LIFE IS KICK

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65吉澤・ソーパランチャイ

「気にしない方がいいよ、矢口も試合前だから気がたってるだけだと思うし。」
石川がそう言うと吉澤は口元に笑みを浮かべて答えた。
「ああ、気にしてないよ。それよかありがとね。さっきはちょっと
やばかったかも。梨華が止めてくれなかったらあたし挑発に乗って
スパーとかやってたかもしれない。」
そう言って吉澤はいたずらっぽく笑った。
吉澤の表情に石川はほっとしたような笑みを浮かべて言った。
「ほんと、今やったら1分もたないっていうのは実は私も思ってた!」
「あ?お前までそういうこと言うか!」
吉澤がそう言うと2人は顔を見合わせて笑った。
石川は久しぶりに吉澤の笑顔を見たような気がした。
今までも2人で外で会った時に笑う事はもちろんあったけれど、
本当におかしくて笑っているような笑顔は久しく見ていなかった気がしていた。

吉澤は連日、練習生の誰よりも遅くまで残って練習を続けた。
オーバーワーク気味かもしれないがそんな事より出きる時に1秒も無駄にせず練習したい。
そういう意識が吉澤から感じ取れていたので中澤もそして石川や他のトレーナーも何も口を挟まなかった。
吉澤の行動はブランクという足枷を目には見えないスピードでだが少しずつ少しずつ取り外していった。