1 :
教授:
以前のスレッドってもう戻らないのですか?
とりあえずここでは小説やります。
また、どっかで分析載せます。
では、スタート。
(この小説は、フィクションです。)
2 :
教授:2000/08/14(月) 23:39
プロローグ 〜Focus〜
熔けるような真夏の昼下がり。
都内のあるマンション。2LDKはあるだろうか。
一人で住むには十分な大きさの部屋に大きなソファーが置いてある。
外の暑さに抗うように寒い位に冷房が効いていた。
一人の女性がムックリと体を起こし目を覚ました。
「寒っ・・・」
彼女は最近、クーラーの真下のソファーで眠っている。
だが、いつもはタオルケットを掛けて寝るのに
今日は何も掛けずそのまま眠ってしまっていた。
3 :
教授:2000/08/14(月) 23:41
「なんでこんな寒いねん。」
彼女はタオルケットをまさぐったが、ない。
代りに冷房のリモコンが手に当たった。
彼女は冷房のスイッチを切った。
「9時か・・・」
ビデオのタイマーが目に入った。
まだ、もう少し寝る時間はありそうだ。
彼女は再び眠りに就こうとしたが、やっぱり寒い。
タオルケットを取り出しに行こうと起き上がった時に、
自分のソファーの周りが目に入った。
ビールの空缶が大量に転がっている。
(またか・・・)
最近、仕事が忙しくなるにつれ、つい飲み過ぎてしまう事が多い。
4 :
教授:2000/08/14(月) 23:42
「あれっ、みっちゃんは・・・?」
こんなに飲む夜は、大抵平家みちよ相手にクダを巻いているハズだ。
しかし、平家の姿はここには無かった。
(ああ、そういえば、みっちゃん地方だっけ・・・)
(なんで、こんなに飲んだんやろ・・・)
昨晩の事を思い出してみる。
(確か・・・、みっちゃんが無理で・・・、矢口に電話が繋がらんくて・・・)
パッとある雑誌が目に入った。
5 :
辻狂い:2000/08/14(月) 23:43
おおっ期待sageだ!
6 :
教授:2000/08/14(月) 23:45
(Focus・・・?)
普段はこうした雑誌を買う事などなかった。
モーニング娘が出始めた頃は、自分たちの事が気になってよくチェックしていたものだが、
最近は、内紛だの、脱退だの、適当な噂話を載せた物や
若い子達のパンチラが、毎週毎週いろんな雑誌に載るので、あまり気にしなくなっていた。
(あっ・・・)
Focusの見出しが目に入った。
『安倍なつみもメロメロ』
そうだった。
安倍のスキャンダルが載ったのだった。
前もってこの話はマネージャーから聞いていたのだが、
やはり実際に活字になって載っているのを見ると衝撃だったのだ。
7 :
教授:2000/08/14(月) 23:47
(ああ、そうやった・・・)
昨日はこれについて飲んだのだった。
誰かを呼んで飲もうかとしたのだったが、
つい安倍の悪口を言ってしまうかも、と思って、結局一人で飲んだのだ。
(ふうっ・・・)
昨夜はひさしぶりに一人で飲んで、
始めはこんな写真を撮られてしまった安倍のことを愚痴っていたのだが、
次第にモーニング娘全体のことをじっくり考えるようになっていた。
モーニング娘のリーダーとして・・・・・・。
8 :
教授:2000/08/14(月) 23:49
(やっぱ、やるしかないか・・・)
そんな中で彼女なりにある決断が生まれたのだった。
彼女は、リーダーとしてこの決断を実行に移さなければ、と思い出した。
そう、リーダーとして・・・。
「よしっ、つんくさんの所に行くか。」
当然、皆分かっているとは思うが、彼女は、中澤裕子、27歳。
今をときめくモーニング娘のリーダーである・・・。
9 :
教授:2000/08/16(水) 02:17
第一章 彼女の決断 〜姐さん〜
「失礼します。」
レコーディングスタジオのとある一室。
色眼鏡をかけた金髪の男がタバコを燻らせて座っている。
モーニング娘のプロデューサーつんくである。
「おお、中澤か。どないしたんや。」
「実は、相談したい事があって・・・」
『中澤』と呼ばれた、まるで生活に疲れたホステスのような妙齢の女性が切り出した。
彼は以前、幾度もこの言葉を聞いてきた。
かつては、誰かがこの言葉を発するたびに肝を冷したものだが、
今では、(今度は何や)、と思うだけである。
「なんや、まさか辞めたいって言うんちゃうやろな。」
10 :
教授:2000/08/16(水) 02:18
「いやっ、そういうんじゃないです。」
「そら良かった。今、お前がおらんようになったら、もうアカンやろ。」
これは彼の本心から出た言葉だった。
ふと、彼は辞めていった娘たちの顔が浮かんだ。
いつからだろうか『モーニング娘。』が中身の無いただのアイドルになってしまったのは。
元々はボーカルグループでスタートしたのに。
(絶対に留めておくべきやったな。)
フッとぷっくりした少女の顔が浮かんだ。
11 :
教授:2000/08/16(水) 02:19
「私はまだ続けますよ〜。つんくさんまで私を辞めさせようとするんですか〜。」
目の前の女性が笑いながら言った。
しわが目に入った。
(こいつも老けてもたな。はじめて会うたんが3年前か。)
彼も最近、昔の事を懐かしく思う事が多い。
「何いってんねん。そんな事せえへんよ。」
「お前あってのモーニング娘やで。」
これも彼の本心だった。
世間からは三十路を過ぎたババァ扱いされている中澤であったが、
つんくの目から見ると少し年下の、まあ、年の割には、かわいい京女である。
「お前を一番、大事に思ってる。」
共に苦労を重ねた事もあり、情も移ろうというものだ。・・・ヤッたのか、つんく?
「で・・・、何の用やねん。」
12 :
名無しさん@1周年:2000/08/16(水) 02:21
あはっ
13 :
教授:2000/08/17(木) 02:17
「実は、辞めようと思いまして・・・」
「なっ、何をや、さっき辞めへん言うたやん。」
少し狼狽した男を見て彼女は微笑みながら言った。
「娘を辞めるんじゃないですよ。そんなにビビらんといて下さいよ〜」
「いや、ほんま、悪い冗談はやめてくれよ。」
男が心底ホッとしているのを見て彼女はまた微笑んだ。
(久しぶりやな。こんな会話すんのも。)
最近は、殺人的スケジュールに追われて、こうした会話を交わす事もなくなっていた。
フッと二人三脚で、娘。を作り上げた頃の事が思い出される。
あの頃は毎日会っていたのに。 ・・・ヤッたのか、中澤?
14 :
教授:2000/08/17(木) 02:18
「じゃあ、何を辞めんねん。」
つんくは落ち着きを取り戻しながら聞いた。
「実は、リーダーっていうのを辞めようと思いまして。」
中澤は、真剣な顔に戻って答えた。
「えっ、なんで? 別にええんちゃうの。」
「いや、私も思う所があって・・・」
つんくも真剣な表情に変わっていく。
「ちょっと説明してや。」
「ええ、もうずっと前から思ってたんですけど、
私ってリーダーに向いてへんのちゃうかなって。」
中澤は少し伏し目勝ちに言った。
「そんなことないやろ」
つんくはそんな彼女を凝視しながら言った。
中澤はつんくをチラッと見て続けた。
「でも、私がリーダーやってるっていうのは、皆で決めたんやなくて
ただ私が一番年上だからっていう理由ですし。
本質的に向いてへんと思うんです。」
小説はSAGEた方がいいよ。
16 :
教授:2000/08/19(土) 02:42
「でも、うまい事いってるやん。」
つんくは慈しむような口調で言った。
「モーニング娘。もここまで売れたんやで。」
つんくの言葉に中澤は優しさを感じた。
「たしかにモーニング娘。は売れましたけど・・・、
・・・明日香や彩っぺや紗耶香の脱退も止められへんかったし。」
この事実はずっと中澤の心に引っかかっていた。
「それはあいつら自身の問題で、お前の問題とちゃうやんか。」
「でも、私がもっとしっかりしていれば
こんなにつづけて辞めるなんてなかったと思うんですよ。」
「・・・・・」
「ただ一番年上だからって理由で
私がリーダーをやってるのが間違いなんちゃうかなって。」
17 :
教授:2000/08/19(土) 02:43
「それにこの前のなっちの事だって・・・」中澤は続けた。
「それこそ、お前とは何も関係ないがな。」
ピシッとした彼の言葉に中澤は微かな怒気が含まれているのを感じた。
つんくにもこのスキャンダルに多少なりとも動揺はあるのだ。
「ええ、確かに、これはなっち自身の問題で、
私には関係ないんですけど・・。」
つんくは先程の自身の言葉が思いのほか鋭く発せられてしまったのを感じて、
何も言わず、中澤の次の言葉を待っている様だ。
「でも、私がしっかり注意するように言ってたら、こんな事には・・・」
「それに、もっと私が、なっちの事を普段から支えてやっていたら
あんな男に引っ掛かるなんて・・・」
「リーダーの私が、もっとあの娘の事ちゃんと気に掛けてやってたら・・・」
中澤は昨晩思い浮かんだ思いを一気に吐露した。
18 :
教授:2000/08/19(土) 02:45
つんくはそんな中澤に声を掛けた。
「お前のせいや無いて・・・」
中澤はつんくの目を見つめた。
彼はサングラスをしていたので、つんくの視線を窺うことはできなかったが
それでも中澤はつんくと目が合っているような気がした。
「お前のせいや無い・・・」
つんくはもう一度言った。
19 :
教授:2000/08/20(日) 12:25
中澤はこの言葉を聞いて自分の涙腺が緩み始めているのを感じた。
京都から歌手になるために上京し、早3年。
色々な番組に出演する度に、結婚は?リストラ脱退するの?などと聞かれ、ババァ扱い。
一番年の近いメンバーですら8歳も年下。
27歳にもなって中学生と一緒になって、パラッパラッ、と踊らねばならない。
(私は何故モーニング娘を続けているの?)
そんな事が頭をよぎる。
(リーダーだから?)
昨晩何度も問い直した質問だ。
(私は結局何になりたいんか?)
その答えを中澤は導き出すことが出来なかった。
20 :
教授:2000/08/20(日) 12:26
「お前以外に誰がリーダーになれんねん。」
中澤を暫く見守っていたつんくが静かに言った。
それを聞いて、中澤も気を取り直して言った。
「ええ、つんくさんの目から見たら、私たちはまだまだ子供に見えるかもしれませんけど、
まあ、後藤や新メンバー4人は別にしても、もうこの世界に入って2@`3年経ってるし、
みんなプロ意識は持ってるから、大丈夫だと思います。」
「でも、ほんまに出来んのか?」
つんくは疑問を口にした。
「大丈夫ですよ。みんなもう大人ですから。一部を除いて。」
中澤は辻と加護の顔が脳裏に浮かんだ。
21 :
辻狂い:2000/08/20(日) 12:27
22 :
教授:2000/08/20(日) 12:27
「リーダー出来そうな奴おらんとおもうけどなぁ〜。」
つんくが椅子の背もたれにもたれながら言った。
「そんな事ないですよ。圭ちゃんとかは、私なんかよりよっぽど仕事熱心やし、
矢口とかはムードメーカーでみんなを明るく出来るし、他にも・・・」
「市井がおったらなぁ・・・、やろ。」
中澤はドキッとした。
図星だった。中澤がリーダーを辞めようと思い始めたのはずいぶん前だ。
市井が辞めるまでは、(後のことは任せて自分は早く結婚したい)と思っていたものだった。
「・・ええっ、そうです・・・。あの娘が居てくれたら、簡単なんですけど・・・。
あの娘が辞めて、まだしばらくリーダー続けなあかん、って思ったんですけど、
新メンバーの教育も、それぞれ上手くいってるみたいやし、
もうそろそろ大丈夫かなっと・・・」
23 :
教授:2000/08/20(日) 12:29
「まあ、お前たち自身でそういう事は決めたらええと思うわ。」
バラエティー番組への露出が増えた今、
つんくも、もう手取り足取り指導し、干渉することは無くなっていた。
「でも・・・、リーダー辞めたらお前はどうなんねん。」
つんくの質問は中澤が最も気に掛けていたことだった。
昨晩もこの事で頭を悩ませた。
「ひょっとすると、娘から必要とされんようになるかもしれません。」
「それはあかんで。」
つんくが強い口調で言った。
「お前がいてくれんと困る。」 <・・・やっぱり、ヤッたのか?つんく>
中澤はその言葉に嬉しさを感じながら、続けた。
「モーニング娘に必要なんが、リーダー中澤なんか、中澤裕子なんか、という事です。」
24 :
教授:2000/08/20(日) 12:30
「ふうっ・・・」
中澤はつんくの部屋を出て、ため息を一つついた。
久しぶりに本心で話し合う事をしたので疲労感を感じた。
けれども、それは中澤にとっても、つんくにとっても心地良いものだった。
結局、つんくと決めたことは
・リーダーは投票で決めること
・もし皆が中澤を選出したらリーダーを続けること
・リーダーじゃなくなってもモーニング娘を辞めないこと
この3点である。
25 :
教授:2000/08/20(日) 12:31
中澤は、つんくから、辞めないで欲しい、と言われて嬉しかった。
HSWでは、中澤の父がすでに亡くなっている事を知っていながら、
あんなハズかしい台詞を言わされ、
中澤ソロ『上海の風』でも途中でレコーディングをあきらめる、など
もうつんくの構想外になってしまっているのでは、とどこか不安だった。
それが、つんくに、必要だ、と直接言われたので、
中澤は不安感を少し拭う事が出来た。
26 :
教授:2000/08/20(日) 12:32
「よしっ、明日にでもみんなに説明しよか。」
今日は、一部メンバーにテレビ収録があって、全員そろうことはないが、
明後日の地方でのコンサートに向けて、明日は現地リハーサルがあるので
全員にこの事を伝えることが出来るはずだ。
こうして中澤は自分の決断を実行に移せたことに充足感を感じながら
レコーディングスタジオを後にした。
スタジオの外は燃え盛るような熱さだった。
期待。
28 :
名無しさん@1周年:2000/08/20(日) 16:56
過去ログ探しますって、スレに書けば戻るよ
29 :
名無しさん@1周年:2000/08/20(日) 22:46
あげとかないと削除されちゃうー(汗
30 :
元明日香ファン:2000/08/20(日) 22:50
石川「後藤さん、もうちょっと丁寧な口の聞き方をした方が、、
いいと思います、、、、」
ごめんなさいスレ間違えました。嵐じゃないです。<30
>>29 それはない
あがらなくなることはあってもそのうち復旧する
だからさげたほうがいいと思うんだが
小説をうざがる人だっているんだから
33 :
教授:2000/08/21(月) 17:47
第二章 楽屋にて 〜闘いの火蓋〜
「ちょっとー、ちゃんと声、出しときなさいって言ってたじゃない。」
ガメラのような顔をした少女が怒っている。言わずもがな保田だ。
「ごめんなさい・・・」
首の長い少女が答えた。吉澤だ。
「二回目よ、二回目。ちゃんとしなさいよ。」
保田はもう一人の少女の方を見て言った。
「ごめんなさい。」
胸の大きい少女が言った。後藤である。
34 :
教授:2000/08/21(月) 17:50
「これはテレビ収録じゃなくてコンサートなのよ。みんなお金を払って見に来てくれるの。
それを適当にやったらダメでしょう。」
保田が顔面凶器で言った。
「すみませんでした・・・」
吉澤がうな垂れながら答える。
それを見て、保田は諭すように言った。
「それに地方だから何度も来る訳じゃないし、明日のコンサートが私たちを見る
最初で最後の人もいるのよ。しっかりしなさいよ。」
後藤は、またやっちまったか、という顔をして遠くを見ている。
その視線の先では、大きな少女と小さな少女の会話が有った。
「よく覚えてるじゃない〜。辻〜。」
飯田がカクカクしながら言った。
「てへてへ。がんばりました。」
辻がいやに子供っぽく答えた。
親子みたいだなぁー、と後藤は思った。
リーダー中澤か・・・
過去3人の脱退において誰からも相談されなかったリーダーだからな。
実質的にはリーダーとしては機能していない。
ってこんなところにマジレスしちゃダメか。
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
37 :
教授:2000/08/22(火) 13:38
「・・・新しくなったプッチモニの最高のステージを見せましょう。」
保田が熱く語っている。
「はい、頑張ります。」
吉澤はとりあえずそう答えている。
(ふうー、やっと終わったか。)
後藤は、保田によるダメ出しをもう何十回も何百回も聞いている。
聞き流し方はもう完璧だ。と思っていた。
(ノド乾いたなぁ。でも飲茶楼しか無いんだよなぁ。)
ふいに保田が聞いた。
「後藤も。分かってんの?」
「あっ、うん。頑張る。」
(しまった。ちょっと適当過ぎたかも!?)
保田の顔がふたたび凶器と化す。
「ちょっと、あんた私の話ちゃんと聞いてたの?」
(ああー、しまった。また始まっちゃう・・・)
「大体、あんたねー、センターやってんだから・・・・・・」
38 :
教授:2000/08/22(火) 13:39
「キャハハ、また圭ちゃん怒ってるよ。あの二人も懲りないねぇー。」
「もうっ、圭ちゃんだって二人のこと思って言ってるんだべさ。」
「でもー、保田さんの怒った顔ってほんまに怖い、ですよ。」
矢口と安倍と加護が、お菓子をつまみながら喋っている。
「いまでも、夢に出て来ちゃうんですよ。」
「そんな事言っちゃ、圭ちゃんに悪いっしょ。」
「キャハハ、確かに夢に出てきそー。」
向うでは、まだ保田が顔面凶器を炸裂させている。
ふと矢口がグフグフ笑いながら低い声で切り出した。
「グフフ。・・・ところで、なっち。・・・あの押尾っていう人の事だけど・・・」
39 :
教授:2000/08/22(火) 13:41
「なにさ、何だべさ。」
安倍が切り返した。
「グフフ、どーなのよっ。どういう関係なのっ。キャハッ」
矢口の目が爛々と輝いている。
「べっ、別にゲームしに行っただけだべさ。」
安倍はしどろもどろになって答えた。
「へー、二日も続けてねぇ。キャハッ」
矢口がグフグフしている。
「でもー、お風呂とかはどうしたんですか?」
加護もニヤニヤ笑いながら、興味津々という顔で聞いてくる。
40 :
教授:2000/08/22(火) 13:42
「うっ・・・」
安倍は詰まってしまった。
「グフフ。どーしたのよ。」
「どーしたんですか。」
矢口と加護がニヤニヤしながら迫ってくる。
「あっ、そう言えば、梨華ちゃんはどこ行ったべさ。」
「梨華ちゃんはメロン戦隊の柴田さんのとこ行ってます。」
「グフフ。そんなごまかし効かないわよ。どーなのよ。お風呂はどーしたの。」
矢口が物凄く悪い顔になっている。
「やっ、い、一旦、家に帰って入ったのよ。」
41 :
教授:2000/08/22(火) 13:44
「へー。」
「ふーん。」
矢口と加護ってこんなに息あってたっけ、安倍は思った。
「お風呂に入ってからわざわざ行ったんだ。グフフ」
「もー、いいっしょ。許してよ。」
安倍はもうグダグダだ。
「あっ、中澤さんっ。」
中澤がチャイナドレスで楽屋に戻って来た。
42 :
教授:2000/08/22(火) 23:17
「あー、みんな揃っとるな。ちょっと聞いて欲しい事があんねんけど。」
中澤が声を張り上げた。
「あのー、りかちゃんがいないんですけどぉ・・・」
辻がそろっと言った。
「あれっ、ほんまや。辻っ、呼んできて。」
気付いてやれよ、中澤。
「でも、どこにいったかわかんないんですけど・・・」
「梨華ちゃん、メロン戦隊の柴田さんのとこやで。」
加護が辻に言う。
「ほんまか。じゃあ、加護も行って来て。」
中澤に言われて、辻と加護が楽屋をちょこちょこ出て行った。
43 :
名無しさん@1周年:2000/08/22(火) 23:18
さげでやったら?
44 :
教授:2000/08/22(火) 23:18
「ねーねー、裕ちゃん話ってなんなの。」
飯田が待ちきれずに聞いた。
「みんな揃ってから言うわ。」
中澤はメイクテーブルにもたれながら答えた。
「結婚!? けっこん!? 妊娠!?」
矢口がさっきのテンションのまま聞く。
「そんな訳ないじゃん。裕ちゃんだよ。」
保田は痛い所をズバッと突いてくる。
「失礼やなぁ。こんなええ女に向かって。」
45 :
教授:2000/08/22(火) 23:19
「すみませ〜ん。ハァハァ、遅れちゃって・・・」
石川が楽屋に飛び込んできた。
走って来たのだろうか、息が切れている。
「いやっ、別に遅れた訳やないんやけど・・・」
中澤はまるで腫れ物に触るかのような口調で言った。
「ごめんなさい。遅れちゃって・・・」
石川はみんなに注目されて緊張して、中澤の言葉が耳に入っていない。
「いや、だから・・・」
「なかざわさぁ〜ん。よんできましたよ〜。」
辻と加護も戻ってきた。
「ああ、ほな話そか。」
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
教授=作者っすさんでしたっけ?
48 :
名無しさん@1周年:2000/08/25(金) 00:00
てすと
49 :
教授:2000/08/25(金) 02:17
「ねーねー、裕ちゃん話ってなんなの。」
飯田が待ちきれずに聞いた。
「みんな揃ってから言うわ。」
中澤はメイクテーブルにもたれながら答えた。
「結婚!? けっこん!? 妊娠!?」
矢口がさっきのテンションのまま聞く。
「そんな訳ないじゃん。裕ちゃんだよ。」
保田は痛い所をズバッと突いてくる。
「失礼やなぁ。こんなええ女に向かって。」
50 :
教授:2000/08/25(金) 02:18
↑間違えた。すまん。
51 :
教授:2000/08/25(金) 02:19
「実は・・・」
「紹介しますっ。こちらレコード会社の斎藤さん。」
ガチャ、っとドアを開けながら矢口が言った。
全員何が起こったのか、とドアの方を見たが、そこには誰もいない。
「ちょっと、矢口。何してるのさ。」
安倍が聞く。
「キャハハー。裕ちゃん、矢口が知らないとでも思ってんの。
この前、二人っきりで飲みに行ってたでしょー。キャハハ」
矢口は鬼の首でも取ったかのようだ。
「矢口っ。これは真面目な話なんや。ふざけとらんと話聞きっ。」
珍しく中澤が矢口に厳しい口調で言ったので、みんながハッと驚いた。
思いがけず怒られた矢口は、アレッという感じでオロオロしている。
「もうっ、ちゃんと聞いてや。」
52 :
教授:2000/08/25(金) 02:20
「ねーねー、裕ちゃん。斎藤さんって誰ー。」
みんなは中澤のただならぬ気配を感じ、中澤の話を聞こうとしたのだが、
一人まったく意に介さない人がいた。飯田だ。
「だから、話を聞きーや。」
中澤も飯田相手では怒ってもしょうがない、という感じだ。
「ねーねー、誰なのー。恋人ー?」
やっぱり飯田だ。
「あーもー、そんなんちゃうって。いっぺん飲みに行っただけやって。」
中澤も応対せざるを得ない。
「えー、それだけー?」
「で、裕ちゃん。何の話なの?」
しびれを切らした保田が割り込んで来てくれた。
中澤は、渡りに船とばかりに話を元に戻した。
「実は、みんなに相談したいことがあんねん。」
53 :
教授:2000/08/25(金) 02:21
「実はな、リーダーを誰かと交代しようかと思ってんねん。」
「えっ!!」
一同に驚きが走った。
「なっ、何ていったの。」
安倍が聞く。
「だから、リーダー交代しようって言ったんや。」
中澤は淡々と答えた。
「なっ、なんでっ、誰にっ。」
矢口がびっくりして聞く。
54 :
教授:2000/08/25(金) 02:21
「いやな・・・、最近なんで私がリーダーしてるんやろって思ってな・・・」
中澤が腕を組みながら言った。
「それは一番とし・・・」
安倍が途中まで言いかけて口をつぐんだ。
「そうや、一番年上やからや。それだけの理由や・・・」
中澤が静かに言った。
「だから、全然、でも、いいじゃん。」
矢口は混乱している。
「いや、やっぱり、こんなんはちゃんと決めなあかん、と思うねん。」
中澤はみんなを見回しながら言った。
「うちらはプロなんやで、なーなーでやる訳にはいかんと思うねん。
ちゃんとみんなで考えて決めるべきやと思う。」
辻と加護はポカンとしている。
後藤は興味なさそうだ。
55 :
教授:2000/08/25(金) 02:23
「という訳で、リーダーを交代しようっちゅうことや。」
中澤は組んでいた腕をはずしながら言った。
一同はまだオロオロして事情が飲み込めていない様だ。
「ねーねー、じゃー、どーやって決める?」
突如、この場に似つかわしくない明るい声が響いた。
飯田の声だ。
「ねーねー、どーするの?」
何故か笑顔の飯田に戸惑いながら中澤は答えた。
「えっ、あー、投票でしよかなって思ってるんやけど。」
「ふーん、分かったー。」
飯田は笑顔だった。
56 :
教授:2000/08/25(金) 02:23
そんな飯田を凝視している狛犬、もとい、人物がいた。保田だ。
ガメ・・・、保田は不気味なまでの沈黙を保っている。
「ちょっ、ちょっ、裕ちゃん。マジでやるの?」
矢口が再び聞き返してきた。
「うん。そうや。つんくさんにも言うてある。」
中澤は軽く答えた。
「なんでっ、別に裕ちゃんがリーダーでいいのに。」
矢口はまだ食い下がってくる。
「まあ、別に私が投票で選ばれたらリーダー続けるしな。」
中澤は矢口を見ながら言った。
「あぁ、そうなんだ・・・」
矢口が胸をなで下ろしながらつぶやいた。
57 :
教授:2000/08/25(金) 02:24
「でも、私やったら何も変わらへんけどな。」
中澤がフッと翳りのある表情で言った。
「えっ、どういう事ですか?」
ジッと中澤を見つめていた吉澤が口を開いた。
「どーしても皆が私に、って言うんやったら、続けるけど・・・」
「いいじゃん、それで。」
矢口はこだわる。
「でも、モーニング娘も変わっていかんとあかんのちゃうんやろか。
今の状態のままやったら・・・」
中澤はそこで言葉を止めた。
誰もが感じている事だった。
もう、去年の終わり頃から今年前半へかけての勢いは、娘には存在しなかった。
周囲も、まるで終着点を探るような雰囲気があった。
皆、心のどこかで何かしなければ、という思いを持っていた。
58 :
教授:2000/08/25(金) 02:25
「いいじゃん。リーダー選挙しようよ。」
そんな空気を振り払って、屈託の無い笑顔の飯田が言った。
分かっているのか、何も分かっていないのか、誰も彼女の心を覗き込める者はいない。
「そうだね。やってみっか。」
安倍が同意した。
オリジナルメンバーの3名が賛成したので、矢口も反対する事が出来ない。
保田は・・・。相変わらず沈黙を守り続けている。
「まあ、ほんま、いっぺんよく考えてみてや。
私に入れるにせよ。他に入れるにせよ。」
中澤が皆を見回しながらまとめた。
59 :
教授:2000/08/25(金) 02:25
「どんなふうに投票するのさ。」
安倍が中澤に質問した。
「あー、とりあえず現時点でのリーダーの私が勝手に決めたんやけど、
私以外のメンバー9人で投票して一番多かった人っていうんでええか。」
中澤は皆に同意を求めるように聞いた。
「裕ちゃん、裕ちゃんは投票しないの?」
矢口が聞いた。
「うん。まぁ、現時点ではリーダーやし。
私が誰かを指名するって形にはしたくないしな。」
中澤は答えた。
「みんな、これでええか?」
60 :
教授:2000/08/25(金) 02:26
「あのー、私たちも投票するんですか?」
石川が恐る恐る聞いた。
「んっ、なんや。」
中澤が聞き返した。
「あっ、すみません。なんでも無いです。ごめんなさい。」
石川はうつむいて答えた。
「いやっ、別に怒った訳ちゃうんやけど・・・」
中澤が辟易している。
「あのー。わたしたちもとうひょうするんですか。」
辻が代わって聞いてきた。
「ああ、そうや。」
61 :
教授:2000/08/25(金) 02:27
「あんたらも、もう、れっきとしたモーニング娘の一員なんやで。
これからのモーニング娘のことを決める大事なことやし、
モーニング娘の将来を担うあんたらには、当然投票してもらうで。」
辻と吉澤がこれを聞いて神妙な顔をしている。
石川は思いつめたような顔をしている。
「これってー、ムキメイ投票、なんですかー。」
突然、加護が口を開いた。
「えっ、ああ、そうするつもりやけど。」
中澤はすこし驚きながら答えた。
加護はなんだか楽しそうだ。
62 :
教授:2000/08/25(金) 02:27
「後藤も。ええな。」
「えっ、うん。分かった。」
急に話を中澤に振られた後藤は適当な返事を返したが、
中澤は気にせずに続けた。
「じゃあ、今晩しっかり考えてもらって、
明日の朝食の時にでも投票してもらおか。」
「私の話はこんだけや。」
ちょうどその時、スタッフがドアを叩いて入ってきた。
「すみませーん。Loveマシーンのリハ、お願いしまーす。」
「はーい。すぐ行きまーす。」
中澤が答える。
「ほな、行くで。」
63 :
教授:2000/08/25(金) 02:28
皆がガヤガヤいいながら楽屋を出て行く。
飯田は笑みを浮かべている。
安倍と矢口が「どーするよー」と言い合っている。
中澤も、ふうっ、とため息を一つ吐いて出て行こうとする。
だが、もう一人、座ったままのシーサー、・・・ぽい人物が残っている。
中澤はチラッと振り返り、声を掛けた。
「圭ちゃん、行くで。」
ニタァ。・・・保田が笑った。
こうして、娘たちの長い夜が始まりを迎えたのだった。
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
65 :
教授 :2000/08/28(月) 01:36
第三章 密室空間 〜それぞれの思惑〜
「お疲れさまでしたー。」
「明日もよろしくお願いしまーす。」
まったく同じステージを繰り広げるこのツアー。
リハーサルも、舞台の大きさを確認するくらいで、
内容自体はいつもと同じなので、予定通りの時間に終了した。
「あー、やっとホテルに戻れるー。」
それでも後藤は相変わらず面倒くさそうだ。
66 :
教授 :2000/08/28(月) 01:36
「やっぱりバス1台なのー。せまいよー。」
一番小さい矢口が文句を言う。
「すみません。何とか乗って下さい。」
マネージャーが言う。
「もー、荷物多いからせまいよー。」
安倍も文句を言う。お前の場合は荷物が多いからではない。
「文句言わないの。あっちはもっと悲惨なんだから。」
保田に言われて矢口と安倍がそちらの方向を見てみると、
残りのハロプロメンバーが1台に詰め込まれている。
シェキドルなんて座席すら無い。
「あっ・・・」
「あれよりマシでしょ。早く乗るわよ。」
保田が心なしか笑顔で言った。
67 :
教授 :2000/08/28(月) 01:37
「せまーい。変わってー。チェンジ、チェンジー。」
バスの中では加護が騒いでいる。
「あいちゃん。せまいけど、どうしようもないよ。」
加護の荷物につぶされそうになりながら辻が言った。
「あー、梨華ちゃん、一人で座ってるー。変わってー。」
加護が辻にのしかかりながら座席から出ようとする。
辻がつぶれている。
「加護っ!!」
いつものあの声が聞こえて加護はビクッと止まった。
「荷物、上に乗せてあげる。貸してっ。」
加護の予想に反し、飯田が笑顔で話しかけている。
「??」
怒られると思った加護がキョトンとしているのを尻目に
飯田は長身を生かして荷物を網棚の上に乗せた。
「騒いじゃダメよ。」
飯田が笑顔で言った。
68 :
教授 :2000/08/28(月) 01:37
「なんなんや。てっきり怒られると思たのに。」
加護が隣に座る辻に聞いた。
「いいださん、なんかずっときげんいいみたい。」
辻も不思議そうに飯田を眺めている。
「みんな乗りましたねー。出発します。」
マネージャーが一声かけてバスは動き出した。
「もー狭いべさー。」
安倍が座席からはみ出したまま言った。
「ちょっと、なっち。狭いって。もうちょっとそっち行ってよ。」
矢口も身長は無いのだが、横幅があるので苦しそうだ。
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
70 :
名無しさん@1周年 :2000/08/28(月) 21:08
凄く面白いですね。
BAD板でも何か書いて下さいよ。
71 :
教授 :2000/08/28(月) 23:32
BAD板?ごめんわかんない。
72 :
教授 :2000/08/28(月) 23:34
「どっか、空いてる席ないべか?」
安倍が窮屈そうに首を捻り、バスの後部を見回した。
一番後ろの席に飯田が笑みを浮かべて座っている。幽霊か?
その横では、後藤と吉澤が何かを食べながら喋っている。
飯田の前の席では、辻と加護が遊んでいる。
また、安倍たちの隣では、石川が気疲れからか一人でスヤスヤ眠っている。
73 :
教授 :2000/08/28(月) 23:39
「矢口、梨華ちゃんの隣に行きなよ。」
安倍は座席からはみ出している。
「えー、梨華ちゃん寝てるじゃん。かわいそうだよ。
それより裕ちゃんどこ行ったんだろ?」
矢口が立って前方を覗く。
見えない。
「裕ちゃんなら、ここにいるよ。」
安倍が一つ前の席を指差す。
「なんだ、ここにいたんだ。あっ、寝てる。」
中澤裕子、27歳。体力的に無理がある。
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
76 :
名無しさん@1周年 :2000/08/29(火) 19:39
現状モーニングの続きってあるんですか?
77 :
名無しさん@1周年 :2000/08/29(火) 20:12
25 or 6 to 4
78 :
教授 :2000/08/29(火) 23:31
今日は更新できない。ごめん。
>74
Thanks。そーか、あそこの事BAD板って言うのか。
なんか、てうにちさんが孤軍奮闘してる。
>76、77
俺の分からん所で、Q&Aが展開されてる!!
はて?
ここの飯田は単なるアホなのか? 一応計算してるのか?
80 :
教授 :2000/08/30(水) 17:44
そんな騒動を知ってか知らずか、バス後部座席の飯田は笑顔だった。
(そっかー、裕ちゃん、リーダー辞めるんだー。
代りにリーダー出来そうなのって、私か圭ちゃん位だなー。)
飯田は保田を目で探した。保田も何故か笑っている。
(圭ちゃん怖いから、辻と加護は私に票入れてくれるでしょー。)
辻と加護は前の席でじゃれ合っている。
(まあ、なっちは無理としても、矢口と石川がタンポポだから入れてくれるし、
これで5票じゃーん。キャー、リーダーじゃーん。)
飯田は笑顔だった。
81 :
教授 :2000/08/30(水) 17:45
一方、対して保田はというと、
(チャンスだわ、これはチャンスだわ。
私以外に誰がリーダーになれるって言うの?)
保田はチラッと飯田の方を見た。
(敵はカオリだけね。何としても勝たないと。)
保田は票の計算を始めた。
(とりあえず後藤と吉澤で3票ね。あと石川も私に入れさせるでしょ、これで4票。)
保田はバスを見渡した。
辻と加護の姿が目に入った。
(辻と加護はムリね。あいつらはカオリに入れるだろうな。
これで今、4票対3票か。あと、残ってんのは・・・)
(なっちと矢口か・・・。なっちは、私に入れるかどうか分かんないけど、
絶対カオリには入れないから大丈夫ね。)
(あとは矢口か・・・。矢口は、裕ちゃんって入れそうね。
じゃあ、少なくともカオリの方に回らないようにさせれば、・・・勝てる。)
保田が笑う。要モザイク。保田
82 :
教授 :2000/08/30(水) 17:46
そんな思惑が交差するバスの中に緊張が走る。
相も変わらずマイペースにベーグルを食べていた後藤と吉澤だったが、
「ねーねー、ごっちん、リーダーのあれ、誰に入れる?」
ふと何気なしに吉澤の言った言葉に車内に車内の空気が一変した。
「えー、考えてなーい。いーよ、誰でも。」
皆が耳目を立てていようが関係なく、後藤は興味無さそうに言った。
「ちょっと、あんたねー。そんな事言ってて、どーすんのよ。」
保田が座席の肩越しに振り返りながら言った。
・・・恐い。
83 :
教授 :2000/08/30(水) 17:46
「これからのモーニング娘を決める大事なことなのよ。」
(この子達にしっかり言っとかないと。)
そんな思惑で保田は続けた。
「娘。の事を一番思ってる人がリーダーに・・・」
「なんか、圭ちゃん、もうリーダーみたーい。」
突然、前の席から矢口の声が響いた。
「えっ・・・」
保田が止まる。
「キャー、こわーい。」
座席の隙間から矢口が顔を覗かせた。
「キャハハー、もっと明るくて楽しい方がいいなー。」
矢口は笑みを浮かべながら言った。
84 :
教授 :2000/08/30(水) 17:47
飯田はそんな矢口の目の奥が笑っていない事に気が付いた。
(あっ、なんか企んでる時の顔だ。)
たんぽぽで一緒にいる時にも時折見せる表情だ。
(あれっ、矢口どうしたんだろ・・・)
飯田は矢口を見つめた。
ふと、矢口がこちらを向く。
視線が絡み合う。
だが、矢口は何も言わず視線を外した。
(あれっ、何か変だな。私を応援してくれると思ったのに・・・
何考えてんだろ・・・)
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
86 :
教授へ :2000/08/31(木) 07:59
87 :
教授 :2000/09/01(金) 23:20
矢口は困っていた。
せっかく頑張って、リーダー中澤の寵愛を得られるようになったのに、
その中澤がリーダーじゃなくなるのは痛手だった。
(くそっ、裕子の野郎ー、なに考えてんだ。せっかく頑張って取入ったのに。)
(ブサイクがリーダーになったら、プッチの勢力が強くなるし、
圭織はガキ二人を可愛がるだろうし・・・、くっそー、ヤベーな)
矢口は保田と飯田を思い比べて困っていた。
(いっそ私がリーダーに・・・、いやっ、厳しいか。
あの二人に怨まれるか。どうしようか・・・)
(なんとか後藤と吉澤を切り崩して、辻加護をだまして・・・
あの二人がリーダーにならないようにしないと・・・)
矢口は自身の謀略に自信があった。みんな私よりバカだ。
とりあえず皆に牽制を入れつつ、立ち回る事に決めた。
88 :
教授 :2000/09/01(金) 23:21
(このデブはどうしようか?)
矢口は隣でムシャムシャ2個目の肉まんを頬張る安倍に目をやった。
「モグモグ、ねー。なっちも楽しい方がいいべさ。モグモグ。」
安倍がコンソメパンチを開けながら言った。
「でも、仕事はキッチリしないとねー。パリパリ。」
矢口と保田は安倍のこの発言に耳をそばだてた。
しかし、安部は食べるばかりでそれ以上何も言わなかった。
(何考えているんだろう。)
矢口と保田には推測出来なかった。
だが、安部との付き合いの長い飯田には何かしら感じる物があった。
(ああいう時のなっちは、優等生で振る舞うんだ。)
仲違いも多いが、もう3年もの付き合いになる。
(圭ちゃんと矢口は困ってるな。まっいいや、放っとこ。)
89 :
教授 :2000/09/01(金) 23:21
「(コソッ)なんか、えらい空気流れとるな。どーしよ。」
加護が辻に小声で相談した。
「んー。どうしよう。」
辻は周囲を窺っている。
「うちらも何か言うた方がええやろか?」
むしろ加護は何か発言したそうだ。
「こーいうときは、なにもわからないフリをしとくのがいいよ。」
辻が普段テレビでは見せないような表情で言った。
「だまっとこう。」
「そーやな。だまっとこか。」
加護は少し残念そうだ。
(やっぱ、この女うまいなー。敵に回さんようにせなあかんなー。)
加護は辻の横顔を見ながらそう思った。
90 :
教授 :2000/09/01(金) 23:22
「あっ、ごっちん。あのホテルじゃない。」
この車内の雰囲気を作り出した張本人の吉澤は
のんきに外を眺めていた。
「えー、どれー。へー、結構きれいじゃん。」
後藤が吉澤の指した方向を見て言った。
テレビ局のお金で行ったハワイ旅行では、
ビジネスクラスに三つ星ホテルと豪華に楽しめたのだが、
このコンサートツアーは、事務所主導なので、
あまり高いホテルには泊めてもらえなかった。
今日は合格点だろう。
91 :
教授 :2000/09/01(金) 23:23
「あー、部屋割り言いまーす。寝てる人には教えてあげて下さい。」
マネージャーが前方で立って言った。
「801号室に中澤と保田。802号室に安倍と石川。
803号室に矢口と辻。804号室に後藤と吉澤。
805号室に飯田と加護。
私たちは806号室にいるんで、何か有ったら来るように。」
バスはホテルのロータリーに入って行った。
「明日は9時に朝食です。寝坊しないように。」
バスが停車した。
92 :
教授 :2000/09/01(金) 23:23
「ふー、やっと着いたか。辻っ、石川起こしてあげて。」
保田に言われて辻はビクッとした。
「あっ、はい・・・。りかちゃーん、つきましたよー。おきてくださーい。」
辻が前の席で眠っている石川を揺すりながら声を掛けた。
「梨華ちゃーん。起きやー。着いたでー。保田さんが呼んでるでー。」
加護も一緒に声を掛けた。
「えっ、保田さんっ。ごめんなさいっ。助けてっ。」
石川は保田という言葉に反応して飛び起きた。
「ちょっとー、そんなお化けにでも遭ったような反応しないでよ。」
保田、ガメラ。
「あっ、ごめんなさいっ。すみません。えっ。」
石川が動転している。
「りかちゃーん、ホテルにつきましたよー。」
93 :
教授 :2000/09/01(金) 23:24
「おー、奇麗なホテルじゃーん。」
小さな矢口が見上げながら言う。
「あーもー、しんどいわー。」
ババァ、27歳。
「ほらっ、加護っ。行くよっ。」
「あっ、はーい。」
辻と遊んでいる加護に声を掛けながら、飯田はホテルを見上げた。
白亜の瀟洒な建物が堂々と聳え立っている。
(大きなホテルだな・・・)
94 :
名無しさん@1周年 :2000/09/01(金) 23:24
CM
25OR6TO4 「辻加護と23の誓い」に収録
CM終わり
95 :
教授 :2000/09/01(金) 23:24
「飯田さん、行きましょー。」
「えっ、ああ、うん。」
加護に言われて、飯田と加護はホテルの中に入って行った。
それぞれの思惑を心に秘めながら、ホテルの中に入って行く娘たち。
彼女たちの夜を護って、情趣なホテルの建物は
静かにたたずんでいた。
96 :
名無しさん@1周年 :2000/09/01(金) 23:28
ぜんぜんHじゃないな
続き、続き!
98 :
名無しさん@1周年 :2000/09/02(土) 00:01
気になる・・・
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
100 :
教授 :2000/09/02(土) 23:33
100!! だが更新できず・・・
101 :
教授 :2000/09/05(火) 01:42
第四章 混沌の夜 〜暗躍する娘たち〜
「あいちゃ〜ん、おふろいこ〜。」
午後9時。
部屋に着いてくつろぐ間もなく、辻が805号室を訪れた。
「ちょっと待ってて〜、洗顔がないねん〜。」
加護が大きな鞄をまさぐりながら答えた。
(おけしょうしすぎだもんね。)
そう思いながらも黙って辻は待っていた。
「おっかしいな〜。確かに入れてんけどな〜」
加護がもう一度洗面セットを調べながら言った。
102 :
教授 :2000/09/05(火) 01:44
「加護っ。カオリの貸したげる。一緒に行こっ。」
飯田が笑みを浮かべながら話し掛けた。
「いいんですかー。」
加護が少し驚いて聞き返した。
「いいよ。さっ、行こっ。」
そう言って飯田は部屋を出て行った。
「なんや?今日はえらい優しいな〜。」
加護は辻に聞いた。
先程のバスの時といい、今日は怒られない。
103 :
教授 :2000/09/05(火) 01:47
「いいださーん。なんかいいことあったんですか〜?」
エレベーターの中で辻が飯田に聞いてみた。
「ううん、別に。何でもないよ。」
飯田は屈託の無い笑顔で言った。
「なんやろなぁ〜。」
「なんだろね。」
そんな辻と加護に飯田が突然切り出した。
「そうだ。明日リーダーの選挙やるでしょ。
あれ、私に入れてくれない?」
104 :
教授 :2000/09/05(火) 01:48
「へっ。」
「!!」
辻と加護は飯田の顔を見た。
相変わらず屈託の無い笑顔だ。
「カオリね〜。一度リーダーやってみたいんだ〜。だから入れてっ。」
飯田は何の衒いも無く言った。
「どないする?」
加護は辻に顔を向けた。
「はーい。じゃあ、いいださんにいれます。」
辻は加護の方を向かずに答えた。
「ほんとー。ありがとー。」
飯田は満面の笑みだ。
105 :
教授 :2000/09/05(火) 01:50
「加護は?」
飯田は聞いた。
「えっ、ああ、うん。入れます。」
加護は慌てて答えた。
「ありがとー。リーダー楽しみだなー。」
そう言って飯田は宇宙と交信を始めた。
(よーし、あとは石川に頼んで。
あー、矢口はどうしよう・・・)
106 :
教授 :2000/09/05(火) 01:52
「ちょっと、あんな約束してもてええんか。」
加護は辻に聞いた。
「べつにいいださんでいいし。」
辻は加護に顔を向けて答えた。
「そや無くて、他の人にあんな風に頼まれたらどーするん。」
加護は問い返した。
「だいじょうぶだよ。あんなにはっきりたのんでくるのって、いいださんくらいだよ。」
辻はしれっとしている。
「そう言われればそうやな。」
加護は辻の賢さに驚きながら答えた。
(まあ、ええか。どーせムキメイやし。なんとでもなるやろ。)
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
いよいよ実質的な選挙活動が始まりましたですな〜
109 :
名無しさん@1周年 :2000/09/07(木) 02:52
個人的には今2chで一番気になるお話。
作者さま頑張ってちょ。
110 :
名無し娘。 :2000/09/07(木) 14:12
初めて読ませていただいたけどマジおもろい。
頑張って下さい。
このスレ探してたんだよ。
112 :
教授 :2000/09/07(木) 18:54
一方、その頃、801号室。
「ねー、裕ちゃんいるー?」
矢口がノックもせずに入って来た。
「いないよー。」
明らかに中澤のものと違う声が返ってきた。
「あっ、圭ちゃん。あれっ、裕ちゃんは?」
矢口は室内を見回しながら聞いた。
「みっちゃんとお風呂に行ってるよ。」
保田が洗面用具を準備しながら言った。
113 :
教授 :2000/09/07(木) 18:54
「なんだ、いないのか。」
「あーそうそう、矢口。お風呂10時までだから、早くした方が良いわよ。」
保田が立ち上がって言った。
「知ってるよ。矢口、朝入るし。混んでるの嫌いだし。」
ここのお風呂は朝5時からやっている。
「あっそう。」
保田がドアの方に歩いて来た。
「私もお風呂行くから閉めるよ。」
114 :
教授 :2000/09/07(木) 18:55
「ちぇっ、裕ちゃんいないのか。」
矢口が半分廊下に出ながら呟いた。
「まったく、あんたは、裕ちゃん裕ちゃん、って。疲れない?」
背中越しに保田の声が聞こえた。
「!?」
矢口は振り向いた。
「ん、何っ?」
振り向いたすぐそばに保田の顔があった。
「疲れ・・・ないわよ・・・」
115 :
教授 :2000/09/07(木) 18:56
「あんなにいじめられた人相手に?」
保田は何かを見据えた鋭い目をしている。
「だから今いじめてんじゃん・・・」
矢口は笑みを作って言った。
「そう・・・。そうは見えないんだけどな・・・」
保田も笑みを作ってみせた。
「そんなことないよ。楽しくやってんだからっ。」
そう言ながら矢口は保田に背を向けた。
「ふ〜ん、そう。」
自分の部屋に戻って行く矢口に聞こえよがしに保田は呟いた。
「もう、オリジナルじゃないからって
我慢するのは嫌だな・・・」
116 :
名無し娘。 :2000/09/08(金) 20:58
主題歌
奥田民生「荒野を行く」
117 :
名無し娘。 :2000/09/08(金) 21:11
すげ〜面白い!!!最高ッス!
主題歌
シカゴ「長い夜」
当然オリジナル版の方
119 :
名無し娘。 :2000/09/09(土) 14:25
続ききぼ〜ん
おもろいです。
なんとなく落としどころが見えるんですが、裏切られるかな?
121 :
名無し娘。 :2000/09/10(日) 22:12
これって、「10人の怒れる娘達」をモチーフに
書いているんですか??
何となく物語の流れが似ているんですが・・・
122 :
名無し娘。 :2000/09/10(日) 22:18
>121
昔、ここにあった小説。
まだ未完。
123 :
教授 :2000/09/11(月) 00:03
>120
それは言わないで・・・
>121
一応読んだ事あります。
モチーフっていうか、なんとなく似てしまった。
124 :
教授 :2000/09/11(月) 00:33
「梨華ちゃん、シャンプー貸してくれさ?」
「あっ、はい。」
ここは、802号室。
豚が煮られている、・・・ではなく、安倍が風呂に入っている。
「悪いねー。なっち、よく忘れ物するんだわ。」
石川は安倍にシャンプーを貸しているので、
自分はお風呂に行く事が出来ない。
「あのー、安倍さんはどうしてお風呂行くの嫌なんですか。」
ただ待っているのもなんなので、話掛けてみた。
「えっ・・・、あははは・・・」
デブだからだ。
125 :
教授 :2000/09/11(月) 00:34
「そうそう、梨華ちゃんは明日の奴どーするべさ。」
安倍は話題を変えた。
「えっ、明日のコンサートですか?もー緊張してます。
なんでいつも同じ事するのに緊張するんですかね。」
石川は相変わらずだ。
「そーじゃなくってさ。あのリーダー決めようって奴さ。」
安倍は問い直した。
126 :
教授 :2000/09/11(月) 00:34
「あっ、その話ですか。そーですね、どーなんでしょう。」
石川にはそんな事を考えている余裕は無い。
「たしかに裕ちゃんはなまら年が離れ過ぎてるしね。
梨華ちゃんとかは、怖くて相談とか出来ないっしょ。」
安倍は聞いてみた。
「そうですね。やっぱりちょっと怖いです。」
石川は本音をこぼした。
「なんでも相談できるようなよく喋るリーダーがいいよね。」
安倍は何か含みを持たせた言い方をした。
「私、テニス部の部長してたんです。」
そんな安部の言葉と関係なく石川は言ってのけた。
127 :
教授 :2000/09/11(月) 00:36
「やっぱり、リーダーっていうのはみんなに信頼されて
相談を持ち掛けられるような人がいいと思います。」
石川は普通に正論を述べた。
「そーだよね。よく喋る人じゃないとね。そーだよね。」
安倍は妙に明るい声で言った。
128 :
教授 :2000/09/11(月) 00:37
「あっ、もうこんな時間っ。早くお風呂に行かないとっ。」
時計は9時35分を指している。
「安倍さんっ。私、お風呂に行くんでシャンプー返して下さーい。」
石川は浴室の扉越しに声を掛けた。
「あっ、ごめんごめん。はいっ、ありがとっ。で、コンディショナーも貸してくんない?」
扉の隙間からまったく悪びれる様子も無く安倍が笑顔を覗かせた。
「・・・・・」
「ごめんっ。お願いっ。」
仕方ない。部屋のお風呂で我慢するか・・・。耐える石川。
129 :
教授 :2000/09/11(月) 00:38
「ぅんあ〜〜〜、うまいっっ!」
「やろっ!若いおなごの裸を見ながら、風呂でクイッと。最高やね!」
断っておくが、ここは女風呂。
このおっさんのような会話をしている二人も当然女性である。
「なー、みっちゃん。この酒なんなん?」
「あーこれな、この辺の地酒やって。ロビーで売っててん。」
こんな真似をするのは、当然中澤と平家である。
「小湊っちゃんらも来たらよかったのになぁ。」
「なんかボンバー、ごっつ真剣な話やっとったで。」
の〜んびり平家と中澤は酌み交わしている。
130 :
教授 :2000/09/11(月) 00:38
平家「しっかし、加護はええ乳してたな〜」
中澤「もー今の時点で、みっちゃんより大きいもんな〜」
平家「なに言うてんの。あんたも変わらへんがな。」
中澤「乳はなくても、私には黄金のフェ・・」
平家「それより、裕ちゃん。辻ちゃんヘロヘロになってたで。
あんな子供に酒飲ませたらあかんやろ。」
中澤「あんたかて加護にガンガン飲ませてたやないか。」
平家「あの子は大丈夫やないの。加護やで。」
中澤「まぁ、カオリがおるから大丈夫やろ。
あの子があんな面倒見がいいとは思わんかったわ。」
平家「まっ色々あるみたいやからね。
では、再び『娘。たちの長い夜』をお楽しみ下さい。」
中澤「ちょっとあんた、誰と話してんの。」
131 :
教授 :2000/09/11(月) 00:39
「ちょっとー、辻ー。大丈夫?」
飯田が長い黒髪を拭きながら、ポーとしている辻に声を掛けた。
「てへてへ。だいじょうぶ。てへてへ。」
真っ赤な顔をして辻がヘラヘラしている。
「まったく、ののちゃん飲み過ぎやで。酒は飲んでも飲まれたらダメやねんで。」
辻の10倍以上は飲んだ加護が注意している。
「とりあえずっ、あんたたち早く寝なさいよ。」
飯田が二人に注意した。
「そやで、ののちゃん、早よ寝ーや。」
「あんたもっ!」
加護は自分に対する注意は耳に入らないようだ。
「え〜、だってぇ〜」
「また遊んでると圭ちゃんに怒られるよ。」
132 :
ファン :2000/09/12(火) 01:14
今日は更新なしだったんですね。
残念…。
133 :
名無し娘。 :2000/09/12(火) 20:27
age
134 :
教授 :2000/09/12(火) 23:19
「あれっ、辻ちゃん、どーしたのー。」
のんきな声がした、と思ったら後藤と吉澤が脱衣所に入って来た。
「あー、聞いて聞いてー、ののちゃん、お風呂に中澤さんとー
・・・・・(中略)・・・・・、でねー、こうなってんー。」
「へー、そうなんだ。まったくあの二人なにやってんだ。」
背後からふいに保田の声がした。
加護が説明している間に保田も脱衣所に入って来ていた。
「!!」
「あんたも飲んだんでしょ。」
保田の目が光る。
「えっ、えへへ。」
加護は笑ってごまかした。
135 :
教授 :2000/09/12(火) 23:21
「ほらっ、辻っ、行くよっ。」
「てへてへ。」
ヘロヘロしている辻の手を引いて飯田が脱衣所を出ようとした。
「あっ、飯田さーん、待ってー。」
これ幸いと、加護は保田の呪縛から逃れて行った。
「もう、まったく。」
保田は逃げて行く加護を見ながら呟いた。
136 :
教授 :2000/09/12(火) 23:23
「辻ちゃん、大丈夫かなー。」
後藤が服を脱ぎながら吉澤に声を掛けた。
「飯田さんが付いてるし、大丈夫じゃない。」
「!!」
何気に吉澤が言った言葉に保田の目が光った。
(なんとかカオリを落さないと!)
137 :
教授 :2000/09/12(火) 23:24
「でも、カオリがしっかり注意してたら良かったのにねー。」
保田はしれっと指摘した。
「そうだね、カオリ何してたんだろ。」
後藤が言う。
(もう一息!)
「やっぱ、あたしが注意しないといけないのかなぁ(ニヤァ)」
保田はそう言ながら二人を舐め回すように見た。
「そうですね。保田さんはしっかりしてますもんね。」
「うん。しっかりしてる。」
後藤と吉澤は、特に保田を気に掛けるでもなく軽く言って風呂場に入って行った。
「あら、そーお。(ニヤァ)」
(この二人は大丈夫そうね。よし、次は石川ね・・・)
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
1番楽しみにしてるスレです!
140 :
名無し娘。 :2000/09/15(金) 14:38
BAD板ってなくなったの?
教授の解説見てたのに・・
141 :
名無し娘。 :2000/09/15(金) 14:41
142 :
名無し娘。 :2000/09/15(金) 14:44
>>141 落ちてるね……まー時間がくれば回復すんじゃない? よくあるよ。
143 :
教授 :2000/09/17(日) 01:23
書き込んでもいいのだろうか?
144 :
教授 :2000/09/17(日) 01:25
「梨華ちゃん、いるー?」
場所は再び802号室。
部屋のシャワーでとりあえず軽く汗を落した矢口がドアから顔を覗かせた。
「あっ、真里っぺ。」
鏡の前で座って髪を乾かしていた安倍が振り向いた。
「あれっ、梨華ちゃんは?」
矢口は部屋に入りながら見回した。
「梨華ちゃんならお風呂だよ。」
安倍が視線を浴室の方に向けて言った。
「あっ、そうなの。」
そう言われれば、浴室から何やら超音波が漏れてきている。
間違いない石川の声だ。
145 :
教授 :2000/09/17(日) 01:25
「何の用だべ。伝えとくよ。」
安倍がこちらを向いて聞いてきた。
「いやっ、明日のタンポポの事でちょっと・・・」
ウソである。
本当は投票で石川がどう動くのかを探りにきたのだ。
「ふ〜ん、タンポポか・・・」
安倍は少し寂しげな顔を見せた。
「いいなぁ、ユニット・・・」
鏡に向かって安倍が呟いた。
「なんで、なっちにはソロがあるじゃん。ほら、モロコシ畑でっていう奴。」
矢口が慌ててフォローした。
「トウモロコシと空と風だよー。覚えといてよ。」
146 :
教授 :2000/09/17(日) 01:26
「でも、結局シングルにはならなかったし・・・」
安倍は遠い目をして言った。NYでの特訓でも思い出しているのだろうか。
「いいじゃん。アルバムには入ったんだし。矢口もソロで歌いたいよ。」
多少の反感は持ちながらも、矢口は安倍を励まさざるを得ない。
安倍が矢口の方に振り返った。
「なっちはテレビに出たかったの。タンポポやプッチが出てるのを
(彼の部屋で)見るの辛かったのっ。テレビに映りたい。」
安倍は一気に言い放った。
(なんて勝手な奴なんだ。昔あんだけ姫扱いされて映っといて)
そうは思ったものの、全方位外交の矢口には口に出す事は出来ない。
「それに、なっちにはもうモーニング娘しかないのに、
みんなは、ごっちんごっちんって。ここまでモーニング娘を引っ張ってきたのは
誰だと思ってるんだべ。ねぇ、真里っぺ。」
147 :
教授 :2000/09/17(日) 01:26
「リーダーなってみよっかな。」
「へっ!!」
突然の安部の言葉に矢口は驚いた。
「ねぇ、なっちがリーダーになりたいって言ったら、真里っぺ協力してくれる?」
安倍の目は真剣だ。
(な、なんて事を言い出すんだ。ちっ、どうしよう。)
「えっ、そんな事、急に聞かれても・・・」
とりあえず矢口はそう答えて逃げておいた。
「ダメ?」
安倍がすがるような目をする。
「いやっ、そういう訳じゃないけど・・・。」
148 :
教授 :2000/09/17(日) 01:27
「なんで、急にリーダーやるなんて?」
矢口は安倍の真意を探ろうとした。
(ちょっと待てよ。こいつをリーダーにして傀儡にするのもいいかも)
「だって・・・、みんな他でユニットやってるから・・・。
そう、それに、梨華ちゃんだって、なっちがリーダーだったらいい
って言ってくれるし。」
安倍は笑って言った。
(何っ!! 梨華ちゃんがっ!!)
矢口は思わず浴室の方を振り向いた。
(梨華ちゃんが本当にそんな事言ったの?マジで?)
矢口は確認をしようと安倍に再び聞いた。
「本当に梨華ちゃんそう言ったの?」
149 :
教授 :2000/09/17(日) 01:27
「うん。なっちみたいによく喋る人がいいって。」
安倍は無邪気な笑顔を見せた。
「梨華ちゃん、なっちに投票するって言ったの?」
矢口はもう一度聞いた。
「えっ、そこまでは聞いてないけど。
でも、なっちみたいな人がいいって言ってたし。」
安倍はチラッと浴室の方に視線を遣りながら答えた。
相変わらず無垢な笑顔をしている。
(はは〜ん。この女ひょっとして勘違いしてるんじゃねーの)
矢口は安倍の笑顔を見つめながら思った。
(そーだよな、だいたい梨華ちゃんはそんなあからさまな肩入れしないよな。)
150 :
教授 :2000/09/17(日) 01:28
「ねぇ、真里っぺ。協力してくれる?」
再び安倍が聞いてきた。
(ちっ、どうすっかな。もう一度、票を読み直さないと。)
「えー、そんな事全然考えてなかったから、急に言われてもなぁ・・・」
矢口は髪の毛をかきながらごまかした。
「あー、そう言われれば、そうだね。」
安倍は矢口の心理を読む事が出来ない。
「じゃあ、また後でね。」
「ああうん、また後で。」
そう言って矢口はドアの方を向いて歩き出した。
浴室からはまだ石川の怪音がもれて来ている。
(後でまた来るか・・・)
石川がキーパーソンになってるあたりが面白い。
大ドンデンを期待してます。
おもしろくなってきたね。
期待大。
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
154 :
教授 :2000/09/21(木) 02:42
「あっ・・・」
「あっ・・・」
ジュースの自動販売機前。
背の大きな少女と顔の大きな少女が鉢合わせた。
「け、圭ちゃん、どうしたの?」
「えっ、わ、私? お風呂上がりって喉乾くんだよね〜。
・・・カオリこそどうしたのよ。」
「あっ、辻にジュース持っていってあげようと思って・・・」
「・・・」
「・・・」
短くそう言葉を交わして二人は黙ってしまった。
155 :
教授 :2000/09/21(木) 02:43
「・・・」
保田は壁のもたれてジュースを飲みながら
自販機と向き合っている飯田の背中に視線をやった。
(カオリ、もう辻加護は押さえただろうな・・・
少し揺さぶっておくか・・・)
「・・・えっと、何にしようかな・・・」
飯田は自販機と交信している。
「飲茶楼は美味しくないしな〜。なっちゃんでいいか。」
156 :
教授 :2000/09/21(木) 02:45
「酔ってる人には、お茶の方がいいわよ。」
保田は飯田に声を掛けた。
「えっ、そうなの?」
飯田は保田が声を掛けて来た事に多少驚きながら振り向いた。
保田は空になった缶を持って壁にもたれている。
心なしか目が怖い。
「圭ちゃん、なに怒ってんの?」
「えっ、別に怒ってる訳じゃないけど?」
「あっ、そう・・・」
「・・・」
「・・・」
157 :
教授 :2000/09/21(木) 02:46
間が持たなくなった飯田は再び自販機の方を向いた。
「お茶かぁ、う〜ん、緑茶でいいかぁ。」
飯田は財布から小銭を取り出した。
「ズルイよね。」
「えっ!?」
背後からの冷たさを含んだ言葉に飯田は驚いた。
「えっ、今なんて言ったの?」
飯田は問い返した。
「んっ、ズルイなって言ったんだけど?」
保田は臆面もなく言い返した。皮肉を込めて。
「ホント上手くやってるなと思って。」
158 :
教授 :2000/09/21(木) 02:46
「ちょっと、上手くやってるって何の事よ。」
あまりに毒のある保田の言葉に少しムッとしながら飯田は聞いた。
「へ〜、言わなくても分かると思うんだけどな。」
保田は微かに笑みを浮かべている。
「恩を売る、ってこういう事なんだろうねー。」
保田は飯田に言うでもなく皮肉な口調で呟いた。
159 :
教授 :2000/09/21(木) 02:47
「何って? カオリ、別に何もしてないよ。」
飯田は挑戦的な保田に面食らいながら問い返した。
「ふ〜ん、そーなんだー。」
保田はそう言いながら飯田の背後の自販機をチラッと見た。
その視線の動きで、飯田は保田の言わんとする事を理解した。
「だって、これは・・・」
「あの子たちがお酒飲むところは見逃して、
つぶれた人に優しくするなんて何処で習ったのかしらね。」
飯田が言葉を発するのを遮って保田は言い放った。
160 :
教授 :2000/09/21(木) 02:48
「次は石川ってとこかしら?」
「!?」
保田が笑みを浮かべて言った言葉に飯田は言葉が詰まった。
確かに次は石川の所に行くつもりだった。
保田はそんな飯田の反応を見届けて言った。
「まあ、なるようになるわね。じゃ。」
そう言って、持っていた空缶をごみ箱に投げ入れて
保田は自販機の前から去って行った。
(これで、カオリあからさまな事は出来ないわね。
後は先に石川を押さえれば・・・)
161 :
将軍たちの長い夜 :2000/09/21(木) 03:37
う〜む、分析も小説も逝けるとは...。
「モー板のウンベルト・エーコ」と呼ばせてもらおう。
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
続きはまだかな?
164 :
名無し娘。 :2000/09/23(土) 00:35
age
165 :
名無し娘。 :2000/09/24(日) 11:32
9人でやるって事は、保田、飯田、矢口で3票筒になったらどうすんだ?
166 :
名無し娘。 :2000/09/24(日) 18:31
>>146 矢口は安倍より先に純ソロもらってるぞ。
アルバムTANPOPO 1の「センチメンタル南向き」。
>165
そういう展開を作者が予定してたらどうすんだ?
169 :
教授 :2000/09/24(日) 23:10
>167
知らんかった。ごめんなさいよ。
ちょっと、最近忙しくて更新できません。
今週末ぐらいからペース上げて創ります。
申し訳ない。
170 :
165 :2000/09/25(月) 15:48
>>165 教授へ
不注意でした。本当にごめんなさい
171 :
名無し娘。 :2000/09/25(月) 17:35
172 :
可楽 :2000/09/29(金) 22:45
待ちきれずage
173 :
名無し娘。 :2000/09/30(土) 23:36
age
174 :
てうにち新聞新入社員 :2000/10/01(日) 07:15
更新お待ちしています。
175 :
教授 :2000/10/01(日) 23:11
「お〜、矢口やないか、ん゙〜〜」
安倍をどうしようか思案しながら彷徨していた矢口の背中に
突然、関西弁を話す酒臭いオバサンがのしかかってきた。
「ちょ、裕ちゃん。何よ、重いって。」
「キスしてーな、ん゙〜〜」
セクハラだ。
「も−、重いって。あー、臭い、お酒臭いっ。」
「ええやん、ええやん。そんな事よりキスしてーな。」
「ああ、もう。」
176 :
教授 :2000/10/01(日) 23:15
思い返せば、石黒脱退とプッチモニによってタンポポの勢力が弱まり、
人気の面でも後藤はおろか、市井にすら負けそうになった頃に、
一発逆転を狙って中澤に取入ろうとしたのが始まりだったが、
いつの間にやら中澤の方が矢口にメロメロになっている。
(最近、しつこいなぁ〜。疲れるよ。
かといって邪険にも出来ないしな〜。)
酔っぱらった中澤にディープキスをされながら矢口はそんな事を思った。
177 :
教授 :2000/10/01(日) 23:17
「ん゙ー、あぁっ、もうっ、お酒臭いんだって。」
中澤の口唇を振りほどいて矢口は文句を言った。
しかしその中に媚びが自然と入ってしまう。
普段から染み付いてしまったものは変えられない。
「えーやんかー。大人の味やで。」
そう言って中澤は再び襲い掛かってくる。
「ちょ、裕ちゃん。」
矢口には抗う術がない。
178 :
教授 :2000/10/01(日) 23:22
「あらあら、仲のよろしいことで。」
不意に二人の背後から声が聞こえた。
二人が振り返って見てみると、保田がいた。
「おー、圭ちゃんやー。」
「もう、そんなの見せ付けないでよ。」
保田は笑って言っているが目が笑っていない。
「辻とか加護にまでやってんじゃないでしょうね。」
「あの子らには、まだやっ・・・、加護にはしたな。」
中澤は矢口にもたれてブラブラしながら言った。
「辻にはやってないでー。あの子は子供やからなー。
いたいけな子供には手ぇ出してへんで。
ちゃんと大人にしかしてへんよ。」
179 :
教授 :2000/10/01(日) 23:25
「ふーん。あたしは?」
保田の目が光る。
「!?」
矢口が固まる。
そうだ。中澤は保田にはキスをしない。
理由は・・・・・・、まぁ、いいじゃないか。
「いっ、いやっ、圭ちゃんは大人やから・・・」
中澤も固まりながら答える。
「あら、そう。まぁいいけど。」
保田が口元に笑みを浮かべながら言う。
「えっ、つ・・・、もぅいややわぁ。
あっ、吐きそう、吐きそう。トイレ、トイレ。」
返答に困った中澤はそう言ながら
そそくさと矢口を置いて逃げて行った。
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
181 :
教授 :2000/10/02(月) 23:23
「あっ、裕ちゃん。」
部屋に逃げ込んだ中澤が閉めたドアを見ながら、
取り残された矢口には背後の視線が恐ろしかった。
「・・・・・」
「・・・・・」
(間が空くとヤバイッ)
「もう、ヤンなっちゃうよ。」
保田の気を逸らそうと矢口はおどけた口調で言った。
「強引なんだから・・・」
矢口は固い笑顔でそう言って保田を見た。
182 :
教授 :2000/10/02(月) 23:24
「・・・・・」
保田は黙って矢口を見つめている。
「ちょっ、圭ちゃんどうしたのよ、黙っちゃって・・・」
矢口は努めて明るく聞いた。
「・・・・・」
保田の睨みは虎すら死をも覚悟する。
「・・・なんで、皆そうなんだろ・・・」
今は危ないような…
184 :
教授 :2000/10/02(月) 23:25
「本当に矢口はああいうリーダーでいいの?」
保田がズバッと言った。
「えっ!?」
保田は矢口の目を真っ直ぐに見据えている。
「私たちって歌手だよね・・・。それが大事なコンサート前にあんなにお酒飲んだり・・・
新メンバー達が旅行気分で遊んでても、注意しないし。」
「・・・・・」
真剣な保田の言葉に矢口は声を出すことも出来ない。
「誰かがちゃんと絞める所は絞めないと・・・。
・・・こんな状況じゃ、紗耶香に笑われちゃうよ。」
そう言うと保田は身を翻して去って行った。
(よしっ、これで矢口はしばらく動けないわね。
今のうちに石川を・・・)
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
186 :
名無し娘。 :2000/10/04(水) 21:51
策士策に溺れるなんて事のないよう気を付けてね。
187 :
教授 :2000/10/04(水) 23:09
天王洲FCの方に浮気しちゃって
今日は更新できない・・・
ごめんなさいよ。
更新楽しみにしてます。
189 :
名無し娘。 :2000/10/05(木) 21:43
死ね。一番きもいなこいつら
190 :
教授 :2000/10/05(木) 23:28
浮気終了。
やっぱり小説は荒らされるのかね。
しゃーない、sageでやるか。
191 :
教授 :2000/10/05(木) 23:28
「ねぇ、吉澤ぁ、加護が鏡を貸してるって言ってんだけど・・・」
804号室。
飯田が扉を開け、部屋でまったりしている後藤と吉澤に声を掛けた。
本当は早く石川の所に行きたいのだが、加護に取って来て、と言われ、
票を頼んだ手前、無下に断ることは出来なかったのだ。
192 :
教授 :2000/10/05(木) 23:29
「えっ、借りてないですけど?」
吉澤が答える。
「えっ、そうなの?」
飯田は大きな目だ。
「カオリン、騙されたんじゃない?」
後藤が続ける。
「あー、そうかも。たぶん今頃、部屋で笑い転げてますよ。」
吉澤も同意した。
193 :
教授 :2000/10/05(木) 23:29
「なんだ、そうだったの。」
そう言われれば、加護は笑っていたような気がする。
「ほんと、いたずらばっか、してんだから。
飯田さんも怒ってやってくださいよー。」
吉澤が笑って言う。
「この前も私にイタ電してきて・・・・・・」
194 :
教授 :2000/10/05(木) 23:29
(あぁ、くだんない事で時間つぶしちゃった。)
「・・・・・でね、梨華ちゃんのとこに行って・・・・・」
飯田が軽く宇宙と交信しているのを見た吉澤は後藤に話し掛けている。
(早く石川のとこへ・・・)
飯田が出て行こうとしたその時、
「・・・で、保田さんが、怒ってくれたの。」
(えっ!?)
保田と言う言葉に反応して飯田は振り返った。
(何? 圭ちゃんが何したの??)
195 :
教授 :2000/10/05(木) 23:30
「あれっ、カオリン、どうしたの?」
急に振り返った飯田に気が付いた後藤がのんきな声で聞く。
「えっ、いやっ、何でもないんだけど・・・」
(怒ってくれた?? 感謝してるの?)
「もー飯田さん、叱り付けてやって下さい。」
吉澤が笑いながら言う。
「えっ、うん・・・。たまには圭ちゃんぐらい怒らないとダメかな?」
飯田は少し探りを入れてみた。
この二人はやっぱり保田に入れるのだろうか。
196 :
教授 :2000/10/05(木) 23:30
「まーねー、圭ちゃん、顔怖いけどねー。」
後藤に悪意はない。
「でも、しっかり注意もしてくれますよ。プッチモニのリーダーだし。」
吉澤がなぜだか持ち上げる。習慣なのか。
「ああ、そう・・・。」
「そーいえば、リーダー決めるとかなんとか言ってなかったっけ。」
後藤が不意に思い出して言った。
「あー、そうだっけ。えー、保田さんでいいんじゃない?」
吉澤は何も考えていない。
「カオリンはどーするー?」
後藤も何も考えていない。
「いっ、えっ、別にまだ考えていないけど・・・」
この流れの中で自分に投票を頼むほどには飯田は電波ではなかった。
「まっ、いっか。」
後藤は言った。
197 :
教授 :2000/10/05(木) 23:30
(ああ、やっぱりあの二人は圭ちゃんなのか・・・)
804号室から出てきた飯田は、予想していたとは言え、ほんの少しショックを受けていた。
(でも。まぁいいか。矢口と石川を押さえれば・・・)
飯田の目が見開かれる。
(あっ!! 早く石川のとこへいかないと!!)
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
199 :
名無し娘。 :2000/10/07(土) 22:37
感動してます。
大粛清に備えてageます
豆知識:さげでも書き込んでれば消されないよ
202 :
名無し娘。 :2000/10/08(日) 17:45
09086299499
203 :
名無し娘。 :2000/10/08(日) 17:46
つ つづきを・・・
完結前に消されるのは勘弁!
206 :
なっち :2000/10/08(日) 20:50
続き待ってまーす。
続ききぼんぬ
208 :
名無し娘。 :2000/10/09(月) 02:04
あげ
209 :
名無し娘。 :2000/10/09(月) 09:36
204>
メ−ルして・・・
210 :
名無し娘。 :2000/10/09(月) 12:03
くだらなくて笑えるメ−ルとどいた〜って感じ?
211 :
教授 :2000/10/09(月) 23:12
「あっ、石川。ちょっといい?」
保田。
笑う。
捕まえた。
「えっ、何ですか、保田さん?」
石川は脅えた目をしている。
大抵、こういう風に声を掛けられる時は、駄目出しだ。
なんで、この人が私の教育係なのだろう。
212 :
教授 :2000/10/09(月) 23:15
「ちょっと此所じゃなんだから・・・、部屋空いてる?」
保田がチラッと802号室のプレートを見る。
「あっ、今、安倍さんがラーメン食べてましたけど・・・」
・・・・・。
「あぁ、そう。・・・じゃあ、どうしよっかな。
そうね、話がてらジュースでも奢ってあげる。行きましょう。」
そう言って石川を連れて保田はエレベーターに乗り込んだ。
213 :
教授 :2000/10/09(月) 23:21
(何の話だろう・・・)
石川はエレベーターの中で保田の横顔を伺い見ながら思った。
(最近、怒られるような事したかなぁ?
タンポポとプッチで別れて行動してるから、何もないと思うんだけどな・・・)
保田は沈黙している。
(・・・うぅ、怖い顔してる)
元々だよ。
(あぁ、私って不幸だわ)
「おっ、良かった。誰もいない。」
エレベーターの扉が開いて、やっと保田が声を発した。
「まっ、とりあえず、ジュース奢ったげる。何がいい?」
214 :
教授 :2000/10/09(月) 23:28
怯えた目でバヤリースを受け取る石川に保田が笑って言った。
「ちょっと、何そんな怯えた目ぇしてんのよ。
別に怒ろうとしてるんじゃないわよ。」
「あれっ、そうなんですか。」
笑いかけられた石川は驚き、安堵のため息をもらした。
「良かった〜。もぅ、てっきり怒られるもんだと思ってましたよ〜。」
石川が饒舌にしゃべりだした。
「あ、もう絶対怒られるんだー、私何やっちゃったんだろー、って考えちゃいましたよ〜。」
「あぁ、そうなの。」
保田は笑い止めた。
「ほんと、怒られる怒られるってビクビクしてましたよ〜。」
215 :
教授 :2000/10/09(月) 23:31
「・・・そんなに、注意されるの、いや?」
ふと保田は真剣な顔で石川に言った。
「えっ・・・」
再び保田が難しい顔になったので、石川は戸惑った。
「やっぱ怒られるのってイヤだよね・・・」
保田は声を低くして言った。
「えっ、や、そうですけど・・・」
石川は、思い掛けず保田がしんなりしているので、困惑した。
216 :
教授 :2000/10/09(月) 23:35
「私だってさ、ホントは怒りたくて怒ってるんじゃないんだよね・・・」
保田は石川を見つめて言った。
「怒ってばっかだから皆にも怖がられちゃうし。」
「そんな事ないですよ・・・」
あわてて石川は、しかし小さな声で否定した。
「いいよ。気を遣わなくても。」
保田は表情を変えずに言う。
「分かってるもの。」
217 :
教授 :2000/10/09(月) 23:35
「でもさ、こう、しちゃいけない事をした時とか、間違った時とかは、誰かが憎まれ役に
なってでも、注意しなくちゃ駄目なんだと思うんだ。」
保田の目にも涙、そんな言葉が石川の脳裏に浮かぶ。
「私たちは、プロの歌手なんだからさ・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙が二人を包む。
218 :
教授 :2000/10/09(月) 23:36
「ごめんねー。こんなしみったれた話しちゃって。」
不意に保田が明るい声で沈黙を破る。
「あっ、いえ、いいですけど・・・」
石川はこんな保田を見るのは初めてだった。
「・・・でも、どうして私なんですか。」
石川には何故保田がこんな話をするのか分からなかった。
「えっ?」
「いや、なんで急に私にこんな話をしてくれたんだろー、って思って・・・」
219 :
名無しさん :2000/10/10(火) 01:18
おもしろいですね!
頑張ってください応援しています。
がんばれ!
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
222 :
教授 :2000/10/11(水) 23:30
「石川だったら分かってくれる、と思ってね。」
笑みを浮かべて保田が言う。
「他の子は幼いしね、それに石川は部長をやってたでしょ、だからこういう事も
分かってくれるんじゃないかなって。」
「あ、はい・・・」
石川はうなずきながら答える。
223 :
教授 :2000/10/11(水) 23:31
「それにね、今日裕ちゃんが楽屋で言ってたじゃない。
モーニング娘は、今のままでいいんだろうかって。」
石川の目を見つめて保田が言う。
「石川たちは知らないだろうけど、昔はもっとこう、なんて言うんだろ、
いい意味でトゲトゲしてたってゆうか、皆が競い合ってた、お互いに高め合ってた、って言うのかな。」
保田は、辞めていった連中を思い浮かべた。
「喧嘩もしたけど、それも歌に対して真剣に取り組んでた結果だし、
そう、切磋琢磨してた、っていう空気があったんだよね。」
石川は黙って聞いている。
「それがいつからか分かんないけど、こんな感じになってきちゃって・・・」
市井の顔が浮かぶ。
「もう一度、変わるべきなんじゃないかなって思ったんだよね。」
224 :
教授 :2000/10/11(水) 23:32
「でさぁ・・・、こう、誰かが率先してやらなくちゃいけないじゃない?」
本題突入。
「それで、・・・うん、私、が引っ張っていってもいいかなって・・・」
保田は含みを持たせた言い方をした。
「・・・・・」
石川は何か考え事でもしているのか黙っている。
今更ながらに口に出すのは気後れするのか、保田は小さな声で言った。
「私がリー・・・ダーに・・・」
「そーですよね、そう思います。」
突如、保田の声を遮り、石川が大きな声で言った。
「私も、今のままじゃいけないと思います。」
225 :
教授 :2000/10/11(水) 23:34
「私たちは、やっぱり歌手ですよね。保田さんの言う通り、変わらなくちゃ駄目ですよね。」
石川は何かに取り憑かれたかのようだ。
「うん、それでね・・・」
「私、保田さんの事、応援します。」
石川の目が爛々と輝いている。
「で、明日の・・・」
「そうだ、確か明日新しいリーダー決めるって言ってましたよね。
私、保田さんに入れます!! 二人でモーニング娘を変えて行きましょう!!」
「えっ、あ、ありがとう。」
226 :
教授 :2000/10/11(水) 23:35
(ふう、なんとか成功したわね。)
石川に固く握手されながら、保田は思った。
(しかしまぁ、こんなに熱く来られちゃうとやりづらいなぁ。)
石川は何故だか晴れやいだ顔をしている。
(よし、あとはもう一度矢口にあたって・・・
あっ、あのブーちゃんはどうしようかな。)
227 :
なっち :2000/10/12(木) 02:52
石川はだーやすに入れるのか!!
名作集スレッドの方であげさせていただきます。
229 :
なっち :2000/10/14(土) 17:04
継続きぼんぬ
続きが読みてぇなぁ
231 :
なっち :2000/10/16(月) 00:45
続きはまだか??
デブなっちがいるからスレがあがらない
教授の分析はどこにあるんですか?
234 :
教授 :2000/10/16(月) 23:03
「い・い・だ・さぁ〜ん。・・・どこ行ったんやろ。」
805号室の扉を開けて、加護が顔を出した。
気を遣う飯田が面白くて、パシリに使ってみたのだが、帰ってこない。
(何してるんやろ・・・。怒ったんやろか?)
はじめの内は笑っていたのだが、あまりに遅いので不安になってきた。
(どうやって謝ろか。でも、あの人何考えてんのか、分からんからなぁ。)
235 :
教授 :2000/10/16(月) 23:05
「あっ、加護ちゃんじゃない。」
「あっ、安倍さん。」
部屋に戻ろうとする加護の背後から甲高い声が聞こえてきた。
「ねーねー、真里っぺ知らない?」
「えっ、知らないです。」
安部からはSALAの匂いに混じって、微かにラーメンの臭いがする。
(また何か食べてたな。)
加護がチェックする。
「あれー、どこ行ったんだべか。ま、いっか。」
236 :
教授 :2000/10/16(月) 23:07
「加護ちゃんは、何してるんだべ。」
「えっ、飯〜田さんを探してるんですけど、どこにもいないんです。」
加護は周りを見回しながら答える。
「ののちゃんは?」
「寝てます。」
結局、辻は酔っ払ったまま、寝てしまっていた。
「ああ、そうなの・・・」
安倍が思考モードに入った。
(あっ、飯田さんもそうやけど、結構安倍さんも入り込むよな〜。
何考えてるんやろな〜。やっぱ、食べ物なんやろか。)
加護がチェックする。
「加護ちゃん!! ちょっと、いいべか。 こっち来て!!」
237 :
教授 :2000/10/16(月) 23:08
「でさー、去年のコンサートで、ニノがねー、・・・」
「えー、そーなのー、・・・」
矢口は、後藤と吉澤のいる804号室にいた。
二人の動向を調べに来たのだが、いつの間にかジャニーズ話に花が咲いてしまっていた。
(う〜ん、どうしよう・・・。どっかで、元に戻さないと・・・)
「矢口っつぁんは、最近どうなの?」
「えっ?」
後藤が聞いてきた。
「ほら、この前言ってたじゃん。あの、誰だっけ。狙ってるって。」
「え、なになに〜、誰ですか〜。」
吉澤も身を乗り出してきた。
「え、や、もー、全然ダメだってー。」
238 :
教授 :2000/10/16(月) 23:10
「ほんとですかー。そんなこと言って、実は付き合ってるんじゃないですか〜。」
吉澤が頬袋で聞いてくる。
「えー、ないってー。だって、仕事忙しすぎて、それどころじゃ無かったじゃん。」
矢口は否定する。
「そーだよねー、忙しすぎるよねー。」
後藤が同意する。
「えー、でも、芸能人ってこんなもんじゃないの?」
この4月からの事しか知らない吉澤が聞く。
「そんなことないよ〜。去年はまだレッスンとかする時間あったし、
今年はちょっと忙しすぎるよ〜。なんか、体の調子も悪いし。」
後藤が胃の辺りを押えながら言った。
(おっ、この流れはいいんじゃない。)
「矢口っつぁんも、そう思うでしょー。」
名作集スレッドの方であげさせていただきます。