1 :
すすむくん:
どんどん掘ります1m
2 :
我輩は(流れ猫)である。:2000/08/23(水) 18:55
我輩は流れ猫である。
気がつけば小さなダンボール箱に入れられて道路にいた。
母親の顔も良く憶えていない。
捨てられた、と気づくのに3回くらいの夜が来た。
もう今日で5回目の朝がやってきた。
ハラペコだ。
箱の前を沢山の人が通る。
大人たちは見てみぬふり。
子供たちは散々おれで遊んだあげく飽きればまた箱に戻して行く。
誰もなにも食べ物をくれない。
都会は冷たいところだ・・・。
もう空腹で死にそうだ。
死ぬときは猫生が走馬灯のようによみがえると言うが、それほどまだ生きていない。
ぐったりして箱の中で寝ていると誰かが箱の前で立ち止まった。
女だ。
女は少し立ち止まって考えているようだった。
そしておれの前でしゃがみこんだ。
「随分人相の悪い猫やな」
女はおれの顔を見てそう言った。失礼な女だ。
「ずっとここにおったん?気がつかへんかったわ」
おれはハラが減って限界だったので女は無視して箱の中に寝転がった。
寝転がってみて気づいたのだが、タイトスカートをはく女のパンツが見えそうだった。
おれはもう少しで見えそうなので箱の中で色々姿勢を変えてみた。
「なんや・・・ごろごろして。可愛いやんか」
女のそんな言葉は気にせずにパンツを覗こうとする。あと少しで見えそうだ・・。
と、その時女はおれを抱きかかえた。
パンツが見れなくなってしまった・・・・。
女はおれを顔のあたりまで持ち上げた。
女が顔を近づける。少し酒臭いようだ。
「ずっと一人でおったんか?」
「一人は寂しいよな・・・」
女は勝手なことばかり言う。
ほっといて欲しい。おれは一人が好きなのだ。
ただ、食べ物はくれても良いぞ。
「ウチも一人で寂しいんや。一緒やな」
女は寂しそうな顔をした。
「そや!一緒に住もうか?」
「ほんまはダメなんやけどな。ウチのアパート」
「ま、こっそり・・」
どうやらこの女はおれを飼うことにきめたようだ。
それも悪くない・・食べ物に不自由しないだろうからな。
嫌になったら逃げ出せばいいだけの話しだ。
「よし!そうしよう!」
女はおれを胸のあたりに抱きかかえた。
そして歩き出した。
途中で女は何か思い出したようだった。
おれをまた顔のあたりまで持ち上げて、おれの顔を見て女は言った。
「ウチは中澤裕子言うんや。よろしくな」
そして女はまたおれを胸のあたりに抱えて歩き出した。
こうして(流れ猫)と中澤裕子という女の共同生活?が始った。
終わり
こちらで連載ですか・・・
「ウチはなぁ・・まだ東京出てきてそんなに立ってないねん」
女は歩きながらおれに言った。
「まだここら辺も詳しくなくてなぁ」
女はキョロキョロと何かを捜しているようだった。
そしてこうこうと明るい建物めざして歩き始めた。
「お腹減っとるやろ・・・ちょっと待っててや」
そういうと女はおれを建物の前で離した。
建物には大きく「7-11」と書いてあった。
ドアが開いて女が出てきた。
「お・・・ええ子や。ちゃんと待ってたんやな」
女は嬉しそうな顔をしてまたおれを抱きかかえた。
女の手には「猫元気」とか書いてある箱を持っていた。
どうやら食べ物のようだ。助かった。
「モーニングコーヒー飲もうよ〜」
女は歌を歌いながらまた歩き始めた。
「さ、ここがウチの部屋や」
女はそういっておれを解放した。
「明日色々買ってこんとなぁ」
女はそう言ってがさがさと何かしていた。
おれはとにかく食べ物が欲しかった。
さっきの箱を開けようと試し見るが上手くいかない。
女がやってきて箱を開けてくれた。
「そんなにお腹減ってたんか」
女はにこりと笑った。
おれは気持ち悪くなるほど食べた。幸せだった。
「もう、終わりか?」
女は箱を手にとってどこかへ持っていってしまった。
しまった・・ちゃんと食べ物のありかをチェックしておくべきだった・・あとでそう思った。
女は戻ってくるなりおれを抱え上げた。
「随分汚れとるなぁ・・風呂入るか?」
そう言って女はおれを小さな部屋に連れていった。
女は小さな部屋にある大きな箱に水を入れ始めた。
「ちょっと待ってるんやぞ」
女はそう言っておもむろに服を脱ぎ始めた。
風呂というのは水あびの事だったのか。
おれは悩んだ。おれは水が嫌いだ。
でも、逃げたら女の裸を拝めない。
おれは海より深く悩んだ。
おれは急に後ろから掴まれた。
そして水をぶっかけられた。
後ろ向きになってて女の裸が見れない!
おれはなんとかしようとじたばたした。
「こら!そんなに暴れるんやない」
女はますます力を強めておれを羽交い締めにした。
妙な匂いのする液体をかけられた。
そしてまた水をかけられた。
そのままおれは大きな布でごしごしと拭かれた。
「さ、もうええよ。やっぱり風呂は嫌いなんやな」
女はそう言っておれを放した。
おれは焦って女の方へ振りかえった。
「バタン」
無常な音がして扉が閉まった。
女はおれを残して風呂に入った。
遺憾だ。きわめて遺憾である。
次の日、おれは女に小さな箱に詰め込まれた。
「ちょっとだけ我慢してや・・ここに置いていくわけにいかんのや」
「大家さんに見つかったら大目玉や」
女はそう言って箱のふたを閉じた。
真っ暗な箱はぐらぐらとゆれ始めた。
また捨てられてしまうのだろうか?
おれは不安になった。
かなり時間がたったあと、箱のふたがあいた。
ふたが開いて飛びこんできた明かりはとても眩しくておれは目を閉じた。
「きゃー!可愛い!」
なにやら沢山の声がきこえてきた。
「裕ちゃん抱かせて!」
「ええよ」
おれはおそるおそる目を開けてみた。
そこには五人の女の顔があった。
その中の一人がおれを抱きかかえた。
そして次から次へと回される。
とにかくあまりにもウルサイ。
「ちょっとぉ、なっちにも抱かせてよ!」
「なっちはさっきも抱いたでしょ!順番順番」
ひときわ背の高い女は加減を知らないらしく力いっぱいおれを抱いた。
いや、抱いたというより絞めた。
苦しい。おれは苦しくて暴れた。
「かおり、そんなに力いっぱい抱いたら死んじゃうよ」
ひときわ横に大きな女が背の高い女からおれを取った。
この横に大きな女は優しくおれを抱いてくれた。
「可愛いなー。私も欲しい」
そう言っておれの周りを女たちは取り囲んだ。
イイ気分だ。
おまけにこの女は腕が柔らかくて気持ちいい。
おれは眠くなってきた。
23 :
作者不詳:2000/08/23(水) 20:07
削除対策あげ(ワラ
24 :
作者不詳:2000/08/23(水) 20:18
続き書いてくれる人募集中
はっと気がつくと、周りは静かになっていておれは箱の中にいた。
また捨てられたのかと思い焦って周りをみてみた。
さっきの部屋だ・・・。おれはほっとした。
「猫ちゃんお目覚め?」
五人の中で一番髪の毛が多い女がそう言っておれを抱きかかえた。
「あー!彩っぺずるい!猫で遊んでる」
残りの四人が入ってきた。
五人とも同じ色の服を着ている。なぜだろう?
「ねぇ、裕ちゃん。猫の名前は決めたの?」
ひときわ甲高い声の女がおれの飼主に聞いた。
「名前か・・考えてへんかったわ」
それからおれの名前を決める会議を五人は開いた。
「捨てられてたから捨て猫!」
「そのまんまやないか・・かおり」
「じゃあ、捨てられ猫は?」
「ギャグにもならんぞ・・彩っぺ」
「待って・・・実は捨てられてたんじゃなくて、どこからか流れ流れて旅してきたのかも」
「そんなワケないやろ!あすか・・・」
「あ、でもそれかっこいい!捨てられ猫流れ者猫!」
「なっち・・・」
27 :
我輩は(流れ猫)である。:2000/08/23(水) 22:44
「捨てられ猫流れ者、でどう?」
「長い名前やな・・」
「じゃあ、カッコ付けようよ。捨てられ猫(流れ者)。どう?」
「かっこいいー!」
「それに決定!」
「あんたら・・人の猫にそないな名前付けて・・」
「今日からあんたは捨てられ猫(流れ者)ね」
甲高い声の女はおれを頭より高く持ち上げて嬉しそうに言った。
おれの名前は「(流れ者)」に決まったようだ。
こうなりましたか・・・
掘れ掘れ
30 :
名無しさん@1周年:2000/08/23(水) 23:35
air get
(流れ者)氏に捧ぐ
33 :
名無しさん@1周年:2000/08/24(木) 18:22
p
それから多くの月日が流れた。
おれは中澤という女にあちこち連れられていた。
ほかの猫よりは退屈しなくてイイ。
おれを弄んでいた中澤を除く四人はしだいにおれには目もくれなくなった。
おれとしては清々したのだが。
目もくれなくなった理由は日に日に多忙になっていったからだった。
四人に更に三人が増えた。
ひときわ小さいのはよくおれを虐めていた。
弱弱しい感じのやつは気が利くやつで、他のやつらが遊んでいるときもおれの世話を忘れなかった。
もう一人はおれには目もくれずに歌ばかり歌っていた。
中澤という女はこのグループの仲間が増えたのに嬉しそうではなかった。
そして一人減った。
一人減った日の夜、中澤はいつもに増して酒を煽っていた。
そして時には怒り、時には泣いた。
おれを突然捕まえては苦しいほどに抱いた。
中澤はおれが言葉がわからないと思っているらしく、色々とボヤいた。
おれは静かに聞いてやった。
それがおれを拾ってくれたこの女に対する礼のつもりだった。
中澤という女はいつもの仲間とは離れて一人であちこち旅をしたりしていた。
もちろんおれも一緒だった。
「一人は寂しいな」
これがこの女の口癖だったのに、なぜ仲間と離れているのだろう。
中澤の目は輝いていた。
一人なのに。
時がたちまた一人、最初からいた髪の毛の多い女がいなくなった。
人が増えたり減ったりするたびに中澤が涙を流す回数が増えていった。
おれはなるべく中澤のそばにいてやるようにした。
情が移ったのだろうか?
中澤はよくおれに言った。
「みんななんで仲良く出来へんのかなぁ・・・」
すんません順番が違ってますれす
また新しい人間が増えた。
トラ色の髪の毛をした女である。
この女が増えてからこのグループはなんだか風向きがおかしくなってきた。
最初のころからおれと付き合いのあった甲高い声の女も背の高い女もおれをまったく相手にしなくなった。
中澤も前にも増して厳しい表情が増えた。
おれはここに居づらくなった。
おれはとうとう中澤という女を捨てて旅に出ようと中澤のいない隙に部屋を飛び出していった。
外は雨が降っていた。おれのニガテな水だ。
おれはとりあえず雨が止むまで待とうと思い、軒下でしばらく時間を潰していた。
すると誰かの走る足音が聞こえてきた。
おれはとっさに柱の影に隠れた。
足音は案の定中澤だった。
中澤の顔には涙が流れていた。
「(流れ者)〜!どこいったんや!」
「お〜い」
中澤は雨を気にせずに外に出た。
ずぶ濡れになりながらおれの名前を呼ぶ。
おれは胸が苦しくなってきた。
「(流れ者)〜!」
女は必死になりながらおれを捜していた。
もう顔は雨なのか涙なのか分からないほど濡れていた。
それでも捜し続ける中澤。
おれは堪えられなくなってニガテな水が降る中、中澤目掛けて走った。
中澤はおれにすぐに気づいて地面にひざをついておれを迎え入れた。
そして力いっぱいおれを抱いた。
中澤はおれの顔に頬を摺り寄せてきた。
「良かった・・・・」
「あんたまでウチを見捨てたんかと思った・・・」
「お願いや・・・ウチの前から絶対消えんといて」
雨はどんどん酷くなってきた。
中澤はいつまでもおれを抱いていた。
45 :
迷える者達の導き手 聖女中澤様の使徒 :2000/08/25(金) 05:23
中澤様・・・
おれが気がつくとなにかの台の上に乗せられていた。
白い服を着た男がなにか喋っていた。
隣には中澤が居て涙を流していた。
「風邪から来た肺炎ですね」
「残念ですが・・もうあといくばくかと」
男はそう言った。
中澤は泣きながらおれを抱いて歩いた。
「ごめんな・・早く連れてこれれば良かったのに」
そう言っておれの頭を撫でた。
「まさか・・こんな事になるとはなぁ」
「あの時・・・すぐに雨から逃げればよかったんや」
「ウチが忙しいばっかりに・・・・」
中澤の涙がおれの顔に当たった。
中澤の仲間はさらに四人増えていた。
全員ガキだ。
ガキは嫌いだ。
捨て猫だった頃のイヤな思い出があるから。
とくに歯並びが悪くてろれつの回らないガキはおれに付きまとってうるさかった。
おれは日に日に体がだるくなってきて、ガキの相手がうざったくなっていた。
中澤は悲しそうな目でおれを見ていた。
ある日目がさめると体が動かなくなっていた。
おれは死が目前にせまっているのが分かった。
中澤に気が付かれないように逃げ様と思うが体が動かない。
なんとか動こうともがく。
しかし苦しくて動けない。
「(流れ者)?」
中澤に気づかれた。
「あんた・・・」
中澤は不安そうな表情を浮かべておれを抱いた。
おれは体中の力が出なくてまるで糸の切れた人形のようだった。
呼吸も苦しくなってきた。
これまでか。
おれは覚悟を決めた。
「ごめんな・・」
中澤は泣き始めた。
気にする事はない。おれは十分幸せだった。
「(流れ者)・・・」
今になって思えばその意味不明の名前も悪くない。
「ありがとう、(流れ者)」
それはこっちのセリフだ。
もう意識がなくなってきた。
中澤の腕の中で死ぬのか。それはそれで気分がいい。
「ウチはまた一人になってしまうんやな・・・」
おれは中澤の顔を見上げた。
中澤、おまえは一人じゃないぞ。
待っている人が沢山いる。
あのうるさいガキどもはまだまだおまえがいないと何も出来ないじゃないか。
がんばれ中澤。
ありがとう。それなりに楽しかった。
さようなら。
「(流れ者)?」
中澤の声が聞こえた。
おれに聞こえた音はそれが最後だった。
終。
54 :
てうにち新聞新入社員 :2000/08/27(日) 20:11
続編など書く予定がありましたら、
BAD板の方を盛り上げるのに強力して頂けませんか?
>>54 続編って・・(ワラ
石川もので何か思いついたらおじゃまさせ頂きます。
終りですか・・・
作者不詳様、お疲れ様でした
「鬱だ氏のう」
何度と無くこの言葉を書きこんだ。
本当は死ぬ勇気なんて無いくせに。
自殺する人は勇気のある人だと思う。
自分にはそんな勇気が無い。
今日も今日とて偽者の笑顔で暮らす。
とても疲れる。
みんなは自分の事を人付き合いが上手いと思っているようだ。
大きな勘違い。
「いつも明るくていいね」だって。
頭に来る。
いつもなワケないでしょ。
いや、むしろいつも鬱。
本当の自分は一体どこに行ってしまったのだろう。
本当の自分って誰?
いつもいつも作り物の自分。
一人で居る時も作り物。
自分は偽善者で嘘吐き。
こんな自分なんて死ねばいいのに。
「どうしたの?」
振り向くとなっちがそこに居た。
「いや?別に?」
また偽者の笑顔で誤魔化す。
誤魔化してばっかり。嘘吐き。
「元気無くない?」
「ほーらこんなに元気だぁ!」
自分は馬鹿だ。
「あのね、なっちね・・・」
また始った。自分の話しばかりする。
はっきり言ってもう聞きたくない。
なっちの話しなんて自分にはなにも面白くない。
どうして分かってくれないのだろう?
いや・・・自分が悪い。
笑顔で話しを聞く自分が悪い。
なっちが好きなだけ喋って部屋を出て行った。
静かになった。
あんなにウザイと思うのに一人になるとなぜか寂しい。
わがままだ。
気分直しにタバコでも吸いに行こう。
もちろんこっそりとだ。
「おはようございます」
りかっちが挨拶してきた。
「おはよー!」
元気に答える。まるでピエロのようだと自分でも思った。
にこにことするりかっち。
八方美人なヤツ・・・。
人を疑うとキリが無い。
疑うのは良くない、そんな事分かってる。
でも、信じて傷つくのももう沢山。
誰も信じられない無残な自分。
まるで亡霊のよう。
歩き出す。
人目のつかない所まで。
いつもの自分が一番落ち付く場所までやってきた。
タバコを出す。
火をつけようとする。
人の気配がして慌ててタバコをしまった。
気配のする方を見るとののちゃんがうろうろしていた。
「あ・・居た」
ののちゃんは走ってこちらにやってきた。
「あの・・・中澤さんが呼んでます」
ののちゃんはいつも笑顔だ。
嘘吐き辻。
キャラ作ってるのは分かってる。
偽善者。
偽者の笑顔。
自分と同じだという事に気づいた。
ののちゃんも自分と同じように悩んでいるのだろうか。
そう思うとののちゃんと話す気が失せた。
「ありがと。ののちゃん」
そう言って立ちあがった。
嬉しそうに笑うののちゃん。
疲れない?
そんな事聞けない。
タバコを吸うヒマもなく歩き出した。
「矢口ぃ〜」
裕ちゃんがなれなれしく抱き付いてきた。
うるさいうるさいうるさいうるさい。
いつも用も無く呼び出しやがる。
それでも呼び出しに応じる自分。
なれなれしい。
いつからこんなになれなれしくなった?
いつから友達になった?
頭に来る。
でも何も言えず演技を続ける自分がいる。
何もかも嫌になる。
本当は明るくて元気なんじゃなくて気が弱くて演技することで自分を守ってただけ。
そうやって自分を偽者にしてきた。
もう、取り戻せないのかな。
どうしたらいいのかも分からない。
71 :
名無し娘。 :2000/09/03(日) 13:25
一旦あげ
読んでますよん。
これ続くのかい?
家に帰ってパソコンを触る。
いつものように2ちゃんねるを見る。
つまらない。
退屈なのは自分。
何を見ても何も感じない自分が一番退屈。
いつものように同じ言葉を書きこむ。
「鬱だ氏のう」
ネットで見付けたサイトで買った睡眠薬のビンを手に取る。
ふたを開けていっきに飲みこむ。
今日こそ終わりにしよう。
そのままふとんに潜りこんだ。
さようなら、偽者の自分。
朝になって目がさめた。
「また・・・・失敗か」
矢口は大きなため息をついた。
ベッドから降りて、歯を磨きに部屋を出る。
「ああ・・・憂鬱」
矢口は呟いた。
矢口は異変に気がついた。
家には誰もいなかった。
「あれ・・・?」
家の中は綺麗なまま。
しかし人の気配がまったく無かった。
「みんなどこ行っちゃったんだろう」
矢口は家中を捜してみた。
そうこうしているウチに時間がやってきた。
「あ、もう行かなきゃ!」
矢口は急いで着替えて、家のカギを握り締めて飛び出した。
「あれ・・・・」
いつもなら迎えの車が来ているはずなのに、今日はいない。
それどころか回りに人影がまったく見当たらなかった。
仕方なく矢口は駅まで走っていった。
矢口…。
で、つづくのか?
81 :
☆☆☆☆☆☆☆☆☆ :2000/09/12(火) 21:09
ヒンヒョロみたいだな。期待sage
83 :
名無し娘。 :2000/09/25(月) 03:31
続きは?
駅に着いても誰もいなかった。
矢口はそっと改札を抜けてホームまで歩いてきた。
やはり誰もいない。
矢口はだんだん不安になってきた。
一体どうなってるのだろう?
しばらくして電車がやってきた。
「良かった」
矢口は胸をなでおろした。
電車が近づくのをじっと見つめる。
先頭車両が矢口のそばを通りすぎる。
誰も乗っていない。運転手さえ。
矢口は唖然としていた。
電車は目の前に止まり、ドアが開いた。
矢口はそっと中を覗いてみた。
やはり誰もいない。
「そんな・・・きっと夢なんだ」
矢口は電車から離れた。
「イヤな夢。早く醒めて」
「乗らないんですか?」
突然の声に驚いて矢口は声のする方を振り向いた。
そこには石川が立っていた。
「あ・・いや・・」
矢口は挨拶も忘れて石川の顔をまじまじと見た。
「電車行ってしまいますよ」
石川はそう言うと矢口の手を掴んで無理やり電車に乗った。
電車のドアが大きな音を立てて閉じた。
「座りましょうか」
石川は矢口の手を放して椅子に座った。
矢口は立ったまま石川を見ていた。
電車はゆっくりと動き出した。
「私は八方美人ですか?」
石川は窓の外の景色を眺めながら突然言った。
矢口は驚いて何も言えなかった。
「私は嘘吐きですか?」
矢口はとりあえずこの場をしのごうとした。
「い、いや、そんな事ないよ」
「嘘吐きは矢口さんですね」
石川は冷たく言い放った。
「矢口さんだって八方美人ですよね。私以上に」
矢口は頭に血が上ってくるのが分かった。
「ちょっと!どういう事!?」
石川は表情一つ変えなかった。
「誰にでも親しげなキャラ演じて、そのウラで誰も信用してないくせに」
「仲が良い様に見せかけてイザとなったら裏切るんでしょ?」
矢口は石川の手を掴んだ。
「ちょっと!言っていい事と悪い事があるでしょ!」
石川は矢口の手を振り払い立ちあがった。
「図星みたいね」
石川は鼻で笑った。
「いつまでも演じてれば?バカ」
石川はそう言ってとなりの車両へ走っていった。
「待てっ!」
矢口は石川を追って走った。
ワーイ、更新されてる〜
となりの車両に入ると石川は椅子に座っていた。
矢口は息を切らしながら石川に近づく。
「ちょっと・・・」
矢口はそこまで言って言葉に詰まった。
椅子に座っているのは辻だった。
矢口は何が何だかわからなくなった。
辻は座ったまま立っている矢口を見上げた。
「疲れませんか?」
辻はポツリと言った。
「作り物の自分は疲れませんか?」
矢口は何も答えられなかった。
「私は、疲れました」
辻はじっと矢口を見詰めていた。
「矢口さんはいつまで人を騙して生きるんですか?」
辻の視線は次第に厳しくなってきた。
「それとも、もしかして、中身の無い人間だとか」
辻はニヤリと笑った。
「矢口さんは幻影だとか?あははははは・・・」
「生きる価値無しとか?あははハハハハ・・・・」
矢口は両手で耳を抑えて座り込んだ。
「もうやめて!」
矢口は叫んだ。
あはははははあはあははアハハハハハハハアあハアアはははっははははははああははははははははアアアアハハハハハハハハ
辻の笑い声が響き渡った。
97 :
14才3 :2000/10/01(日) 21:11
何気にいい感じだね〜。
98 :
14才3 :2000/10/01(日) 21:11
何気にいい感じだね〜。
99 :
14才3 :2000/10/01(日) 21:46
2重カキコごめん。
100 :
名無し娘。 :2000/10/02(月) 15:42
つづきは?
矢口が目を覚ますと横には安倍がいた。
さっきまでの辻と石川は夢だったのか?
思い出すと怖くなり思わず安倍にしがみつき号泣してしまった。
「結局、誰でもいいんだね。」
私は安倍がなにを言ったのかすぐには理解出来なかった。
102 :
名無し娘。 :2000/10/02(月) 22:37
あげ
103 :
名無し娘。 :2000/10/02(月) 22:46
続ききぼんぬ。
101は偽者ですりゅん。
安倍は矢口を思いきり突き飛ばした。
矢口はヨロヨロと床に座り込んだ。
「近寄らないでよ」
安倍の目はまるで汚いものを見るような目だった。
「どうして?なっち・・・」
矢口は涙目になりながら安倍に聞いた。
「いつも仮面を被って、その下では人を嘲笑ってるくせに」
安倍は矢口を見下げながら言った。
「そ、そんな事・・・」
「みんなやぐっつぁんの事に気がついてないとでも思ってるの?」
「自分の胸に聞いてみたら?」
矢口は泣きながら天を仰いだ。
「そ・・・それは・・・」
矢口は何も言い返せなかった。
ただ、絶望しながら泣いていた。
「自業自得だね」
安倍は低い声で冷たく言い放った。
「みんなに本性がバレてた事がそんなにショックなの?」
「残念だけど、誰もやぐっつぁんの事信じてないよ」
「誰も味方なんてしないよ」
「もういやぁぁぁ!」
矢口は叫びながらその場を走り出した。
どこへ行くのか分からない。
ただただ全力で走った。
とにかくその場から逃げ出したかった。
涙で何も前が見えなかった。
何かにつまずいて勢いよく転んだ。
どっちが上かも分からないほど激しく転んだ。
矢口はバタバタと手を動かして起き上がろうとした。
矢口にはもう何もかもが分からなくなっていた。
これは現実?それとも夢?
手が何かに触った。
冷たい・・・刃物だった。
矢口は刃物を手にとって目の前にかざしてみた。
手が震えた。刃物を落しそうなほど。
「こここんなヤグチなんんて死んじゃえぇ」
矢口は刃物を自分のノド元につきつけた。
目をつむった。
ノド元に刃物の先端が付いた。
冷たかった。
しかしいつまでたってもそのままの状態だった。
矢口は力無く手を下ろした。
「死ぬことも生きることも出来ない!」
矢口は絶叫した。
「どうしたらどうしたらいいの!」
「何してるんや!」
突然声が聞こえた。
矢口が見るとそこには中澤が立っていた。
「矢口!気でも狂ったんか!?」
中澤は矢口の方に歩いてきて、手を出して刃物を取り上げ様とした。
矢口は恐怖にかられた。
「い、いやぁぁぁ」
その声は震えていた。
「いやぁ!」
絶叫しながら矢口は全身の力をこめて中澤を刺した。
「何すんのやぁ!」
中澤はそう叫んで矢口の方へ倒れ込んできた。
とっさに刃物を抜いて倒れてくる中澤をよけた。
中澤はそのまま床に倒れた。
「これは・・・夢なの」
矢口は呟いた。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
大きな叫び声がまた聞こえた。
安倍と辻と石川がすぐそこに立っていた。
「やぐっつぁん!何て事したの!あぁ・・・」
安倍が中澤の体を抱き起こした。
辻は泣き叫んでいた。
「きゅ、救急車を!」
石川は走って部屋を出て行った。
部屋?
良く見ると・・ここはいつもの楽屋だった。
叫び声を聞いたのか楽屋にはぞろぞろと人が入ってきた。
入ってきた人々は口々に叫び声を上げて青い顔をしていた。
矢口は座ったまま呆然としていた。
「夢・・・だよね」
そして自分の腹を力いっぱい刺した。
「ほら・・・夢・・・痛い・・・」
刺したところから大量に血が出てきた。
叫び声を聞いたのか楽屋にはぞろぞろと人が入ってきた。
入ってきた人々は口々に叫び声を上げて青い顔をしていた。
矢口は座ったまま呆然としていた。
「夢・・・だよね」
そして自分の腹を力いっぱい刺した。
「ほら・・・夢・・・痛い・・・」
刺したところから大量に血が出てきた。
「やぐっつぁん!」
安倍の叫び声が聞こえた。
安倍は顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
悲鳴と怒号が楽屋にいっぱいになった。
「これは・・夢だよね」
息も絶え絶えに矢口は呟いた。
「夢!?どうしたのやぐっつぁん!何言ってるの!?」
安倍が気が狂ったように言った。
「これは夢・・・」
何かにとり付かれたように矢口は呟き、立ちあがった。
腹には刃物が刺さったままだった。
誰かが矢口の体を抑えた。
「夢なの!」
矢口は走り出した。
目の前がどんどん暗くなっていった。
全力で走る矢口。
矢口の走った後には血がポタポタと落ちていた。
階段を駆け上がる。
誰かが追ってきているのかも分からない。
ただ、一目散に上を目指した。
重く大きな扉を体全体で押して屋上へ出た。
そして一度も振りかえらず、止まらずそのまま走った。
「これは夢!」
「きっと、起きたらまた憂鬱な毎日が待っている・・・」
矢口は屋の端までやってきた。
そして柵を登り、その上に立った。
「さようなら、偽者」
そう言って矢口は柵を蹴った。
冷たい風が全身を覆った。
落ちて行った。
終。
ドキドキしながら読んでたよん。
次回作にも期待してます。
相変わらず暗い話しが多いっすね。
救いがない・・・面白かったけど。
ありがとうございました。
そろそろネタ切れっぽいですね。
温泉宿に篭ってみるとか。
次回作、気長に待ちます。
えばんげりおんおもいだしたよ