価されて自惚れて
   いるみたいだけど、大衆は必ずしも本物に目を向けるわけじゃない。
   メディアに垂れ流される夥しい情報によって、卑しい渇望に火をつけられた
   からよ。ASAYANなんて番組で作られた、アイドルになるための平等な
   機会なんていうものに、あの怠け者たちは飛びついたの。あるいは出演者に
   自分を重ね合わせたりしたの。
   この私がモー娘。のオーディションを受けた理由はただ一つ。金髪じじい♂が
   好きだったからでも、安倍なつみに憧れていたからでもないわ。
   大衆の心をとらえるには【理性でなく感情に訴えろ】【人間は本能、衝動、脊髄
   反射の塊である】【いかなる楽曲も、知的水準の最も低い連中の受容能力に合わせて
   作ればヒットする】・・・この理論を実証してみたかったからなの。
   純粋な金髪じじい♂を、私の魅力で篭絡するのは簡単だった。つんく♂は私の罠に
   はまって、いつしかレベルの低い楽曲を量産するようになって、より多くの大衆の
   支持を集めるようになっていった。最後まで自分がプロデューサーではなく、操り人形
   に過ぎないことを気付かなかった。モー娘。の保護者気取りだった・・・」
85名無し募集中。。。:2001/05/06(日) 01:35
再結成か・・・
このメンバーじゃ音楽的には期待できないっすね(ワラ

つーことで期待sage
86某大手レコード会社:2001/05/06(日) 01:40
 後藤、若作りした色の黒い中年男(M氏)と向かい合って座っている。

M氏「よく我が社に来てくれました。歓迎しますよ」
後藤「どうも」
М氏「ひょんな御縁から、あなたのお考えを知る機会がありました。反唱しても
   よろしいですか?」
後藤「どうぞ」
М氏「ビロードのような深紅の薔薇が何故に高貴か? それはあれほど美しく
   ありながら棘を持っているからだ。鋭い爪のように、剣のように・・・。
   その棘は己の世界の調和を守り抜くためであり、大地の穢れた雑草たちの
   中にあっても、決して引きずり下ろされまいとする断固とした意思の表れである。
   古今東西、深紅の薔薇になろうとした者は、穢れた凡俗たちの迫害を受けてきた。
   それが世の常である。
   いまこそ真の力に目覚めた私が、深紅の薔薇が踏み潰されない小高い丘を、この
   地上に築かなければならない。それが芸能界を頽廃から救うことだ、と・・・」
後藤「素晴らしい記憶力ですね」
М氏「あなたとは対立する会社に籍を置きつつも、私は心から共感していました。
   私が考えるには、あなたが芸能界の現状を憂い、旗を掲げて邁進している彼方に
   見える七色の虹こそ、この業界の運命を変える壮大な虹であるはずなんです。
   ところが、それを理解できない阿呆しかゼティマにはいなかった」
後藤「あはは、面白いことを言いますね」(ニヤリと笑う)
87某大手レコード会社2:2001/05/06(日) 02:03
М氏「今の業界を観察してみれば、凡俗の群が乱痴気騒ぎのし放題です。馬鹿は
   死ななきゃ治らない。いや、馬鹿は最後まで馬鹿であることに気付かない。
   日々、目先の快楽ばかりを追い求めて、右往左往しています。真のアーティスト
   が築いてきた血と汗の歴史の上で、生意気にもあぐらをかいているようなものです」
後藤「ふふん・・・」
М氏「そういう馬鹿どもは、金輪際反省してみることはないでしょう。自らの首を締める
   ことになるからです。
   後藤さん、立ち上がるには今しかありません。剣です、薔薇の棘を手に取るのです。
   真の力の何たるかを知る者が、凡俗どもの支配に立ち上がることこそが、すなわち
   正義です! 後藤真希さん・・・あなたこそ、真のアーティストです!」
   (後藤の手をかたく握る)
後藤「恐れ入ります。ひとまず今日はデモテープを置いて行きますから」
М氏「ありがとうございます。それでは・・・」(深々と頭を下げて、後藤を送り出す)
88某大手レコード会社3:2001/05/06(日) 02:13
 ひとりになったМ氏、デモテープを聴くこともなく、ソファに寝転んでいる。

М氏「フフフ・・・つい心にもない事を言ってしまったよ。後藤真希、俺にとっちゃ
   所詮おまえも金儲けの道具だ。第二の浜崎となるがいい!」

 建物の外。リムジンに乗り込んだ後藤を、ユウキが心配そうに迎える。

後藤「ただいま! 予想通りの男だったわ。私はあゆとは違う・・・思い知らせてやるよ」
  (冷たい笑みを浮かべて、シャンパンを飲み干す)
勇希「・・・・・・」(冷たい姉の表情に怯えきっている)
後藤「ユウキ?」(久し振りに優しい目に戻る)

 その場からリムジンが走り去ると、一枚の紙切れが宙に舞う。
 「メッセージありがとうございます。保全屋さんもありがとうございます」と書かれている。
89保全:2001/05/06(日) 17:50
保全
90名無し娘。:2001/05/07(月) 03:08
保全は下げでもいいのだよん
 新生モーニング娘。と後藤真希の楽屋は隣同士。モー娘。と比べて後藤の楽屋は
 広くて快適。ここに新リーダーの矢口が呼び出されている。

後藤「やぐっつぁん、ずいぶんと老けたわねえ」(哀れむように矢口を見る)
矢口「もう23歳だからね。若い頃、肌を焼きすぎたし」
後藤「でも、昔の裕ちゃんみたいなおいしいポジションにつけてよかったじゃん」
  (皮肉たっぷりに言う)
矢口「・・・よっすぃーがあんたと話したがってたよ」(後藤から視線を外して言う)
後藤「とみ子が?」(わずかに身を乗り出す後藤)
矢口「何か言いたいなら矢口より、よっすぃーにしときな」(楽屋を出る矢口)
 吉澤の前で後藤は熱っぽく語っている。矢口の時とは違って完全に無警戒でいる。

後藤「私の使命は真のアーティストの養成と育成による芸能人の改良であり、
   劣等者やパチモンを業界から排除することなの。
   詩が、音楽が、メディアが発達して、現代の文化が生まれたわけだけど、
   マーケットが大きくなるにつれて、劣等者がのさばるようになってきた。
   あいつらは真のアーティストから、仕事を奪った。雑誌で罵った。ネット
   で叩いたりもした。決してその価値を認めようとはしなかった。しまいには
   仕事の場そのものを奪ったりもした。あいつらはパラサイトよ。バイキンよ!」
吉澤「・・・・・・」(おとなしく後藤の話を聞いている)
後藤「いまの芸能界の惨状は、決してあの金髪じじい♂が言っているように、機会の
   不平等にあるわけじゃない。むしろ平等こそ、パラサイトやバイキンをのさばら
   せる大きな原因になっている。
   凡俗の群の中に生きる蛆虫やゴキブリが皆、平等なチャンスを求めることがそもそも
   の間違いなのよ!」
吉澤「・・・・・・」
後藤「私は最初に目覚めた深紅の薔薇として、芸能界の新秩序を築くための指導者になりたい
   と思ってるの。だって正しいことをするためには、個々の力をまとめなければならない
   でしょう? 優れた指導者に付き従わなければ、薔薇のつぼみも開花すること
   ができないもん」
吉澤「あなたは何が言いたいのよ?」
後藤「力を貸して! あなただって深紅の薔薇なの。一緒にやろう!」
  (力強く吉澤の手を握って言う)
吉澤「後っちんは・・・支配者になりたいの?」(そっと後藤の手をほどく吉澤)
後藤「違う! 支配者とか奴隷とか、そんなつまらない関係は必要ないと思ってる。
   ただ高い目標に向かって、本物たちみんなで突っ走りたいだけよ」
吉澤「あんた、一点の曇りもなく自分が真のアーティストだって言い切ることができるの?」
後藤「もちろんよ!」
吉澤「・・・とてもそうは思えないわ。後っちん、とっても無理してる」
後藤「何を言うのよ?」
吉澤「私は気付いてたよ。13歳のあんたが、気取ったポーカーフェイスの下に、
   いつもすごく寂しそうな素顔を隠していたのをね」
後藤「私は寂しくなんてない! だって、いつだって一番だったもの! 常に栄光が
   まわりにはあった。もちろん今だってね、あはははは」
吉澤「・・・ほらね」
後藤「もう帰って!」
吉澤「分かったよ、後っちん」

 席を立った吉澤、後藤を振り返って最後に言う。

吉澤「・・・私じゃ市井さんの代わりはつとまらない。私は私なんだ」

 ひとりになった後藤の頬に涙が伝う。

後藤「・・・アハハハハ! 分かったよ、吉澤。もう容赦するもんか! お前なんか
   知るもんか! アハハハハハハ!」(いつまでも笑い続ける)
94名無し募集中。。。:2001/05/07(月) 15:32
保全
95秘密委員会、魂の座・・・:2001/05/08(火) 00:29
 死んだはずの黒幕、巨大モニターの前に座っている。モニターには覆面をした
 スーツ姿の男たちが映っている。覆面男たちは一様に黒幕を責めている。

覆面A「困ったことになったぞ」
覆面B「まったくだ。宇多田、倉木、矢井田、椎名・・・みんな彼女に潰されてしまった」
覆面C「後藤真希は大した女だよ。モーニング娘。だけを潰してくれれば良かったものを」
覆面D「君の言うように、彼女はまさしく深紅の薔薇だった」
覆面E「いや、あれは美しすぎて薔薇ではない」
覆面F「むしろ高山植物だ。気高く咲き誇るキバナシャクナゲのようだよ」
覆面G「あの女が築いた丘は高すぎる。もはや薔薇でさえ咲くことは叶わんのだ!」
覆面H「責任は重大だぞ・・・」

 黒幕が静かに口を開く。

黒幕 「分かっている。我々にはもう時間がないのだ」
覆面A「では・・・自分が手塩にかけた愛弟子を切り捨てるというのだな?」
黒幕 「そうだ。何も問題ない。これも私のシナリオ通りだ」
覆面B「フッ、貴様は恐ろしい男だ」
黒幕 「これから業界をあげて後藤真希のネガティブキャンペーンを展開しよう。
    すべて私に任せておけ、今まで通りにな・・・」

 一同、冷たい笑みを浮かべる。
96さらに一年後・・・:2001/05/08(火) 01:09
 モーニング娘。が奇跡の復活を果たしている。芸能通さえ首をひねる三曲連続の
 ダブルミリオンを達成。ソロデビュー組の保田やミカも安定した結果を残している。
 数年ほど前、あれほど世間から迫害を受け、中澤や加護と共に虐殺された「モーヲタ」だが、
 いまや巷には「にわかモーヲタ」が大増殖している。田中真紀子首相が所信表明演説で
 残した「モーヲタにあらずんば日本人にあらず」の言葉は国民の記憶に新しい。
 一方、後藤真希が芸能界から姿を消してすでに久しい。
 街では、にわかモーヲタたちが無闇に騒いでいる。

ヲタA「モーニング娘。ばんざーい! モーヲタばんざーい!」
ヲタB「真性アイドルが勝ったんだ! なにがアーティスト志向だ!」
ヲタC「これはアイドルヲタの時代だ。好き勝手に暴れてやるぞ!」
ヲタD「勝利の歌をうたおう。♪あんたにゃ もったいない fu−fu−♪」
ヲタE「神様は私たちを見捨てなかったのね」
ヲタF「いいや、俺らモーヲタの団結力のおかげさ。アヒャハハハハハ!」

 騒ぐ「にわかモーヲタ」をよそに、不遇時代のモーニング娘。を救うために、自ら奴隷島へ
 乗り込んで、勇敢に死んでいった「モーヲタ」の遺児たちが、虚ろな目をして座り込んでいる。

ヲタA「しかし汚えガキどもだ」
ヲタB「てめえら日本の恥だぜ」
一同 「こういうガキは皆殺しだ、アヒャハハハハハハハハ!」

 にわかモーヲタたちは、遺児たちに暴行を加え始める。そこへ稲葉と前田が現れる。

稲葉 「この野郎、勝手なことばかり言ってんじゃねえ!」(ヲタAを殴り倒す)
前田 「お前らにこの子たちの何が分かるって言うのよ!」(ヲタBを殴り倒す)
ヲタC「うるせえよ、ハロプロのお荷物どもが!」
ヲタD「こいつらもブッ殺しちまおうぜ! アヒャハハハハハハハハハ!」

 稲葉と前田は、増長した「にわかモーヲタ」たちと激しい戦いを繰り広げる。
 別の街角では、逃走中の後藤真希が群衆に捕らえられて、殴る蹴るの
 暴行を受けている。

民A「こいつはモーニング娘。を裏切ったろくでなしだ!」(後藤の腹を蹴る)
民B「何が本格派シンガーだ、バカが!」(後藤の鼻を殴る)
民C「俺は昔ファンだったが、売れなくなったお前には興味ないね!」(後藤の背中を蹴る)
後藤「・・・・・・」(無言で耐える後藤)
民D「何とか言えよ、半魚人! 命乞いしてみろ、ゴルァ!」(後藤の手を踏みつける)

 そこへ通りかかったリムジンの中には、辻とミカの二人が乗っている。辻は買い込んだ
 ケーキを食べながら幸せそうな顔をしている。だが街角の騒ぎを見て、辻とミカはリム
 ジンから降りて、後藤と群衆の方へ駆け寄っていく。

辻 「ごっ、後藤しゃん!」(驚きのせいで少女時代の言葉遣いが出る)
ミカ「待って、リンチはいけないわ!」(後藤をかばって地面に身を投げ出す)

 群衆は辻とミカの顔を見て、不満そうながらも暴行をやめる。

民A「なんで止めるんだよ、辻ちゃんミカちゃん」
民B「こいつはモーニング娘。の敵だ。だから俺たち日本人の敵なんだ!」
辻 「ケフン・・・ま、待つのです。ちょっと考えてください。もし・・・競争に
   負けたのが後藤さんじゃなくて、ののたちモーニング娘。だったとしたら?」
民C「何だと?」
ミカ「後藤さんが勝っていたとしたらどうですか? 今度は辻さんやミカが、あなたたち
   にとっての敵になるんでしょう!」(涙を流しながら叫ぶ)
民D「なに訳の分からないこと言ってるんだよ」
民A「疲れてんじゃねえのか?」
民B「魚女の味方するなんて、お前たち本物の辻とミカなのかよ?」
民C「こいつのせいで仲間を殺されたんだろ、あの奴隷島で。アヒャハハハ」
民D「たとえ本物だろうと、あんまり俺たちに逆らうと、お前らもブッ殺すぜ!」

 辻とミカは臆せず、その場から動かない。群衆たちの間にしらけた空気が流れ始める。

民A「あーあ、うぜえな」
民B「なんかリンチにも飽きちまったぜ」
民C「時間の無駄だな」
民D「“退け!電波青年”でも観よう。今日は誰が死ぬかな? アヒャハハハ」

 群衆たちは辻やミカ、後藤を残してゾロゾロと引き揚げていく。

ミカ「いつか市井さんが言ってたんだって。これは前田さんから聞いたんだけど・・・。
   流行の尻馬に乗って弱い者いじめする連中がいる。やつらは、自分が時代に乗った健全な市民
   であることを見せびらかしたいんだ。生まれてこのかた、自分だけは真っ当に生きていると
   思い込んでる愚か者がいるんだって・・・」
辻 「そんな人たちのために、ののは決して歌いたくないのです。踊りたくないのです!」

 辻とミカは、意識を失っている後藤をリムジンで病院まで運ぶ。
 後藤、ベッドの上でうわごとのように呟いている。

後藤「お父さん・・・お父さん・・・」(涙が頬を伝い落ちる)
99名無し募集中。。。:2001/05/08(火) 03:16
演劇を嗜んでいる方ですね。上手いので
100100番:2001/05/08(火) 07:42
映画 or TVドラマ化希望
101名無し募集中。。。:2001/05/08(火) 07:56
せっかく書いたものを見てほしいのはわかるが、羊でやれ。
102名無し募集中。。。:2001/05/08(火) 15:32
煽りは無視して頑張ってください
 モーニング娘。をはじめとするハロプロメンバーが所属する新しい事務所。
 社長を務めるのはつんく。だが若い頃の無理がたたり、かつての面影はない。
 つんくの部屋には矢口、石川、吉澤、辻、ミカの五人が呼び出されている。
 怪我をした後藤を運んだせいで、辻とミカの服は血で汚れている。

つんく「お前らよくやってくれたで。ウチの事務所も軌道に乗ってきた。特別ボーナス
    を出したる。そのうちハワイにでも行こか? 番組の企画やのうて」

 つんくの言葉に矢口、石川、吉澤の三人は、大喜びする。しかし辻とミカの表情
 は冴えない。それを敏感に察知するつんく。

つんく「なんや辻にミカ。お前ら嬉しくないんかいな? それにその汚い服はなんや。
    お前らだけ、まだ【奴隷島】にいるみたいやなあ。ハッハッハッ」
辻  「そうかもしれないのです」
つんく「な、なんやと・・・?」(冗談で言ったつもりが、辻に真顔で返されて困惑する)

 辻とミカの話を聞きながら、窓の外を眺めるつんく。街の中では後藤真希のファン
 クラブ会員だった者たちが、警官隊によって次々に捕らえられていく様子が見える。

つんく「そうやったんかいな。そらアカンはな。リンチは犯罪や。きちんと裁判にかけたらな」
ミカ 「お言葉ですが、ミカは裁判なんてやるだけ無駄だと思います!」
つんく「ん・・・?」

 はしゃいでいた矢口が一歩前に進み出る。

矢口 「あのー、やっぱ今の裁判官とか検察官だって、みんなモーヲタなわけですよね?
    そうすると正当な判決なんか下るわけないと矢口は思うんですよー」
吉澤 「どのみち私ら勝利者側の人間が裁くわけですから」
つんく「そらそうや・・・」
つんく「せやけどな、俺はあのモー娘バッシングのことを忘れることはできんのや。
    死んだのは中澤や加護、平家だけやない。奴隷島と本土を含めて、どれだけ
    のモーヲタが犠牲になったと思うんや? オーディションが禁止されたことで、
    スターを目指すどれだけ多くの人間の夢が踏みにじられたと思うんや? 俺は
    お茶の間の期待に応えられなかったことが悔しくてたまらんのや。大病を患った
    せいで、俺はずっとプロデューサーとしての活動ができんかったわけやしな!」
石川 「あ、あの・・・」(おどおどしながら、つんくの顔色をうかがう)
つんく「なんや、言うてみい」
石川 「お茶の間・・・つまり視聴者は、本当にモーニング娘。のことを・・・つんく
    ファミリーのことを、心から応援してくれているんでしょうか?」
つんく「そんなの当たり前やないか。復活したCDのセールスが全てを表してるやろ?
    なんやなんや、相変わらず石川は心配性やな。ハッハッハッ!」
辻  「ケフン・・・辻も梨華ちゃんと同じなのれす。とても応援されているようには
    思えないのです。結局はただ面白がられているようにしか思えないのです。
    そう・・・結局はあの【奴隷島】にいた時と同じみたいな気がするのです」
つんく「なに自信のないこと言ってるんや!」

 辻たち五人を見回すと、全員うつむいてしまっている。つんくは気合いを入れようと
 声を張り上げる。

つんく「おいおい、皆しっかりしてくれんと困るで! ファンの間の流行や嗜好は
    どんどん変化してるんや。厳しい生存競争にどうやって打ち勝っていくつもりや?」
石川 「つ、つんくさん!」
ミカ 「・・・つんくさんまで、この現実に妥協してしまうんですか? 今の言葉、ミカ
    にはそう聞こえたんですけど」(悲しそうに言う)
つんく「そうやあらへん。ただな・・・この業界、ちっとはセールスを記録しとかんと、
    いろいろ都合の悪いことが出てくるんや。理想を現実のものにするためには、
    受け入れなアカン、嫌なことだって、ぎょうさんあるんや。ミカ・・・お前は、
    死んだ市井にかぶれ過ぎとちゃうか?」
辻  「・・・つんくさんが描いている理想って、どんなものなんですか?」
つんく「いま答える必要はあらへん。ひとつ言えるのは、辻。お前が描いている理想って
    やつは、非現実的や。あくまでお子様の夢物語や!」
矢口 「ちょっとー・・・つんくさん。やっぱりアナタ、現実にモロ妥協してますよー。
    てゆーか媚を売り過ぎ。キャハハ、見損なっちゃったなー」(威勢は良いが、寂しそうに笑う)

 つんく、机に顔を伏せて沈黙する。その沈黙を破って、まず石川が口を開く。

石川 「あ、あの・・・本当によく出来たものが売れる理想的な業界を、誰も経験したことが
    ないのに、どうしてそれが駄目だって言い切れるんでしょうか?」
辻  「元気だった頃のつんくさんは口癖のように、いつも言ってたのです。
    夢は見なけりゃはじまらないって! ・・・忘れてしまったのですか?」
ミカ 「120パーセントの自分を作るためには、まず自分を壊さなくてはならない。
    それは今の業界にも、ファン心理にも言えるんじゃありませんか?」
矢口 「つんく、逃げるなー! 一度逃げたら癖になるんだよー!」
吉澤 「いいじゃないですか。また辛い思いや惨めな思いを、たくさん味わったとしても」

 つんく、ゆっくりと顔を上げる。矢口、石川、吉澤、辻、ミカの顔を一人一人見渡していく。

つんく「お前ら、ずいぶん大人っぽくなったやんか。今頃気付いてゴメンナサイやけど」

 ニヤリと笑って立ち上がるつんく。

つんく「そうやった・・・やりたいことやったらなアカン。諦めたら終わりや。
    現実に立ち向かうとか、受け入れるやなくて、まず何よりも自分で創った
    らなアカンのや。俺たちはまだまだ先にいける。やっちゃえ、まずやっちゃえ!」
106後藤真希、雌伏の時・・・:2001/05/09(水) 03:49
 病院を抜け出した後藤、ワゴン車の中からユウキと共にかつての自宅を眺めている。
 家の前の通りから聞こえてくるのは、相変わらずモーニング娘。の歌ばかり。貼られ
 ているのもモーニング娘。のポスターばかり。
 暴徒によって焼き打ちされた自宅には、かつての面影は残っていない。明るい日差し
 の中で無残な姿をくっきりと現している。
 あれほど煌びやかだった後藤真希邸を、衛兵のように取り巻き、守っているのは色褪せた
 野生の薔薇ばかり。
 夜の闇に浮かび上がっている時だけ、昔日の姿を取り戻し、大きくそびえたっているよう
 に見える。後藤、握り拳をかためる。

後藤「モーニングのやつらは甘いのよ。この世界を形作ろうと努力する人間の数に比べて、
   破壊したり寄生したりする人間の数が絶対的に多過ぎる。
   そいつらは風のように、素知らぬ顔をして世界を侵食しているわ。一刻も早く根絶
   やしにするしか、解決の方法はないの。
   ふと、頬をかすめるそよ風にたずねてみたくなることがあるだろう・・・こんな古い詩人
   の言葉に惑わされてはいけないわ。これこそ寄生虫どもがよりどころとする偽善!
   人間は風の色なんて理解しなくても生きていけるの。
   風は何も答えてくれはしない・・・答えは自分で見つけるしかない。
   私は諦めないわよ、絶対に!」

 後藤真希のワゴン車、夜霧の彼方に走り去って行く。

                    【鬼畜】モーニング奴隷島  ―完―
107保全:2001/05/09(水) 13:25
続編か新作を希望
108名無し:2001/05/09(水) 19:43
すごく面白かったです。
自分も新作・続編希望。
109名無し募集中。。。:2001/05/09(水) 21:57
次は羊で書いた方がいいかもしれませんね。
そうすれば小説総合スレで紹介してもらえますし。
110とおりすがり:2001/05/10(木) 00:57
全部読ませてもらいましたが、面白かったですよ。
けれど皆が娘。ファンになって終わるのは辛いですね。
戦国時代の群雄割拠のようにいろんな利益集団が
お互いにより高い位置を目指して競い合っている、
そんな図式が健全なのかなと思っています。競争から
より良いものが生まれてくるわけですから。
だから後藤には巻き返しを期待したいものです。彼女の言うことも
また真だと思います。ただのネタ小説なのに少し考えさせられました。
続編気盆ヌ。
111途中からの担当者:2001/05/10(木) 07:57
 メッセージをありがとうございます。保全の書き込みをして下さった方も
ありがとうございます。
 できるだけ早く新作を、羊板の方で立ち上げようと思っています。
 今度は鬼畜物ではなく、肩の凝らない御気楽なギャグ作品にしたいと考え
ています。もしも見かけましたら、ぜひ読んでやって下さい。
112名無し娘。:2001/05/10(木) 08:30
楽しみsage
113 :2001/05/11(金) 04:28
114114:2001/05/11(金) 04:33
115保存:2001/05/11(金) 12:26
保存。新作に期待
116名無し募集中。。。:2001/05/12(土) 11:15
保全
117保全:2001/05/13(日) 19:01
保全
118名無し募集中。。。:2001/05/14(月) 10:40
保全
119名無し募集中。。。:2001/05/15(火) 13:36
保全
120名無し娘。:2001/05/16(水) 14:50
保全
121名無し募集中。。。:2001/05/17(木) 11:31
保全
122保全:2001/05/18(金) 11:45
保全
123名無し募集中。。。:2001/05/18(金) 17:37
はじめてよんだー。すげー。めっちゃ面白い。
内容が良かったのは勿論だけど、俺は作者さんがすごいと思う。

芸能界の中で対立している二つの意見。
大体皆も分かっているけど説明しにくいこの相反する二つの論を、
「娘。」に置き換えて表現すること、できることがスゴイと思う。
しかもただ面白いだけでなくて、僕達読者側にも疑問提起をしたまま完結してて、
色々考えさせられる作品に仕上がっている。素直に尊敬しました。

これは聞いてはいけないのかもしれないですけど、作者の方は
「我が闘争」を書いていた人ですか?
なんか設定の細かさとかキャラの使い方とかに似てる部分を感じたので。
違ったらごめんなさい。では。
124名無し募集中。。。:2001/05/19(土) 10:16
保全sage
125保全:2001/05/20(日) 11:21
保全
126名無し募集中。。。:2001/05/21(月) 11:29
保全
127名無し募集中。。。:2001/05/22(火) 11:31
保全sage
128名無し募集中。。。:2001/05/23(水) 11:29
保全
129名無し募集中。。。:2001/05/24(木) 11:28
保全
130名無し募集中。。。:2001/05/25(金) 11:30
保全
131名無し募集中。。。:2001/05/26(土) 10:56
保全
132保全:2001/05/27(日) 12:02
保全
133名無し娘。:2001/05/28(月) 08:43
保全ばっかやん!!
134名無し募集中。。。 :2001/05/28(月) 08:50
作者さんは終ったって言っているのだから、誰か新しいの書けば?
135名無し募集中。。。:2001/05/29(火) 11:50
続編を信じてsage
136名無し募集中。。。:2001/05/30(水) 10:29
保全
137名無し募集中。。。:2001/05/31(木) 19:26
zokuhenzokuhenzokuhen!
 後藤の苦難に満ちた放浪の旅は続いている。いつしか混乱の中でユウキとも離れ離れ
 になり、ひとりぼっちになった後藤。盗んだバンを停め、林道の中にポツンと建って
 いる小さな酒場に足を踏み入れる後藤。客は誰もいない。カウンターに立っている
 女マスター(福田明日香)が、後藤を見て微かに笑みを浮かべる。

福田「いらっしゃい、後藤真希さん」(カクテルをカウンターに置く)
後藤「・・・見違えるほど綺麗になったね、先代」(一息にカクテルを飲み干す)
福田「後藤さん、あれを見なよ」(壁に貼られた指名手配書を指差す)

 後藤、指名手配書に目をやる。後藤、自分の首に多額の賞金がかけられていることを知る。

後藤「はぁ・・・酷い写真だよ。唇の端は引き攣ってるし、化粧は古臭いし」
福田「手配写真っていうのは、わざと悪人面のものを選んで載せるものだよ」

 後藤、密かにポケットの拳銃に手をかける。福田は背を向けたまま、軽食を作っている。

福田「別にあんたを売るつもりはないよ」(ナポリタンを差し出す)
後藤「・・・・・・」(拳銃から手を離し、無言で食べ始める後藤)
福田「あんたは絶頂期の紗耶香によく似てるよ。その頃、私はもう芸能界から遠い
   ところに身を置いていたけど」
後藤「・・・・・・」(黙々と食べている)
福田「何かに取り憑かれたように、前に前に出ようとする紗耶香の姿に、私はとても
   危うさを感じていた。でも、あんたは・・・その紗耶香に、時には罵倒されな
   がらも、懸命についていったみたいだね?」
後藤「・・・・・・」(なお黙々と食べている)
福田「確かに、若き日の紗耶香が目指していたのは、凡俗の群が支配する芸能界から、
   真紅の薔薇の咲き誇る高い丘に至る力の虹をかけることだったと思うよ。でも・・・」
後藤「芸能界を去り、再び私の前に現れたあいつは別人になっていた。力の虹を否定し、
   力の背後にあるひどく曖昧な概念・・・眼差しなんてものにかぶれていたんだ!」
  (とつぜん声を荒げて涙を流す後藤)
139明日香の店で・・・:2001/06/01(金) 03:22
 後藤にビールを勧め、自分もジョッキを傾ける福田。

福田「紗耶香はあんたを裏切ったんじゃない。・・・気付いたんだよ、本当の敵が
   どれだけ手強いかっていうことを」
後藤「手強い? あの情緒的不感症と精神的冬眠、無気力と萎びた願望の生活を送る
   凡俗の群どもが? あはははは、笑わせるな!」
福田「笑えないんだよ、後藤。・・・いまの業界人が求めているのは、あくまで売れる
   音楽だけだ。アーティストの音楽活動は、直接間接にかかわらず、とにかく
   タイアップ先なりレコード会社の利益になる面だけに限られてしまう」
後藤「そんなの常識じゃん」
福田「そうかな? この問題の本質は、もはや金の亡者たちを追放するだけじゃ解決
   出来ない、深いところにあるんだよ。
   売り上げ至上主義の業界にあっては、優れたアーティストの持つ本当の個性って
   ものが、すべて非生産的で非客観的だからって理由で抑圧されてしまうんだ。
   だって・・・強い個性なんてものは、無歴史的、無人間的な業界の中にあって、
   邪魔になるだけだもん」
後藤「後藤だって、それぐらい分かってるつもりだよ。どっかで聴いたような音楽ばかり
   もてはやす今の業界の連中は、個々のアーティストが持っている自律的で創造的な
   活動領域の広さ、多様さに対応しきれないから、それを否定することに躍起になって
   いるんだ。自我の深いところから湧き出て蓄えおかれた芸術性や、その価値を理解し
   ようともしないんだ。
   優れたアーティストの作品っていうのは、初めは単なるバラバラな音響・映像・妄想
   に過ぎないけれど、たっぷり時間をかけて、それがやがて人間の思い出を広げ、
   心に深い印象を残し、生きるためのガッツを呼び覚まし、最後に作り手と受け手双方の
   感覚をより研ぎ澄ますくらいの力が備わっているはずなんだ。それなのに・・・」
140明日香の店で・・・2:2001/06/01(金) 03:23
福田「売れるものだけを追求していくうちに、人間は次第に主観を排除して、いつしか客観的にしか
   物事を見られなくなっていくんだ。【客観的】なんて言葉は実際のところ、ちっとも
   美しくないのにね?」
後藤「はぁ・・・まったくその通りだよ。結局そんな言葉は、自分自身が何ら感情や衝動、願望さえ
   持っていないことを暴露しているようなものなのに、連中はむしろそれを誇りに
   しているような気さえするからね」
福田「そんな狭い了見しかない業界人に囲まれているが嫌になって、私はモーニング娘。を
   脱退したのかもしれないね・・・。
   本物の個性をできるだけ幅広く、自分たちの作品にとりこもうっていう責任感が共有できない
   辛さに、まだ子供だった私は耐えられなかったんだ・・・」
後藤「ああ、奴隷島は間違いだったよ! 後藤はすっかり連中の手の平で弄ばれていたんだね。
   そのせいで、かけがえのない仲間を死なせてしまったんだ・・・」

 後藤と福田の間に、しばらく重苦しい沈黙がおとずれる。
141名無し募集中。。。:2001/06/01(金) 16:43
期待sage
142夢のユニット誕生!:2001/06/02(土) 01:10
 ようやく福田が口を開く。

福田「紗耶香と後藤ってさ、ある意味で同じ意見を持つ姉妹であり、また反対に不倶戴天の
   激しいライバル関係にもあったと思うんだ」
後藤「んー・・・そうかもね。後藤も市井チャンも、本物のアーティストが思い通りに活躍
   できる理想的な業界のあり方について、いつも思いを馳せていたよ。とっても
   牧歌的な雰囲気だったけど、後藤たちは真剣だった」
福田「だけど二人の蜜月関係は、ラブマシーン前後のモー娘絶頂期においてのみ、
   調和が取れていたってことを、傍観者だった私は思い知らされたな・・・。
   業界にはびこるあらゆる悪徳・・・無神経、没個性化、創造性の欠如、空虚な反復、
   ルーチン偏重、沈黙し表現せず、混沌として無秩序な商業主義によって、
   紗耶香と後藤は引き離されてしまったんだね」
後藤「娘に加入した子が、まず最初に受ける教育っていうのは、業界にとって都合の良い製品を
   作るため、普通は話術偏重、技術偏重、客観偏重なものになるんだってね?」
福田「そうだよ。ASAYANを見ていた人なら、すぐにピンと来ると思うけど。
   たとえば詩情や夢っていう、プロとして・・・いや人間としての根幹にあたる部分
   部分が、そのカリキュラムでは完全に否定されていたよ。
   【人気】と【現実】の面ばかりを強調した、怠け者の業界人の経験論に偏った、
   実にくだらないシロモンだと、子供心に思ったものね」
143夢のユニット誕生!2:2001/06/02(土) 01:14
後藤「だけど、後藤の教育係だった市井チャンは、そんな話は全然しなかったな。
   市井チャンの言う客観性っていうのは、とってもひねくれていたよ。
   アーティストとして、物事のあるがままを見るためには、人間性の最も重要な一面である
   主観を排除してはダメだって、強調していたっけ・・・。後藤がどうやって、ひとつひとつ
   の経験を積み重ねて、物事を感じて、何が本当の目的であり、価値があることかってことを
   よく考えてみなさい、それが真のアーティストに求められる客観性なんだって、力説していたよ」
福田「きっと、それが死の間際に紗耶香が到達した、眼差しって考え方なんだろうね。
   過去と現在、もしかしたら未来までの経験をも包含した、本当の客観性・・・
   物事を捉える感性ってやつ」
後藤「後藤、世界中でたった一人になっても、ノーならノーって言い続けてやるわ!」
福田「勇ましいね・・・。だけどモーあんたは一人きりじゃないよ」(意味深に言う)

 福田は後藤の手を取り、力強く言う。

福田「これから一緒にやろう。私だって、このままバーのママで終わるわけにはいかないんだ」
後藤「・・・・・・」(黙って福田の手を力強く握り返して笑う)
福田「後藤、もう一人仲間に加えなければならない奴がいるよ」
後藤「それって?」
福田「行こう、北の大地・室蘭へ!」
144保全:2001/06/02(土) 13:36
保全
145保全:2001/06/03(日) 13:47
保全
146名無し募集中。。。:2001/06/04(月) 16:50
続き頑張ってください。
147名無し募集中。。。:2001/06/05(火) 16:07
保全
148名無し募集中。。。 :2001/06/06(水) 04:37
久しぶりに来てみたら、続きが
149名無し募集中。。。:2001/06/07(木) 01:40
ほぜむ
150名無し募集中。。。:2001/06/07(木) 23:02
続き期待ほぜん。
151保全:2001/06/08(金) 18:16
保全
152名無し募集中。。。:2001/06/09(土) 15:20
hozen
153名無し募集中。。。:2001/06/10(日) 00:01
地球を救う為に上げ!
154名無し募集中。。。:2001/06/10(日) 18:28
ほぜむ
155保全:2001/06/11(月) 14:30
保全
156名無し募集中。。。:2001/06/12(火) 00:58
 
157名無し募集中。。。:2001/06/12(火) 01:02
つまんねー
158名無し募集中。。。 :2001/06/12(火) 01:04
なによ、ここ
159名無し募集中。。。:2001/06/12(火) 01:07
性奴隷ちゃうんかい
160ロリキチガイ:2001/06/12(火) 01:12
性奴隷・・・勃起したよ・・・・でもヒリヒリする。いたひ
161途中からの担当者:2001/06/12(火) 03:20
 突然ですが、私のネタ書き込みは>>143をもって最後ということになりました。
 スレッドを立てた方や、初期のネタ職人さんの書き込みを、非力ながら自分なり
 に精一杯膨らませてきましたが、諸般の事情によりこの奴隷島ネタを続けること
 は、もうできなくなってしまいました。
 【名無し募集中。。。】の一人として、あくまで狼板でネタを続行したかったので
 すが、本当に残念です。

 最後になりましたが、このスレッドの作者さん、初期のネタ職人さん、いろいろ
 感想の書き込みをしてくれた皆さん、保全カキコをしてくれた皆さん、本当にあ
 りがとうございました。さようなら。
162名無し募集中。。。:2001/06/12(火) 11:50
>>161
まじですか?狼で続けられないなら羊での続行を希望。
やっと続編が始まったと思ってたのになんで?
また狼から職人が消えるのか?勘弁してくれよ!
163勘弁してよ!:2001/06/12(火) 17:03
アゲちゃうよ!
164名無し募集中。。。 :2001/06/12(火) 17:05
狼ではネタ禁止、マジレス禁止、マジヲタ禁止、
罵倒、煽り、騙り、のみOK!
165(●´−`●):2001/06/12(火) 23:30
夢のユニット見たいべさ!
続けてほしいよ〜……
166保全:2001/06/13(水) 16:02
煽りや叩きに負けるなー!
やっぱり狼にこだわってほしい。
167名無し募集中。。。:2001/06/14(木) 22:47
hozen
168保全:2001/06/15(金) 15:43
保全
169名無し募集中。。。:2001/06/16(土) 18:08
tsuzukikake nigeruna
170名無し募集中。。。:2001/06/17(日) 17:35
ほぜむ
171歯無し募集中。。。:2001/06/18(月) 16:22
hozen
172名無し募集中。。。:2001/06/19(火) 17:47
保全
173ななし。:2001/06/20(水) 23:11
 
174名無し募集中。。。:2001/06/22(金) 23:49
この小説はもう復活しないのか?
175名無し募集中。。。:2001/06/25(月) 23:04
ねばり強く残ってるネ、このスレ。
176名無し募集中。。。:2001/06/27(水) 04:51
まだ期待されてるんですよ。分からないかな?
177名無し募集中。。。:2001/06/27(水) 18:11
最後まで書いてくれ。待ってるぞ。
178カムバック・ナッチ!:2001/06/30(土) 03:39
   北海道の室蘭郊外。真新しい一軒家の前。駐車場に一台の軽自動車が停まり、
   中から安倍が降りてくる。室蘭ジャスコの買い物袋をぶら下げている。

安倍「(家の中に向かって大声で)ただいまー! 今日はお刺身が安かったのー!」

   庭の木立ちの中。木陰から様子を見ている後藤と福田。

福田「(ひそひそ声で)後藤、まず私が行く。あんたはそこで待ってて」
後藤「(黙ってうなずく)」

   玄関に向かう安倍の後ろから、福田が近付いていく。

福田「なーっちさん!」
安倍「(無邪気な顔で振り返る)はーい?」
福田「(おっすーのポーズで)おっすー」
安倍「(驚いた表情で)ふ、福ちゃん! ど、どうしたんだべさー?」
福田「(おどけて)へへへ、ちょっとね・・・」
安倍「福ちゃんがそういう顔する時は、何か大切な話がある時だって分かってるよ」
福田「さすがはなっち。話が早いよ。あんたに会わせたい人がいるんだけど?」
安倍「誰? 福ちゃんの紹介なら誰でもウェルカムだべ」
福田「(木陰の後藤に向かって)だってさ、出て来なよ?」

   かたい表情をした後藤が、木陰から姿を現す。
179カムバック・ナッチ!2:2001/06/30(土) 03:41
   後藤を見て、安倍の顔が恐怖で歪んでいく。

安倍「(福田に向かって)ひ、ひどいよ、福ちゃん! (後藤に向かって)お、お願い・・・
   こ、殺さないで! もうなっちは芸能人じゃないんだよ。ごっつぁんの驚異になんか
   なるわけないでしょう!(涙を流し始める)」
福田「なっち、後藤の目をよく見な。奴隷島を仕切っていた頃とは全然違うよ」
後藤「(安倍の目を涙ぐんで見つめて)・・・なっつぁん」
安倍「(首を傾げながら)ごっつぁん・・・?」

   家の中から若い男の声が聞こえてくる。

男の声「なち子さん、お客さんかい? 家に上がってもらいなさい」

   安倍、ためらいがちに後藤の手を取る。

安倍「ということなんで、二人とも家の中に入るべさ」

   安倍、後藤、福田は家の中に入っていく。
180カムバック・ナッチ!3:2001/06/30(土) 03:58
   リビングルーム。テーブルについた福田と後藤に、杏仁豆腐が出される。
   福田はスプーンで杏仁豆腐を触り、冷や汗を流している。

福田「これって本物?」
安倍「どういう意味?」
福田「まさか牛乳を寒天で固めただけってことは・・・?」
安倍「(甲高い声で笑う)アハーハー! 懐かしい話だねー!」
後藤「(実は黙々と食べていて)おいしいよ、これ。本場のみたいだね」
安倍「(微笑んで)えらい、正直だね」

   安倍たちの間には和やかな空気が流れている。

福田「(部屋を見回して)ところで御主人は?」
後藤「なっつぁん、結婚したんだよねえ?」
安倍「(照れながらうなずく)うん! 家の人ったら、すごくシャイだから・・・」
福田「そうか。(わざと偉そうに)元スーパーアイドル美少女二人組の前に出てくるのが
   恥ずかしいんだ?」
安倍「その通りだべさ。(甲高い声で)アハーハー、あの人はなっちより純粋なのー。
   とっても可愛い人なんだからー、アハーハー。いやーん、恥ずかしい」

   ひとりで惚気ている安倍を、後藤はアイドル時代の冷たいポーカーフェイスで
   見つめている。
181カムバック・ナッチ!4:2001/06/30(土) 04:20
   杏仁豆腐を食べ終えた福田が真面目な顔になる。

福田「なっち、そろそろ本題に入るね?」
安倍「(真顔で)うん」
福田「私と後藤は新ユニットを組むことに決めた。それで、なっちも一緒(ここで
   安倍に遮られる)」
安倍「(福田の言葉を遮って)それはダメ、いくら福ちゃんの頼みでも。なっちはもう
   芸能界に戻る気はないよ」
後藤「(立ち上がって)なんでよ!」
福田「(後藤をなだめてから)なっち・・・結婚したからだね?」
安倍「(声を震わせて)そうだよ。なっちは一生、あの人と一緒にいるって決めたんだ。
   もう東京なんかに行くつもりはないべ」
後藤「はぁ・・・とても本心から言っているようには思えないね。だって、なっつぁんは
   どんな逆境の時も、あくまで自分が一番だと思い込むようにして頑張ってたじゃん。
   あれだけトップアイドルの地位に執着してたなっつぁんが・・・」
安倍「(静かに言う)あの時の安倍なつみはモー死んだべさ」
福田「(深い溜め息をついて)・・・」
後藤「(涙ぐんで)・・・」

   重苦しい沈黙を破り、奥から若い男の声がする。

男の声「なち子さん。嘘はいけないって教えてくれたのは君だったと思うんだがね」

   足音がゆっくりとリビングルームへ近付いてくる。
182カムバック・ナッチ!5:2001/06/30(土) 04:43
   よく日焼けした髭面の大男がリビングルームに入って来る。

大男「(福田と後藤に頭を下げ)どうも、はじめまして。安倍なつみの夫です」
福田「(別に驚いた様子もなく笑顔で)はじめまして、福田明日香です」
後藤「(あまりにも意外なキャラクターに呆然として)ご、後藤真希です」
安倍「(顔を伏せて)・・・」

   大男、安倍の肩に手を置いて優しく言う。

大男「なち子さん、僕のことは考えなくていい。もっと自分に正直に生きていいんだよ?」
安倍「でも・・・」
大男「新生モーニング娘。をテレビで見ている時の君の顔・・・とても寂しそうだった。
   それなのに、とても嬉しそうだった」
安倍「(大男を黙って見つめて)・・・」
大男「僕は思ったんだ。そのとき、君の顔は本当に綺麗だった。たしかにモーニング娘。
   のトップ安倍なつみの顔がそこにあったとね」
安倍「だけど・・・」
大男「(後藤と福田を見て)なち子さん、君には最高の仲間がいる。もう一度、僕にも・・・
   いや、日本中のなっちファンに、君が光り輝く姿を見せてやって欲しいんだ」

   大男は安倍の手を取って、にっこりと微笑む。

安倍「(こくんとうなずく)」
大男「(恥ずかしそうに)なっちは天使!」

   安倍、後藤、福田の三人はかたく手を取り合う。

安倍「なっちたちは・・・」
福田「生まれた日は違っても・・・」
後藤「死ぬ時は同じ!」
183名無し募集中。。。:2001/06/30(土) 05:45
復活ありがとう
184名無し募集中。。。:2001/07/01(日) 04:24
俺は今猛烈に感動している!
作者殿ありがとう。
185名無し募集中。。。:2001/07/02(月) 23:37
ネタスレ→小説というのは良くあるが、ネタスレ→小説→ネタスレってのは
初めてじゃないか? 作者マンセー!!!
186名無し募集中。。。:2001/07/04(水) 17:13
電波少年ネタがここまでシリアスな物語になるとは驚きです。
続きも期待しています。
187名無し。:2001/07/06(金) 20:59
保全。
188名無し募集中。。。 :2001/07/08(日) 20:05
hozen
189名無し募集中。。。:2001/07/10(火) 14:00
保全
190名無し募集中。。。:2001/07/12(木) 00:46
保全
191ちこりーた:2001/07/14(土) 02:49
GET190
192名無し募集中。。。:2001/07/16(月) 02:59
193名無し募集中。。。:2001/07/18(水) 00:48
194安倍なつみのモノローグ:2001/07/20(金) 01:29
 うちの人を見たときのごっつぁんの顔、おかしかったね。クールぶってたけど、
福ちゃんの驚きようもすごかった。
 なっちが、うちの人と最初に出会ったのは、もうずいぶん昔のことなんだよ。
 最初の頃、なっちはあの大きな人を、世界で一番カッコイイ人だと思っていたの。
だって背は高いし、優しいし、頭の回転もすごく速い・・・言うことないよね?
 だけど、なっちの周りの人たちは、全然そういうふうには見えてなかったみたい。
田舎臭くて、服装や会話のセンスも垢抜けない野蛮な大男・・・そんなふうに見えていたみた
いなんだ。でも周囲がなんと言おうと、なっちはあの人が大好きだった。
 だけど・・・あれは過密スケジュールで体がクタクタに疲れていて、しかもトップからひき
ずりおろされたばかりで精神的にもボロボロだった時のことだった。
 なっちは映画で共演したあるアイドル俳優と、すごく仲良くなっちゃったの。まわりは
遊び半分でナイスカップルーみたいな感じではやしたててただけなんだろうけど、お互い
疲れとか将来への不安から、すっかり惹かれ合っちゃって・・・。
 その俳優は漫画に出てくるような美形っていうだけじゃなくて、英語も喋れて、場の空気
をたくみに読んで気の利いた会話ができる人だった。すごい都会的な人だとおもった。
 それに比べて、あの人といったら・・・なっちは急に、客観的な目であの人のことを
見るようになっちゃった。
 はじめて周りの人が言っていたことの意味が分かっちゃったんだ。たしかにあの人は、
全然ふうさいのあがらない野蛮な大男だった。いいところなんて、力持ちってことぐらい
だと思ったの。
 でも・・・アイドル俳優との恋なんてのも長くは続かなかった。しょせんは異常な疲労と、
ロケ現場の独特な雰囲気のなかではぐくまれたイレギュラーな恋なんだもん。変なシチュ
エーションの中で生まれた恋なんて長続きするわけないよね。
 理想の恋人像を彼の中に見たんだけど、理想なんてのは実際には存在しないから、きっと
理想って言うのかもしれないね。なっちと彼との恋は、熱病みたいなものだったんだ。
195安倍なつみのモノローグ2:2001/07/20(金) 01:31
 そして熱がさめてなっちは思い知ったんだ。やっぱりあの野蛮な大男が、なっちにとって
本当に必要な人だったんだなって・・・。
 あの人があまり喋らないのは、なにも言わなくてもすべて分かり合えちゃうからだったんだよね?
 なっち、あの人のところに戻りたかったけど、パパラッチに撮られたアイドル俳優との熱愛写真をばら
まかれていたから、そんなことはとてもできなかった。
 だけど、それから何年も経って奴隷島から、見る影もなくボロボロの姿になって室蘭へ帰って
来たなっちを、あの人は昔と全然変わることなく迎え入れてくれた。
 あの人はずっとなっちのことをずっと待っていてくれていたの。奴隷島に乗り込むため
戦いの準備までしてくれていたの。
 ・・・さっきから、福ちゃんとごっつぁんは「客観性なんて言葉はちっとも美しくない!」とか、
難しい芸術談義をしているけど、なっちはなっちなりのレベルで、ちゃんと二人の言葉を
かみしめているからね。
 まわりのムードに流されているだけじゃダメなんだよね? 世界中でたった一人になっても、
ノーならノーって言える大人にならなきゃダメなんだよね?
 そうじゃないと、なっちはもう二度とあの人のところには戻れなくなっちゃうような気がするんだ。
196名無し募集中。。。:2001/07/21(土) 14:10
hozen
197名無し募集中。。。:2001/07/22(日) 23:11
保全
198名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 00:57
199名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:01
上げ
200名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:03
美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育美少女教育
201名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:03
ここはまだ生きてるネタスレじゃないか。
202名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:03
っていうか
辻は子悪魔だな
203名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:04
氏ね!!!!!!!
204名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:05
辻は
いつのまに
あんな態度のデカイ餓鬼になったんぞ
205名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:05
なんでこのスレに誘導したんだ?
206名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:05
奴隷島
207名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:05
元のスレに戻るぞ。
208名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:06
俺達は奴隷島でいきろってか
209名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:06
ジーエリア
久々のヒット。
210名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:06
貴重なネタスレが潰されていく、、、
211名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:07
辻ゴリラは氏ね!
212名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:07
奴隷キャラ約1名
213名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:07
オワレッテ
214名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:08
チャオ〜
215名無し募集中。。。:2001/07/24(火) 01:09
216名無し募集中。。。 :2001/07/24(火) 01:09
ネタネタ
217ウタダとの奴隷島決戦:2001/07/24(火) 12:30
ウタダとの奴隷島決戦ウタダとの奴隷島決戦ウタダとの奴隷島決戦ウタダとの奴隷島決戦ウタダとの奴隷島決戦ウタダとの奴隷島決戦
218名無し募集中。。。:2001/07/26(木) 00:21
sarasiage
219名無し募集中。。。:2001/07/26(木) 03:06
久しぶりに来てみたら荒らされてる、、、
やるなら羊で続けた方がいいんじゃないの?
220名無し娘。:2001/07/26(木) 03:08
まーた勝手な事を。
221名無し募集中。。。:2001/07/26(木) 03:27
初期の救いのない展開が好きだった。更新のペースも速かったし・・・
作者さん、途中で投げ出さないで完結させてください。
222名無し募集中。。。:2001/07/29(日) 02:48
223釧路市民球場前の光景:2001/07/31(火) 04:01
  近くの駐車場の空きスペース。CDが山と積まれたリヤカーを引っ張って、
  安倍、後藤、福田の三人がやって来る。
  C級アイドル感の漂う手作りの幟を立てて、三人とも自分の名前の書かれた
  襷を巻いている。
  三つ並べたリンゴの箱の上に立ち、安倍たちは拡声器を持って、通行人に呼びかける。

安倍「皆さん、私たちはセンタモニです!」
  安倍の言葉に通りすがりの若者がプッと吹き出す。
若者「センスのねえネーミング。バッカじゃねーの?(ペッと唾を吐いて立ち去る)」
  怒る後藤をなだめ、福田が言葉を続ける。
福田「暫定再デビューを果たしました。全国をまわって手売りで五万枚完売すれば
   晴れてメジャーに復帰できるんです」
  が、誰一人足を止める者はいない。中には哀れむような視線を向けてくる者も
  いるが、たいていは無関心か侮蔑の視線を送ってくるばかり。
  三人はそれでもあきらめずに、声を張り上げて宣伝を続ける。笑顔を絶やさない。
224釧路市民球場前の光景2:2001/07/31(火) 04:03

  そこへ警棒を持った警備員たちがやって来る。
警備員A「おいこらババアども! 誰の許可を取ってこのシマで商売してやがるんだ?」
  ババアと言われ沈黙する安倍たち。後藤が警備員に食ってかかる。
後藤「ババアだって? 後藤たちが?」
警備員B「(首を傾げてからニヤリと笑い)あーん、後藤だと? そういや昔、そんな
     名前の三流歌手がいたような気がするぜ」
警備員C「この鼻っ柱の強そうなババアは後藤真希だよ。で、こっちの真っ赤なほっぺ
     のが安倍なつみで、チビが福田明日香だ」
警備員D「(無遠慮に安倍たちを見回して)アヒャハハハ、つまりモーニング娘から
     落ちこぼれたクズが三匹つるんでるって訳か? 哀れだなァ・・・」
警備員A「(舌打ちして)糞ババアどもが・・・てめえらまだ芸能界に未練があるのかよ。
     まーた美味しい思いをしたいってわけだ?」
  警備員Aに襟首をつかまれた福田、首を振って答える。
福田「違う、そうじゃない! 私たちは本当に良く出来たものが売れるってことを、
   業界の暗部に巣食う金の亡者たちに見せつけてやりたいだけだ!」
警備員B「それが、てめえらババアどもの歌だってのか? 笑わせてくれるぜ」
警備員C「これ以上、ババアどもの戯言に付き合ってる暇はねえ。たっぷりと可愛がって
     やろうぜ!(ニヤリと笑う)」
  警備員Cの言葉と共に、警備員たちと面白そうに成り行きを見ていた群衆たちが、
  安倍たちに襲い掛かってくる。
  後藤と福田は何人かの群衆を殴り倒すが、警備員に捕まった安倍に気を取られたすきに、
  後頭部や背中を痛打され倒れ込んでしまう。そこへ集団による暴力が振るわれていく。
225アスファルトに屈辱のキス:2001/07/31(火) 04:18
   地べたに丸まって、ひたすら暴行に耐える安倍、後藤、福田の三人。
   血まみれになった安倍、それでも目を見開いたまま、じっと数日前の
   屈辱的なシーンを回想する。

   ※以下、回想シーン※
   Z社の手狭な部屋の中。不潔な中年の社員が、安倍たち三人に横柄な態度で
   何か言っている。

社員「要するにモーニング娘の時と同じわけだな。自分たちの手で売り切ったら、
   君たちをメジャーデビューさせてあげよう。ありがたく思えよ。
   (ニヤリと笑ってから)まあ、もっとも・・・今回我々は、レコードショップ
   や球場その他、手売りのための場所を手配はしないがね」
後藤「クッ・・・(拳を握り締める)」
社員「どこなりとも、自分たちで場所を見つけてセールスしたまえ。売れ残りは
   全て買い取ってもらうからな。アヒャハハハハハハ!」

   安倍は悲しそうに溜め息をつき、福田はポーカーフェイスを崩さない。
   三人はこくんと頷き合って、互いに挑戦の意思確認をする。
226釧路市民球場前の光景3:2001/07/31(火) 04:43
   安倍たちへの暴行は続いている。

若者「芸能界の老害、化石みてえなババアどもは氏ね!」
警備員A「激しく同意! アヒャハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

   そこへ突然、激しくいきり立つ男女の集団が、安倍たちを助けに現れる。
   モーヲタ集団は警備員や暴徒たちと激しい戦闘を繰り広げ始める。
   ある者はサッカーシャツを着ている。珍走団の特攻服を着ている者もいる。
   ふるさとの浴衣を着ている者もいる。ブランド物でかためた者もいる。
   首元が伸びた汚いTシャツを着た者もいる。蛍光塗料の棒を持った者もいる。
   年齢はその多くが後藤たちと同年代かそれ以上の者ばかり。

ヲタA「なっちは天使だ、ゴルァ!(警備員Aを殴り倒す)」
ヲタB「ごっちんマンセー!(警備員Bを殴り倒す)」
ヲタC「明日香に萌えない奴は逝ってよし!(警備員Cを殴り倒す)」
ヲタD「そこのお前も、お前も、オマエモナー!(警備員Dや暴徒をまとめて殴り倒す)」

   警備員と暴徒を倒したモーヲタたちは、安倍たち三人を介抱すると、
   山積みになっていたCDを全て買い求めて、再びどこかへと散り散りに
   なって去っていく。
227名無し募集中。。。:2001/08/01(水) 01:53
モーヲタ(・∀・)カコイイ!!
保全。
228名無し募集中。。。 :2001/08/02(木) 15:29
晒しあげ
229数ヵ月後・黒幕の部屋:2001/08/04(土) 03:28

   とあるビルの最上階にある部屋。内装は贅の限りを尽くしてあり、黒幕自身が
   手塩にかけて育て上げた様々な売れっ子タレントの写真が飾られている。
   豪華なソファに深く腰掛けた黒幕は、苦い表情でテレビを見ている。

   ※以下、テレビの中のシーン※
   流行のチェックにはもってこいのワイドショー番組。組まれている特集は
   『密着! 超人気・新生モーニング娘』と『奇跡の復活! 究極のユニット・
   センタモニ』という内容。
   全てのコメンテーターが口々に、新生モーニング娘とセンタモニを誉めそ
   やしている。

中島誠之助「(少し涙ぐみつつ)彼女たちは実にいい仕事をしてますなあ!」
市川森一 「あの子たちが味あわされた奴隷島の悲劇・・・いつか僕が脚本に起こして、
      映画にしたいと思います。この時代を生きる僕たちには、あれを後世まで
      伝える義務があると思うんです!(熱く語る)」
やくみつる「視聴者に分かりやすいように、これまでのいきさつを漫画にしてきました。
      (照れ臭そうに)なんか全員すごい美人に描いちゃったけど、ベイスターズ
      と同じくらい彼女たちが好きなんですから仕方ないでしょ」

   ※テレビのシーンここまで※
230黒幕の部屋2:2001/08/04(土) 03:28

   テレビのスイッチを切った黒幕、両手でテーブルをばんと叩く。
   そこへ秘書が入ってくる。

秘書「(やや怯えたように)会長、お客様です」
黒幕「(無愛想に)誰だ?」
秘書「は、はい・・・あの・・・つ、つんく氏です」
黒幕「(つんくと聞いてニヤリと笑い)そうか、分かった。通せ」
秘書「はいっ(逃げるように立ち去る)」

   一人になった黒幕、高笑いしながら言う。

黒幕「フフフ・・・飛んで火に入る夏の虫とはお前のことだ、つんくめ。
   今日ここで完全に貴様の息の根を止めてくれる。アヒャハハハハハハハハ!」

   まもなくノックの音が聞こえ、ドアがゆっくりと開かれる。
231名無し募集中。。。:2001/08/06(月) 02:46
保全
232名無し募集中。。。 :2001/08/08(水) 02:14
えろいのきぼん
2331Cust143.tnt1.yamagata.jp.fj.da.uu.netさん:2001/08/08(水) 03:16
ほぜ〜ん
234名無し募集中。。。
おお、まだ続いてた