続・世にも奇妙な娘達

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20携帯番号
 『後藤真希の携番教えてください』
 こんな事を掲示板に書きこんでみた。
2、3日すると一件のメールが入ってきた。
『後藤真希さんの電話番号は090-××××-××××です。
マジです。ちゃんと本人がでます。』
 僕は書き込んだ事などすっかり忘れていた。
信じた訳じゃ無いが話の種にと思い、一応掛けてみる。
「もしもし」
「もしもし、後藤さんですか?」
「はい。」
「後藤真希さんですか?」
「はい」
 おかしいな。本人だったら突然かかってきた電話に
正直に受け答えするわけが無い。
「もしもし」
「あ、はい。
……あの、ほんとに後藤さんなんですか?」
「そうです」
「じゃ、じゃあ ほんとに本人なら
それを証明してみせてください!」
 何を言ってるんだ、俺は。
こんなのイタズラに決まってるじゃないか。
今ごろ電話の向こうでこいつは笑いを押し殺してるに
違いないだろうに……
「証明って、どうすればいいんですか」
 こいつ、まだ続けるつもりなのか……
ようし、こうなったら無茶苦茶言ってやろう。
「じゃあ、声だけじゃ良くわからないから
直接顔を見せてください。これから会いましょうか。」
「わかりました。」
 そう答えたかと思うと、電話は切れた。
やっぱりイタズラか。通話料無駄にしたな。
 電源ボタンを押そうと、携帯に目をやる。
視界に入った液晶画面には後藤真希が映っていた。
「これでいいですか?」
切れているはずの電話から、彼女の声が聞こえる。

 あれから一ヶ月。
 僕の携帯には、いまだに彼女がいる。
「誰か後藤真希の携番いりませんか?」