小説「愛しいあの人・・・」

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4天童
現メンバーの9人の中で自宅通い4人(ココでは1人暮らしでないということ)の中の1人である吉澤は、比較的石川の部屋に良く泊まっていた。入りが早い時などだけでなく、プライベートで泊まりに来ることも少なくなかった。同期で同い年で(もっとも石川は早生まれなので学年は1年違ったが)とても仲が良かった。雑誌の「1番仲の良いメンバーは?」などのインタビューでは、2人ともお互いの名前を挙げていた。
「だけど・・・」
石川はそっと呟いた。
彼女たちの新曲が発表され、テレビの収録や雑誌の取材が集中した中の質問で、
「自分が男だったらメンバーの誰を彼女に?」
という質問に対し、
「よっすぃーです」
と、迷い無く答えた石川と違い、吉澤は、
「矢口さん」
「勿論よっすぃー」
と、その矢口本人も答えていた。
某巨大ファンサイト(1部でGMと呼ばれている)内でも、「相思相愛コンビ」などと呼ばれているこの2人。
新曲のPV撮影でも、石川には恥ずかしくて出来ないような事を2人でやっていたりした。
「よっすぃ〜・・・・」
隣で静かに寝息をたてている吉澤の横顔を、石川は切なげに眺めた。
「――可愛いな・・・」
石川の視線は、気持ち開き気味の吉澤の唇に注がれていた。