テニスの王女様(仮)

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14Sの住人
そんな梨華の一言に、圭織の目は妖しく光る。
「着替え・・・いいねえ」
「あ、このままでいいよ。別に、ちゃんとした試合するわけじゃなし」
そう言うと、なつみはスタスタと部室から出ていった。
あわてて、なつみの後を追う梨華。
そして後には、未練たっぷりといった表情の圭織と、そんな圭織を見ながら、笑いをこらえている
矢口が取り残された。
「着替え・・・」
「ほら、圭織、さっさと行くよ」

「ふーん、ここが、圭ちゃんが行ってた学校かあ」
沙耶香は校舎の前で足を止めると、辺りを見まわした。
広いグラウンド内では、野球部が大きな掛け声を出しながら、守備練習に余念がない。
それとは別に、陸上グラウンドがあり、そちらでは、長距離、短距離と、各々が練習メニューをこなしている。
そのほかにも、竹刀を担いだ生徒が、沙耶香の側を足早に通りすぎたり、
バトミントンのラケットを持った一団が駆け足で体育館に向かったり、とにかく、校内に活気がある様に感じる。
(めずらしいなあ、運動部がこんなに頑張ってるって)
沙耶香の通っている学校が、有数の進学校ということもあるからだろうが、羨ましい雰囲気だった。
(このぶんだと・・・テニス部、楽しみかも)
わくわくする気持ちを押さえつつ、沙耶香は、テニスコートを探して、歩き始めた。