1 :
木村 :
小説かきました。
タイトルは
『キリングセンス』
2 :
木村 :2000/08/30(水) 00:48
早朝の午後8時一人の少女はある一つの『大切な物』を持ってまだ乗客も少ない都営バスに乗った。
一時間ほど走ったろうか、ようやく少女が目的としていた停留所までたどり着いた。その時点でバスの中は少女一人だけだった。
「あんたずいぶんと長いこと乗ってたね・・・。どこ行くの?」
運転手の言葉を聞いた少女はニコリともせずに料金を払い降車した。
取りあえずあたりを見回す少女。そこは田舎と言うと大袈裟になるが決して開けた場所ではなかった。
創造力が豊かな者はもう飽き飽きしていると思うが、そう遠くもないところに波止場があるようだ。船の汽笛が聞こえていた。
停留所にある椅子に腰掛けしばらくの間休憩していると一人の20代後半であろう女性がこちらに気づき、近寄ってきた。
「あんた、ここらの子やないやろ?」
関西弁に慣れていない少女は少々その口調にむっとしたが間髪いれず小声で答えた。
「そうです・・けど?」
「名前、聞いてもええかな・・・」
「・・・吉澤・・・・・吉澤ひとみ」
3 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 00:48
『ナチュラルボーンファイター』
を、希望します。
4 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 00:50
キリングセンスってお笑い芸人だよね。
5 :
木村 :2000/08/30(水) 00:50
ある廃ビルに到着した2人は正面入り口とは逆の非難出口と言うところから入った。
粗末なドアを開くとそこには少し古いタイプのエレベーターがあった。
「これに乗るんですか?」
「別に壊れてへんから・・・はよ乗りいや」
じれったくなったのか女性は吉澤の背中を少し強めに押した。
「どうしたんちょっと顔色悪いで」
エレベーターのあの浮き上がるような感覚が苦手な吉澤は少し気分を悪くしていた。慣れている者が見ればそんな事でとは思うかもしれないが、不慣れな者はそういうモノなのだ。
下まで降りると宿舎のようになっておりそれなりに奇麗に整備されていて古臭いなりに暮らせるようになっていた。吉澤はあたりを見回しながら進んでいた。途中立ち止まったりすると、また背中を押された。
「あんたにまだ名前ゆうてへんかったなあ」
「ああ、そう・・・ですね」
「中澤裕子です。これから一緒に働く事になるけど、よろしくな。関西弁慣れ てへんみたいやな、あんた」
「ええ、ほとんどの事は不慣れですから。すいません」
「高倉健みたいやな」
会話をしていると向こうから13歳ぐらいであろう小さな少女がかけ寄ってきた。
6 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 00:50
ほぅ
7 :
木村 :2000/08/30(水) 00:51
「中澤さん、どこ行ってたんですか?矢口さんがまた大変だったんですよ」
「あの、中澤さん・・・・」
「ああ悪い。紹介しとくわ、この小さいのは辻」
「辻希美です。こんにちは」
辻は吉澤に対して軽くお辞儀をした。
「で、辻」
「あ、また矢口さんが発作を起こしたらしくて・・・。さっき亜依ちゃんが止 めにはいっちゃってひどい怪我を負ってます」
「ほんまか・・・。吉澤あんた保健体育得意か?」
「は?」
「手当てできるかって聞いとんねん。できるなら医務室いってくれへんかな辻 ちょっと一緒に来てくれるか?」
「はい」
「あの、中澤さん」
「医務室はドアの上にプレートがあるからすぐわかる、うちらは隔離個室にい ってくる」
中澤は慌てた顔でそういうと、辻をつれて走っていった。
一人になった吉澤は医務室を見つけるとドアの前でいったん立ち止まり深く息を吐いた。
「誰だよ・・・。亜依って」
そう呟いてからドアを開けた。そこには亜依と言う少女と一緒にもう一人椅子に座っていた。
「あ・・・あの」
吉澤が声をかけると部屋の少女は驚いた様子で顔を向けた。
「誰?」
その少女は高校生ぐらいで落ち着いた感じの奇麗な子であった。
8 :
木村 :2000/08/30(水) 00:51
「あの、中澤さんに頼まれて・・。亜依って子、大丈夫ですか?」
「うん、でも腕を骨折したみたいなの・・・。取りあえず応急処置はしといた けど」
「あの、吉澤って言います。今度ここの施設に入る事になって・・」
「へぇあなたがそうなんだ、きいてるよ中澤さんから。私は石川梨華。よろしくね」
「・・・あの、よろしく」
「何だよぉ、そのアイサツ。もっと明るく言えばいいのに」
「あ、すいません。慣れてなくって・・・」
「ううん、なかなかクールなんだね。吉澤さんって」
「梨華ちゃん・・・、イテテッ」
ベットで休んでいた少女が目を覚まして石川を呼んだ。
「あ、アイボン」
「誰やこの人?」
「あの、吉澤ひとみって言います・・・」
「何や、もしかして今日来る新入りさんて・・」
「そうなの。あ、ひとみちゃんに紹介しとくね。この子は加護亜依ちゃん」
「よろしくな、ひとみちゃん。」
9 :
木村 :2000/08/30(水) 00:52
―隔離個室
重い扉を開けた中澤は、部屋を見て驚愕した。
「何やこれ・・・。酷いな・・・」
辻は中澤の服の裾をぐっとつかんだ。
部屋は酷く荒らされていて、加護の血液であろう赤い液体が壁に少量付着していた。
「矢口は・・・」
中澤は部屋の隅で座り込んでいる矢口を見つけた。辻は荒らされた部屋を片すために中澤を離れる。
矢口は落ち着いたらしく中澤を見た
「裕ちゃん・・。おかえり、新入りの子連れてきた?」
「どうしたんや、矢口」
「夢見たんだよ。アイツがまた私を殺しに来る夢を見てさぁ・・・、拳銃持っ てさぁ・・」
矢口の目にうっすらと涙が浮かんでいた。
「夢やないか、落ち着きいや。その人にはここには来ない。うちらが守ったる から」
「うん、ごめんね裕ちゃん。辻もごめん」
「・・・いえ・・・」
加護・吉澤・石川の3人は医務室を出で隔離個室に向かっていた。
「加護さんはいつからここにいるの?」
「ひとみちゃんその加護さん言うのやめてくれへんかな。なんか硬いわ。亜衣 ちゃんでええよ」
「う、うん」
「何や、クールやな。もっと元気にいこうな・・・」
「あ、中澤さん。」
「おう、石川やんか。行ってくれたんか?」
「矢口さんは?」
加護が中澤の袖を引っ張って言った。
「ああ、取りあえず落ち着いて寝とる。またあの夢を見たらしいわ」
「夢・・・・どういうことですか?」
吉澤は怪訝な表情で聞いた。
「取りあえず主寝室いってはなそうや。まだ紹介してへん子もいるしな」
10 :
木村 :2000/08/30(水) 00:53
―主寝室
「あの子な、重い精神病にかかってんねん」
「精神病・・・ですか?」
「そうや。あの子は好きやった子を殺した犯人に復讐しようとして逆に殺され そうになってな。そのショックでなってもうたんや」
「じゃあ夢に出てくる人って言うのは」
「そう、その犯人や」
「で、大丈夫なんですか、矢口さんは」
「死ぬ事はないやろうけど、時々ある事をきっかけに発作をおこすんや」
「その発作っていうのがさっきあった・・・」
その時ベットで寝ていた誰かが布団を持ち上げあき上がった。
「ん、ゆ・・裕ちゃぁん・・・・・?」
「なんや後藤起きたんか?」
ベッドから起きた後藤と呼ばれる少女は吉澤と同じくらいの歳だった。
「彼女は後藤真希。しょっちゅう寝てる子やからあんまり顔は見れへん思うけ どな。」
「よろしくね。え〜っと・・・」
「吉澤です・・・。吉澤ひとみ」
「よろしくね、よっすぃ〜」
「え・・・・。よっすぃ〜?」
「この子で一応ここの人間全員紹介し終わったで。ほなうちはいくわ」
と言うと、中澤はそそくさと出て言ってしまった。
11 :
木村 :2000/08/30(水) 00:54
二人っきりになった吉澤と後藤。取りあえず吉澤は立ち上がり自分のベットを決める事にした。
ベットは後藤が使用してるベットの隣のものしか空いていなかった。
「ここでいいか・・・」
今まで持っていた小さな鞄を布団に置き越しかけた。
「ねぇ、よっすぃ〜」
「え、なんですか?」
「よっすぃ〜っていくつなの?血液型は?」
いきなり喋り出した後藤を吉澤は少し引き気味に見た。
「ねぇねぇ、教えてよぉ〜」
「あの、15歳・・です。血液型はO型で・・・」
「うそぉ〜!同じじゃ〜ん。何かよっすぃ〜いいよねぇ〜。アハハ」
後藤は抜けた感じの笑顔で笑っていた。しかしいきなりベットから降りて吉澤の側に座った。
吉澤は少し驚いたが別にいやな気分ではなかったのでそのまま座っていた。
「よっすぃ〜可愛いよねぇ、ちょっと後藤のタイプよ・・」
と言うと吉澤の手を軽く握った。
驚いたのか吉澤はその手を振り払って手を隠した。
「なにすんですか!」
少し大声になった吉澤ははっとして軽く謝った。
「な〜んだ。結構クールかと思ったけど、そんな声も出すんだね」
いわれた吉澤は恥ずかしそうに下を向いた。
「これからよろしくね」
そういうと後藤は吉澤の方に軽くキスをして部屋を出ていった。
また戻ってきた中沢は吉澤の側に座った。
「吉澤早速仕事や。この男、殺害依頼や」
写真を見せ、参考になる資料を全て渡した。
「頼むで」
「はい」
12 :
木村 :2000/08/30(水) 00:55
吉澤が宿舎に入って数ヶ月後―――――
石川は脱衣所に独りできていた。
上着を脱ぎ背中を鏡に映してみる。傷痕がある。見慣れているのに見る度に恐怖を思い出す傷。
石川梨華―
10歳の時に実の父親が死亡した。原因は不明、梨華が小学校から帰ってきた時にはその訃報が届いていた。
「お父さんは、殺されたの」梨華は母親からそう聞かされていた。
時は経ち母は再婚した。父は若く好青年で石川もすぐに慣れて楽しい生活が続いた。
2年後・・・家族は崩壊した。
石川は父からの酷い虐待にあい、母親も暴力を受けた。
13歳の時耐え切れずにそこを逃げ出した。父も追ってこない母の泣く声も聞こえないどこかへ逃げようとした。
何をするでもなくさまよっていた。そんな時一人の可愛い少女が石川のところへ来た。
「お姉ちゃん・・・。どうしたの?」
当時10歳だった加護亜依だ。
加護は早くに両親を亡くした孤児だった。
自分も孤児院がいやで逃げ出したと言う。時間が経つに連れ2人は良く会うようになり中澤に声をかけられ宿舎に入る時はすでに二人は常に一緒にいる状態だった。
同じような境遇にいた二人は魅かれ合う物が強くあったので宿舎の中でも常に一緒に行動していた。――
13 :
木村 :2000/08/30(水) 00:55
「梨花ちゃん、何してんねん。また見てんのかいな。あんま見んほうがええや よ」
加護が入ってきたのに気付いた石川は慌ててそれを隠した。
「アイボンなんか言ってよびっくりするじゃん」
「いや、言うてるやんか・・・」
一緒に風呂に入った二人は主寝室に戻る時に図書室へ寄った。
図書館が一番涼しいのでそこが一番居やすいのだ。
「あら、お二人さん。どないしたん」
「涼みに来たんです・・・」
司書である中澤に軽く挨拶をした二人は、奥へ入った。
吉澤と後藤が二人で人生ゲームをやっていた。
「ひとみちゃん。真希ちゃん」
石川の声に気付いたのは後藤だった。
「あ!加護ちゃんに梨華ちゃぁん!捜してたんだよ。人数足りないんだから入 ってよぉ」
「ひとみちゃん、勝ってるんやな」
「うん、どうする二人やる?」
4人で開始されたゲームは異常な盛り上がりをみせた。
14 :
木村 :2000/08/30(水) 00:56
途中吉澤は席を立った。奥の実験室で辻が一人作業をしてるのを見つけた。
そこへ行き辻に声をかけた。
「辻ちゃん。何してるの?」
「あ!」
辻は驚いて机に開かれた小さな本を咄嗟に隠した。
「何それ、ちょっと見せてよ」
「いや、あの・・・。これ・・です」
辻はそっと本を吉澤に差し出した。
「化学反応の本じゃん、なにこれ。何に使うの?」
「爆弾制作です」
「はぁ?!爆弾作るの?」
「あ・・・いえ、気にしないで。忘れて。ごめんなさい!」
辻は吉澤の横を摺り抜け本を持ったまま走って行った。
「・・・なんだろう、爆弾って・・・」
吉澤はそこではたいして気にせずにゲームに戻った。
その夜吉澤は後藤に聞いてみた。
「ねぇごっちん、さっき辻ちゃんが何かおかしなこと言ってたんだけど」
「なぁに。おかしなことって」
「爆弾作りたいっていってるんだよね。何かに使うのかな・・人を殺すとかな のかな、やっぱり。ちょっと心配だな・・・」
「ふ〜ん。別におかしくないよ。ここの皆は全員そういう心を持ってるんだよ
よっすぃ〜だってそうなんでしょ。ここにいる人はみんな幸せでいたいのにい れなかった人ばっかりなんだよ。逆に言えば幸せになるためなら何だってする 人間ばっかりなんだよ。だからさ、あまり深く考えないでも大丈夫だよ」
「そっか・・ありがとう」
「ううん。おやすみよっすぃ〜」
15 :
木村 :2000/08/30(水) 00:58
長くて読み難いね、これ。自分でそう思っちゃった。
16 :
木村 :2000/08/30(水) 01:00
数日後。
石川は中澤に緊急に呼ばれて図書室へ走った。着の身着のままだったため髪の毛はぼさぼさだった。
司書室に入ると中澤がパソコンを眺めていた。
「中澤さん。石川です・・」
「おお、来たな。ちょっと来てみい。うちのホームページやその筋の情報を集 めたりしてるチャットやねんけどな」
「なんかあったんですか?」
「あんたの親が見つかったで」
「・・・・・・・え」
「あんたが加護とここに来た頃あんたの親の情報ここで公開したんや。でも何 年たっても何の情報もなかってんけどな。昨日の深夜たまたま覗いたら1件 はいっててん」
「小さな2階建てアパートに住んでるらしいで。ごみ捨て場のところでそれら しい人物を見たらしいんや。どうする、いってみるか?」
「・・・・」
「どないしたんや」
17 :
木村 :2000/08/30(水) 01:01
「いいんです・・もう。消して下さい・・画面」
「なんでやねん。あんたかて親父さん殺したいっていうてたやないか」
「初めの頃はそう思っていたけど・・・」
「なんでや!行かなかったら只のアホやでせっかく見つけたんやから恨み晴ら したりいや!!」
「もういいって言ってるでしょ!私のお父さんはお父さんなんです殺す事なんてできません!」
石川はめったに出さない大声を出して部屋に戻ろうとした。ノブに手をかけた瞬間誰かが外側からドアを開けた。
「失礼します」
「ひとみちゃん。聞いてたの・・・・」
「聞いてた・・・。中澤さん悪いけど梨華ちゃんはもうだめみたいです。私が 殺しますその男」
「え・・・」
「なんでや、吉澤。そんなことせんでも・・・」
「こんな臆病な人間に任せても殺されるのがオチです。そうなる前にこの私が 行きたいんですけど・・」
「な・・・」
「いいんでしょ梨華ちゃん。このまま私に殺させて自分は全然怖い思いしな い方が。楽な方楽な方へ行って自分を駄目にし続けても」
「そんな・・・・わかりました。私の銃をくれますか・・。」
「わかった、待っとき・・・」
というと中澤は金庫から石川のIDナンバーが入った銃を取り出し渡した。
石川はそれを受け取り部屋を出ようとした。
吉澤が石川の腕をつかんだ。
「絶対死んじゃだめだからね。帰ってきたら人生ゲームね」
石川は小さく頷き出て行った。
下げで書ききってから上げるとかが良いと思うな
19 :
木村 :2000/08/30(水) 01:01
午前11時
加護はいつもより遅く目覚めてしまった。
「オハヨウ真希ちゃん・・・・。寝てるか」
「おはよう亜依ちゃん、ずいぶん良く寝てたね」
「あ、辻ちゃん。あのね凄く楽しい夢見てたんだよ。梨華ちゃんがな私のお姉 ちゃんになってんねん それでいろんなところに遊び行くねや。めっちゃ楽し かったわ〜」
「そっか、良かったね。亜依ちゃんホント梨華ちゃんの事好きだよね」
「うん、凄い好きやで。あれ、そういえば・・」
「梨華ちゃんなら、朝早く中澤さんのところに行ったみたいだよ」
「え・・・・」
加護は何かに気付いたように図書室へ走った。
「中澤さん!梨華ちゃんは?」
「両親が見つかったから行ったで」
「ダメ!梨華ちゃんのお父さんピストル持ってる!」
「わかっとるわ。それがどないしたんや」
「私もそこへ行きたい。梨華ちゃん一人じゃ危ないです!」
「それはできん事や」
「なんでや!うちと梨華ちゃんは仲良しなんや!梨華ちゃんが行くところには うちがいてへんかったらおかしいんや!」
「おかしいのはあんたやで!加護、梨華ちゃんの相方やったらわかってやり、 今梨華ちゃんは自分で自分の心に背負った一つの傷を消しに行ってるんやか ら、あんたは行ったらあかん。いまいってあんたが助けたら梨華ちゃんが自 分で消した事にはならへんねや!」
「でも・・・」
「でもやないここは我慢して梨華ちゃんの帰りを待ちや」
「でも私は梨華ちゃんが好きなんや!」
加護の勢いに負け中澤は石川が向かった場所を教えた。
「ええか、あんたに武器はわたさへん。助けたらあかん絶対見てるだけやで」
それを聞いて加護はその場から消えた。
20 :
木村 :2000/08/30(水) 01:02
午後0時30分
石川はアパートの下の公園にいた。
ああ言って出てきたものの後少しの勇気が足りていなかった。
「どうしようかな・・・死んじゃうのかな・・」
と、その時アパートから見慣れた男が出てきた。
「お、父さん?」
すると男はまた中に入ると今度は石川の母である女性の髪の毛をつかみ外に引きずり出してきた。
「お母さん!」
声は届かないらしい。男は女性を踊り場の端までよせて殴り始めた。
女性は気絶したらしく動かなくなった。
その行為で石川の足りなかった勇気が爆発した。
「お父さん!!」
石川は父親を睨みながら言った。
「梨・・・梨華じゃないか。帰って来たんだな」
「ふざけないでよ・・・」
「良かった・・・取りあえず部屋へ行こう」
「ふざけないでって言ってるでしょ!!」
「何を言ってるんだ梨華。母さんもいるぞ顔みたいだろう・・」
「今、あんたのした事見てないとでも思ってるの。じゃあ階段のところで気を 失ってる女性は誰よ!」
「チッ、見てたのかよ」
「見てたのかじゃないわよ!あなたはいつも私達に辛い思いばっかりさせてた お母さんにだって、こんな酷い事。もういいわ、あなたを父親だと思うのは 辞めた。死んでください」
石川は隠していた銃を男に向けた。
「親に向かってなんだその態度はああああ!!!!」
21 :
木村 :2000/08/30(水) 01:03
駅に着いた加護は目的のアパートのある場所に全力疾走した。
気温は29℃走り続けるには少し辛い状況だったが、加護は走った。
「梨華ちゃん、死なんといて」同じ言葉を何度も繰り返しながら走っていた。
一つの公園が見えた。そこを目印にといわれていた加護は足を止めてゆっくり探りながら近づいた。
「おった!梨華ちゃんや。アパートも写真と変わらへん。良かったまだ死んで へ・・・・」
加護の表情が固まった。
今まで動いているように感じられた石川の動きが止まった。
「梨・・・華・・ちゃ・・」
石川はその場に倒れた。
「梨華ちゃあああん!!!」
急いで駆け寄る加護。
男は自分のした行為に唖然として立ち尽くしていた。
「うわああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
加護は一瞬の隙を狙って石川の銃を取り男を撃った。
弾丸は頭に命中して男は即死した。
22 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 01:05
んぎゃんちにー5ポイント
23 :
木村 :2000/08/30(水) 01:05
「梨華ちゃん、梨華ちゃん!!あかんで、死んだらあかんで」
「ア・・・アイボン。ごめんねぇ・・やられちゃ・・った。グ、ゴホッ!」
咳き込むと同時に石川は大量の血液を吐き出した。
「もう喋らんでええから、死なないで梨華ちゃん」
「お・・・お父さん殺せた・・・のにね、何かすっきり・・しないんだ。やっぱり・・ひ・・人殺しはやだねぇ。」
「もう・・やめて・・」
「アイボン・・あなたとい・・いれた2年間・・凄くたのし・・・かったよぉほんとにあ・・ありがと・・・」
石川は加護の方に手をやり目を閉じた
「いや、梨華ちゃん。死んじゃだめ。目を開けてよぉ。お願いだから目を開けてよぉ」
石川はそのまま冷たくなった。その手を押さえた加護は泣き続けていた。顔は石川の血と涙でぐしゃぐしゃになっていた。
24 :
木村 :2000/08/30(水) 01:05
加護から連絡の入った中澤は車で現場へ行き石川の死体と加護を保護して宿舎へ戻っていった。
翌日石川の葬儀を行い遺体は葬られた。
「加護アンタがこの拳銃を持っとき、あんたの拳銃携帯禁止を解除するわ」
「はい」
「昨日の事、そして石川の事絶対忘れたらあかんで。」
IDナンバーは『981026』
2人が出会った日だった。
面白いよ。わくわくする。
26 :
木村 :2000/08/30(水) 01:07
今日はここまででございやす。
やっぱ書くのって大変よ。log0076の気持ちが少し分かる
27 :
木村 :2000/08/30(水) 01:11
これで終わりではありません。
一応予告させてもらうと辻編と吉澤・後藤編があります
28 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 01:13
吉澤・後藤編楽しみにしてます。がんばってください、木村さん。
29 :
木村 :2000/08/30(水) 01:17
なんであのmicosって言うのは更新されないんだろうね。
30 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 01:23
さー
31 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 01:24
>>29 代わりにあぷろだがあるよ……fire7もうここに来てないのかな……
32 :
log0076 :2000/08/30(水) 01:25
お気に入り追加っす。
謎めいた設定に引き込まれる〜
34 :
木村 :2000/08/30(水) 15:39
1週間後――
加護は矢口のところへ来ていた。
「矢口さん、梨華ちゃんが死にました。お父さんに撃たれて・・・」
矢口は眠っていた。
このところ矢口は発作を起こさなくなっていた。それに安心していた加護は中に入って矢口を起こした。
「あ、加護。どうしたの?」
加護は矢口のベットの端に座って話し始めた
「梨華ちゃんは私のたった一人のお姉ちゃんだったんです。血の繋がりはない けど。ずっとそう思ってました。でも梨華ちゃんは・・私はもう一人になっち ゃったんです」
「加護・・・」
「凄く・・・・淋しいんです・・。凄い大切な物が壊れてしまったみたいでい くらないても悲しいんです。」
「加護、こっち見て」
加護を自分の方に向かせた矢口は加護を抱き寄せた
「や・・矢口さん」
「淋しかったら、私のとこに来ればいいよ。病気の私がアンタを元気にできる かはわからないけど、きっとアンタの気持ちを分かってあげられるはずだか ら・・・」
加護は矢口の胸に顔を寄せた。
「ありがとう・・・・矢口さん」
35 :
木村 :2000/08/30(水) 15:40
後藤と吉澤はいつものように図書室へ来ていた。
「加護ちゃんが矢口さんのところに最近よく行ってるんだって」
「え、大丈夫なのかな・・やぐっちゃんいつ発作起こすかわからないんだよ」
「大丈夫、もう矢口は発作起こす事はあれへんよ」
中澤が二人の会話に割ってはいった。
「矢口はもうだいぶ前から病気治ってんねん。本人は知らんでいるけど・・。後はあの子の気持ちしだいなんや。せやから加護はいい薬になるとおもうで。
加護もあの事件以来しばらく心を閉ざしてる状態やった。まさに病気になる前 の矢口みたいな状態やったんや」
「じゃぁ、加護ちゃんも・・・」
不安になった2人は同時に聞いた。
「あの子には矢口がおる。加護にとって矢口の存在が助けになってるはずや。 だから矢口と同じような事にはならんとおもうわ」
中澤は司書室に戻っていった。2人はチェス版を持ち出しゲームの時間へ入った。
今日も辻は実験室に来ていた。
このところ毎日のように決まった時間に実験室にこもり出てきては図書室から大量の本をごっそり借りてまたこもるという生活を続けていた。
中澤が心配して辻の元へ行っては声をかけていた。
しかし答えはいつも決まっていた。
「大丈夫です」
その度に中澤は無理はするなという言葉だけを残して部屋を出ていた。
ただでさえ13という年齢で苦労している辻だったので中澤は彼女のことを非常に気にしていた。
36 :
木村 :2000/08/30(水) 15:40
皆が寝ている時間にも辻は一人作業を続けていた。
ある夜中澤は目を冷ましトイレへ向かって部屋を出た。その日もまた辻のベットはあいていた。
中澤はそこに寝転がってみた辻はベットにも本をため込んでいた。中澤は不意にそのページをめくる。内容はチンプンカンプンだった。化学が苦手な中澤はすぐに本を閉じ起き上がろうとした。手をついた底に何か違和感を感じて退けてみた。そこにはまだ新しい写真があった少しシワがあったため枕の下から出てきたというのは容易に分かった。
「これは・・・」
中澤は辻から自分の父親の話を聞かされていた。
辻の父は刑事だった。
辻は小さい頃からお父さんっ子でいつもくっついていた。しかし事件となるとそうちょくちょく一緒にいる事はできなくなった。
その度に辻は淋しさのあまり母親に聞いていた
「お父さん帰って来ないね。何してるの?」
「お父さんは犯人を捕まえるために遠くへいったのよ」
「じゃぁ、もうすぐで帰ってくるの?」
「ええ、もうすぐ帰ってくるわ。だから希美も元気出して」
そういって母親はいつも辻を慰めてくれていた。
辻希美11歳の秋
父親の殉職が家族に知らされた。
「やだよ!お父さんがいなくなるの嫌だよ!」
原因は危険物爆発による爆死。
テロリストの仕掛けた爆弾によって辻の父は死んだのだ。
その日から辻は部屋にこもり爆発物に関する資料を集めて研究に没頭していた
翌年2月学校から帰った辻を待っていたのは第二の悲劇だった。
母親の自殺。
淋しかった夜にいつも慰めてくれたやさしかったお母さんが死んだ。そのショックで辻はしばらく言葉が離せなかったという。
「辻・・・」
中澤はしばらくその写真を見詰めていた。
辻の母親は中澤にそっくりだった。
37 :
木村 :2000/08/30(水) 15:42
翌朝
中澤は目を覚ました。昨夜はあのまま辻のベットで寝込んでしまった。
「あれ、辻・・・」
近くに辻が居ないのに気付いた中澤は取りあえず着替えて司書室へ向かった。
図書室に入ると実験室の方から後藤が走ってきた。
「裕ちゃん!辻ちゃんが・・・・辻ちゃんが」
後藤は酷く慌てた表情で中澤を見た。
「どないしたんや、ごっちん」
「辻ちゃんが、倒れてる」
「な・・・・」
「辻ちゃんが息してないんだよぉぉ!」
後藤は泣いてしまった。当然の事態にびっくりしたんだろう。
中澤は急いで実験室に走った。
「辻、辻!!大丈夫か!」
「ヤバイです、全く呼吸してないんです!」
辻の一番そばにいた加護が言った。
「そんな・・・辻しっかりせえ!目開けろや!!」
辻は完全に意識を失っていた。取りあえず医務室に運んだ。
加護が救急車を呼びに談話室へ走った。
ドアを開けると矢口がいた。
「どうしたの加護。そんな顔して」
「つ、辻ちゃんが。辻ちゃんが倒れたんです」
「うそ・・。」
「本当です!今救急車を呼びに」
「待って!私がいく」
「え・・・でも」
「大丈夫。早く案内して」
一瞬怪訝な表情で矢口を見たがすぐに加護は矢口の手を引き医務室まで連れていった
「裕ちゃん」
「や・・矢口。大丈夫なんか・・・」
「そんな事より辻は・・」
矢口は中澤の横を摺り抜けて辻の元へ立った。矢口に診察の結果辻は単なる疲労だと分かった。
全員に安堵の表情が浮かんだ。
「矢口、ホントにありがとう。助かったで」
「うん、じゃ辻は絶対安静ってことで、最低3日は寝てなきゃだめだからね」
38 :
木村 :2000/08/30(水) 15:43
夕方になると朝の騒ぎが嘘のように静まりかえっていた。
後藤は吉澤とゲームをして、加護は矢口と一緒に談話室で話していた。
夜になった。
吉澤は食堂で夕飯を食べ終わったばかりだった。
そこへ中澤が一人でいる吉澤に気付き入ってきた。
「吉澤、あんた一人て珍らしいやんか。喧嘩でもしたんか・・」
「いや・・ごっちん今日の朝の事もあって昼からず〜っと寝てんですよ」
「そうやな・・あんまりごっちんと辻が二人でいるとこ見掛けへんけど心配は してたんやな。・・・なあ吉澤」
「はい?」
「飲んでもええかな・・・」
中澤は椅子から立ち上がるとビールを持ってきた」
「あ〜ぁ、疲れたわぁ・・今日は飲んだるわ。吉澤!あんた今日は徹夜やで」
「はい・・・」
しばらくすると中澤は吉澤に絡み始めた。
39 :
木村 :2000/08/30(水) 15:48
辻&中澤編始めました
後藤&吉澤編考えてるんだけど難しい。
続きはバイと帰ってきてから書きます
40 :
某7 :2000/08/30(水) 15:49
がんばってね
41 :
木村 :2000/08/30(水) 22:25
泣き疲れて寝てしまった中澤を吉澤はベットまで運んであげた。
吉澤が自分のベットに寝転がると、後藤が目を覚ましていた。
「よっすぃ〜一緒に寝てもいいかな・・」
「え・・・どうしたの?」
「いいから、いいから」と強引に吉澤のベットに入ってしまった。
案の定すぐに寝てしまった後藤の顔を吉澤は少しの間眺めていた。
よく見ると後藤の頬には一筋の涙のあとがあった。
「ごっちん・・・」
吉澤は慣れない添い寝に苦闘しながら2時間後何とか寝付いた。
42 :
木村 :2000/08/30(水) 22:26
泣き疲れて寝てしまった中澤を吉澤はベットまで運んであげた。
吉澤が自分のベットに寝転がると、後藤が目を覚ましていた。
「よっすぃ〜一緒に寝てもいいかな・・」
「え・・・どうしたの?」
「いいから、いいから」と強引に吉澤のベットに入ってしまった。
案の定すぐに寝てしまった後藤の顔を吉澤は少しの間眺めていた。
よく見ると後藤の頬には一筋の涙のあとがあった。
「ごっちん・・・」
吉澤は慣れない添い寝に苦闘しながら2時間後何とか寝付いた。
43 :
木村 :2000/08/30(水) 22:27
すいません2重になっちゃって
上がらなくなってますね。
44 :
木村 :2000/08/30(水) 22:28
3日後の朝
主寝室のドアを閉める音で中澤は目を覚ました。
寝ぼけ眼の中澤は取りあえずお茶をのみに食堂へ言った。
その途中に図書館に誰かいる事に気付いた中澤は不思議に思って奥にはいっていった。
「あ・・・辻?」
そこにいたのは辻だった。辻は小さな体で必死に背伸びをして高いところに本をしまおうとしていた。
「あ、あんた・・・もうええんか?」
「中澤さん!!」
辻は持っていた本を置いて中澤に駆け寄ってきた。
それを受け止めるように中澤は辻を抱き留めた。
「よかった・・・治ったんやな・・・治ったんやな」
「中澤さん、心配かけて・・・」
「もうそんなこと気にせんでええよ。」
本を片づけた二人は食堂にいた。
「あんたがな倒れた時矢口が入ってきてん」
「矢口さん?」
「そうや、あんたここ来てから矢口の事怖がってあんまり話さんかったやろ? でも矢口はそんな事を気にせずあんたを一生懸命診察したんや。あの子はこ こに来る前看護婦になろうとして医学を勉強した事があってな、それでって わけや」
「そうなんですか・・・」
「でも一番心配してたんはうちやっていうのを忘れたらあかんで・・・」
「・・・・はい」
辻は笑顔で答えた。
「なぁ、あんたに一つ聞いてもええかな」
「爆弾を作る研究です」
「へ・・・」
「あんた倒れる前なにしてたんやって聞こうとしてたんでしょ?」
「ん、まあ・・」
中澤は辻の顔をじっと見てしまった。その顔を見た辻はまた笑顔になった。
「なんで、そんなもん・・・」
45 :
名無しさん@1周年 :2000/08/30(水) 22:40
面白い、安芸
46 :
名無しさん@1周年 :2000/08/31(木) 01:15
age
47 :
試しにあげてみよう :2000/08/31(木) 01:34
木村
48 :
名無しさん@1周年 :2000/08/31(木) 01:38
ゆうかしごといそがし
49 :
名無しさん@1周年 :2000/08/31(木) 02:12
素晴らしいね。残りのメンバーもちゃんと登場するのかな?
50 :
名無しさん@1周年 :2000/08/31(木) 09:47
>49悪い。飯田・安倍・保田はでない。
人数多すぎると設定が難しくなるし、あの3人はあまりこの話に向かない感がした。
「キリングセンス」って題名の意味がよくわからんのよ。書き終わったら解説してくれな。
お笑い芸人だってレス見たけど、そんなお笑い芸人知らないしね。
52 :
名無しさん@1周年 :2000/09/02(土) 19:19
頑張れ木村
ぼちぼち更新きぼーん
55 :
木村 :2000/09/05(火) 19:36
>51悪いけどタイトルはあんまり内容無い。
『とんかつ』と同じようなもんだと思って。
56 :
木村 :2000/09/05(火) 19:37
「いつか私のお父さんの事を話したの覚えていますか?」
「忘れてへんよ」
「私のお父さんて爆弾テロに殺されたんです。危険を顧みずに一人で犯人に向 かっていって。寸前で高性能地雷に引っかかって。お父さんは、私が死を知っ た時には影も形も無かったんです。本当にこの世から消えてました・・」
それを言い終わると辻はうつむいてしばらく肩を震わせていた。
「お父さんの敵を取りたい・・・そんな気持ちで私は必死に勉強したんです。 お母さんが死んで中澤さんと一緒に暮らし始めてからもずっと研究を続けて きた」
「それで・・アンタ実験室に?」
「もうあと少しで完成だったから・・・終わらせたかった」
「それで・・・できたんか」
「・・・はい」
辻の顔は今まで中澤に、誰にも見せた事が無い顔で頷いた。
「私の推測ではビル一つ簡単に壊す事ができます。中澤さんホームページ使わ せてもらえませんか?」
「え、ええけど」
「私が捜してる人間はインターネットの常用者だと父が言っていたのを聞いた 事があります。事件の時もインターネットに乗せて警察に予告分を出したりも してたそうです」
「なるほど、もし今も見てたらってことやな・・・」
「お願いします」
「任しとき、そういう連中やったらうちのホームページの存在ぐらいは知って るやろ。3日あれば見つかるはずや・・・」
そういうと中澤は司書室まで走りホームページに辻に頼まれた通りの文を書き込んだ。
「たのむで、テロリストさん」
57 :
木村 :2000/09/05(火) 19:38
その日の夕方。辻は完成した爆破装置に遠隔操作機能を取り付けた。
「これで完成・・・」
その勢いで矢口のいる隔離個室へ向かった。
そのひろい部屋では加護の矢口が楽しそうにゲームをしていた。
「しつれいします・・・」
「あ!ののちゃん!治ったんや。よかったもう死んでまうかと思って心配した んやで」
加護は嬉しそうに辻に走り寄ってきた
「矢口さん・・・」
辻は加護の手をそっと放して矢口の前に来た。
「辻・・・治ったんだね」
「はい、本当にお世話になりました。私はもう元気です」
「よかった」
「でも矢口さん・・。私はあなたの事ずっと怖いと思ってた。病気でしょっち ゅう暴れ出す矢口さんに恐怖心を抱いていたんです。でも矢口さんはそれに気 付いていたはずなのに気にせず私を診てくれた。さっき中澤さんにそれを聞い て凄い嬉しくなりましたホントに感謝してます」
「辻・・・」
「すいません亜依ちゃんと遊んでる途中に邪魔して。私はもう行きます」
「ののちゃん、待ってよ一緒に遊ぼうよ・・・プレステ2買ったんだよ。昨日 矢口さんと一緒に言ったんだ!」
「辻・・・あそぼ」
「・・・・はい!」
58 :
木村 :2000/09/05(火) 19:38
3日後
「来た・・・・本人からや・・・」
また中澤のホームページが役に立った。辻の言っていた犯人本人からの書き込みがこの日の朝きていた。
「辻・・辻、起きて」
午前8時。辻は中澤に起こされて図書室へ走った。
「これや・・・アンタの予測通り犯人はまだインターネットを使用してる。昨 日の深夜に書き込みがあったみたいや。ホンマこんなこと初めてや。物凄い ラッキーやで辻」
中澤は少し興奮気味に辻に話し掛けた。
「中澤さん見て下さいこれ」
「なんや」
「犯人のメールアドレスが乗っています、本物でしょうか?」
「おそらくその可能性は高いな。このホームページはめったに入り込めん様に なってるんや。せやから犯人がここに来てるという事は世間にはほぼ99% ばれへんねん。それを知ってるなら自分のメールアドレスを公開するなんて わけない事や」
「取りあえずあう事は可能ですね・・・」
「100%な・・・」
辻は冷静にそのメールアドレスをクリックしてメール作成画面を開いた。
『明日の午後2時に合いたい』
送信終了。
59 :
木村 :2000/09/05(火) 19:39
「あとは向こうからの返事を待つだけや」
辻は無言で画面を見続けた。
「あ!きたで!メールが1件とどいた」
「見てみます」
『会合承諾。**市**ビルの前にて待機』
「やったで!あってくれるみたいや」
「・・・・・・・」
辻はメールの確認と同時に喜びの反面極度の緊張が込み上げてきた。
「中澤さん。梨華ちゃんもこんな気分だったんですかね?」
「どないした?」
「凄く怖いんです。お父さんを殺した人間に会うのが・・・。死ぬのじゃない 会うだけが怖い。物凄く心臓が速く動くんです」
「そうやな。石川もそんな気分だったかもしれへんな」
「もう寝ます・・・・ありがとう中澤さん」
「おやすみ」
辻は枕元にある少し折れ目のついた両親の写真を見た。
「お父さん・・お母さん」
それを強き握り締め辻は眠った。
翌朝早朝6時。
辻は既に全ての準備を終えベットに座っていた。
写真と携帯電話をポケットにしまった。
「亜依ちゃん、矢口さん、真希ちゃん、ひとみちゃん・・中澤さん」
辻は図書室に入っていった。
辻にしたら一番思い出のあるこの部屋。ここへ来た頃も皆と打ち解けられずに
ここで本を読んでいた。
中澤と一緒にいるようになってからもそして現在もここは辻の一番いやすい場所になっていた。
辻はほうきをとり掃除を始めた。帰れるか分からない外出の前に思い立ったのだ。
中澤は目を覚まして図書室にいった。辻は掃除も終え何をするでもなく椅子に座っていた。
「辻アンタに銃を渡すわ」
その時中澤は石川の事を思い出していた。
「辻・・・死んだらあかんで」
「・・・・行ってきます」
60 :
木村 :2000/09/05(火) 19:40
午後1時30分
**市にあるある廃ビル。天気は快晴だった。
ここは人気の無い荒れ地。
あと30分で自分の父親を殺した犯人がやってくるはず・・・。
午後2時10分
そこへ人は現れなかった。
辻は不思議に思って廃ビルに入っていった。
「誰か〜、誰かいますか〜」
叫んでも誰も答えない。
2階3階と上がっていく辻。そこでやっと広い空間を見つけた辻は不意にその扉を開け入っていった。
その時大きな音と共にはいってきたドアがひとりでに閉まった。
「あ!」
辻はドアに駆け寄ってまわりを探った。
自動ドアのセンサーとオートロック装置を見つけた。まだ真新しい事が分かった。
「どうしよう・・・こんなトラップに」
と呟いているとどこからか女性の声が聞こえた。
《あなたでしょ昨日の夕方私にメールくれた子?》
「だれ!」
《やっぱり13歳よね。頭いいとはいえまだまだガキよね・・・》
「まさか・・・・」
《そうよ。あなたのお父さんを殺したのは私・・・》
現れた。女性は昨日の夜仲間と一緒にこのビルにさまざまなトラップや機能を取り付けていた。
61 :
木村 :2000/09/05(火) 19:53
《やっぱりあの男と同じで馬鹿ね。私達はプロなのよ。これぐらい一日もかか らずできるのよ。そういえばあんたのお父さん・・覚えてるわ。私達を見下し て簡単に捕まえられると思ってんのよ散々調子に乗って私達に殺される直前も 自分の娘の名前呼び続けてんのよ。ホントくだらない男よね。ははは》
「・・・出てきてよ。顔見せてよ!!」
《まあ聞きなさいよ。あんたのお父さんねホントは爆弾で殺したんじゃないの・・・》
「・・・どういうこと?」
《ホントはねあの時あんたがいるみたいなとこにお父さんも来たの。あんたみ たいに簡単なトラップに引っかかってね。そのあと取り付けられた機銃で足 を壊してやったの・・・こういう風に!》
機銃は辻の両足を確実に狙って作動した。
カラっとした銃声と同時に辻は崩れた。奇麗な足には赤い血液が流れて出していた。
「くっ・・。」
《それでね次に時限爆弾のスイッチを入れてやったの》
「え・・まさか」
辻はあたりを見回した。意外と近くでその音がした。
《そして最後に機銃で心臓を狙ってやったのよ》
辻はその時死を覚悟した。全身の力を抜き大の字になった。
「やれば・・・・」
《・・・・・・・・・や〜めた。あんたを粉々にする事に決めた。時限爆弾の 作動を待つわ》
と言うと放送が途切れる音がした。
「・・・・爆弾は・・・」
自由を奪われた体を引きずって時限爆弾を探り当てた。
62 :
木村 :2000/09/05(火) 19:56
「あと後6分・・・。犯人はきっと上にいる。私を殺した後に下に降りて何事 も無かった様にこの場から消える気か・・・」
ポケットから写真を取り出した。
「お父さん・・・もうすぐだよ・・お母さん、迎えに来てね」
そういうと写真を側に置き近くに合った鉄の切れ端をつかって爆発しない様に
そっと箱を開けた。
黄色い線と黒い線が核となる爆弾につながっていた。
「あと・・・2分半」
辻は携帯電話を出して通話ボタンを押した。
《辻か!どないしたんや!》
「中澤・・さ・・ん。辻です」
《辻、大丈夫なんか》
「何とか・・・・。あの中澤さん・・ハァハァ・また相談してもいい・・です か?」
《辻・・怪我してるんやな・・大丈夫なんか》
「時間が無い!・・・いいですか・・ハァ・・金色と・・・く、黒・・・中澤 さんどっちが・・好き・・ですか?」
《好きな方・・・・・・・・・・黒、黒や!黒を切り!》
中澤は状況を飲み込んだ。
「あ・・ありがとう。中澤さん・・・・ありがとう」
《辻死んだらだめやで!頼む、もういやや!アンタはうちの元に帰ってこなあ かん子なんやうちはそれが一番幸せなんや!たのむ!》
「さようなら・・・・・・・裕ちゃん・・好きだよ」
辻は金色の導線を歯で千切った。ポケットに入っていた爆弾にも引火し周囲に響く轟音と共にその瞬間ビルが完全に壊れた。影も形も無くなった。
「つ・・・・辻?辻!!やだよ・・・嘘でしょ。何でや!あんたが死ぬわけあ れへん。嘘や こんなん嘘や!!!」
中澤は混乱してしまい暴れた。
「裕ちゃん!裕ちゃん落ち着いてよ!もうむりだよ。辻は・・辻は死んだんだよ!!」
矢口が泣きながら止めに入った。
「うるさい!でたらめなこというなや!!!あの子は頭がええからうまく犯人だけ殺して逃げたはずや!!あの子が死ぬはずなんて無い!」
後藤も泣いていた。吉澤は後藤を抱きしめずっとうつむいていた。
全員は中澤の希望で図書室で待ち続けた。帰るはずも無い少女の姿を一日中待ち続けた・・・。
63 :
名無しさん :2000/09/05(火) 19:57
キリングセンスって10年ぐらい前にいた男2人組のお笑いコンビ
だろ?
64 :
木村 :2000/09/05(火) 19:57
翌日中澤は辻のベットを焼却炉に持っていった。
そこで辻と二人で取ったいつかの写真を見つけた。
「辻・・お父さんとお母さんに会えたんか?・・・幸せになれたか?」
写真に一粒の涙がこぼれた。
「この写真一生もっとくわ。死ぬまで・・アンタに会いに行くまでな・・・」
この日も空は雲一つ無い晴天だった。
65 :
木村 :2000/09/05(火) 20:00
>そうだよ。今はテレビ出演は少ないけど。爆笑問題と同じ事務所でコントライブとかに出演してるよ。
66 :
名無し娘。 :2000/09/05(火) 20:12
面白いね。単純で読みやすいかも。
67 :
かつら蚕糸 :2000/09/05(火) 20:21
hagemitai
68 :
名無し娘。 :2000/09/05(火) 21:33
久々の真面目に書いた小説。期待してます。
69 :
木村 :2000/09/05(火) 23:28
中澤は辻が死んでしまって以来写真を見ていることが多かった。
図書館でも辻がよく座っていた椅子に腰掛けてはため息をついていた。
実験室は辻が掃除したまま誰も使っていない。
「実験室か・・・。そういえば使ったこと無かったな・・・」
中澤が実験室の扉を開けてみる。
この部屋はこの宿舎を設立したときは倉庫として使われていた。
辻がここへきたとき中澤に話し掛けてきたのがこの倉庫だった。
初めての会話。
「あの・・・・中澤さん・・・」
「何や。えっと辻・・やったっけ」
「あの、この倉庫・・・」
「何やねん。はよ言いな」
「ごめんなさい!」
それから何週間後かに同じ場所でまた会話した。
「中澤さん。ここ私にくれませんか?」
「何や?なんかあったんか?」
「実験室を作らせてほしいんです」
「は?」
「お願いします!どうしてもやりたいことがあって・・・」
「・・・・ええよ。好きにしぃ」
いつからか倉庫だった空間は辻希美の空間となっていった。
中澤は部屋に入った瞬間辻のにおいを感じた。
「この部屋を使う子がまたここに来てもあんたのにおいは消えんはずや」
独り言を言っていると図書室のほうが騒がしくなってきた。
70 :
木村 :2000/09/05(火) 23:29
中澤はいつも持っていた2人が写った写真を鋲で壁に留めた。
外に出た中澤はようやく元の笑顔に戻った。カウンターに近い机には、矢口・後藤・吉澤・加護の4人がいつものように遊んでいた。
「あんたらは元気やな。うらやましいわ」
「ぁ、祐ちゃん」
「中澤さんどうしたんですか実験室にいるなんて珍しいですな」
加護が笑顔で聞いた。
「ん・・・ちょっとな。辻のこと思い出してな・・・」
「中澤さん・・。辻ちゃんのこと好きでしたからね」
吉澤の言葉に中澤は思わず慌ててしまった。
「ん・・まぁ・・」
「辻ちゃん・・きっと中澤さんのこと好きだったと思います。辻ちゃんて私たちといるときは結構口数が少なかったんです。クールっていうか・・・。
でも中澤さんの側では絶対そうじゃなかった。私は辻ちゃんとはなすことは少なかったけど、中澤さんと話してるときの辻ちゃんの顔は今でも覚えてます」
「吉澤・・・。辻がな最後にうちに電話くれたとき・・・あの爆発の直前、辻はうちのこと『祐ちゃん』て呼んでくれてん。それがすごい嬉しかった。
あの子は自分の性格をよく知ってる子やったから普段はあんな呼び方絶対せえへんかった」
「ののちゃん、いつか言ってました。中澤さんは私のお母さんだからって。私が 梨華ちゃんに感じていた気持ちと少し似てたと思います」
「そっか・・・」
「祐ちゃん。元気無い?」
「何や、後藤・・・」
「元気無いかって聞いてんの」
「ん・・・そんなこと無いで。もういろいろ吹っ切れた感じがするわ」
「ふぅん・・・・。じゃあ遊ぼう」
中澤の腕を引きお馴染みの人生ゲームのある机まで引っ張っていった。
後藤はマイペースだった。その性格にひかれる人間は多かった。
吉澤ひとみは特にその一人だった。元々は暗くて一人が好きな人間だった。
この宿舎に来たとき誰とも友達になるつもりはないと自分に言い聞かせていた
71 :
名無し娘。 :2000/09/05(火) 23:32
こんなんおもろいんか君ら?
モー娘。関係ないやん。
72 :
木村 :2000/09/06(水) 00:01
>71こういう話駄目?
「ゴルゴ吉澤」・「クールな吉澤」・「吉澤のクールな日記帳」スレが懐かしいよ。
74 :
モンキーパンチラ :2000/09/06(水) 21:40
激しい雷雨、石川五右衛門は一人斬鉄剣の手入れをしていた。
そこへ一人の少女がやってきた。
「た、助けてください!」
とひとりの少女が五右衛門に助けを求めた。
「そのほう、名を名乗らずに小屋に入るとは失礼でござるぞ!」
五右衛門は厳しく言い放った。
しかし五右衛門は少女の顔を見た瞬間、何かを感じた。
「き、綺麗だ!天使のような女性だ!」
「ご、ごめんなさい!私の名前は吉澤ひとみといいます。」
吉澤は五右衛門に申し訳なさそうに名前を言った。
「お主、何か事情があって、拙者に助けを求めたのだな?」
五右衛門が問いただした。
「あ、あ、あの私・・クッション!」
「お主、このままでは風をひいてしまう、少し暖まってから話すといい
今、タオルを持ってくるでござる」
五右衛門は席を立ち、タオルのある部屋へと行った。
吉澤は五右衛門の背中を何かに惹かれるような目で背中を見つめた。
五右衛門がタオルを持って戻ってきた。
「これをお主の体に巻くがいい。
巻き終わったら、教えてくれ!」
と五右衛門は顔を赤くして後ろを振り向いた。
「クス、かわいいんですね!」と吉澤は言った。
「何をしておる!早く巻かぬか!・・ところでお主!誰に命を狙われておるのか?」
と五右衛門が問いただすと吉澤は震えながら答えた。
「私が・・・」と吉澤が狙われた訳を話そうと瞬間、外から音を激しくたて
小屋に向かってきた。五右衛門も殺気を感じ斬鉄剣を構えた。
「伏せろ!!!」吉澤の背後に暗殺者の姿が見え、五右衛門が斬りつけた。
「ぜあー!!!」斬鉄剣が暗殺者の胴体を切り裂いた。
暗殺者の遺体が落ちた。しかし、そこには・・・・
75 :
名無し娘。 :2000/09/06(水) 21:44
「もういやだ・・・」
76 :
4649 :2000/09/06(水) 21:51
楽屋で加護がいつものように吉澤のたるんだ腹を蹴り上げて遊んでいると
保田が前触れなく入ってきた。
「や・・やすださん!」
加護は即座に直立不動になり保田に敬礼をした。
吉澤も口から胃液を吐きそうになるのをこらえ何とか立ち上がった。
「保田さんおはようございます」
保田は吉澤の胸ぐらをぐいとつかむと
「吉澤テメェ〜。誰がモー娘やめるっつったよ!あぁ?」
というとそのままの体勢から吉澤にチョーハンをかました。
吉澤の額が割れ、中から卵の黄身が噴出したが、倒れこんだりでもしたら
本番前に気合が入っていないとまた殴られるので何とか倒れるのをこらえた。
その様子を中澤裕子は楽屋の隅のほうで震えながら見ていた。
「私がリーダーでいられるのは収録中だけなんや・・ごめんな吉澤・・」
苦しそうな吉澤の傷の手当てを必死で行う石川を視界の隅にとらえながら
中澤は涙を流していた。
77 :
名無しさん@1周年 :2000/09/07(木) 21:03
78 :
名無しさん@1周年 :2000/09/08(金) 00:25
>>77 まあ焦るなよ。作者の事情もあるだろうから。
>木村
おもろいから頑張ってくれ。
79 :
名無し娘。 :2000/09/08(金) 15:00
>71
全部読んだ?面白いよ。
何気に登場人物とメンバーのキャラが合致してる。
>木村さん
待ってます。がんばって!!
おつかれ
81 :
名無し娘。 :2000/09/09(土) 14:53
色あせた 笑顔の奥に
凍えてる 淋しさ
82 :
名無し娘。 :2000/09/09(土) 14:53
僕を見つめて ためらいがちに
言いかけたこと 今はたずねない
83 :
名無し娘。 :2000/09/09(土) 17:29
>木村さん
是非、近況を!!
小説はある程度一気に書かないと途中で雑音が入ってくるんだよね。
俺も以前短編載せたときそうだった。
まあ、反応が欲しくて2chに書いたわけで、「つまらん」「やめろ」とかは別に構わないんだけど、
コピペと一見続きのように見せて勝手に先を書かれるのが一番困ったね。
俺は煮詰まってるときでも、「もうちょっと待って」とか「苦悩中」とか
作者として最低限の書き込みは毎日してたけどね。
>>84 遠まわしになんでもいいから一言書けって言ってるのか?
作者さん、がんばって是非続きを・・・・・。
後藤&吉澤編を早く読みたいよぉ〜。
87 :
名無し娘。 :2000/09/10(日) 14:41
ため息が眠るまで・・・
88 :
名無し娘。 :2000/09/10(日) 15:26
このスレどうなったの?
89 :
名無しさん@1周年 :2000/09/10(日) 17:10
氏にスレ萌え〜
90 :
名無しさん@1周年 :2000/09/10(日) 17:48
続き待ってる
91 :
木村 :2000/09/10(日) 20:20
やばい、アイデアでない。
辻&中澤・石川&加護は簡単に書けたんだけど吉&後藤がぜんぜんだめ。
難しいね、時間もあまりないし。
がんばってちょっとずつ更新していこうと思います。
92 :
名無し娘。 :2000/09/10(日) 20:23
よし!
がんばれ
キナガニマツ
作者さん、大変だと思いますが、がんばって欲しい。
こんな名作、未完で放置するのは惜し過ぎます。
94 :
木村 :2000/09/10(日) 23:30
案の定吉澤は人との会話を最小限にとどめていた。自分ではそうしているつもりだった。
「吉澤さん」
ここに来て初めて人から声をかけられた。
夜寝ようとして布団に入ったその時である。後藤は何のためらいも無く呼んだ。
「何・・・ですか?」
「吉澤さんてさぁ・・さっきも言ったけどかわいいよねぇ」
まじまじと自分の顔を見詰めてくる後藤に吉澤は少しひいた。
「あり・・がとう」
「何か吉澤さんって呼びにくいよね。よっすぃーでいいかなぁ」
「よっすぃー・・・・」
小さくつぶやいた吉澤はふっと笑った。
「何だよぉ、よっすぃーってだめぇ?気に入らない?」
「ううん、気に入った。よっすぃーねぇ」
「何か私の口調うつってるよ。あはは」
初めて名前を呼んでくれた人間に始めてあだ名をつけてもらった。
それから後藤は吉澤の隣にいることが多くなった。
実際は主寝室での会話が主でたまに図書室にいっては人生ゲームを広げていた
95 :
木村 :2000/09/10(日) 23:32
ある日後藤は吉澤を連れて宿舎の外に出た。
この宿舎は元々は古い孤児院だったのだが中澤の手によって
構築されたものだった。
裏口には誰が取り付けたかは不明だが屋根に登るための梯子がかかっていた。
焼却炉の横にあるそれを上るときは熱気で一瞬苦しくなった。
後藤はこの宿舎にきて間も無いころにこの梯子を見つけた。
「よっすぃー、ちょっと来てみ」
後藤は吉澤を手招きした。
「何これ・・・危ないんじゃないの?」
「大丈夫。ちょっと登って」
しぶしぶ梯子に足をかける吉澤。ニコニコしながらそれを見上げる後藤。
「おえっ!熱いよぉ」
熱気を感じた吉沢は一瞬顔を歪ませた。
それでも後藤は梯子を上ろうとしない。
「ごっちん、何してんの。登ればいいじゃん」
「あははは・・よっすぃーパンツ見えてるよ」
吉澤は自分がスカートなのを忘れていた。
「なに見てんだよ」
しかし吉澤はあまり気にすることなく上まであがった。
後藤もそれを追って登っていった。
96 :
木村 :2000/09/10(日) 23:39
「うわぁ〜。高いな〜」
吉澤が海のほうを見ていった。
「すごいでしょ?ここ私が一番好きな場所なんだ」
「ちょっと恐いよね」
「うそぉ?よっすぃー高所恐怖症なの?」
「いやいや、そこまでじゃないけど・・・」
そういうと二人は腰を下ろした。
「ごっちん・・・」
「なぁ〜に?」
「あたしこういうところ来るとさあ、ボーッとしちゃうんだよね。すごい気持ちよくなってきてさぁ」
「そうでしょ、わかるわかる。私はね誰とも喋りたくない時とかいつもくるんだ」
後藤がそういうと向かいから強い南風が吹いた。
「ごっちん・・・・。しばらく君のこと見ててもいいかい?」
「え・・・」
「今わかったんだけどさあ、ごっちんってかわいいんだね」
「何言ってんだよぉ〜。いきなり言われると困るじゃん」
いつもなら自分が言っていそうな言葉が今日は吉澤の口から出たことに後藤は少し驚いた。
「キスしてもいいかな・・・」
強い風の中吉澤はつぶやいた。
「え・・・何?聞こえな・・」
言いかけた瞬間吉澤が後藤の唇にキスをした。
「あ・・・・・ごめんね・・なんか」
「あはは・・・・」
沈黙する二人。しかしそれは気まずいわけではなかった。
二人の間をとおりぬける心地よい南風がそうさせていた。
97 :
木村 :2000/09/10(日) 23:45
夕方宿舎に戻った二人は食堂で矢口と加護の2人と一緒に食事していた。
「また真希ちゃん屋根に登ってたんか?うちらの部屋うるさかってんで」
「あはは、悪い悪い」
「いや、真希ちゃんの顔みとったら怒る気にはならへんよ」
「得な顔よね後藤は」
「そうすか?」
「よっすぃー、屋根の上に連れてかれたの?」
「うん、でもいいよあそこ。すごい風とか気持ちよくて」
「あたし駄目なのよ、高いの」
「うちもあかんわ、高いの苦手やねん。落ちたら死ぬやろ?」
「加護は単純なんだよ」
「矢口さんだってそうじゃ〜ん」
吉澤はこの4人で食事するのが好きだった。
吉澤はここに来てから好きなものを見つけることが多くなった。
食事を終えると後藤が教えてくれた場所へ向かった。
食事中の話によると吉澤以外はあの屋根に登ったことが無いという。
その事実に吉澤は少し嬉しくなった。
裏口を出て梯子を上る。ただ一つ焼却炉による異様な熱気は好きになれなかった。
98 :
木村 :2000/09/10(日) 23:46
いつもと同じように心地よい風を感じることのできる場所で座った。
吉澤はいつも隠し持っている拳銃を取り出してみた。
「お父さん・・・」
「よっすぃー?」
「あっ!」
吉澤は拳銃を急いで隠した。
「なんだ、ごっちんか・・・」
「なにそれぇ。見してよ」
「いや・・これは、何でもないの」
慌てて笑った。
「うそだぁ・・・大事そうに見てたじゃんよぉ。なんか大切なものなの?」
「・・・うん」
「私だって自分の大切な場所、教えたのになぁ」
「・・・・・・」
「キスした仲だと思ったのになぁ・・・」
後藤は相変わらずニコニコしている。
「・・・・・・・わかったよ、ほら」
吉澤は拳銃を取り出した。
「何これ・・・銃?」
「そう・・・別に銘柄とか走らないけどね。お父さんの形見・・なんだ」
「この銃が・・・」
「私ね・・・ちいさいころにお父さんが殺されたの」
「え・・・」
「私のお父さんはね、悪い人だったんだ。違法に武器を売買したり、個人的に人に お金を貸したりして。で、ある時お父さんのもとに一人のサラリーマンみたいな人 が訪ねてきてお金を借りたのね。その金額は尋常じゃなくてその人は事業の失敗も あってすぐに返しきれなくなったの。それでその人は自殺しちゃったんだ・・」
吉澤は淡々と話していった。
99 :
木村 :2000/09/10(日) 23:49
吉澤はめずらしく家にいた父親と話していた。
「ひとみ、こないだお父さんの知り合いが死んだのは覚えてるか?」
「うん・・・」
「あいつはな、幸せというものを今まで味わったことの無い人間だったんだ」
「幸せ・・?」
「ああ、あいつは小さいころから不幸なことばかり味わって終いにはああやって死 んじゃったんだよ」
「どうして?生きてればいいことなんて沢山あるんじゃないの?」
「そうさ、ちゃんと条件ていうものを満たしてればな・・・」
「じょうけん?」
「『幸せ』って言うのはきっとそうなるための条件って言うものを満たさなくちゃ いけないと思う。それをあいつはできなかったんだよ」
「・・・」
「いいか、ひとみ。もうすぐお父さんはおまえの前から消えるかもしれない」
「え・・・なんで・」
「父さんは幸福になる条件を満たしているつもりだった。でもなここまで来て一番 の条件を満たしてないことに気づいたんだよ」
「それは・・」
「人を殺しちゃったんだよ」
そういうと吉澤の父は部屋の隅にあった箱から拳銃を一つ出した。
「これをおまえにやる」
「お父さん・・・これって」
「そう・・本当はもってちゃいけないもんだ」
「じゃあ、なんで」
「あのな、ひとみ・・・俺の思う幸せの条件の一つに『大切なものを5つ見つけて要らないものを一つ捨てる』って言うのがあるんだ。ひとみおまえは今まで本当に大切と感じるものが無いはずだ・・だからその銃を一つめにしろ。それがスタートだ。ここからはおまえが見つけろ」
そういうと父は家を出ていった。
吉澤ひとみ13歳。父親が死亡した。たった一つのものをひとみに残して
ある日吉澤ガ遊びから帰るとそこは血の海だった。
血のとんだテーブルには手紙があった。
自殺した男の妻が書いたものだった。
夫の自殺に狂った妻が吉澤の母を殺害した。
遺体はなかった。
100 :
名無しさん@1周年 :2000/09/11(月) 02:25
>>93 君いいこと言った。その意見に同意。
>木村
頑張ってくれ!
うおぉ〜、更新されてるよ。
これおもしろい、先も気になる。
102 :
名無しさん@1周年 :2000/09/11(月) 13:04
びっくりしたぁ。もう更新されないと思ってたから・・・。
103 :
名無し娘。 :2000/09/11(月) 14:51
一番最初の『大切な物』ってゆうのが気になってたんだけど、これで謎が一つ解けた。
104 :
木村 :2000/09/11(月) 22:01
みんな気に入ってくれてるみたいですな。
小説かいてて楽しみなのはこのみんなの感想ですからね。
これからもゆっくりですが更新していきます。
今まで良く分からずに何度か上げてしまいました。これからは感想書くときは下げで書くようにします。好きなスレが荒らされるのは嫌なので。
木村さん、とにかくありがとう。
気長に待ちます。ほかの住人たちも同じ気持ちでいると僕は思っています。
昨晩も更新なしか・・・・。
作者の言葉を信じて気長に待つしかないか。
それにしてもlogの小説とかも荒らされてるね。
ここは荒らされたくないからsageとこっと!!
107 :
名無し娘。 :2000/09/17(日) 06:07
.
108 :
木村 :2000/09/17(日) 23:13
俺のパソコンがおかしいのかもしれないけどなぜか2チャンに入れなかった。
今週から試験期間なのでだいぶ更新はないけどよろしく
109 :
名無し娘。 :2000/09/18(月) 18:33
>>108 高校生?
110 :
無法地帯ハイド :2000/09/18(月) 19:42
>木村
頑張れよ。俺も小説書いているが,最近荒らす奴が増えてきている。そっちも注意しろよ。
111 :
木村 :2000/09/18(月) 21:55
>109 そう
>110どうもありがとう
112 :
名無し娘。 :2000/09/18(月) 22:00
>>木村
僕もだよ。何年生?僕は2年生宜しく。
荒らしが嫌になったらBAD板に来ると良いよ。
113 :
Mr厨房 :2000/09/18(月) 22:01
115 :
木村 :2000/09/18(月) 22:28
>112俺3年。でもちょっと辞めたい気分。大学の費用を稼ぎたい・・・(ちなみに志望は日大芸術学部)
映画作る勉強したいっす。
この小説も書くけどlogみたいに掛け持ちしてみようかな・・・。
116 :
名無し娘。 :2000/09/18(月) 22:32
117 :
木村 :2000/09/18(月) 23:36
「きっと自殺した火との奥さんがどこかで焼いたんだろうけど・・・」
「そんなことって・・・」
後藤の顔は青かった。この時ばかりはいつもの心地よい風も感じることはできなかった。
吉澤の話が終わると後藤は堰を切ったように立ち上がり屋根を降りていった。
「ごっちん?」
吉澤はそのまま宿舎へ戻る後藤を目で追っていた。
その夜吉澤は入浴を済ませるといつものように図書室へ向かった。
しかしいつもいるはずの後藤がいなかった。
「あれ・・。あの、中澤さん?」
「何やよっしー?ごっちんは一緒ちゃうんか?」
「うん、いないんです」
「は、どういうことや?めずらしいんちゃう、あの子があんたと一緒におれへ んなんて」
「知りませんか?」
「知らんがな、後藤はたいていあんたと居るからな。・・・なぁ、あんたごっちん になんかいったんちゃうんか?」
吉澤は適当に流して図書室を出た。
首に巻いたタオルを掴みながら矢口たちのいる部屋へ向かった。
矢口たちは主寝室の隣にいる談話室にいた。
この談話室は矢口が隔離個室から出てから矢口・辻・加護の遊び部屋になっていた。
「矢口さん・・」
「あれ!よっすぃー。どうしたの?」
「ごっちん来てないですか?」
「ああ、ごっちんならさっき来たよ。でもすぐ行っちゃった。遊ぼうって言ったんだけどあんまり乗り気じゃなかったからすぐ諦めたけどね・・・」
「じゃぁ、主寝室か・・・」
主寝室に戻った吉澤はいつもなら明るい空間が真っ暗になっていることに気づいた。
118 :
木村 :2000/09/18(月) 23:36
「あれ、電気消えてるよ」
「誰・・・?」
「あ、ごっちん」
「よっすぃー・・・」
「珍しいね・・おきてるの」
明かりを点けて後藤に近づく吉澤。後藤の周りにはいくつかのティッシュが転がっていた。
「何これ・・・まさかごっちん・・・」
「いやいや!なんでも無いよ!」
慌てて片付ける後藤。吉澤はそれを見ながら自分のベットに腰掛けた。
後藤も片付けを済ますといつもどおりに吉澤のすぐ横に座った。
「・・・・よっすぃー。夕方の話・・・・」
「え、どうしたの?」
「ううん・・いいや」
「・・・ごっちん。いきなりこういう事言うのはおかしいかもしれないけどさぁ」
吉澤は後藤を見ずに話し始めた。
「あのねさっきの話にも有ったんだけど『大切なもの』を5つ見つけて『要らないもの』を1つ消せば幸せになれるんだって。私はね、もう見つけた気がするんだ・・。この銃、あのごっちんが教えてくれた宿舎の屋根の上、ここにいるみんな、図書室でみんなと遊ぶ時間」
「あと一つは?」
「・・・・・後藤真希」
あらら・・・
ここの小説、めっちゃ気に入った。よしごま良すぎ。
おもろいので、がんばってください。
同級だったのか・・・
受験も小説も頑張ってちょ。
122 :
てうにち新聞新入社員 :2000/09/21(木) 20:08
先輩だったんだ・・・
今度テストに出るとこ教えてくれない?
更新待ってます。
おなじく楽しみにしてます。
125 :
木村 :2000/09/23(土) 18:54
更新希望ありがとうございます。
今テスト期間なんで勉強中です。いまのところ国語が終了。
126 :
木村 :2000/09/23(土) 18:56
あれ、上がらなくなっちゃった。
127 :
名無し娘。 :2000/09/23(土) 21:10
テスト頑張れよ。あげ。
128 :
ういのな :2000/09/24(日) 13:27
おもしろいあなた。
129 :
名無し娘。 :2000/09/25(月) 13:16
あげとくか・・・・・。
130 :
木村 :2000/09/27(水) 02:12
版が飛んだから上がらないのかな・・。
最近書き込みしても上がってくれない。
とりあえず更新しますよ。
131 :
木村 :2000/09/27(水) 02:14
「ハハ・・・私か・・・」
後藤の微笑みは少しさめた感じだった。
「どうしたの?ごっちん」
先程から吉澤はいつもと違う後藤の様子を少しばかり気にしていた。
「よっすぃー、私のことちょっと話してもいいかな」
「え?」
「私ね13歳ぐらいのころお父さん死んだんだ。お父さん悪い人たちにお金を借 りたんだって人たちにお金を借りて、それが返しきれなくてどうしようもなく なって殺されたんだって。おかしいよね・そんなの・・・。発見されたのは死んでからだったから最後は会えなかったんだけどね・・。それを理由にお母さんは前のやぐっちゃんみたいな病気になっちゃったのね。それである日発作がひどくなってどこかに行っちゃったんだ。それからもう一回も会ってない・・。何日かしてお母さんが遺体で発見されたのを知らされた。・・私はねお父さんを殺した人に会えるかもしれないとおもってここに来たの。でもここにいる子達はみんな誰かを殺したいという思いを持った人間達ばかりだった。梨華ちゃんも加護ちゃんもやぐっちゃんも辻ちゃんも・・。でも私は違う。人なんて殺したくない・・・。人が血を流して死ぬのなんて見たくないんだよ・・・」
後藤は少し涙を浮かべながら喋っていた。
132 :
木村 :2000/09/27(水) 02:15
「ごっちん・・・」
「『死ぬ』って言う言葉には一番近い人間のはずなのにおかしいよね」
「・・・・ごっちん!」
「なに?」
「・・・・・・ごめん今のこと聞いてて分かった・・・」
「・・・・」
「君のお父さんを殺したの私のお父さんだよ・・・」
「え・・・・?」
「君のお父さんの死んだ理由と私のお父さんが死んだ後に仲間が言ってたこと がピッタリなんだ・・・」
「・・・・・嘘・・・嘘だよ、そんなの!絶対!だってオカシイじゃん。なんでいきなりそんな事がわかるの?私よっすぃーなんてそのとき知らないよ。偶然すぎるじゃん!」
「私のお父さんは君のお父さんにナイフで心臓を刺されたらしいの、それで死ぬ直前に自分も相手の心臓を銃で打ち抜いたんだって・・・。その後私のお母さんは病気によって狂った君のお母さんによって殺されたみたい・・なんだ・・・」
「・・・・そんな・・・・」
「ごめん・・・ごめん!」
「いやっ!そんなのやだ!」
後藤は近くにあった本を思いきり吉澤に投げつけた。
「っ!・・・・いてっ・・」
あるだけの本を投げつけると溜めていた涙を床に落とし部屋を出ていった。
「ごめん、ごっちん・・・ごめん、ごっちん・・・ごめん・・・」
吉澤は同じ言葉を繰り返しつぶやいた。
その夜後藤は戻ってこなかった。
いつもなら吉澤は見に行くべき所へ見に行くはずだったがこの日は恐くてできなかった。
吉澤は眠ってしまった・・・・・
133 :
木村 :2000/09/27(水) 02:16
翌朝吉澤は朝早くから目を覚ましていたが布団から出ることはなかった。
ずっと窓のほうを向いていた。
こうしていればもう少しで後藤が戻ってくるという期待をもう30分以上引きずっていた。
静かな空間だった。時間的に中澤はもう図書室にいるはずなのでそこには吉澤一人だった。本人は ―― 部屋が見渡せない姿勢でいるため ――確信できないが。
1時間後ようやく体を起こした。
「ごっちん・・」
やはり静かな空間だった。
扉を開けとりあえず図書室へ向かった。
「ごっちん、結局こなかった・・。どうしたのかな」
と、ゆっくり歩きながら考えていた。
「中澤さんに聞いてみよう」
といって図書室に入った瞬間吉澤は唖然とした。
そこは図書室ではなかった。
荒らされた部屋に入っていく吉澤、壊された本棚を見ると少しだが血液を見つけることができた。
「中澤さん!」
吉澤は司書室へ走った。
そこには腹を押さえて壁にもたれる中澤を見つけた。
「中澤さん!」
「あ・・・あ・よっすぃーか・・・」
「大丈夫ですか・・誰が・・」
「わ・・・わからんか・・・」
「ご・・・っちん、ですか?」
中澤は弱くうなずいた。
「そんな・・・なんでこんな事」
「あんた・・・逃げたほうがええ・・。ほんまに危ないで・・・あの子小さく あんたのこと呟いとった・・・くっ、はぁはぁ・・」
「あまり喋らないでください。血が・・」
「早くごっちん探し・・。今度はあの子等が危ないで・・」
中澤はそのまま気を失った。
134 :
木村 :2000/09/27(水) 02:17
吉澤は中澤を寝かせて談話室に走った。
「ごっちんは多分私が言った大切なものを一つづつ壊してく気だ」
そういうと吉澤は外に出ていつもの屋根に向かった。
梯子の下に矢口がよくつけてたリストバンドが落ちていた。
「やばい・・・」
吉澤は急いで上に登った。
「ごっちん!」
矢口は腕と足を切られて屋根の端のほうで倒れていた。
後藤は加護にナイフを向けていた。
「・・・・あ、嘘吐きが来た」
「よっすぃー来ちゃ駄目!」
加護が叫んだ。後藤は向けていたナイフをおろすと加護を屋根の下へ突き落とした。
下はごみ置き場だったので加護はその上で気を失っているだけのようだった。
「ごっちん・・・何で・・?」
「よっすぃー、どうしてあんな嘘言ったの?」
「そんな、嘘なんかじゃないよ」
「もういいよ、私は絶対信じない。あんたのことはもう信じない」
後藤は冷たい目で吉澤をにらんだ。吉澤は鳥肌が立った。その目は昔の自分の目と同じだった。
「・・・後藤真希・・・私は君が好き。君を『大切なもの』として認めたつもりだった」
「・・・・」
「でもこんな事をするなら私は君を『要らないもの』として消すよ」
吉澤は銃を取り出した。
135 :
木村 :2000/09/27(水) 02:31
やっぱり上がらねえ。
一応終わりまで書いたのにな。
誰か上に上げてください、頼みます!
136 :
名無し娘。 :2000/09/27(水) 03:26
age
137 :
名無し娘。 :2000/09/27(水) 03:36
あげ
138 :
仲松博 :2000/09/27(水) 03:38
字が読めないので内容がわかりません
139 :
名無し娘。 :2000/09/27(水) 15:10
面白いです。もうすぐ最終回ですか?
140 :
木村 :2000/09/27(水) 15:38
同時に後藤も銃を出した。
「私ね、よっすぃーにあの話されてから人を殺すのが急に恐くなくなったんだ・・・」
後藤は少し笑いながら喋った。
「今加護ちゃんが落ちた時すごく楽しい気分になっちゃったもん」
「最低だね・・・」
「何が?それ嘘吐きの最低人間が言える言葉なの?」
「・・・・・殺す」
吉澤は銃を構えた。
後藤も使いなれていない銃を構えた。
「・・・・・・ごっちん、一つ言っておくよ。あんたを殺すことは決定・・・でもこれだけは覚えといてね。私が行ったことは全部真実。後藤真希を好きなことは本当だから・・・」
吉澤は初めて涙を見せた。
「あれ、なんでかな。要らないものに喋りかけてるだけなのに涙出てきちゃった・・・」
「よっすぃー・・・」
後藤は吉澤を見続けた。
何を悟ったか後藤は銃を足元に落とした。
「・・・やっぱり駄目だよ・・。よっすぃーを撃てるわけないよ、好きな人を・・大切な人を・・」
その瞬間吉澤は引き金をひいた。
「え・・・・」
「ごめん・・・ごっちん・・」
その場に倒れる後藤。立ち尽くした吉澤は涙を拭いて後藤に近づいた。
「な・・なんで・・・よっすぃー・・」
「君を殺すことは決定してたから・・・。でも最後に私の気持ちが全部伝わってよかったよ」
「そんな・・・・。これじゃよっっすぃー幸せになれないよ・・・」
141 :
木村 :2000/09/27(水) 15:39
1週間後吉澤は後藤の墓に来ていた。
後藤が死んだ安登吉沢は屋根にかかる梯子の下に簡単な墓を作っっていた。
「さようならごっちん・・・」
中澤が吉澤の肩をたたいて言った。
「あんた・・・・これからどうすんねん」
「私は・・・もうここを出ます」
「・・・・そっか・・。まあ、止めへんわ。でもここ出てから暮らしていく当 てはあるんか」
「大丈夫です。今ここに私がいるってことは今までなんとかなってきてるって事ですから、これからも何とか成るんじゃないですか」
「ハハ、せやな・・。あんたやっぱクールなところあんねんな。最初に会った頃と同じ感じに戻ったな。ここに慣れてからはほんと可愛かったけどな・・」
「そうですかね・・」
「まあ適当にやってったらええやん」
「はあ・・。あっ、加護ちゃんと矢口さんは?」
「あの子等はまだ寝とるわ。どうする叩き起こしてくるか?」
「いやいいですよ。なんか何喋っていいかわからなくなりますから・・・」
「やっぱり不器用やねんな・・・」
「それじゃあ行きます」
「あ・・・・」
「え・・・なんかあるんですか?」
「これ、もって行き・・」
中澤は吉澤に一枚の写真を渡した。
それには吉澤が初めの7人と一緒にぎこちない笑顔で写っている写真だった。
「あ、そうだ私も・・・」
吉澤は父から貰った銃を出して中澤に手渡した。
「何でや・・持ってったほうがいいんちゃうか?」
「・・・・・もう、要らないですからないですから。私の大切なものはもう全部そろいました。これが要らないものです」
「そうか・・ほんなら貰っとくわ。あんたのことは忘れへんで」
「それじゃあ・・・」
吉澤は歩き始めた。
振り返らずに歩き始めた。
中澤はそんな吉澤を見ると手に持った銃を天に向けて引き金をひいた。
大きな銃声が響いた。
吉澤は振り向き大きく手を振った。
「何や、できるやんか・・」
今日も宿舎に吹く風は暖かい南風だった。
142 :
木村 :2000/09/27(水) 15:41
やっと終わり。
最後は変な終わり方でごめん、なんかグダグダになってるよね。
新しい小説書こうとしてるのに新しいスレッドが立たない。何でかな?
初心者なんですいませんが教えてくれる人いないですか?
143 :
名無し娘。 :2000/09/28(木) 00:22
>>142 モ板に負担が掛かるからスレッド成立制限がついている。
「ブラウザ変ですよん」のメッセージだったら、数日後にスレッドが立っていることがあるんで
注意してみてください。でも、ココで続きを書くのがわかりやすくて見つけやすいのと、スレッ
ドの有効活用になっていいかなって思うんですけれども。
144 :
名無し娘。 :2000/09/28(木) 00:26
なんで後藤殺しちゃうんだよ。ガッカリだな。
スレッド立たないのは板が飛んでるからじゃないの?
石川や辻が殺される時のようなあのせつない感じが後藤の死ぬ時は感じられなかったなぁ。
途中まで引き込まれるような話だっただけに最後はちょっと残念。
でも才能あるよ、次回作に期待。
風に舞う君のまなざし
遠い日を見ている
君の心に鍵をかけてる
違う誰かを思いださないで
徳永英明の「想い出にかわるまで」って曲なんだけど、木村さんの小説読んでからなぜか聴きたくなって。ちなみに作詞は秋谷銀四郎。小説の内容とは合うような合わんような。少なくとも「想い出」って言葉は合わんかな。
148 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 15:22
随分遅くなったけど、感想とか書く。「キリング・センス」ってタイトルはやっぱイマイチだな。木村さんもう来ないかもしれないけど、書き終えてこんなタイトルにしとけば良かったってゆうのあったら教えてほしい。
「大切なもの」ってゆうのが結構ポイントになったね。途中で忘れてるんじゃないかと思ったけどさすがだ。「大切なものを5つ見つけて要らないものをを一つ捨てる」ってゆうのは何かからの引用?それとも自分で思い付いたの?
あと、モチーフにした映画とかあったら教えてください。
感想とか言っといて質問ばかりだった。ここからは感想を書く。
96のところ、吉澤のほうからいったのが意外だった。11の後藤のセリフが伏線?というか、俺はそこでもしかしたらって思ったんだけど、もしそうなるとしたら後藤のほうからだと思ってたから。
総合的に言うと、文章の書き方はともかく、内容的には面白かった。暗すぎる、最後はもうちょっと救われるような展開でも良かったんじゃないか、ってゆう思いもあるけど、何だかんだできれいに終わってるし。「要らないもの」ってゆうのが生きたね。ってゆうより、最初からエンディングはこうって決めてたのかな?また質問になってしまった。
終わったし上げてもいいよね。
149 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 15:27
面白くない、早く続きかけ
150 :
木村 :2000/09/30(土) 17:05
>145 終わり方を変な風にした理由は思い付かなかったって言うのもあるんだけど、もう1つあって
それは、大体の小説読んでると最後は感動さしてとか二人が幸せにみたいなおちが多いんで
そういうのを今更俺がやってもしょうがないって気が少しあったからなんです。
>147その歌の詩なの?→146
>148ほんとタイトルは何も意味ない。たまたま書く時キリングセンスっていうお笑いコンビの本よんでたんで・・。
『大切なものを〜』っていうのは自分の発想です。ホントお寒いフレーズだよね(笑)。
基本的にモチーフは無しほとんど思い付き。
終わり方もホントその場での発想。以上質問の答え終了、感想どうもありがとう。
>149続きはねえよ。これで終わりだよ。つまんなかった?じゃあ次は面白いの書くよ。
151 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 17:07
今から読む
152 :
151 :2000/09/30(土) 17:25
>>131以降が最高に面白かった。次もこんな感じで頼む
153 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 17:27
154 :
木村 :2000/09/30(土) 17:31
155 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 17:56
147=148だけど、
>>81-82、
>>146はその曲の歌詞です。90年の「JUSTICE」ってアルバムに入ってます。念のため。
「大切なものを〜」って寒くないよ。高校生がこんなフレーズ思い付かないよ、普通。否、高校生じゃなくても思い付かない。
ちょっと誉めすぎたかな。
新スレ立てたらリンク貼ってね。
誉めすぎ○
誉めすて×←全然落ちてこない
157 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 17:58
あべ
158 :
木村 :2000/09/30(土) 22:02
『PROXY規制中!』って出てきて新スレガ立てらんねえよ!
どういう事だよ。これじゃあ新しいのかけない。
誰かこれのはずしかた教えてくれませんか?お願いします!初心者過ぎてすいません。
159 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 22:56
第二弾小説書いて。
160 :
名無し娘。 :2000/10/01(日) 00:23
辻が死ぬまではリアルタイムで読んでいた。
だんだん辛くなったので読まなくなった。
今完結したと聞いたので、続きを読んだよ。
なんか終わり方が……。
吉澤が後藤を殺す時の心の葛藤とか書いてあったら
納得したかも。
第二弾に期待します。
名作集版だったら簡単にスレ立てれるが、あそこは
好き嫌いがあるからなぁ。
ま、一応勧めておきます。
161 :
木村 :2000/10/01(日) 01:04
>>160確かに終わり方はいいかげんですよね。
というわけでございまして『キリング・センス』完全に終了しました。
第2弾の小説書きました。
今度は辻が主役です。新スレッドが串規制されちゃったんで立たないということでここでやらせて頂きます。
すいません。
更新は遅いと思いますがよろしく。
162 :
木村 :2000/10/01(日) 01:08
< lost ability >
―――私には、変な力があるんです。超能力って言うんですかね。いつからかは忘れたけど、人の心が読めるんです。あと自分の想像した物を実際に現実に具現化させたり・・・。
例えば水を出したり火を出したりです。皆さんはこんな能力あったらどうします?
嬉しいですか?きっと嬉しいんでしょうね。そんなことないんですよ結構。何かと不便だし・・・でも今まで使えた力がある日突然使えなくなったら・・。皆さんはどうですか?私は・・・――――
163 :
木村 :2000/10/01(日) 01:09
夕暮れの大通り。
辻希美は学校帰りに一人下校していた。
商店街には主婦や自分と同じ下校中の生徒が騒いでいる。
途中で顔見知りもいた。声はかけないしかけられない。
どうせ分かっている。会話中の人間の考えていることを読み取って気分が悪くなるだけだ。
どうしてこんな力があるんだろう、心の中でいつもそう思う。しかしそう思っているとそれをほかの人間にも読まれそうな気になってすぐ辞めた。
家に着く辻。一人で鍵を開ける。
家には辻一人。誰もいない薄暗い空間。
両親はいない。
辻が小さい時交通事故で死んだ。
3年前両親の結婚記念日。二人は食事に出かけた。
そのときから超能力を持っていた辻は両親が出かける寸前一瞬交通事故の絵が頭によぎった。
「お母さん、お父さん。行かないで!死んじゃうよ!」
良心は聞く耳を持たなかった。というかむしろ怒った。
当然のこといえば当然だが、辻の言うことも当然だった。
その夜病院から辻の家に電話が入った。死因は全身打撲による内臓破裂、交通事故を起こしていた。
辻は両親が死んだという悲しみよりこんな能力があるために親の死を不自然に知ってしまった自分に腹が立った。こんな能力がなければ親が死んだことに純粋に涙を流せたという気持ちにもなった。
この日から辻は自分の能力を嫌うようになった。
「お母さん・・私なんでこんな力があるのかな」
辻は部屋に入り両親の仏壇に座り線香に灯を点しながら言った。
「友達といってくれる人間はほんとは私の能力が自分に対して得になるから付き合ってくれるだけだし・・。損なことばっかりだよ・・」
辻は少しだけ目に涙を浮かべていた。
「こんな力いらないよ、無くなってほしいよ。どうしようお母さん」
この日は早く寝た。いつもそうなんだがこの日は格別早く寝た。
164 :
木村 :2000/10/01(日) 02:55
また上がらねえよ。もうこの版ほんと腹立つこと多い。
165 :
亀チン :2000/10/01(日) 12:58
あ、新しいのやってる。
166 :
木村 :2000/10/01(日) 17:13
翌日学校に遅れていった辻。
「辻ちゃんどうしたの?遅かったじゃん」〔もう昼過ぎなんだから休んでもよかったのに・・〕
同じクラスの女子が話し掛けてきた。
「べつに・・・」
「あのさあ、辻ちゃんに見せたい物があってきたんだ」〔また機嫌悪いのかなぁ〕
「別に悪くないよ、なによ・・」
その女子はA4サイズほどの雑誌を辻の目の前に出した。
「これさぁ、きのう見つけたんだ」〔辻ちゃんどうせ興味示さないんだろうな・・・〕
「ふぅん・・」
雑誌を受け取り適当なページを開いてみる。
「あのね、これシルバーアクセサリーを自分でつくろうっていう特集なんだけ どね」〔珍しいなあ、辻ちゃんが興味持ってる・・〕
辻はしばらく読んでいたが突然雑誌を閉じた。
「ありがと」
「う、うん!」〔何だよ、もういいのか・・せっかく持ってきたのにな・・〕
「せっかく持ってきてくれたのに悪いね、私あんまり興味ないから」
「・・・・・」〔つまんない子・・〕
167 :
木村 :2000/10/01(日) 17:16
辻は下校時刻になると真っ先に書店へ走った。
昼間のあの雑誌を買うためだ。
店内に入り雑誌コーナーを見つける。とりあえず並んでいる雑誌を片っ端から手にとって読んでみた。
「あった。これか」
目当ての物をとりすぐに会計を済ませ家に帰る。
いつものように仏壇に線香を上げて待ちきれずに雑誌を開く。
そこにはシルバーアクセサリーのあらゆる知識が紹介されていた。
辻は始めて見る世界に胸をときめかせ雑誌に見入っていた。
「・・・つくってみようかな」
辻は小さな頃から趣味を持ったことはなかった。
その日は雑誌を読んだまま疲れて寝てしまった。
168 :
木村 :2000/10/01(日) 17:16
次の日から辻は学校を休みつづけるようになる。
辻はまず渋谷へ向かった。雑誌によると渋谷にそういう店が沢山あるのだそうだ。
クラスメイトに連れられて何度か渋谷には来ていたが独りで来るのは始めてだった。初めての一人の渋谷に少し緊張した。
駅を出て少し歩いて裏通りに入り目当ての店を探してみる。
細い道に入ると辻のほうをじっと見る中年の男性がいた。
「ウワァ、見てるよ。気持ち悪い」
そう呟くとその男が近づいて来た。
「きた・・・どうしよう」
「ねえ、お嬢ちゃん。一人かい?おじさんとどっか行くかい?」
辻には男の心の声が全部聞こえていた。
「悪いんですけど、そういう馬鹿な考えばっかり持ってるといつか酷い目にあ いますよ」
「何いってんだい?お嬢ちゃんいいから行こう」
男は少し乱暴に辻の腕をひいた。
辻はそれに必死に抵抗した。
「止めて・・・・離して!」
辻は思い切り腕を振り解いた。男はついにむきになり辻の肩を無理矢理掴もうとした。
後ずさりした辻は目を閉じて何かを念じ始めた。
男はもう辻の肩を掴み片方の手で腕に手を回していた。
そのとき男の頭に火が点いた
「うわっ!あちちっ!なんだこりゃぁ。」
男は慌てて頭に手をやった。
「残念でした。もうおじさんはツルッパゲ決定」
そう言い捨てると辻はまた歩き出した。
「やっぱ渋谷はこういう奴ばっかりなのか・・・」
そういいながら駅に向かった。
店をさがす気は失せていた。
169 :
木村 :2000/10/01(日) 17:17
帰りが遅くなってしまった辻は仏壇の前にあるロッキングチェアにすわって雑誌をめくっていた。
「明日もう一回行こう・・・」
その瞬間である。
「うわっ!・・・・なに・・これ」
強烈な痛みが辻の頭を襲った。
「痛い・・・痛いよぉ。誰か・・」
頭を抱えて仏壇の前でのたうち回る辻。そのうち気分も悪くなってきた。
「っく・・い・・痛」
トイレに入り吐いた辻は自分の部屋に戻りベッドに倒れ込んだ。
布団をかぶって寝てしまおうと考えたが痛みはひっきりなしに襲ってくる。
「なによ・・これ、どうなってんの」
布団の中で痛みのために泣いてしまう辻。
10分にわたる激痛の末にとうとう気絶してしまった。
170 :
木村 :2000/10/01(日) 17:17
「あれ・・・。私・・そうだ、さっき雑誌読んでたら急に頭痛くなって・・」
辻が目覚めたのは気絶してから10時間後のことだ。時計を見ると深夜四時を回っていた。
「何だろ、さっきの・・」
起き上がって机に乗っているコップをじっと見つめる。
そして目を閉じてそっと念じる。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
何もでない。
「あれ、何で?水が出ない」
不思議に思って何度も試すが全然コップに水が溜まらない。
「どうしたの?」
仕方なく辻はキッチンに行って水を飲んだ。
「なんで・・・おかしい・・な」
しかし先程の頭痛が気になるため辻はそのまま眠りに就いた。
171 :
名無し娘。 :2000/10/01(日) 19:39
上げとくよ〜ん
172 :
木村 :2000/10/02(月) 00:07
辻が目覚めたのは午前10時だった。
学校はサボることにしていたので慌てることはなかった。
昨夜から頭痛は一度も起こらなかった。
「よかった・・・。頭痛はもうない」
ベッドから起き上がると出かける準備をして昨日と同様渋谷へ向かった。
車内でもいつもの雑誌を読みながら到着を待つ。
辻はなんの違和感もなく渋谷までたどり着き、外に出た。
「とりあえず昨日と同じ所をたどってみよ」
歩き出す辻を誰かが読んだ。
というか辻は誰かに呼ばれた気がした。
「おお〜い!おお〜い!」
「・・・私?」
「そうそう、あなたを呼んだの」
近づいてきた女性は長身で黒髪の奇麗な人だった。
息を切らすその人を見て辻は初めて自分に違和感を感じた。
「わかんない・・・今、あなたなんて思ってます?」
普通の人間からしたらおかしな質問だが辻にとっては重要な質問だった。
辻はこの時自分の能力が消えたことに気づいた。
173 :
木村 :2000/10/02(月) 00:08
「何いってんの?」
「いえ、あの・・なんか私に用ですか?何もなかったら私探す物があるんで行き ます」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
「何ですか?」
女性は辻の腕を掴んで引き止めた。
「昨日、見たんだ私」
「え?」
「あなたが昨日裏通りでおやじに絡まれてたでしょ?私見たの、そのときおやじの頭の急に火が点いたでしょ?」
「あ・・・・」
自分の能力が消えたことに少し動揺し始めた辻は何を喋って良いかわからなくなった。
「すごいね!だってあなたが火をつける動作起こしてないのにいきなり点いた んだよ!」
「はぁ・・・(どうしよう、この人が何考えてるか分からない)」
毎日のように願っていた願いが突然叶った。
辻は嬉しさより先に不安が襲ってきた。いつもなら会話してる人間の本当の気持ちを探りながら喋るはずなのに今日から突然境遇が変わった、そんな不安がかなり大きくなってきた。
174 :
木村 :2000/10/02(月) 00:10
「私ね飯田圭織っていうんだ。あなたの名前は?」
「・・・辻・・です(何でこの人私の名前なんか聞くんだろう。何で?なんでなの? わかんないよ。)」
「え〜っ。下の名前も教えてよぉ。せっかくお友達になろうとしたのに」
いつもなら『友達になりたい』と言う言葉を言う人間は自分の能力を利用したいと心の中で思う人間ばかりだった。その度に辻は友達という存在遠い物にしていた。しかし今は目の前にした女性の心が読めない。だから何を思って自分に声をかけているのかさえわからないでいた。
「・・・・あの・・・辻希美っていいます(名前なんて教えなくても良いのにな・・)」
「ふうん、希美ちゃんかぁ。そういえば・・探してる物があるって」
「あの、このお店知っていますか?」
何も整理がつかないままとりあえず飯田の質問にあたふたと答えつづける辻。
雑誌を出し探している店の写真を見せた。
「・・・ああ!これ私の店じゃん!」
「え?」
「このお店私がやってるの。小さいんだけどね」
「本当ですか?」
「うん!なんだ偶然じゃん。今から行くとこだったんだよ。その途中にあなた を見つけたんだ。それだったら一緒に行こうか?」
「・・・・はい!」
辻は自分の願いが叶ったんだと納得し飯田についていくことに決めた。
175 :
木村 :2000/10/02(月) 00:15
もう上がるようになったのかな。
ここの物書きは上がらなくなった時どうしてんのかな。
放置 別に誰も見てくれなくてもいい
177 :
\ :2000/10/02(月) 12:20
>176すごいこと言ったね
178 :
じゅりー :2000/10/02(月) 14:06
矢「最近はホントに猛暑続きですよね。」
飯「私なんかもう溶け出してきましたよ。」
矢「なんでだよ!溶解人間か、お前は。」
飯「あれは怖い映画だったよなあ。」
矢「しらねえよそんなもんは!今日はプールについて話そうとしてんだから変な邪魔すんなよ!」
飯「プールはよく行ったよ。特にいろんな種類のプールがあると楽しいですよね。」
矢「例えばどんなプールが好きなの?」
飯「並のプール。」
矢「うまくもなんともねえよ!それを言うなら波のプールだ!!」
飯「じゃあ、奈美のプール。」
矢「うるせえよ!何で奈美悦子がプールになってんだよ!」
飯「全員乳首がありません。」
矢「いい加減にしろ!だいたいなんで乳首がねえって分かるんだよ!」
飯「でもやっぱり一番好きなのは流れるプールかな。」
矢「ああ、あのプールの壁から水流が出ていてほっといても体が流されるっていうやつね。」
飯「そうそう、水流のところに子供が溜まってるんだよ。」
矢「みんな水圧で流れていっちゃうんですよね。」
飯「それで流れ着いたのがハワイ。」
矢「なんでだよ!何処につながってんだよそのプール!」
飯「ところでさ、私は最近のプールに不満を感じ始めてんだよね。」
矢「何だよ、ふまんて。」
飯「せっかくプールにきてんのに水にも入らず体を焼いてる人とかいるでしょ。あれが嫌でね。」
矢「いいじゃねえか別に。からだ焼きてえ奴は勝手にやらしときゃ。」
飯「だから私は寝てる奴等の背中に火のついた煙草を押し付けてやりましたよ。」
矢「やめろよ!見ず知らずの奴に根性焼きなんかするな!」
飯「そしたらそいつ「あちっ!」なんて言いやがってさあ。」
矢「あたりめえだろ!それ以外言うことねえよ!」
飯「私も「だったらプール入れ、馬鹿野郎!」って言ってやりましたよ」
矢「お前、いつか殺されるぞ!」
179 :
名無し娘。 :2000/10/02(月) 14:09
つまらないというやつは小説も書けないっていわれるので
面白いっていっておく
180 :
名無し娘。 :2000/10/02(月) 21:54
第2弾も面白そうだよ
181 :
名無し娘。 :2000/10/03(火) 12:20
>木村
昼は上がるよ
182 :
名無し娘。 :2000/10/03(火) 12:25
「七瀬ふたたび」みたいなやつか?
183 :
木村 :2000/10/03(火) 13:52
>182七瀬ふたたびってどんなドラマだったっけ。
185 :
木村 :2000/10/03(火) 18:24
>184どうもわざわざありがとう。
186 :
名無し娘。 :2000/10/03(火) 18:25
>>183 チャンネルNECOあたりでたまにやってるな
187 :
名無し娘。 :2000/10/03(火) 18:29
俺は水野真紀のやつを見たぞ
堀ちえみのやつは酷かった。だいたい、七瀬は長身の美女だって原作にはっきり書いてあるのに…
頑張って下さい
190 :
名無し娘。 :2000/10/08(日) 21:08
どう
楽しみにしてまっす
楽しみにしてまっす
193 :
:2000/10/11(水) 00:46
一週間以上更新なしだね。行き詰まってるかな?がんばれ木村!!
頑張って下さい 続き期待してます。
期待してます