alone

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5311-1

− もう歌は作れない −


プロローグ


想い出を掻き集め、人は手紙を書く。それが文字にならずとも、
届ける相手がいなくても。

苦しい時、悲しい時、嬉しい時、寂しい時、その気持ちを誰か
に伝えたくて、未来の自分に伝えたくて。

眠れぬ想いを残しながら、人は唄を歌う。それが曲にならなく
ても、一人も聴衆がいなくても。

辛い時、楽しい時、可笑しい時、虚しい時、その気持ちを誰か
に刻みたくて、そして今の自分の証にしたくて。

聞こえない歌を曲に載せ、見えない手紙を詩に替えて、少女た
ちは歌い続ける。