●(#´▽`)´〜`0 )Love〜いしよし PART3●

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336ブラインド・ウォッチメイカー
(みんな、あんな人のどこがいいの!?)
吉澤のおかげで、もともとシャイだった石川は、今やすっかり必要以上に
ネガティブな性格になってしまった。
幼児期からその容姿で目立っていた吉澤は、学校の内外にファンを持って
いる。
吉澤は決して気むずかしい性格ではなかったが、その容姿に加え、勉強も
運動もトップクラスだったため、どうしても周囲の人間が萎縮してしまい
近寄りがたい人間だと思われていた。
だから、そんな吉澤と対等に口がきける石川は、周囲からは吉澤への橋渡
し役として見られていたのだった。

現在石川が部長を務め、大会に向かって心血を注いでいるバレーボール部
は、シャレにならないほど弱い。
なにせまともにプレーできる部員は、セッターである石川の他に一人しか
いないのだから。
おかげで大会優勝どころか、練習試合のカードを組んでもらうのも難しい
というていたらくぶりだ。
(だからって、あんな人の力を借りてまで優勝なんかしたくないよ。
本当にバレーボールが好きな人だけ集まればいいんだ)
とはいうものの、本心では石川だって試合したいし優勝もしたい。
せめてあと一人でも強い選手がいれば、と思うことしきりだ。
(でも…あの人だけは、やだ…っ)
石川は机に顔を突っ伏した。
吉澤のことを考えると、ジレンマに落ちいってしまうだけだった。