LIFE IS KICK

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30吉澤・ソーパランチャイ
町の中心街から外れた、薄明かりのついた小さな居酒屋で2人は話し始めた。
吉澤と石川以外は男性客のみ、しかも年齢層も高めで2人はその場の雰囲気からは浮いていた。
しかし、2人はこの場所がなんとなく気に入っていた。
大抵2人きりで話したい時はここにしていたし、
昔は特にそうだった。
石川はコップに注がれたアルコールには口をつけずに話し始めた、この日は飲むつもりはなかった。
「最近どうしてるの?あんまり連絡もくれないし・・」
「まあ、普通にやってるよ。退屈だけどね。」
石川の問いかけに吉澤は目線を向けずに答えた。
吉澤の方はというと目の前の酒に既に手をつけている。
「それよか梨華、あんたの方はどうなんだよ?上手くいってる?」
吉澤がそう切り返すと、石川は困ったような顔を見せた。
ここの所吉澤は電話でも、会って話しても必ずこの調子だ。
自分の話をしようとしない。石川はそんな吉澤の事が心配だった。