昼ドラ小説『紅緋色の花』第2章

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1名無しさん@1周年
過去ログhttp://members.xoom.com/monaka01/saki/963225497.html
***プロローグ***
ヤケにもなるがな」裕子は2杯目のジョッキを空けてから
吐き捨てるように答えた。
「ねっ、冷静になろうよ。希美ちゃんはまだ中学生じゃない?
やっぱまずいよ。将来のことを考えてもさ。」保田は諭すような
口調で言った。学生時代から姐御肌でリーダー格だった裕子だが、
彼女が理性を失った時にコントロールをしてやる影の参謀役は
いつも保田だった。こういう組み合わせゆえに、ふたりの関係
が続いているのだろう。
「せやけど、希美は言い出したら聞かんのや・・・」呟きながら
裕子はテーブルに顔を埋めた。普段は気丈な裕子の弱い姿に、
保田は、かけてやる言葉を見付かけられなかった。
ただ黙って裕子の頭をぐりぐりと撫でた。

京都に戻った裕子は、葛藤の末、ようやく希美に子どもを
産ませる決意を固めた。その子を自分の子どもとして育て
るということも・・・。
希美のお腹の子どもはもう3ヶ月。桔平と希美の蜜月は
ほぼ1ヶ月ほど続いていたようだった。寝室で見せる
夫の素振りで、裕子には大体の察しはついていた。
しかし裕子はそんな夫を拒むことができなかった。
結局夫婦の関係は持ち続けていた。
産ませると決めた以上、そろそろこの河原町を出なければいけない。
「東京にでも、出てみるか・・・」晩夏の夜、裕子は上京を決めた。
2名無しさん@1周年 :2000/09/02(土) 01:20
「刑事コジャック」で言うとスタブロス
3あなざあな作者なのれす :2000/09/02(土) 09:31
「河原町」を含む地図の検索結果(ヒット件数=85)by mapion
大阪にも京都にもあるんですが、舞台はどこだったのでしょうか
それとsageのほうがいいですかねえ
4名無し娘。 :2000/09/02(土) 09:44
繋がりがよくわかんないんだけど、間にまだなんかあるのか?
5作者。 :2000/09/02(土) 10:26
3>一応京都の河原町のつもりだったのですが・・・
  sageでやろうと思っています。

4>繋がりというのは、これまでの話との繋がりですか?
  間には何もなく、続きですよ。
  それからアナザストーリーとは、一部登場人物が異なります。

***これまでのあらすじ***

未婚の母だった裕子は、13年間娘の希美とひっそりと暮らしてきた。
呉服屋で働いていた裕子は、染織家の桔平と出会い結婚する。
幸せな生活がはじまるかのように思えたが、桔平は希美と関係を持ってしまう。
希美は義父に恋心を抱くようになるが、桔平の弟子・カオリによって
義父の不貞を知らされ、ショックを受ける。そして、半分事故のような形で
桔平を殺害してしまう。裕子によってこのことは隠され、桔平は山林に埋められる。
その後、母子の平穏な暮らしが戻るかと思えた頃、希美の妊娠が発覚する。

→ここまでが原作(アナザーではなく)第一章です 
6作者。 :2000/09/02(土) 10:33
3>一応京都の河原町のつもりだったのですが・・・
  sageでやろうと思っています。

4>繋がりというのは、これまでの話との繋がりれすか?
  保田と尾道ラーメンを食べていたところからの続きなのれす。
  それからアナザストーリーとは、一部登場人物が異なります。

 
舞台は東京に移り、裕子ママメインで物語は進行する予定れす。
よって、新キャラは裕子を取りまく人物として、多く登場するのれす。
保田さんは、これまで通り活躍します。
7作者。 :2000/09/02(土) 10:35
あぁ〜、失敗したのれす。
8名無し娘。 :2000/09/03(日) 02:37
保田に手伝ってもらって、一週間後には荻窪に部屋を
見つけた。京都を離れるまでの日々は慌ただしく過ぎたが、
従姉妹のみちよや、桔平の仕事関係の知り合いにも、裕子は
律儀にも引っ越しのあいさつにまわった。
そんな時、桔平の染色家仲間のひとりが、カオリが精神を病んで
入院したということを教えてくれた。

引っ越しはきのう終え、希美はひとり部屋にいる。
裕子は職探しのため、今日もスーツを着て朝早く部屋を出ていった。
華奢な割には骨盤がしっかりしているため、希美のお腹は
あまり目立ってこない。3ヶ月も過ぎ、つわりも落ち着いてきたので
希美は、しばらくの間学校に通うことになった。
このことは裕子が希美の高校進学を考えて決めたことだった。
体育の授業というハードルが残っていたが、軽い心疾患がある
ということにしておいて、免除してもらう予定だ。
今日は初登校の前日。
希美は、ま新しい制服をハンガーに掛けて壁に吊るし、
嬉しそうに眺めている。
今度の制服はボレロにジャンパースカートというスタイルだ。
茄子紺色の上下に、桃色のリボンというこの制服を、
希美はいたく気に入ったようだ。
「友だち、できるといいなぁ」
希望に満ちた顔で、希美が呟いた。
9名無し娘。 :2000/09/03(日) 02:58
裕子は、職探しの合間に、ちょっと休憩をするつもりで
渋谷をぶらぶらしていた。すると、中年の男から声をかけられた。
京都にいた頃から職探しをしていたのだが、もう一ヶ月も職が
見付からない。年齢と、シングルマザーということが
ネックになっているようだった。
希美のお腹の子は、日々成長する。娘のためにも、
早く職を探さなくてはならない。裕子は精神的に追い詰められていた。
「いい仕事はあるんだけど」そう言って裕子に声を掛けてきた男に
連れられて、半地下にある喫茶店に入った。
若い頃から、男で苦労をしている裕子は、人一倍警戒心が強い。
それゆえ、見知らぬ男にふらふらとついて行くなんていうことは、
普通の裕子ならば考えられない行動なのだが・・・。

スカウトマンだというその男は、仕事の内容にはあまり触れずに、
破格の日給について、熱心に語った。
裕子は、もうお嬢さんという年齢ではないので、どういった仕事なのか
大体の察しはついていた。
風俗・・・渋谷という場所柄からいって、デートクラブだろう。
スカウトマンの話に、適当に相づちを打ちながら、裕子は決心を
固めていた。(・・・背に腹は変えられんわ。自由にシフト、組めそうやし。希美の世話もしてやれるなぁ・・・)
手付かずのままのアイリッシュコーヒーを一口飲んでから
「ウチ、やってみようと思います。できれば、今日からでも。」
裕子は開き直ったようにそう言った。
10名無し娘。 :2000/09/04(月) 01:50
スカウトマンに案内されて辿り着いた場所は、道玄坂にあるマンションの一室だった。
部屋のなかに裕子を通した後、男は部屋を出て行った。
狭いワンルームはタバコの匂いが染み付いていて、薄汚れていた。
5人くらいの女がテーブルを囲んでテレビを見たり、
雑誌を読んだりしていた。
女たちの年齢は20歳前後から30歳くらいまでとばらばらのようだった。
皆、新入りにはさしたる感心がないようで、裕子のほうを見ようともしない。
部屋の中には、女たちのほかに、男がひとりいた。
サングラスをかけ、金髪の男は寺田と名乗った。彼は電話番らしい。
この部屋には電話が10台ほどある。何に使うのだろうか。
ぼーっと部屋のなかを眺め、立ち尽くしている裕子に、寺田が
話しかけた。
「まぁ、座ってぇな。源氏名でも決めよか。」
気さくそうな彼の笑顔に、裕子は少しだけ安心した。


源氏名なんて気恥ずかしい、という裕子の申し出で
本名の「ユウコ」でいくことになった。
寺田から、「事務所」の決まりごとなどを一通り聞いた。
話が終わると、寺田は女たちの群れのなかに入るように促した。
「まぁ、若いコばっかやけど、緊張せんといてな。ユウコちゃん!」
(・・・ウチかてまだまだ若いやんか。それに「ちゃん」てなんやの?)
裕子は腹のなかで文句を言った
11名無し娘。 :2000/09/04(月) 01:58
とりあえず、一番近くの空いているところに腰を下ろした。
すると、隣の女が毛布を差し出してきた。
「これ、膝にかけなよ」そう言った彼女は、10代のように見えた。
運動部のマネージャーでもやっていそうな、ショートカットの似合う
美少女だった。
彼女とこの場所というミスマッチで、しばし呆然としてしまった裕子に
彼女は続ける。
「あたしサヤカっていうんだ。こう見えてもこの世界長いんだよ。」
裕子の頭は、増々混乱するばかりだった。
サヤカの話を聞いていた寺田が話をちゃかす。
「サヤカちゃん、こんなに清楚っぽいねんけど、ごっつ恐ろしい
女王様なんやで〜」
「やめてよ〜、寺田さん。新人さん怖がってんじゃん、アハハ!」
カラカラと笑ういたずらっぽいサヤカは、普通の高校生にしか見えなかった。
12名無し娘。 :2000/09/04(月) 02:22

・・・電話が鳴った・・・
「・・・はい、そうです。会員番号お願いします。・・・あ、山崎さんですね。
いまどちらですか?・・・そうですか、いつものとこの1104号室ですね。
・・・アヤさんですね、わかりました。30分くらいで行けると思います」
寺田は、メモをとったり名簿をみたりしながら電話に応対していた。
電話を切ると、鼻ピアスをした女にメモを渡した。
アヤはフェンディのバニティにメモを放り込んで、「行ってきます」と無機的に言った。青い豹柄のキャミソールが良く似合っていた
「いってらっしゃーい」と、部屋にいる女たちに倣って裕子も言う。

部屋を見渡すと、指名と延長の数を表したグラフが壁に貼ってあり、
テーブルの上には、お菓子やマンガと一緒にコンドームが散らばっていた。
(・・・ウチも、堕ちたなぁ)
ふと掛け時計を見上げると、午前11時を指していた。
希美は、初登校で2時間目の授業をうけている時間だ。
裕子は小さく溜め息をついた。
13名無し娘。 :2000/09/04(月) 02:43
希美は定時に学校に行き、通り一遍の自己紹介をして席に着いた。
担任は小湊という音楽の先生だ。優しそうでかわいい人で、希美は
安心した。
1時間目がはじまり、希美は教科書がないことを思い出した。
人見知りするタイプの希美は、いささか緊張しながら隣の席の女の子に
声をかけた。「あ、あのー。教科書見せてくれませんか?」
机の下に文庫本を隠して読んでいたその子は、ふっくらしていて
かわいらしい子だ。希美の呼び掛けに気付いて、少し慌てる。
「えっ?あ、はい。どうぞ。」とだけ無愛想に言って、また目は
文庫本におとした。
希美がそっけない彼女の態度にしょんぼりしていると、
「机くっつけなよ」と言ってくれた。相変わらず無愛想だったが・・。
「ありがとう」と元気よく言って机を移動させた。
彼女の教科書の裏表紙には整った字で「1年B組 福田明日香」と
書いてあった。
希美は、なんとなく明日香と仲良くなれる気がした。嬉しくなって、
明日香の顔を覗き込んでにこっと笑った。明日香は驚き、つぎの瞬間
真っ赤になってそっぽをむいた。
14名無し娘。 :2000/09/04(月) 03:00
裕子の初仕事は、六本木のシティホテルだった。
予定外に、あまりにもあっさりと仕事をこなせた。
客は、名古屋からの出張者だった。そのほかにも2件の仕事を
終え、事務所で寺田から6万5千円を受け取ってから帰宅することにした。
午後8時・・・オレンジ色の電車に揺られながら、
裕子は夕食のメニューを考えていた。
麻のスーツを着ていて、夜になると肌寒さを覚える
季節になった。桔平が死んでから、もう2ヶ月が過ぎてしまった。

「ただいまー」と言いながら裕子がアパートの扉を開けると、
台所で希美がジャガイモをむいているのが目に入った。
水色のギンガムチェックのエプロンがよく似合っていて、
ぎこちなく皮剥きを使う様子は、我が子ながらとても愛らしく、微笑ましかった。
疲れている裕子の顔が、希美を見て安堵の色に染まっていった。
15名無し娘。 :2000/09/04(月) 03:47
希美お手製の肉じゃがを囲んで、初登校の感想や体の調子について
裕子は娘の話を聞いてやった。親子ふたり、楽しい食卓だった。
午後10時、裕子は入浴を終え浴衣に着替えていた。すると、電話が鳴った。
2DKの台所にある受話器を取る。希美はもう寝ていた。
「・・・はい、どちらさまでしょうか?」女所帯の用心から、裕子は名字を名乗らない。
「もしも〜し、圭ちゃんで〜すっ!裕子ー、元気にしてるかぁ?」保田は珍しくハイテンションだった。
呑んでいるのかもしれない。
「なんや圭ちゃん、平日の夜に電話なんて珍しいやんか。ウチらは元気やで。なんかあったんか?」
「それがさぁ、あたしももういい歳してOLもやってらんないと思って、総合職試験を受けてみたんだ。
そしたらー!うかちゃったんだー!!
10月から東京本社に転勤になるからね。ほらほら、お祝の言葉は?」
裕子は「おめでとう」と言ってから、その後しばらくお互いの近況報告をし合った。
無論、デートクラブのことは話さなかったが・・・。
カモフラージュとして、派遣の仕事が決まったけど、他にいい仕事があったら世話して欲しい、
と言っておいた。後半部分は、ウソではなかった。

保田が東京に越してくることを、裕子は嬉しく思っていた。
短大、そして卒業後の2年間の商社勤めこそ東京で過ごしたものの、
ほとんどずっと京都で過ごしてきた裕子にとって、東京での新しい生活は心細いものだった。
ましてや、娘の希美は妊娠している。精神的な支えが欲しかった。
保田の実家は、たしか千葉の方だった。総武線を使えば、わりと近いなと思い、裕子の心は踊った。
カレンダーはもう9月だ。「もう9月か・・・。圭ちゃん来るのもうすぐやん。がんばろ。」
自分に言い聞かせるように呟いた。
16作者。 :2000/09/04(月) 03:58
***ちょっと整理しましょう***

裕子→東京でOLをやっている時、上司との不倫で妊娠。認知を受けず、
   希美を出産。その後、地元京都に戻る。染色家桔平と結婚するが・・・
   第2章から東京に移転。

希美→裕子の娘。中1。義父桔平と関係を持ってしまう。それがもとで妊娠。
   義父を過失で殺してしまう

保田→裕子の短大時代からの友人。薬卸売業社のOL。京都在住。

寺田→ホテトル事務所の電話番

サヤカ→おそらく源氏名であろうと思われる。年齢不祥の女王様。
    私生活ではふつうの女の子

明日香→希美の転校先での友だち。よいアドバイザ−になる予定
  
17名無し娘。 :2000/09/04(月) 04:16

道玄坂を登り百軒店の看板をくぐる時、裕子はホテトル嬢「ユウコ」になる。
そして、帰りにまたあの角を曲がる時、裕子に戻る。
デートクラブでの仕事も、だいぶ慣れてきた。指名ももらえるようになり、
実際、裕子の人気はなかなかのものだった。
今日は3件の仕事をこなし、収入は7万円だ。
寺田から金を受け取り、財布とは別に、袱紗に包んでバッグにしまう。
トイレに入って、仕事用の黒いキャミから、ベージュのサテン地のスーツに着替える。
トイレから出たところでサヤカに声をかけられる。
裕子は、なんだかこのサヤカに懐かれている。
電話番号の交換や、身の上話しもたまにするような関係だ。
「ユウコさん、あたしも今あがりなんだ。お茶してこうよ。」
サヤカは、さばさばしてて嫌いではない。
むしろ、ふたりめの娘のようにかわいいと思っている。
その日も、お茶をしながらサヤカの愚痴や悩みを聞いてやった。
18名無し娘。 :2000/09/04(月) 04:45
休日の午後、裕子の希美の住まいには、お香の煙りが静かに天井に向っている。
裕子は久しぶりに和服を着て、抹茶を点てている。
希美の出産と同時に勘当されたものの、もともとは名家の出身の裕子。
やはり、茶を点てるのは心が落ち着く。
そんな裕子の昔を知らない希美も母の和服姿を見ると、やはり心が穏やかになっていく。
母の美しいうなじに、しばし見入ってしまう。
正座をして、大人しく、母の点てる抹茶を待っている。
茶菓子は秋らしく、りんどうをモチーフにしたものだった。
希美は、口には出さないものの、最近の母の変化を敏感に感じ取っていた。
なんというか、しっとりとしたところが失われてきているのだ。
勿論、希美にとって優しくて頼りになる母親であることはかわりはないのだが。
派遣の仕事をはじめたせいかと思ったこともあったが、どうやらそうではないようだ。
希美は母ことが心配だった。
何か、希美の知らない裕子になってしまうようで、不安だった。
19名無し娘。 :2000/09/04(月) 05:51
希美はもう新しい学校に馴染んでいた。人見知りはするが、穏やかで甘えん坊なので、友だちはすぐにできた。
なかでも隣の席の福田明日香とは、仲が良い。というよりも、ふたりは姉妹のような雰囲気だ。
おっちょこちょいの希美の世話を、明日香が焼いてやっているのだ。
体育の時間、妊婦の希美は当然見学だ。理由は、心臓が弱いから、ということになっているのだが。
今日の授業はバスケットだ。明日香は小柄ながら足が早いので、割と活躍している。希美は明日香を目で追っている。
すると、パスミスのボールが希美のほうに飛んできた。明日香がパスしたボールだったが、球威がありすぎたのだ。
避けきれず、希美の頭にボールがかすめた。「きゃあ」と短い悲鳴とともに、希美はとっさに腹部をおさえた。
明日香が駆け寄ってきた。
「希美!大丈夫?」
「うん、ぶつからなかったし」と言った瞬間、下腹部に痛みが走った。
20名無し娘。 :2000/09/04(月) 05:54
「っつぅ・・・」希美はトイレに行って、落ち着くまでそこにいようと思った。
立ち上がるが、ぐらぐらっとして足がもつれる。
「やっぱおかしいよ。保健室いこ!」明日香は希美を心配してそう言った。
お腹は痛い。もしかして、ボールがぶつかりそうになったショックで、
お腹の赤ちゃんに何か影響があったのかもしれない。しかし、保健室に行くのはまずい。
妊娠がばれてしまうかもしれないからだ。希美は絞り出すように頼んだ。
「福ちゃん、お願い。病院・・・病院に連れてって」

早退する希美を家まで送るという名目で、明日香たちはタクシーで病院に行った。
診察の結果、胎児に異常はなかった。腹部の痛みも、もう治まった。
安心して希美は明日香の待つ待ち合い室に戻る。
保健室に行くことを頑に拒んだこと、そして何より産婦人科に来たことで、
明日香にも大体の察しがついていた。
「ごめんね・・・福ちゃん」という希美に、わざと元気よく
「もー!学校さぼっちゃったよ。マックでおごってね!」と言った。
21名無し娘。 :2000/09/04(月) 05:57
こめじるし警告 下げてやらないと荒らしますですでござる 認々
22名無し娘。 :2000/09/04(月) 06:09
>21 ごめん。普段は下げてるんだけど・・・この時間でもまずいのか。
23名無し娘。 :2000/09/04(月) 08:08
いいっすねー、明日香。なんか明日香がいるとほのぼのする。
24名無し娘。 :2000/09/04(月) 10:45
マクドナルドでお昼御飯を食べながら、明日香は何も聞かなかった。
ただただ、沈んだ希美を笑わせようと、普段はしない噂話なんかをして
明るく振る舞っていた。
そんな明日香の優しさが、嬉しくもあり、つらくもある希美だった。
そして、ふと話が途切れた時、希美は自分から告白した。
「あたし、妊娠してるんだ。赤ちゃん・・・産むんだ」
「えっ・・・産むんだって・・・」明日香は食べようとしていた
ポテトをトレイに落とした。あっけに取られたような顔をした。
「うん。・・・お母さんも知ってるよ。産んだ子どもは、お母さんの
子っていうことにするんだ。」
「・・・・・」明日香は俯いている。
「あっ、ごめんね。福ちゃん、暗くなっちゃやだー。」希美はおどけてみせた。
明日香は顔をあげた。
そして「わかったよっ!あんたと赤ちゃんのことはあたしが守ってあげる。
だから、学校で無理しちゃダメだよ?」と言った。もう、いつもの笑顔に戻っていた。希美もつられて笑顔になった。
25名無し娘。 :2000/09/04(月) 23:17
今日の最後の仕事は、恵比寿のシティホテルだった。いつも通り白タクの後部座席のシートにもたれて、夜になり始めたの街を眺めている。遠くの空が茜色で、近くに見えるビルの群れは夕日に照らされて銀色に光っている。ふとバニティの中から、メモを取り出して、見てみる。
(恵比寿エクセレント/1507/和田/3、5+5)
最後の数字は3.5000円の客で交通費は5.000円ということを示している。
和田という客は、新規だった。

ホテルの入り口に車がつけられ、運転手の「いってらっしゃい」という声に送りだされる。
ロビーを歩く時のいやな緊張感には、今もまだ慣れない。
きっと、これからも慣れることはないだろうと思う。
従業員に呼び止められることもなく、エレベーターに乗れた。
ほっとしたのも束の間、15階に着いて扉が開く。
こつこつという自分の靴音だけが、この静かな廊下に響く。
ベルを鳴らす前に、小さくひとつ深呼吸をしてみる。
「こんばんわ」部屋のなかから顔を見せたのは、少し彫の深い中年だった。
シャワーを浴びた後なのだろう、バスローブを着ている。
どこか怖いタイプの男だ・・・裕子は思った。
笑みを作っている彼の目は、笑ってはいなかった。
その目は、昔映画で見たスパイ役に似ていた。
26あなざあ作者なのれす
期待してます。さすが昼ドラ。社会派です。
頑張って下さい。