即興小説屋

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1■短編小説はじめました■
貴方の依頼にお応えして身丈に合う小説をお届けします。
モーニング娘。絡みでしたらなんでも仕上げます。納品は短編のみ。
代金の代わりに、必ず感想をお聞かせ願いますようお願い申し上げます。
お気に召さない場合はどうぞご返品くださいませ。

なお、ご依頼はsageでお願い申し上げます。
2名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 21:04
10人全員死ぬ小説希望
3■短編小説はじめました■:2000/08/16(水) 21:06
>>2 承知致しました。
4:2000/08/16(水) 21:13
「あと何時間でハワイに着くのかな──?」
「もー、梨華ちゃんまたそれー? 落ち着いて座っときーな。あと5時間やって、
さっきもパーサーの人が言うてはったやん。もう2度目やで。いい加減馴れえや」
「それは、そうなんだけど──どうしたの、ヨッスィー? なんか顔青いけど?」
「……大丈夫、なんでもない」
 覗いてきた石川の視線を避けるようにして、吉澤はパーカーの前をかき合わせ
た。中に潜ませているのはセラミック製のナイフ──空港の金属探知器にひっか
からない“武器”だった。
5:2000/08/16(水) 21:18
 吉澤はいい加減、“芸能人生活”というものに倦んでいた。この先、ハワイで起
こる喧噪を考えるだけで憂鬱になる。芸能人になるというのは、受験勉強や校則や
その他雑多な枷でくくられた檻からの解放を意味してるのだと、なった当初は思っ
ていた。一見華やかに見えたそれはしかし、新たな檻にしか過ぎなかった。一挙一
投足が監視され、週刊誌沙汰になり、ファンサイトでは曲解が真実しやかに囁かれ、
しかも抗弁の余地はないのだ。
 安倍の騒ぎはとんだとばっちりだった。自分たちも同じに見られているのだ。吉
澤を取り巻く状況はまるで真綿の縄だった。
6:2000/08/16(水) 21:23
 このナイフは、いわば自由へのパスポートだった。これで操縦席に行きパイロッ
トを脅して、希望の国アメリカにでも、かねてより行きたかったエジプトにでも、
かつてソビエトと呼ばれていた土地にだって行ける。
 吉澤はお守りのように首に掛けたそれを、そっと服の上からなぞる。大丈夫、武
器さえ持たずにハイジャックに成功した人間だっているではないか──ましてや、
ここにあるのは正真正銘、人だって殺せる武器なのだ。
 そう思いながら、吉澤は自分がそれを実行しないことを知っていた。ナイフは、
“どこにでも行ける”と自分に言い聞かせるためだけの、そのままの意味でお守り
にしか過ぎなかったのだ──
 このときまでは。
7名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 21:24
石川と保田が主人公の小説希望
8:2000/08/16(水) 21:27
 ガクン。
 機内が大きく揺れた。突然、数十メートルほども降下する。無精してシートベル
トを外さずにいた吉澤は、気分が悪くなる程度のダメージしか受けなかったが、殆
どの乗客は座席から跳ね上がり、とっさに手摺りなどを掴めなかった者らは天井や
壁などに激しく頭をぶつけていた。
 昼食を配っていた付近にいた者の中には、台車の下敷きになった者もいる。シー
トベルトのランプが点灯して、酸素吸入マスクがバラバラと上から落ちてきた。
9:2000/08/16(水) 21:33
「ただいま乱気流に巻き込まれました。再び急降下する恐れがございます。乗客
の皆様はただちに座席に戻りシートベルトを装着してください。繰り返します」
 アナウンスが幾度か繰り返される。機内の揺れは収まらない。スチュワーデス
──中には血塗れの者もいる──が座席を回って乗客の手助けをする。
 吉澤は機内を見渡した。手足をぶつけたり、頭を打ったりしたらしく、あちこ
ち身体の部位をさする姿があったが、メンバーはおおむね無事のようだ。
 再び機体が大きく降下する。
10:2000/08/16(水) 21:37
 吉澤は、機体が左右、捻れた方向に微妙に振動していることに気が付いた。
窓を見ると翼が大きく震えている。機体が、横に大きく傾いた。右の窓には
雲が、左の窓からは空が見える。
「……乱気流やな……」
 加護が呟いたのが耳に届く。乱気流──タービュランス。その映画なら、
吉澤も洋画劇場で見ていた。ひどく詰まらないドタバタアクションだった。
11:2000/08/16(水) 21:41
「お客様にご案内申し上げます。当機は乱気流に巻き込まれました。只今回避に
最大限の努力を払っていますが、最悪の場合、墜落もあり得ます。落ち着いて、
お聞き下さい。墜落した場合でも、お客様の姿勢によっては助かる場合もござい
ます。頭を椅子の背よりも低い位置になるように背中を丸めて、両手で頭を覆っ
てください。皆様、どうか落ち着いて──」
 乗員の声はまるでテープに録音していたかのように冷静そのものだった。それ
とも、トラブルに備えて予め吹き込んであったものを再生しただけかもしれない。
 吉澤は苦笑した。
 このパニックの引き金を引いたのが、自分でなかったのが惜しいくらいだった。
12:2000/08/16(水) 21:45
 再び大きく急降下する。
 吉澤の目は翼がもぎ取られる瞬間を見逃さなかった。信じられないぐらい大きな
音がして、翼の中央部分より先がねじ切られる。千切れ飛んだフラップが前のほう
の座席の窓に突き刺さった。空気がごう、という音を立てて流れる。服がバタバタ
して髪の毛が顔にかかる。息ができない。荷物が宙に舞う。
「みんな──しっかりしてや……!」
 中澤の声が切れ切れに耳に届く。大丈夫、自分は充分しっかりしている。
13:2000/08/16(水) 21:51
 飛行機は錐もみをしつつ、重力の法則に従って墜落を始めた。吉澤は修学旅行
で行ったスペースワールドのアトラクションを思い出す。映画スペースキャンプ
で訓練に使っていたものとそっくりな代物だった。3つの輪のなかに固定されて、
それらの輪の作る球体の中を縦横無尽に回転させられる、その感覚に似ていた。
「乗客──の──み──なさ──ま──落ち──着いて──」
ごうごうと流れる風の音に紛れてとぎれとぎれにかかる放送──やっぱりテープ
だったのだろうか──が聞こえる。だいじょうぶ、自分はこの上なく落ち着いて
いる。
 首に掛けたナイフが服から出る。カツン。隣りに座っていた後藤の腕にあたる。
後藤は驚いたように吉澤を見て、あろうことか、ニヤリと笑った。
14:2000/08/16(水) 21:57
「な、ん、か、お、も、し、ろ、い、ね」
 後藤は大きく口を開けてそう言った……のだろうと思う。言葉は全て風が奪って
しまって音は耳まで届かない。吉澤も、ニヤッと笑って親指を立てた。
 確かに面白いハプニングだった。このまま死んでしまうのだとしても、ここまで
それを楽しむことは他にないだろう。
 もっとよく景色が見えたらサイコーだったのにな。
 吉澤の、最後の瞬間の思考はそれだった。

 2000年9月15日──モーニング娘。を載せた日航ジャンボジェットは、
太平洋上に墜落した。乗客全員の死亡は、その日のうちに確認された。この事故
で乗客乗員併せて292名が亡くなったという。

−完−
15■短編小説はじめました■ :2000/08/16(水) 21:58
>>2 完成致しました。>>4-14納品させて頂きます。ご不満があれば返品もお受け致します。
16■短編小説はじめました■:2000/08/16(水) 21:59
>>15 言い忘れておりました。
>>2 またのご利用をお待ち申し上げております。
17■短編小説はじめました■:2000/08/16(水) 22:00
>>7 承知致しました。
18名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 22:00
時期が時期だけにねえ・・・
いや、面白かったけどね
19:2000/08/16(水) 22:05
まじで書いてたのか?おもしれー!さんきゅ。頂くよ
20名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 22:06
石川がメンバーからエロチックにいじめられる話をきぼん
一枚400ガバス出そう。
21名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 22:07
あ、あげちった
22:2000/08/16(水) 22:08
 まるい月がぽっかりとビルの谷間に浮かんでいた。
 振り返らない保田の背と、月とを見比べながら、石川はどうして保田は何も
話しかけてくれないのだろう? と思った。

 教育係として、後藤、飯田、矢口、保田の四人が任命された。レコーディン
グの前だけのにわか師弟だったにしろ、たとえば飯田はなにかと辻の面倒を見
てやってるし、矢口と吉澤も仲がいい。それほど仲のよく見えない後藤と加護
もなんだかんだいってうまくいっているようだ。
 ただ、自分たちだけ、どこかギクシャクしていた。
23:2000/08/16(水) 22:14
 保田は、無駄口を叩かない。雑談が盛り上がっているときも、ひとり
フッとどこかひいたように会話から外れ、適当な時間を見計らって切り
上げさせる。
 いや──一人本を読んで雑談に加わらないことも少なくない。本を読
んでいるときの保田を、石川はあまり好きではなかった。アンタとは関
わりたくないと線引きされているように感じた。
 ユニット絡みでよく一緒に過ごす矢口に相談をもちかけてみたが、考
え過ぎだよ、圭ちゃんべつに何も考えてないからさ、って笑ってくれた
のだが。
 保田は振り返らずにまっすぐ歩く。細い肩を見失いかけながら、石川
は必死に後を追う。
24:2000/08/16(水) 22:20
 せっかくのオフに何をしてるんだろう──石川は少しみじめな気分になった。
どういった話の経緯でこうなったのか思い出せないが、雑談の途中で次のコンサ
ートの振り付けがきちんと覚えてるかどうか不安だと話したところ、こうやって
オフを潰して練習に付き合ってくれることになったのだ。
 引き受けてくれたときは嬉しかったのに──こうやって一人黙々と先に進んで
いく保田の背中を見てるとかなり切ない。
25:2000/08/16(水) 22:25
 夏先生のダンス教室のフロアの片隅を借りて、二人は黙々と練習を始めた。
保田の教え方は分かりやすいとは言い難かったが、ダンスの瑕を見いだす目は厳し
く、自分のなかの完成度がいかに低いものであったかを思い知らされるだけ身が引
き締まった。
 だけど──
(たまには誉めぐらい入れてくれたっていいのにな……)
 と石川が恨みに思ってしまうほど、保田の指摘は容赦がなかった。
26:2000/08/16(水) 22:29
 フッと明かりが消えて、教室が闇に落ちた。
「……停電? 雷鳴ってたっけ?」
「ええ。だいぶ遠かったですけど」
 保田がフッと窓を見上げた。ガラス戸の向こうに大きな月がぽっかりと浮かんで
いる。目が慣れてくると、かすかに影ができているのがわかる。街全体が闇に沈ま
ないと気が付かないことだった。
「「綺麗」」
 声が重なって、思わず顔を見合わせた。
27:2000/08/16(水) 22:34
「さっきのね、結構よかったよ。踊り」
 顔を逸らせて、早口に保田が言った。え、と聞き返す間もなく教室に明かりが
戻る。
「ハイハイ、さっきの続きからもう1回! 行くよ!」
 保田は手拍子を取り始めた。石川は慌ててリズムにあわせてステップを踏む。
空耳だったのかな、とか、面と向かってきちんと言ってくれればいいのにとか、
そういう割り切れない思いと、素直に嬉しい気持ちとを心のなかにしまって。

−完−
28■短編小説はじめました■ :2000/08/16(水) 22:35
>>7 完成致しました。>>22-27納品させて頂きます。お気に召さない場合は
どうぞご返品くださいませ。またのご利用お待ちしております。
29■短編小説はじめました■:2000/08/16(水) 22:36
>>20 承知致しました。
3020 :2000/08/16(水) 22:58
「……これを着るんです……か?」
 石川はやや引きつった顔で、衣装と、タンポポのメンバー三人を交互に見比べた。
「わー、いいなー、梨華ちゃん、すごい可愛いやんそれ」
「キャハハ、めっちゃ似合ってるって石川。まじまじ」
「圭織、梨華ちゃんがそれ着てくれたらすごい嬉しい──」
「………………わかりました。着ます」
 石川梨華、15歳。周囲からの煽りに弱いお年頃だった。
31名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 23:00
なんか、かっこいいなぁ・・

良質ないちごま小説を依頼・・したい。
3220 :2000/08/16(水) 23:03
 そして、新生タンポポとして初出演した『うたばん』の収録が(あっさり)終わっ
た。いきなり楽屋で反省会が始まっている。
「今日ね圭織、ひとつ納得できないことがあるんだ──それはね、加護」
「ひいっ」
 名指しされて、加護は情けない声をあげた。心当たりはありすぎるほど、ある。
だが、飯田の目線はアッサリ加護を素通りした。
「のモノマネじゃなくって、石川のね、トークの少なさだと思うの。ね、自分でわ
かってる?」
「……ハイ」
 石川は恥じ入ったように目を伏せた。
3320 :2000/08/16(水) 23:08
「それよ、それ!」
 飯田はビシッと石川を指さした。
「その恥じらいがある限り、石川に未来はないと思うの! だからね、これから
その恥じらいを捨てるために特訓、特訓をね、するから」
 飯田の言葉に合わせるかのように、矢口が楽屋の鍵を閉めた。
 ──え?
 石川の額に一筋の汗が流れた。
「特訓って……いま、ここで?」
「いま、ここで」
 石川の問いに、飯田が力強く頷いた。
3420 :2000/08/16(水) 23:14
「大丈夫、カメラは入ってないから。ASAYANも、うたばんも」
 安心させるように飯田がごくごく真面目な顔をして言い切った。それが石川の
不安を煽ったことはまず間違いない。
「……カメラに映ったらまずいような特訓なんですか?」
「んー……うん。ある意味そうかも……」
「かおー、ハッキリ言っちゃいなよー。カメラに映ったらマズすぎるってさー」
 ケタケタ笑いながら、矢口が野次る。
 血の気が引くときって、ホントにザーって音がするんだ、と石川は思った。
35名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 23:31
31だけど、市井もうもーむすじゃないんだよね。だめですか?
36■短編小説始めました■:2000/08/17(木) 00:04
>>20 作品の途中ですが、モ板が飛んだようですので、このへんで本日はのれんに
させて頂きます。残りは後日改めてお届け申し上げます。
>>31>>35 承知致しました。後日改めてお届け申し上げます。

それではまたのお越しをお待ち申し上げております。
37名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 00:31
%
38■短編小説はじめました■ :2000/08/17(木) 01:13
何かご希望がございましたら、承ります。どうぞご自由にお書きくださいませ。
39名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 01:15
清原桑田の復活ストーリーを頼む
40名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 01:17
*您無法順利在此家族瀏覽或發表資訊,
可能的原因如下:
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41ゑに熊:2000/08/17(木) 01:18
                M
              
               キボンヌ
                
                なのね
42■短編小説はじめました■ :2000/08/17(木) 01:18
>>39 不勉強で申し訳ございませんが、清原桑田を存じ上げません。
モーニング娘。と関係のある方なのでしょうか? 関係のない方の小説
は恐れ入りますがお断りしております。またのご利用をお待ちしており
ます。
43log0076:2000/08/17(木) 01:19
加護と中澤のほのぼのものが読みたいです。
44名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 01:19
怪談。夏なんで。
45名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 01:21
市井の老後をよろぴく
46名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 01:21
飯田の奮闘記?みたいのが読みたいっす
47■短編小説はじめました■:2000/08/17(木) 01:22
>>40 私の不手際で1の発言で言及しておりませんが、小説の依頼は
日本語でお願い致します。またのご利用をお待ちしております。
>>41 恐れ入りますが、こちらのスレッドではお応え致しかねます。
またのご利用をお待ちしております。
48ゑに熊:2000/08/17(木) 01:22
               S
            
              でも
   
               いいとおもうのね
     
          モウレツな
49■短編小説はじめました■:2000/08/17(木) 01:25
>>43 貴方の身丈に合う小説は私には荷が勝ちすぎます。どうかご自分
でお書きくださいますようお願い申し上げます。
>>44-47 承知致しました。

依頼はなるべく細かいほうが書きやすいので、追加発注という形でどん
どんご指示頂ければ有り難く存じます。
50log0076:2000/08/17(木) 01:26
>>49
承知致しました。
51■短編小説はじめました■:2000/08/17(木) 01:27
>>41>>48 恐れ入りますが、依頼は保留にさせてください。
メンバーなどの指定がございましたら、よろしくお願いします。
5244=怪談:2000/08/17(木) 01:50
主人公の語りの形式でお願いします。できれば姐さんか保田、飯田辺りの年長さんが
主人公だとよいです。なるべく怖いのお願いします。
53ゑに熊:2000/08/17(木) 01:51
>51
後藤と吉澤と矢口がいいべさ
54名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 02:56
あと数日で地球滅亡なときの娘の週末の過ごし方。ディープインパクトみたいな
泣けるやつ。なにげにいちごま希望。
55■短編小説はじめました■ :2000/08/17(木) 03:33
>>53 お手数ですが、どちらがSでどちらがMかのご指定を頂けると助かります。
>>54 承知致しました。張り切ってお受け致します。
本日お受けしたネタは明日に更新させて頂きます。ご依頼有り難うございました。
56名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 08:40
安倍と後藤の主人公のやつと、保田と矢口が主人公の小説希望

57名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 08:41
保田と石川の続編希望
58名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 08:42
モーニング娘。の一週間って出来ます?
59名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 21:56
中澤の苦悩みたいなやつ希望
60名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 22:02
新メンバーが主人公の一週間希望
61名無しさん@1周年:2000/08/17(木) 22:28
石川が主人公で、娘。の内の誰かを好きになって、
苦悩するやつ希望
6220:2000/08/17(木) 22:39
「じゃあ……まず……衣装。衣装を脱いで」
 飯田はバシッと人差し指を石川に突きつけた。思わず石川はポカンと口を開けた。
「あの……それとこれとどういう……」
「やっぱりね、こう、人前で恥ずかしげもなく服を脱ぐのが度胸を付ける一歩だと
圭織思うのね」
 石川は心の底から思った。そんな度胸要らないと。
「……かお。アンタ自分が見たいからってそんなこと言ってない?」
 矢口が呆れたような声を出す。
「や、違うもん。圭織、石川のためを思って、それで」
「ハイハイ。説得力ないってそれ」
 矢口は飯田を冷たくあしらった。矢口は味方だ……石川は思わずホッとする。
 だが。
「ちゃららららら〜♪」
 加護はセクシーなBGMを鼻歌で歌った。加護はその歌声とともに石川の中で
敵として刻み込まれた。
6320:2000/08/17(木) 22:45
「ヒューヒュー」
 いきなり口笛をかます矢口。
 味方はいなかった──!
 石川がガクリと膝をつく。

 ヤケだ。石川は震える指で、胸のリボンを緩めた──

 反省会は深夜まで及んだ。そこで何が起こっていたのかは、タンポポメンバー
の全員が口をかたく閉ざして語ろうとしない──

-完-
64■短編小説はじめました■:2000/08/17(木) 22:47
>>20 大変お待たせして申し訳ございません。完成致しました。
>>30-34 >>62-63 納品させて頂きます。お気に召さない場合はどうぞご返品下さいませ。
またのご利用をお待ちしております。
6531&54:2000/08/17(木) 22:54
 世界は明日終わってしまう──

 2000年末に発見された彗星Rと地球の激突が避けられないことがニュース
に流れてから半年が経過していた。150日から始まったカウントダウンは、あ
と1日しか残っていない。それが明日だった。
 彗星はすでに昼間でも肉眼で確認できる位置にまで迫っていた。死に神の研い
だ大鎌がつねに空に浮かんでいる。
6631&54:2000/08/17(木) 23:02
 彗星がかすめるのは、しっぽのほんの先だった。しかし、すでに分析
された彗星の成分はきわめて猛毒な殺人ガスなのだ。毒ガスを中和する
薬剤や設備は極めて高価だったにも関わらず飛ぶように売れた。
 設備内の空気を完璧に浄化できるタイプのシェルターは極めて高価だ
ったにも関わらず飛ぶように売れた。このなかにいれば確実に助かる。
 後藤はそれを知っていた。知っていたのだが──
6731&54:2000/08/17(木) 23:08
 後藤はパーカーのフードを深くかぶって、マウンテンバイクのペダルをぐいぐい
と漕いでいた。東京の街はガランとしていて、すでに人けがない。政府が発表した
ところによると、衝突推定時刻には多少の誤差があって、今日はもうその誤差の範
囲内なのだ。
 ディバッグの中には取り出しやすい位置に携帯用のガスマスクが入っている。そ
れなりに値が張る玩具だった。有る程度日数をおいたならともかく、直撃している
時期に使用してもまったく効果がないことは執拗なほどワイドショーやニュース番
組が取り上げていて、少し前まで日本で一番忙しい中学生だった後藤だって知って
いた。
6831&54:2000/08/17(木) 23:16
 太陽がじりじりと容赦なく照りつける。だらだらと滝のように流れる汗にも構
わず、後藤はペダルを漕ぐ。数日前から幾度となく地図を眺めていて、船橋まで
の地理はすっかり頭に入っていた。
 どうして今日なんだろう──?
 灼けつく太陽に脳も身体も溶けてしまいそうだ。後藤は腰を浮かせて大きくペ
ダルを踏み込んだ。車ひとつ通らない幹線道路のど真ん中を自転車がただ一台、
ぽつんと走っていく。
6931&54:2000/08/17(木) 23:22
 どうして彗星が落ちるかもしれない今日、自分は自転車を走らせているのだろう?
 疑問が脳のなかで気化していく。
 後藤はその理由をよく知っていた。ただ考えたくないだけだ。
 クラクションが鳴らされてロデオのように赤い車が突っ込んできたのを間一髪で
かわす。エンジンの音が遠く過ぎ去っていく。
 死。
 恐くて恐くて仕方のなかったそれさえも今はただどうでも良かった。ただ、この
漕いているペダルだけが世界のすべて。
7031&54:2000/08/17(木) 23:27
 昨日でも良かった。
 もっと前だって。

 モーニング娘。はとっくに解散していたし、自分だって芸能人を辞めていた。
彗星が落ちるとわかってからはもうグチャグチャだった。在宅で楽しめる娯楽と
もいえるアイドルの需要は高まる一方だったのだが──この状況下で芸能人で居
続けることに興味は覚えなかった。
7131&54:2000/08/17(木) 23:43
 だから、もっと早く会いに行ったって良かったのだ──。
(市井ちゃん)
 その名前を思うと胸が疼いた。“卒業”してから一度も会ってない。メールの
やりとりとか、年賀状とかぐらいの行き来はあったのだが──。
 ──なんで来たの? とかって不思議そうに言われたらどうしよう?
 それが恐くて、最初の一歩が踏み出せずにいたのだ。
72名無しさん@1周年:2000/08/18(金) 06:36
.
73■短編小説はじめました■:2000/08/18(金) 06:58
大変失礼致しました。続きは後日改めて。新規の依頼に関しても改めてお返事させて
頂きます。ご利用有り難うございました。
74名無しさん@1周年:2000/08/18(金) 22:27
今回の小説かなりいいかんじ!
期待してるよー!
75名無しさん@1周年:2000/08/18(金) 22:32
sage忘れた。
76名無しさん@1周年:2000/08/18(金) 22:33
 
77名無しさん@1周年:2000/08/19(土) 08:19
よしごまのレズ小説希望!
いつでも良いのでお願いします。
78名無しさん@1周年:2000/08/21(月) 01:07
いちごま希望。ほのぼので甘くてエロいのお願い!!
79名無しさん@1周年:2000/08/21(月) 01:34
あれ?
もう閉店ですか?
80名無しさん@1周年:2000/08/21(月) 11:31
agery
81名無しさん@1周年:2000/08/21(月) 18:25
中途半端すぎ。
82名無しさん@1周年:2000/08/22(火) 16:22
あg
83名無しさん@1周年:2000/08/22(火) 21:48
あが〜れ
8431&54:2000/08/22(火) 21:54
 ふと、突然、着メロが流れた。乙女の心理学。この着メロに設定してあるのは──
「市井ちゃん?!」
 後藤は携帯電話をとるなり、早口にそう叫んだ。
『わ、めちゃはやっ』
 受話器の向こうからは、聞き慣れた、子音の繋がったヤンキーくさい喋り方をする少女の声がした。
『ひさしぶり。元気だった?』
「元気って。元気だよ。すごい元気。市井ちゃんは?」
『それなりに』
「ってゆうかなんで電話かけてんのさ?」
『え? 携帯だけど』
「そういう意味じゃなくて──」
8531&54:2000/08/22(火) 22:00
 シェルターの中に入ってしまえば携帯電話は通じない。
 ──と、いうことは、市井は地上にいるということだった。
「市井ちゃん、どこ? 今どこにいるのさ?」
『んっと……いまちょうど後藤の後ろらへん』
「……」
 自転車を漕ぐのを辞めて、後藤は背後を振り返った。通り過ぎたばかりのコンビニの前に停めた自転車に、市井は後ろ向きに腰掛けていて、ひらひらと手を振っていた。少し伸びた髪が収まり悪そうにてんでバラバラな方向を向いていた。
「市井ちゃんだあ……」
「やっ……なんだよ、泣くなよー」
「だってえ……」
 後藤はボロボロと溢れてきた涙を袖でぐいと拭った。
8631&54:2000/08/22(火) 22:07
 子供にするようにポンポンと頭を叩かれて後藤が目を上げると、市井の顔が横にあった。
「ん?」
 どうしたの? ってふうに覗き込んでくるのが、なんだか全然前と変わってなくて、後藤は切なさに胸を突かれた。そのまま市井の肩に頭を押し当てる。涙がシャツに吸い込まれた。
「なんで、あたしが来てるって分かったの?」
 ふと沸いた疑問を、後藤は市井にぶつけた。市井は後藤から視線を逸らして空を見上げた。迫ってくる彗星が肉眼でも確認できる。彗星は、すでに空の大部分を埋め尽くすほどの大きさになっている。
「んーなんとなくかなー」
「うそ?」
「うっそ」
「もうっ」
 後藤が叩くそぶりをすると、市井は笑って逃げた。
8731&54:2000/08/22(火) 22:13
「後藤が行方不明って、矢口から連絡来てさ。そんで」
「え? なんで真里っぺが?」
「和田さんからメール来たんだって。後藤、おまえあんま親に心配かけんなよ」
 がしがしっと頭を乱暴に撫でられる。すっかりぐちゃぐちゃになってしまった髪の毛を直しながら、後藤はゆっくりと市井の言葉を反芻する。つまり、母親から和田元マネージャーに連絡がいって、それで和田から矢口に問い合わせがあったのだろう。
「でも、なんで市井ちゃんとこ行くってわかったんだろ……」
「さあ? あてずっぽじゃない?」
 でも市井ちゃんは来ると思ってくれたんだ? 後藤はなんとなく嬉しくなった。
8831&54:2000/08/22(火) 22:20
 突然、警報が大きく鳴った。
「やっば……後藤、マスク持ってる?」
 市井は腰に掛けていたマスクを手早く顔に掛けながら後藤に問うた。後藤は頷いてディバックからマスクを取り出してきちんと装備する。気休めだってことは知っていた。でも、こういう最期ってのもそんなに悪くないと思った。会いたい人にも会えたし──悔いはない。
「こっち。早く来て」
 市井は自転車にひらりと飛び乗って後藤を手招きするとペダルを漕ぎ出した。後藤は慌ててあとに続く。

 空には、やや赤みがかったガスが鈍く広がりつつあった。
8931&54:2000/08/22(火) 22:26
「ここ、ここ」
 市井はマンションの前庭に埋められたシェルターの入り口を示した。都会の狭い土地を奪い合うようにシェルターは地中深く、ひしめくように埋められている。
「おいで。一人用だけど」
 ハッチを開けながら、市井が誘う。胸がズキンと痛んだ。後先考えずに飛び出したことを、後藤は初めて後悔する。
 一人用のシェルターは文字通り一人用なのである。
 場所も狭ければ空気清浄機の性能も落ちる。常備された食糧や飲料水も一人が半年暮らしていくぶんギリギリしか格納できない。
 一人で使用したって助かるという保証もないのに、自分が入れば、間違いなく二人とも助からない。
 後藤は後ずさりして首を横に振った。
9031&54:2000/08/22(火) 22:30
「大丈夫だよ。うちのカナダ製だから。思うより広いって」
「でも……」
「後藤が入らないならあたしも入らない」
 妙にキッパリと市井は言いきった。後藤は絶句した。市井は短気を起こしたように後藤の腰を蹴った。
「いいからはいれーっ!」
「わかった! わかったってば!」
 渋々、後藤は梯子段に手を掛けた。あとから市井も続く。
9131&54:2000/08/22(火) 22:36
 それから?

 ガスが晴れるまでの長い長い夜を二人はシェルターの中で暮らした。
 いろいろなことを語り合って、じゃれあって、時には歌ったり喧嘩したりしながら閉ざされた空間のなかの退屈を凌いだ。
 ガスが晴れるのが先か食糧が尽きるのが先か──
 二人ともそのことについては触れなかった。

 だけど、思っていたことは同じ。

 世界の終わりは君と一緒に迎えたい。

-完-
92■短編小説はじめました■:2000/08/22(火) 22:38
>>31 >>54 大変お待たせして申し訳ございません。完成致しました。
>>65-71 >>84-91 納品させて頂きます。お気に召さない場合はどうぞご返品下さいませ。
またのご利用をお待ちしております。
9344,45:2000/08/22(火) 22:42
 西暦2060年、夏──福知山市。
 油蝉が騒がしく鳴くなかを、日傘を差した一人の老女が坂道をのぼっていく。
9444,45:2000/08/22(火) 22:50
「裕ちゃん!」
 老女は、坂の上で出迎えた同じぐらいの年代の──ホントは10ほども年は離れていたのだが──老女の姿を見かけると、ニコッと笑って手を振った。
 老女の名は市井紗耶香──かつてモーニング娘。として同じグループに属していたリーダーの中澤裕子を訪ねてここ、福知山に来ていた。
「暑かったやろ、はよあがりあがり」
 中澤は市井を手招きして家へとあげた。質素なつくりの家だった。
95名無しさん@1周年:2000/08/24(木) 00:38
いちごまの甘いやつ。いつもと変わらない日常って感じで。エロあり希望。
96名無しさん@1周年:2000/08/25(金) 01:06
>>65-71 >>84-91 のやつ、いいね。特にラストの2行。
なんというか、傍で見ていて微笑ましいのと切ないのと愛おしいのと。

ところでリクエストをした人は、ちゃんと感想を述べるのが礼儀だと思うぞ。
9754&44:2000/08/25(金) 03:00
おっと、完成してたんですね。板飛びしすぎで見失ってました。
いちゴマなんて、べたなリクエストして申し訳ない。
注文どうりでうれしいんですが、もっと泣かせにかかってほしかったです。
あと、“彗星と地球の激突が避けられない”ていう記述と“彗星がかすめる
のは、しっぽのほんの先”って言うとこ、なんか変かな、と気になってしまった。
9854&44:2000/08/25(金) 03:03
なんか、ひねりの無い注文が多くなってるようで、やる気が無くなってるのかもしれませんが
がんばってください。さげながら応援いたしております。
99名無しさん@1周年 :2000/08/31(木) 23:21
実験あげ
100コロニーを救え(前編) :2000/09/03(日) 18:07
依頼者じゃないけど、怪談の続きが気になる。
101名無し娘。 :2000/09/04(月) 11:47
上げるよう
102名無し娘。
いちごまはもううんざり。